特許第5799094号(P5799094)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エコ テクノル プロプライエタリー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許5799094-膜技術の使用によるシンガスの生成 図000002
  • 特許5799094-膜技術の使用によるシンガスの生成 図000003
  • 特許5799094-膜技術の使用によるシンガスの生成 図000004
  • 特許5799094-膜技術の使用によるシンガスの生成 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799094
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】膜技術の使用によるシンガスの生成
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/34 20060101AFI20151001BHJP
   C01B 31/20 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/70 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/50 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/52 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/76 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/72 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/68 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 63/08 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20151001BHJP
   C10L 3/10 20060101ALI20151001BHJP
   C10G 2/00 20060101ALI20151001BHJP
   B01D 71/64 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   C01B3/34
   C01B31/20 B
   B01D53/22
   B01D71/70 500
   B01D71/50
   B01D71/52
   B01D71/76
   B01D71/72
   B01D71/68
   B01D63/08
   B01D69/10
   B01D69/12
   C10L3/10
   C10G2/00
   B01D71/64
【請求項の数】20
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-518644(P2013-518644)
(86)(22)【出願日】2011年6月29日
(65)【公表番号】特表2013-538772(P2013-538772A)
(43)【公表日】2013年10月17日
(86)【国際出願番号】US2011042365
(87)【国際公開番号】WO2012006155
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月11日
(31)【優先権主張番号】61/362,975
(32)【優先日】2010年7月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513006287
【氏名又は名称】エコ テクノル プロプライエタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラリー リーエン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ エム.トランキラ
(72)【発明者】
【氏名】トニー ピカロ
【審査官】 廣野 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−214174(JP,A)
【文献】 特開昭60−197298(JP,A)
【文献】 特開2003−081605(JP,A)
【文献】 特開平11−093778(JP,A)
【文献】 特表2006−515636(JP,A)
【文献】 特開2000−104078(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/114274(WO,A1)
【文献】 特開平06−099035(JP,A)
【文献】 特開平11−322638(JP,A)
【文献】 特表2008−528423(JP,A)
【文献】 特開2005−337032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/34
B01D 53/22、61/00−71/82
C01B 31/00−31/36
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道ガス流および天然ガス流からプラズマまたは化学改質デバイス内でシンガスを生成するための方法であって:
炭素または炭化水素燃焼器から煙道ガス流を供給し、そのような流れを、第1の半透膜デバイス内で、第1の主にCO2である流れおよび主にN2を含有する第2の流れに分離するステップと、
CH4および約2から40%のCO2を含有する天然ガス流を供給し、そのような流れを第2の半透膜デバイス内で分離して、CO2含量が増加しかつCO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する第1の供給流、および少なくとも約90%のメタンを含有する第3の流れを得るステップと、
前記第3の流れからの第1の副流を、前記第1の主にCO2である流れにブレンドして、CO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する第2の供給流を生成するステップと、
前記第3の流れからの第2の副流を、コジェネレーション装置内で空気と共に燃焼させて、電力を生産するステップと、
前記コジェネレーション装置からの排ガス流を、第3の半透膜デバイスに送出し、第2の主にCO2であるガス流を分離するステップと、
前記第2の主にCO2である流れを、前記第3の流れの第3の副流にブレンドして、CO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する第3の供給流を生成するステップと、
前記第1の供給流、前記第2の供給流、および前記第3の供給流で構成された複合供給流を、そのような供給流をシンガスに変換する前記プラズマまたは化学改質デバイスに送出するステップと
を含み、
それによってシンガスが、環境に優しいプロセスで天然ガスおよび煙道ガス流から生成され、このプロセスが、前記第1の膜分離デバイス、前記第2の膜分離デバイス、および前記第3の膜分離デバイスと、前記プラズマまたは化学改質デバイスとを操作するのに十分な電力を発生させるよう制御されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記複合供給流が、シンガスの流れを発生させるマイクロ波プラズマ反応器に送出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シンガスの流れが、液体炭化水素、熱、およびテールガス(tail gas)を生成するFischer−Tropsch(F−T)反応器に、供給原料として提供されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記F−T反応器からの熱が、前記コジェネレーション装置での電力の発生に寄与し、前記テールガスが、前記コジェネレーション装置内で燃焼されまたは前記排ガス流もしくは前記煙道ガス流と組み合わされて追加の二酸化炭素を提供することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の半透膜デバイスが、ポリジメチルシリコーン(PDMS)、ポリイミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールケトン、ポリカーボネート、ポリスルホン、およびポリアセチレンからなる群から選択されたポリマー膜を用いることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記半透膜がジメチルシリコーンポリマーであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の半透膜デバイスが、その半透膜としてポリマーシート材料を用い、前記第1の流れが、前記膜内を透過することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記半透膜が、約0.1ミクロンから10ミクロンの厚さを有するPDMSシート材料を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記半透膜が、支持多孔質ポリマー膜との積層体としてのポリジメチルシリコーンシート材料であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
