特許第5799097号(P5799097)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799097
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】車両シート用締結構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   B60N2/68
【請求項の数】5
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-522646(P2013-522646)
(86)(22)【出願日】2011年7月5日
(86)【国際出願番号】JP2011065388
(87)【国際公開番号】WO2013005308
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】安田 賢三
(72)【発明者】
【氏名】林 良輔
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−190251(JP,U)
【文献】 実開昭61−106440(JP,U)
【文献】 特開平10−119119(JP,A)
【文献】 特開昭55−084110(JP,A)
【文献】 特開2006−233528(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0103228(US,A1)
【文献】 特開2009−285044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートのシートバック又はシートクッションのフレーム本体の一部を構成すると共に、金属により製作された被締結部材と、
前記被締結部材を含んで構成された前記フレーム本体の一部を構成すると共に、FRPにより形成されたベース部と、金属により製作されかつ前記被締結部材に締結される締結プレートと、を含んで構成された締結部材と、
を備え
少なくとも2つのベース部材が、当該少なくとも2つのベース部材のみによって互いに結合されて前記ベース部を構成し、前記ベース部が、当該少なくとも2つのベース部材により前記締結プレートの一部を狭持して、前記ベース部と前記締結プレートとが一体に形成されるか、又は、
2つの締結プレートが、当該2つの締結プレートのみによって互いに結合されて前記締結プレートを構成し、前記締結プレートが、当該2つの締結プレートにより前記ベース部の一部を狭持して前記ベース部と前記締結プレートとが一体に形成された車両シート用締結構造。
【請求項2】
前記締結プレートの一側面及び他側面が前記ベース部から露出された請求項1に記載の車両シート用締結構造。
【請求項3】
前記締結プレートが前記締結プレートの外周部の一部において前記ベース部に接合された請求項1又は請求項2に記載の車両シート用締結構造。
【請求項4】
前記締結プレートが前記締結プレートの外周部の全周において前記ベース部に接合された請求項1又は請求項2に記載の車両シート用締結構造。
【請求項5】
前記被締結部材は、金属のパイプ材又は板材により製作され、
前記締結部材は、シートクッション又はシートバックを保持する保持部材である請求項1〜請求項の何れか一項に記載の車両シート用締結構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属により製作された被締結部材にFRPにより形成された締結部材を締結する車両シート用締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のシートフレーム構造では、シートバックフレームの下端にシートバック側ブラケットが固定されており、シートバックフレームとシートバック側ブラケットとの間にワイヤが設けられている。このため、ワイヤが補強部材として作用して、シートバックフレームに作用する応力が緩和される。これにより、シートバックフレームの径を小さくでき、ひいては、車両用シートの軽量化を図ることができる。
【特許文献1】特開2000−142197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このシートフレーム構造では、新たに補強部材としてのワイヤを取付けるため、構造が複雑になると共に、組付け時間が増加してしまう。また、車両用シートでは、シートバックフレームやシートクッションにパッドが設けられるが、上述のワイヤを設けることで、例えば、このワイヤがパッドを削る可能性がある。このため、このパッドを保護する部品をさらに追加する必要がある。したがって、車両用シートの部品構成を変更することなく、軽量化できることが望ましい。
【0004】
そこで、車両用シートの構成部品を、例えば、強化繊維と樹脂との複合材である繊維強化プラスチック(FRP)により形成すれば、車両用シートの軽量化を図ることができる。
【0005】
しかしながら、この場合でも、全ての構成部品をFRPにより形成することは困難であるため、構成部材には、FRPにより形成されたものと金属により製作されたものとが存在する。このため、両者を締結させる際には、接着剤を用いて両者を接着することが考えられるが、この場合においても、接着剤が硬化するまでの時間を必要とするため、組付け時間が増加してしまう。これにより、生産性が悪化するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、生産性を確保しつつ車両用シートの軽量化を図ることができる車両シート用締結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る車両シート用締結構造は、車両用シートのシートバック又はシートクッションのフレーム本体の一部を構成すると共に、金属により製作された被締結部材と、前記被締結部材を含んで構成された前記フレーム本体の一部を構成すると共に、FRPにより形成されたベース部と、金属により製作されかつ前記被締結部材に締結される締結プレートと、を含んで構成された締結部材と、を備え、前記ベース部及び前記締結プレートの一方が、当該一方のみによって互いに結合されると共に、前記ベース部及び前記締結プレートの他方の一部を狭持して、前記ベース部と前記締結プレートとが一体に形成されている。
