(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記筐体には、前記ポンプ部内に供給された潤滑剤を該ポンプ部から前記駆動側クラッチ板と前記従動側クラッチ板の接触面に導く流路が形成されている、請求項1又は請求項2に記載の負圧ポンプ。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記負圧ポンプを備え、前記筐体の一部を形成すると共に動力源としてのエンジンのシリンダヘッドをカバーするシリンダヘッドカバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のバキュームポンプでは、ポンプ部側のクラッチ板がシャフト側のクラッチ板に押し付けられるため、シャフトにスラスト力(シャフト軸方向の力)が作用する。シャフトにスラスト力が作用するのを抑えるためにブッシュなどを配設する方法もあるが、コストが増加するといった問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、動力源によって回転駆動される駆動軸にスラスト力が作用するのを抑制すると共に駆動軸からの回転の伝達を断続することで動力源のエネルギーロスを低減する負圧ポンプ及びシリンダヘッドカバーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る負圧ポンプは、動力源によって回転駆動される駆動軸が内部に挿入配置された筐体と、前記筐体内に形成されると共に従動軸を備え、該従動軸に前記駆動軸の回転が伝達されることで負圧を生成するポンプ部と、前記駆動軸に取り付けられ、前記駆動軸の軸方向に移動可能でかつ前記駆動軸と一体回転し、磁性を有する駆動側クラッチ板と、前記従動軸に取り付けられ、前記従動軸と一体回転し、前記駆動側クラッチ板が係合されることによって前記駆動軸からの回転を前記従動軸へ伝達する従動側クラッチ板と、弾性力により前記駆動側クラッチ板を前記従動側クラッチ板に押し付けて係合させる弾性体と、前記筐体に固定され、前記弾性体の押付力に抗する磁力を発生させて前記駆動側クラッチ板を前記従動側クラッチ板から引き離し係合状態を解除させる電磁石と、前記筐体の前記ポンプ部側に設けられ、
前記駆動側クラッチ板から前記従動側クラッチ板に伝わる前記弾性体の押付
力を前記従動軸を回転自在に支持する第1ベアリングを介して受ける第1壁部と、前記筐体の前記ポンプ部側と反対側に設けられ、前記弾性体の前記反対側の端部を
前記駆動軸を回転自在に支持する第2ベアリングを介して支持する第2壁部と、を有している。
【0007】
請求項1に係る負圧ポンプでは、弾性体の押付力(弾性力)によって駆動側クラッチ板が従動側クラッチ板に押し付けられて係合することで、駆動軸の回転が従動軸に伝達されてポンプ部が負圧を生成する。
一方、電磁石で弾性体の押付力に抗する磁力を発生させた場合には、電磁石が磁性を有する駆動側クラッチ板を引き付けるため、従動側クラッチ板から駆動側クラッチ板が引き離されて駆動側クラッチ板と従動側クラッチ板の係合状態が解除される。これにより、ポンプ部が負圧の生成を停止する。
このように、上記負圧ポンプでは、ポンプ部に対する駆動軸からの回転の伝達を断続できるため、動力源のエネルギーロスを低減することができる。
【0008】
また、上記負圧ポンプでは、筐体のポンプ部側に設けられた第1壁部によって弾性体の押付力が作用する従動側クラッチ板が受け止められる。一方、筐体のポンプ部側と反対側に設けられた第2壁部によって弾性体のポンプ
部側と反対側の端部が支持される。そして、弾性体から押付力を受けると共に電磁石から磁力を受ける駆動側クラッチ板が駆動軸の軸方向に移動可能とされていることから、駆動軸に弾性体の押付力及び電磁石の磁力に起因するスラスト力が作用するのが抑制される。
【0009】
本発明の請求項2に係る負圧ポンプは、請求項1に記載の負圧ポンプにおいて、前記筐体の全部もしくは一部は、非磁性体である。
【0010】
請求項2に係る負圧ポンプでは、筐体を非磁性体としていることから、筐体に電磁石から生じる磁力が伝わらない(言い換えると、磁力が分散しない)ため、電力消費を抑えつつ、駆動側クラッチ板を従動側クラッチ板から引き離すことができる。
