特許第5799102号(P5799102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799102
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】冶金スラグの乾燥粒状化
(51)【国際特許分類】
   C21B 3/08 20060101AFI20151001BHJP
   C04B 5/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   C21B3/08
   C04B5/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-527570(P2013-527570)
(86)(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公表番号】特表2013-537934(P2013-537934A)
(43)【公表日】2013年10月7日
(86)【国際出願番号】EP2011065351
(87)【国際公開番号】WO2012034897
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年3月14日
(31)【優先権主張番号】91730
(32)【優先日】2010年9月13日
(33)【優先権主張国】LU
(73)【特許権者】
【識別番号】500173376
【氏名又は名称】ポール ヴルス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100096448
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 嘉明
(72)【発明者】
【氏名】ソルヴィ、マルク
(72)【発明者】
【氏名】グライヴェルデンジャー、ボブ
(72)【発明者】
【氏名】フリードリッシ、クロディヌ
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル、ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン、マチヤス
(72)【発明者】
【氏名】カッペ、オルスト
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−174551(JP,A)
【文献】 特開2008−100893(JP,A)
【文献】 特開昭50−123576(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/080364(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21B 3/06−3/10
C04B 5/00−5/06
F27D 15/00−15/02
F27D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温液状スラグが最初トラフに注がれ、ついで固体金属粒子が、高温液状スラグが収容されている前記トラフ中に少なくとも1mの高さから落下されることによって、高温液状スラグは固体金属粒子と混合されて固化したガラス質の固体金属粒子混合スラグケーキが生成され、該スラグケーキは破砕されて高温スラグ粒子及び加熱固体粒子が生成され、これら粒子は冷却され、前記固体金属粒子はリサイクルされる方法であって、前記固体金属粒子は少なくとも2.5g/cmの密度と、少なくとも2mmの直径を有することを特徴とする高温液状スラグ乾燥粒状化方法。
【請求項2】
高温液状スラグ及び固体金属粒子が注がれるトラフがトラフ型ベルトコンベヤまたは回転ドラムに一体化されることを特徴とする請求項記載の高温液状スラグ乾燥粒状化方法。
【請求項3】
前記固体金属粒子が球状であることを特徴とする請求項1または2記載の高温液状スラグ乾燥粒状化方法。
【請求項4】
前記固体金属粒子の直径が80mm未満であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の高温液状スラグ乾燥粒状化方法。
【請求項5】
