(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
LED(Light Emitting Diode)から原稿に読取光を照射し、前記読取光の反射光を受け取るキャリッジを副走査方向に移動させることにより前記原稿の画像をライン状に並ぶ撮像素子によって読み取り、該撮像素子から出力される画像信号の1ライン毎にクランプ回路によってクランプ処理を施し、クランプ処理を施した前記画像信号をA/D変換器によってA/D変換することで画像データを生成する画像読取装置であって、
前記キャリッジが副走査方向の往路を移動して読み取った第1の画像データと、前記キャリッジが副走査方向の復路を移動すると共に前記往路よりも原稿に照射される前記読取光の光量を減少して読み取った第2の画像データとを比較することにより反射光が異常な原稿部分を検出し、前記第2の画像データを少なくとも明るさ調整した第3の画像データで前記異常な原稿部分に対応する第1の画像データを置き換える画像補正手段を備え、
前記画像補正手段は、前記第1の画像データにおける隣接する主走査方向の走査ライン同士の少なくとも明るさのレベル差を示す差分データと、前記第2の画像データにおける前記差分データとを比較することにより反射光が異常な原稿を検出する画像読取装置。
前記画像補正手段は、前記キャリッジにおいて副走査方向にスライド自在に設けられ、半透光性を有し、前記LEDと前記原稿との間に位置することによって前記原稿に照射される前記読取光の光量を減少させる減光材を備え、
前記減光材は、前記キャリッジが副走査方向の往路の先端まで移動した後に、前記LEDと前記原稿との間にスライドし、一方、前記キャリッジが副走査方向の復路の先端まで移動した後に、前記LEDと前記原稿との間から外れた位置にスライドすることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
前記画像補正手段は、前記キャリッジの副走査方向の前記復路において前記往路よりも前記LEDに供給する電力を減らすことで前記原稿に照射される前記読取光の光量を減少させることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係る複合機A(画像形成装置)は、電子写真方式に基づいて記録紙に画像を形成する画像形成装置であり、
図1に示すように、操作表示部1、画像読取部2、画像データ記憶部3、画像形成部4、通信部5及び演算制御部6(画像補正手段)を備える。なお、画像読取部2及び演算制御部6は、本実施形態における画像読取装置を構成するものである。また、
図1における実線矢印は、データの流れを示し、点線矢印は、制御信号や検出信号の流れを示す。
【0016】
操作表示部1は、操作表示制御部11、ハードウェアキーである操作キー12及びソフトウェアキーや各種画像を表示するタッチパネル13を備えており、ユーザーと複合機Aとを関係付けるマンマシンインターフェイスとして機能する。
操作表示制御部11は、演算制御部6による制御の下で、上記操作キー12及びタッチパネル13を制御する制御装置であり、演算処理装置、内部メモリー及び電気的に相互接続された操作キー12及びタッチパネル13と信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されており、内部メモリーに記憶された操作表示制御プログラムに基づいて操作表示部1の全体動作を制御する。
【0017】
例えば、この操作表示制御部11は、タッチパネル13に表示信号を出力することによりタッチパネル13に操作ボタンや各種画像を表示させる。また、操作表示制御部11は、操作キー12またはタッチパネル13から入力される操作信号に基づいていずれの操作キー12またはタッチパネル13に表示される操作ボタンが操作されたか判定し、判定結果に基づいて操作結果信号を演算制御部6に出力する。
【0018】
操作キー12は、ハードウェアキーとして操作表示部1に物理的に備えられたものであり、例えば、電源キー、スタートキー、ストップ/クリアキー及びテンキー(数値入力キー)等がある。操作キー12では、ユーザーによって上述した各キーが押下されると、各キーから操作信号を操作表示制御部11に出力する。
【0019】
タッチパネル13は、周知のように表示パネルの表示面に抵抗膜方式等の透明な面状押圧センサーを設けたものであり、操作表示制御部11から入力される表示信号に基づいて表示パネルに表示した操作ボタンをユーザーの指等によって押圧されると、面状押圧センサーが押圧位置(押圧座標)を示す操作信号を操作表示制御部11に出力するものである。
【0020】
画像読取部2は、
図1及び
図2に示すようにADF(Automatic document feeder:自動原稿送り装置)20及びフラットベット読取部30から構成されており、演算制御部6から入力される制御信号に基づいてADF20により給紙される原稿Pまたはユーザーによりフラットベット読取部30上に載置された原稿Pの表面画像(原稿画像)を読み取って原稿画像データに変換し、この原稿画像データを画像データ記憶部3に出力する。なお、
図2に示す点線矢印は、ADF20により自動給紙された原稿Pに照射される読取光の光路を示している。
【0021】
ADF20は、原稿給紙トレイ22に載置された複数枚の原稿Pを原稿画像の読取位置に1枚ずつ順次自動給紙するものであり、
図2に示すようにプラテンカバー21、原稿給紙トレイ22、ピックアップローラー23、搬送ローラー24、レジストローラー25、原稿検出部26、排紙ローラー27及び原稿排紙トレイ28を備える。
【0022】
プラテンカバー21は、給紙途中で紙詰まりした原稿Pを除去する等のために、ADF20本体に開閉自在に取り付けられた可動カバーである。
図2では、プラテンカバー21の内部が閉じられた状態を示しているが、ユーザーは、プラテンカバー21を開状態とすることによりピックアップローラー23、搬送ローラー24及びレジストローラー25等にアクセス可能である。原稿給紙トレイ22は、読取対象である原稿Pを載置するためのトレイである。
【0023】