【0011】
本発明の請求項3に係る負圧ポンプは、請求項1又は請求項2に記載の負圧ポンプにおいて、前記筐体には、前記ポンプ部内に供給された潤滑剤を該ポンプ部から前記駆動側クラッチ板と前記従動側クラッチ板の接触面に導く流路が形成されている。
【0012】
請求項3に係る負圧ポンプでは、流路を通ってポンプ部から駆動側クラッチ板と従動側クラッチ板の接触面に潤滑剤が導かれるため、駆動側クラッチ板と従動側クラッチ板の接触面の摩耗を抑えられる。また、駆動側クラッチ板と従動側クラッチ板の摩擦による発熱も抑えられる。
【0013】
本発明の請求項4に係る負圧ポンプは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の負圧ポンプにおいて、前記駆動側クラッチ板と前記従動側クラッチ板の接触面間の距離に応じて前記電磁石への印加電流を可変する。
【0014】
請求項4に係る負圧ポンプでは、駆動側クラッチ板と従動側クラッチ板の接触面間の距離(以下、適宜「クラッチ隙間」と記載する。)に応じて電磁石の磁力による引き付け力(引力)の強さが変化する。ここで、クラッチ隙間に応じて電磁石への印加電流を可変することで駆動側クラッチ板に作用する引力を一定値(従動側クラッチ板から駆動側クラッチ板を引き離すに足る引力)に維持することができるため、電力消費を改善できる。
【0015】
本発明の請求項5に係るシリンダヘッドカバーは、請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記負圧ポンプを備え、前記筐体の一部を形成すると共に動力源としてのエンジンのシリンダヘッドをカバーする。
【0016】
請求項5に係るシリンダヘッドカバーでは、請求項1〜5のいずれか1項に記載の負圧ポンプを備えることから、動力源としてのエンジンによって回転駆動される駆動軸にスラスト力が作用するのを抑制すると共に駆動軸からの回転の伝達を断続することでエンジンのエネルギーロスを低減することができる。これにより、エンジン(車両)の燃費を改善することができる。
また、シリンダヘッドカバーが筐体の一部を形成することから、例えば、シリンダヘッドカバーと負圧ポンプが別体とされたものと比べて、製造コストを減らすことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の負圧ポンプ及びシリンダヘッドカバーによれば、動力源によって回転駆動される駆動軸にスラスト力が作用するのを抑制すると共に駆動軸からの回転の伝達を断続することで動力源のエネルギーロスを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の負圧ポンプについて
図1〜
図3に従って説明する。
【0020】
本実施形態の負圧ポンプ10は、動力源としてのエンジン(図示省略)のクランク軸に同期して回転駆動される駆動軸100の回転により負圧を発生させる装置であり、車両の負圧式ブレーキ倍力装置110に用いられる。
なお、本発明は上記構成に限定されず、負圧ポンプの動力源として、モータ等を用いてもよい。
【0021】
図1に示すように、負圧ポンプ10は、筐体20と、筐体20内に形成されるポンプ部30と、筐体20内に収容されるクラッチ44及びクラッチ断続機構50と、を有している。
【0022】
筐体20は、駆動軸100、クラッチ44及びクラッチ断続機構50が内部に配置される第1筐体22と、ポンプ部30を構成する第2筐体32とで構成されている。
【0023】
第1筐体22は、軸方向の一端部22A(
図1では右側の端部)を含む円筒部24と、その他の部分を形成すると共に軸方向の他端部22Bを含み、円筒部24よりも大径とされた円筒部26とで構成された略円筒状とされている。この円筒部26の内部には、円筒部24を通して駆動軸100が挿入配置されている。
【0024】
円筒部24の内周面24Aには、該内周面24Aに沿って駆動軸100を回転自在に支持する円環状のベアリング12が取り付けられている。また、円筒部24の一端部22Aには、径方向内側に張り出す張出壁部28が設けられている。この張出壁部28は、ベアリング12の軸方向の一方側(
