(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799070
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】ボックス
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
B60R7/04 C
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-211737(P2013-211737)
(22)【出願日】2013年10月9日
(65)【公開番号】特開2015-74333(P2015-74333A)
(43)【公開日】2015年4月20日
【審査請求日】2014年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】杉村 喜久夫
(72)【発明者】
【氏名】西山 径男
【審査官】
中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−091363(JP,A)
【文献】
特開平10−218173(JP,A)
【文献】
実開昭63−023165(JP,U)
【文献】
実開平06−087226(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B65D 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、
前記底壁に対して上方に延びる側壁と、
前記底壁の外側端部の下面に一体に接続して該底壁の外側端部の下面から下方に延びる下方伸長内側壁と、
前記側壁の下端部の外側面に一体に接続して該側壁の下端部の外側面から外側に延びる横壁と、
前記側壁の下端面と前記横壁の下面との合成面に一体に接続して該合成面の一部から下方に延びる下方伸長外側壁と、
前記下方伸長内側壁の下端部と前記下方伸長外側壁の下端部とを連結するインテグラルヒンジと、
を有し、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記側壁の内側面から外側にオフセットしており、
前記合成面は、前記底壁の上面と上下方向に接触しており、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記底壁の外側端面と前記下方伸長内側壁の外側面との少なくとも一方と横方向に接触しており、
前記下方伸長外側壁の内側面と前記側壁の内側面との間には段差があり、該段差は、リブを除いた前記側壁の板厚より小である、ボックス。
【請求項2】
底壁と、
前記底壁に対して上方に延びる側壁と、
前記底壁の外側端部の下面に一体に接続して該底壁の外側端部の下面から下方に延びる下方伸長内側壁と、
前記側壁の下端部の外側面に一体に接続して該側壁の下端部の外側面から外側に延びる横壁と、
前記側壁の下端面と前記横壁の下面との合成面に一体に接続して該合成面の一部から下方に延びる下方伸長外側壁と、
前記下方伸長内側壁の下端部と前記下方伸長外側壁の下端部とを連結するインテグラルヒンジと、
を有し、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記側壁の内側面から外側にオフセットしており、
前記合成面は、前記底壁の上面と上下方向に接触しており、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記底壁の外側端面と前記下方伸長内側壁の外側面との少なくとも一方と横方向に接触しており、
リブを除いた前記側壁の下端部の板厚の中心線が、前記下方伸長内側壁の厚さの範囲の上方にある、ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用コンソールボックス装置などに利用されるボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9−131786号公報は、
図7に示すように、底壁2と、底壁2からインテグラルヒンジ4を介して上方に立ち上がる側壁3と、を有するボックス1を開示している。
【0003】
しかし、従来のボックス1には、つぎの問題点がある。
図8に示すように、ボックス1に上方から荷重F1が作用した場合であっても横方から荷重F2が作用した場合であっても、インテグラルヒンジ4にてボックス1が破損するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−131786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来に比べて強度上有利なボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) 底壁と、
前記底壁に対して上方に延びる側壁と、
前記底壁の外側端部の下面に一体に接続して該底壁の外側端部の下面から下方に延びる下方伸長内側壁と、
前記側壁の下端部の外側面に一体に接続して該側壁の下端部の外側面から外側に延びる横壁と、
前記側壁の下端面と前記横壁の下面との合成面に一体に接続して該合成面の一部から下方に延びる下方伸長外側壁と、
前記下方伸長内側壁の下端部と前記下方伸長外側壁の下端部とを連結するインテグラルヒンジと、
を有し、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記側壁の内側面から外側にオフセットしており、
