(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のパドル部材のうち最も前記第2方向上流側に配置されるパドル部材が前記回転軸から前記径方向に突設される高さが第4の高さに設定され、最も前記第2方向下流側に配置されるパドル部材の前記高さが前記第4の高さよりも高い第5の高さに設定され、前記複数のパドル部材の前記高さが、前記第2方向に向かうに連れて、前記第4の高さから前記第5の高さに徐々に高くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、スクリュー部材にメッキ処理が施されるため、スクリュー部材のコストが増大される。更に、使用される現像剤とメッキ部分の帯電系列が大きく異なると、現像剤が不必要に帯電され、現像剤の帯電量が不安定となりやすい。
【0007】
また、特許文献2に記載された技術では、スクリュー部材の羽根部分に切欠き部が形成されるため、切欠き部がある部分とない部分との間で、現像剤の供給量に差が生じてしまう。この結果、前記供給量の差による濃度ムラが生じることがあった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、スクリュー部材から現像剤担持体に現像剤が供給される現像装置、およびこれを備えた画像形成装置において、現像剤担持体への現像剤の供給むらに起因する画質欠陥を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面に係る現像装置は、現像剤を収容する筐体と、前記筐体に配置され、回転駆動され、周面に前記現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体と間隔をおいて前記筐体内に配設され、第1方向に前記現像剤が搬送される第1搬送路と、前記第1搬送路と前記現像剤担持体との間に前記現像剤担持体に沿って配設され、前記第1方向と逆方向の第2方向に前記現像剤が搬送される第2搬送路とを備え、前記第1および第2搬送路の間で前記現像剤が循環搬送される現像剤搬送路と、前記第2搬送路に配設され、回転軸と、前記回転軸回りに前記回転軸の軸方向に所定のピッチで形成されたスパイラル羽根とを備え、回転駆動され前記第2方向に前記現像剤を搬送し、かつ、前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する現像剤搬送部材と、前記現像剤搬送部材の前記回転軸の周方向における一の位置
のみにおいて
前記回転軸から径方向に突設されるパドル部材であって、
前記軸方向に隣接する前記スパイラル羽根同士を連設させる
ように、前記一の位置において前記回転軸の軸方向に連続して配置される複数のパドル部材と、を有することを特徴とする。
【0010】
本構成によれば、複数のパドル部材は、現像剤搬送部材の回転軸から径方向に突設される。また、複数のパドル部材は、回転軸の軸方向に連続して配置され、軸方向に隣接するスパイラル羽根同士を連設させる。このため、現像剤搬送部材から現像剤担持体に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが抑止される。また、複数のパドル部材は、現像剤搬送部材の回転軸の周方向における一の位置に配置される。このため、周方向に複数のパドル部材が配置される場合と比較して、現像剤搬送部材の軸方向の搬送性能が過剰に低下することが抑制される。したがって、第2方向に沿って、現像剤が安定して現像剤担持体に供給される。
【0011】
上記の構成において、前記第1搬送路から前記第2搬送路に前記現像剤が受け渡される第1連通路を備え、前記第1連通路から前記現像剤担持体の前記軸方向における中央部に至るまでの範囲において、前記複数のパドル部材のうち最も前記第1連通路側に配置されるパドル部材が前記回転軸から前記径方向に突設される高さが第1の高さに設定され、最も前記中央部側に配置されるパドル部材の前記高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さに設定され、前記複数のパドル部材の前記高さが、前記第1連通路から前記中央部に向かうに連れて、前記第1の高さから前記第2の高さに徐々に高くなるように設定されていることが望ましい。
【0012】
本構成によれば、複数のパドル部材が配置される場合であっても、第2搬送路の上流側部分で現像剤が滞留することが抑止される。そして、現像剤担持体の軸方向の中央部に向かって現像剤が軸方向に安定して搬送される。
【0013】
上記の構成において、前記複数のパドル部材が前記回転軸から前記径方向に突設される高さが前記軸方向に沿って一定であることが望ましい。
【0014】
本構成によれば、現像剤搬送部材から現像剤担持体に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが一層抑止される。
【0015】
上記の構成において、前記第2搬送路から前記第1搬送路に前記現像剤が受け渡される第2連通路を備え、前記現像剤担持体の前記軸方向における前記中央部から前記第2連通路に至るまでの範囲において、前記複数のパドル部材のうち最も前記中央部側に配置されるパドル部材の前記高さが前記第2の高さに設定され、最も前記第2連通路側に配置されるパドル部材の前記高さが前記第2の高さよりも低い第3の高さに設定され、前記複数のパドル部材の前記高さが、前記中央部から前記第2連通路に向かうに連れて、前記第2の高さから前記第3の高さに徐々に低くなるように設定されているが望ましい。
【0016】
本構成によれば、複数のパドル部材が配置される場合であっても、現像剤担持体の軸方向の中央部から第2連通路に向かって、現像剤が軸方向に安定して搬送される。この結果、第2搬送路の下流側部分で、現像剤が不足することが抑制される。また、第2連通路を現像剤が安定して通過することができる。
【0017】
上記の構成において、前記第2搬送路から前記第1搬送路に前記現像剤が受け渡される第2連通路を備え、前記現像剤担持体の前記軸方向における前記中央部から前記第2連通路に至るまでの範囲において、前記複数のパドル部材が前記回転軸から前記径方向に突設される高さが一定であることが望ましい。
【0018】
本構成によれば、現像剤担持体の軸方向の中央部に向かって現像剤が軸方向に安定して搬送される。また、第2搬送路の下流側部分において、現像剤搬送部材から現像剤担持体に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが一層抑止される。
【0019】
上記の構成において、前記複数のパドル部材のうち最も前記第2方向上流側に配置されるパドル部材が前記回転軸から前記径方向に突設される高さが第4の高さに設定され、最も前記第2方向下流側に配置されるパドル部材の前記高さが前記第4の高さよりも高い第5の高さに設定され、前記複数のパドル部材の前記高さが、前記第2方向に向かうに連れて、前記第4の高さから前記第5の高さに徐々に高くなるように設定されていることが望ましい。