ピックアップローラー23は、原稿給紙トレイ22に収容された原稿Pを1枚づつ取り出して搬送ローラー24に送り出す駆動ローラーである。搬送ローラー24は、ピックアップローラー23から供給された原稿Pをレジストローラー25に向けて搬送する駆動ローラーである。レジストローラー25は、搬送ローラー24から供給された原稿Pを所定のタイミングで排紙ローラー27に向けて送り出す駆動ローラーである。
【0024】
このレジストローラー25と排紙ローラー27との間には、図示するように読取用開口部Kが形成されている。この読取用開口部Kは、ADF20の底部、つまりフラットベット読取部30との対向部に副走査方向(原稿搬送方向)に所定幅で設けられた帯状開口であり、ADF20によって自動給紙される原稿Pの表面がフラットベット読取部30に露出する部位である。このような読取用開口部Kとレジストローラー25との間には原稿検出部26が設けられている。
【0025】
この原稿検出部26は、レジストローラー25から送り出された原稿Pの先端位置を検出し、検出信号を演算制御部6に出力する。排紙ローラー27は、ピックアップローラー23から供給された原稿Pを原稿排出トレイ28に向けて搬送する駆動ローラーである。原稿排出トレイ28は、排紙ローラー27から供給された原稿Pを収容する収容部である。
【0026】
フラットベット読取部30は、
図2及び
図3に示すように、第1のプラテンガラス31、第2のプラテンガラス32、白色基準板33、原稿サイズ指示板34、フルレートキャリッジ35、ハーフレートキャリッジ36、集光レンズ37、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサー38、AFE(Analog Front End)39、減光材3A、支持部3B、第1の当接部3C、第2の当接部3D及び読取部筐体3Eを備えている。このようなフラットベット読取部30は、ADF20により自動給紙された原稿P、またはユーザーにより第2のプラテンガラス32上に載置された原稿Pを読み取る。
【0027】
第1のプラテンガラス31は、読取部筐体3Eの上面左側に設けられた帯状開口に嵌め込まれた透明な板ガラスであり、上述したADF20の読取用開口部Kと対向している。ADF20のレジストローラー25から排紙ローラー27に向けて順次搬送される複数枚の原稿Pは、第1のプラテンガラス31上を順次通過する。第2のプラテンガラス32は、第1のプラテンガラス31が嵌め込まれた読取部筐体3Eの上面に設けられた帯状開口の右側に設けられた矩形開口に嵌め込まれた透明な板ガラスであり、ADF20を使用しない画像読取処理を行う際に、ユーザーにより原稿Pが載置される。
【0028】
白色基準板33は、読取部筐体3Eの上面において第1のプラテンガラス31と第2のプラテンガラス32との間に設けられ、周知のシェーディング補正に用いられる基準色を提供する白色板である。原稿サイズ指示板34は、読取部筐体3Eの上面において第2のプラテンガラス32と白色基準板33との間に設けられ、ユーザーが第2のプラテンガラス32上に原稿Pを載置する際に原稿サイズに応じた載置位置を示すマークである。
【0029】
フルレートキャリッジ35は、読取光を斜め上方に向けて(
図2の点線矢印)照射する光源であるLED(Light Emitting Diode)35aと、原稿Pにより反射された読取光をハーフレートキャリッジ36に向けて反射する第1のミラー35bとを備え、副走査方向に延在するレール上に移動可能に設けられている。上記LED35aは、フルレートキャリッジ35の延在方向(主走査方向)に沿って複数並べられている。フルレートキャリッジ35は、ADF20により自動給紙された原稿Pを読み取る際には、
図2に示すように第1のプラテンガラス31の下方に固定され、第1のプラテンガラス31上の読取用開口部Kを通過する原稿Pに向けてLED35aから放射された読取光を照射すると共に、原稿Pの表面で反射して得られる読取光を第1のミラー35bによってハーフレートキャリッジ36に向けて反射する。
【0030】
一方、フルレートキャリッジ35は、第2のプラテンガラス32に載置された原稿Pを読み取る際には、第2のプラテンガラス32の下方において副走査方向の右方向に移動しながら原稿Pに向けて読取光を照射すると共に、原稿Pから順次得られる読取光を第1のミラー35bによってハーフレートキャリッジ36に向けて反射する。そして、フルレートキャリッジ35は、右端まで移動すると左方向に移動して移動開始前の初期位置まで戻る。このようにフルレートキャリッジ35は、第2のプラテンガラス32に載置された原稿Pを読み取る場合、右方向への移動路を往路として、また左方向への移動路を復路として副走査方向に往復移動する。
【0031】
ハーフレートキャリッジ36は、上記第1のミラー35bから入射した読取光を下方に反射する第2のミラー36aと、該第2のミラー36aから入射した読取光を集光レンズ37に向けて反射する第3のミラー36bとを備え、フルレートキャリッジ35と同一のレール上にフルレートキャリッジ35の左側に位置するように設けられている。ハーフレートキャリッジ36は、ADF20によって自動給紙された原稿Pを読み取る場合には、
図2に示すように第1のプラテンガラス31の下方に位置するフルレートキャリッジ35の左側において所定距離離れて固定されている。一方、第2のプラテンガラス32上にセットされた原稿Pの画像を読み取る場合、ハーフレートキャリッジ36は、フルレートキャリッジ35と同じく副走査方向に往復移動する。
【0032】
集光レンズ37は、上記第3のミラー36bから入射する読取光を集光してCCDラインセンサー38の受光面に結像させる。
CCDラインセンサー38は、所定数のCCD受光素子が直線状(ライン状)に並ぶラインセンサーであり、受光面で順次受光した読取光を電気信号である画像信号に光電変換し、該画像信号をAFE39に出力する。
AFE39は、CCDラインセンサー38から入力される画像信号の1ライン毎にクランプ処理を施すクランプ回路39aと、該クランプ回路によってクランプ処理が施された画像信号をA/D変換するA/D変換器39bとを備え、A/D変換器によってデジタル化した画像データ(原稿画像データ)を画像データ記憶部3に出力する。
