【実施例】
【0047】
例示的な実施形態
合成分子の構造分析およびまたモル純度の決定は、NMR分析によって行われる。スペクトルは、BBIz−grad 5mm「ブロードバンド」プローブを装備したブルカーアバンス(Bruker Avance)500MHz分光計で収集される。定量的
1H NMR実験は、単純な30°パルスシーケンスおよび64回の各収集の間の3秒の繰り返し遅延を使用する。試料を重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させる。この溶媒は、ロック信号にも使用される。較正は、0ppmにおけるTMS基準に対する2.44ppmにおける重水素化DMSOについてプロトン信号に基づいて行う。2D HSQC 1H/13CおよびHMBC 1H/13C実験と組み合わされた
1H NMRスペクトルにより、分子を構造決定することができる(帰属表を参照)。モル定量は、定量1D
1H NMRスペクトルに基づいて行われる。
【0048】
赤外線測定によって、芳香族によって担持されたニトリルオキシド基の存在を検証することができる。スペクトルは、DTGS検出器を装着したバーテックス70フーリエ変換分光計で収集される。スペクトルは、2cm
−1の分解能で、4000cm
−1と400cm
−1の間の32回のスキャンにより収集される。試料はKBrペレットの形で調製される。芳香族が担持するニトリルオキシド官能基は、2295cm
−1のバンドを特徴とする。
【0049】
質量分析は、エレクトロスプレーイオン化モードでの直接注入(DI/ESI)によって行う。分析は、ブルカーHCT分光計(流量600μL/分、噴霧ガス圧10psi、噴霧ガス流量4L/分)で行った。
【0050】
[実施例1]
1−(2−(3’−ニトリルオキシメシチル−1’−オキシ)エチル)イミダゾリジン−2−オンの調製
【0051】
【化13】
【0052】
この化合物は、以下の合成スキームに従って、ヒドロキシエチル−イミダゾリドンメシトールから調製することができる。
【0053】
【化14】
【0054】
a)3−ヒドロキシ−2,4,6−トリメチルベンズアルデヒドの調製
【0055】
【化15】
【0056】
この化合物は、以下の文献:Yakubov,A.P.;Tsyganov,D.V.;Belen’kii,L.I.;Krayushkin,M.M.;Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR,Division of Chemical Science(English Translation);vol.40;nb.7.2;(1991);p.1427−1432;Izvestiya Akademii Nauk SSSR,Seriya Khimicheskaya;nb.7;(1991);p.1609−1615に記載された手順に従って得ることができる。
【0057】
b)1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オンの調製:
【0058】
【化16】
【0059】
この生成物は、NagarajanK.,Arya V.P.,Shah R.K.;Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry;21;10;1982;928−940の文献に記載されている。
【0060】
チオニルクロリド(34ml、0.47mol)を、周囲温度にて35分の期間にわたって、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾリジン−2−オン(50.0g、0.39mol)のジクロロメタン(250ml)溶液に滴加する。添加終了時に、反応媒体の温度は35℃である。反応媒体は、35−40℃の温度にて2.5時間維持する。減圧下で(T
浴35℃、15−17mbar)での蒸発の後、粗生成物を得る(67g)。この粗生成物を、アセトンおよび石油エーテルの混合物から結晶化させる(アセトン950mlおよび石油エーテル820mlに対して35g、−24℃にて10から15時間)。結晶を濾過除去し、石油エーテルで洗浄して(40mlで2回)、次に大気圧下、周囲温度にて10−15時間乾燥させる。
融点93℃の白色固体(33.3g、収率66%)を得る。
モル純度は97%超である(
1H NMR)。
【0061】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーションを下の表1に示す。
【0062】
【化17】
【0063】
【表1】
【0064】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0065】
c)2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアルデヒドの調製:
【0066】
【化18】
【0067】