【0020】
本構成によれば、現像剤搬送部材から現像剤担持体に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが抑止される。また、第2搬送路の上流側から下流側に向かって現像剤が安定して搬送され、現像剤担持体に現像剤が安定して供給される。
【0021】
上記の構成において、前記現像剤が、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤であることが望ましい。
【0022】
本構成によれば、複数のパドル部材の撹拌力によって、トナーおよびキャリアが安定して撹拌されながら、現像剤担持体に供給される。
【0023】
上記の構成において、前記現像剤が、磁性一成分現像剤であることが望ましい。
【0024】
本構成によれば、二成分現像剤と比較して流動性が悪い磁性一成分現像剤においても、複数のパドル部材の撹拌力によって、磁性一成分現像剤が安定して撹拌されながら、現像剤担持体に供給される。
【0025】
上記の構成において、前記現像剤担持体は前記二成分現像剤を担持し、前記現像剤担持体から前記トナーが供給され、前記トナーを担持するトナー担持体を更に備えることが望ましい。
【0026】
本構成によれば、現像剤担持体に安定して供給された現像剤の中のトナーが、トナー担持体に安定して供給される。
【0027】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上記の何れかに記載の現像装置と、表面に静電潜像が形成され、前記静電潜像が前記現像剤によって可視化されるトナー像を担持する像担持体と、前記像担持体からシートに画像を転写する転写装置と、を備えることを特徴とする。
【0028】
本構成によれば、現像剤搬送部材から現像剤担持体に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが抑止される。また、周方向に複数のパドル部材が配置される場合と比較して、現像剤搬送部材の軸方向の搬送性能が過剰に低下することが抑制される。したがって、現像剤担持体の軸方向に沿って、安定して現像剤が現像剤担持体に供給される。この結果、現像剤担持体の軸方向に沿って、安定した濃度の画像が形成される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、スクリュー部材から現像剤担持体に現像剤が供給される現像装置、およびこれを備えた画像形成装置において、現像剤担持体への現像剤の供給むらに起因する画質欠陥が抑止される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の外観を示す斜視図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す側断面図である。ここでは、画像形成装置1としてモノクロプリンターを例示するが、画像形成装置は、複写機、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよく、またカラー画像を形成する画像形成装置であっても良い。
【0032】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する本体ハウジング10と、この本体ハウジング10内に収容される画像形成部30と、定着部40と、トナーコンテナ50と、給紙部90と、を含む。
【0033】
本体ハウジング10の前面側には前カバー11が、後面側には後カバー12が各々備えられている。前カバー11が開放されることで、トナーコンテナ50が前面側に露出する。これにより、ユーザーは、トナー切れの際にトナーコンテナ50を本体ハウジング10の前面側から取り出すことができる。後カバー12は、シートジャムやメンテナンスの際に開放されるカバーである。画像形成部30及び定着部40の各ユニットは、後カバー12が開放されることで、本体ハウジング10の後面側から取り出し可能となる。また、本体ハウジング10の側面には、左カバー12L(
図1)と、左カバー12Lとは反対側の右カバー12R(
図1には表れていない)とが、それぞれ鉛直方向に延伸するように配設されている。左カバー12Lの前側部分には、本体ハウジング10内に空気を取り込むための吸気口12Laが配設されている。また、本体ハウジング10の上面には、画像形成後のシートが排出される排紙部13が備えられている。前カバー11と、後カバー12と、左カバー12Lと、右カバー12Rと、排紙部13とによって画定される内部空間S(
図2)に、画像形成を実行するための各種装置が内装される。
【0034】
画像形成部30は、給紙部90から送り出されるシートにトナー画像を形成する画像形成処理を行う。画像形成部30は、感光体ドラム31(像担持体)と、この感光体ドラム31の周囲に配置された、帯電装置32、露光装置(
図2には表れていない)、現像装置20、転写ローラー34(転写装置)及びクリーニング装置35とを含む。画像形成部30は、左カバー12Lと右カバー12Rとの間に、配設される。
【0035】
感光体ドラム31は、回転軸と、回転軸回りに回転する円筒面と、を備える。円筒面には、静電潜像が形成されるとともに、該静電潜像に応じたトナー像が円筒面に担持される。感光体ドラム31としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。
【0036】
帯電装置32は、感光体ドラム31の表面を均一に帯電するものであって、感光体ドラム31に当接する帯電ローラーを含む。
【0037】
クリーニング装置35は、不図示のクリーニングブレードを有し、トナー像転写後の感光体ドラム31の周面に付着したトナーを清掃するとともに、不図示の回収装置に該トナーを搬送する。
【0038】
露光装置は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム31の周面に、パーソナルコンピューター等の外部装置から与えられる画像データに基づいて変調された光を照射して、静電潜像を形成する。現像装置20は、感光体ドラム31上の前記静電潜像を現像してトナー像を形成するために、感光体ドラム31の周面にトナーを供給する。現像装置20は、感光体ドラム31に供給するトナーを担持する現像ローラー21と、現像ハウジング210(
図3)の内部で現像剤を攪拌しながら循環搬送する第1攪拌スクリュー24及び第2攪拌スクリュー23とを含む。なお、本実施形態に係る現像装置20については、後記で詳述する。
【0039】
転写ローラー34は、感光体ドラム31の周面に形成されたトナー像をシート上に転写させるためのローラーである。転写ローラー34は、感光体ドラム31の円筒面に当接し、転写ニップ部を形成している。この転写ローラー34には、トナーと逆極性の転写バイアスが与えられる。
【0040】