図1では右側)の側面12Aに接している。この張出壁部28により、ベアリング12の軸方向一方側への移動が制限されている。なお、張出壁部28は、後述するコイルスプリング56をフランジ部102及びベアリング
12を介して支持している。すなわち、コイルスプリング56のばね力は、張出壁部28によって受け止められている。
一方、ベアリング12の軸方向の他方側(
図1では左側)の側面12Bには、駆動軸100に形成されたフランジ部102が接している。
【0025】
円筒部26の一端部22A側には、クラッチ断続機構50を構成する電磁石52が取り付けられた円環状部材54が内周面26Aに沿って固定されている。電磁石52は、ソレノイドコイルであり、断面U字形状とされた円環状部材54の窪み部分に収容されている。円環状部材54の開口部54Aは、第1筐体22の他端部22B側を向いている。また、円環状部材54の底部54Bは、円筒部24と円筒部26の径差によって形成された段差面25に接している。さらに、円環状部材54の底部54Bには、電磁石に電流を印加するためのコード52Aを通すための貫通孔54Cが形成されている。貫通孔54Cを通り抜けたコード52Aは、円筒部26に形成された貫通孔26Bを通って制御部80に接続されている。なお、貫通孔26Bには、第1筐体22内から後述する潤滑剤(本実施形態では、エンジンオイル)が漏れ出すのを防ぐための止水部材(図示省略)が配置されている。
【0026】
円環状部材54よりも円筒部26の他端部22B側には、クラッチ44を構成する駆動側クラッチ板46が駆動軸100に取り付けられて配置されている。なお、本実施形態の駆動側クラッチ板46は、円盤部46Aと円盤部46Aの外周縁部からテーパー状に張り出すテーパー部46Bとで構成されている。駆動側クラッチ板46は、駆動軸100の軸方向に移動可能とされ、かつ、駆動軸100と一体回転するように構成されている。また、駆動側クラッチ板46は、磁性を有する材料(本実施形態では、鉄)で形成されている。
【0027】
一方、円環状部材54と駆動軸100の間には、駆動軸100を囲うようにコイルスプリング(弦巻きばね)56が配置されている。具体的には、コイルスプリング56は、駆動軸100のフランジ部102と駆動側クラッチ板46の円盤部46Aとの間に配置され、かつ、一端部56A(
図1では右側の端部)がフランジ部102に接し、他端部56Bが円盤部46Aに取り付けられた板材47に接している。また、コイルスプリング56は、駆動側クラッチ板46を後述する従動側クラッチ板48に押し付けて係合させられるように押付力(ばね力(弾性力))が設定されている。なお、コイルスプリング56は、クラッチ断続機構50を構成している。また、本実施形態のコイルスプリング56は、本発明の弾性体の一例である。
【0028】
また、前述の電磁石52は、コイルスプリング56の押付力に抗する強さの磁力を発生させることが可能で、この磁力によって駆動側クラッチ板46を引き付けることで、駆動側クラッチ板46を従動側クラッチ板48から引き離して係合状態を解除させることができるように構成されている(詳細は後述)。
【0029】
第2筐体32は、軸方向の一端部32A(
図1では右側の端部)を含む円筒部34と、その他の部分を形成すると共に軸方向の他端部32Bを含み、円筒部34よりも大径とされた円筒部36とで構成された略円筒状とされている。この第2筐体32は、円筒部34を第1筐体22の内部に挿入した状態で円筒部26の他端部22Bに接続されている。この円筒部36の内部からは、円筒部34を通して従動軸40の先端部40Aが円筒部26内に延出している。
【0030】
円筒部34の内周面34Aには、該内周面34Aに沿って従動軸40を回転自在に支持する円環状のベアリング14が取り付けられている。また、円筒部34の他端側には、径方向内側に張り出す張出壁部38が設けられている。この張出壁部38は、ベアリング14の軸方向の他方側(
図1では左側)の側面14Bに接している。この張出壁部38により、ベアリング14の軸方向他方側への移動が制限されている。
一方、ベアリング14の軸方向の一方側(
図1では右側)の側面14Aには、従動軸40に取付けられた従動側クラッチ板48の円盤部48Aがパッキン15を介して接している。なお、パッキン15は、エンジンオイルの漏れ出しを防ぐために用いられている。