有意な量のCO2を含有する天然ガス流からプラズマまたは化学改質デバイス内でシンガスを生成するための方法であって:
CH4および約2から40%のCO2を含有する天然ガス流を供給し、そのような流れを半透膜デバイス内で分離して、CO2含量が増加しかつCO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する第1の透過物流、および少なくとも約90%のメタンを含有するメタンに富む濃縮物流を得るステップと、
前記濃縮物流からの副流を、コジェネレーション装置内で空気と共に燃焼させて、電力を生産するステップと、
前記コジェネレーション装置からの排ガス流を、別の半透膜デバイスに送出し、主にCO2である透過物流を分離するステップと、
前記主にCO2である透過物流を、前記メタンに富む濃縮物流の別の副流にブレンドして、CO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する供給流を生成するステップと、
前記第1の透過物流および前記供給流で構成された複合供給流を、そのような流れをシンガスに変換するプラズマまたは化学改質デバイスに送出するステップと
を含み、
それによってシンガスが、環境に優しいプロセスでCO2含有天然ガスから生成され、このプロセスが、前記膜分離デバイスと前記プラズマまたは化学改質デバイスとを操作するのに十分な電力を発生させるよう制御されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記複合供給流が、シンガスの流れを発生させるマイクロ波プラズマ反応器に送出されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シンガスの流れが、液体炭化水素、熱、およびテールガスを生成するFischer−Tropsch(F−T)反応器に、供給原料として提供されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記F−T反応器からの熱が、前記コジェネレーション装置での電力の発生に寄与し、前記テールガスが、前記コジェネレーション装置内で燃焼されまたは前記排ガス流もしくは前記煙道ガス流と組み合わされて追加の二酸化炭素を提供することを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記半透膜デバイスが、ポリジメチルシリコーン(PDMS)、ポリイミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールケトン、ポリカーボネート、ポリスルホン、およびポリアセチレンからなる群から選択されたポリマー膜を用いることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記半透膜デバイスが、支持多孔質ポリマー膜との積層体としてポリジメチルシリコーン(PDMS)シート材料を用いることを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記天然ガス流が、約5%から35%のCO2を含有し、前記メタンに富む濃縮物流が、少なくとも約98%のメタンを含み、第3の副流が、前記メタンに富む濃縮物流から分割され、パイプライン品質の天然ガスとして移出されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
有意な量のCO2を含有する天然ガス流からプラズマまたは化学改質デバイス内でシンガスを生成するための方法であって:
CH4および約2から40%のCO2を含有する天然ガス流を供給し、そのような流れを半透膜デバイス内で分離して、CO2含量が増加しかつCO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する第1の透過物流、および少なくとも約90%のメタンを含有するメタンに富む濃縮物流を得るステップと、
前記濃縮物流からの副流を、コジェネレーション装置内で空気と共に燃焼させて、電力を生産するステップと、
前記コジェネレーション装置からの排ガス流を、別の半透膜デバイスに送出し、主にCO2である透過物流を分離するステップと、
前記主にCO2である透過物流を、前記濃縮物流の別の副流にブレンドして、CO2およびCH4を約50/50のモル比で含有する供給流を生成するステップと、
前記第1の透過物流および前記供給流で構成された複合供給流を、そのような流れを第1のシンガス生成物流に変換するプラズマ改質デバイスに送出するステップと、
前記濃縮物流から第3の副流を分割し、そのような流れを、水蒸気および/または水との混合物として第2のプラズマ改質デバイスに供給して、そのような混合物を、より高い水素含量の第2のシンガス生成物流に変換するステップと、
前記第1のシンガス生成物流および前記第2のシンガス生成物流を組み合わせるステップと
を含み、それによって比較的高い水素含量を有するシンガスが、環境に優しいプロセスで天然ガスから生成され、このプロセスが、前記膜分離デバイスと前記プラズマ改質デバイスの両方とを操作するのに十分な電力を発生させるよう制御されることを特徴とする、方法。
【請求項18】
前記プラズマ改質デバイスの両方が、マイクロ波プラズマ反応器であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のシンガス生成物流の一部が、水シフト反応器(WSR)に向けられて、そのCO画分が水および/または水蒸気と反応して追加のH2を生成し、WSRからのH2は、水素に富む流れとして前記第1のシンガス生成物流および前記第2のシンガス生成物流の残りと組み合わせることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記WSRからの産出物を圧力スイング吸着ユニットに送出して、水素に富む流れと、主にCO2である透過物流に添加されるCO2に富む流れとを生成することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその開示が本明細書に組み込まれている、2010年7月9日に出願した米国特許仮出願第61/362,975号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般にシンガス(CO+H)の形成に関し、より詳細には、シンガス生成を目的として適切な供給流を提供するための、膜技術による二酸化炭素およびメタンの供給の制御および規制に関する。さらにより詳細には、シンガスへの改質および変換に適切な二酸化炭素とメタンとの比を有する、メタンとの革新的な混合物を提供するための、二酸化炭素で汚染されたガスからの二酸化炭素の分離における膜技術の使用と、さらに、そのようなシンガスを、Fischer−Tropsch(F−T)反応器で液体炭化水素に転換される供給原料として用いることに関する。
【背景技術】
【0003】
二酸化炭素の管理というテーマは、温室効果ガス削減の全体的戦略において最優先される。二酸化炭素の管理は、この文脈では、削減、封じ込め、および変換、ならびにこれらの手法の組合せを含むことができる。新たな二酸化炭素排出量の削減は、任意の将来の対気候変動環境戦略で極めて重要であるが、生態系に存在する二酸化炭素の膨大なインベントリに対処しておらず、新たな排出を発生させる現在の機運にも対処していない。そのような理由で、二酸化炭素を(好ましくは放出部位で)効率的に捕獲することができかつそれを新たな燃料源への再生サイクルの一部として使用することができる技術を開発することが、大変重要視されている。
【0004】
ガス分離を行うための半透膜の使用は、十分受け入れられており、様々なポリマーおよび無機構成の膜は、広範にわたるガスおよびガス混合物全体にわたって様々な分離の程度を示す。そのような半透膜は、平らなシート、チューブ状、螺旋巻き、および中空糸の構成で入手可能であり、多くの膜は、良好な分離係数を示し、即ち二酸化炭素およびメタンの場合2.5〜50対1であり、COおよび窒素の場合2.5〜100対1であり、ならびにかなり低い正味の推進圧で高い透過性を示す。これらの戦略が守備よくなされる場合、供給材投入量のばらつきを受け入れ、次いでそれらをガス状混合物が制御されまたは規制されるように処理することによって、後続のプロセスに供給される二酸化炭素、メタン、および/または窒素の所望の混合物を得ることができることが、しばしば必要と考えられる。
