特許第5799095号(P5799095)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799095
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】会合性の基を担持する分子
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/34 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   C07D233/34CSP
【請求項の数】5
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-519135(P2013-519135)
(86)(22)【出願日】2011年7月12日
(65)【公表番号】特表2013-532179(P2013-532179A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】FR2011051651
(87)【国際公開番号】WO2012007684
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2013年3月6日
(31)【優先権主張番号】1055717
(32)【優先日】2010年7月13日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セーボトウ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】イワノフ,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】クチユリエ,ジヤン−リユツク
(72)【発明者】
【氏名】イダルゴ,マヌエル
【審査官】 堀 洋樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−208163(JP,A)
【文献】 特表2012−503060(JP,A)
【文献】 特表2008−517071(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/031956(WO,A1)
【文献】 Tetrahedron Letters,2002年,43,p.829-832
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの「スペーサ」基Spによって共に結合された、1つまたは2つの基Qおよび1つの基Aを含む化合物であって:
−Qが、以下の式(VII)または式(VIII):
【化1】
(式中、
からR3は、独立して、水素原子および以下の式(X):
【化2】
(式中、nは1、2、3、4または5を表し、各Yは独立してスペーサ基SpまたはC−Cアルキル基を表す。)の基から成る群から選択され、但し、RおよびRは、同時に水素原子とはならず、
は、上記式(X)の基を表す。)の基であり、
−Aが、以下の式(XII):
【化3】
で表される基であり、並びに
−Spが、QとAとの間に結合を形成する原子の群であり、1つ以上の窒素または酸素原子によって場合により中断されることができ且つ=Oで置換されることのできる、直鎖C−C6アルキル鎖である、
化合物。
【請求項2】
以下の式(Ia)または式(Ic):
【化4】
(式中、A、QおよびSpは、請求項1で規定したとおりであり、且つ式(VII)において、RおよびRの一方は、水素原子であり、RおよびRの他方は、下記の式(X):
【化5】
(式中、nは、1、2、3または4であり、少なくとも1つのYはスペーサ基Spであり、他のYが存在する場合には、当該他のYはメチルである。)の基あり、Rは、フェニル基であり、且つ
式(VIII)において、Rは、上記式(VII)で規定した式(X)の基と同義である。)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Qが、以下の式(XI):
【化6】
(式中、RおよびRが独立して、C−Cアルキル基を表す。)の基である、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、メチル基である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
以下の式(XIII)から(XXI):
【化7】
の化合物より選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有会合性分子であって、分子を相互にまたは充填剤と非共有結合を介して会合させることができる少なくとも1つの単位を含み、不飽和を含有するポリマーと共有結合を形成するように反応することができる官能基を含む、窒素含有会合性分子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業分野では、ポリマーと充填剤との混合物が使用されることが多い。このような混合物が良好な特性を有するために、ポリマー内での充填剤の分散を改善する手段が絶えず求められている。この結果を達成する1つの手段は、ポリマーと充填剤との間に相互作用を確立することができるカップリング剤の使用である。
【0003】
ポリマーと窒素含有双極子を含む充填剤とをカップリングするための薬剤は、US7186845B2およびJP2008208163の番号で公開された文献に記載されている。
【0004】
