特許第5799076号(P5799076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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5799076植え込まれた医療機器を抜去できるように準備するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799076
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】植え込まれた医療機器を抜去できるように準備するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20151001BHJP
   A61B 17/50 20060101ALI20151001BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   A61B17/00 320
   A61B17/50
   A61N1/05
【請求項の数】15
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2013-259223(P2013-259223)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2014-117619(P2014-117619A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2013年12月16日
(31)【優先権主張番号】13/716,975
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・ビィ・グッド
(72)【発明者】
【氏名】チュン・キー・ルイ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ウェイン・エマート
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ブッカー
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05697936(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0192591(US,A1)
【文献】 特開平02−180248(JP,A)
【文献】 米国特許第05207683(US,A)
【文献】 特開平08−132778(JP,A)
【文献】 特表平06−508274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 17/50
A61N 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植え込まれた医療機器を患者の体内から抜去できるように準備する装置において、
第一の把手と第二の把手であって、前記第一の把手が、それに沿って前記植え込まれた医療機器を受けるためのある面を有するような把手と、
第一の端と第二の端を有するワイヤー部材であって、前記第一の把の前記面と前記第二の把手の間の距離にわたされ、前記ワイヤー部材の第一の端が前記第一の把手と着脱式に係合され、前記ワイヤー部材の第二の端が前記第二の把手と着脱式に係合され、前記ワイヤー部材を前記植え込まれた医療機器のある長さの周囲に巻き付けることができるような大きさとされ、そのように構成されているワイヤー部材と、
を含む装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記第二の把手が、そこに沿って前記植え込まれた機器を受けるためのある面を含み、
前記ワイヤー部材が前記第一の把手の面と前記第二の把手の面の間の距離にわたされる装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
それぞれの前記面の各々が概して平坦な台座部を含む装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置において、
前記第一の把手は、前記係合中に前記ワイヤー部材の第一の端を受けるための前記第一の把手の面からその中に延びる深溝を有する装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記第一の把手が、前記ワイヤー部材の第一の端を前記第一の把手と選択的に係合させるための、前記深溝内に着脱式に受けられることが可能なピン部材を含む装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記第二の把手が、前記第二の面からその中に延びる、前記係合中に前記ワイヤー部材の第二の端を受ける深溝を有し、