前記固体金属粒子が、鉄、スチール、銅、クロム、アルミニウム、それらの合金、及び他金属との合金から選択される金属から成ることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の高温液状スラグ乾燥粒状化方法。
【請求項6】
高温スラグ粒子及び加熱された固体金属粒子が、熱交換機中へ充填され、冷却ガスの逆流によって冷却され、及び該熱交換機から放出される請求項1〜のいずれかに記載の高温液状スラグ乾燥粒状化方法であって、
前記熱交換機は複数のサブユニットに分割され、該サブユニットのそれぞれには粒子取込みポート、粒子放出ポート、冷却ガス取り入れポート及び冷却ガス排出ポートが備えられ、前記サブユニットの少なくとも1つに前記粒子取込みポートを通して高温粒子が充填され、冷却された粒子が前記少なくとも1つのサブユニットから前記粒子放出ポートを通して放出され、前記冷却ガス取り入れポート及び前記冷却ガス排出ポートは粒子の充填/放出期間中は閉じられ、及び粒子の充填及び放出と同時に他のサブユニットの少なくとも1つが冷却ガス取り入れポートを通した冷却ガス流の注入と前記冷却ガス排出ポートを通した加熱された冷却ガスの排出によって冷却され、前記粒子取込みポート及び前記粒子放出ポートは粒子の冷却期間中は閉じられ、加熱された冷却ガスはエネルギー回収に利用されることを特徴とする高温液状スラグ乾燥粒状化方法。
【請求項7】
スラグ粒子及び固体金属粒子が、熱交換機サブユニット中へ充填される前に、プレチャンバー中へ充填されることを特徴とする請求項記載の乾燥粒状化方法。
【請求項8】
スラグ粒子及び固体金属粒子が、熱交換機サブユニットから放出された後に、ポストチャンバー中へ充填されることを特徴とする請求項またはに記載の乾燥粒状化方法。
【請求項9】
前記サブユニットの少なくとも1つに前記粒子取込ポートを通して高温スラグ粒子及び加熱された固体金属粒子が充填され、同時に冷却されたスラグ及び金属粒子が放出されることを特徴とする請求項のいずれかに記載の乾燥粒状化方法。
【請求項10】
前記熱交換機サブユニットが1.2〜4バールの圧力下で作動されることを特徴とする請求項のいずれかに記載の乾燥粒状化方法。
【請求項11】
高温液状スラグがスラグケーキに固化され、固体金属粒子との混合によって約650〜750℃まで冷却されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の乾燥粒状化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概略的には冶金産業、より詳細には製鉄産業から生ずるスラグの乾燥粒状化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冶金スラグは水中で粒状化されるか、あるいはスラグピット中において冷却されてきた。水による急冷によって冶金スラグの急速な固型化が確保され、かかる固型化は、高炉スラグの場合においては、高価値製品を得るための必要条件となっている。スラグ流は最初に水を用いて小粒子に細片化され、次いで直接接触を経てエネルギーが回収される。この工程は常圧で行われなければならないため、スラグ温度は効率的方式でエネルギーを回収することが不可能となる100℃以下のレベルまで直ぐに降下してしまう。スラグピット中における冶金スラグの冷却には時間を要し、また製品品質も種々異なってくる可能性がある。従って高温スラグ中の熱エネルギーはかなりが環境中へ消失される。
【0003】
JP 2005306656 (A)には溶融スラグの固型化方法が開示されており、この方法によれば泡あるいは固化/収縮孔のない無傷のスラグインゴットが簡易な方法によって得られ、またこのスラグをブロック形状の石材として有効利用することが可能である。鋳造型中へ溶融改質スラグを注入してスラグを固化させる際、注入されたスラグへ酸化物粒子を連続的あるいは断続的に満たすことによって、該スラグは鋳造型中において急速に固化される。上記方法によって生成された固体スラグの一部を破砕して得られる改質スラグあるいは破砕スラグは好ましくは酸化物粒子として使用される。
【0004】
US 4,359,434には、高炉スラグ溶融物の粒状化方法が開示されている。この溶融物は所定の方向へ自由に移動する少なくとも1つの細い液状の溶融物の流れに形状化され、溶融物の流れよりも高速でほぼ一様な方向へほぼ自由に流れる微粒化固体粒子の流れと所定の流入角で交わることによって、該流入角の対向角の少なくとも一部に亘って扇形状に分布する少なくとも部分的にほぼ微粒化された粒子へと変換される。