無水トルエン(300ml)中の3−ヒドロキシ−2,4,6−トリメチルベンズアルデヒド(11.90g、0.073mol)をナトリウム(1.63g、0.071mol)のメタノール(60ml)溶液に滴加する。混合物を還流させて、次にメタノールを蒸発除去する(収集された共沸混合物の体積80−90ml)。80−90℃に戻った後、(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(10.45g、0.070mol)を反応媒体に、一度に添加する。7時間還流させた後、溶媒を減圧下で蒸発除去する(Т
浴50℃、25mbar)。ジクロロメタン(150ml)および水(30ml)を得られた混合物に添加する。次に有機相を水(20ml)で2回洗浄する。Na
2SO
4で脱水した後、ジクロロメタンを減圧下で蒸発除去する(Т
浴35℃、33mbar)。石油エーテル(3×50ml)および水(50ml)を得られた混合物(24g)に添加し、得られた沈殿を濾過除去して、フィルタ上で水(15ml)および石油エーテル(15mlで2回)によって洗浄する。
【0068】
得られた生成物は、ジクロロメタン(80ml)に溶解させた生成物を4%NaOH水溶液(60mlで3回)で洗浄することによって再精製する。溶媒を減圧下で蒸発させた後、生成物を石油エーテルで沈殿させる。沈殿を濾過除去して、大気圧下、周囲温度にて15から20時間乾燥させる。
融点139℃の白色固体(8.55g、収率44%)を得る。
モル純度は94%超である(
1H NMR)。
【0069】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーションを下の表2に示す。
【0070】
【化19】
【0071】
【表2】
*131.4/133.5/136.6/136.7ppm:芳香環
13C化学シフトは帰属されていない。
【0072】
使用した溶媒:CDCl
3−
1Hでは7.2ppm、
13Cでは77ppmにおけるクロロホルムの信号に基づいて較正。
【0073】
d)2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアルデヒドオキシムの調製:
【0074】
【化20】
【0075】
水性ヒドロキシルアミン(2.83g、0.043mol、水中50%)のエタノール(10ml)溶液を、45℃の温度に維持された2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ベンズアルデヒド(7.90g、0.029mol)のエタノール(70ml)溶液に添加する。次に反応媒体を50と55℃の間の温度にて2.5時間撹拌する。溶媒を減圧下で蒸発除去する(Т
浴37℃、35mbar)。石油エーテル(80ml)を得られた粗生成物に添加する。得られた沈殿を濾過除去して、石油エーテル(20mlで2回)で洗浄し、大気圧下、周囲温度にて15−20時間乾燥させる。
融点165℃の白色固体(7.82g、収率94%)を得る。
モル純度は、
1H NMRによって84%超である(残りの16%は、特に7mol%のEtOHを含む。)。
【0076】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーションを下の表3に示す。
【0077】
【化21】
【0078】
【表3】
*129.3/129.5/131.9ppm:芳香環
13C化学シフトは帰属されず、3つの信号が検出される(おそらく同一の信号の下での2個の炭素)。
【0079】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0080】
e)2,4,6−トリメチル−3−(2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エトキシ)ニトリルオキシド、本発明による化合物の調製:
【0081】
【化22】
【0082】
NaOClの水溶液(4%活性塩素、52ml)を5−7分の期間にわたって、先に調製したオキシム(6.00g、0.021mol)のジクロロメタン(250ml)溶液に2℃の温度で滴加する。反応媒体の温度を0と−4℃の間に維持する。次に反応媒体を0と5℃との間の温度にて3時間撹拌する。次に有機相を分離する。水相をジクロロメタン(15mlで2回)で抽出する。有機相を合せ、次に水(20mlで2回で洗浄して、Na
2SO
4で脱水する。溶媒体積を減圧下での蒸発により、50−60mlまで減少させる(Т
浴22℃、220mbar)。次に石油エーテル(75ml)を添加して、溶液を−18℃に10−15時間置く。得られた沈殿を濾過除去して、エチルアセテート/石油エーテル(1/2)混合物(10ml)で洗浄し、最後に大気圧下、周囲温度にて10−15時間乾燥させる。
融点156℃の白色固体(4.70g、収率79%)を得る。
モル純度は85%超である(
1H NMR)。
【0083】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーションを下の表4に示す。
【0084】
【化23】
【0085】
【表4】
*芳香族炭素8、12および15は帰属されていない。
13C NMRで2つの信号が観測され、おそらく同じ信号の下から出る2個の炭素がある。
