(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音声広告の提示条件は、前記音声広告それ以外の音声コンテンツが再生されているときには、前記音声広告の提示を禁止する広告提示禁止条件を含む請求項1又は2に記載の広告提示装置。
前記音声出力装置から前記音声広告を提示した際の前記音声広告の提示条件と、該音声広告に対するユーザのアクションを示す情報を外部に送信する手段をさらに具備することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の広告提示装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る音声広告を出力可能な広告提示装置を示す図である。広告提示装置1(以下、「デバイス」という)は、ネットワーク(例えばインターネット)を介して広告配信システム(図示しない)から配信されたオンライン広告(以下、「広告」という)をユーザに提示するデバイスである。
【0010】
特に本実施形態に係るデバイス1は、音声出力装置2を通じてユーザUに音声の広告(以下、「音声広告」という)Ad1を提示することができる。また、デバイス1のディスプレイ11によりディスプレイ広告Ad2を提示(表示)することもできる。ディスプレイ広告Ad2は、ユーザUが広告提示の中断を指示するためのボタンBと、より詳細な広告詳細のウェブサイトを表示させるためのリンクLを有する。
【0011】
デバイス1は、例えばスマートフォンやタブレット、ブックリーダー、ゲーム機、ノートPCといった動画視聴や音楽鑑賞を行う多機能端末であることを想定するが、これらに限定されない。
【0012】
音声出力装置2は、図示のようなイヤフォンやヘッドフォン、スピーカーといった音を出力するための端末を指す。音声出力装置2には、ステレオケーブルやUSBケーブル、転送ケーブルなどが付属する。その片方は音声出力装置2に繋がっており、もう片方の端子4はデバイス1に接続可能である。
図1は、ユーザUが音声出力装置2のケーブルの端子4をつかんでデバイス1に接続した状況を示している。
【0013】
図2は、実施形態に係るデバイス1の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、デバイス1は、センサー10、ディスプレイ11、CPU12、メモリ13、無線制御回路15、有線制御回路16、通信制御回路17を有する。
【0014】
センサー10としては、デバイス1の周囲の明るさを検出する照度センサーや、デバイス1の周囲の音を集音するマイクなどを想定する。
【0015】
ディスプレイ11は、種々の情報を表示するための例えば液晶表示装置であり、アプリケーション14から提供される情報を表示したり、上述したようにディスプレイ広告Ad2を表示する。
【0016】
CPU12は、メモリ13に記憶されたアプリケーション14を実行する。また、CPU12は、センサー10やディスプレイ11、無線制御回路15、有線制御回路16、通信制御回路17をバスを通じて制御する。
【0017】
メモリ13は、デバイス1において処理される種々の情報を記録する。また、メモリ13は、アプリケーション14を記憶する。アプリケーション14の詳細については後述する。
【0018】
無線制御回路15は、Bluetooth(登録商標)や赤外線通信などの無線通信に関係する制御回路である。デバイス1に無線通信機器が接続されると、無線制御回路15はその無線通信機器を認識する。例えば、音声出力装置2としてBluetoothのヘッドセットがデバイス1に無線接続されると、無線制御回路15はこれを認識する。
【0019】
有線制御回路16は、ステレオプラグやUSBプラグ、転送プラグなどの有線通信に関係する制御回路である。
図1に示したように音声出力装置2のケーブル端子4がデバイス1に接続されると、有線制御回路16は、これを認識する。
【0020】
