【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1に記載の構成を備えたガイドレール、または請求項
2に記載の構成を備えた車両ドア用のドアシステムによって達成される。
【0007】
本発明の解決手段は、本発明にかかるガイドプロファイルにより、スライダを使用しない簡単なオン−オフ金型でガイドレールまたはドアシステムのキャリアを形成することができるので、ねじりを有するガイドレール用のガイドプロファイル、および/またはガイド部位を有するキャリア、ねじりを有するキャリア、もしくはねじり自在なキャリアを備えたドアシステムを、簡単かつコスト効率よく製造することができる。
【0008】
詳細には、本発明にかかるガイドレールのねじりを有するガイドプロファイルまたは曲げを有するガイドプロファイルは、ベース部および2種類の脚部を有しており、かつ、ウィンドウリフタの、ウィンドウガラスに連結可能である調節部品を、当該ガイドレールによって規定される調節方向に沿って案内するためのガイドプロファイルであって、前記脚部は、前記ベース部の端部から鈍角の抜き勾配で突出しており、前記抜き勾配の大きさが、前記ウィンドウガラスの調節移動経路(ストローク)における当該ウィンドウガラスの後退運動によって定まる当該ガイドレールのねじりまたは曲げに比例している。
【0009】
これにより、スライダを使用せずとも、金型からねじりを有するガイドレールを取り出すことができる。したがって、ねじりを有するガイドレール用のガイドプロファイルを簡単かつコスト効率よく製造することができる。
【0010】
好ましくは、前記脚部が、前記ガイドプロファイルの前記ベース部の前記端部から、前記ベース部の法線に対してプロファイル角度γをなして突出しており、前記プロファイル角度γは、以下の条件:
γ≧α+β
(式中、αおよびβは、前記ガイドレールの両端部に対する、当該ガイドレールのねじり角度である。)
を満足するように決定される。
【0011】
本発明にかかる車両ドア用のドアシステムは、キャリアと、ウィンドウガラスを昇降させるウィンドウリフタ用の、前記キャリアに一体化された少なくとも2つのガイドレールとを備えており、前記ガイドレールが、前記ウィンドウリフタの、前記ウィンドウガラスに連結可能である調節部品を、当該ガイドレールによって規定される調節方向に沿って案内するためのガイドプロファイルを有する、車両ドア用のドアシステムであって、前記キャリアが、少なくとも一部にねじりまたは曲げが施されるガイドレールを、少なくとも1つ具備しており、当該ガイドレールの前記ガイドプロファイルが、ベース部と、当該ベース部の端部から鈍角の抜き勾配で突出する2種類の脚部とを有しており、前記抜き勾配の大きさが、前記ウィンドウガラスの後退運動によって定まる前記キャリアのねじりもしくは曲げ、または前記ウィンドウガラスの移動経路における当該ガイドレールのねじりもしくは曲げに比例している。
【0012】
このようなドアシステムにガイドレールを使用する場合にも、前記抜き勾配の大きさは、前記ウィンドウガラスの後退運動によって定まる前記キャリアのねじりもしくは曲げ、または前記ウィンドウガラスの移動経路における当該ガイドレールのねじりもしくは曲げに比例する。
【0013】
好ましくは、ガイドレールが互いに平行に向くようにして前記キャリアに一体化される場合、前記脚部が、前記ガイドプロファイルの前記ベース部の前記端部から、前記ベース部の法線に対してプロファイル角度γをなして突出しており、前記プロファイル角度γは、以下の条件:
γ≧α+β
(式中、αおよびβは、前記ガイドレールの両端部に対する、当該ガイドレールのねじり角度である。)
を満足する。
【0014】
好ましくは、ガイドレールが前記ウィンドウガラスのガラス面と揃うように前記ベースプレートに一体化される場合、前記脚部が、前記ガイドプロファイルの前記ベース部の前記端部から、前記ベース部の法線に対してプロファイル角度γをなして突出しており、前記プロファイル角度γは、以下の条件:
γ≧α+β−δ/2
(式中、αおよびβは、前記ガイドレールの両端部に対する、当該ガイドレールのねじり角度であり、δは、両ガイドレールのベース部がなす角度である。)
を満足する。
【0015】
スライダを使用しない簡単なオン−オフ金型により、さらに、ウィンドウリフタの構成品(例えば、ロープドラムなど)を収容するさらなる凹部を前記キャリアに成形するのであれば、そのような凹部の向き、すなわち、金型分割線に対する当該凹部の角度位置またはキャリアの平面に対する当該凹部の角度位置も考慮に入れる必要がある。なぜなら、その角度位置によっては、金型の後退方向または金型からの取出し方向が垂直方向から外れることとなり、ガイドレールのプロファイル角度にも影響を及ぼすからである。