【0033】
減光材3Aは、半透光性を有する合成樹脂等からなり、フルレートキャリッジ35において副走査方向にスライド自在になるように支持部3Bにより支持されている。このような減光材3Aは、LED35aと第2のプラテンガラス32上に載置された原稿Pとの間に位置することによってLED35aから原稿Pに照射される読取光の光量を減少させるものである。
【0034】
つまり、減光材3Aは、フルレートキャリッジ35が上述した往復移動における往路(右方向への移動路)の先端まで移動した後に、該先端に設けられた第2の当接部3Dに当接されることによりLED35aと原稿Pとの間(LED35aを上方から覆う位置)にスライドしてLED35aから原稿Pに照射される読取光の光量を減少させる。一方、減光材3Aは、フルレートキャリッジ35が復路(左方向への移動路)の先端まで移動した後に、該先端に設けられた第1の当接部3Cに当接されることによりLED35aと原稿Pとの間から外れた位置にスライドする。この結果、LED35aから原稿Pに照射される読取光の光量は元に戻る。なお、減光材3Aが副走査方向にスライドする詳細な仕組みについては後述する。
【0035】
支持部3Bは、フルレートキャリッジ35の主走査方向の各両端に設けられた一対の支持部材であり、各々に減光材3Aを支持すると共に減光材3Aを副走査方向に案内するためのガイドレールb1が水平方向に沿って設けられている。ガイドレールb1は、LED35aと原稿Pとの間(LED35aを上方から覆う位置)と、LED35aと原稿Pとの間から外れた位置とを減光材3Aが移動可能な長さに形成されている。減光材3Aは、このようなガイドレールb1に案内されながら、フルレートキャリッジ35において副走査方向にスライドする。
【0036】
第1の当接部3Cは、読取部筐体3E内において、フルレートキャリッジ35の往復移動範囲の両端の一方(左端)かつフルレートキャリッジ35が移動するレールの外側に設けられ、主走査方向に対向する一対のものであり、各々が当接部材c1、弾性部材c2及び支持部材c3から構成されている。
【0037】
当接部材c1は、円錐状に形成され、減光材3Aと同じ高さ位置となるように弾性部材c2により下面が上方向に付勢されている。弾性部材c2は、例えば円筒形の螺旋状に巻いたバネであり、支持部材c3によって下側から支持され、当接部材c1の下面に上方向への付勢力を付与する。支持部材c3は、読取部筐体3Eの底面の内面に設けられ、弾性部材c2を支持する。
【0038】
第2の当接部3Dは、読取部筐体3E内において、フルレートキャリッジ35の往復移動範囲の両端の他方(右端)かつフルレートキャリッジ35が移動するレールの外側に設けられ、主走査方向に対向する一対のものであり、第1の当接部3Cと同様に、各々が当接部材d1、弾性部材d2及び支持部材d3から構成されている。このように第2の当接部3Dは、第1の当接部3Cと同じ機能構成要素(当接部材、弾性部材及び支持部材)からなるものである。よって、第2の当接部3Dにおける機能構成要素の説明を省略する。
【0039】
読取部筐体3Eは、上述したフルレートキャリッジ35、ハーフレートキャリッジ36、集光レンズ37、CCDラインセンサー38、AFE39、減光材3A、支持部3B、第1の当接部3C及び第2の当接部3Dを収容する箱型筐体である。
【0040】
画像データ記憶部3は、半導体メモリーまたはハードディスク装置等であり、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて画像読取部2によって生成される原稿画像データ、通信部5が外部のクライアントコンピューターから受信するプリント画像データあるいは通信部5が外部のファクシミリ装置から受信するファクシミリ画像データを記憶すると共に、これら画像データを演算制御部6から入力される制御信号に基づいて読み出して画像形成部4に出力する。
【0041】
画像形成部4は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて、給紙カセット45(
図4参照)から取り出した記録紙Rに画像データ記憶部3から読み出した画像データに基づくトナー画像を画像形成するものである。この画像形成部4は、
図4に示すように、ベルトローラー41、中間転写ベルト42、トナーの各色(Y,M,C,K)に対応する4つの画像形成ユニット43Y,43C,43M,43K、1次転写ローラー44Y,44C,44M,44K、給紙カセット45、ピックアップローラー46、搬送ローラー47、レジストローラー48、2次転写ローラー49、分離除電部50、定着ローラー51、排紙ローラー52、排紙トレイ53、反転ローラー54、分岐ガイド55、3対の反転紙搬送ローラー56及び記録紙センサー57を備えている。
【0042】
ベルトローラー41は、図示するように、離間して配設された3つのローラー、つまり駆動ローラー41a、従動ローラー41b及びテンションローラー41cからなる。すなわち、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとは水平方向に一定距離を空けて配置され、テンションローラー41cは、このような駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間かつ若干上方に変位した位置に配置されている。中間転写ベルト42は、このようなベルトローラー41(駆動ローラー41a、従動ローラー41b、テンションローラー41c)に架け渡された無端ベルトであり、駆動ローラー41aによって矢印で示す方向に走行する。
【0043】
すなわち、中間転写ベルト42は、駆動ローラー41aと従動ローラー41bとの間においては水平方向に走行する。また、上述した駆動ローラー41aは、駆動力を発生するモーターが軸結合されたローラーであり、モーターの動力によって中間転写ベルト42を矢印方向に走行させる。上記従動ローラー41bは、自由回転するように設けられたフリーローラーであり、中間転写ベルト42を駆動ローラー41aの動力に従って案内する。また、上記テンションローラー41cは、回転軸が可動可能に設けられ、所定の付整力で中間転写ベルト42を押圧することにより一定のテンション(張力)を中間転写ベルト42に付与するローラーである。