前記第二の把手が、前記ワイヤー部材の第二の端を前記第二の把手に選択的に係合させるための、前記深溝内に着脱式に受けられることが可能なピン部材を含む装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置において、
少なくとも前記第一の把手が、第一の端と第二の端を有するタブ部材を含み、前記タブ部材の第一の端が前記把手から延び、前記タブ部材の第二の端が前記ピン部材と係合する装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、
前記植え込まれた医療機器が、その中に縦方向に延びる内腔を有する心臓用リードを含み、前記心臓用リードが自由近位端を有し、前記患者の体内へと延びる遠位端を有し、
ロッキングスタイレットが前記内腔内に受けられ、前記ワイヤー部材が、前記ワイヤー部材を前記心臓用リードの前記近位端と前記ロッキングスタイレットの周囲に巻き付けることができるような大きさとされ、そのように構成される装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記植え込まれた医療機器が心臓用リードを含み、前記心臓用リードがそこから横方向に延びるケーブルを有し、また自由近位端を有し、
前記ワイヤー部材が、前記ワイヤー部材を前記ケーブルと前記心臓用リードの周囲に巻
き付けることができるような大きさとされ、そのように構成される装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、
前記ワイヤー部材と係合する長い係留部材を更に含む装置。
【請求項11】
植え込まれた心臓用リードを患者の体内通路から抜去するためのアセンブリにおいて、
第一の把手と第二の把手であって、前記把手の各々が、それに沿って前記心臓用リードのある長さを受けるように構成された台座面を有する把手本体を含み、前記把手本体の各々が前記台座面から前記把手本体の内部へと内側に延びる深溝を有し、前記深溝と連通する穴を有し、各把手が第一の端と第二の端を有するタブを更に含み、前記タブの第一の端が前記把手本体と係合し、前記タブの第二の端がそれと係合するピン部材を有し、前記ピン部材が前記穴を通じて前記深溝の中に着脱式に受けられることが可能であるような第一の把手と第二の把手と、
第一の端と第二の端を有するワイヤー部材であって、前記ワイヤー部材の第一の端が前記台座面の開口部を通じて前記第一の把手の前記深溝の中に受けられ、前記ワイヤー部材の第一の端が、前記ピン部材が前記深溝の中に受けられた時にその中に保持されるような形状とされ、そのように構成され、前記ワイヤー部材の第二の端が前記台座面の開口部を通じて前記第二の把手の前記深溝の中に受けられ、前記ワイヤー部材の第二の端が、前記ピン部材が前記深溝の中に受けられた時にその中に保持されるように形状とされ、そのように構成され、またそれぞれの前記台座面間の距離にわたされるような寸方であるワイヤー部材と、
を含むアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載のアセンブリにおいて、
前記心臓用リードが自由近位端とその中に延びる内腔を有しており、前記内腔内に受けられることが可能なロッキングスタイレットを更に含み、
前記ワイヤー部材が、前記心臓用リードの前記自由近位端とその中に受けられた前記ロッキングスタイレットの周囲に巻き付けられるような寸法であるアセンブリ。
【請求項13】
請求項11に記載のアセンブリにおいて、
前記把手が概して剛性の組成物を含み、前記タブが概して柔軟な組成物を含み、前記ワイヤー部材が焼き戻された金属合金を含むアセンブリ。
【請求項14】
請求項11に記載のアセンブリにおいて、
前記ワイヤー部材と係合し、そこから横方向に延びることができる長い係留手段を更に含むアセンブリ。
【請求項15】
請求項11に記載のアセンブリにおいて、
抜去装置を更に含み、これが前記抜去装置の遠位端が前記心臓用リードの周囲に受けられるように構成されるアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の体内から植え込まれた医療機器を抜去しやすくするための装置に関する。より詳しくは、本発明は、植え込まれた長い医療機器を、この長い機器の近位端に沿って圧縮力を加え、抜去手順中に機器の要素を所定の場所に保持することによって、体内の通路から抜去できるように準備するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な医学的治療と外科手術の手法において、例えばペースメーカー等の器材を患者の体内に植え込むことが必要となる。ペースメーカーは一般に、患者の胸壁の皮下組織ポケットに位置付けられる。