通信制御回路17は、アドサーバ3のような外部のサーバとの有線または無線の通信を制御するものである。「サーバ」とは、音楽コンテンツや音声広告を配信するものを総称したものであるが、「アドサーバ3」とは、特に広告配信に特化したサーバのことを指す。アドサーバ3は常時稼働しており、デバイス1からの広告リクエストに応じて、画像や動画といった広告クリエイティブを配信する。
【0021】
図3は、デバイス1のソフトウェア構成を示す図である。アプリケーション14には、広告SDK(Software Development Kit)20のプログラムモジュールが組み込まれており、以下の機能を提供する。
【0022】
(1)広告SDK20は、オペレーティングシステム(OS)21を通じてデバイス1の状況を収集する。例えば広告SDK20は、アプリケーション14の使用状況やデバイス1の使用状況、通話の状況など示す情報をOS21から収集する。これらの情報により、広告SDK20は、広告を提示するための前提条件となる状況を確認することができる。
【0023】
また、広告SDK20は、音声出力装置2がデバイス1に接続されたことを有線/無線制御回路(
図1の実施形態の場合は有線制御回路16)を通して認識する。
【0024】
(2)広告SDK20は、広告の提示をコントロールする。例えば広告SDK20は、通信制御回路17を通じてアドサーバ(広告配信管理システム)3に広告リクエストを送信し、アドサーバ3から配信された広告およびその広告提示条件を示す情報を受信する。受信した広告はアプリケーション14に渡され、音声出力装置2またはディスプレイ11により提示されることになる。
【0025】
また、広告SDK20は、受信した広告クリエイティブのストア/キャッシュや、広告クリエイティブごとの広告提示条件の保持、アドサーバ3への広告提示結果の送信などを行う機能を有する。
【0026】
ここで、「ストア(データ)」とは、初期設定として、デバイス1内の特定の場所に保持されるデータを指す。「キャッシュ(データ)」とは、過去にすでに取得し、デバイス1内の特定の場所に一時的に保持されるデータを指す。
【0027】
図4は、デバイス1による広告提示動作の流れを示すフローチャートである。
【0028】
まず、広告提示の禁止条件の判定を行う(ステップS1)。広告提示の禁止とは、広告提示の可否に関して、後述するデバイス側提示条件、ユーザ設定提示条件、広告クリエイティブ側提示条件のいずれも満たしていないために本実施形態に係る広告提示が行われないことをいう。(音声の)広告提示の禁止条件は、例えば、音楽プレイヤー等のアプリケーションによってすでに他の音(音声広告以外の音声コンテンツ)が再生されている際は、ユーザビリティを損ねる可能性があるので音声広告Ad1の提示は行わない。また、音声出力装置2がデバイス1に接続されていない(接続未検出)場合においても音声広告Ad1は提示されない。
【0029】
ステップS1において広告提示が禁止状態でないと判定されたならば、次に、デバイス1への音声出力装置2の接続判定を行う。ユーザUがデバイス1に音声出力装置2の端子4を接続すると、アプリケーション14の起動状態(停止中/バックグラウンド実行中/起動中)に関わらず、デバイス1の有線制御回路16が端子4を検出する(ステップS2)。なお、Bluetooth等の無線通信がオンになった際は、デバイス1の無線制御回路15がこれを検出する。
【0030】
端子4の接続が検出されると、広告SDK20は提示すべき広告を決定する。
【0031】
まず、キャッシュもしくはストアされた広告クリエイティブのデータに基づいて提示すべき広告を決定し、またはアドサーバ3から広告クリエイティブを適宜取得する動作手順を
図5を参照しながら説明する。
【0032】
(ST−A)キャッシュが存在しない場合、通信制御回路17はインターネット接続を行い、アドサーバ3に広告リクエストを行う。
【0033】
(ST−A−1)広告リクエストを受けたアドサーバ3は、デバイス1に広告を配信する。デバイス1は、配信された広告クリエイティブをキャッシュする。
【0034】
(ST−A−2)インターネット接続が不可能な場合、アプリケーション14にデフォルトでストアされている広告クリエイティブを提示する旨を決定する(デフォルト広告)。
【0035】