【0008】
第1の態様に係る車両シート用締結構造では、締結部材が、FRP(強化繊維と樹脂との複合材である繊維強化プラスチック)により形成されたベース部と金属により製作された締結プレートとを有している。締結プレートは、ベース部と一体に形成されると共にベース部から露出されて、シートバック又はシートクッションのフレーム本体の一部を構成する金属製の被締結部材に締結される。また、ベース部及び締結プレートの一方が、当該一方のみによって互いに結合されている。さらに、ベース部及び締結プレートの他方の一部が、当該一方に狭持されて、ベース部と締結プレートとが一体に形成されている。
【0009】
このため、FRPにより形成されたベース部と金属により製作された締結プレートとをユニット化した状態で、締結部材を被締結部材に締結できる。また、締結部材を被締結部材に締結させる際には、接着剤を用いずに、例えば、溶接によって締結プレートを被締結部材に締結できる。これにより、接着剤を用いる場合に比して、締結部材を被締結部材に締結させる際の組付け時間(締結時間)が増加しない。したがって、生産性を確保して、FRPにより形成された締結部材を被締結部材に締結できる。
【0010】
第2の態様に係る車両シート用締結構造は、第1の態様において、前記ベース部は、前記締結プレートの一部を狭持する少なくとも2つのベース部材で構成されている。
【0011】
第2の態様に係る車両シート用締結構造では、締結プレートの一部がベース部を構成する少なくとも2つのベース部材で狭持されている。このため、締結プレートがベース部に挟み込まれた状態で、ベース部に保持される。これにより、ベース部の締結プレートを保持する保持力を確保できる。
【0012】
第3の態様に係る車両シート用締結構造は、第1の態様において、前記締結プレートは、前記ベース部の一部を狭持する2つの締結プレートで構成されている。
【0013】
第3の態様に係る車両シート用締結構造では、ベース部の一部が2つの締結プレートで狭持されている。このため、締結プレートが、ベース部を挟み込んだ状態で、ベース部に保持される。これにより、締結プレートのベース部に対する保持力を確保できる。
【0014】
第4の態様に係る車両シート用締結構造は、第1の態様〜第3の態様の何れか1つの態様において、前記締結プレートの一側面及び他側面が前記ベース部から露出されている。
【0015】
第4の態様に係る車両シート用締結構造では、締結プレートの一側面及び他側面がベース部から露出されているため、例えば、締結プレートを被締結部材にボルト及びナットによって締結する際に、締結プレートの一側面と被締結部材とが接触でき、締結プレートの他側面とボルトとが接触できる。これにより、ボルトが締結プレートにメタルタッチされて、ボルトの締付トルクを効率よく確保できる。また、例えば、締結プレートを被締結部材に溶接によって締結する際に、締結プレートの一側面を被締結部材に接触させて、締結プレートの他側面から締結プレートと被締結部材とを溶接して、締結プレートを被締結部材に締結できる。
【0016】
第5の態様に係る車両シート用締結構造は、第2の態様〜第4の態様の何れか1つの態様において、前記締結プレートが前記締結プレートの外周部の一部において前記ベース部に接合されている。
【0017】
第5の態様に係る車両シート用締結構造では、締結プレートが、締結プレートの外周部の一部において、ベース部に接合されているため、締結部材の形状に対応して、締結部材の端部や縁部に締結プレートを設けて、締結部材を被締結部材に締結できる。
【0018】
第6の態様に係る車両シート用締結構造は、第2の態様〜第4の態様の何れか1つの態様において、前記締結プレートが前記締結プレートの外周部の全周において前記ベース部に接合されている。
【0019】
第6の態様に係る車両シート用締結構造では、締結プレートが、締結プレートの外周部の全周において、ベース部に接合されているため、締結部材の形状に対応して、締結部材内の任意の位置に締結プレートを設けて、締結部材を被締結部材に締結できる。
【0020】
第7の態様に係る車両シート用締結構造は、第1の態様〜第6の態様の何れか1つの態様において、前記被締結部材は、金属のパイプ材又は板材により製作され、前記締結部材は、シートクッション又はシートバックを保持する保持部材である。
【0021】
第7の態様に係る車両シート用締結構造では、締結部材が、シートクッション又はシートバックを保持する保持部材とされて、金属のパイプ材又は板材により製作された被締結部材に締結される。このため、車両のシートにおいてシートクッション又はシートバックを保持する部材にFRPを適用できるため、車両のシートにおける大幅な軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の車両シート用締結構造によれば、生産性を確保しつつ車両用シートの軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る車両シート用締結構造が適用された車両用シートの要部を示すシート斜め前方から見た一部分解した斜視図である。
図2図1に示される車両用シートの要部をシート斜め後方から見た分解した斜視図である。
図3図1に示される車両用シートに用いられるシートクッションサイドフレームとヒンジブラケットとの締結状態を示す断面図(図1の3−3線断面図)である。
図4図1に示される車両用シートに用いられるシートクッションフロントパネルとフロントフレームとの締結状態を示す断面図(図1の4−4線断面図)である。
図5図1に示される車両用シートに用いられるベースプレートとシートバックサイドフレームとの締結状態を示す断面図(図1の5−5線断面図)である。
図6図1に示される車両用シートに用いられるシートバックサイドフレームとアッパーパイプとの締結状態を示す断面図(図1の6−6線断面図)である。
図7図2に示される車両用シートに用いられるシートバックパネルとアッパーパイプとの締結状態を示す断面図(図2の7−7線断面図)である。
図8図7に示されるシートバックパネルを分解した斜視図である。
図9A】シートバックパネルプレートを第1ベース部材と第2ベース部材との間に配置する前の状態を示す概念図である。