【0005】
理論的平均スラグ流が毎分2トンである製鉄及び製鋼産業における連続操業高炉の場合、スラグ中に含まれる熱出力は56MW(熱出力=エネルギー容量(1200J/kg/K)*温度差(1400K)*流速(2t/分=33.3kg/s)=56MW)である。これにより、効率40%で変換される場合、電力22MWが発生する。
【0006】
この電位を効率的に利用するためには、スラグを、材料処理を容易にするために十分な、かつエネルギーを利用可能レベルに保持するために十分高い温度レベルまで急速に冷却することが必要である。市場において価値が大きく(約15倍)低下してしまうアモルフォススラグではなく、ガラス質スラグが得られるように温度を十分に速く、かつ十分大幅に降下させるよう注意することも必要である。
【0007】
かかる処理は液状スラグを化学的に同一な冷スラグ粒子と混合することによって達成される。その後に熱交換機中においてこのスラグから熱回収することが可能である。
【0008】
しかしながら、液状スラグの高粘性ゆえに冷スラグ粒子と液状スラグとの混合が容易に行えないため、ガラス質スラグが得られる程度まで十分に速く液状スラグを冷却することは不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はスラグの乾燥粒状化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、高温液状スラグを金属粒子と混合することによって該金属粒子が混ざった固化ガラス質スラグケーキが生成され、このスラグケーキは高温スラグ粒子及び加熱固体粒子に破砕され、これら粒子は冷却され、前記固体金属粒子はリサイクルされる、高温液状スラグの乾燥粒状化方法を提案するものである。
【0011】
好ましい実施態様によれば、高温液状スラグは最初にトラフへ注がれ、次いで固体金属粒子が高温液状スラグが収容されている前記トラフ中へ注がれる。高温スラグと固体金属粒子は混合され、固化ガラス質スラグケーキが生成される。トラフは好ましくはまずその高さの約3分の1の高さまで液状スラグで満たされ、次いで該トラフ中へ固体金属粒子が導入される。
【0012】
前記スラグと前記固体金属粒子を素早く効率的に混合するため、固体金属粒子は好ましくは約1〜3mの高さから投下される。該固体金属粒子が液状スラグの所望の深さまで入り込むために必要な正確な高さ、すなわち正確なエネルギー量はスラグ組成、スラグ温度、固体金属粒子の密度及び直径等に依存して異なる。
【0013】
高温液状スラグ及び固体金属粒子が注ぎ込まれるトラフは好ましくはトラフ型ベルトコンベイヤとして一体化される。
【0014】
前記固体金属粒子の密度は2.5g/cm3以上であると有利である。スラグと前記金属粒子との密度差によって、該金属粒子とスラグとの混合は十分に為される。
【0015】
前記金属粒子は、良好な混合特性を保持し、さらにスラグの急速かつ効率的な冷却を確保できるように好ましくは球形である。
【0016】
前記固体金属粒子の直径は好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上、最も好ましくは10mm以上である。
【0017】
前記固体金属粒子の直径は、80mm未満、好ましくは50mm未満、最も好ましくは25mm未満であると有利である。
【0018】
前記固体金属粒子は、好ましくは鉄、スチール、アルミニウム、銅、クロム、及びこれら金属から成る合金、さらにこれら金属と他金属との合金から選択される金属から成る。
【0019】
実用上は、種々直径のものが容易に入手できることから、スチール製ボールが好ましく用いられる。
【0020】
固化後、高温スラグ粒子及び加熱された固体粒子は熱交換機中へ充填され、反対流冷却ガスを用いて冷却され、そして熱交換機から放出される。
【0021】