これらの文献は、ジエン単位を含むポリマーの、ヘテロ環をさらに含む窒素含有双極性化合物による修飾について記載していて、前記ヘテロ環自体は窒素原子、ならびに酸素および/または硫黄原子を含む。
【0005】
さらに詳細には、記載された化合物はオキサゾリンまたはチアゾリン官能基を担持するニトロン、例えば(−(2−オキサゾリル)フェニル−N−メチルニトロン)である。
【0006】
【化1】
【0007】
ジエンポリマーがこのような化合物と反応させられる場合、反応から生じるポリマーは、オキサゾリンまたはチアゾリン環を担持する。
【0008】
ポリマー上に存在するこれらの環は次に、ポリマーが混合される充填剤(例えばカーボンブラックまたはシリカ)の表面官能基と反応することができる。この反応の結果、オキサゾリンまたはチアゾリン環の開環のおかげで、カップリング剤によって修飾されたポリマーと充填剤との間に共有結合の形成がもたらされる。実際に、文献US7186845に記載されているように、オキサゾリンおよび/またはチアゾリン環は、例えば充填剤の表面に存在し得る求核試薬の存在下で開環することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7186845号明細書
【特許文献2】特開2008−208163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
他方、このような共有結合の形成は、カップリング剤によって修飾されたこれらのポリマーを充填剤と共に含む混合物の調製の間に欠点を有する。特に、ポリマーと充填剤との間で早期に形成されたこれらの共有結合の存在は、これらの混合物を非架橋状態で高い粘性として、このことによりゴムベースの調合物の架橋(加硫)前のすべての操作、特に構成成分の混合物の調製およびこれの形成が困難となる;このような欠点は、工業上の生産性に多大な影響を有する。従って、上の欠点を有さない新規分子、即ちポリマーとの反応および充填剤との混合後に、充填剤との共有結合を形成できない、従って混合物の粘度の著しい上昇を引き起こすことができない分子を提案することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主題は、少なくとも1つのおよび好ましくは1つの「スペーサ」基Spによって共に結合された少なくとも1つの基Qおよび少なくとも1つの基Aを含む化合物であって、ここで
−Qは少なくとも1つのおよび好ましくは1つの窒素原子を含有する双極子を含み、
−Aは少なくとも1つの窒素原子を含む会合性の基を含み、
−SpはQとAとの間に結合を形成する原子または原子の群である。
【0012】
上で定義したような化合物がグラフトされたポリマーは充填剤と混合され、前記化合物は充填剤との間に不安定な結合のみを確立するので、強すぎるポリマー−充填剤相互作用が引き起こされ得るという欠点を伴わずに、ポリマーの最終特性に有益である、良好なポリマー−充填剤相互作用を与えることができる。
【0013】
本発明の主題である化合物は、ポリマー鎖と充填剤との間に不安定な結合を確立することによって充填剤との良好な相互作用を与え、このため処理上の問題を限定する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「双極子」という用語は、不飽和炭素−炭素結合に1,3双極子付加を形成することができる官能基を意味するものである。
【0015】
「会合性の基」という用語は、水素、イオン性および/または疎水性結合を介して相互に会合することができる基を意味するものである。会合性の基は、本発明の好ましい実施形態により、水素結合を介して会合することができる基である。
【0016】
会合性の基が水素結合を介して会合できる場合、各会合性の基は、2つの同じ会合性の基が自己相補的であり、少なくとも2つの水素結合を形成することによって相互に会合できるように、水素結合に関して少なくとも1つのドナー「部位」および1つのアクセプタ部位を含む。
【0017】
本発明による会合性の基は、水素、イオン性および/または疎水性結合を介して、充填剤上に存在する官能基と会合することもできる。
【0018】
基Q、「スペーサ」基および結合性基を含む、本発明による化合物は、例えば以下の式(Ia):
A−Sp−Q (Ia)
によって表すことができる。
【0019】
基Q、「スペーサ」基および2個の結合性基を含む、本発明による化合物は、例えば以下の式(Ib):
【0020】
【化2】
によって表すことができる。
【0021】
同様に、2個の基Q、「スペーサ」基および会合性の基を含む、本発明による化合物は、例えば以下の式(Ic):
【0022】
【化3】
によって表すことができる。
【0023】
同じ原則に従って、2個の基Q、「スペーサ」基および2個の会合性の基を含む、本発明による化合物は、例えば以下の式(Id):
【0024】
【化4】
によって表すことができる。
【0025】
好ましくは、会合性の基はイミダゾリジニル、ウレイル、ビスウレイル、ウレイドピリミジルおよびトリアゾリル基より選択される。
【0026】
好ましくは、基Aは、以下の式(II)から(VI):
【0027】
【化5】
の1つに相当し、式中:
−Rは、ヘテロ原子を場合により含有することができる炭化水素ベースの基を示し、
−Xは、酸素または硫黄原子、好ましくは酸素原子を示す。
【0028】
好ましくは、基Aは、5または6個の原子を含有する二窒素含有または三窒素含ヘテロ環を含み、該ヘテロ環は好ましくは二窒素含有であり、少なくとも1つのカルボニル官能基を含む。
【0029】
なおさらに好ましくは、基Aは式(II)のイミダゾリジニル基を含む。
【0030】