【0044】
画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kは、図示するように、上述した中間転写ベルト42の水平走行部位に所定間隔を空けて設けられている。これら画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kのうち、画像形成ユニット43Yは、イエロー(Y)のトナー画像を形成するユニットであり、従動ローラー41bに最も近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Cは、シアン(C)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Yの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Mは、マゼンダ(M)のトナー画像を形成するユニットであり、上記画像形成ユニット43Cの次に従動ローラー41bに近い位置に設けられている。画像形成ユニット43Kは、ブラック(K)のトナー画像を形成するユニットであり、駆動ローラー41aに最も近い位置に設けられている。
【0045】
このような画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kは、各々に感光体ドラムay,ac,am,ak、帯電部by,bc,bm,bk、レーザースキャニングユニットcy,cc,cm,ck、現像ユニットdy,dc,dm,dk及びクリーナーey,ec,em,ekを構成要素としている。
【0046】
すなわち、画像形成ユニット43Yは、感光体ドラムay、帯電部by、レーザースキャニングユニットcy、現像ユニットdy及びクリーナーeyから構成され、画像形成ユニット43Cは、感光体ドラムac、帯電部bc、レーザースキャニングユニットcc、現像ユニットdc及びクリーナーecから構成され、画像形成ユニット43Mは、感光体ドラムam、帯電部bm、レーザースキャニングユニットcm、現像ユニットdm及びクリーナーemから構成され、画像形成ユニット43Kは、感光体ドラムak、帯電部bk、レーザースキャニングユニットck、現像ユニットdk及びクリーナーekから構成されている。
【0047】
各感光体ドラムay,ac,am,akは、周面が所定の感光体材料(例えばアモルファスシリコン)で形成された円筒部材である。各帯電部by,bc,bm,bkは、各感光体ドラムay,ac,am,akの周面(感光面)を均一に帯電させるものである。各レーザースキャニングユニットcy,cc,cm,ckは、帯電状態の上記感光面にレーザー光を照射することにより、感光面に静電潜像を形成するものである。
【0048】
各現像ユニットdy,dc,dm,dkは、内部に所定の量のトナー(正極性トナー)を収容すると共に当該トナーを感光面に供給することにより当該感光面に形成された静電潜像をトナー画像として現像する。各クリーナーey,ec,em,ekは、トナー画像の転写後の感光面に残留するトナー(残留トナー)を掻き落として除去するものである。
【0049】
1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kは、図示するように画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kに対応して4つ設けられており、各々に中間転写ベルト42を挟んだ状態で各画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kの感光体ドラムay,ac,am,akに対向配置されている。また、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kには負極性の1次転写バイアス(高電圧)が印加されており、各1次転写ローラー44Y,44C,44M,44Kは、この1次転写バイアスの作用によって各画像形成ユニット43Y,43C,43M,43Kの感光体ドラムay,ac,am,akにそれぞれ形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト42に転写(1次転写)させる。
【0050】
給紙カセット45は、A4サイズやB5サイズ等、所定形状の記録紙Rを複数枚重ねた状態で収容する容器である。ピックアップローラー46は、給紙カセット45の上部において記録紙Rに圧接するように設けられ、給紙カセット45内の記録紙Rを1枚づつ取り出して搬送ローラー47に送り出すローラーである。搬送ローラー47は、ピックアップローラー46から給紙された記録紙Rをレジストローラー48に向けて搬送するローラーである。レジストローラー48は、搬送ローラー47から供給された記録紙Rを所定のタイミングで2次転写ローラー49に供給するローラーである。
【0051】
2次転写ローラー49は、中間転写ベルト42を挟んで駆動ローラー41aに対向配置されたローラーであり、中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Rに転写(2次転写)させるものである。この2次転写ローラー49には、負極性の2次転写バイアス(高電圧)が印加されており、2次転写ローラー49は、この2次転写バイアスの作用によって中間転写ベルト42上のトナー画像を記録紙Rに転写(2次転写)させる。
【0052】
分離除電部50は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて記録紙Rに向けて正極性の除電バイアスを供給する。この除電バイアスは、記録紙Rの帯電を中和して無帯電状態にするためのものであり、記録紙Rの2次転写ローラー49からの分離を良好にするものである。分離除電部50は、ステンレスからなる鋸歯状電極を有し、この鋸歯状電極の先端から電界が形成され記録紙Rが除電される。