図9B】シートクッションサイドプレートを第1ベース部材と第2ベース部材との間に配置した状態を示す概念図である。
図9C】第1ベース部材と第2ベース部材とを加圧して、シートバックパネルプレートとシートバックパネルベース部とが一体に形成された状態を示す概念図である。
図10】シートバックパネルプレートとシートバックパネルベース部とが一体に形成された状態を示す概念図である。
図11図5に示されるシートバックサイドフレームを分解した斜視図である。
図12A図11に示されるシートバックサイドフレームの断面図である。
図12B図11に示されるシートバックサイドフレームを分解した斜視図である。
図13図1に示される車両用シートに用いられるシートバックパネルプレートを分解した斜視図である。
図14図1に示される車両用シートに用いられるシートバックサイドフレームを分解した斜視図である。
図15図1に示される車両用シートに用いられるシートクッションサイドフレームとヒンジブラケットとが、溶接により締結された状態を示す断面図である。
図16図1に示される車両用シートに用いられるベースプレートとシートバックサイドフレームとが、溶接により締結された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1には、本発明の実施の形態に係る車両シート用締結構造10が適用された車両用シート12の要部がシート斜め前方から見た一部分解した斜視図にて示されており、図2には、車両用シート12の要部がシート斜め後方から見た一部分解した斜視図にて示されている。なお、図面では、シート前方を矢印FRで示し、シート幅方向を矢印Wで示し、上方を矢印UPで示す。
【0025】
これらの図に示すように、車両用シート12の下方には、一対の前側レッグブラケット14が設けられており、前側レッグブラケット14は車両の床部に固定されている。一対の前側レッグブラケット14のシート後方には、一対の後側レッグブラケット16が設けられており(図1では、図示省略されている)、後側レッグブラケット16は車両の床部に固定されている。
【0026】
前側レッグブラケット14及び後側レッグブラケット16の上方には、一対の長尺状のスライドレール18が設けられている。一対のスライドレール18は、シート前後方向に沿って平行に配置されて、前側レッグブラケット14及び後側レッグブラケット16に固定されている。スライドレール18は、シート前方から見て断面略C字形状に屈曲されている。一対のスライドレール18内には、アッパーレール(図示省略)がそれぞれ設けられており、アッパーレールはシート前後方向にスライド移動可能に構成されている。各々のアッパーレールの上方には、ライザー20がそれぞれ設けられており、ライザー20はアッパーレールに固定されている。
【0027】
ライザー20の上方には、シートクッション(図示省略)が設けられている。シートクッション内には、シートクッションフレーム本体30が配置されており、シートクッションフレーム本体30はシートクッションを保持している。シートクッションフレーム本体30には、締結部材及び保持部材としての一対のシートクッションサイドフレーム32が設けられている。シートクッションサイドフレーム32は、略板状に形成されて、それぞれシートクッションフレーム本体30のシート幅方向外側の部分にシート前後方向に沿って配置されている。また、シートクッションサイドフレーム32は、リンク機構22を介してライザー20に締結されている。
【0028】
シートクッションサイドフレーム32は、ベース部としてのシートクッションサイドフレームベース部34を有しており、シートクッションサイドフレームベース部34は、ベース部材としての第1ベース部材36と第2ベース部材38とで構成されている。第1ベース部材36及び第2ベース部材38は、それぞれ炭素繊維と樹脂との複合材である炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」という)により形成されて、互いに対向する面で貼り合わされて一体に形成されている。図3に示すように、第1ベース部材36のシート後方の端部には、シート幅方向内側の部分において、段差部36Aが設けられており、段差部36Aは第2ベース部材38と平行に配置されている。
【0029】
シートクッションサイドフレーム32には、シート後方の部分において、締結プレートとしての板金により製作されたシートクッションサイドプレート40が設けられている。シートクッションサイドプレート40のシート前方の端部は、第1ベース部材36の段差部36Aと第2ベース部材38との間に配置されて、第1ベース部材36と第2ベース部材38とで狭持(接合)されている。これにより、シートクッションサイドプレート40が、シートクッションサイドフレームベース部34と一体に形成されると共に、シートクッションサイドフレームベース部34からシート後方に突出されている。
【0030】
シートクッションサイドプレート40には、締結部42が設けられており、締結部42のシート幅方向両側面(一側面及び他側面)は、シートクッションサイドフレームベース部34から露出されている。締結部42は、後述するヒンジブラケット46に対応して形成されて、シート幅方向に対して直交する方向に沿って配置されている。また、シートクッションサイドプレート40の締結部42には、一対の断面円形状の円孔42Aが貫通形成されている。さらに、シートクッションサイドプレート40には、締結部42のシート幅方向内側面において、一対のウェルドナット44が固定されており、ウェルドナット44は、それぞれ円孔42Aと同軸上に配置されている。
【0031】
シートクッションサイドプレート40のシート幅方向外側には、被締結部材としての一対のヒンジブラケット46が設けられている。ヒンジブラケット46は、板金により製作されて、略三角形板状に形成されており、ヒンジブラケット46の外周部はシート幅方向外側へ向けて屈曲されている。ヒンジブラケット46には、一対の断面円形状の挿通孔46Aが貫通形成されており、挿通孔46Aは、前述したシートクッションサイドプレート40の円孔42Aと同軸上に配置されている。また、ヒンジブラケット46のシート幅方向内側面がシートクッションサイドプレート40の締結部42のシート幅方向外側面に面当接されており、六角ボルト48が、挿通孔46A内及び円孔42A内を挿通して、ウェルドナット44に螺合されている。これにより、シートクッションサイドフレーム32がヒンジブラケット46に締結されている。