基Qは、共有結合(グラフト)することによって、少なくとも1つの不飽和を含むポリマー鎖に結合することができる。好ましくは、基Qは、[3+2]型の環化付加を介して不飽和を担持するポリマーに結合することができるニトリルオキシド、ニトリルまたはニトリルイミン官能を含む。
【0031】
好ましくは、基Qは、以下の式(VII)、(VIII)または(IX)の基
【0032】
【化6】
であり、式中、R1からR6は、スペーサ基Sp、水素原子、直鎖または分枝C−C20アルキル基、直鎖または分枝C−C20シクロアルキル基、直鎖または分枝C−C20アリール基および式(X)の基
【0033】
【化7】
より独立して選択され、nは1、2、3、4または5を表し、各Yは独立して、スペーサ基Sp、アルキル基またはハロゲンを表す。
【0034】
「スペーサ」基Spによって、少なくとも1つの基Qおよび/または少なくとも1つの会合性の基Aを結合することが可能となり、このため「スペーサ」基Spは本質的に公知のいずれの種類でもよい。しかし、「スペーサ」基は、本発明による化合物の基Qおよび会合性の基をほとんどまたは全く妨害してはならない。
【0035】
従って前記「スペーサ」基は、基Qおよび会合性の基に対して不活性である基と見なされる。「基Qに対して不活性である「スペーサ」」という表現は:この基と反応することができるアルケニルまたはアルキニル官能基を有さないスペーサを意味するものである。「会合性の基に対して不活性である「スペーサ」」という表現は:本発明によって定義されたような会合性官能基を含まないスペーサを意味するものである。
【0036】
「スペーサ」基は、好ましくは直鎖、分枝または環式炭化水素ベースの鎖であり、1つ以上の芳香族基および/または1つ以上のヘテロ原子を含有することができる。前記鎖は、置換基が基Qおよび会合性の基に対して不活性である限り、場合により置換することができる。
【0037】
好ましい一実施形態により、「スペーサ」基は、1つ以上の窒素または酸素原子によって場合により中断された、直鎖または分枝C−C24、好ましくはC−C10アルキル鎖、さらに優先的には直鎖C−Cアルキル鎖である。
【0038】
好ましくは、基Qは、式(XI)の基:
【0039】
【化8】
であり、式中、R7およびR8は独立して、C−Cアルキル基またはハロゲンを表し、好ましくはR7およびR8は独立して、メチル基または塩素原子を表し、基Aは、式(XII)の基:
【0040】
【化9】
である。
【0041】
好ましくは、本発明の主題である化合物は、以下の式(XIII)から(XXI)の化合物:
【0042】
【化10】
より選択される。
【0043】
本発明の別の実施形態により、本発明に従ってポリマーをグラフトするための化合物は、下の式(XXII)から(XXIII)の化合物:
【0044】
【化11】
より選択され、式中、Rは、スペーサ基Sp、水素原子、直鎖または分枝C−C20アルキル基、直鎖または分枝C−C20シクロアルキル基、直鎖または分枝C−C20アリール基および式(X)の基
【0045】
【化12】
より選択され、nは1、2、3、4または5を表し、各Yは独立して、スペーサ基Sp、アルキル基またはハロゲン化物を表す。
【0046】
本発明は、以下の非限定的な実施例によっても例示される:
【実施例】
【0047】
例示的な実施形態
合成分子の構造分析およびまたモル純度の決定は、NMR分析によって行われる。スペクトルは、BBIz−grad 5mm「ブロードバンド」プローブを装備したブルカーアバンス(Bruker Avance)500MHz分光計で収集される。定量的H NMR実験は、単純な30°パルスシーケンスおよび64回の各収集の間の3秒の繰り返し遅延を使用する。試料を重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させる。この溶媒は、ロック信号にも使用される。較正は、0ppmにおけるTMS基準に対する2.44ppmにおける重水素化DMSOについてプロトン信号に基づいて行う。2D HSQC 1H/13CおよびHMBC 1H/13C実験と組み合わされたH NMRスペクトルにより、分子を構造決定することができる(帰属表を参照)。モル定量は、定量1D H NMRスペクトルに基づいて行われる。
【0048】
赤外線測定によって、芳香族によって担持されたニトリルオキシド基の存在を検証することができる。スペクトルは、DTGS検出器を装着したバーテックス70フーリエ変換分光計で収集される。スペクトルは、2cm−1の分解能で、4000cm−1と400cm−1の間の32回のスキャンにより収集される。試料はKBrペレットの形で調製される。芳香族が担持するニトリルオキシド官能基は、2295cm−1のバンドを特徴とする。
【0049】
質量分析は、エレクトロスプレーイオン化モードでの直接注入(DI/ESI)によって行う。分析は、ブルカーHCT分光計(流量600μL/分、噴霧ガス圧10psi、噴霧ガス流量4L/分)で行った。
【0050】
[実施例1]
1−(2−(3’−ニトリルオキシメシチル−1’−オキシ)エチル)イミダゾリジン−2−オンの調製
【0051】
【化13】
【0052】
この化合物は、以下の合成スキームに従って、ヒドロキシエチル−イミダゾリドンメシトールから調製することができる。
【0053】
【化14】
【0054】
a)3−ヒドロキシ−2,4,6−トリメチルベンズアルデヒドの調製
【0055】
【化15】
【0056】