【0005】
上述のように二酸化炭素の捕獲は、有効な二酸化炭素管理戦略の一部にすぎず;重要な部分では、二酸化炭素を高価値燃料(および非燃料)生成物に変換する効率的な手段を提供しており、したがって、新しい炭素を全体的な燃料サイクルにもたらす必要性が軽減されることになる。一般に、二酸化炭素の変換はエネルギー集約的なプロセスであることが判明し、したがってエネルギー効率という全般的な目的が否定される可能性がある。しかしプラズマ技術が、特に水素源ガスが存在しているガス混合物中の二酸化炭素を効率的に変換する1つの手法として浮上してきた。マイクロ波プラズマは、これらのプロセスで特に効率的であり、報告されたエネルギーコストは、メタンおよび二酸化炭素の改質から生成された水素ガス1立方メートル当たり0.15kWhと低い。
【0006】
Dickmanらの特許文献1は、水素燃料電池の燃料管理システムを開示しており;このシステムは、燃料電池に必要とされる燃料ミックスの一部として様々な供給材から、制御可能に充填および混合することができるいくつかのタンクを含む。Adamopoulosらの特許文献2は、ガス流から硫黄を最初に除去するために吸着剤を使用し、次いで膜システムで処理することにより、水素に富む流れから二酸化炭素が分離される。
【0007】
Weiらの特許文献3は、燃焼前二酸化炭素捕獲プロセスの一部として高濃度水素流を生成するために、シンガス流から二酸化炭素を分離する目的で、無機およびポリエーテル膜システムを使用することについて述べている。Muradovらの特許文献4は、水素燃焼からの燃焼ガスを処理して水素をその他のガス(メタンを含む)から分離するために、膜システム、圧力スイング吸着システム、または極低温吸着ユニットをおそらくは使用することについて述べている。
【0008】
Hoffmanらの特許文献5は、水素を生成し二酸化炭素を単離するためのタービンシステムの一部として、二酸化炭素が少ない流れ(二酸化炭素が少ない流れは、一酸化炭素、窒素、およびメタンなどの未使用燃料を含有していてもよい)から二酸化炭素に富む流れを分離するために、ゼオライトおよびセラミック膜を使用してもよいことを示唆している。このシステムでは、二酸化炭素は、燃焼温度調節およびタービン冷却に使用される。Hemmingsらの特許文献6は、水およびメタンの改質を使用した、シンガス生成のためのシステムを開示し;このシステムでは、酸素輸送膜が、シンガス生成物を生成する燃焼プロセスの一部として使用される。Murphyの特許文献7は、水および炭化水素を含む改質器反応で使用されるマイクロ波プラズマを開示し、このプラズマ反応は、1つまたは複数の金属線セグメントを使用して開始されるものである。
【0009】
マイクロ波プラズマ技術が、特定濃度のCOおよびCHを約1.5対1以下のモル比、即ち二酸化炭素(40〜60モルパーセントの範囲内)およびメタン(60〜40モルパーセントの範囲内)で含有するガス流を、一酸化炭素および水素(シンガス)混合物に改質するのに使用できることは公知である(特許文献8および9参照)。そのような生成物は、そのようなガス状混合物を液体炭化水素に変換することになる、従来のFischer−Tropsch(F−T)合成(参照によりその開示が本明細書に組み込まれる特許文献10および11参照)の供給原料として使用することができる。しかし、そのような戦略が経済的に現実のものとなることができる前に、操作効率が見出されることが、最も重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第7,682,718号明細書
【特許文献2】米国特許第7,637,984号明細書
【特許文献3】米国特許第7,648,566号明細書
【特許文献4】米国特許第7,588,746号明細書
【特許文献5】米国特許第7,634,915号明細書
【特許文献6】米国特許第7,686,856号明細書
【特許文献7】米国特許第5,277,773号明細書
【特許文献8】米国特許第4,975,164号明細書
【特許文献9】米国特許第5,266,175号明細書
【特許文献10】米国特許第6,596,780号明細書
【特許文献11】米国特許第6,976,362号明細書
【特許文献12】米国特許第5,621,155号明細書
【特許文献13】米国特許第5,993,761号明細書
【特許文献14】米国特許第6,153,852号明細書
【特許文献15】米国特許第4,529,411号明細書
【特許文献16】米国特許第5,411,721号明細書
【特許文献17】米国特許第6,572,678号明細書
【特許文献18】米国特許第6,579,331号明細書
【特許文献19】米国特許第7,314,503号明細書
【特許文献20】米国特許第5,763,716号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Rezaei, M, S.M., Alavi, S., Sahebdelfar,およびZi-Feng Yan,(2006), "Syngas production by methane reforming with carbon dioxide on noble metal catalysts", Journal of Natural Gas Chemistry, Vol. 15, pp. 327-334
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
膜技術とプラズマ技術の両方の分野の進歩にも関わらず、そのような膜分離を統合型ガス管理システムおよびプラズマ改質器プロセスにおいて有用な「調節可能な」要素として機能させることができるような手法で、これらの技術を統合する必要性が存在する。特に、様々な二酸化炭素源から生成された最適なガス混合物供給流をマイクロ波プラズマ改質器に供給することが可能な、膜ベースのガス制御システムが求められている。
【0013】
したがって本発明の目的の1つは、様々な供給源から直接二酸化炭素を捕獲し、それを濃縮し、そのような濃縮物とメタンガスとを組み合わせ、シンガス生成のためのマイクロ波プラズマ改質器への供給流として使用するのに最適なガス混合物を制御可能にかつ経済的に生成することができる、膜ベースのシステムを提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、上記に加え、そのようなマイクロ波プラズマ改質器に電力を供給するのに十分な電気エネルギーを、熱電併給できるプロセスおよびシステムを提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、Fischer−Tropsch液体炭化水素生成プロセスと組み合わせて統合させた、前述のプロセスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
膜技術を使用した二酸化炭素およびメタンの分離/濃縮は、合成ガス、即ちシンガスと一般に呼ばれる一酸化炭素と水素との混合物を経済的に生成するマイクロ波プラズマプロセスへの供給流として有用な、特定のモル比の二酸化炭素およびメタンを経済的に得るために、発電と組み合わせることができることが見出された。システムは、好ましくは、プラズマ改質器の操作に必要なエネルギーのほとんどまたは全てを供給することになる、電気的コジェネレーションの特徴を含む。いくつかの実施形態では、膜分離プロセスは、供給原料としてシンガスを受け取るFischer−Tropschプロセスからエネルギーを回収するのを支援するためにも統合され;次いでそのようなエネルギーは、プラズマ改質器および/または膜分離プロセスに必要なエネルギーを補うのに使用される。
【0017】
二酸化炭素およびメタンを、ディーゼル燃料その他の液体炭化水素などのより高い燃料生成物の生成に使用される一般的な供給原料であるシンガス、CO−H混合物に変換するシステムが提供される。システムは、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる特許文献8、9、7、12、13、および14に記載されるように、選択された投入ガス流を捕獲し、分離し、濃縮し、次いでそれらをプラズマ改質器反応器などの手段によってシンガスに変換する構成要素を含む。
【0018】
プラズマ技術の利益は、変換反応がほんの数秒以下で生じるので非常に小さなフットプリント要件しかなく、連続プロセスとして操作できることである。1000MW石炭火力発電所がCOを約800〜1000トン/時排出する可能性があることを考慮すれば、滞留時間が非常に短い単純な連続プロセスが、変換反応を行うのに理想的に適している。これはプラズマ変換手法を、発電所やセメントミルまたは製鋼所のような工業用地などの大点源エミッタ(large point source emitter)からの炭素の排出を管理する、理想的な方法にする。
【0019】