定着部40は、転写されたトナー像をシート上に定着する定着処理を行う。定着部40は、加熱源を内部に備えた定着ローラー41と、この定着ローラー41に対して圧接され、定着ローラー41との間に定着ニップ部を形成する加圧ローラー42とを含む。トナー像が転写されたシートが前記定着ニップ部に通紙されると、トナー像は、定着ローラー41による加熱および加圧ローラー42による押圧により、シート上に定着される。
【0041】
トナーコンテナ50は、現像装置20に補給するトナーを貯留する。トナーコンテナ50は、トナーの主な貯留箇所となるコンテナ本体51と、コンテナ本体51の一側面の下部から突設された筒状部52と、コンテナ本体51の他の側面を覆う蓋部材53と、コンテナ内部に収容されトナーを搬送する回転部材54とを含む。トナーコンテナ50内に貯留されたトナーは、回転部材54が回転駆動されることによって、筒状部52の先端下面に設けられたトナー排出口521から現像装置20内に供給される。また、トナーコンテナ50の上方を覆うコンテナ天板50Hは、排紙部13の下方に位置する(
図2参照)。
【0042】
給紙部90は、画像形成処理が施されるシートを収容する給紙カセット91を含む(
図2)。この給紙カセット91は、その一部が本体ハウジング10の前面からさらに前方に突出している。給紙カセット91のうち、本体ハウジング10内に収容されている部分の上面は、給紙カセット天板91Uによって覆われている。給紙カセット91には、前記シートの束が収容されるシート収容空間、前記シートの束を給紙のためにリフトアップするリフト板等が備えられている。給紙カセット91の後端側の上部にはシート繰出部91Aが設けられている。このシート繰出部91Aには、給紙カセット91内のシート束の最上層のシートを1枚ずつ繰り出すための給紙ローラー91Bが配置されている。
【0043】
本体ハウジング10内には、シートを搬送するために、主搬送路92F及び反転搬送路92Bが備えられている。主搬送路92Fは、給紙部90のシート繰出部91Aから画像形成部30及び定着部40を経由して、本体ハウジング10上面の排紙部13に対向して設けられている排紙口14まで延びている。反転搬送路92Bは、シートに対して両面印刷を行う場合に、片面印刷されたシートを主搬送路92Fにおける画像形成部30の上流側に戻すための搬送路である。
【0044】
主搬送路92Fは、感光体ドラム31および転写ローラー34によって形成される転写ニップ部を、下方から上方に向かって、通過するように延設される。また、主搬送路92Fの、転写ニップ部よりも上流側には、レジストローラー対93が配置されている。シートは、レジストローラー対93にて一旦停止され、スキュー矯正が行われた後、画像転写のための所定のタイミングで、前記転写ニップ部に送り出される。主搬送路92F及び反転搬送路92Bの適所には、シートを搬送するための搬送ローラーが複数配置されており、例えば排紙口14の近傍には排紙ローラー対94が配置されている。
【0045】
反転搬送路92Bは、反転ユニット95の外側面と、本体ハウジング10の後カバー12の内面との間に形成されている。なお、反転ユニット95の内側面には転写ローラー34及びレジストローラー対93の一方のローラーが搭載されている。後カバー12及び反転ユニット95は、それらの下端に設けられた支点部121の軸回りに各々回動可能である。反転搬送路92Bにおいてシートジャムが発生した場合、後カバー12が開放される。主搬送路92Fでシートジャムが発生した場合、或いは感光体ドラム31のユニットや現像装置20が外部に取り出される場合には、後カバー12に加えて反転ユニット95も開放される。
【0046】
<現像装置の説明>
次に、本発明の第1の実施形態に係る現像装置20について、詳述する。
図3は、現像装置20の内部構造を示す断面図である。また、
図4は、現像装置20の内部構造を示す平面図である。現像装置20は、一方向(現像ローラー21の軸方向)に長尺の箱形形状を有する現像ハウジング210(筐体)を備える。現像ハウジング210は、現像剤を収容する。該現像ハウジング210は、内部空間220を有する。内部空間220には、現像ローラー21(現像剤担持体)と、第1攪拌スクリュー23および第2攪拌スクリュー24(現像剤搬送部材)と、トナー補給口25とが配設されている。本実施形態では、磁性一成分現像方式として、この内部空間220には、磁性材料を含むトナーが現像剤(磁性一成分現像剤)として充填される。トナーは、内部空間220内において攪拌搬送され、静電潜像を現像するために、逐次現像ローラー21から感光体ドラム31に供給される。なお、他の実施形態において、現像ハウジング210には、トナーおよびキャリアを含む二成分現像剤が収容されてもよい。
【0047】
現像ローラー21は、回転駆動され、周面にトナーを担持する。現像ローラー21は、現像ハウジング210の長尺方向に延設される円筒形状を有する。現像ローラー21は、回転駆動される円筒形状のスリーブ21Sと、スリーブ21Sの内部に、軸方向に沿って固定配置される円柱形状のマグネット21Mとを備える。スリーブ21Sは、不図示の駆動手段によって、
図3の矢印D31方向に回転駆動され、周面に磁性トナーを担持する。マグネット21Mは、スリーブ21Sの内部に、スリーブ21Sの周方向に複数の磁極を有する固定磁石である。マグネット21Mは、周方向に配置される4つの磁極S1極、N1極、S2極、N2極を備える。
図3において、現像ローラー21を囲む曲線MCは、各磁極によってもたらされる現像ローラー21の半径方向の磁力を、スリーブ21S上の周方向の分布として示したものである。S1極は、マグネット21Mのうち、前方かつ上方の位置に配置される。S1極は、規制極として、トナー層を規制するために使用される。N1極は、マグネット21Mのうち、後方かつ上方の位置に配置される。N1極は、現像極として、感光体ドラム31にトナーを供給する機能を備える。N2極は、マグネット21Mのうち、前方かつ下方の位置に配置される。N2極は、キャッチ極として、現像ローラー21にトナーを汲み上げる機能を備える。S2極は、マグネット21Mのうち、N1極よりもスリーブ21Sの回転方向下流側であって、N2極よりもスリーブ21Sの回転方向上流側の位置に配置される。S2極は、主に、マグネット21Mのうち、後方かつ下方の位置に配置される。S2極は、N1極において、感光体ドラム31側に移動されなかったトナーを、現像ハウジング210に回収する搬送極としての機能を備える。スリーブ21S上に担持されたトナーは、現像ハウジング210に配設された開口部(不図示)まで搬送され、対向する感光体ドラム31に供給される。
【0048】
現像ハウジング210の内部空間220は、不図示の天板によって覆われるとともに、左右方向に延びる仕切り板22によって、左右方向に長尺の第1搬送路221と第2搬送路222とに区画されている。第1搬送路221は、現像ローラー21と間隔をおいて現像ハウジング210内に配設され、第1方向(