この化合物は、以下の文献:Yakubov,A.P.;Tsyganov,D.V.;Belen’kii,L.I.;Krayushkin,M.M.;Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR,Division of Chemical Science(English Translation);vol.40;nb.7.2;(1991);p.1427−1432;Izvestiya Akademii Nauk SSSR,Seriya Khimicheskaya;nb.7;(1991);p.1609−1615に記載された手順に従って得ることができる。
【0057】
b)1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オンの調製:
【0058】
【化16】
【0059】
この生成物は、NagarajanK.,Arya V.P.,Shah R.K.;Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry;21;10;1982;928−940の文献に記載されている。
【0060】
チオニルクロリド(34ml、0.47mol)を、周囲温度にて35分の期間にわたって、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリジン−2−オン(50.0g、0.39mol)のジクロロメタン(250ml)溶液に滴加する。添加終了時に、反応媒体の温度は35℃である。反応媒体は、35−40℃の温度にて2.5時間維持する。減圧下で(T35℃、15−17mbar)での蒸発の後、粗生成物を得る(67g)。この粗生成物を、アセトンおよび石油エーテルの混合物から結晶化させる(アセトン950mlおよび石油エーテル820mlに対して35g、−24℃にて10から15時間)。結晶を濾過除去し、石油エーテルで洗浄して(40mlで2回)、次に大気圧下、周囲温度にて10−15時間乾燥させる。
融点93℃の白色固体(33.3g、収率66%)を得る。
モル純度は97%超である(H NMR)。
【0061】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーションを下の表1に示す。
【0062】
【化17】
【0063】
【表1】
【0064】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0065】
c)2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアルデヒドの調製:
【0066】
【化18】
【0067】
無水トルエン(300ml)中の3−ヒドロキシ−2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(11.90g、0.073mol)をナトリウム(1.63g、0.071mol)のメタノール(60ml)溶液に滴加する。混合物を還流させて、次にメタノールを蒸発除去する(収集された共沸混合物の体積80−90ml)。80−90℃に戻った後、(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(10.45g、0.070mol)を反応媒体に、一度に添加する。7時間還流させた後、溶媒を減圧下で蒸発除去する(Т50℃、25mbar)。ジクロロメタン(150ml)および水(30ml)を得られた混合物に添加する。次に有機相を水(20ml)で2回洗浄する。NaSOで脱水した後、ジクロロメタンを減圧下で蒸発除去する(Т35℃、33mbar)。石油エーテル(3×50ml)および水(50ml)を得られた混合物(24g)に添加し、得られた沈殿を濾過除去して、フィルタ上で水(15ml)および石油エーテル(15mlで2回)によって洗浄する。
【0068】
得られた生成物は、ジクロロメタン(80ml)に溶解させた生成物を4%NaOH水溶液(60mlで3回)で洗浄することによって再精製する。溶媒を減圧下で蒸発させた後、生成物を石油エーテルで沈殿させる。沈殿を濾過除去して、大気圧下、周囲温度にて15から20時間乾燥させる。
融点139℃の白色固体(8.55g、収率44%)を得る。
モル純度は94%超である(H NMR)。
【0069】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーションを下の表2に示す。
【0070】
【化19】
【0071】
【表2】
*131.4/133.5/136.6/136.7ppm:芳香環13C化学シフトは帰属されていない。
【0072】
使用した溶媒:CDClHでは7.2ppm、13Cでは77ppmにおけるクロロホルムの信号に基づいて較正。
【0073】
d)2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアルデヒドオキシムの調製:
【0074】
【化20】
【0075】
水性ヒドロキシルアミン(2.83g、0.043mol、水中50%)のエタノール(10ml)溶液を、45℃の温度に維持された2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアルデヒド(7.90g、0.029mol)のエタノール(70ml)溶液に添加する。次に反応媒体を50と55℃の間の温度にて2.5時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発除去する(Т37℃、35mbar)。石油エーテル(80ml)を得られた粗生成物に添加する。得られた沈殿を濾過除去して、石油エーテル(20mlで2回)で洗浄し、大気圧下、周囲温度にて15−20時間乾燥させる。