なお、前述の張出壁部38は、コイルスプリング56の押付力が作用する従動側クラッチ板48をパッキン15、ベアリング
14を介して受け止めている。すなわち、コイルスプリング56のばね力は、張出壁部38によって受け止められている。
【0031】
円筒部36の他端部32Bには、蓋39が取り付けられている。また、円筒部36には、吸入口37(
図3参照)と吐出口(図示省略)が設けられている。この吸入口37は逆止機能を有するチェックバルブ90を介して負圧式ブレーキ倍力装置110に接続されている。チェックバルブ90は、負圧式ブレーキ倍力装置110から吸入口37に向かう流体(ここでは、空気)の流れを許容し、吸入口37から負圧式ブレーキ倍力装置110に向かう流体の流れを止めるように、弁体92、弁体92が接離される弁座94、及び弁体92を弁座94に押し付けるためのばね
96が構成されている。
【0032】
円筒部36の内部には、円筒状とされた従動軸40の基端部40Bが配置されている。この基端部40Bには、径方向に延びる溝(図示省略)が形成されており、その溝に板状のベーン42が溝延在方向に摺動自在に配置されている。これによりベーン42は、従動軸40の回転により遠心力を受けて溝内をスライドする。
【0033】
また、本実施形態の円筒部36は長円筒状とされ、従動軸40は正円筒状とされている。すなわち、円筒部36の内周面36Aは断面形状が長円とされ、従動軸40の外周面は断面形状が正円とされている。このため、円筒部36の内周面36Aと従動軸40の外周面との間には空間(隙間)が生じている。ここで、従動軸40が回転した場合、ベーン42は遠心力を受けて基端部40Bの溝から外方へ移動し内周面36Aに沿って動くため、内周面36Aと従動軸40との間の空間がベーン42によって複数の空間に仕切られる。そして、本実施形態では、吸入口37が円筒部36の長軸上に設けられ、吐出口(図示省略)が短軸上に設けられていることから、仕切られた空間が従動軸40の回転に伴い、吸入側から吐出側に向かって徐々に容積が小さくなり、その容積変化によって、円筒部36で負圧が生成される。すなわち、従動軸40が回転することで、ポンプ部30で負圧が生成される。なお、ポンプ部30は、第2筐体32(円筒部36)、吸入口37、吐出口(図示省略)、蓋39、従動軸40及びベーン42によって構成されている。
【0034】
また、従動軸40の先端部40Aの内部には、駆動軸100の先端部100Aが挿入されている。また、従動軸40と駆動軸100との間には、パッキン16が密着配置されている。このパッキン16は、エンジンオイルの漏れ出しを防ぐために用いられている。
一方、駆動軸100の内部には、エンジンからエンジンオイルをポンプ部30に導くための流路104が形成されている。この流路104を通ったエンジンオイルは、従動軸40の内部を通り、円筒部36内に供給される。これにより、円筒部36の内周面36Aとベーン42との摩擦抵抗を減らすことができる。
【0035】
また、従動軸40の先端部40Aには、クラッチ44を構成する従動側クラッチ板48が取り付けられている。なお、本実施形態の従動側クラッチ板48は、円盤部48Aと円盤部48Aの外周縁部からテーパー状に張り出すテーパー部48Bとで構成されている。従動側クラッチ板48は、従動軸40の軸方向に移動可能とされ、かつ、従動軸40と一体回転するように構成されている。また、従動側クラッチ板48は、駆動側クラッチ板46と同じ材料で形成されている。
【0036】
また、本実施形態では、第1筐体22と第2筐体32を非磁性体(例えば、アルミ、樹脂)で形成している。なお、本発明はこの構成に限定されない。例えば、第1筐体22と第2筐体32を磁性体(例えば、鉄)で形成しても構わない。
【0037】
なお、第1筐体22と第2筐体32の接続は、例えば、ボルト止めとすることができる。一方、第1筐体22及び第2筐体32を金属材料で形成した場合には、溶接で接続してもよく、第
1筐体22及び第2筐体32を樹脂材料で形成した場合には、熱溶着で接続してもよい。すなわち、第1筐体22と第2筐体32が接続できれば、接続方法はどのような方法を用いてもよい。
【0038】