そのようなシステムは、かなり広範な投入ガス濃度および混合物を受け入れるのに制御可能であり、それと共に、特定の改質器用の所望のガス混合物が得られ、大気中に温室効果ガスを放出することなくいかなるガスの不均衡も再循環させることが可能になる。上述のように、平均的なプラズマ改質器を含むと考えられる、操作に必要なエネルギーのほとんどまたは全てを供給することができる電気的コジェネレーションの特徴を含むことも望ましい。
【0020】
総合的なプロセスの利点には、化石燃料、例えば電力生産に伴う炭化水素または石炭をベースにしたガス流から燃焼後二酸化炭素を濃縮した(90+%除去する)結果生じる、気候変動の緩和が含まれる。一般に、膜技術およびプロセス再循環を使用するプロセスは、そのような人類を起源にしたものから大気中に通常通り放出された二酸化炭素を濃縮することになり、その二酸化炭素を濃縮することになり;次いでそのような濃縮された二酸化炭素は引き続き、マイクロ波プラズマ改質(またはその他の変形プロセス)のための供給材料源の一部になる。
【0021】
ある特定の態様では、煙道ガス流および天然ガス流からプラズマまたは化学改質デバイス内でシンガスを生成するための方法であって、炭素または炭化水素燃焼器から煙道ガス流を供給し、そのような流れを、第1の半透膜デバイス内で、第1の主にCOである流れおよび主にNを含有する第2の流れに分離するステップと、CHおよび約2から40%のCOを含有する天然ガス流を供給し、そのような流れを第2の半透膜デバイス内で分離して、CO含量が増加しかつCOおよびCHを約50/50のモル比(本明細書で定義されるように)で含有する第1の供給流、および少なくとも約90%のメタンを含有する第3の流れを得るステップと、前記第3の流れからの第1の副流を、前記第1の主にCOである流れにブレンドして、COおよびCHを約50/50のモル比で含有する第2の供給流を生成するステップと、前記第3の流れからの第2の副流を、コジェネレーション装置内で空気と共に燃焼させて、電力を生産するステップと、コジェネレーション装置からの排ガス流を、第3の半透膜デバイスに送出し、第2の主にCOであるガス流を分離するステップと、前記第2の主にCOである流れを、前記第3の流れの第3の副流にブレンドして、COおよびCHを約50/50のモル比で含有する第3の供給流を生成するステップと、前記第1の供給流、前記第2の供給流、および前記第3の供給流で構成された複合供給流を、そのような供給流をシンガスに変換するプラズマまたは化学改質デバイスに送出するステップとを含み、それによってシンガスが、環境に優しいプロセスで天然ガスおよび煙道ガス流から生成され、このプロセスが、前記第1の膜分離デバイス、前記第2の膜分離デバイス、および前記第3の膜分離デバイスと前記プラズマまたは化学改質デバイスとを操作するのに十分な電力を発生させるよう制御される方法が提供される。
【0022】
別の特定の態様では、有意な量のCOを含有する天然ガス流からプラズマまたは化学改質デバイス内でシンガスを生成するための方法であって、CHおよび約2から40%のCOを含有する天然ガス流を供給し、そのような流れを半透膜デバイス内で分離して、CO含量が増加しかつCOおよびCHを約50/50のモル比(本明細書で定義されるように)で含有する第1の透過物流、および少なくとも約90%のメタンを含有するメタンに富む濃縮物流を得るステップと、前記濃縮物流からの副流を、コジェネレーション装置内で空気と共に燃焼させて、電力を生産するステップと、前記コジェネレーション装置からの排ガス流を、別の半透膜デバイスに送出し、主にCOである透過物流を分離するステップと、前記主にCOである透過物流を、前記メタンに富む濃縮物流の別の副流にブレンドして、COおよびCHを約50/50のモル比で含有する供給流を生成するステップと、前記第1の透過物流および前記供給流で構成された複合供給流を、そのような流れをシンガスに変換するプラズマまたは化学改質デバイスに送出するステップとを含み、それによってシンガスが、環境に優しいプロセスでCO含有天然ガスから生成され、このプロセスが、前記膜分離デバイスと前記プラズマまたは化学改質デバイスとを操作するのに十分な電力を発生させるよう制御される方法が提供される。
【0023】
他の特定の態様では、有意な量のCOを含有する天然ガス流からプラズマまたは化学改質デバイス内でシンガスを生成するための方法であって、CHおよび約2から40%のCOを含有する天然ガス流を供給し、そのような流れを半透膜デバイス内で分離して、CO含量が増加しかつCOおよびCHを約50/50のモル比(本明細書で定義されるように)で含有する第1の透過物流、および少なくとも約90%のメタンを含有するメタンに富む濃縮物流を得るステップと、前記濃縮物流からの副流を、コジェネレーション装置内で空気と共に燃焼させて、電力を生産するステップと、コジェネレーション装置からの排ガス流を、別の半透膜デバイスに送出し、主にCOである透過物流を分離するステップと、前記主にCOである透過物流を、前記濃縮物流の別の副流にブレンドして、COおよびCHを約50/50のモル比で含有する供給流を生成するステップと、前記第1の透過物流および前記供給流で構成された複合供給流を、そのような流れを第1のシンガス生成物流に変換するプラズマ改質デバイスに送出するステップと、前記濃縮物流から第3の副流を分割し、そのような流れを、水蒸気および/または水との混合物として第2のプラズマ改質デバイスに供給して、そのような混合物を、より高い水素含量の第2のシンガス生成物流に変換するステップと、前記第1のシンガス生成物流および前記第2のシンガス生成物流を組み合わせるステップとを含み、それによって比較的高い水素含量を有するシンガスが、環境に優しいプロセスで天然ガスから生成され、このプロセスが、前記膜分離デバイスと前記プラズマ改質デバイスの両方とを操作するのに十分な電力を発生させるよう制御される方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の様々な特徴を具体化したプロセスを示す、概略的なフローシートであって、COで汚染されたメタンを含有する天然ガス流入流と、エネルギーを発生させる発電所またはその他の燃焼器からの煙道ガス流を、膜技術を使用して処理することにより、シンガスマイクロ波プラズマ改質器用の供給流をコジェネレーション操作の一部として生成し、システム全体を、いかなる電力の導入もなしに運転可能にし、かつ電力をいくらか送出することでさえ可能になる状態を示すフローシートである。
図2】既存の発電所または燃焼器と併せても動作する、図1に示される場合に類似したプロセスの概略的なフローシートであって、シンガス産出物が、液体炭化水素を生成するためにFischer−Tropsch反応器に供給され、一方、F−T反応器からの副生成物および熱は回収されて、熱電併給による電力の生成を支援するのに使用される状態を示すフローシートである。
図3】本発明の様々な特徴を具体化したプロセスを示す、概略的なフローシートであって、COで汚染されたメタンを含有する独立型天然ガス流入流を、膜技術を使用して処理することにより、コジェネレーション操作の一部としてシンガスマイクロ波プラズマ改質器用の供給流を生成し、システム全体を、いかなる電力の導入もなしに運転可能にし、かつ電力をいくらか送出することでさえ可能になる状態を示すフローシートである。
図4】COで汚染された天然ガスを処理するための、図3に類似したシステムの概略的なフローシートであって、低級炭素鎖炭化水素の生成に特に価値のある、より高い水素含量の第2のシンガス流を生成する、第2のシンガスプラズマ改質器が設けられた状態を示すフローシートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
半透膜技術は、例えば、ガソリン、ディーゼル、石炭、または天然ガス火力燃焼器/発電器から排気された煙道ガスから二酸化炭素を除去し、そのような二酸化炭素を濃縮し、その後、そのような二酸化炭素とメタンの外部供給源とをブレンドして、シンガスを生成するためプラズマ改質器への流入流(inflow stream)に望ましいCO/CH比を有する混合ガス流を生成することによって、システム全体における特定のガス流を規制し制御するために、様々に例示されたプロセスで使用される。多くの人は、様々な炭素質化石燃料の燃焼によって二酸化炭素を発生させる発電所の運転が、通常は大気中に放出される有害な温室効果ガスを生成していると感じる。これらのガスの回収にはエネルギーが必要であるが、これらの膜分離プロセスを推進させるのに必要とされるエネルギーの量は、煙道ガスを送風器で加圧し次いで膜を透過する体積のガス、即ち濃縮された二酸化炭素を、真空を使用して除去することにより、最小限に抑えられる。
【0026】