【0032】
図1に示すように、一対のシートクッションサイドフレーム32の上方には、シート前方の位置において、シートクッションフレーム本体30を構成する被締結部材としてのフロントフレーム50が設けられている。フロントフレーム50は、板金により製作されると共に、シート幅方向に沿って配置されて、シートクッションサイドフレーム32に固定されている。
【0033】
図4に示すように、フロントフレーム50の上方には、シートクッションフレーム本体30を構成する締結部材及び保持部材としてのシートクッションフロントパネル52が設けられている。シートクッションフロントパネル52は、ベース部としてのシートクッションフロントパネルベース部54を有しており、シートクッションフロントパネルベース部54は、ベース部材としての第1ベース部材56と第2ベース部材58とで構成されている。第1ベース部材56及び第2ベース部材58は、それぞれCFRPにより形成されて、互いに対向する面で貼り合わされて一体に形成されている。
【0034】
シートクッションフロントパネルベース部54には、シート幅方向外側の部分において、一対の断面略矩形状のプレート取付孔54Aが貫通形成されている(図1では、シート幅方向一側のみ図示されている)。また、第1ベース部材56には、プレート取付孔54Aの周囲の位置において、段差部56Aが設けられており、段差部56Aは、プレート取付孔54Aの周方向に沿って形成されて、第2ベース部材58と平行に配置されている。
【0035】
プレート取付孔54A内には、締結プレートとしてのフロントパネルプレート60が設けられている。フロントパネルプレート60は、板金により製作されると共に、略矩形状に形成されている。フロントパネルプレート60の外周部には、フランジ部60Aが設けられている。フランジ部60Aは、第1ベース部材56の段差部56Aと第2ベース部材58との間に配置されて、第1ベース部材56と第2ベース部材58とで狭持(接合)されている。これにより、フロントパネルプレート60がシートクッションフロントパネルベース部54と一体に形成されている。フロントパネルプレート60の中央部には、凹部62が設けられており、凹部62の下面(一側面)及び上面(他側面)は、シートクッションフロントパネルベース部54から露出されている。凹部62はフロントフレーム50に対応して形成されており、凹部62の下面がシートクッションフロントパネルベース部54の下面と面一に配置されている。また、凹部62の中央部には、断面略矩形状の溶接孔62Aが貫通形成されている。さらに、凹部62の下面及びシートクッションフロントパネルベース部54の下面が、フロントフレーム50の上面に面当接されており、フロントパネルプレート60が、溶接孔62Aの位置において、フロントフレーム50と溶接により締結されている。これにより、シートクッションフロントパネル52が、フロントフレーム50に締結されている。
【0036】
一方、シートクッションのシート後方には、図示しないシートバックが起立した状態で配置されている。図1及び図2に示すように、シートバックには、下方の位置において、リクライニング機構64が設けられており、リクライニング機構64は前述したヒンジブラケット46に支持されている。リクライニング機構64は、シートクッションに対するシートバックの傾斜角度(リクライニング角度)の調節及び傾倒(回動)を可能にするためのものであり、これにより、シートバックがシートクッションに対して傾倒可能に構成されている。
【0037】
リクライニング機構64には、被締結部材としての板金により製作されたベースプレート66が設けられている。図5にも示すように、ベースプレート66の上方の端部には、略平面状の締結部68が形成されており、締結部68はシート幅方向に対して直交する方向に沿って配置されている。ベースプレート66の締結部68には、一対の断面円形状の円孔68Aが貫通形成されている。また、ベースプレート66には、締結部68のシート幅方向内側面において、一対のウェルドナット70が固定されており、ウェルドナット70は、それぞれ円孔68Aと同軸上に配置されている。
【0038】
図1に示すように、シートバック内には、シートバックフレーム本体72が配置されており、シートバックフレーム本体72は、リクライニング機構64の上方に配置されて、シートバックを保持している。シートバックフレーム本体72には、締結部材及び保持部材としての一対のシートバックサイドフレーム74が設けられている。シートバックサイドフレーム74は、シートバックのシート幅方向外側の部分にそれぞれ配置されると共に、略上下方向に沿って配置されている。シートバックサイドフレーム74は、ベース部としてのシートバックサイドフレームベース部76を有しており、シートバックサイドフレームベース部76は、ベース部材としての第1ベース部材78と第2ベース部材80とで構成されている。第1ベース部材78及び第2ベース部材80は、CFRPにより形成されて、互いに対向する面で貼り合わされて一体に形成されている。また、図5に示すように、第1ベース部材78の下方の端部には、シート幅方向内側部において、段差部78Aが設けられており、段差部78Aは第2ベース部材80に平行に配置されている。
【0039】
シートバックサイドフレーム74には、下方の位置において、締結プレートとしてのシートバックサイドプレート82が設けられている。シートバックサイドプレート82は板金により製作されており、上方から見て断面略C字形状に屈曲されている。シートバックサイドプレート82の上方の端部は、第1ベース部材78の段差部78Aと第2ベース部材80との間に配置されて、第1ベース部材78と第2ベース部材80とで狭持(接合)されている。これにより、シートバックサイドプレート82が、シートバックサイドフレームベース部76と一体に形成されて、シートバックサイドフレームベース部76から下方へ突出されている。
【0040】