【0053】
定着ローラー51は、内部にヒータを備えた加熱ローラー51aと、当該加熱ローラー51aに圧接する加圧ローラー51bとから構成されている。この定着ローラー51は、加熱ローラー51aと加圧ローラー51bとで各色のトナー画像が転写された記録紙Rを挟み込むことにより記録紙Rを加熱及び加圧して、各色のトナー画像を記録紙R上に定着させる。加熱ローラー51a及び加圧ローラー51bは、記録紙Rと接触する接触面(表面)が摩擦により負極性に帯電するフッ素系材料によって形成されている。すなわち、加熱ローラー51a及び加圧ローラー51bは、その表面が記録紙Rとの摩擦により負極性に帯電する。
【0054】
排紙ローラー52は、定着ローラー51から搬送されると共に分岐ガイド55により案内された記録紙Rを排紙トレイ53に向けて搬送するローラーである。排紙トレイ53は、排紙ローラー52から供給された記録紙Rを収容・保持する収容部である。反転ローラー54は、定着ローラー51から搬送されると共に分岐ガイド55により案内された記録紙Rをスイッチバック搬送するためのローラーである。つまり、反転ローラー54は、正転することにより定着ローラー51から供給された記録紙Rを挟み込み、当該挟みこんだ状態で逆転することにより記録紙Rを反転紙搬送ローラー56に向けて搬送する。
【0055】
分岐ガイド55は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて定着ローラー51から排出された記録紙Rの搬送先を排紙ローラー52または反転ローラー54に択一的に切り替える。つまり、分岐ガイド55は、記録紙Rを排紙トレイ53に排紙する場合には、第1の姿勢(図示する点線の姿勢)とすることにより記録紙Rの搬送先を排紙ローラー52とし、一方、第2の姿勢(図示する実線の姿勢)とすることにより記録紙Rの搬送先を反転ローラー54に切り替える。
【0056】
反転紙搬送ローラー56は、反転ローラー54から供給された記録紙Rをレジストローラー48に向けて搬送するための搬送経路(反転経路)に設けられたローラーである。この反転紙搬送ローラー56は、図示するように、反転経路において離間した3箇所に設けられている。記録紙センサー57は、定着ローラー51と分岐ガイド55との間に配置され、定着ローラー51を通過した記録紙Rの枚数を検出し、当該枚数を示す検出信号を演算制御部6に出力する。
【0057】
ここで、記録紙Rの表面と裏面とにトナー画像を形成する両面画像形成においては、上記反転ローラー54、分岐ガイド55及び反転紙搬送ローラー56が機能することにより、表面の画像形成において定着ローラー51を通過した記録紙Rが表面と裏面とが反転した状態でレジストローラー48に再度供給され、記録紙Rの裏面の画像形成が行われる。
【0058】
通信部5は、演算制御部6から入力される制御信号に基づいて電話回線を介して外部の複合機Aあるいはファクシミリ装置、またLAN(Local Area Network)を介してクライアントコンピューター等と通信を行うものである。すなわち、この通信部5は、イーサネット(登録商標)等のLAN規格に準拠した通信機能と、G3等のファクシミリ規格に準拠した通信機能とを兼ね備えたものである。
【0059】
演算制御部6は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び電気的に相互接続された各部と各種信号の送受信を行うインターフェイス回路等から構成されている。この演算制御部6は、上記ROMに記憶された各種演算制御プログラムに基づいて各種の演算処理を行うと共に各部と通信を行うことにより複合機Aの全体動作を制御する。詳細については後述するが、演算制御部6は、各種の制御処理の一環として、フラットベット読取部30に載置された原稿Pの読み取り時に、画像データにおいて反射光が異常な原稿部分を検出すると、当該異常な原稿部分の補正処理を行う。
【0060】
次に、このように構成された複合機Aの動作について説明する。
最初に本複合機Aの全体動作を説明する。例えば、ユーザーが、フラットベット読取部30の第2のプラテンガラス32上にクレジットカード等の凹凸を持ちかつ光沢のある原稿Pを載置し、操作表示部1を操作することにより原稿Pの複写(コピー)を指示すると、当該指示に関する操作信号は操作表示部1から演算制御部6に入力される。この結果、演算制御部6は、原稿Pを読み取らせる画像読取処理を画像読取部2に実行させる。
【0061】
すなわち、演算制御部6は、フルレートキャリッジ35及びハーフレートキャリッジ36を副走査方向に移動させると共にLED35aを駆動して原稿Pに向けて読取光を照射させる。この結果、読取光は、原稿Pに反射され、その後第1のミラー35b、第2のミラー36a及び第3のミラー36bにより順次反射されることで集光レンズ37に導入され、該集光レンズ37によってCCDラインセンサー38の受光面に集光される。
【0062】
そして、演算制御部6は、CCDラインセンサー38を駆動して読取光を受光させ、CCDラインセンサー38から出力される画像信号をAFE39にデジタル化された原稿画像データへ変換させて画像データ記憶部3に記憶させる。その後、演算制御部6は、画像データ記憶部3に記憶された原稿画像データに基づいて原稿画像の画像形成処理を画像形成部5に実行させる。
【0063】
ここで、演算制御部6は、上述した画像読取処理を行わせるに際して、以下の特徴的な処理を行う。すなわち、演算制御部6は、
図5及び
図6のフローチャートに示すように、原稿画像データの補正処理を行う。具体的には、まず、演算制御部6は、第2のプラテンガラス32上に載置された原稿Pの画像を読み取るために、キャリッジ駆動用モータ(図示略)を順方向に回転駆動して、レール左端の所定の初期位置に停止しているフルレートキャリッジ35及びハーフレートキャリッジ36の右方向への移動を開始する(ステップS1)。
【0064】
例えば、上記初期位置は、
図2及び