【0016】
好ましくは、本発明にかかる車両ドア用のドアシステムにおいて、ガイドレールが互いに平行に向くようにして設けられ、前記ウィンドウリフタの構成品、特に、ロープドラム、を収容する凹部が前記キャリアに成形されており、かつ、当該凹部の側壁が、金型の金型分割面の法線に対して傾斜角度Ωで傾斜している場合、前記ガイドレールの前記ガイド脚部は、前記ベース部の法線Nに対してプロファイル角度γで傾いており、前記プロファイル角度γは、以下の条件:
γ≧α+β±Ω
(式中、αおよびβは、前記ガイドレールの両端部に対する、当該ガイドレールのねじり角度である。)
を満足する。
【0017】
好ましくは、本発明にかかる車両ドア用のドアシステムにおいて、ガイドレールがウィンドウガラスのガラス面と揃うように設けられ、前記ウィンドウリフタの構成品、特に、ロープドラム、を収容する凹部が前記キャリアに成形されており、かつ、当該凹部の側壁が、金型の金型分割面の法線に対して傾斜角度Ωで傾斜している場合、前記ガイドレールの前記ガイド脚部は、前記ベース部の法線Nに対してプロファイル角度γで傾いており、前記プロファイル角度γは、以下の条件:
γ≧α+β−δ/2±Ω
(式中、αおよびβは、前記ガイドレールの両端部に対する、当該ガイドレールのねじり角度であり、δは、両ガイドレールのベース部がなす角度である。)
を満足する。
【0018】
前記傾斜角度Ωによって、金型の後退方向は金型分割面に対する垂直線から外れてしまうが、前記ガイド脚部を前記ベース部の法線Nに対して傾ける前記プロファイル角度γについて、簡単なオン−オフ金型から前記キャリアを取り出すことのできるプロファイル角度γの下限値に上記のように前記傾斜角度Ωを考慮することにより、金型からの取出しが可能となる。
【0019】
また、曲げおよび/またはねじりが施されたガイドレールと一体化したキャリアを、簡単なオン−オフ金型により製造するという条件を維持しながら、ダブルレール式システムの右側のガイドレールのガイド脚部のプロファイル角度と左側のガイドレールのガイド脚部のプロファイル角度とを、互いに異ならせることも可能である。すなわち、右側のガイドレールのガイド脚部のプロファイル角度と左側のガイドレールのガイド脚部のプロファイル角度とを、ウィンドウリフタの構成品を収容する凹部の傾斜に応じて、互いに異なる角度に調節してもよい。
【0020】
同様に、ガイドレールが互いに平行に設けられる場合、およびガイドレールがウィンドウガラスのガラス面と揃うように設けられる場合のいずれであっても、左側の前記ガイドレールの前記ガイド脚部の前記プロファイル角度および/または前記脚部の前記プロファイル角度と、右側の前記ガイドレールの前記ガイド脚部の前記プロファイル角度および/または前記脚部の前記プロファイル角度とは、互いに異なっていてよい。
【0021】
つまり、各ガイドレールの案内特性を互いに異ならせたい場合、左側のガイドレールのガイド脚部と右側のガイドレールのガイド脚部とで角度を異ならせることにより、互いに異なる案内特性を同時に検討することができる。例えば、2つのガイドレールのうちの一方のガイドレールについて、車両の長手方向またはX軸方向の案内特性を向上させることができる。この場合、その一方のガイドレールのプロファイル角度は、下限値、特に、ゼロに設定される。つまり、その一方のガイドレールのプロファイル角度は、金型分割面の法線に対する前記凹部の側壁の傾斜に対し、これと平行になる数値に設定される。
【0022】
本発明にかかるねじりを有するガイドレールを製造する方法は、射出成形金型の、前記ガイドレールのガイドプロファイルに対応する分割型を閉じて、プラスチックを加圧下で注入し、前記分割型を開いて前記ガイドレールを取り出すにあたって、射出成形金型(オン−オフ金型)の開閉方向に対して垂直または斜めに案内されるスライダを使用しないことを特徴とする。
【0023】
本発明にかかる、キャリアおよび当該キャリアに設けられる、ウィンドウリフタの2つのガイドレールを製造する方法は、射出成形金型の、前記キャリアおよび前記ガイドレールのガイドプロファイルに対応する分割型を閉じて、プラスチックを加圧下で注入し、前記分割型を開いて前記キャリアおよび前記ガイドレールを取り出すにあたって、射出成形金型(オン−オフ金型)の開閉方向に対して垂直または斜めに案内されるスライダを使用しないことを特徴とする。
【0024】
以下では、本発明を、図面に示す複数の実施形態を参照しながら詳述する。