シートバックサイドプレート82には、略平面状の締結部84が設けられており、締結部84のシート幅方向両側面(一側面及び他側面)はシートバックサイドフレームベース部76から露出されている。締結部84は、ベースプレート66の締結部68に対応して形成されており、シート幅方向に対して直交する方向に沿って配置されている。また、シートバックサイドプレート82の締結部84には、一対の断面円形状の挿通孔84Aが貫通形成されており、挿通孔84Aは前述したベースプレート66の円孔68Aと同軸上に配置されている。さらに、締結部84のシート幅方向内側面がベースプレート66の締結部68のシート幅方向外側面に面当接されており、六角ボルト86が、挿通孔84A内及び円孔68A内を挿通して、ウェルドナット70に螺合されている。これにより、シートバックサイドフレーム74がベースプレート66に締結されている。
【0041】
また、図1及び図6に示すように、シートバックサイドフレームベース部76には、上方の部分において、断面略矩形状のプレート取付孔76Aが貫通形成されている。さらに、第1ベース部材78には、プレート取付孔76Aの周囲の位置において、段差部78Bが設けられており、段差部78Bは、プレート取付孔76Aの周方向に沿って形成されて、第2ベース部材80と平行に配置されている。
【0042】
プレート取付孔76A内には、締結プレートとしてのシートバックサイドプレート88が設けられている。シートバックサイドプレート88は、板金により製作されると共に略矩形状に形成されている。また、シートバックサイドプレート88の外周部には、フランジ部88Aが設けられている。フランジ部88Aは、第1ベース部材78の段差部78Bと第2ベース部材80との間に配置されて、第1ベース部材78と第2ベース部材80とで狭持(接合)されている。これにより、シートバックサイドプレート88がシートバックサイドフレームベース部76と一体に形成されている。シートバックサイドプレート88の中央部には、凹部90が設けられており、凹部90のシート幅方向両側面(一側面及び他側面)がシートバックサイドフレームベース部76から露出されている。凹部90の中央部には、断面略矩形状の溶接孔90Aが貫通形成されている。
【0043】
一対のシートバックサイドフレーム74の間には、シートバックフレーム本体72を構成する被締結部材としてのアッパーパイプ92が設けられている。アッパーパイプ92は、金属のパイプ材により製作されると共に、シート前方から見て略逆U字形状に屈曲されており、アッパーパイプ92の両端部がシートバックサイドフレーム74の下端まで伸延されている(図1では、アッパーパイプ92の長手方向両端部がシートバックサイドフレーム74の上端まで伸延された状態が図示されている)。アッパーパイプ92の外周面には、シートバックサイドプレート88の凹部90に当接されており、シートバックサイドプレート88が、溶接孔90Aの位置において、アッパーパイプ92と溶接により締結されている。これにより、シートバックサイドフレーム74が、アッパーパイプ92に締結されている。
【0044】
図2及び図7に示すように、アッパーパイプ92のシート後方には、シートバックフレーム本体72を構成する締結部材及び保持部材としての一対のシートバックパネル94が設けられている。シートバックパネル94は、略長尺板状に形成されて、シート幅方向に沿って配置されている。シートバックパネル94は、ベース部としてのシートバックパネルベース部96を有しており、シートバックパネルベース部96は、ベース部材としての第1ベース部材98と第2ベース部材100とで構成されている。第1ベース部材98及び第2ベース部材100は、CFRPにより形成されて、互いに対向する面において貼り合わされて一体に形成されている。図7に示すように、第1ベース部材98の長手方向両端部には、シート前方の部分において、段差部98Aがそれぞれ設けられており、段差部98Aは第2ベース部材100に平行に配置されている。
【0045】
シートバックパネル94の長手方向両端部には、それぞれ締結プレートとしてのシートバックパネルプレート102が設けられている。シートバックパネルプレート102は、板金により製作されて、略板状に形成されている。シートバックパネルプレート102のシート幅方向内側の端部は、第1ベース部材98の段差部98Aと第2ベース部材100との間に配置されて、第1ベース部材98と第2ベース部材100とで狭持されている。これにより、シートバックパネルプレート102が、シートバックパネルベース部96と一体に形成されて、シートバックパネルベース部96からシート幅方向外側へ向けて突出されている。シートバックパネルプレート102のシート幅方向外側の端部は、アッパーパイプ92の外周面に当接され、アッパーパイプ92と溶接により締結されている。これにより、シートバックパネル94が、アッパーパイプ92と締結されている。
【0046】
ここで、図8に示すシートバックパネルプレート102とシートバックパネルベース部96とを一体に形成する第1の方法について説明する。図9A及び図9Bに示すように、第1ベース部材98の段差部98Aと第2ベース部材100との間にシートバックパネルプレート102のシート幅方向の端部を配置させる。この状態では、段差部98Aとシートバックパネルプレート102との間、第2ベース部材100とシートバックパネルプレート102との間、及び第1ベース部材98と第2ベース部材100との間に、接着剤が介在されている。そして、第1ベース部材98及び第2ベース部材100を加圧することで、第1ベース部材98及び第2ベース部材100が互いに貼り合わされると共に、シートバックパネルプレート102が第1ベース部材98及び第2ベース部材100に一体に形成される(図9C参照)。
【0047】
次に、シートバックパネルプレート102とシートバックパネルベース部96とを一体に形成する第2の方法について説明する。この方法においては、第1ベース部材98及び第2ベース部材100が、炭素強化繊維と熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン等)との複合材により形成されている。そして、図9(B)に示す状態において、第1ベース部材98及び第2ベース部材100を加熱することで、第1ベース部材98及び第2ベース部材100が溶融されて、第1ベース部材98及び第2ベース部材100が互いに貼り合わされると共に、シートバックパネルプレート102が第1ベース部材98及び第2ベース部材100と一体に形成される。