融点165℃の白色固体(7.82g、収率94%)を得る。
モル純度は、H NMRによって84%超である(残りの16%は、特に7mol%のEtOHを含む。)。
【0076】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーションを下の表3に示す。
【0077】
【化21】
【0078】
【表3】
*129.3/129.5/131.9ppm:芳香環13C化学シフトは帰属されず、3つの信号が検出される(おそらく同一の信号の下での2個の炭素)。
【0079】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0080】
e)2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ニトリルオキシド、本発明による化合物の調製:
【0081】
【化22】
【0082】
NaOClの水溶液(4%活性塩素、52ml)を5−7分の期間にわたって、先に調製したオキシム(6.00g、0.021mol)のジクロロメタン(250ml)溶液に2℃の温度で滴加する。反応媒体の温度を0と−4℃の間に維持する。次に反応媒体を0と5℃との間の温度にて3時間撹拌する。次に有機相を分離する。水相をジクロロメタン(15mlで2回)で抽出する。有機相を合せ、次に水(20mlで2回で洗浄して、NaSOで脱水する。溶媒体積を減圧下での蒸発により、50−60mlまで減少させる(Т22℃、220mbar)。次に石油エーテル(75ml)を添加して、溶液を−18℃に10−15時間置く。得られた沈殿を濾過除去して、エチルアセテート/石油エーテル(1/2)混合物(10ml)で洗浄し、最後に大気圧下、周囲温度にて10−15時間乾燥させる。
融点156℃の白色固体(4.70g、収率79%)を得る。
モル純度は85%超である(H NMR)。
【0083】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーションを下の表4に示す。
【0084】
【化23】
【0085】
【表4】
芳香族炭素8、12および15は帰属されていない。13C NMRで2つの信号が観測され、おそらく同じ信号の下から出る2個の炭素がある。
【0086】
−C≡N→O官能基は、2295cm−1に特徴的なIRバンドを呈する。
【0087】
使用した溶媒:CDClHでは7.2ppm、13Cでは77ppmにおけるクロロホルムの信号に基づいて較正。
【0088】
[実施例2]
2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【0089】
【化24】
【0090】
この化合物は、以下の合成スキームに従って、サリチルアルデヒドおよび2−クロロエチルイミダゾリドンから調製することができる:
【0091】
【化25】
【0092】
a)1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オンの調製は、実施例1に記載されている。
【0093】
【化26】
【0094】
b)2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
【0095】
【化27】
【0096】
CO(87.1g、0.631mol)をサリチルアルデヒド(22.0g、0.180mol)のDMF(100ml)溶液に添加する。混合物を52℃にて撹拌する。この温度にて10分の後、1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(40.0g、0.270mol、純度>90%)を数回に分けて添加する。混合物の温度を1時間にわたって90℃(T)として、この温度を5時間維持する。周囲温度に戻った後、混合物を水(1.3l)で希釈して、生成物をCHCl(500ml、5回、100ml)で抽出する。有機相を合せ、次に水で洗浄して(50mlで2回)、70−80gの粗反応物(濃厚懸濁液)が得られるまで蒸発させる(T=40℃)。粗反応物をEtO(120ml)中に取り、懸濁液を周囲温度にて20分撹拌する。得られた沈殿を濾過除去して、DMF/EtO/HO(5ml/20ml/15ml)の混合物で、次にEtOで(10mlで2回)洗浄する。得られた固体を周囲温度にて乾燥させる。
【0097】
融点150℃の固体(30.6g、収率73%)を得る。モル純度は84%超である(H NMR)。
【0098】
得られた2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドは、さらに精製せずに次のステップで直接使用する。
【0099】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0100】
【化28】
【0101】
【表5】
【0102】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0103】
c)2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシムの調製
【0104】
【化29】
【0105】