前記合成面は、前記底壁の上面と上下方向に接触しており、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記底壁の外側端面と前記下方伸長内側壁の外側面との少なくとも一方と横方向に接触して
おり、
前記下方伸長外側壁の内側面と前記側壁の内側面との間には段差があり、該段差は、リブを除いた前記側壁の板厚より小である、ボックス。
(2) 底壁と、
前記底壁に対して上方に延びる側壁と、
前記底壁の外側端部の下面に一体に接続して該底壁の外側端部の下面から下方に延びる下方伸長内側壁と、
前記側壁の下端部の外側面に一体に接続して該側壁の下端部の外側面から外側に延びる横壁と、
前記側壁の下端面と前記横壁の下面との合成面に一体に接続して該合成面の一部から下方に延びる下方伸長外側壁と、
前記下方伸長内側壁の下端部と前記下方伸長外側壁の下端部とを連結するインテグラルヒンジと、
を有し、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記側壁の内側面から外側にオフセットしており、
前記合成面は、前記底壁の上面と上下方向に接触しており、
前記下方伸長外側壁の内側面は、前記底壁の外側端面と前記下方伸長内側壁の外側面との少なくとも一方と横方向に接触しており、
リブを除いた前記側壁の下端部の板厚の中心線が、前記下方伸長内側壁の厚さの範囲の上方にある、ボックス。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)
または(2)のボックスによれば、側壁の下端面と横壁の下面との合成面が、底壁の上面と上下方向に接触しているため、ボックスに上方から荷重F1が作用した場合に、荷重F1を底壁にて受けることができる。よって、荷重F1がインテグラルヒンジにかかることを抑制でき、強度上有利である。
また、下方伸長外側壁の内側面が、底壁の外側端面と下方伸長内側壁の外側面との少なくとも一方と横方向に接触しているため、ボックスに横方から荷重F2が作用した場合に、荷重F2を底壁と下方伸長内側壁の少なくとも一方にて受けることができる。よって、荷重F2がインテグラルヒンジにかかることを抑制でき、強度上有利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明実施例のボックスの展開斜視図である。
【
図6】
図4におけるインテグラルヒンジとその近傍の部分拡大図である。図における2点鎖線は、ボックスの構成部分間の区切り線を表している。
【
図8】
図7におけるインテグラルヒンジとその近傍の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明実施例のボックスを、図面を参照して、説明する。なお、図中UPは、上方を示す。
【0010】
本発明実施例のボックス10は、
図1に示すように、上方に開放するボックスである。ボックス10は、樹脂製である。ボックス10は、
図2に示す展開形状で成形された後、
図1に示すボックス形状に組立てられる。ボックス10は、たとえば車両の運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックス装置に利用される。ボックス10がコンソールボックス装置に利用される場合、(i)ボックス10は、ボルト(図示略)を用いて固定部11にて車両のフロアパネル(図示略)に固定して取付けられる。また、(ii)ボックス10は、組付部12にてボックス10の車両左右方向の両側にそれぞれ配置されるコンソールサイドパネル(図示略)と組付けられる。また、(iii)ボックス10には、必要に応じて、ワイヤハーネス(図示略)を挿通するための貫通孔13が設けられていてもよい。また、(iv)ボックス10の上方に収納スペースSの開口を開閉するコンソールドア(図示略)が配置される。
【0011】
ボックス10は、
図3に示すように、底壁20と、側壁30と、下方伸長内側壁40と、横壁50と、下方伸長外側壁60と、インテグラルヒンジ70と、を有する。底壁20と、側壁30と、下方伸長内側壁40と、横壁50と、下方伸長外側壁60およびインテグラルヒンジ70は、一部品構成であり、一体成形される。
【0012】
底壁20は、
図2に示すように、平面視で矩形状である。底壁20の外側端部21を除く底壁20部分に、固定部11と貫通孔13が設けられている。固定部11は1個のみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。図示例では、固定部11が4個設けられる場合を示している。貫通孔13は1個のみ設けられていてもよく複数設けられていてもよい。図示例では、貫通孔13が1個のみ設けられる場合を示している。
【0013】
側壁30は、
図1に示すように、底壁20に対して上方に延びている。側壁30の上端部に組付部12が設けられている。側壁30は、
図6に示すように、下方伸長内側壁40、横壁50、下方伸長外側壁60およびインテグラルヒンジ70を介して、底壁20と接続されている。
【0014】
側壁30は、
図5に示すように、対向する一対の第1の側壁要素30a、30aと、対向する一対の第2の側壁要素30b,30bと、を備える。一対の第1の側壁要素30a、30aの対向し合う方向と、一対の第2の側壁要素30b、30bの対向し合う方向とは、直交している。第1の側壁要素30aと第2の側壁要素30bとは、収納スペースSの外側でビス100等を用いて、互いに固定されている。