図4の矢印D1方向)に前記現像剤が搬送される。第2搬送路222は、第1搬送路221と現像ローラー21との間に現像ローラー21に沿って配設され、前記第1方向と逆方向の第2方向(
図4の矢印D2方向)に現像剤が搬送される。仕切り板22は、現像ハウジング210の左右方向の幅よりも短く、仕切り板22の左端及び右端には、第1搬送路221と第2搬送路222とをそれぞれ連通させる第1連通路223及び第2連通路224が備えられている。第1連通路223において、第1搬送路221から第2搬送路222にトナーが受け渡される。また、第2連通路224において、第2搬送路222から第1搬送路221にトナーが受け渡される。これにより、内部空間220には、第1搬送路221、第1連通路223、第2搬送路222及び第2連通路224に至る循環経路(現像剤搬送路)が形成される。トナーは、第1搬送路221と第2搬送路222との間で、該循環経路内を
図4において時計回りに循環搬送される。
【0049】
トナー補給口25は、前記天板に穿孔された開口部であり、第1搬送路221の左端付近の上方に配置されている(
図4)。トナー補給口25は、上記の循環経路に対向して配置され、トナーコンテナ50から補給される補給トナーを内部空間220に受け入れる機能を備える。本実施形態では、トナー補給口25は、平面視で14mm×8mmの開口からなる。
【0050】
第1攪拌スクリュー23は、第1搬送路221に配設されている。第1攪拌スクリュー23は、第1回転軸23aと、この第1回転軸23aの周上にスパイラル状に突設された第1螺旋羽根23bとを含む。第1攪拌スクリュー23は、不図示の駆動手段によって第1回転軸23a回り(
図3の矢印D33、
図4の矢印R2)に回転駆動されることで、
図4の矢印D1方向(第1方向)にトナーを搬送する。第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置を通過するように現像剤を搬送する。これにより、第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25から流入する新しいトナーと、第1搬送路221を搬送されるトナーとを混合し、混合されたトナーを第2搬送路222側に受け渡す機能を有する。なお、本実施形態では、第1螺旋羽根23bの外径は14mmであり、軸方向のピッチは20mmに設定される。第1攪拌スクリュー23の搬送性能に応じて、前記ピッチは変更可能であるが、トナーの搬送能力を維持する上では15mmが下限とされることが好ましい。第1攪拌スクリュー23のトナー搬送方向(D1方向)下流側には、第1パドル23cが配設されている。第1パドル23cは、第1回転軸23a上に配設された板状部材である。第1パドル23cは、第1回転軸23aと共に回転され、
図4の矢印D3方向に向かって、第1搬送路221から第2搬送路222に、トナーを受け渡す。本実施形態では、第1パドル23cの軸方向の長さは、20mmに設定される。
【0051】
第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222に配設されている。第2攪拌スクリュー24は、第2回転軸24a(回転軸)と、この第2回転軸24aの周上にスパイラル状に突設された第2螺旋羽根24b(スパイラル羽根)とを含む。換言すれば、第2螺旋羽根24bは、第2回転軸24a回りに第2回転軸24aの軸方向に所定のピッチで形成されるスパイラル羽根である。第2攪拌スクリュー24は、不図示の駆動手段によって第2回転軸24a回り(
図3の矢印D32、
図4の矢印R1)に回転駆動されることで、
図4の矢印D2方向(第2方向)にトナーを搬送する。第2攪拌スクリュー24は、第2搬送路222内で、トナーを搬送するとともに、現像ローラー21にトナーを供給する。なお、本実施形態では、第2螺旋羽根24bの外径は14mmであり、軸方向のピッチは20mmに設定される。第2攪拌スクリュー24の搬送性能に応じて、前記ピッチは変更可能であるが、トナーの搬送能力を維持する上では15mmが下限とされることが好ましい。
【0052】
第2攪拌スクリュー24は、現像ローラー21よりも、前方かつ下方の位置に、配置される。すなわち、第2攪拌スクリュー24は、マグネット21MのN2極に対向して配置される。第2攪拌スクリュー24の回転(
図3の矢印D32)に伴って、第2攪拌スクリュー24からスリーブ21Sにトナーが供給される。第2攪拌スクリュー24の回転軸24aは、スリーブ21Sの回転軸よりも下方に位置する。更に、第2攪拌スクリュー24の回転軸24aは、スリーブ21Sの周面の下端部よりも下方に位置する。本実施形態では、現像ローラー21へのトナーの供給経路は、第2攪拌スクリュー24から供給される経路のみによって形成される。第2攪拌スクリュー24は、現像ローラー21に対して、下方から上方にトナーを汲み上げることによって、スリーブ21Sにトナーを供給する。
【0053】
第2攪拌スクリュー24のトナー搬送方向(矢印D2方向)下流側には、第2パドル24cが配設されている。第2パドル24cは、第2回転軸24a上に配設された板状部材である。第2パドル24cは、第2回転軸24aと共に回転され、
図4の矢印D4方向に向かって、第2搬送路222から第1搬送路221に、トナーを受け渡す。本実施形態では、第2パドル24cの軸方向の長さは、20mmに設定される。
【0054】
現像装置20は、更に、層規制部材60と、磁石プレート75と、を備える。
【0055】
層規制部材60は、現像ローラー21よりも、前方かつ上方の位置に配置される。層規制部材60は、現像ローラー21の軸方向に沿って、現像ローラー21(スリーブ21S)の周面に対向して配置される。詳しくは、層規制部材60は、現像ローラー21のうち、マグネット21MのS1極に対向して配置される。層規制部材60は、磁性材料から構成される板状部材である。層規制部材60は、現像ローラー21の回転軸と直交する断面において、現像ローラー21に向かう方向を長辺とする矩形形状を備える。層規制部材60の先端部は、現像ローラー21のスリーブ21Sと、間隔を置いて配置される。この結果、前記先端部と、スリーブ21Sとの間で、層規制ギャップGが形成される。層規制部材60は、第2攪拌スクリュー24からスリーブ21S上に汲み上げられたトナーの層厚を規制する。
【0056】
磁石プレート75は、層規制部材60の前側に、層規制部材60に沿って配置される。換言すれば、磁石プレート75は、層規制部材60よりも、現像ローラー21のスリーブ21Sの回転方向(
図3の矢印D31)上流側に配置される。本実施形態では、磁石プレート75は、板状形状を備えた永久磁石から構成される。磁石プレート75は、現像ローラー331の回転軸と直交する断面において、層規制部材60に沿って延設される略矩形形状を備える。磁石プレート75は、層規制部材60の下方部分に固定される。磁石プレート75は、マグネット21MのS1極と対向する位置に、S1極と同極のS極の磁力を備える。また、磁石プレート75は、マグネット21MのS1極に対して、前記S極よりも遠い位置に、N極を備える。