ペースメーカーのリードは患者の体内に植え込まれて、ペースメーカーから静脈を通って患者の心腔内へと延びる。リードは、リードの長さに沿った長い絶縁体の中に格納された1つまたは複数の長さ方向のケーブル、ワイヤー、コイル等(以下、まとめて「ケーブル」という)を含む長い機器を含む。ケーブルには、ペースメーカーと心臓の間で電気信号(例えば、刺激及び/または感覚信号)を伝導できるものがある。また、リードに強度を与え、及び/またはこれを支持できるケーブルもある。ケーブルは、リードの全長にわたって延びていても、その長さの一区分にわたっていてもよい。長い絶縁体は一般にシリコンまたは、ポリウレタン等のポリマーで形成され、ケーブルを体液から保護すると同時に、ケーブル同士を絶縁する役割を果たす。
【0003】
除細動器は、植え込まれた長いリードを利用して電気信号を除細動器から心臓に伝達する心臓用器材の別の例である。除細動器用リードはペースメーカー用リードと概して同様であり、心臓の内部または外部のいずれに固定されてもよい。本明細書において、「心臓用リード」とは、ペースメーカー用リードまたは除細動器用リードの両方を指す。
【0004】
植え込まれた機器、例えば心臓用リード等の耐用年数は何年間にも及びうるが、ある時点でリードの抜去が考慮されることがある。しかしながら、時間の経過によってこのようなリードは心臓自体または静脈壁に、または他の周囲組織に線維性組織によって癒着する可能性がある。癒着は特に、血液の流速が低い領域に見られる。線維性組織は非常に丈夫でありえ、そのために、リードを心臓のその領域から、その領域に傷を付けずに抜去することが困難となる。心臓リードを通した細い静脈が線維性組織によって閉塞すると、リードをその静脈から剥離することで、静脈が重大な損傷を受ける可能性があり、これには静脈の解離や穿孔等が含まれる。このような場合、静脈からリードを剥離するには通常、リードの運動を制限または抑制せざるを得ず、例えばリードを患者に関して、詳しくは患者の静脈に関して、ある位置に固定する。
【0005】
上記及びその他の起こりうる合併症を回避するために、ペースメーカーや除細動器が除去または交換された時に、不用の心臓用リードの中には単純に患者の体内に残されるものがある。しかしながら、この行為には、検知されないままリード血栓症を引き起こすリスクが伴う可能性があり、これは脳卒中、心臓発作、または肺塞栓の原因となりうる。この行為はまた、複数のリードが、それが通過する心臓弁の動きを制限するかもしれないため、心臓の機能障害を引き起こすこともある。他に考えられるリスクとしては、無用となったリードが静脈内の流体流の障害となることや、リードが遊走して、ペーシングまたは除細動機能を妨害しうることがある。最後に、無用となったリードの存在はまた、敗血症や心内膜炎等の望ましくない状態の一因となる可能性もある。
【0006】
このような状況で心臓用リードを外科手術により抜去するには、しばしば開胸術が必要となる。しかしながら、開胸術には患者にとっての重大なリスクと費用のほか、意図されない合併症の可能性が伴う。心臓用リード抜去のための開胸術の代わりに使用するための様々な方法と機器が考案されてきた。これらの方法と機器のいくつかが関連特許文献、特に“Device for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献1)、“Locally Flexible Dilator Sheath”と題する(特許文献2)、“Apparatus for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献3)、“Appratus for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献4)、“Apparatus for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献5)、“Apparatus for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献6)、“Method and Apparatus for Removing an Implanted Pacemaker Lead”と題する(特許文献7)、“Method and Apparatus for Separating a Coiled Structure from Biological Tissue”と題する(特許文献8)、“Laser Extractor for an Implanted Object”と題する(特許文献9)、“Apparatus for Removing a Coiled Structure Implanted in Biological