【実施例】
【0049】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、これらの実施例を本発明の趣旨に基づいて変形、変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0050】
(実施例1)
(電解液の作製)
溶媒である水に、酸化インジウム(キシダ化学(株)製)と、リン酸三ナトリウム(キシダ化学(株)製)と、水酸化カリウム(キシダ化学(株)製)とを加え、均一となるように攪拌して、電解液を作製した。
【0051】
なお、電解液中のインジウム原子の濃度が7mM、リン酸三ナトリウムの濃度が61mM、及び水酸化カリウムの濃度が18mMとなるように調整した。また、電解液のpHは13であった。
【0052】
(PEO処理)
次に、アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したマグネシウム合金(AZ31)からなり、表面積が130cm
2であるマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに、SUS304からなり、表面積が1300cm
2であるステンレス槽を陰極として使用し、マグネシウム合金板を電解液に浸漬させた状態で、3分間、マグネシウム合金板に対して高電圧を印加することにより、マグネシウム合金板と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、マグネシウム合金板の表面に、10.0μmの厚みを有する皮膜を形成し、本実施例の金属材料を作製した。
【0053】
なお、電解電圧を450V、周波数を250Hz、及びデューティー比を0.125に設定してPEO処理を行った。
【0054】
(実施例2)
(電解液の作製)
溶媒である水に、硫酸インジウム(和光純薬工業(株)製)と、リン酸三ナトリウム(キシダ化学(株)製)と、水酸化カリウム(キシダ化学(株)製)と、EDTA四ナトリウム(キシダ化学(株)製)とを加え、均一となるように攪拌して、電解液を作製した。
【0055】
なお、電解液中のインジウム原子の濃度が3mM、リン酸三ナトリウムの濃度が61mM、水酸化カリウムの濃度が18mM、及びEDTA四ナトリウムの濃度が5mMとなるように調整した。また、電解液のpHは13であった。
【0056】
(PEO処理)
次に、アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したマグネシウム合金(AZ31)からなり、表面積が130cm
2であるマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに、SUS304からなり、表面積が1300cm
2であるステンレス槽を陰極として使用し、マグネシウム合金板を電解液に浸漬させた状態で、6分40秒間、マグネシウム合金板に対して高電圧を印加することにより、マグネシウム合金板と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、マグネシウム合金板の表面に、9.8μmの厚みを有する皮膜を形成し、本実施例の金属材料を作製した。
【0057】
なお、電解電圧を400V、周波数を125Hz、及びデューティー比を0.125に設定してPEO処理を行った。
【0058】
(実施例3)
(電解液の作製)
溶媒である水に、酸化インジウム(キシダ化学(株)製)と、メタケイ酸ナトリウム・9水和物(キシダ化学(株)製)と、リン酸三ナトリウム(キシダ化学(株)製)と、水酸化カリウム(キシダ化学(株)製)とを加え、均一となるように攪拌して、電解液を作製した。
【0059】
なお、電解液中のインジウム原子の濃度が1.5mM、メタケイ酸ナトリウム・9水和物の濃度が42mM、リン酸三ナトリウムの濃度が31mM、及び水酸化カリウムの濃度が18mMとなるように調整した。また、電解液のpHは13であった。
【0060】
(PEO処理)
次に、アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したマグネシウム合金(AZ31)からなり、表面積が130cm
2であるマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに、SUS304からなり、表面積が1300cm
2であるステンレス槽板を陰極として使用し、マグネシウム合金板を電解液に浸漬させた状態で、10分間、マグネシウム合金板に対して高電圧を印加することにより、マグネシウム合金板と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、マグネシウム合金板の表面に、11.9μmの厚みを有する皮膜を形成し、本実施例の金属材料を作製した。
【0061】
なお、電解電圧を400V、周波数を400Hz、及びデューティー比を0.4に設定してPEO処理を行った。
【0062】
(実施例4)
(電解液の作製)