【0057】
このように、本実施形態では、層規制部材60よりも、現像ローラー21(スリーブ21S)の回転方向上流側に、磁石プレート75が配置される。換言すれば、現像ローラー21の回転方向上流側から下流側に向かって、磁石プレート75、層規制部材60が順に、現像ローラー21の周面に対向して配置される。
【0058】
かくして、本実施形態では、第2攪拌スクリュー24は、スリーブ21Sの周面のうち、鉛直下方に面する第1の位置P1に向かって、トナーをスリーブ21Sに供給する。また、層規制部材60は、スリーブ21Sの周面のうち、鉛直上方に面し、かつ、第1の位置P1の上方に位置する第2の位置P2において、スリーブ21S上のトナーの厚さを規制する。この際、マグネット21MのS1極と磁石プレート75のS極が、同極の磁力を有することから、スリーブ21Sと磁石プレート75との間には、反発磁界が作用する。該反発磁界は、スリーブ21Sの回転方向上流側に向かう磁界と、回転方向下流側(層規制部材60側)に向かう磁界とに分類される。この結果、スリーブ21S上を搬送され、磁石プレート75の下部に進入されたトナーは、スリーブ21Sの周面に移動する力を付与される。この結果、トナーが薄層化された状態で、トナーの層規制が実現される。更に、層規制部材60の層規制ギャップGに進入されなかったトナーは、反発磁界に促進され、スリーブ21Sの回転方向上流側に向かって流動する。
【0059】
<滞留部について>
図4を参照して、前述のトナーコンテナ50は、現像ハウジング210のトナー補給口25の上方に、配置されている。トナーコンテナ50は、内部にトナーが搬送されるトナー搬送路50aと、回転部材54と、トナー排出口521と、を備える。トナーコンテナ50は、トナーコンテナ50の長手方向(トナー搬送路50aが形成されている方向)が、現像装置20の長手方向(第1攪拌スクリュー23の現像剤搬送方向。矢印D1方向)に直交する方向に位置するように、現像装置20に組みつけられている。
【0060】
トナー排出口521は、現像装置20のトナー補給口25に対応して、トナーコンテナ50の底部に配設されている。回転部材54は、軸部と該軸部回りに回転される羽根部とを有し(
図2参照)、トナー搬送路50a内の補給トナーをトナー排出口521に向かって搬送する。トナー排出口521から落下したトナーは、トナー補給口25を介して、現像装置20に補給される。
【0061】
次に、トナー補給口25から現像ハウジング210に新たに補給されるトナーの流れについて説明する。
図5は、現像装置20に配設されたトナー補給口25およびトナーコンテナ50に配設されたトナー排出口521付近の断面図である。なお、
図5では、説明のために、トナーコンテナ50の配置を水平方向において90度回転させて示している。実際には、トナーコンテナ50内の回転部材54は、紙面手前に向かって延設され、第1攪拌スクリュー23と、トナーコンテナ50内の回転部材54とは、互いに直交する位置関係となっている。
【0062】
トナーコンテナ50のトナー排出口521から供給された補給トナーT2は、第1搬送路221に落下して既存のトナーT1と混合され、第1攪拌スクリュー23により矢印D1方向に搬送される。この際、トナーT1、T2は攪拌され、帯電される。
【0063】
第1攪拌スクリュー23は、トナー補給口25よりトナー搬送方向下流側に、部分的に現像剤の搬送性能が抑制される搬送能力抑制部26を備える。本実施形態では、搬送能力抑制部26は、第1攪拌スクリュー23の第1螺旋羽根23bを欠落させることによって形成される。本実施形態では、搬送能力抑制部26の軸方向の長さは、12mmに設定される。換言すれば、搬送能力抑制部26は、部分的に第1回転軸23aのみが配設されている部分に相当する。この場合、搬送能力抑制部26は、第1回転軸23aの軸方向の現像剤搬送性能を有さない。従って、第1搬送路221内において、搬送能力抑制部26よりも上流側から搬送されるトナーは、該搬送能力抑制部26において、滞留し始める。そして、これらのトナーの滞留は、搬送能力抑制部26の直ぐ上流側であって、トナー補給口25が第1搬送路221に対向する位置まで累積していく。この結果、トナー補給口25の入口付近には、現像剤の滞留部27が形成される。
【0064】
トナー補給口25から補給トナーT2が補給され、内部空間220内のトナー量が増えると、この滞留部27で滞留するトナーがトナー補給口25を塞ぎ(封止し)、それ以上のトナーの補給を抑制する。その後、内部空間220内のトナーが現像ローラー21から消費され、滞留部27で滞留するトナーが減少すると、トナー補給口25を塞いでいたトナーが減り、滞留部27とトナー補給口25との間に隙間が生じる。この結果、再び補給トナーT2がトナー補給口25から内部空間220に流入する。このように、本実施形態では、滞留部27に滞留するトナーの減少に伴って、補給トナー量の受入量が調整される体積補給型のトナー補給形式が採用される。なお、他の実施形態において、現像ハウジング210内に配置される不図示のトナーセンサーの出力に応じて、トナーコンテナ50から現像ハウジング210にトナーが補給される態様であってもよい。
【0065】
更に、本実施形態では、第2撹拌スクリュー24は、供給パドル70を備える。
図6は、第2撹拌スクリュー24の平面図である。
図4および
図6を参照して、供給パドル70は、第2撹拌スクリュー24の回転軸24aの周方向における一の位置において、回転軸24aから径方向に突設される複数の板状部材(パドル部材)である。なお、供給パドル70は、最大で回転軸24aから第2螺旋羽根24bの外周縁近傍まで突設される。また、供給パドル70は、回転軸24aの軸方向のうち少なくとも現像ローラー21の画像形成領域IAを含むように連続して配置され、第2螺旋羽根24bの軸方向に隣接するスパイラル羽根同士を連設させる複数の板状部材である。なお、現像ローラー21の画像形成領域IAとは、現像ローラー21の軸方向において、感光体ドラム31上に静電潜像が形成されうる領域に対応した領域である。該領域は、シート上に画像が形成される最大画像領域にも対応する。このように、供給パドル70が隣接するスパイラル羽根同士を連設させることによって、第2攪拌スクリュー24のうち第2螺旋羽根24bのスパイラル羽根がある部分とない部分との間で、現像ローラー21へのトナーの供給量が変動することが抑止される。更に、供給パドル70が配置されることで、第2撹拌スクリュー24の第2方向への搬送性能が相対的に低下するため、第2搬送路222に貯留されるトナー量が増大される。また、複数の供給パドル70は、周方向における一の位置に配置されるため、周方向に複数のパドル部材が配置される場合と比較して、第2撹拌スクリュー24の軸方向の搬送性能が過剰に低下することが抑制される。したがって、前記第2方向に沿って、トナーが安定して現像ローラー21に供給される。