Tissue, Having Expandable Means including a Laterally Deflectable Member”と題する(特許文献10)、“Radio Frequency Dilator Sheath”と題する(特許文献11)、“Apparatus for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献12)、“Apparatus for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献13)、“Apparatus for Removing an Elongated Structure implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献14)、“Device for Removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献15)、“Device for Extracting an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献16)、“Device for removing an Elongated Structure Implanted in Biological Tissue”と題する(特許文献17)、“Lead Extraction Device”と題する(特許文献18)、“Tension Control Device”と題する(特許文献19)、“Device and Method for Positioning an Implanted Structure to Facilitate Removal”と題する(特許文献20)等に記載されている。上記の特許及び公開の各々を、全文が本明細書に記載されているかのように、引用によって援用する。
【0007】
先行技術の装置は多くの状況でそれなりに有効であることがわかっているものの、医師は依然として、既存の抜去装置がリード抜去に望まれるほど効率的に動作しえないような、及び/または装置のリード抜去能力が、抜去装置を体内通路に進入させる前にリードを抜去できる状態にすることによって向上しうるような、問題のある状況に遭遇する。
【0008】
1つのこのような例では、植え込まれた機器、例えば機器のある長さに沿って延びる1本または複数のケーブル等を有する心臓用リードが抜去される。このような機器がある期間にわたり植え込まれたままであると、ケーブルが絶縁材に食い込んで貫通することがあり、これらは植え込まれた機器の本体の外側に、即ち横方向に、そのある長さに沿って延びる。この状態は、医師が抜去装置を植え込まれた装置の近位端の周囲に前進させる上での妨げとなりうるが、これは、横方向に延びたケーブルの位置が、抜去装置が機器の外面に沿って進む際に装置の中に捕捉されにくい箇所であるかもしれないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,697,936号明細書
【特許文献2】米国特許第5,507,751号明細書
【特許文献3】米国特許第5,632,749号明細書
【特許文献4】米国特許第5,207,683号明細書
【特許文献5】米国特許第4,943,289号明細書
【特許文献6】米国特許第5,011,482号明細書
【特許文献7】米国特許第5,013,310号明細書
【特許文献8】米国特許第4,988,347号明細書
【特許文献9】米国特許第5,423,806号明細書
【特許文献10】米国特許第6,136,005号明細書
【特許文献11】米国特許第6,419,974号明細書
【特許文献12】米国特許第6,687,548号明細書
【特許文献13】米国特許第6,712,826号明細書
【特許文献14】米国特許第7,359,756号明細書
【特許文献15】米国特許第7,651,504号明細書
【特許文献16】米国特許第8,192,430号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0192591号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2006/0235431号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2010/0222787号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2011/0238078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