図3に示すように、フルレートキャリッジ35に設けられた減光材3Aの両端が第1の当接部3Cの当接部材c1の右側に位置するようなフルレートキャリッジ35の位置である。この際、支持部3Bにおけるガイドレールb1の左端、つまりLED35aと原稿Pとの間から外れた位置(LED35aの上方から外れた位置)にある。なお、このように減光材3Aを、LED35aと原稿Pとの間から外れた位置に設定する仕組みについては後述する。
【0065】
続いて、演算制御部6は、減光材3AがLED35aと原稿Pとの間から外れた位置にある状態で、フルレートキャリッジ35及びハーフレートキャリッジ36を右方向に移動させつつLED35a及びCCDラインセンサー38を駆動して、主走査方向の走査ラインの1ライン目、2ライン目、3ライン目と順番に最後のnライン目までCCDラインセンサー38に原稿画像を読み取らせ、読み取りの結果得られる第1の画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0066】
具体的には、まず、演算制御部6は、原稿Pに反射された読取光がCCDラインセンサー38によって受光されて1ライン目の画像信号が出力されると、AFE39に該画像信号をデジタル化された画像データに変換させ、この1ライン目の画像データを画像データ記憶部3に記憶させる(ステップS2)。このように、演算制御部6は、上記ステップS2の処理において、主走査方向の走査ラインの画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0067】
続いて、演算制御部6は、現在実行している原稿Pの読み取りが1ライン目の読み取りであるか否か判定する(ステップS3)。ここで、演算制御部6は、1ライン目の読み取りであると判定(YESと判定)すると、1ライン目の画像信号を出力したCCDラインセンサー38に初期化を実行させる(ステップS4)。なお、上記ステップS3の判定処理においてNOと判定した場合に実行されるステップS6の処理については、後述する2ライン目以降の読み取り処理の中で説明する。
【0068】
続いて、演算制御部6は、最後のnライン目まで読み取ったか否か判定する(ステップS5)。演算制御部6は、最後のnライン目まで読み取っていないと判定(NOの場合と判定)して、上記ステップS2の処理に戻り、次のライン、つまり2ライン目の読み取りを実行する。演算制御部6は、ステップS2の処理において、CCDラインセンサー38によって2ライン目の画像信号が出力されると、AFE39に該画像信号をA/D変換させ、デジタル化された2ライン目の画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0069】
そして、演算制御部6は、上述したステップS3の判定処理において、1ライン目の読み取りでないと判定(NOの場合と判定)して、画像データ記憶部3に記憶される1ライン目と2ライン目の画像データ同士のレベル差を示す差分データを生成し、該差分データを画像データ記憶部3に記憶させる(ステップS6)。なお、上記差分データは、明るさ、コントラスト及びガンマの内少なくとも明るさのレベル差を示すものである。
このように、演算制御部6は、上記ステップS6の処理において、隣接する主走査方向の走査ライン同士のレベル差を示す差分データを生成し、該差分データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0070】
例えば、演算制御部6は、3ライン目の読み取りを実行した場合、上記ステップS6の処理において、2ライン目と3ライン目の画像データ同士のレベル差を示す差分データを生成する。つまり、演算制御部6は、ステップS6の処理において、1つ前に読み取った走査ラインと現在読み取った走査ラインとのレベル差を示す差分データを作成する。
【0071】
そして、演算制御部6は、上記ステップS6の処理の後、ステップS4の処理において、2ライン目の画像信号を出力したCCDラインセンサー38に初期化を実行させる。続いて、演算制御部6は、ステップS5の判定処理において、最後のnライン目まで読み取っていないと判定(NOと判定)して、ステップS2の処理に戻り、次のライン、つまり3ライン目の読み取りを実行する。
【0072】
以降、演算制御部6は、3ライン目〜最後のnライン目を読み取るために、上記ステップS2〜6の処理を繰り返し実行する。この結果、第1の画像データにおける1ライン目からnライン目までのn個の画像データと、第1の画像データにおけるn−1個の差分データとが画像データ記憶部3に記憶される。
【0073】
そして、演算制御部6は、最後のnライン目の画像データの読み取りを実行すると、上記ステップS5の判定処理において、最後のnライン目まで読み取っていると判定(YESと判定)して、ステップS7の処理に移行する。つまり、演算制御部6は、最後のnライン目までの読み取りが完了すると、キャリッジ駆動用モータ(図示略)を逆方向に回転駆動することによってフルレートキャリッジ35及びハーフレートキャリッジ36をレール左端にある所定の初期位置に向けて左方向への移動を開始させる(ステップS7)。
【0074】
減光材3Aは、上記ステップS7の処理によって、支持部3Bにおけるガイドレールb1の右端、つまりLED35aと原稿Pとの間(LED35aを上方から覆う位置)にスライドする。ここで、LED35aと原稿Pとの間から外れた位置にあった減光材3Aが、LED35aと原稿Pとの間にスライドする仕組みについて説明する。減光材3Aは、
図7(a)に示すように、フルレートキャリッジ35による折り返し前、すなわち、フルレートキャリッジ35が右方向に移動している最中に、第2の当接部3Dの当接部材d1によって右側から当接されて押圧される。しかしながら、減光材3Aは、支持部3Bにおけるガイドレールb1の左端に位置しているので、スライドしない。
【0075】
そして、減光材3Aは、フルレートキャリッジ35がさらに右方向に移動すると、弾性部材d2によって下方から支持される当接部材d1を押し下げるようにして当接部材d1の上を通過し、
図7(b)に示すように、第2の当接部3Dの当接部材d1の右側に移動する。
【0076】