【0066】
更に、本実施形態では、
図6に示すように、第1連通路223から現像ローラー21の軸方向における中央部RCに至るまでの範囲において、複数の供給パドル70が回転軸24aから径方向に突設される高さが漸増されている(
図6の矢印D61参照)。すなわち、供給パドル70の外縁部は回転軸24aの軸方向に平行に延設される。そして、各スパイラル羽根同士の間に配置される供給パドル70の前記高さが、第2撹拌スクリュー24の搬送方向上流側から、現像ローラー21の軸方向の中央部RCにかけて、徐々に高くなっている。この結果、第2搬送路の上流側部分では、供給パドル70の突設高さが抑えられ、軸方向の搬送性能が高く維持される。このため、第1連通路223から第2搬送路222に流入したトナーは、速やかに現像ローラー21の中央部に搬送される。換言すれば、第2搬送路222の搬送方向上流側において、トナーが過剰に滞留することが抑止される。
【0067】
更に、本実施形態では、
図6に示すように、現像剤担持体の軸方向における中央部RCから第2連通路224に至るまでの範囲において、複数の供給パドル70が回転軸24aから径方向に突設される高さが漸減されている(
図6の矢印D62参照)。各スパイラル羽根同士の間に配置される供給パドル70の前記高さが、現像ローラー21の軸方向の中央部RCから、第2撹拌スクリュー24の搬送方向下流側にかけて、徐々に低くなっている。この結果、第2搬送路222のうち前記中央部RCに対向する領域に位置するトナーが、速やかに第2連通路224側に搬送される。この結果、複数の供給パドル70が配置され、相対的に軸方向の搬送性能が低下された第2撹拌スクリュー24においても、第2搬送路222の下流側にトナーを不足なく搬送することができる。また、第2搬送路222の搬送方向下流側に搬送されたトナーを第2連通路224を介して、第1搬送路221側に押し出す効果も発現される。
【0068】
次に、本発明の第2の実施形態に係る供給パドル70Aを備えた第2撹拌スクリュー24Aについて説明する。
図7は、後記の実施例の実験条件を説明するための各撹拌スクリューの平面図である。本実施形態に係る第2撹拌スクリュー24Aは、
図7の形状(A)に示される。第2撹拌スクリュー24Aは、先の実施形態の第2撹拌スクリュー24と比較して、供給パドル70Aの形状が異なる。このため、該相違点について説明し、その他の説明を省略する。
【0069】
供給パドル70Aは、前述の供給パドル70と同様に、第2撹拌スクリュー24Aの回転軸の周方向における一の位置において、前記回転軸から径方向に突設される複数の板状部材(パドル部材)である。また、供給パドル70Aは、前記回転軸の軸方向のうち少なくとも現像ローラー21(
図4参照)の画像形成領域IAを含むように連続して配置され、第2撹拌スクリュー24Aの軸方向に隣接するスパイラル羽根同士を連設させる複数の板状部材である。そして、本実施形態では、複数の供給パドル70Aが、第2撹拌スクリュー24Aの回転軸から径方向に突設される高さが、軸方向に沿って一定とされる。このような構成においては、第2撹拌スクリュー24Aから現像ローラー21に対して供給されるトナー量が、第2撹拌スクリュー24Aスパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが一層抑止される。
【実施例】
【0070】
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。なお、以後の各実施例は、下記の実験条件にて行った。
【0071】
<実験条件について>
・感光体ドラム31:OPCドラム
・感光体ドラム31の周速度:146mm/sec
・層規制ギャップG:0.3mm
・現像バイアスAC成分:矩形波振幅1.7kV、Duty50%
現像バイアスDC成分:270V
・感光体ドラム31の表面電位(背景部/画像部):430V/30V
・現像ローラー331の直径:16mm
・感光体ドラム31の直径:24mm
・磁性トナーの平均粒子径:6.8μm(D50)
【0072】
<第2撹拌スクリューの形状について>
実験に使用した第2撹拌スクリューの平面図を
図7に示す。
図7の形状(N)は、本発明の実施例と比較される比較例としての、第2撹拌スクリュー24Nの平面図である。第2撹拌スクリュー24Nは、本発明の供給パドル70を備えていない。また、
図7の形状(A)は、本発明の実施例として、先に示した第2の実施形態に係る第2撹拌スクリュー24Aの平面図である。また、
図7の形状(B)は、本発明の実施例として、先に示した第1の実施形態に係る第2撹拌スクリュー24と同一構成の第2撹拌スクリュー24Bの平面図である。また、
図7の形状(W)は、本発明の実施例と比較される比較例としての、第2撹拌スクリュー24Wの平面図である。第2撹拌スクリュー24Wでは、周方向の2か所において、供給パドル70Wが軸方向に連続して配置されている。また、
図7の形状(T)は、本発明の実施例と比較される比較例としての、第2撹拌スクリュー24Tの平面図である。第2撹拌スクリュー24Tでは、周方向の2か所において、供給パドル70Wが軸方向に交互に配置されている。
【0073】
上記の各第2撹拌スクリューが装着された現像装置を用いて、トナーの流動性が悪化しやすい温度30度、湿度70%の環境で実験を行った。実験では、それぞれ、左右濃度ムラ、画質欠損、縦スジレベルの評価を行った。
【0074】
表1に、各実験条件における左右濃度ムラおよび画質欠損の結果を示す。左右濃度ムラとは、印刷されたハーフトーン画像において、現像ローラー21の軸方向の両端部に対応する領域間の濃度差(ID差)を評価したものである。前記濃度差は、少なくとも0.20以下に収まることが望ましい。また、画像欠損とは、高印字率の画像パターンを連続印字した場合に、第2撹拌スクリューの軸方向全域にトナーが行き渡らず、特に搬送方向下流側において画像が白く抜ける現象である。○は、画像欠損がほとんど発生していない状態を示し、△は、非常に軽微な画像欠損が若干発生しているものの、実使用上まったく問題ない状態を示す。また、×は、画像欠損が発生している状態を示している。
【0075】
【表1】
【0076】
表1に示されるように、比較例としての形状(N)や(T)では、濃度差が0.20以上と大きくなった。一方、実施例の形状(A)および(B)では、濃度差が0.11以下と比較例に比べて小さい結果となった。形状(A)および(B)では、現像ローラー21の軸方向の中央部RCを中心に、第2撹拌スクリューの搬送方向上流側および下流側において、第2撹拌スクリューの供給パドル70(70A、70B)のパドル形状が対称とされる。このため、現像ローラー21へのトナーの供給が均一になり、左右濃度差が好適に維持された。
【0077】