2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒド(10.0g,0.043mol)のEtOH(100ml)溶液を50℃にする。この温度にて、ヒドロキシルアミン(4.5g、0.068mol、水中50%、アルドリッチ)のEtOH(10ml)溶液を添加する。次に反応媒体を50℃と70℃の間の温度にて6時間撹拌する。反応媒体を、懸濁液が得られるまで減圧下で蒸発させる(Т45℃、65−70mbar)。次に粗反応物を水(5ml)中に取る。得られた溶液を5℃まで冷却して、この温度にて15時間維持する。得られた沈殿を濾過除去して、フィルタ上でEtOH/水(2ml/2ml)混合物で、次にEtOH/石油エーテル(1ml/4ml)混合物、次に石油エーテル(2×10ml)で洗浄する。次に固体を大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
融点88℃の白色固体(9.25g、収率87%)を得る。
モル純度は99%超である(H NMR)。
【0106】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0107】
【化30】
【0108】
【表6】
【0109】
使用した溶媒:DMSO=Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0110】
d)2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【0111】
【化31】
【0112】
NaOClの水溶液(157ml、アルドリッチ、>4%の活性塩素)を10分の期間にわたって、2−[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシム(20.2g、0.081mol)のCHCl(400ml)懸濁液に−1℃で滴加する。次に反応媒体を20分撹拌する。水相および有機相を分離して、水相をCHCl(75mlで2回)で抽出する。合せた有機相を水(10mlで3回)で洗浄して、NaSOで脱水する。相を減圧下、周囲温度にて100mlまで濃縮する。石油エーテル50mlを添加する。溶液を−18℃まで冷却する(3時間)。沈殿を濾過除去し、CHCl/石油エーテル(5ml/10ml;次に5ml/20ml;次に0ml/20ml)で洗浄して、次に大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
【0113】
融点109−110℃の固体(11.32g、収率57%)が得られ、生成物の分解を伴う。
モル純度は94%超である(H NMR)。
【0114】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0115】
【化32】
【0116】
【表7】
【0117】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0118】
赤外キャラクタリゼーション(KBrペレット)
ν(cm−1):2295(官能基Ar−C≡N→O)
【0119】
質量分析キャラクタリゼーション
1213,Mw=247.25g/mol
エレクトロスプレーイオン化モード(DI/ESI)を使用して質量分析計に直接導入することによって、試料を分析した。
【0120】
試料の調製
試料20mgをアセトニトリル2mlに溶解させる。
【0121】
m/z:270([[M+Na]),517([2M+Na]
【0122】
[実施例3]
3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
この化合物は、以下の合成スキームに従って、バニリンおよび2−クロロエチルイミダゾリドンから調製することができる:
【0123】
【化33】
【0124】
a)3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
【0125】
【化34】
【0126】
経路A
バニリン(30.0g、0.197mol)およびKCO(95.4g、0.690mol)のDMF(200ml)懸濁液を15分にわたって50℃にする。DMF(30ml)中の1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(44.0g、0.296mol、純度>90%)を数回に分けてこの懸濁液に添加する。反応媒体を90℃(T)まで加熱して、この温度をおよそ4時間維持する。反応媒体を周囲温度に戻して、次に水(1.25l)を添加する。生成物をCHCl(400ml、4回、100ml)で抽出する。合せた有機相を水(60ml)で洗浄して、減圧下で濃縮する(14mbar、40℃)。粗反応物をEtO(100ml)で希釈して、懸濁液を周囲温度にて15−20分撹拌する。得られた沈殿を濾過除去して、EtO(15mlで3回)で洗浄し、周囲温度にて乾燥させる。
【0127】
融点130℃の固体(31.2g、収率60%)を得る。
モル純度は92%超である(H NMR)。
【0128】
経路B
無水トルエン(250ml)中のバニリン(10.0g、0.066mol)をナトリウム(1.51g、0.066mol)のCHOH(60ml)溶液に添加する。反応媒体を不活性雰囲気下で還流させて、次に残留メタノールを蒸発除去する。80−90℃に戻った後、1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(9.28g、0.064mol、純度>95%)のトルエン(50ml)懸濁液を反応媒体に、一度に添加する。25時間の反応の後、反応媒体を減圧下で濃縮する(Т50℃、30mbar)。粗反応物をCHCl(150ml)中に取る。未反応バニリンを7%NaOH水溶液(30mlで5回)による抽出によって除去する。合せた有機相を水(50mlで4回)で洗浄して、NaSOで脱水し、減圧下で蒸発させる(Т27℃、20mbar)。粗反応物(4.81g)を石油エーテルおよびEtOAcの混合物で希釈して、得られた沈殿を濾過除去する。