ポンプ部30には、ポンプ部30内に供給されたエンジンオイルをポンプ部30から駆動側クラッチ板46と従動側クラッチ板48の接触面間に導く流路35が形成されている。具体的には、円筒部34の内周面34Aに軸方向に沿って溝が形成されており、この溝が円筒部36の内部と第1筐体22(円筒部26)の内部を連通する流路35を形成している。なお、流路35の開口は駆動側クラッチ板46と従動側クラッチ板48の接触面間近傍に形成されている。
【0039】
負圧ポンプ10は、制御部80を有している。この制御部80は、電磁石52に印加する電流を制御するように構成されている。この制御部80では、ポンプ部30で生成された負圧が規定値を超えた場合に電流を印可する。具体的には、ポンプ部30で生成された負圧を圧力センサ82で測定し、測定値が上記規定値を超えた場合には電磁石に電流を印加する。
【0040】
また、制御部80は、駆動側クラッチ板46の接触面46Cと従動側クラッチ板48の接触面48C間の距離(以下、適宜「クラッチ隙間」と記載する)G(
図2参照)に応じて電磁石52へ印加する電流を可変する。具体的には、制御部80は、クラッチ隙間Gが大きいときには電磁石52へ印加する電流を増して磁力を強め、クラッチ隙間Gが小さいときには電磁石52へ印加する電流を減らして磁力を弱めて、駆動側クラッチ板46に作用する引き付け力(引力)を一定値に近づけるように制御している。上記制御部80の制御方法の一例を、電磁石52に印加する電流Aと駆動側クラッチ板46に作用する引力Fとの関係を示した
図8を用いて説明する。なお、
図8の一点鎖線G1、実線G1.5、破線G2は、クラッチ隙間Gが1mm、1.5mm、2mmの場合を示している。
図8に示すように、引力fを得る場合、G1、G2、G3ではそれぞれa1、a2、a3の電流値が必要となる。すなわち、駆動側クラッチ板46を従動側クラッチ板48から引き離すときには、クラッチ隙間Gが最も大きいため、電磁石52に印加する電流を増やし、従動側クラッチ板48から駆動側クラッチ板46を引き離した後は、クラッチ隙間Gが小さくなるため、電磁石52に印加する電流を減らすことで、電力消費を抑えることができる。
【0041】
(作用)
次に、本実施形態に係る負圧ポンプ10の作用効果について説明する。
負圧ポンプ10では、コイルスプリング56の押付力(ばね力)によって駆動側クラッチ板46が従動側クラッチ板48に押し付けられて係合することで、駆動軸100の回転が従動軸40に伝達されてポンプ部30が負圧を生成する。
一方、電磁石52でコイルスプリング56のばね力に抗する磁力を発生させた場合には、電磁石52が磁力によって駆動側クラッチ板46を引き付けるため、従動側クラッチ板48から駆動側クラッチ板46が引き離されて駆動側クラッチ板46と従動側クラッチ板48の係合状態が解除される。これにより、ポンプ部30が負圧の生成を停止する。
このように、負圧ポンプ10では、ポンプ部30に対する駆動軸100からの回転の伝達を断続できるため、動力源としてのエンジンのエネルギーロスを低減することができる。これにより、車両の燃費を改善することができる。
【0042】
また、負圧ポンプ10では、第2筐体32に設けられた張出壁部38によってコイルスプリング56のばね力が作用する従動側クラッチ板48が受け止められる。一方、第1筐体
22に設けられた張出壁部28によってコイルスプリング56の一端部56Aが支持される。そして、コイルスプリング56からばね力を受けると共に電磁石52から磁力を受ける駆動側クラッチ板46を駆動軸100の軸方向に移動可能とすることで、駆動軸100にコイルスプリング56のばね力及び電磁石52の磁力に起因するスラスト力が作用するのが抑制される。
さらに、従動側クラッチ板48を従動軸40の軸方向に移動可能としていることから、コイルスプリング56のばね力が従動軸40に作用するのが抑制される。
【0043】
以上のことから、負圧ポンプ10によれば、エンジンによって回転駆動される駆動軸100にスラスト力が作用するのを抑制すると共に駆動軸100からの回転の伝達を断続することでエンジンのエネルギーロスを低減することができる。
【0044】
また、負圧ポンプ10では、第1筐体22及び第2筐体32をそれぞれ非磁性体としていることから、第1筐体22及び第2筐体32に電磁石52から生じる磁力が伝わらない(磁力が分散しない)ため、電力消費を抑えつつ、駆動側クラッチ板46を従動側クラッチ板48から引き離すことができる。