(ST−B)キャッシュが存在する場合、キャッシュの有効期限を確認する。即ち、デバイス1に一時的に保存されている広告クリエイティブの有効期限が失効していないかどうかを確認する。
【0036】
(ST−B−1)キャッシュが有効期限内である場合、キャッシュされた広告クリエイティブを提示する旨を決定する。
【0037】
(ST−B−2)キャッシュが有効期限内でない場合、インターネット接続を行い、アドサーバ3に広告リクエストを行う。
【0038】
(ST−B−2−1)リクエストを受けたアドサーバ3が広告を配信したならば、その広告クリエイティブをデバイス1にキャッシュする。
【0039】
(ST−B−2−2)インターネット接続が不可能な場合は、アプリケーション14にデフォルトでストアされている広告クリエイティブを提示する旨を決定する(デフォルト広告)。
【0040】
なお、上記(ST−A)のキャッシュが存在しない場合と、(ST−B)のキャッシュが存在する場合によらず、アドサーバ3から定期的に広告クリエイティブを取得してもよい。例えば、定期的な広告クリエイティブの取得間隔は「1日」である。
【0041】
図6は、提示広告決定の動作を示すフローチャートである。
【0042】
(デバイス側提示条件)
広告SDK20がOS21を通じて情報収集し、その結果に基づいて広告提示条件とする(ステップS201)。この広告提示条件は、デバイス1の周囲の状況(環境音量、光量、地域、移動速度等)に応じた広告を提示する条件に相当する。この条件に従うと、例えば「夜間に電車で特定地域に移動しているとき」といった広告の提示条件を定めることができる。
【0043】
また、デバイス1のセンサー10を通してユーザUの周囲の環境の音量および光量に関するデータを取得し、その結果をもとに音声広告の音量を適切な音量に調整してもよい。あるいは、複数の広告クリエイティブをダウンロードしておき、周囲の音量および光量に応じて最適な広告クリエイティブを選択して提示してもよい。
【0044】
(ユーザ側提示条件)
これは、ユーザが設定した広告提示条件である(ステップS202)。
【0045】
例えば、夜間に提示された広告に対してユーザが拒絶対応した場合には、夜間の広告提示しないように提示条件として設定することができる。具体的には、夜間(例えば23時〜6時)には広告提示しないようにしたり、企業Aの広告への反応が良い場合に業種aの広告の提示優先度を高めたり、ユーザが拒絶した広告主の広告は、今後、広告提示しない、といった条件である。
【0046】
(広告クリエイティブ側提示条件)
広告リクエスト(ステップS203)をアドサーバ3に送信し、同アドサーバ3から送信される広告クリエイティブごとの提示条件を参照してもよい(ステップS204)。この提示条件は、例えば広告主側から指定されるものであり、例えば、特定の広告クリエイティブを指定時間帯(8時―16時)のみ提示したり、指定地域のみに提示する条件である。
【0047】
上述したデバイス側提示条件、ユーザ側提示条件、および広告クリエイティブ側提示条件を考慮して、提示すべき広告が決定される(ステップS205)。なお、広告提示条件については上記のみに限定されない。
【0048】
図4の説明に戻る。例えば、デバイス1におけるアプリケーション14の起動、アプリケーション14の終了、特定の時刻または時間帯、ユーザUが特定地域へ入場したこと、ユーザUが特定のウェブサイトを閲覧していること、デバイス1の振動、通話の終了といった適切なタイミングでステップS4およびS5を実行する。
【0049】
ステップS4においては、
図1に示したようにイヤフォン等の音声出力装置2を通じて音声広告Ad1を提示する。また、
図1に示したようにデバイス1のディスプレイ11にディスプレイ広告Ad2を提示してもよい。ディスプレイ広告Ad2のリンクLがユーザUによりクリック(またはタッチ操作)されたならば、該当する広告商材のウェブページが表示される。また、ディスプレイ広告Ad2のボタンBがユーザUによりクリック(またはタッチ操作)されたならば、広告提示は中断される。上記の音声出力、ディスプレイ表示に加えて、広告が提示されたことをユーザUに知らせるために、デバイス1のバイブレータを振動させてもよい。