【0129】
融点127℃の固体(0.91g、収率6%)を得る。
モル純度は81%超である(H NMR)。
【0130】
経路C
光延反応の手順は、例えば以下の参考文献に記載されている:Mitsunobu,O.;Yamada,Y.Bull.Chem.Soc.Japan 1967,40,2380−2382,The Use of Diethyl Azodicarboxylate and Triphenylphosphine in Synthesis and Transformation of Natural Products Mitsunobu,O.Synthesis 1981,1−28、EP 1149092 В1,2003。
【0131】
ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(10.1g、0.050mol、アルドリッチ)の無水THF(150ml)溶液を、バニリン(5.02g、0.033mol)、無水1−(2−ヒドロキシ−エチル)イミダゾリジン−2−オン(6.38g、0.049mol、アルドリッチ)およびPPh(13.1g、0.050mol)の無水THF(300ml)溶液に、2℃で20分の期間にわたって滴加する。反応媒体を周囲温度にて14時間撹拌して、次に水(150ml)で希釈する。反応媒体を減圧下で濃縮する(45mbar、T28℃)。水相をEtOAc(200mlで3回)で抽出する。合せた有機相をNaCl飽和水溶液で洗浄し、次に減圧下で濃縮して、溶液150mlを得る。溶解した粗反応物をカラムクロマトグラフィー(SiO、溶離液1:EtOAc、溶離液2:EtOAc/EtOH=4/1、EtOAc:EtOH=5:1中での生成物のRf 0.36、PhPOのRf 0.71)によって精製する。
【0132】
融点130℃の固体(6.59g、収率76%)を得る。
モル純度は88%超である(H NMR)。
【0133】
得られた3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドは、さらに精製せずに次のステップで直接使用する。
【0134】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0135】
【化35】
【0136】
【表8】
【0137】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0138】
b)3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシムの調製
【0139】
【化36】
【0140】
ヒドロキシルアミン(10.2g、0.155mol、水中50%、アルドリッチ)のEtOH(20ml)溶液を、3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒド(25.6g、0.097mol)のEtOH(250ml)溶液に52℃で添加する。次に反応媒体を50と60℃の間の温度にて4.5時間撹拌する。次に反応媒体を減圧下で濃縮して(Т=42℃、60mbar)、残渣70−80mlを得る。得られた沈殿を濾過除去して、EtOH/水混合物(5ml/15mlで2回)で洗浄し、大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
【0141】
融点189℃の白色固体(22.14g、収率82%)を得る。
モル純度は89%超である(H NMR)。
【0142】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0143】
【化37】
【0144】
【表9】
【0145】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0146】
c)3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【0147】
【化38】
【0148】
NaOClの水溶液(アルドリッチ、>4%の活性塩素)(161ml)を10分の期間にわたって、3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシム(21.7g、0.078mol)のCHCl(950ml)懸濁液に−3℃で滴加する。次に反応媒体を0℃にて20分撹拌する。有機相を分離して、水相をCHCl(100mlで4回)で抽出する。合せた有機相を水(100mlで3回)で洗浄して、NaSOで脱水し、次に減圧下で200−220mlまで濃縮する(Т22℃)。得られた沈殿を濾過除去して、CHCl(10mlで2回)で洗浄し、大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
【0149】
融点109−111℃の固体(9.13g、収率42%)が得られ、分解を伴う。
モル純度は80%超である(H NMR)。EtOHから再結晶すると、化合物の純度は90質量%超である。
【0150】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0151】
【化39】
【0152】
【表10】
【0153】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0154】
赤外キャラクタリゼーション(KBrペレット)
ν(cm−1):2305(官能基Ar−C≡N→O)
【0155】