【0048】
さらに次に、シートバックパネルプレート102とシートバックパネルベース部96とを一体に形成する第3の方法について説明する。この方法においては、シートバックパネルベース部96を一体に成形する金型内に、プリフォーム(炭素強化繊維を立体的な形状にしたもの)及びシートバックパネルプレート102を配置しておく。そして、溶融した熱硬化性樹脂を金型内に注入することで、シートバックパネルベース部96(第1ベース部材98及び第2ベース部材100)とシートバックパネルプレート102とが一体に成形される。この方法により成形されたシートバックパネル94は、図10に示される断面形状に成形することもできる。また、このようなシートバックパネルベース部96とシートバックパネルプレート102との一体成形は、プリプレグを用いたオートクレーブ成形によっても成形できる。
【0049】
また、シートクッションサイドプレート40とシートクッションサイドフレームベース部34との一体形成、シートバックサイドプレート82とシートバックサイドフレームベース部76との一体形成、フロントパネルプレート60とシートクッションフロントパネルベース部54との一体形成、及びシートバックサイドプレート88とシートバックサイドフレームベース部76との一体形成においても、上述の第1の方法から第3の方法の何れかの方法で行われる。
【0050】
さらに、シートバックサイドフレーム74のように、シートバックサイドプレート88がシートバックサイドフレーム74の内部に設けられている場合には、シートバックサイドプレート88とシートバックサイドフレームベース部76とを、以下の方法で一体に形成してもよい。
【0051】
図11図12A、及び図12Bに示すように、第1ベース部材78と第2ベース部材80との間に、CFRPで形成された第3ベース部材79を設ける。第3ベース部材79には、シートバックサイドプレート88の外形形状に対応した配置孔79Aが貫通形成されている。そして、配置孔79A内にシートバックサイドプレート88を配置した状態で、シートバックサイドプレート88及び第3ベース部材79を第1ベース部材78と第2ベース部材80とで狭持する。その後に、上述した第1の方法又は第2の方法を用いて、シートバックサイドプレート88とシートバックサイドフレームベース部76とを一体に形成できる。
【0052】
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0053】
車両用シート12では、シートクッションがシートクッションフレーム本体30に保持されており、シートクッションフレーム本体30は、シートクッションサイドフレーム32及びシートクッションフロントパネル52を有している。また、シートバックはシートバックフレーム本体72に保持されており、シートバックフレーム本体72は、シートバックサイドフレーム74及びシートバックパネル94を有している。
【0054】
シートクッションサイドフレーム32は、六角ボルト48及びウェルドナット44によって、ヒンジブラケット46に締結されている。
【0055】
ここで、シートクッションサイドフレーム32は、CFRPにより形成されたシートクッションサイドフレームベース部34と板金により製作されたシートクッションサイドプレート40とを有しており、シートクッションサイドプレート40がシートクッションサイドフレームベース部34と一体に形成されている。また、ヒンジブラケット46のシート幅方向内側面がシートクッションサイドプレート40の締結部42のシート幅方向外側面に面当接された状態で、シートクッションサイドフレーム32がヒンジブラケット46に締結されている。
【0056】
このため、CFRPにより形成されたシートクッションサイドフレームベース部34と金属により製作されたシートクッションサイドプレート40とをユニット化したシートクッションサイドフレーム32をヒンジブラケット46に締結できる。これにより、予めユニット化されたシートクッションサイドフレーム32を車両用シート12の組付け工程に投入できるため、従来の組付け工程を変更する必要がなくなり、車両用シート12の組付け工数の増加を抑制できる。また、シートクッションサイドフレーム32をヒンジブラケット46に締結させる際には、六角ボルト48とウェルドナット44とによって、シートクッションサイドプレート40がヒンジブラケット46に締結される。これに対して、仮に、接着剤を用いて、シートクッションサイドプレート40をヒンジブラケット46に締結させると、接着剤が硬化するまでの締結時間が必要になる。しかし、上述のように、六角ボルト48とウェルドナット44とによって、シートクッションサイドプレート40がヒンジブラケット46に締結されるため、接着剤を用いる場合に比して、シートクッションサイドプレート40をヒンジブラケット46に締結させる際の組付け時間(締結時間)が増加しない。以上により、車両用シート12の生産性を確保して、シートクッションサイドフレーム32をヒンジブラケット46に締結できる。
【0057】
さらに、シートクッションサイドプレート40が第1ベース部材36と第2ベース部材38とに挟み込まれた状態で、シートクッションサイドプレート40がシートクッションサイドフレームベース部34に保持されている。これにより、シートクッションサイドフレームベース部34のシートクッションサイドプレート40を保持する保持力を確保できる。
【0058】
また、車両用シート12の他の部位における締結では、シートクッションフロントパネル52が、溶接によってフロントフレーム50に締結されている。シートクッションフロントパネル52は、CFRPにより形成されたシートクッションフロントパネルベース部54と板金により製作されたフロントパネルプレート60とを有しており、フロントパネルプレート60がシートクッションフロントパネルベース部54と一体に形成されている。また、フロントパネルプレート60の凹部62の下面及びシートクッションフロントパネルベース部54の下面が、フロントフレーム50の上面に面当接された状態で、シートクッションフロントパネル52が、フロントフレーム50の溶接孔62Aの位置において、フロントフレーム50と溶接により締結されている。このため、シートクッションフロントパネル52とフロントフレーム50との締結においても、上述のシートクッションサイドフレーム32とヒンジブラケット46との締結と同様の効果を奏する。