溶媒である水に、硫酸インジウム(和光純薬(株)製)と、メタケイ酸ナトリウム・9水和物(キシダ化学(株)製)と、リン酸三ナトリウム(キシダ化学(株)製)と、水酸化カリウム(キシダ化学(株)製)と、クエン酸ナトリウム(キシダ化学(株)製)とを加え、均一となるように攪拌して、電解液を作製した。
【0063】
なお、電解液中のインジウム原子の濃度が1.5mM、メタケイ酸ナトリウム・9水和物の濃度が42mM、リン酸三ナトリウムの濃度が31mM、水酸化カリウムの濃度が18mM、及びクエン酸ナトリウムの濃度が2mMとなるように調整した。また、電解液のpHは13であった。
【0064】
(PEO処理)
次に、アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したマグネシウム合金(AZ31)からなり、表面積が130cm
2であるマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに、SUS304からなり、表面積が1300cm
2であるステンレス槽を陰極として使用し、マグネシウム合金板を電解液に浸漬させた状態で、10分間、マグネシウム合金板に対して高電圧を印加することにより、マグネシウム合金板と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、マグネシウム合金板の表面に、13.0μmの厚みを有する皮膜を形成し、本実施例の金属材料を作製した。
【0065】
なお、電解電圧を400V、周波数を400Hz、及びデューティー比を0.4に設定してPEO処理を行った。
【0066】
(実施例5)
(電解液の作製)
溶媒である水に、酸化インジウム(キシダ化学(株)製)と、メタケイ酸ナトリウム・9水和物(キシダ化学(株)製)と、リン酸三ナトリウム(キシダ化学(株)製)と、水酸化カリウム(キシダ化学(株)製)とを加え、均一となるように攪拌して、電解液を作製した。
【0067】
なお、電解液中のインジウム原子の濃度が0.07mM、メタケイ酸ナトリウム・9水和物の濃度が82mM、リン酸三ナトリウムの濃度が27mM、及び水酸化カリウムの濃度が18mMとなるように調整した。また、電解液のpHは13であった。
【0068】
(PEO処理)
次に、アルミニウムを3%、亜鉛を1%添加したマグネシウム合金(AZ31)からなり、表面積が130cm
2であるマグネシウム合金板を陽極として使用するとともに、SUS304からなり、表面積が1300cm
2であるステンレス槽を陰極として使用し、マグネシウム合金板を電解液に浸漬させた状態で、10分間、マグネシウム合金板に対して高電圧を印加することにより、マグネシウム合金板と電解液との間にプラズマ放電を発生させて、マグネシウム合金板の表面に、12.4μmの厚みを有する皮膜を形成し、本実施例の金属材料を作製した。
【0069】
なお、電解電圧を350V、周波数を250Hz、及びデューティー比を0.25に設定してPEO処理を行った。
【0070】
(比較例1)
電解液に、酸化インジウムを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして、電解液を作製し、PEO処理を行った。なお、マグネシウム合金板の表面に形成された皮膜の厚みは10.9μmであった。
【0071】
(比較例2)
電解液に、酸化インジウムを加えなかったこと以外は、実施例3と同様にして、電解液を作製し、PEO処理を行った。なお、マグネシウム合金板の表面に形成された皮膜の厚みは11.5μmであった。
【0072】
(比較例3)
電解液に、酸化インジウムを加えなかったこと以外は、実施例5と同様にして、電解液を作製し、PEO処理を行った。なお、マグネシウム合金板の表面に形成された皮膜の厚みは11.4μmであった。
【0073】
(耐食性評価)
次に、実施例1〜実施例5、及び比較例1〜3で作製した各金属材料を0.1Mの塩化ナトリウム水溶液(和光純薬(株)株)に浸漬させた後、金属材料を観察し、錆、及び孔食の発生の有無を観察した。なお、目視により、錆、及び孔食が確認されない場合を耐食性が良好とした。また、実施例1,2,5、及び比較例1,3については、上述の塩化ナトリウム水溶液に100時間浸漬させ、実施例3,4、及び比較例2については、上述の塩化ナトリウム水溶液に24時間浸漬させた。以上の結果を、表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1に示すように、電解液にインジウム化合物が含有された実施例1〜5においては、金属材料に錆、及び孔食が発生しておらず、耐食性が良好であることが確認できた。一例として、
図3に、耐食性試験後の金属材料(実施例5)を示す。
【0076】
一方、電解液にインジウム化合物が含有されていない比較例1〜3においては、金属材料に錆、または孔食が発生しており、耐食性に乏しいことが確認できた。一例として、
図4に、耐食性試験後の金属材料(比較例3)を示す。なお、
図4において、Aの部分が、錆の発生が確認された部分である。
【0077】
以上より、実施例1〜実施例5の方法により、耐食性に優れた金属材料を得ることができることが判った。