好ましい実施態様によれば、前記熱交換機は複数のサブユニットに分けられ、該サブユニットのそれぞれには粒子取込ポート、粒子放出ポート、冷却ガス取り入れポート及び冷却ガス排出ポートが備えられる。また、サブユニットの少なくとも1個は粒子取込ポートを通して高温スラグ粒子及び加熱固体金属粒子で満たされる。冷却されたスラグ粒子及び冷却された固体金属粒子は前記少なくとも1個のサブユニットから前記粒子放出ポートを通して放出される。前記粒子の充填及び放出期間中、前記冷却ガス取り入れポート及び前記冷却ガス排出ポートは閉じられる。また、前記粒子の充填及び放出と同時に、他のサブユニットの少なくとも1個は、冷却ガス取り入れポートを通して冷却ガス流を注入し、かつ前記冷却ガス排出ポートから加熱された冷却ガスを取り出すことによって冷却される。また、この粒子の冷却期間中は前記粒子取込ポート及び前記粒子放出ポートは閉じられ、他方加熱された冷却ガスはエネルギー回収に利用される。
【0022】
従って、本発明の好ましい実施態様に従った方法では、非連続的に作動される複数のサブユニットから成る熱交換機を用いることが提案されている。発電サイクルの最も効率的な利用を確保するためには熱交換機の出口において一定した高温ガス流を得ることが有利であることから、ほぼ一定な高温ガス流が確保されるように複数の熱交換機が交代的に作動される。このように構成することにより、バッチタイプの材料取り扱いではない、ほぼ連続的なガスハンドリングを行うことが可能となる。
【0023】
熱交換機サブユニットの一つが空状態及び充満状態となる各段階において、該サブユニットが空状態あるいは充満状態である期間中は、該熱交換機サブユニット中を冷却ガスは流れない。
【0024】
同量の粒子が熱交換機中へ詰められ、かつ取り出される。その間、他の熱交換機サブユニットへの材料の入れ込み、あるいは他の熱交換機サブユニットからの材料の取り出しは行われない。従って冷却期間中、それらサブユニットを周囲環境から完全に遮断することが可能である。
【0025】
好ましくは、サブユニットの1個に高温スラグ粒子及び加熱された固体金属粒子が粒子取込ポートを通して充填され、他方同時に冷却されたスラグ粒子及び冷却された固体金属粒子が同一サブユニットの粒子放出ポートを通して放出される。
【0026】
一旦熱交換機サブユニットが満たされたら、粒子取込ポート及び粒子放出ポートは密閉され、該サブユニットは冷却ガス流へ再接続される。その間、他の熱交換機サブユニットとの接続を遮断することが可能である。これら熱交換機サブユニット中を通過する冷却ガス流は漏れることがないため、埃やエネルギーがシステムから出て行くことが防止される。従って、熱交換機サブユニットは、スラグの充填及び放出期間中において減圧されることだけが必要とされる。
【0027】
好ましい実施態様によれば、高温スラグ粒子及び加熱固体粒子は、熱交換機サブユニットの一つへ充填される前に、まず断熱プレチャンバー中へ充填される。前記プレチャンバーは好ましくは耐火性ライニングまたは石材ボックスによって断熱される。スラグの低熱伝導性ゆえに優れた断熱特性が与えられる。
【0028】
前記スラグ粒子及び固体金属粒子は、冷却後及び熱交換機サブユニットからの放出後にプレチャンバー中へ充填されてもよい。別の言い方をすれば、充填された粒子のサイクル時間及び量は、熱交換機サブユニット内部への熱移動が制御され、準定常に保持されるように選定することが可能である。従って、熱交換機サブユニットの充填/放出によって生ずる出口ガス温度変動は、変動に応じてサイクル時間を選定することにより最小限に抑えられる。
【0029】
さらに別の好ましい実施態様によれば、高温液状スラグは固体金属粒子と混合されてスラグケーキに固化され、約650〜750℃まで冷却される。有利な態様として、前記高温液状スラグはほぼ同容量の前記固体金属粒子と混合され、該固体金属粒子を約40〜約60%含む混合物として生成される。金属粒子の必要容量は所望される金属粒子の目標温度、密度及び熱容量等に従って異なる。スチール製ボールを用いる場合は、40〜60%(全容積に対する容積%)が好ましい。
【0030】
好ましくは、前記熱交換機サブユニットは1.2〜4バールの圧力下で、すなわちサブユニット中のスラグ層の底部において測定される絶対圧力下で操作される。
【0031】
前記スラグケーキは好ましくは粒度分析で約40〜120mm、かつバルク密度約2〜5g/cm3の粒子、さらに好ましくは粒度分析で約40〜90mm、かつバルク密度約2〜5g/cm3の粒子に破砕される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に従った方法の好ましい実施態様のフロー図である。