植え込まれた機器の近位端を、その周囲に抜去装置を前進させやすく、植え込まれた機器を体内の通路内の癒着組織から抜去しやすくするような方法で構成できる装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
先行技術の問題点は、本発明の特徴によって対処される。本発明は、その1つの態様において、植え込まれた医療機器を患者の体内から抜去できるように準備するための装置を含む。この装置は、第一の把手と第二の把手を含み、第一の把手は植え込まれた医療機器をそこに沿って受けるためのある面を有する。第一の端と第二の端を有するワイヤー部材が、第一の把手の面と第二の把手の間の距離にわたるように位置付けられる。ワイヤー部材の第一の端は第一の把手と着脱式に係合され、ワイヤー部材の第二の端は第二の把手と着脱式に係合される。ワイヤー部材は、ワイヤー部材を植え込まれた医療機器のある長さの周囲に巻き付けることができるような大きさとされ、そのように構成される。
【0012】
本発明は、その別の態様において、植え込まれた心臓用リードを患者の体内通路から抜去するためのアセンブリを含む。このアセンブリは第一の把手と第二の把手を含む。把手の各々は、そこに沿って心臓用リードのある長さを受けるように構成された台座面を有する把手本体を含む。把手本体の各々は、台座部から把手本体の内部へと内側に向かって延びる深溝を有し、この深溝と連通する穴を有する。各把手は更に、第一の端と第二の端を有するタブを含む。タブの第一の端は把手本体と係合され、タブの第二の端はそれと係合するピン部材を有する。ピン部材は、穴を通じて深溝の中に着脱式に受けられることが可能である。ワイヤー部材は、第一の端と第二の端を有する。ワイヤー部材の第一の端は台座面の開口部を通じて第一の把手の深溝の中に受けられ、ピン部材が深溝の中に受けられるとその中に保持されるような形状とされ、そのように構成される。ワイヤー部材の第二の端は、台座面の開口部を通じて第二の把手の深溝の中に受けられ、ピン部材が深溝の中に受けられるとその中に保持されるような形状とされ、そのように構成される。ワイヤー部材は、それぞれの台座面間の距離にわたるような寸法とされる。
【0013】
本発明は、そのまた別の態様において、植え込まれた長い医療機器を患者の体内から抜去できるように準備するための方法を含む。植え込まれた長い機器を抜去できるように準備する装置が、植え込まれた長い医療機器の自由端と係合するように位置付けられる。この装置は、第一の把手と、第二の把手と、把手間の距離にわたるワイヤー部材と、を含む。ワイヤー部材の第一の端は第一の把手と着脱式に係合され、第二の端は第二の把手に着脱式に係合される。植え込まれた長い機器は、第一の把手のある面に沿うように位置合わせされる。第二の把手は、植え込まれた長い機器のある長さの周囲に、第一の把手から近位方向へと巻き回され、それによってワイヤーが前記長さの周囲に巻き付けられる。その後、第一と第二の把手が、植え込まれた長い機器のその長さの周囲に巻き付けられたワイヤーから取り外される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】植え込まれた医療機器を抜去できるように準備するための装置の一例の側面図である。
図2図1の装置の分解図である。
図3】装置のある面に沿って受けられている心臓用リードを示す。
図3A図3に示される装置に沿うように心臓用リードを位置付けている術者の手を示す。
図4】心臓用リードの周囲で装置を巻き回す際の連続する段階を示す。
図5】心臓用リードの周囲で装置を巻き回す際の連続する段階を示す。
図6】リードからの装置の把手の分離を示す。
図7】装置から分離された把手と、リードに巻かれたワイヤーの端の圧縮を示す。
図8】体内の血管から抜去しようとしている植え込まれた心臓用リードの近位端部の図であり、リードの外側絶縁部を貫通して飛び出したケーブルを示す。
図9図8のリードとケーブルを示し、リードとケーブルに巻き付けられたワイヤーを更に示す。
図10図9のリード、ケーブル、ワイヤーを示し、図9のリード部分の近位端の周囲に進めるように構成されたリード抜去装置の端を更に示す。
図11】ワイヤーがロッキングスタイレットの周囲にも巻き付けられている、図9と同様のリード、ケーブル、ワイヤーを示す。
図12】ワイヤーと係合する係留手段を含む、図2に示されるような装置の分解図である。
図13図3に示されるような装置のある面に沿って受けられている心臓用リードを示し、ワイヤーと係合された係留手段を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の原理を理解しやすくするために、ここで、図面に示される実施形態を参照するが、その説明に具体的な文言が使用される。しかしながら、それによって本発明の範囲が限定されることは意図されず、本発明が関わる業界の当業者が通常着想するような、図中の装置の改変やさらなる改良及び本発明の原理のその他の応用も想定される。図面全体において同様の構成要素を指示するために同様の参照番号が使用されると理解する。