非常に一般的には、煙道ガス供給源は、透過物として濃縮された二酸化炭素を生成する膜分離デバイスに供給されることになる。1回通過させた場合、膜の濃縮物側から出ていく二酸化炭素の量は、大量の当初の質量の二酸化炭素を煙道ガス流中に含んでいてもよく;しかし追加のステージを、望む場合には使用することができる。膜は好ましくは、少なくとも約10〜15対1の、窒素(そのような排ガス流中の主要なガス)に対する二酸化炭素の選択度を有する煙道ガス濃縮用に選択される。ポリマー膜ガス分離デバイスは一般に不完全であり、煙道ガスからの透過物流は、約70%のCOと約30%のNとを含んでいてもよい。プラズマ改質器が必要とするNがより少なければ、第2のステージはNを5〜10%に削減することができ、第3のステージは約2%に削減することができる。生成された透過物ガスと投入流との比はまた、濃度分極がリーフの長さによって適正に制御されるよう、例えば螺旋巻き分離要素またはその他のそのような膜デバイスで使用される膜表面厚を選択することによって、ポリマー膜を使用した場合に制御することができ;当技術分野で公知のように、要素効率は、そのリーフの長さと、要素内への供給流の体積および速度とに基づく。
【0027】
一般に半透膜デバイスは、膜材料で構成されることになり、供給ガスのタイプと、所望のガス混合物を効率的に実現するのに必要な規制および制御の程度とに基づいた、工学原理を使用することになる。独自の構成の半透膜分離デバイスを使用するガスの分離プロセスは、改質してその後に液体炭化水素またはその他の化学物質へと最終的に変形させる流入流として適切な、最終的に所望のモル比の二酸化炭素とメタンとを生成するために、特定の供給ガス源から除去される二酸化炭素またはメタンの量を特に規制し制御するよう設計製作される。汚染された天然ガスと二酸化炭素を含む煙道ガスとの両方は、特定のマイクロ波プラズマプロセスに合わせて調整した供給流を生成するために本発明が焦点を当てる、有用な供給源である。
【0028】
膜技術とマイクロ波プラズマ改質またはその他の類似した改質とを組み合わせたこの新規な手法は、メタン、ディーゼル、ガソリン、または石炭の燃焼により燃料が供給された電力発生プラントからのもの、ならびにセメントミルおよび製鋼所からのようなものなど、かなり少量の二酸化炭素(0.5〜20%)しか煙道または排ガス流中に存在しない場合、CO除去および濃縮のその他の方法がかなり高価になる可能性がある場合、有効であることが予測される。約20から40%のCOを含有する流れは、当然ながら同様に有用であると考えられる。半透膜技術を使用した二酸化炭素の濃縮によって、二酸化炭素は精密に規制され、それによって二酸化炭素とメタンとの所望の混合物が最終的に得られることが保証される。いくらかの量、例えば約5〜30%のNは、通常、プラズマ改質器への供給流中で容認することができ;さらにいくらかの残留窒素は、シンガスへの下流マイクロ波プラズマ改質を高めるために、掃引−渦巻ガス(sweep−swirl gas)として望まれる可能性がある。全体として、プロセスは、炭化水素、天然ガス、および石炭の燃焼からの二酸化炭素の排出量を削減するための、膨大な意味を持つ。プロセスには、例えば約5%から35%の量の二酸化炭素で汚染された天然ガス堆積物の経済的な用途という特定の利点があると感じられ;しかし約2%から40%のCOを有する流れも有益に使用できる。一般に、膜デバイスを透過する二酸化炭素およびメタンの体積および濃度を制御し規制するという半透膜技術の能力は、マイクロ波プラズマ反応器などへの供給流として有用になる所望のモル比の二酸化炭素とメタンとの、清浄な流れの生成を可能にする。
【0029】
本明細書に記述されるシステムおよびプロセスの操作の基本は、必要なかつ所望の制御可能なガス分離をもたらすように、特に指定された所望のモル比のCOおよびCHを有する特定のガス混合物をもたらすように、半透膜デバイスを操作させる手法である。天然ガス流の処理の場合、当業者なら、様々な無機膜、例えばゼオライト、および有機膜を使用することができるが、COおよびCHを分離するのにポリマー半透膜も同様に選択されることが理解されよう。ポリマー膜は、かねてからガス分離目的に有用であることが公知であり、ポリジメチルシリコーン(PDMS)、ポリイミド、ポリアリールエーテル、ポリアリールケトン、ポリカーボネート、ポリスルホン、およびポリアセチレンなどのポリマーから形成することができる。そのような半透膜は、その多くがCO選択的であり、参照によりその開示が本明細書に組み込まれる特許文献15、16、17、18、および19に開示されている。CO+CHの合計モル数に対して約2から40モル%のCOを含有する天然ガス流を処理する場合、メタン1部に対して二酸化炭素約3〜6部の比で二酸化炭素を優先的に透過させるポリマー膜が、好ましくは使用される。必要に応じてそのようなデバイスで多数のステージを使用することにより、透過物ガスの比は、濃度分極を考慮に入れて、例えば前述のような適切な膜表面厚と螺旋巻きの膜シート要素に合わせた全体的なデバイス設計とを選択することによって、所望の値の範囲内に制御される。さらに、正味の推進圧は、供給圧、透過圧、および濃縮圧を制御することによって、使用されるそれぞれの膜分離デバイスごとに適切に制御され;その結果、所望のモル比の二酸化炭素およびメタンを確実に透過させることができる。
【0030】
煙道ガスの燃焼では、当業者なら、選択された半透膜が、主に二酸化炭素である流れ、例えば少なくとも約5〜50部の二酸化炭素と1部の窒素との比にある流れを優先的に透過させることになることが理解されよう。後続のプラズマ改質プロセスに有害となり得るある残留物が存在する場合、例えばSOは、吸着によって煙道ガス流から予備的に除去されてもよい。しばしば少量のNOは、供給流中で容認することができる。最終的な透過物ガスの比は、一般に、膜表面厚を選択し、上記にて論じられた濃度分極因子を調節することによって、許容されるN含量の範囲内で実現される。同様に正味の推進圧は、結果的に得られる主に二酸化炭素の透過物流が有するNが確実に、許容される最小量以下になるよう、供給圧、透過圧、および濃縮圧を制御することによって制御される。
【0031】
これらの半透膜デバイスは、それぞれの特定の分離操作ごとに所望のガス分離の程度が実現されるよう、当技術分野で公知の材料および工学原理を使用して構成される。膜デバイスは、所望のガス濃縮物が生成されるように、必要に応じて多数の透過ステップで特に規制および制御することができる、適切な構成で接続された多数のステージを含んでいてもよい。
【0032】
プラズマ改質操作および膜分離プロセスに必要なエネルギーのほとんどまたは全てを供給する、統合型電力コジェネレーションの特徴を有するそのような膜分離プロセスとプラズマ改質プロセスとの組合せは、最も経済的で効率的な独立型システムを生成する。さらに、他のFischer−Tropsch反応器を統合することにより、Fischer−Tropschプロセスからのエネルギーの回収を介して操作全体をさらになお節約することが可能になる。このように、操作用の電気エネルギーを得るために天然ガスを燃やす燃焼器から生じたCO排出量の全てまたは大部分を捕獲することが可能であり、捕獲されたCOは、合成燃料を生成するのに必要な供給原料/反応物の約半分まで提供する。その結果、所与の量の天然ガスから生成することができるシンフュエル(synfuel)の量を、著しく増加させることが可能である。天然ガス流入流が、いくらかのパーセンテージのCO(例えば、約2から40%)を既に含有すると仮定すると、メタンは第1のステップで分離されて、高いモル比のCO:CHを有する透過物、即ちプラズマ改質器に供給されるとシンガスに効率的に変換することができる複合流の一部を提供する望み通りの組成物を提供する。従来のGTLプロセスでは、天然ガス中に存在するCO不純物は、例えば触媒改質プロセスに供給される前に溶媒吸収を使用して除去する必要があると考えられ、または反応に関与しないと考えられる場合には改質器を通過するだけであると考えられる。対照的に、本発明のシステム中のCOは、プラズマ改質器内で燃料に変換される炭素の重要な部分に寄与し;したがってCOは、追加の合成燃料の生成に寄与し、かつ環境に有害な状態で放出される可能性はない。全体として、天然ガスからシンフュエルを生成する従来のGTLプラントに比べ、大気中に排出されるCOの量を著しく削減することが可能であり、それと同時に、所与の量のメタンから生成することができる合成燃料の量が増加する。
【0033】
本発明の様々な特徴を具体化する、煙道ガス流およびCO含有天然ガス流からシンガスを生成するためのプロセスを、概略的なフローシートとして図1に示す。図示されるシステムは、石炭、油、もしくは天然ガスなどの化石燃料のいくつかの燃焼器から、またはディーゼルもしくはガソリンエンジンなどから、煙道ガス流1を受け取ることができ;それらは多くの場合、完全に一定の産出量を有すると考えられる、発電を行うための発電所からの煙道ガス流になる可能性がある。空気酸化によって燃料供給されたボイラ稼動型発電所からのまたはキルンなどからのそのような煙道ガス流は、CO、酸化窒素(NO)、酸化硫黄(SO)、およびその他少量のガス状成分と共に、大量の窒素を含むと考えられる。通常なら大気中に吐き出され易いと考えられる、そのような煙道ガス水蒸気は、本発明のプロセスでは二酸化炭素源として使用される。流れ1は、適切な温度および圧力で、図1の下方左手領域に示される第1の膜分離デバイス2に供給される。多量の窒素を含有する煙道ガスから二酸化炭素を分離するには、様々な膜分離システムを用いてもよく;少なくとも約5対1で、より好ましくは少なくとも約10対1で、NよりもCOに対して優先的であることを示すと考えられる膜が、好ましくは選択される。ポリジメチルシリコーン(PDMS)膜が特に好ましいと考えられ、そのような膜は、様々な厚さ、例えば約0.1ミクロンから10ミクロンで提供することができる。そのような膜は、一般に、ポリスルホン、ポリエチレン、PVC、およびセルロースナイトレートなどの多孔質ポリマー支持層、例えばポリスルホンUF膜、または、エッチングされた金属およびセラミック、例えばエッチングされたアルミニウムなどのその他の多孔質材料上に支持される。