また、表1に示されるように、比較例である形状(N)および(W)において、高印字率時の画像欠損が発生した。これは、形状(N)では、供給パドル70が配置されていないため、現像剤の軸方向の搬送性能が高すぎ、結果として、第2撹拌スクリューの周辺に収容されるトナー量が少ないために発生する。一方、実施例の形状(A)および(B)では、画像欠損が実使用上問題のない結果となった。前述のように、形状(A)および(B)では、第2撹拌スクリューの供給パドル70(70A、70B)のパドル形状が中央部RCを中心に対称とされる。このため、現像ローラー21へのトナーの供給が軸方向において均一になったためである。
【0078】
また、縦スジは、現像ローラー21に供給されるトナー量が部分的に変動することによって、画像上に生じる筋状の画質欠陥である。本実験では、縦スジは、シート上のハーフトーン画像において評価した。
図8に、現像ハウジング210内のトナー量が変化された場合の各実験条件における縦スジランクの結果を示す。縦スジランクは目視で5段階評価にて実施した。ランク1から5に向かって、縦スジランクが良化し、実使用上、ランク3以上であることが望まれる。
図8に示されるように、実施例の形状(A)および(B)では、比較例と比較して、縦スジランクが好適に維持された。すなわち、供給パドル70(70A、70B)を備えることによって、現像ローラー21へのトナー供給量が軸方向で均一化され、縦スジの発生が好適に抑制されている。
【0079】
以上の結果から、供給パドルの周方向における数および軸方向における配置が、左右濃度差、スジランクおよび画像欠損に影響する傾向を
図9に示す。
図9(A)を参照して、供給パドルが最も少ない場合、すなわち、供給パドルが全く配置されていない場合は、すべての評価項目が悪化する。そして、供給パドルの周方向の数が、1か所、2か所と増加することで、左右濃度差およびスジランクは良化する。しかしながら、供給パドルの周方向の数が2か所(
図7の形状(W))の場合には、第2撹拌スクリューの搬送方向下流側においてトナーが不足するため、画像欠損が発生する。供給パドルが周方向において1か所に配置される場合は、第2搬送路222に収容されるトナー量が増大するとともに、第2撹拌スクリュー24の搬送方向下流側で、トナーが不足することが抑止される。一方、
図9(B)を参照して、第2撹拌スクリューの軸方向に連続して供給パドルが配置される場合(均一)と、軸方向に供給パドルが交互に配置される場合(不均一)とを比較する。この場合、供給パドルの連続性は、画像欠損に与える影響は少ないものの、供給パドルが軸方向に交互に配置されると(
図7の形状(T))、左右濃度差およびスジランクが悪化する。
【0080】
以上より、周方向において1か所に供給パドル70(70A、70B)が配置され、現像ローラー21の中央部RCを中心に、搬送方向の上流側と下流側とにおいて、パドルの突設高さが対称とされる第2撹拌スクリュー24(24A、24B)において、左右濃度差、スジランクおよび画像欠損が安定して維持される。
【0081】
次に、上記の結果を踏まえて、
図4を参照して、先の第1の実施形態に係る供給パドル70を備えた第2撹拌スクリュー24について補足する。現像ハウジング210のうち、第1連通路223および第2連通路224付近では、トナーの受け渡しが行われるため、トナーが詰まりやすい。このような場合であっても、第2撹拌スクリュー24の搬送方向(第2方向)上流側の供給パドル70の突設高さが小さくされることで、第2方向へのトナーの移動が促進され、第1連通路223付近でのトナーの滞留が抑止される。また、第2撹拌スクリュー24の搬送方向(第2方向)下流側の供給パドル70の突設高さが小さくされることで、第2連通路224を通過するトナーの流れが促進され、第2連通路224付近でのトナーの滞留が抑止される。
【0082】
更に、上記の実施形態では、
図4に示されるように、トナー補給口25は、第1搬送路221の搬送方向下流側に配置される。このため、トナー補給口25から現像ローラー21までの搬送経路が比較的短い。この場合、補給されたトナーの撹拌時間が短いために、画像上にトナーかぶりが発生する場合がある。特に、現像ローラー21へ最も早くトナーが供給される第2搬送路221の上流側端部において、最もトナーかぶりが発生しやすい。このような場合であっても、
図4に示されるように、第2撹拌スクリュー24の搬送方向上流側の供給パドル70の突設高さが小さくされ、軸方向の搬送性能が増大されることで、トナーかぶりが下流側に分散され、目視上で問題となりにくくなる。
【0083】
また、高印字率の画像が連続して印字された場合には、トナーの消費量に対してトナーの補給量が追いつかず、第2撹拌スクリュー24の下流側端部に対応して、画像が白く抜けるような画像欠損が起こりやすい。このような場合であっても、現像ローラー21の中央部RCから下流側にかけて、供給パドル70の突設高さが漸減され、トナーの搬送性能が増大されることで、第2撹拌スクリュー24の下流側へのトナーの移動が促進され、前記画像欠損が抑制される。
【0084】
更に、現像ローラー21の画像形成領域IAを含むように、供給パドル70が軸方向に沿って配置されることで、第2撹拌スクリュー24のスパイラル羽根がある部分とない部分との間で発生するトナーの供給ムラが緩和される。また、第1撹拌スクリュー23と第2撹拌スクリュー24とからなる二軸のトナー撹拌構成においては、第1連通路223および第2連通路224が配置される領域が最もトナーが溜まりやすい。更に、第2撹拌スクリュー24の上流側端部から軸方向の中央部にかけて、徐々にトナー量が不足しやすい。このような場合であっても、供給パドル70の突設高さが、第2撹拌スクリュー24の上流側から中央部RCに向かって、次第に高く設定されることで、上流側端部のトナーの流れを軸方向に加速させるとともに、中央部RC付近において減速させることが可能となる。この結果、トナーが多く溜まりやすい上流側端部と、トナーが最も溜まりにくい中央部RC付近とにおいて、第2撹拌スクリュー24の周辺に均一な量のトナーを分布させることができる。したがって、現像ローラー21に対して、トナーがより均一に供給される。更に、第2撹拌スクリュー24の中央部RC付近から下流側端部にかけて、供給パドル70の突設高さが、徐々に低く設定されることで、下流側端部でのトナーの詰まりを防止し、第2撹拌スクリュー24の軸方向全域において均一な量のトナーを分布させることが可能となる。その結果、現像ローラー21に対して均一なトナーの供給が行われ、画像上にムラやスジが発生することが抑止される。
【0085】
以上、上記に示した第1および第2の実施形態によれば、複数の供給パドル70は、第2攪拌スクリュー24の回転軸24aから径方向に突設される。また、複数の供給パドル70は、回転軸24aの軸方向に連続して配置され、軸方向に隣接する第2攪拌スクリュー24のスパイラル羽根同士を連設させる。このため、第2攪拌スクリュー24から現像ローラー21に対して供給される現像剤量(トナー量)が、前記スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが抑止される。また、複数の供給パドル70は、第2攪拌スクリュー24の回転軸24aの周方向における一の位置に配置される。このため、周方向に複数のパドル部材が配置される場合と比較して、第2攪拌スクリュー24の軸方向の搬送性能が過剰に低下することが抑制される。したがって、第2方向に沿って、現像剤が安定して現像ローラー21に供給される。