【0016】
明細書全体を通じて、医療機器または機器の一部に言及する場合、「遠位」及び「遠位方向に」という用語は、その機器の使用時に概して患者に向かう、または患者の方向への位置、方向または向きを示す。「近位」及び「近位方向に」という用語は、その機器の使用中に概して患者から遠ざかる、または術者の方向への位置、方向または向きを示す。
【0017】
図1は、植え込まれた医療機器を抜去できるように準備するための装置10の一例の側面図を示す。図2は、図1の装置の分解図である。
【0018】
図のように、装置10は、1対の把手12、22を含む。各把手は台座部15、25等のある面を有する把手本体14、24を含み、これは植え込まれた機器のある長さをその面に沿って受けるように構成されている。タブ16、26は把手本体14、24の、好ましくは台座部15、25の反対の端から延びる。タブ16、26は、ピン18、28を受けるための穴17、27を含む。あるいは、ピンはタブと一体であってもよい。装置10を組み立てた時、ピン18、28の延長部19,29は把手本体の適当な大きさの開口部13、23の中に受けられ、これについては後述する。
【0019】
各本体14、24は、台座部15、25に沿ったスロット21、31から内側に向かう深溝20、30を有する。溝20、30は、スロット21、31から本体14、24に沿って後方に、把手本体の開口部13、23を越える距離にわたって延びる。図2の向きではスロット21しか見えないが、スロット31と深溝20、30の後方への延長は図2の破線により想像できるであろう。
【0020】
把手12、22は、概して柔軟な結合部材、例えばワイヤー40によって結合される。図の例では、ワイヤー40の概して輪ゴム、または丸い端42、44を有する長方形の形状である。図の例において、端42、44の各々は、それぞれ1つのスロット21、31の中に受けられ、それぞれの深溝20、30の中へと延びる。
【0021】
装置10の組み立て中、各ピン18、28は、それぞれのタブ穴17、27に合わせられ、ピン延長部19、29がその穴を通って延びるようにする。各タブ16、26は旋回されて、ピン延長部19、29が前述のように開口部13、23のうちの適当な一方の中に受けられ、これによってワイヤーの端42、44がそれぞれの深溝20、30の中の位置に保持される。組み立てられた装置が図1に示されている。
【0022】
当業者であればわかるように、把手は各種の組成物、例えば剛性プラスチックや、SANTOPRENE(登録商標)等の熱可塑性ゴムから(例えば、成形によって)形成されてもよい。タブとピンはより柔軟な組成物、例えばSANTOPRENE(登録商標)と結合可能なアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)等で形成されてもよい。ワイヤーは、ワイヤーを抜去対象となる植え込まれた構造体の周囲に巻き付け、把手を取り外した後もその巻き付けられた状態を保つことができるような強度と柔軟性を有する各種の組成物、例えば金属と金属合金で形成されてもよい。1つの特に好ましい例は、ワイヤーからばね張力を除くために焼き戻されたステンレススチール組成物である。
【0023】
ワイヤー40は好ましくは、図1に示される組み立て後の装置において、それぞれの台座面15、25が約1〜3インチ(2.54〜7.62cm)だけ離間されるように、より好ましくは約2インチ(5.08cm)だけ離間されるような寸法とされる。当業者であればわかるように、特定の場合において、より大きい、またはより小さい寸法のワイヤーを使用してもよいが、本明細書に記載した寸法を有するワイヤーは、殆どの用途にとって十分である。
【0024】
植え込まれた医療機器を患者の体内から抜去できるように準備するための装置10の使用は、図3〜7に関する説明から更に理解できるであろう。まず、植え込まれているリード100の近位端102は、ペースメーカー、除細動器等から、術者がそれにアクセスできるような方法で分離される。リードが、その中を通る内腔を有するタイプのものである場合、ロッキングスタイレット120をリードの内腔に挿入してもよい。ロッキングスタイレットは、その中を通る内腔を有するタイプの心臓用リードの抜去中に使用される公知の器材であり、例えば引用によって本願に援用される(特許文献5)と特許文献(4)に詳しく記載されている。
【0025】
この例では、装置10は、抜去しようとする心臓用リードが把手のうちの一方の台座部に沿って位置付けられるように構成される。図3に示されるように、リード100は把手12の台座部15に沿うように位置付けられる。図3Aに更に示されるように、術者は人差し指F1でリード100を台座部に当てて保持し、同じ側の手の親指T1で把手をコントロールできるようにしている。次に、術者は反対側の手の人差し指F2と親指T2で把手22を掴む。