【0050】
広告を提示する際には、アドサーバ3にて設定されている配信ペースとデバイス1における現在の配信状況とを比較し、その結果をもとに適切な広告クリエイティブを選択して提示することが好ましい。
【0051】
いわゆるターゲティング配信を行うことも有効である。上述したユーザUの状況をもとにした広告クリエイティブの選択・配信に先行して、アドサーバ3側でユーザUの場所やアクセス時間帯をもとにターゲティング配信設定を行なうことが好ましい。また、ユーザU一人あたりに同一の広告クリエイティブを提示する頻度(フリークエンシー)を設定することも好ましい。このようなターゲティングのためのユーザUの識別は、デバイス1が提供する広告配信用の一意な端末識別子を使用することで可能になる。
【0052】
ステップS6において、ユーザUが端子4をデバイス1から抜いて接続断し、もしくはディスプレイ11上に提示された広告の中断ボタンBが押されたことを検出すると、広告(音声広告Ad1、ディスプレイ広告Ad2)の提示は中断される(ステップS7)。
【0053】
ステップS8において、音声広告Ad1および/またはディスプレイ広告Ad2の提示に関する情報を広告SDK20に書き込んだのち、アドサーバ3に通知する。ここで、デバイス1がインターネットに接続可能な場合には、アドサーバ3にただちに送信する。一方、デバイス1がインターネットに接続できない場合には、上記提示情報をいったんデバイス1内にストアし、次回、インターネット接続した時にアドサーバ3に送信する。アドサーバ3に通知する情報は、どのような広告をいつどのように提示したか、その広告に対してユーザがどのようなアクションをとったか示すものであり、アドサーバ3は、この情報をもちいてターゲティング配信等をより効果的に行うことができる。
【0054】
最後に、広告提示が終了または中断したら、起動しているアプリケーション14にコントロールを戻す(ステップS9)。
【0055】
以上説明した実施形態によれば、スマートフォンをはじめとするデバイス1にイヤフォン等の音声出力装置2の端子4が接続されたことを検出し、デバイス1の状況に応じて音声広告を音声出力装置2に提示することができる。また、音声広告を提示する際には、デバイス1の周囲の状況に応じて音声広告の再生音量を調整したり、広告クリエイティブそれ自体を適切なものに変更したり、ターゲティング配信に連動することができる。また、音声広告を提示する際には、他のアプリケーションによる音声再生を妨げることなく、ユーザビリティを損なうことがない。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に本件出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
音声広告および音声広告の提示条件を記憶する記憶手段と、
音声出力装置の接続を検出する検出手段と、
前記接続の検出に応じて、前記音声広告の提示条件に従い前記音声出力装置から前記音声広告を提示する広告提示手段と、
を具備することを特徴とする広告提示装置。
[2]
前記音声広告の提示条件は、前記音声広告それ以外の音声コンテンツが再生されているときには、前記音声広告の提示を禁止する広告提示禁止条件を含む[1]に記載の広告提示装置。
[3]
周囲の状況を示す情報を収集する収集手段をさらに具備し、
前記広告提示手段は、前記情報に基づいて前記音声広告の音量または内容を変化させることを特徴とする[1]または[2]に記載の広告提示装置。
[4]
前記音声出力装置から前記音声広告を提示した際の前記音声広告の提示条件と、該音声広告に対するユーザのアクションを示す情報を外部に送信する手段をさらに具備することを特徴とする[1]乃至[3]のいずれかに記載の広告提示装置。
[5]
音声広告および音声広告の提示条件を記憶する記憶ステップと、
音声出力装置の接続を検出する検出ステップと、
前記接続の検出に応じて、前記音声広告の提示条件に従い前記音声出力装置から前記音声広告を提示する提示ステップと、
を具備することを特徴とする広告提示方法。