【0034】
第1の膜デバイス2は、1〜3個のステージを含んでいてもよく、最終的には2つの流れを生成し、主に二酸化炭素と、少量のNO、SO、および容認できる量のNとを含む透過物流4と、濃縮物流3とを生成する。濃縮物流3は、主に窒素と、いくらかの残留量の主としてCO、NO、およびSOとを含み、通常、Nは少なくとも約80体積パーセントである。この流れ3は、利用可能な方法に従って、大気中に吐き出され、処理され、またはその他の方法で処分することができる。主に二酸化炭素を含有する透過物流4、例えば少なくとも約60体積パーセント、好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90%の二酸化炭素を含有する透過物流4は、流れレギュレータ/ブレンダ6に向けられる。
【0035】
その他の進入して来る流れは、主として二酸化炭素とメタンとを含有する天然ガスの流れ11である。例えばこの流れは、約3%から35%のCOまたは約2%から40%のCOを含有していてもよく、残りは実質的に全てがメタンである。この流れ11は、やはり濃縮物流13および透過物流14を生成する第2の膜分離デバイス12に送出される。上述のように、第2の膜デバイス12は、膜分離の多数のステージを含んでいてもよい。このデバイスは、当技術分野で公知の様々な異なるガス分離膜を使用することもでき;選択された膜は、少なくとも約2対1、好ましくは少なくとも約4対1で、CHよりもCOに対して優先的であるべきである。先に述べた種類のようなポリマー膜が好ましく、最も好ましくはPDMS膜である。これらの膜は、例えばシートまたはチューブの形で用いられる場合、通常は上述のように多孔質ベース層上に支持されると考えられる。主としてメタンである天然ガス流入流11は、第2の膜分離デバイス12内で、CHに優先してCOに対し選択的なポリマー半透膜に曝される。大量のCHを含有する流入物を処理する場合、デバイスは、多量のCOを有し(流入する天然ガス流11に関して)かつ二酸化炭素およびメタンをいずれかの成分が50%以下だけ過剰なモル比で含有する、透過物流を生成する。いくつかのプラズマ改質プロセスでは、過剰な二酸化炭素が望まれる可能性があり、その他の場合には、過剰なメタンが望まれる可能性がある。透過物流は、窒素などの容認できる少量のその他のガスを、通常は約10体積%以下で、好ましくは約5%以下で含有していてもよい。所望のモル比のCOおよびメタンを有する透過物流14は、1つの供給流として、以下に論じられるプラズマ改質器15に送出される。
【0036】
第2の膜分離デバイス12からの濃縮物流13は、主にメタンであり、通常は約90から99体積%、好ましくは少なくとも約96%、より好ましくは少なくとも約98%であり、残りは主としてCOである。この流れは、流れレギュレータ25に向けられ、そこで流れ13は、制御システム100の制御下で3つの副流に分かれる。流れレギュレータ25からの第1の副流26は、ブレンドレギュレータ6に向けられ、そこでは、第1の膜分離デバイスから出て来る主にCOの流れ4と混合されて、ブレンドされた流れ27が生成されるようになり、この流れは別の供給流としてプラズマ改質器15に向けられ、そこで透過物流14と混合される。レギュレータ6でのブレンドは、二酸化炭素とメタンとのモル比が、同様にいずれかが50%以下だけ過剰なものである。
【0037】
第2の副流28は、取着された発電器を駆動させる内燃機関またはタービンなどの燃焼器−発生器20に供給されて、メタンと空気とを燃やすことにより電力を発生させ、その結果、二酸化炭素および水蒸気が生成される。燃焼器−発生器20からの排ガス流29は、第1の膜分離デバイス2に類似した特徴を有していてもよい第3の膜分離デバイス30に向けられる。デバイス30は、主にCOであって容認できる濃度のNO、SO、およびNを有する透過物流32を生成する。主に窒素を含む濃縮物流31は、濃縮物流3と同じ手法で、即ち大気中に排気することによってまたはその他の処理によって、取り扱われる。主にCOである透過物流32は、別のレギュレータ/ブレンダ33に供給され、そこにはレギュレータ25から第3の副流32aも送出されるものである。レギュレータ−ブレンダ33は、流れ32および32aを混合してさらに別の供給流34を生成して改質器に送出し、そこではやはり二酸化炭素が、0.67対1から1.5対1のメタンに対するモル比で存在する。このブレンドされた供給流34を、供給流14および27と共に混合して、プラズマ改質器15に送出される複合供給流を得る。複合供給流は、COおよびCHを、ほぼ等モル量で、または一方が他方を50%よりも多くは超えない比で含有し;このモル比は、本明細書では約50/50比と大まかに呼ばれる。
【0038】
制御システム100は、複合供給流がプラズマ改質器15に関して所望の組成物を有するように、例えば等モルのCOおよびCH、または通常は、等しく約2〜5%以内になるように、組成物および様々な流量を制御することによって、プロセス全体を規制する。しかし特定の改質プロセスが望まれる場合、20%または30%またはそれよりも高いモル量のCOまたはCHのいずれかを、特定の複合供給流中に存在させてもよい。3つの供給流14、27、および34の流れをモニタし、天然ガス流11の流入量およびレギュレータ6、25、および33を制御することにより、所望の組成の複合供給流が、制御システム100によってプラズマ改質器に供給される。例えばブレンダ/レギュレータ6、33は、それぞれが、コンピュータ制御システム100とインターフェースをとった状態でガスクロマトグラフ(GC)の分離チャネルに接続されていてもよく、それによって、レギュレータ25および進入する天然ガスライン11内の入口弁に関連付けられてもいる液圧式または空気圧式弁システムを介してレギュレータから出ていくCHおよびCOの量が制御されるようになる。膜分離デバイスは、GCのその他のチャネルに接続されていてもよく、多数のステージの操作および/またはその中での再循環によって適切に制御することができる。命令および全体的な制御は、主制御システム100に関連付けられたCPUにプログラムされている。
【0039】
プラズマ改質器15は、シンガス(水素および一酸化炭素の混合物)が生成されるように、水素源を含有するガス状混合物中で二酸化炭素を変換するための効率的なプロセスとして、この10年間で浮上してきたプラズマ技術を利用することができる。メタンおよび/または水は、水素源として一般に使用される。あるいは、触媒作用に依拠する化学変形デバイスを、主に二酸化炭素およびメタンを含む(約1.5対1以下のモル比)ガス状混合物を同様に変換するために、使用してもよい。そのような化学変形デバイスは、特許文献12および20に様々に示され、非特許文献1に記載されている。
【0040】
好ましくは、プラズマ改質器が使用され、より好ましくは、比較的低いエネルギーコストで操作することが可能でありかつ反応器内を通る連続流動プロセスとして操作することができるので、プラズマを発生させるマイクロ波エネルギーに依拠するようなプラズマ改質器が使用される。そのようなマイクロ波型プラズマ反応器は、特許文献9および7に示されており、また当技術分野で公知であるように、このタイプのプラズマ反応器は、COおよびメタンを前述のように約50/50モル比で含有するガス供給流からシンガスを生成するのに使用することができる。そのようなマイクロ波エネルギープラズマ改質器15には、概略的な分配ライン22によりフローシートに示されるように、燃焼器−発生器20から十分な電力を供給することができる。さらに、発生した電力は、補助送風器、圧縮器、および3つの膜分離デバイス2、12、および30を作動させるその他の機械を駆動するのに使用することができる。この全ては、煙道ガス流1を供給し得る発電所からの電力を必要とせずに、実現できることが予測される。これは、煙道ガス流1を供給する燃焼器が、キルン、製鋼所、またはいくつかのその他の発熱デバイスなどの非発電器である可能性があるので、重要と考えられる。さらに、プラズマ改質器15に送出されるCO/メタンの第3の供給流34を生成するために、副流32a中で利用可能なメタンと混合するのに必要な二酸化炭素の量に応じて、燃焼器−発生器20を使用していくらか過剰な電力を発生させることが実用的と考えられ、次いでそのような電力を販売することができる。
【0041】