【0026】
リード100を台座部15の上の所定の位置に引き続き保持しながら、図4に示されるように把手22をリードの周囲で巻き回すことによって、ワイヤー40をリード100の周囲に近位方向に巻き付ける。ワイヤー40をリード100の周囲に巻き回す間、タブ16、26の各々の端は一般に、概してリードの方向に向かう。術者は引き続きリード100の周囲で把手22を巻き回し、最終的に、図5に示されるようにワイヤー40がリートの周囲を完全に巻き付けられる。この時、両方の把手12、22をリード100の周囲で、図5の矢印で示されるように反対方向に巻き回すことによって、ワイヤー40がリードの周囲にきつく押し付けられるようにすることもできる。
【0027】
ワイヤー40がリードの周囲に十分に押し付けられたところで、タブ16、26を旋回させて、各ピン18、28がそれぞれの把手本体の開口部13、23から取り外されるようにする。この動作によって、図6に示されるように、ワイヤーの端42、44がそれぞれの深溝20、30から外れる。すると、把手12、22を取り外してもよく、ワイヤーの端42、44をリード100の周囲に締め付け、またはその他の方法で押し付けてもよい。焼き戻したワイヤーにはばね張力がないため、ワイヤーのそれぞれの軸端は、図7に示されるように、リードに押し付けられた状態を保つことができる。図7に示されるように、これでリード100の近位端は、例えば、その周囲で従来のリード抜去装置、例えば引用によって本願に援用される(特許文献18)の中で開示されている装置等を通過させることによって、抜去できるように準備された状態となっている。
【0028】
当業者であればわかるように、抜去しようとする植え込まれた医療機器、例えば心臓用(例えば、ペースメーカーまたは除細動器の)リードには、植え込まれたリードの長さ、またはその長さの一部に沿って延びる1本または複数のケーブル、ワイヤー、コイル及びその他(「ケーブル」)が含まれている。前述のように、従来のリード抜去装置は一般に、すでに心臓用器材から切り離されたリードの近位端の周囲に案内される。しかしながら、場合により、ケーブルのうちの1本または複数が植え込まれたリードの絶縁体またはその他の外面に食い込んで貫通していることがある。多くの要素が、ケーブルが心臓用リードの外面に食い込んで貫通する原因となりえ、例えば、リードが位置付けられた体内環境、リードが植え込まれていた時間の長さ、リードが留置されていた血管の曲率等がある。
【0029】
このようなリードの周囲に抜去または除去装置の先端を適正に前進させて、抜去装置をリードと、横方向に延びているケーブルがあれば、そのすべての両方の周囲に同時に前進させることは、不可能ではないとしても、困難であるかもしれない。このような位置付けが可能であったとしても、医師及び/または他の医療従事者による予定外の追加の努力が必要となりえ、また抜去を達成するために、更に多くの手術時間と費用も必要となりうる。
【0030】
これらの欠点を避けるために、植え込まれたリードの近位端を、抜去装置を前進させている間にケーブルがリードから横方向に飛び出さないように扱い、構成し、またはその他の方法で位置付けることが有利である。むしろ、ケーブルをリードのうちの、リード抜去装置がその周囲に進められることになる部分と実質的に接触するように戻すことが望ましい。知るかぎりでケーブルの分離が起こっていないとしても、植え込まれた機器の少なくとも近位端を上述の、また図3〜7の例に示されているような方法で扱うことは依然として有利であろう。こうすることによって、リード抜去手順中にこのような分離が発生する可能性が低減するか、知らないうちに分離が発生していた場合に、ケーブルがリードと再び接触することになるであろう。
【0031】
図8〜10は、装置10を使ってリード200の分離された近位端202の扱い方の別の例を示す。この例では、ケーブル210がリードの外面のある長さにわたり食い込んで貫通している。そこから飛び出しているケーブルを示している以外、リード200はその他の点では図3〜7の例のリード100と同様である。図8の例は、1本のケーブル210がリード200の別々の部分から飛び出している様子を示しているが、当業者にとっては当然のことながら、抜去しようとするリードからは2本以上のケーブルが飛び出しているかもしれず、これらのケーブルは、リードの異なる長さから飛び出しているかもしれない。
【0032】