【0045】
さらに、負圧ポンプ10では、流路35を通ってポンプ部30から駆動側クラッチ板46の接触面46Cと従動側クラッチ板48の接触面48Cにエンジンオイルが供給されるため、駆動側クラッチ板46と従動側クラッチ板48の各々の接触面46C、48Cの摩耗を抑えられる。また、駆動側クラッチ板46と従動側クラッチ板48の摩擦による発熱も抑えられる。
【0046】
また、駆動側クラッチ板46及び従動側クラッチ板48を共に同軸方向に移動可能に形成していることから、従動側クラッチ板48に駆動側クラッチ板46をスムーズに係合(再締結)させられる。
【0047】
さらに、例えば、電磁石52への通電不良が発生したとしても、負圧ポンプ10自体は作動するため、負圧式ブレーキ倍力装置110を作動させることができる。
【0048】
また、負圧ポンプ10では、エンジンが停止した時に、ポンプ部30内の負圧によってエンジンオイルがポンプ部30内に逆流し留まることがある。その後、エンジン再始動時にポンプ部30内にエンジンオイルが溜まっているとベーン42の回転抵抗が大きくなり、エンジンの始動性が悪化する虞がある。このため、本実施形態では、制御部80が、エンジンを再始動する場合、例えばセルモータに電流を印加させている時に、同時に電磁石52に電流を印加する構成としている。このように電磁石52に電流が印加されると、駆動側クラッチ板46が従動側クラッチ板48から引き離されるため、エンジンの再始動時にポンプ部30が作動せず、エンジンの始動性に影響を与えることがなくなる。そして、制御部80において、エンジン始動後に、例えばセルモータオフ時に、電磁石52への電流の印加を止めることで、回転しているエンジンの動力によって負圧ポンプ10が作動される。また、このとき、電磁石52への電流を徐々に下げるように電流を制御することで、負圧ポンプ10のベーン42がゆっくり回りポンプ部
30内のエンジンオイルをポンプ部
30の外部に排出することで、ポンプ部
30の破損を抑制することもできる。
【0049】
第1実施形態では、第1筐体22及び第2筐体32を非磁性体で形成する構成としたが、本発明はこの構成に限定されず、第1筐体22のみを非磁性体で形成してもよい。
【0050】
第1実施形態の負圧ポンプ10では、
図1に示すように、負圧ポンプ10の第1筐体22から駆動軸100を挿入する構成としているが、本発明はこの構成に限定されず、
図4、
図5に示す変形例の負圧ポンプ11のように、第2筐体32から駆動軸100を挿入する構成としてもよい。具体的には、
図4、
図5に示すように、負圧ポンプ11では、第1筐体22の張出壁部28で円筒部24を閉塞し、代わりに第2筐体32の蓋39に開口部を形成し、この開口部から駆動軸100を挿入している。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るシリンダヘッドカバー120の一例について
図6、
図7に従って説明する。
【0052】
本実施形態のシリンダヘッドカバー120は、エンジンのシリンダヘッドをカバーするのに用いられる。このシリンダヘッドカバー120は、第1実施形態の負圧ポンプ10を備えている。また、シリンダヘッドカバー120の一部は、負圧ポンプ10の第1筐体22を構成(兼用)している。
なお、シリンダヘッドカバー120は、磁性体でも非磁性体でも構わないが、本実施形態では、樹脂で形成されている。
【0053】
次に、本実施形態のシリンダヘッドカバー120の作用効果について説明する。
シリンダヘッドカバー120では、負圧ポンプ10を備えることから、エンジンによって回転駆動される駆動軸100にスラスト力が作用するのを抑制すると共に駆動軸100からの回転の伝達を断続することでエンジンのエネルギーロスを低減することができる。これにより、エンジン(車両)の燃費を改善することができる。
また、シリンダヘッドカバー120が第1筐体22を形成することから、例えば、シリンダヘッドカバー120と負圧ポンプ10が別体とされたものと比べて、製造コストを減らすことができる。
【0054】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。