プラズマ改質器15からの産出物は、主として一酸化炭素および水素の混合物を含むシンガスの連続流である。産出量の比は、プラズマ改質器に供給される供給流の約50/50の混合物の精密な比に応じて、わずかに変わることになる。より高いモル比の二酸化炭素が、組み合わされた供給流中に存在する場合、シンガスは、より高いパーセンテージのCOとより低いパーセンテージの水素とを含んでいてもよい。上述のように、制御システム100は、システム全体が連続的に動作することにより複合供給流が所望のモル比の範囲内で提供されるように3つの供給流の組成および流量をモニタしながら、流れレギュレータ/ブレンダ6および33、レギュレータ25、およびライン11内の天然ガスの流入を制御し規制するように、利用される。このようにプロセスは、煙道ガスをその主要なCO源として完全に利用するように、煙道ガスの流入を効率的に追跡し、必要に応じて調節を行って、プラズマ改質器15に供給される所望の特徴の複合供給流が提供されるよう混合される、3つの供給流を発生させる。
【0042】
当技術分野で周知のように、シンガスには様々な用途があるが、上述のプロセスは、この特徴のシンガス供給原料から合成液体炭化水素を発生させることになるFischer−Tropsch(F−T)反応器に、有利に結び付けることができ、この合成炭化水素混合物は、シンフュエルと時々呼ばれるものである。図2には、そのようなプロセス全体の最終ステージとしてF−T反応器40を組み込んだ、本発明の様々な特徴を具体化したその他のプロセスが示されている。プロセスの主な部分は、図1に関して先程記述したように実施される。シンガスの出口流16は、F−T反応器40に送出される。
【0043】
F−T反応器またはF−T合成は、一酸化炭素および水素の混合物を液体炭化水素に効果的に変換する、公知の一連の化学反応を利用する。F−T合成は、ガスツーリキッド(gas−to−liquid)燃料技術の重要な構成要素になり、石油代替物を生成する。F−T合成からの望ましい生成物は、主にアルケンおよび/またはアルカンである。F−T反応は、一般に、約150°から300℃の温度付近および比較的高い圧力で実施される。Fischer−Tropsch反応器は周知であり、その例が先に述べた米国特許に記載されている。必要とされる圧力を提供するのに必要な圧縮器には、燃焼器−発生器20から電力が供給され;化学反応の多くは、動作が開始すると、発熱性であり、熱といくらかの二酸化炭素を提供する。さらに、通常なら厄介なF−Tの副生成物、即ち二酸化炭素は、図1の場合のようなプロセスに組み込んだ場合、有利に使用することができる。図2において、熱およびCOを含むF−T反応器副生成物、ならびに任意の未反応のH、CH、および/またはCOが、ライン45により概略的に示されており、それらが燃焼器−発生器20に再循環されて、追加の燃焼性物質と、ライン29を通して第3の膜分離デバイスに送出される追加のCOと、追加の電力を生成するためのガスタービン発生器などと併せて使用される熱とを提供するように、効果的に使用されることが示されている。
【0044】
全体として、制御システム100は、効率的な連続操作が上述のように得られることを確実にする。制御システム100は、濃縮物流13として分離されるメタンの量をモニタし、流れをレギュレータ25で3つの副流に分ける。十分な量の天然ガスが、ライン11を通して第2の膜デバイス12に供給され、その結果、濃縮物流13は、副流26、28、および32aの所望の機能を発揮するのに十分なメタンが得られるよう、十分なものになる。より具体的には、十分なメタンがライン26に供給されて、煙道ガス流1から得られるCOの全てとブレンドされることにより、所望の組成の供給流27が提供され、次いでこの流れは、膜分離デバイス12内を透過した供給流14と混合される。さらに制御システム100は、確実に、十分なメタンがライン28および32aを通して送出されて、CO含有排気流29を提供しながら所望の量の電力を発生させるが、この流れは第3の膜分離デバイス30で分離されて、主にCOである流れ32を生成するものである。第3の副流32aは、レギュレータ/ブレンダ33内の流れ32と、所望の約50/50モル混合物に混合するのに十分なメタン流が得られるよう制御される。この全体的なプロセス制御の結果は、所望の組成の複合供給流が、例えば1:1の比にあるCOおよびCHの約2%以内でプラズマ改質器に供給されることなどである。F−T反応器40が、図2に示されるようにシステム全体に組み込まれる場合、追加のCOが流入流29に含まれる状態で第3の膜分離デバイスに供給され;したがって制御システム100は、ブレンダ/レギュレータ33に至るライン32a内で追加のメタンを供給する必要がある可能性があり、おそらくは、主要な流入流中の天然ガス11の量も、必要に応じて増加する。その結果、プロセス全体は、COで汚染された天然ガス流および化石燃料の燃焼器からのCOを含有する煙道ガス流を、非常に効率的に使用して、時々シンフュエルと呼ばれる合成炭化水素の連続流を、効果的かつ効率的に生成することができることがわかる。
【0045】
図3には、本発明の様々な特徴を具体化した、CO含有天然ガス流からシンガスを生成するためのプロセスの、その他の実施形態が示される。図3の実施形態は、化石燃料燃焼器などからの煙道ガス流である実行可能な流れがない配置で動作する点が、前述のプロセスとは異なる。図3の配置構成において、約2%から約40%の二酸化炭素と残りの主なメタンとを含有する、進入して来る天然ガス流11は、膜分離デバイス12に同様に送出される。前述のようにデバイス12は、流入物を、90%よりも多いメタン濃縮物流13と、高いパーセンテージのCOを含有する透過物流14とに分離し、この場合、COとメタンとの組成は約50/50のモル比にある。透過物流14は、変形デバイスに、好ましくはマイクロ波プラズマ改質器15に送出される。主にメタンである濃縮物流13は、レギュレータ25に送出され、そこで再び流れ13の全体流を3つの副流26、28、および32aに分割する。
【0046】
制御システム100は、分割を規制するのに使用され、所望の3つの分離流、または3つの副流を、レギュレータ25で生成する。十分なメタンは副流28に含まれて、プラズマ改質器15を運転するのに少なくとも十分な電力と、2つの膜分離操作12および30に必要な補助電力とを生成する。前述のように、制御システム100は、ライン32に流入するCOの量をモニタし、十分なメタンをライン32aで供給し、その結果、レギュレータ/ブレンダ33は、約50/50のモル比にあるCOおよびメタンの所望のブレンドを生成して、ライン34を通してプラズマ改質器15に送出されることになると考えられる。
【0047】
天然ガスのユーザへの移出に適した副流26を生成することが望まれる場合、比較的少量の、例えば約2%以下のCOを含有するメタンの濃縮物が生成されるように、膜分離デバイス12を作動させることが望ましいと考えられる。あるいは副流26は、他の膜分離ステップに供することができ、除去されたCOは、流れ32に添加される。制御システム100は、図1および2に関して概略的に述べたように、所望のモル比、例えば約1:1のモル比を有する2つの供給流14および34の混合物であって、2%以下だけ過剰なCOを有するものが最終的には生成されるように、プロセス全体を制御すると考えられる。したがって、そのような材料ガス供給から、シンガスが独立型操作として生成され、それと共に(1)移出用の、パイプライン品質のメタン流、例えばCOが約2%以下のものと、(2)特定の設備で望まれるような過剰な電力、即ちプロセス全体の現行要件を満たすのに必要な値よりも高い電力も提供される。
【0048】
図4は、本発明の様々な特徴を具体化しかつ図3に示されるプロセスとの類似性を有する、CO含有天然ガス流からシンガスを生成するためのプロセスのその他の実施形態を示す。この場合も、進入して来る天然ガス流11は、約2から約40%の二酸化炭素を含有し、その残りが本質的にメタンであるものと考えられる。この流れは、主にメタンを含有する濃縮物流13と、二酸化炭素およびメタンを約50/50のモル比で、例えばCOを約1モルおよびメタンを0.9モル含有すると考えられる透過物流14とに分離すると考えられる、膜分離デバイス12に、同様に送出される。透過物流は、この場合も、マイクロ波プラズマ改質器15などへの第1の供給流として働き、主にメタンである濃縮物流13はレギュレータ25に送出され、そこではやはり流れ13の全体流が3つの副流26、28、および32aに分割される。副流28は、前述のように燃焼器/発生器20に向けられ、副流32aは、レギュレータ/ブレンダ33を経由して、そこでは前述のように膜分離デバイス30からの主にCOである流れ32とブレンドされる。しかしこの設備では、副流26が第2のプラズマ改質器115に送出され、供給される別の水/水蒸気の進入して来る流れ114に混合される。
【0049】