図9は、例えば図3〜7に関して上述した方法でワイヤー40がケーブル210の周囲に巻き付けられた後のリード200を示している。図のように、ワイヤー40がケーブル210をリードの外面と密着させている。図10は、図9のリードとワイヤーを示し、またリード200の周囲で前進させるように位置付けられたリード抜去装置300も示している。前述のようにリード抜去装置は当業界で公知であり、当業者であれば、ワイヤー40がリードの周囲に巻き付けられている場合の、特定の抜去作業に使用するのに適した抜去装置を容易に選択できる。ケーブル210をリード200の本体に近接させてから、リードの周囲に抽出装置300を進めることによって、抜去装置をリード構造体全体の周囲に容易に進めることができ、そのような前進において、横方向に延びるケーブルや同様の要素の存在が障害とならない。
【0033】
図11は、図8〜10の例の変形版を示す。この変形版では、ワイヤー40はロッキングスタイレット120の周囲にも巻き付けられている。心臓用リードが前述のようにその中に延びる内腔を有する場合、公知のようにロッキングスタイレットを内腔の中に通すことが有利となりうる。場合により、ロッキングスタイレットは内腔内に導入される際にリードと完全にはロックされず、その結果、引っ張った時にスタイレットが滑り、またはその他の方法で外れることがある。装置10のワイヤーを図のようにリードとスタイレットの周囲に巻き付けることによって、ロッキングスタイレットが意図されずにリードから引き抜かれ、または外れることが防止される。これに加えて、この構成ではリード上にまた別のロッキング地点ができ、それによってリード全体をよりよく制御できる。
【0034】
装置10のその他の変形版が図12と13に示されている。これらの変形版では、係留手段80がワイヤー40に係合されている。図12は、図2のような装置10の分解図であり、係留手段80がワイヤー40から延びている。図13は、図3と同じ全体的な方法で装置の表面に沿って受けられている心臓用リードを示す。係留手段は、例えば内腔を持たないリードを抜去している場合、及び/またはリードがその内部を通る内腔を有するが、それでもロッキングスタイレットの使用が実際的ではないかもしれない場合に有益となりうる。係留手段80は、ワイヤー40と同じ組成物で形成できる。係留手段は一般に、それが抜去装置全体及びそれを越えて延びることができる長さを有する。
【0035】
当業者にとっては当然のことながら、装置10の上記の特徴は、例に示された具体的な構成を有している必要はない。例えば、把手本体14、24は必ずしも図のような概して平坦な台座部15、25を有していなくてよい。むしろ、把手本体は緩やかに湾曲していてもよく、場合によっては、リード100のような植え込まれた機器が把手の面に沿って制御可能に受けられるのであれば、溝、深溝またはその他の構造を有してさえしてもよい。更に、2つの同じ把手を提供することは製造上経済的ではあるが、これは必須ではなく、それぞれの把手を異なる構成にしてもよい。場合により、1つの把手(図中の把手12等)のみに台座部または、植え込まれた機器をそこに沿って受けるためのその他の面があればよい。
【0036】
同様に、把手12、22は図のように丸くなくてもよく、これは、その他の幾何学的形状の把手でも、図の把手と同様に機能するからである。同様に、タブ16、26は必ずしも把手本体と一体でなくてよく、これは、非一体型のタブ及び同様の構造も通常、上述のようなタブの機能を果たすために同様に位置付けることができるからである。
【0037】
同じく当業者にとっては当然のことながら、装置10は医療分野において他の用途にも使用できる。例えば、植え込まれて強固に石灰化した構造体、例えば輸液カテーテル等を血管から抜去することが望ましい場合、公知の方法で、ロッキングスタイレットのような装置または先端にバルーンを有する抜去装置をこの構造体の遠位部と係合するように構成してもよい。この場合、装置10は構造体の近位端を抜去装置に連結するように構成できる。その結果、医師は1つの装置のみを引くことにより、植え込まれていた構造体を抜去できる。
【0038】
上記の詳細な説明は限定的ではなく例示的とみなし、本発明の本質と範囲を定義するのは、あらゆる均等物を含む以下の特許請求の範囲であると理解するものとする。
【符号の説明】
【0039】
10 装置
12 把手
13 開口部
14 把手本体
15 台座部
16 タブ
17 タブ穴
18 ピン
19 ピン延長部
20 溝
21 スロット
22 把手
23 開口部
24 把手本体
25 台座部
26 タブ
27 タブ穴
28 ピン
29 ピン延長部
30 深溝
31 スロット
40 ワイヤー
42 端
44 端
80 係留手段
100 リード
102 近位端
120 ロッキングスタイレット
200 リード
202 近位端
210 ケーブル
300 リード抜去装置
F1 指
F2 指
T1 親指
T2 親指
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13