【0059】
さらに、車両用シート12の他の部位における締結では、シートバックサイドフレーム74が、六角ボルト86とウェルドナット70とによって、ベースプレート66に締結されている。シートバックサイドフレーム74は、CFRPにより形成されたシートバックサイドフレームベース部76と板金により製作されたシートバックサイドプレート82とを有しており、シートバックサイドプレート82がシートバックサイドフレームベース部76と一体に形成されている。また、シートバックサイドプレート82の締結部84のシート幅方向内側面がベースプレート66のシート幅方向外側面に面当接された状態で、シートバックサイドフレーム74がベースプレート66に締結されている。このため、シートバックサイドフレーム74とベースプレート66との締結においても、上述のシートクッションサイドフレーム32とヒンジブラケット46との締結と同様の効果を奏する。
【0060】
また、車両用シート12の他の部位における締結では、シートバックサイドフレーム74が、溶接によって、アッパーパイプ92に締結されている。シートバックサイドフレーム74は、CFRPにより形成されたシートバックサイドフレームベース部76と板金により製作されたシートバックサイドプレート88とを有しており、シートバックサイドプレート88がシートバックサイドフレームベース部76と一体に形成されている。また、アッパーパイプ92の長手方向両端部は、外周面において、シートバックサイドプレート88の凹部90に当接されており、シートバックサイドフレーム74が、シートバックサイドプレート88の溶接孔90Aの位置において、アッパーパイプ92と溶接により締結されている。このため、シートバックサイドフレーム74とアッパーパイプ92との締結においても、上述のシートクッションサイドフレーム32とヒンジブラケット46との締結と同様の効果を奏する。
【0061】
さらに、シートバックサイドフレーム74とアッパーパイプ92との締結では、パイプ材により製作されたアッパーパイプ92にシートバックサイドフレーム74を締結しているため、平面状に形成されていないアッパーパイプ92にシートバックサイドフレーム74を締結できる。
【0062】
また、車両用シート12の他の部位における締結では、シートバックパネル94が、溶接によって、アッパーパイプ92に締結されている。シートバックパネル94は、CFRPにより形成されたシートバックパネルベース部96と板金により製作されたシートバックパネルプレート102とを有しており、シートバックパネルプレート102がシートバックパネルベース部96と一体に形成されている。また、シートバックパネルプレート102のシート幅方向外側の端部は、アッパーパイプ92の外周面に当接され、アッパーパイプ92と溶接により締結されている。これにより、シートバックパネル94が、アッパーパイプ92に締結されている。このため、シートバックパネル94とアッパーパイプ92との締結においても、上述のシートバックサイドフレーム74とアッパーパイプ92との締結と同様の効果を奏する。
【0063】
さらに、上述したシートバックサイドプレート82では、締結部84のシート幅方向両側面が露出されている。このため、シートバックサイドプレート82とベースプレート66とが金属同士で接触されて、シートバックサイドプレート82と六角ボルト86とが金属同士で接触(メタルタッチ)される。これにより、六角ボルト48の締付トルクを効率よく確保できる。
【0064】
また、フロントパネルプレート60では、凹部62の上下方向両側面が露出されている。このため、金属のフロントパネルプレート60と金属のフロントフレーム50とを接触させて、フロントパネルプレート60の上面からフロントパネルプレート60とフロントフレーム50と溶接することで、シートクッションフロントパネル52とフロントフレーム50とを締結できる。また、シートバックサイドプレート88では、凹部90のシート幅方向両側面が露出され、シートバックパネルプレート102では、シート前後方向両側面が露出されている。このため、シートバックサイドフレーム74とアッパーパイプ92との溶接による締結及びシートバックパネル94とアッパーパイプ92との溶接による締結においても、上述したフロントパネルプレート60とフロントフレーム50との締結と同様の効果を奏する。
【0065】
また、シートクッションサイドプレート40、シートバックサイドプレート82、及びシートバックパネルプレート102は、外周部の一部において、それぞれシートクッションサイドフレームベース部34、シートバックサイドフレームベース部76、及びシートバックパネルベース部96に狭持(接合)されている。このため、シートクッションサイドフレーム32、シートバックサイドフレーム74、及びシートバックパネル94の形状に対応して、シートクッションサイドプレート40、シートバックサイドプレート82、及びシートバックパネルプレート102をそれぞれシートクッションサイドフレーム32、シートバックサイドフレーム74、及びシートバックパネル94の端部に設けることができる。
【0066】
さらに、フロントパネルプレート60及びシートバックサイドプレート88は、外周部の全周において、それぞれシートクッションフロントパネルベース部54及びシートバックサイドフレームベース部76に狭持(接合)されている。このため、シートクッションフロントパネル52及びシートバックサイドフレーム74の形状に対応して、フロントパネルプレート60及びシートバックサイドプレート88をそれぞれシートクッションフロントパネル52内及びシートバックサイドフレーム74内の任意の位置に設けることができる。
【0067】