質量分析キャラクタリゼーション
1315,Mw=277.27g/mol
エレクトロスプレーイオン化モード(DI/ESI)を使用して質量分析計に直接導入することによって、試料を分析した。
【0156】
試料の調製
試料およそ20mgをメタノール25mlに溶解させて、次にDI/ESI分析のために1/100まで希釈した。
【0157】
ポジティブモード:
m/z:300([[M+Na]),577([2M+Na]
【0158】
[実施例4]
(Z,E)−N−(4−(2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エチルカルバモイル)ベンジリデン)アニリンオキシドの調製
この化合物は、以下の合成スキームに従って、4−ホルミル安息香酸および2−アミノエチルイミダゾリドンから調製することができる:
【0159】
【化40】
【0160】
a)4−ホルミルベンゾイルクロリドの調製
【0161】
【化41】
【0162】
この化合物の合成は、以下の参考文献に記載されている:JANSSEN PHARMACEUTICA N.V.;WO2007/53386;(2007);(A2)。合成された4−ホルミルベンゾイルクロリドの融点は、以下の参考文献に記載されたデータに従う:Graffner−Nordberg,Malin;Sjoedin,Karin;Tunek,Anders;Hallberg,Anders Chemical&Pharmaceutical Bulletin,1998 vol.46,4,p.591−601およびKuhlmann;Alexander Inorganica Chimica Acta,1979,vol.34,p.197,207およびSimonisChemische Berichte,1912,vol.45,p.1586。
【0163】
b)4−ホルミル−N−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチル]ベンズアミドの調製
【0164】
【化42】
【0165】
4−ホルミルベンゾイルクロリド(16.5g、0.098mol)の無水THF(100ml)溶液を30分にわたって、1−(2−アミノ−エチル)イミダゾリジン−2−オン(12.6g、0.098mol)およびEtN(19.8g、0.195mol)の無水THF(300ml)懸濁液に−35℃で添加する。添加の間に、反応媒体の温度を−35と−38℃の間に維持する。次に反応媒体の温度を、4時間の期間にわたってゆっくり周囲温度まで戻す。得られた沈殿(主に、トリエチルアミンヒドロクロリドEtN・HClとの混合物としての予想された生成物)を濾過除去して、THF(20mlで2回)で洗浄する。粗反応物をNaCO水溶液(3.4g、水40ml中に0.032mol)に溶解させる。予想化合物をEtOAc(総体積:3.5l)で数回抽出する。合せた有機相をNaSOで脱水して、減圧下で濃縮する(T=40℃)。
【0166】
融点138℃の固体(5.53g、収率22%)を得る。
モル純度は81%超である(H NMR)。この化合物は、さらに精製せずに次のステップで直接使用する。
【0167】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0168】
【化43】
【0169】
【表11】
【0170】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0171】
c)N−フェニルヒドロキシルアミンの調製
【0172】
【化44】
【0173】
この化合物のニトロベンゼンからの合成は、Organic Syntheses,Coll.Vol.1.p.445(1941);Vol.4.p.57(1925)に記載されている。
【0174】
d)(Z,E)−N−(4−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチルカルバモイル)ベンジリデン)アニリンオキシドの調製
【0175】
【化45】
【0176】
N−フェニルヒドロキシルアミン(2.21g、0.020mol)のEtOH(10ml)溶液を、4−ホルミル−N−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチル]ベンズアミド(5.3g、0.020mol)のEtOH(50ml)溶液に添加する。反応混合物を4時間還流させて、次に周囲温度まで冷却する。得られた沈殿を濾過除去して、EtOH(5mlで3回)で洗浄し、周囲温度にて風乾させる。
【0177】
融点209℃の白色固体(4.65g、収率66%)を得る。
モル純度は92%超である(H NMR)。
【0178】
Hおよび13C NMRキャラクタリゼーション
【0179】
【化46】
【0180】
【表12】
【0181】
使用した溶媒:DMSO−Hでは2.44ppm、13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0182】
質量分析キャラクタリゼーション
1920,Mw=352.38g/mol
エレクトロスプレーをイオン化モード(DI/ESI)として使用して質量分析計に直接導入することによって、試料を分析した。
【0183】
試料の調製:
試料およそ20mgをDMSO 0.5ml+メタノール24.5mlの溶液に加え、次にDI/ESI分析用にメタノールで1/100に希釈する。
【0184】
ポジティブモード
m/z:375([M+Na]),727([2M+Na]
ネガティブモード
m/z:351([M−H]),703([2M−H]