その後、フルレートキャリッジ35は、上記ステップS7の処理において、左方向への移動を開始する。減光材3Aは、フルレートキャリッジ35が左方向に移動を開始すると、第2の当接部3Dの当接部材d1によって左側から当接される。この結果、減光材3Aは、支持部3Bにおけるガイドレールb1の左端から右端、つまり、LED35aと原稿Pとの間(LED35aを上方から覆う位置)にスライドする。そして、減光材3Aは、フルレートキャリッジ35がさらに左方向に移動すると、当接部材d1を押し下げるようにして当接部材d1の上を通過し、
図7(c)に示すように、第2の当接部3Dの当接部材d1の左側に移動する。
【0077】
続いて、演算制御部6は、減光材3AがLED35aと原稿Pとの間に位置している状態で、つまり、往路よりも原稿Pに照射される読取光の光量が減少した状態で、フルレートキャリッジ35及びハーフレートキャリッジ36を左方向に移動させつつLED35a及びCCDラインセンサー38を駆動して、原稿Pの画像を主走査方向の走査ラインのnライン目、n−1ライン目、n−2ライン目と順番に最後の1ライン目までCCDラインセンサー38に読み取らせ、読み取りの結果得られる第2の画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0078】
具体的には、まず、演算制御部6は、原稿Pに反射された読取光がCCDラインセンサー38によって受光されてnライン目の画像信号が出力されると、AFE39に該画像信号をデジタル化された画像データに変換させ、このnライン目の画像データを画像データ記憶部3に記憶させる(ステップS8)。このように、演算制御部6は、上記ステップS8の処理において、主走査方向の走査ラインの画像データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0079】
続いて、演算制御部6は、現在実行している原稿Pの読み取りがnライン目の読み取りであるか否か判定する(ステップS9)。ここで、演算制御部6は、nライン目の読み取りであると判定(YESと判定)すると、nライン目の画像信号を出力したCCDラインセンサー38に初期化を実行させる(ステップS10)。なお、上記ステップS9の判定処理においてNOと判定された場合に実行されるステップS12の処理については、後述するn−1ライン目以降の読み取り処理の中で説明する。
【0080】
続いて、演算制御部6は、最後の1ライン目まで読み取ったか否か判定する(ステップS11)。演算制御部6は、最後の1ライン目まで読み取っていないと判定(NOの場合と判定)して、上記ステップS8の処理に戻り、次のライン、つまりn−1ライン目の読み取りを実行する。演算制御部6は、ステップS8の処理において、CCDラインセンサー38によってn−1ライン目の画像信号が出力されると、AFE39に該画像信号をA/D変換させ、デジタル化されたn−1ライン目の画像データを画像データ記憶部3に記憶させる
【0081】
そして、演算制御部6は、上述したステップS9の判定処理において、nライン目の読み取りでないと判定(NOの場合と判定)して、画像データ記憶部3に記憶されるn−1ライン目とnライン目との画像データ同士のレベル差(明度レベル差)を示す差分データを生成し、該差分データを画像データ記憶部3に記憶させる(ステップS12)。このように、演算制御部6は、上記ステップS12の処理において、隣接する主走査方向の走査ライン同士のレベル差を示す差分データを生成し、該差分データを画像データ記憶部3に記憶させる。
【0082】
例えば、演算制御部6は、n−2ライン目の読み取りを実行した場合、上記ステップS12の処理において、n−2ライン目とn−1ライン目の画像データ同士のレベル差を示す差分データを生成する。つまり、演算制御部6は、ステップS12の処理において、現在読み取った走査ラインと1つ前に読み取った走査ラインとのレベル差を示す差分データを作成する。
【0083】
そして、演算制御部6は、上記ステップS12の処理の後、ステップS10の処理において、n−1ライン目の画像信号を出力したCCDラインセンサー38に初期化を実行させる。続いて、演算制御部6は、ステップS11の判定処理において、最後の1ライン目まで読み取っていないと判定(NOと判定)して、ステップS8の処理に戻り、次のライン、つまりn−2ライン目の読み取りを実行する。
【0084】
以降、演算制御部6は、n−2ライン目〜最後の1ライン目を読み取るために、上記ステップS8〜12の処理を繰り返し実行する。この結果、第2の画像データにおけるnライン目から1ライン目までのn個の画像データと、第2の画像データにおけるn−1個の差分データとが、画像データ記憶部3に記憶される。
【0085】
そして、演算制御部6は、最後の1ライン目の画像データの読み取りを実行すると、上記ステップS11の判定処理において、最後の1ライン目まで読み取ったと判定(YESと判定)して、ステップS13の処理に移行する。つまり、演算制御部6は、最後の1ライン目までの読み取りが完了すると、レール左端の初期位置近傍まで移動したフルレートキャリッジ35を減光材3AがLED35aと原稿Pとの間から外れた位置にスライドするように制御する(ステップS13)
【0086】
上記ステップS13の処理を実行した結果、減光材3Aは、支持部3Bにおけるガイドレールb1の左端、つまりLED35aと原稿Pとの間から外れた位置にスライドする。ここで、LED35aと原稿Pとの間に位置する減光材3Aが、LED35aと原稿Pとの間から外れた位置にスライドする仕組みについて説明する。減光材3Aは、
図8(a)に示すように、フルレートキャリッジ35が左方向に移動している際に、第1の当接部3Cの当接部材c1によって左側から当接されて押圧される。しかしながら、減光材3Aは、支持部3Bにおけるガイドレールb1の右端に位置しているので、スライドしない。
【0087】
そして、減光材3Aは、第1の当接部3Cの当接部材c1に当接後、フルレートキャリッジ35がさらに左方向に移動すると、弾性部材c2によって下方から支持される当接部材c1を押し下げるようにして当接部材c1の上を通過し、