【0086】
また、上記の第1の実施形態によれば、第1連通路223から現像ローラー21の軸方向における中央部RCに至るまでの範囲において、複数の供給パドル70が回転軸24aから径方向に突設される高さが漸増されている。このため、複数の供給パドル70が配置される場合であっても、第2搬送路222の上流側部分で現像剤(トナー)が滞留することが抑止される。そして、現像ローラー21の軸方向の中央部RCに向かって現像剤が軸方向に安定して搬送される。なお、上記について換言すれば、第1連通路223から現像ローラー21の軸方向における中央部RCに至るまでの範囲において、複数の供給パドル70のうち最も第1連通路223側に配置される供給パドル70が回転軸24aから径方向に突設される高さが第1の高さに設定され、最も中央部RC側に配置される供給パドル70の前記高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さに設定され、複数の供給パドル70の前記高さが、第1連通路223から中央部RCに向かうに連れて、前記第1の高さから前記第2の高さに徐々に高くなるように設定されている。
【0087】
また、上記の第1の実施形態によれば、現像ローラー21の軸方向における中央部RCから第2連通路224に至るまでの範囲において、複数の供給パドル70が回転軸24aから径方向に突設される高さが漸減されている。このため、複数の供給パドル70が配置される場合であっても、現像ローラー21の軸方向の中央部RCから第2連通路224に向かって、現像剤が軸方向に安定して搬送される。この結果、第2搬送路222の下流側部分で、現像剤が不足することが抑制される。また、現像剤が淀みなく第2連通路224を通過することができる。なお、上記について換言すれば、複数の供給パドル70のうち最も中央部RC側に配置される供給パドル70の前記高さが前記第2の高さに設定され、最も第2連通路224側に配置される供給パドル70の前記高さが前記第2の高さよりも低い第3の高さに設定され、前記複数の供給パドル70の前記高さが、中央部RCから第2連通路224に向かうに連れて、前記第2の高さから前記第3の高さに徐々に低くなるように設定されている。
【0088】
また、上記の第2の実施形態によれば、複数の供給パドル70Aが第2攪拌スクリュー24Aの回転軸から径方向に突設される高さが軸方向に沿って一定とされる。このため、第2攪拌スクリュー24Aから現像ローラー21に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが一層抑止される。
【0089】
以上、本発明に係る供給パドル70、70A、70Bを備える第2攪拌スクリュー24、24A、24Bが配置された現像装置、およびこれを備える画像形成装置について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、以下に示す変形実施形態を含むことができる。
【0090】
(1)上記の実施形態では、第2攪拌スクリュー24の第2螺旋羽根24bのスパイラル羽根同士の間において、供給パドル70の外縁部が軸方向に延設される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。供給パドル70の外縁部は、前記スパイラル羽根同士において、傾斜して配置されるものでもよい。
【0091】
(2)また、上記の第1の実施形態では、中央部RCから第2攪拌スクリュー24の下流側端部にかけて、供給パドル70の突設高さが漸減される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図10は、本発明の変形実施形態に係る(A)第2攪拌スクリュー24Eおよび(B)第2攪拌スクリュー24Fの平面図である。
【0092】
図10(A)に示される第2攪拌スクリュー24Eには、供給パドル70Eが配置される。第2攪拌スクリュー24Eでは、第2攪拌スクリュー24Eの第2方向(
図10の矢印D2方向)上流側から、現像ローラー21の軸方向の中央部RCに対向する領域にかけて、供給パドル70Eの突設高さは漸増される。そして、前記中央部RCに対向する領域から、第2攪拌スクリュー24Eの第2方向下流側にかけて、前記突設高さは一定とされる。このような構成においても、現像ローラー21の軸方向の中央部RCに向かって現像剤が軸方向に安定して搬送される。また、第2搬送路222の下流側部分において、第2攪拌スクリュー24Eから現像ローラー21に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが一層抑止される。
【0093】
また、
図10(B)に示される第2攪拌スクリュー24Fには、供給パドル70Fが配置される。第2攪拌スクリュー24Fでは、第2攪拌スクリュー24Fの第2方向上流側から下流側にかけて、供給パドル70Fの突設高さが第2方向に進むにつれて漸増される。このような構成においても、第2攪拌スクリュー24Fから現像ローラー21に対して供給される現像剤量が、スパイラル羽根のピッチに応じて変動されることが抑止される。また、第2搬送路222の上流側から下流側に向かって現像剤が安定して搬送され、現像ローラー21に現像剤が安定して供給される。なお、上記について換言すれば、複数の供給パドル70Fのうち最も前記第2方向上流側に配置される供給パドル70Fが前記回転軸から径方向に突設される高さが第4の高さに設定され、最も前記第2方向下流側に配置される供給パドル70Fの前記高さが前記第4の高さよりも高い第5の高さに設定され、前記複数の供給パドル70Fの前記高さが、前記第2方向に向かうに連れて、前記第4の高さから前記第5の高さに徐々に高くなるように設定されている。
【0094】
(3)また、上記の実施形態では、磁性一成分現像剤が採用される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。二成分現像剤が採用される現像装置において、第2攪拌スクリュー24に供給パドル70などが配置される態様でもよい。更に、本発明は、現像ローラー21に二成分現像剤が担持される態様において、現像ローラー21に対向して不図示のトナー担持体が配置されるタッチダウン現像装置に適用されてもよい。トナー担持体には現像ローラー21からトナーが供給され、トナー担持体がトナーを担持しながら感光体ドラム31にトナーを供給する。この場合であっても、供給パドル70を備える第2攪拌スクリュー24から、現像ローラー21に安定して二成分現像剤が供給される。