【0086】
−C≡N→O官能基は、2295cm
−1に特徴的なIRバンドを呈する。
【0087】
使用した溶媒:CDCl
3−
1Hでは7.2ppm、
13Cでは77ppmにおけるクロロホルムの信号に基づいて較正。
【0088】
[実施例2]
2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【0089】
【化24】
【0090】
この化合物は、以下の合成スキームに従って、サリチルアルデヒドおよび2−クロロエチルイミダゾリドンから調製することができる:
【0091】
【化25】
【0092】
a)1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オンの調製は、実施例1に記載されている。
【0093】
【化26】
【0094】
b)2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
【0095】
【化27】
【0096】
K
2CO
3(87.1g、0.631mol)をサリチルアルデヒド(22.0g、0.180mol)のDMF(100ml)溶液に添加する。混合物を52℃にて撹拌する。この温度にて10分の後、1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(40.0g、0.270mol、純度>90%)を数回に分けて添加する。混合物の温度を1時間にわたって90℃(T
浴)として、この温度を5時間維持する。周囲温度に戻った後、混合物を水(1.3l)で希釈して、生成物をCH
2Cl
2(500ml、5回、100ml)で抽出する。有機相を合せ、次に水で洗浄して(50mlで2回)、70−80gの粗反応物(濃厚懸濁液)が得られるまで蒸発させる(T
浴=40℃)。粗反応物をEt
2O(120ml)中に取り、懸濁液を周囲温度にて20分撹拌する。得られた沈殿を濾過除去して、DMF/Et
2O/H
2O(5ml/20ml/15ml)の混合物で、次にEt
2Oで(10mlで2回)洗浄する。得られた固体を周囲温度にて乾燥させる。
【0097】
融点150℃の固体(30.6g、収率73%)を得る。モル純度は84%超である(
1H NMR)。
【0098】
得られた2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドは、さらに精製せずに次のステップで直接使用する。
【0099】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0100】
【化28】
【0101】
【表5】
【0102】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0103】
c)2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシムの調製
【0104】
【化29】
【0105】
2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒド(10.0g,0.043mol)のEtOH(100ml)溶液を50℃にする。この温度にて、ヒドロキシルアミン(4.5g、0.068mol、水中50%、アルドリッチ)のEtOH(10ml)溶液を添加する。次に反応媒体を50℃と70℃の間の温度にて6時間撹拌する。反応媒体を、懸濁液が得られるまで減圧下で蒸発させる(Т
浴45℃、65−70mbar)。次に粗反応物を水(5ml)中に取る。得られた溶液を5℃まで冷却して、この温度にて15時間維持する。得られた沈殿を濾過除去して、フィルタ上でEtOH/水(2ml/2ml)混合物で、次にEtOH/石油エーテル(1ml/4ml)混合物、次に石油エーテル(2×10ml)で洗浄する。次に固体を大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
融点88℃の白色固体(9.25g、収率87%)を得る。
モル純度は99%超である(
1H NMR)。
【0106】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0107】
【化30】
【0108】
【表6】
【0109】
使用した溶媒:DMSO=
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0110】
d)2−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【0111】
【化31】
【0112】
NaOClの水溶液(157ml、アルドリッチ、>4%の活性塩素)を10分の期間にわたって、2−[2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシム(20.2g、0.081mol)のCH
2Cl
2(400ml)懸濁液に−1℃で滴加する。次に反応媒体を20分撹拌する。水相および有機相を分離して、水相をCH
2Cl