【0015】
下方伸長内側壁40は、
図6に示すように、底壁20の外側端部21の下面22に一体に接続して下面22から下方に延びている。下方伸長内側壁40は、下面22から下方に真直ぐ延びている。下方伸長内側壁40の外側面41は、底壁20の外側端面23と面一に連なっている。
【0016】
横壁50は、側壁30の下端部31の外側面32に一体に接続して外側面32から外側に延びている。横壁50の外側面32からの延び方向長さL1は、下方伸長外側壁60の板厚T1より小であってもよく、下方伸長外側壁60の板厚T1と同じであってもよく、下方伸長外側壁60の板厚T1より大であってもよい。横壁50の下面51は、側壁30の下端面33と面一に連なっている。横壁50の下面51と側壁30の下端面33とからなる合成面80は、底壁20の上面24と上下方向に接触している。合成面80は、底壁20の上面24と面接触している。
【0017】
下方伸長外側壁60は、合成面80に一体に接続して合成面80の一部から下方に延びている。下方伸長外側壁60は、合成面80の内側端(側壁30の下端面33の内側端)81を除く合成面80の一部から下方に延びている。そのため、下方伸長外側壁60の内側面61は、側壁30の内側面34から外側にオフセットしている。すなわち、下方伸長外側壁60の内側面61は、側壁30の内側面34よりも外側に位置している。よって、下方伸長外側壁60の内側面61と側壁30の内側面34との間には段差Dが存在している。
【0018】
図5に示すように、段差Dと同様の段差D1が、第1の側壁要素30aの第2の側壁要素30b側に形成されている。段差D1に、第2の側壁要素30bの第1の側壁要素30a側の端部が係合(面接触)している。
【0019】
図6に示すように、合成面80からの下方伸長外側壁60の延び方向長さL2は、底壁30の板厚T2と下方伸長内側壁40の延び方向長さL3との和と同じ(略同じを含む)である。下方伸長外側壁60の内側面61は、底壁20の外側端面23と下方伸長内側壁40の外側面41との少なくとも一方と横方向に接触している。下方伸長外側壁60の内側面61は、底壁20の外側端面23と下方伸長内側壁40の外側面41との少なくとも一方と面接触している。
【0020】
図3〜
図5に示すように、底壁20、側壁30、下方伸長内側壁40、横壁50および下方伸長内側壁60の少なくともいずれか1つには、ボックス10の剛性を向上させるためにリブ90が一体に設けられていてもよい。リブ90は、リブ90によりボックス10の収納スペースSが小さくなることを抑制するために、収納スペースSの外部に設けられる。
【0021】
インテグラルヒンジ70は、
図6に示すように、下方伸長内側壁40の下端部42と下方伸長外側壁60の下端部62とを連結する。インテグラルヒンジ70は、底壁20の上面24から下方に隔たった位置にある。インテグラルヒンジ70は、下方伸長内側壁40および下方伸長外側壁60と一体である。インテグラルヒンジ70は、下端部42以外の下方伸長内側壁40部分および下端部62以外の下方伸長外側壁60部分に比べてボックス10の板厚が著しく小とされている部分である。
【0022】
つぎに、本発明実施例の作用、効果を説明する。
(A)側壁30の下端面33と横壁50の下面51との合成面80が、底壁20の上面24と上下方向に接触しているため、ボックス10(側壁30)に上方から荷重F1が作用した場合に、荷重F1を底壁20にて受けることができる。よって、荷重F1がインテグラルヒンジ70にかかることを抑制でき、強度上有利である。
また、下方伸長外側壁60の内側面61が、底壁20の外側端面23と下方伸長内側壁40の外側面41との少なくとも一方と横方向に接触しているため、ボックス10に横方から荷重F2が作用した場合に、荷重F2を底壁20と下方伸長内側壁40の少なくとも一方にて受けることができる。よって、荷重F2がインテグラルヒンジ70にかかることを抑制でき、強度上有利である。
【0023】
(B)(i)側壁30の下端面33と横壁50の下面51との合成面80が、底壁20の上面24と面接触しており、(ii)下方伸長外側壁60の内側面61が、底壁20の外側端面23と下方伸長内側壁40の外側面41との少なくとも一方と面接触しており、(iii)第1の側壁要素30aの第2の側壁要素30b側に形成される段差D1に、第2の側壁要素30bの第1の側壁要素30a側の端部が係合(面接触)している。そのため、底壁20と第1の側壁要素30aと第2の側壁要素30bとで形成されるコーナー部C1に隙間ができることを抑制できる。
【符号の説明】
【0024】
10 ボックス
11 固定部
12 組付部
13 貫通孔
20 底壁
21 底壁の外側端部
22 底壁の外側端部の下面
23 底壁の外側端面
24 底壁の上面
30 側壁
30a 第1の側壁要素
30b 第2の側壁要素
31 側壁の下端部
32 側壁の下端部の外側面
33 側壁の下端面
34 側壁の内側面
40 下方伸長内側壁
41 下方伸長内側壁の外側面
42 下方伸長内側壁の下端部
50 横壁
51 横壁の下面
60 下方伸長外側壁
61 下方伸長外側面の内側面
62 下方伸長外側壁の下端部
70 インテグラルヒンジ
80 合成面
81 合成面の内側端
90 リブ
C1 コーナー部
D 段差
S 収納スペース
L1 横壁の延び方向長さ
L2 下方伸長外側壁の延び方向長さ
L3 下方伸長内側壁の延び方向長さ
T1 下方伸長外側壁の板厚
T2 底壁の板厚