図8(b)に示すように、第1の当接部3Cの左側に移動する。
【0088】
その後、フルレートキャリッジ35は、初期位置に向けて右方向への移動を開始する。減光材3Aは、フルレートキャリッジ35が右方向に移動を開始すると、第1の当接部3Cの当接部材c1によって右側から当接される。この結果、減光材3Aは、支持部3Bにおけるガイドレールb1の右端から左端、つまり、LED35aと原稿Pとの間から外れた位置にスライドする。そして、減光材3Aは、フルレートキャリッジ35がさらに右方向に移動すると、当接部材c1を押し下げるようにして当接部材c1の上を通過し、
図8(c)に示すように、第1の当接部3Cの当接部材c1の右側に移動する。フルレートキャリッジ35は、
図8(c)に示す初期位置で停止する。
【0089】
続いて、演算制御部6は、フルレートキャリッジ35を右方向に移動(副走査方向の往路を移動)させて読み取った第1の画像データと、フルレートキャリッジ35を左方向に移動(副走査方向の往路を移動)させると共に往路よりも原稿Pに照射される読取光の光量を減少させて読み取った第2の画像データとを比較することにより反射光が異常な原稿部分を検出する(ステップS14)。
【0090】
具体的には、演算制御部6は、第1の画像データにおける差分データ(ステップS6の処理において生成された差分データ)と、第2の画像データにおける差分データ(ステップS12の処理において生成された差分データ)とを1つ1つ比較することによって反射光が異常な第1の画像データの走査ライン(所定のしきい値を超えて第2の画像データと異なる第1の画像データの走査ライン)を検出する。なお、この際、演算制御部6は、第2の画像データにおける差分データをレベル調整(例えば明るく)した画像データ(第4の画像データ)と、第1の画像データの差分データとを比較してもよい。また、演算制御部6は、レベル調整を行う場合、明るさ調整、コントラスト調整及びガンマ調整の内少なくとも明るさ調整を行えばよい。
【0091】
続いて、演算制御部6は、異常を検出した原稿部分に対応する第1の画像データを第2の画像データをレベル調整した画像データ(第3の画像データ)で置き換える(ステップS15)。つまり、演算制御部6は、レベル差が所定のしきい値を超えて異なる走査ラインに対応する第1の画像データを第2の画像データをレベル調整した画像データで置き換える。なお、このレベル調整も、明るさ調整、コントラスト調整及びガンマ調整の内少なくとも明るさ調整を含むものである。
【0092】
例えば、凹凸を持ちかつ光沢のあるクレジットカード等のプラスティック製の原稿Pを読み取る場合、光沢のある凹凸面によって高い指向性を持つ反射光がCCDラインセンサー38の特定点で集光されることで、
図9(a)に示すように、第1の画像データに、反射光が異常な原稿部分として主走査方向に沿った筋が発生する。
【0093】
演算制御部6は、第1の画像データに発生した筋を補正するために、
図9(b)に示すように、復路において往路よりも読取光の光量を減少した状態で第2の画像データを取得する。そして、演算制御部6は、
図9(c)に示すように、上記ステップS14の処理において検出した反射光が異常な原稿部分(走査ライン)と同一位置の部分を第2の画像データから切り取り、切り取った画像データのレベルを調整し、
図9(d)に示すように第1の画像に合成する。この結果、第1の画像は、
図9(d)に示すように、補正される。そして、演算制御部6は、このように補正した第1の画像データに基づいて画像形成部5に画像形成処理を実行させる。
【0094】
このような本実施形態によれば、フルレートキャリッジ35が副走査方向の往路を移動して読み取った第1の画像データと、フルレートキャリッジ35が副走査方向の復路を移動すると共に往路よりも原稿に照射される読取光の光量を減少して読み取った第2の画像データ(あるいは第4の画像データ)とを比較することにより反射光が異常な原稿部分を検出し、当該異常な原稿部分に対応する第1の画像データを第2の画像データをレベル調整した画像データ(第3の画像データ)で置き換えることによって、凹凸を持ちかつ光沢のある原稿を読み取った場合でも正常な画像データを得ることができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、LED35aと原稿Pとの間に減光材3Aを配置することによってLED35aから原稿Pに照射される読取光の光量を減少させたが、本発明はこれに限定されない。例えば、演算制御部6は、フルレートキャリッジ35の副走査方向の復路において往路よりもLED35aに供給する電力を減らしてLED35aの発光量を減少させることで原稿Pに照射される読取光の光量を減少させるようにしてもよい。
【0096】
(2)上記実施形態において、演算制御部6は、第1の画像データにおける差分データと、第2の画像データにおける差分データとを比較することにより反射光が異常な第1の画像データの走査ライン(原稿部分)を検出したが、本発明はこれに限定されない。例えば、演算制御部6は、第1の画像データと、第2の画像データ(あるいは第2の画像データをレベル調整した画像データ)とを走査ライン毎に比較することにより反射光が異常な第1の画像データの走査ライン(原稿部分)を検出するようにしてもよい。
【0097】
(3)上記実施形態は、フルレートキャリッジ35にLED35aが搭載されたものに本発明を適用したものであるが、本発明はこれに限定されない。例えば、LED35aがキャリッジではなく、読取部筐体3E内に固定され、LED35aが発した光をキャリッジに設けられたミラーによって反射して原稿Pに読取光を照射する構成となっている画像読取部2に本発明を適用するようにしてもよい。
【0098】
(4)上記実施形態において、第1の当接部3Cの当接部材c1及び第2の当接部3Dの当接部材d1が円錐状に形成されているが、円錐状に代わって半球状であってもよい。また、弾性部材d2は、バネ以外にゴム等であってもよい。さらに、第1の当接部3Cや第2の当接部3Dとして、減光材3Aと同じ高さの棒状のゴム等を設置するようにしてもよい。