2(75mlで2回)で抽出する。合せた有機相を水(10mlで3回)で洗浄して、Na
2SO
4で脱水する。相を減圧下、周囲温度にて100mlまで濃縮する。石油エーテル50mlを添加する。溶液を−18℃まで冷却する(3時間)。沈殿を濾過除去し、CH
2Cl
2/石油エーテル(5ml/10ml;次に5ml/20ml;次に0ml/20ml)で洗浄して、次に大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
【0113】
融点109−110℃の固体(11.32g、収率57%)が得られ、生成物の分解を伴う。
モル純度は94%超である(
1H NMR)。
【0114】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0115】
【化32】
【0116】
【表7】
【0117】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0118】
赤外キャラクタリゼーション(KBrペレット)
ν(cm
−1):2295(官能基Ar−C≡N→O)
【0119】
質量分析キャラクタリゼーション
C
12H
13N
3O
3,Mw=247.25g/mol
エレクトロスプレーイオン化モード(DI/ESI)を使用して質量分析計に直接導入することによって、試料を分析した。
【0120】
試料の調製
試料20mgをアセトニトリル2mlに溶解させる。
【0121】
m/z:270([[M+Na]
+),517([2M+Na]
+)
【0122】
[実施例3]
3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
この化合物は、以下の合成スキームに従って、バニリンおよび2−クロロエチルイミダゾリドンから調製することができる:
【0123】
【化33】
【0124】
a)3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドの調製
【0125】
【化34】
【0126】
経路A
バニリン(30.0g、0.197mol)およびK
2CO
3(95.4g、0.690mol)のDMF(200ml)懸濁液を15分にわたって50℃にする。DMF(30ml)中の1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(44.0g、0.296mol、純度>90%)を数回に分けてこの懸濁液に添加する。反応媒体を90℃(T
浴)まで加熱して、この温度をおよそ4時間維持する。反応媒体を周囲温度に戻して、次に水(1.25l)を添加する。生成物をCH
2Cl
2(400ml、4回、100ml)で抽出する。合せた有機相を水(60ml)で洗浄して、減圧下で濃縮する(14mbar、40℃)。粗反応物をEt
2O(100ml)で希釈して、懸濁液を周囲温度にて15−20分撹拌する。得られた沈殿を濾過除去して、Et
2O(15mlで3回)で洗浄し、周囲温度にて乾燥させる。
【0127】
融点130℃の固体(31.2g、収率60%)を得る。
モル純度は92%超である(
1H NMR)。
【0128】
経路B
無水トルエン(250ml)中のバニリン(10.0g、0.066mol)をナトリウム(1.51g、0.066mol)のCH
3OH(60ml)溶液に添加する。反応媒体を不活性雰囲気下で還流させて、次に残留メタノールを蒸発除去する。80−90℃に戻った後、1−(2−クロロエチル)イミダゾリジン−2−オン(9.28g、0.064mol、純度>95%)のトルエン(50ml)懸濁液を反応媒体に、一度に添加する。25時間の反応の後、反応媒体を減圧下で濃縮する(Т
浴50℃、30mbar)。粗反応物をCH
2Cl
2(150ml)中に取る。未反応バニリンを7%NaOH水溶液(30mlで5回)による抽出によって除去する。合せた有機相を水(50mlで4回)で洗浄して、Na
2SO
4で脱水し、減圧下で蒸発させる(Т
浴27℃、20mbar)。粗反応物(4.81g)を石油エーテルおよびEtOAcの混合物で希釈して、得られた沈殿を濾過除去する。
【0129】
融点127℃の固体(0.91g、収率6%)を得る。
モル純度は81%超である(
1H NMR)。
【0130】
経路C
光延反応の手順は、例えば以下の参考文献に記載されている:Mitsunobu,O.;Yamada,Y.Bull.Chem.Soc.Japan 1967,40,2380−2382,The Use of Diethyl Azodicarboxylate and Triphenylphosphine in Synthesis and Transformation of Natural Products Mitsunobu,O.Synthesis 1981,1−28、EP 1149092 В1,2003。
【0131】
ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(10.1g、0.050mol、アルドリッチ)の無水THF(150ml)溶液を、バニリン(5.02g、0.033mol)、無水1−(2−ヒドロキシ−エチル)イミダゾリジン−2−オン(6.38g、0.049mol、アルドリッチ)およびPPh