プラズマ改質器115は、特許文献7に記載される原理に基づいて操作してもよく、メタンに富む流れ26と水および/または水蒸気を使用した結果、プラズマ改質器15の場合よりも高い水素含量を有するシンガスを生成することになる。例えば、水素と一酸化炭素との比は、プラズマ改質器15により生成されたシンガスにおいて約1:1であってもよく、それに対して流れ26と水および/または流れの進入して来る流れ114との流動を調節することにより、プラズマ改質器115は、シンガス流116中で約3対1程度の比にある水素と一酸化炭素とを生成してもよい。さらに、シンガス流116の全てまたは一部は、流れスプリッタ124を介して水シフト反応器(WSR)120に送出することができ、そこでは偏向部分117中のCOが、水および/または水蒸気の別の進入して来る流れ118と反応して、反応CO+HO→CO+Hを介してCOおよびHを生成し;これはさらに、生成される水素の量を増加させる。次いでCOに富む流れ121および水素に富む流れ122を、当技術分野で公知の例えばPSA(圧力スイング吸着)ユニット123を使用して、分離することが可能である。次いでCOに富む流れをレギュレータ/ブレンダ33に供給し、メタンに富む流れ32aおよび主にCOである流れ32と組み合わせて、第1のプラズマ改質器15用の供給流34を形成する。水素に富む流れ122をシンガス流16および119と組み合わせ、最終的なシンガス流130中の水素含量をさらに増加させる。
【実施例】
【0050】
設備を、図3に示されるフローシートに従い作動させて、約10体積%の二酸化炭素および約90体積%のメタンを含有する天然ガス源11を処理する。天然ガスを、膜分離デバイスおよびマイクロ波プラズマ反応器を使用して処理することにより、メタンに富む生成物流13から移出するための様々な量のパイプライン品質のガスを生成し、設備全体を作動させるのに必要な値を超えて移出するためのおよびその値よりも高い過剰な電力を生成する。燃焼器−発生器20を使用して、メタンの一部を、プラズマ改質器15で使用される二酸化炭素に変換し、それと同時に、プラズマ改質器を作動させるのに必要な電力も生成する。メタンに富む流れ32aの一部を、ブレンダ/レギュレータ33に直接供給して、燃焼器−発生器20からの排ガス流から主にCOである流れ32を生成する第2の膜システム30から供給されるCOの量に合わせる。この実施例では、プラズマ改質器15に供給される複合供給流内のガスの比は、主に膜分離デバイス12およびレギュレータ25の動作を通して制御システム100により緊密に制御されることによって、CO/CH=約1:1の比が得られ、COは1または2%以下だけ過剰である。
【0051】
動作は、図3に示されるフローシートに従い実施され、流入流11は、膜分離デバイス12への天然ガスの標準温度および圧力(Nm/時)で、1時間当たり約1000立方メートルである。デバイス12は、プラズマ改質器に送出される第1の供給流として働くことになる、適切な比のCO/CHを含有する透過物流14と、パイプライン用天然ガスとみなされるような、最少量のCO、好ましくは約2%以下のCOを含有するメタンに富む濃縮物流13とを生成するように設計される。透過物流の流れは、約54.5%のCOおよび約45.5%のCHの組成物では約152Nm/時で生成される。メタンに富む流れ13の流動は、約98%のCHおよび2%のCOを含んで約848Nm/時である。
【0052】
燃焼器/発生器20を介して移出される過剰な電力を生成するために、膜分離ステップ12からメタンに富むガス26を移出しないシステムを作動させることが望ましいと考えられる。次いで制御システム100は、メタンに富む流れ32a(膜分離デバイス12から生成された)の流量が、所望のブレンドを生成する第2の膜分離デバイス30から来る主にCOである流れ32とバランスをとるのに十分になるように、流れレギュレータ25を調節し;その組成物は、この供給流34を透過物流14と組み合わせたときに、所望のCO/CHのモル比、即ち約1:1のモル比を有する複合供給流を生成してプラズマ改質器15に供給されるようにすべきである。メタンに富む流れの残りを燃焼器内で燃やすことにより、プラズマ改質器15および設備のその他の部分、例えば膜分離ステップを作動させるのに十分な電力が生成され、過剰な電力は、現場から離れた場所に移出される。例えば約408Nm/時のメタンに富む流れ13を燃焼器−発生器20で燃焼して電力を生成する場合、発電効率が40%であると仮定すれば、合計で約1591kWの電力が燃焼器により発生し、これはプラズマ改質器15を作動させるのに必要な値よりかなり多いものである。
【0053】
より具体的には、燃焼器−発生器20からの排ガスを第2の膜システム30で処理して、約400Nm/時のCOを含有する(回収率約98%と仮定)主にCOである流れ32を生成し、次いでこの流れをブレンダ/レギュレータ33に供給し、そこで流れ32aと混合する。その結果、プラズマ改質器に送出される複合供給流中のCOの合計量は、約500Nm/時であり、これは透過物流14中のCOと、主にCOである流れ32とで主に構成される。プラズマ改質器への供給材に正味のCO/CHのモル比、約1:1を得るには、約440Nm/時のメタンに富む流れを流れ32aとして送ることにより、主にCOである流れ32とブレンドするが、その流れはCOが約400Nm/時である。制御システム100は、流れの組成をモニタし、必要に応じて調節を行う。生成された合計のシンガスは、変換率100%と仮定すると約2000Nm/時であり、電力消費がシンガスの場合0.15kWh/mであると仮定すると、プラズマ改質器15を作動させるのに約300kWの電力が必要である。このように、約1291kWの過剰な電力生成があり、これを、プロセスプラントのその他の部分を作動させるのに使用することができ、例えば膜分離システムなどに電力を供給するのに使用することができ、電力の残りは現場から離れた場所に移出することができる。
【0054】
パイプライン品質のガスをいくらか移出することが望まれる場合、上述の流入天然ガスが1000Nm/時では、約628Nm/時のメタンに富む副流26を、パイプイライン品質のガスとして移出してもよい。そのような場合、約102Nm/時のメタンに富む流れ26のみを燃焼器内で燃やし、生成される約100Nm/時のCOを捕獲し;このため燃焼器−発生器から約398kWの電力が生成される。プラズマ改質器に供給される複合供給流中のCOの合計の流れは、わずか185Nm/時であり、これは透過物流14中のCOと主にCOである流れ32とから構成されたものである。透過物流14中のより高いパーセンテージのCOを補償するために、メタンに富む流れからの約116Nm/時のメタンを流れ32aとして供給し;この結果、プラズマ改質器15に供給される複合供給流中に、約1:1という所望のCO/CHのモル比が得られる。プラズマ改質器は、燃焼効率40%と仮定すると、740Nm/時のシンガスを生成し、約111kWの電力が、この体積のシンガスを生成するようプラズマ改質器を作動させるのに必要であり、約282kWという過剰な電力生成が残される。この過剰な電力は、設備の残りを作動させるのに使用することができ、さらにいくらかの電力が、現場から離れた場所に移出するために残される。
【0055】
図3に示されるプロセススキームの利益は明らかであるべきであり、即ち、天然ガス流中に見出されるCO不純物を利用し、それをシンガスに変換することができ(その後、合成燃料またはその他の工業的に価値ある化学物質に変換することができる)、それと同時に、そのようなプラズマ改質器ならびに膜分離ステップを作動させるのに必要な電力を発生させることができる。さらに、電力を発生させるのに使用される燃焼プロセスから生成されたCOも、捕獲される。
【0056】
10%のCOを含有する天然ガスの場合、プロセスは、流入天然ガス流の実質的に全てのCO分、ならびに唯一の反応物としてメタンおよび二酸化炭素を使用するプラズマ改質器でのシンガスの生成に必要なエネルギー全てを供給するために、メタンのいくらかを燃やすことによって生成されたものを利用することができる。プロセスから排出された正味のCOは、全てがプラズマ改質器でシンガスに変換されたと仮定すると本質的にゼロであり、または最低限でも、COの排出量は、全てのCOが大気中に排出される従来のガスツーリキッド技術に比べて著しく削減されることになる。
【0057】
本発明について、本発明を実施するために本発明者らに現在公知である最良の形態を構成する様々な異なる態様に関して記述してきたが、当業者に明らかにされると考えられるような様々な変更および修正を、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく行ってもよいことが理解されるべきである。例えば、メタン/水蒸気/水の供給流に対する追加のプラズマ改質器の動作の組込みは、最終的なシンガス中の水素と一酸化炭素との比が増大するように、図1または図2のプロセスのいずれかの一部として含めてもよい。水シフト反応器およびPSAユニットを含めることにより、さらに大幅な増加も可能になる。
【0058】
本発明の特定の特徴を、以下の特許請求の範囲で強調する。
図1
図2
図3
図4