また、シートクッションフレーム本体30は、シートクッションサイドフレーム32及びシートクッションフロントパネル52を有しており、シートバックフレーム本体72はシートバックサイドフレーム74及びシートバックパネル94を有している。このため、シートクッション及びシートバックを保持する部材にCFRPを適用できるため、車両用シート12の大幅な軽量化を図ることができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、シートバックパネル94において、シートバックパネルプレート102が、第1ベース部材98の段差部98Aと第2ベース部材100との間に配置されて、第1ベース部材98と第2ベース部材100とで狭持(接合)されている。これに替えて、図13に示すように、第1ベース部材98と第2ベース部材100とが一体化されたシートバックパネルベース部96を、1対のシートバックパネルプレート102で狭持して、シートバックパネルベース部96と各々のシートバックパネルプレート102とを接合することで、シートバックパネルベース部96と1対のシートバックパネルプレート102とを一体に形成してもよい。この場合には、1対のシートバックパネルプレート102を溶接等で接合してもよい。
【0069】
また、本実施の形態では、シートバックサイドフレーム74において、シートバックサイドプレート88及びシートバックサイドプレート82が、第1ベース部材78と第2ベース部材80とで狭持(接合)されている。これに替えて、図14に示すように、第1ベース部材78と第2ベース部材80とが一体化されたシートバックサイドフレームベース部76を、1対のシートバックサイドプレート88で狭持して、シートバックサイドフレームベース部76と各々のシートバックサイドプレート88とを接合することで、シートバックサイドフレームベース部76と1対のシートバックサイドプレート88とを一体に形成してもよい。この場合には、1対のシートバックサイドプレート88を溶接等で接合してもよい。また、一体化されたシートバックサイドフレームベース部76を、1対のシートバックサイドプレート82で狭持して、シートバックサイドフレームベース部76と各々のシートバックサイドプレート82とを接合することで、シートバックサイドフレームベース部76と1対のシートバックサイドプレート82とを一体に形成してもよい。この場合には、1対のシートバックサイドプレート82を溶接等で接合してもよい。
【0070】
さらに、本実施の形態では、シートクッションサイドプレート40が、六角ボルト48及びウェルドナット44によって、ヒンジブラケット46に締結されている。これに替えて、図15に示すように、シートクッションサイドプレート40が、溶接によって、ヒンジブラケット46に締結されてもよい。また、本実施の形態では、シートバックサイドプレート82が、六角ボルト86とウェルドナット70とによって、ベースプレート66に締結されている。これに替えて、図16に示すように、シートバックサイドプレート82が、溶接によって、ベースプレート66に締結されてもよい。
【0071】
また、本実施の形態では、フロントパネルプレート60に溶接孔62Aが貫通形成されており、シートバックサイドプレート88に溶接孔90Aが貫通形成されている。これに替えて、フロントパネルプレート60に溶接孔62Aを設けない構成にしてもよいし、シートバックサイドプレート88に溶接孔90Aを設けない構成にしてもよい。この構成では、スポット溶接によって、フロントパネルプレート60(シートクッションフロントパネル52)をフロントフレーム50に締結でき、シートバックサイドプレート88(シートバックサイドフレーム74)をアッパーパイプ92に締結できる。
【0072】
さらに、本実施の形態では、第1ベース部材36、第2ベース部材38、第1ベース部材56、第2ベース部材58、第1ベース部材78、第2ベース部材80、第1ベース部材98、及び第2ベース部材100が、それぞれCFRPにより形成されているが、例えば、これらの部品をガラス強化繊維と樹脂との複合材であるガラス繊維強化プラスチック(GFRP)により形成してもよい。つまり、これらの部品に作用する荷重(応力)に対応して、これらの部品を強化繊維と樹脂との複合材(FRP)により形成してもよい。
【0073】
また、本実施の形態では、シートクッションサイドプレート40の締結部42にウェルドナット44が固定されており、六角ボルト48がウェルドナット44に螺合されている。これに替えて、六角ボルト48をヒンジブラケット46に固定させると共に、ウェルドナット44を六角ナットにして、この六角ナットを六角ボルト48に螺合してもよい。これにより、シートクッションサイドプレート40とヒンジブラケット46とが金属同士で接触されて、シートクッションサイドプレート40と六角ナットとが金属同士で接触(メタルタッチ)される。
【0074】
さらに、本実施の形態では、シートクッションフレーム本体30を構成するフロントフレーム50が板金により製作されている。これに替えて、フロントフレーム50を金属のパイプ材により製作されてもよい。これにより、シートクッションフレーム本体30においても、金属のパイプ材にCFRPを適用したシートクッションフロントパネル52を締結できる。
【0075】
また、本実施の形態では、シートクッションサイドプレート40、フロントパネルプレート60、シートバックサイドプレート82、シートバックサイドプレート88、及びシートバックパネルプレート102が、板金により製作されているが、高張力鋼板で製作されてもよい。これにより、シートクッションサイドプレート40を高張力鋼板で製作した場合で説明すると、シートクッションサイドプレート40が一般の圧延鋼板により製作された場合に比して、シートクッションサイドプレート40の強度を高くできる。このため、シートクッションサイドプレート40の板厚を薄くできるため、車両用シート12を一層軽量化できる。また、シートクッションサイドプレート40のみを高張力鋼板で製作しているため、シートクッションサイドフレーム32の成形性を向上できる。
【0076】
さらに、本実施の形態では、シートクッションサイドフレーム32、シートクッションフロントパネル52、シートバックサイドフレーム74、及びシートバックパネル94の全てにCFRPが適用されている。これに替えて、シートクッションサイドフレーム32、シートクッションフロントパネル52、シートバックサイドフレーム74、及びシートバックパネル94の何れかにCFRPを適用してもよい。
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図1
図2