3(13.1g、0.050mol)の無水THF(300ml)溶液に、2℃で20分の期間にわたって滴加する。反応媒体を周囲温度にて14時間撹拌して、次に水(150ml)で希釈する。反応媒体を減圧下で濃縮する(45mbar、T
浴28℃)。水相をEtOAc(200mlで3回)で抽出する。合せた有機相をNaCl飽和水溶液で洗浄し、次に減圧下で濃縮して、溶液150mlを得る。溶解した粗反応物をカラムクロマトグラフィー(SiO
2、溶離液1:EtOAc、溶離液2:EtOAc/EtOH=4/1、EtOAc:EtOH=5:1中での生成物のRf 0.36、Ph
3POのRf 0.71)によって精製する。
【0132】
融点130℃の固体(6.59g、収率76%)を得る。
モル純度は88%超である(
1H NMR)。
【0133】
得られた3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドは、さらに精製せずに次のステップで直接使用する。
【0134】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0135】
【化35】
【0136】
【表8】
【0137】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0138】
b)3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシムの調製
【0139】
【化36】
【0140】
ヒドロキシルアミン(10.2g、0.155mol、水中50%、アルドリッチ)のEtOH(20ml)溶液を、3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒド(25.6g、0.097mol)のEtOH(250ml)溶液に52℃で添加する。次に反応媒体を50と60℃の間の温度にて4.5時間撹拌する。次に反応媒体を減圧下で濃縮して(Т
浴=42℃、60mbar)、残渣70−80mlを得る。得られた沈殿を濾過除去して、EtOH/水混合物(5ml/15mlで2回)で洗浄し、大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
【0141】
融点189℃の白色固体(22.14g、収率82%)を得る。
モル純度は89%超である(
1H NMR)。
【0142】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0143】
【化37】
【0144】
【表9】
【0145】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0146】
c)3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンゾニトリルオキシドの調製
【0147】
【化38】
【0148】
NaOClの水溶液(アルドリッチ、>4%の活性塩素)(161ml)を10分の期間にわたって、3−メトキシ−4−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エトキシ]ベンズアルデヒドオキシム(21.7g、0.078mol)のCH
2Cl
2(950ml)懸濁液に−3℃で滴加する。次に反応媒体を0℃にて20分撹拌する。有機相を分離して、水相をCH
2Cl
2(100mlで4回)で抽出する。合せた有機相を水(100mlで3回)で洗浄して、Na
2SO
4で脱水し、次に減圧下で200−220mlまで濃縮する(Т
浴22℃)。得られた沈殿を濾過除去して、CH
2Cl
2(10mlで2回)で洗浄し、大気圧下、周囲温度にて乾燥させる。
【0149】
融点109−111℃の固体(9.13g、収率42%)が得られ、分解を伴う。
モル純度は80%超である(
1H NMR)。EtOHから再結晶すると、化合物の純度は90質量%超である。
【0150】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0151】
【化39】
【0152】
【表10】
【0153】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0154】
赤外キャラクタリゼーション(KBrペレット)
ν(cm
−1):2305(官能基Ar−C≡N→O)
【0155】
質量分析キャラクタリゼーション
C
13H
15N
3O
4,Mw=277.27g/mol
エレクトロスプレーイオン化モード(DI/ESI)を使用して質量分析計に直接導入することによって、試料を分析した。
【0156】
試料の調製
試料およそ20mgをメタノール25mlに溶解させて、次にDI/ESI分析のために1/100まで希釈した。
【0157】
ポジティブモード:
m/z:300([[M+Na]
+),577([2M+Na]
+)
【0158】
[実施例4]
(Z,E)−N−(4−(2−(2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル)エチルカルバモイル)ベンジリデン)アニリンオキシドの調製
この化合物は、以下の合成スキームに従って、4−ホルミル安息香酸および2−アミノエチルイミダゾリドンから調製することができる:
【0159】
【化40】
【0160】
a)4−ホルミルベンゾイルクロリドの調製
【0161】
【化41】
【0162】
この化合物の合成は、以下の参考文献に記載されている:JANSSEN PHARMACEUTICA N.V.;WO2007/53386;(2007);(A2)。合成された4−ホルミルベンゾイルクロリドの融点は、以下の参考文献に記載されたデータに従う:Graffner−Nordberg,Malin;Sjoedin,Karin;Tunek,Anders;Hallberg,Anders Chemical&Pharmaceutical Bulletin,1998 vol.46,4,p.591−601およびKuhlmann;Alexander Inorganica Chimica Acta,1979,vol.34,p.197,207およびSimonisChemische Berichte,1912,vol.45,p.1586。
【0163】
b)4−ホルミル−N−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチル]ベンズアミドの調製
【0164】
【化42】
【0165】
4−ホルミルベンゾイルクロリド(16.5g、0.098mol)の無水THF(100ml)溶液を30分にわたって、1−(2−アミノ−エチル)イミダゾリジン−2−オン(12.6g、0.098mol)およびEt
3N(19.8g、0.195mol)の無水THF(300ml)懸濁液に−35℃で添加する。添加の間に、反応媒体の温度を−35と−38℃の間に維持する。次に反応媒体の温度を、4時間の期間にわたってゆっくり周囲温度まで戻す。得られた沈殿(主に、トリエチルアミンヒドロクロリドEt
3N・HClとの混合物としての予想された生成物)を濾過除去して、THF(20mlで2回)で洗浄する。粗反応物をNa
2CO
3水溶液(3.4g、水40ml中に0.032mol)に溶解させる。予想化合物をEtOAc(総体積:3.5l)で数回抽出する。合せた有機相をNa
2SO
4で脱水して、減圧下で濃縮する(T
浴=40℃)。
【0166】
融点138℃の固体(5.53g、収率22%)を得る。
モル純度は81%超である(
1H NMR)。この化合物は、さらに精製せずに次のステップで直接使用する。
【0167】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0168】
【化43】
【0169】
【表11】
【0170】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0171】
c)N−フェニルヒドロキシルアミンの調製
【0172】
【化44】
【0173】
この化合物のニトロベンゼンからの合成は、Organic Syntheses,Coll.Vol.1.p.445(1941);Vol.4.p.57(1925)に記載されている。
【0174】
d)(Z,E)−N−(4−(2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチルカルバモイル)ベンジリデン)アニリンオキシドの調製
【0175】
【化45】
【0176】
N−フェニルヒドロキシルアミン(2.21g、0.020mol)のEtOH(10ml)溶液を、4−ホルミル−N−[2−(2−オキソイミダゾリジン−1−イル)エチル]ベンズアミド(5.3g、0.020mol)のEtOH(50ml)溶液に添加する。反応混合物を4時間還流させて、次に周囲温度まで冷却する。得られた沈殿を濾過除去して、EtOH(5mlで3回)で洗浄し、周囲温度にて風乾させる。
【0177】
融点209℃の白色固体(4.65g、収率66%)を得る。
モル純度は92%超である(
1H NMR)。
【0178】
1Hおよび
13C NMRキャラクタリゼーション
【0179】
【化46】
【0180】
【表12】
【0181】
使用した溶媒:DMSO−
1Hでは2.44ppm、
13Cでは39.5ppmにおけるDMSOの信号に基づいて較正。
【0182】
質量分析キャラクタリゼーション
C
19H
20N
4O
3,Mw=352.38g/mol
エレクトロスプレーをイオン化モード(DI/ESI)として使用して質量分析計に直接導入することによって、試料を分析した。
【0183】
試料の調製:
試料およそ20mgをDMSO 0.5ml+メタノール24.5mlの溶液に加え、次にDI/ESI分析用にメタノールで1/100に希釈する。
【0184】
ポジティブモード
m/z:375([M+Na]
+),727([2M+Na]
+)
ネガティブモード
m/z:351([M−H]
−),703([2M−H]
−)