図2】高温液状材料の乾燥粒状化に用いられる好ましい第一造粒機/ミキサーの模式図である。
図3】高温液状材料の乾燥粒状化に用いられる好ましい第ニ造粒機/ミキサーの模式図である。
【発明を実施するための手段】
【0033】
以下に、本発明の好ましい実施態様について実施例を用い、さらに添付図面を参照しながら説明する。
図1は高温液状物の好ましい実施態様に従った乾燥粒状化方式の模式図である。
【0034】
温度約1500℃、密度約2.7g/cm3の高温液状スラグ10をスラグランナー12中あるいはスラグレードル(図示せず)中へ入れ、さらに流速毎分約0.5トン〜毎分約4トンで造粒機/ミキサー14へ移す。この造粒機/ミキサー14中において、高温液状スラグは第一貯蔵ビットから来る流速が3倍以下、すなわち毎分約1〜約12トン以下、粒度分布が2〜50mm、室温ないし約100℃の温度でのバルク密度が3〜10g/cmである固体金属粒子と混合されて密度約4g/cm、温度約800℃未満のスラグケーキ20として生成される。
【0035】
固体金属粒子としては特にスチール製ボールが適当であり、入手も容易である。驚くべきことに、一定の高さから固体金属粒子を落下させることによって、液状スラグ中へ入り込むために、また生成されるスラグケーキの高さ全体に亘って均等に分散されるために十分な運動エネルギーがそれら固体金属粒子に与えられることが見出された。
【0036】
高温液状スラグ全体への固体金属粒子の均質な分散を果たすために必要とされる運動エネルギー量は、スラグの粘度、粒子の性質及び粒子密度、さらに粒子直径に依存して異なる。
【0037】
液状スラグ中に沈んだ個々の粒子を用いることの利点は、熱移動が極めて効率的かつ迅速に行われることによりスラグが急速に冷却され、かつ完全にガラス質化することである。
【0038】
第一造粒機/ミキサー14上方に位置する吸引装置22により、液状スラグと固体金属粒子の混合中に放出されたあらゆる埃粒子が取り除かれる。
【0039】
このようにして生成されたスラグケーキ20は耐熱コンベヤベルト24上へ流速毎分4トンで放出され、第一ブレーカー26へ運ばれて、そこでスラグケーキは破砕され、ケーキ片中に金属粒子が混合された粒度分布約200mm未満の固化スラグ片が生成される。
【0040】
スラグケーキ20がブレーカー26へ運ばれる間、温度カメラ28によってスラグケーキ温度が測定され、及び必要な場合には、スラグケーキ20の温度を約800℃に調節するために、スラグケーキ20上へ水噴霧装置30によって水が噴霧される。
【0041】
金属粒子が中に混合された固化スラグ片は第一ブレーカー26からバケットエプロンコンベヤ32へ移動されて第二ブレーカー34へ運ばれ、そこで金属粒子が中に混合された固化スラグ片のサイズは約40〜80mmまで減じられる。温度約700℃、粒度分布40〜90mm、及びバルク密度約2〜5g/cmのこれら固化スラグ片の連続材料流はプレチャンバー中に回収される。この第二ブレーカー34は任意である。粒状化方法及びまたはスラグ特性に依存するが、第一ブレーカー26を用いて粒度分布を約90mm未満まで減ずることにより第二ブレーカーの必要性を排除することが可能である。次いで金属粒子が中に混合された固化スラグ片は、プレチャンバー36から図1に示された実施態様における対向流モードで作動する、すなわち高温物質が上部から送り込まれ、及び冷却後に底部から取り出され、他方冷却ガス、通常空気、が前記底部を通して注入され、及び冷却後に上部から取り出される、4つのサブユニットA,B,C,Dから成る熱交換機38へ移動される。熱交換機を通して空気が通過する間に該空気は加熱され、熱交換機中に含まれるスラグ及び固体金属粒子は約100℃まで冷却され、ポストチャンパー40中に放出される。次いでスラグ粒子は固体金属粒子から分離される。固体金属粒子と固化スラグの分離に用いる方法は、破砕及び篩分けまたはミリング、及び篩分け、ミリング及び磁界の利用等から構成可能である。試験により、固化スラグは脆弱であること、及びスチール製ボールには付着しないことが示された。
【0042】
冷却されたスラグはさらなる利用のために貯蔵され、他方冷却された固体金属粒子はパイプコンベヤ42を介して第一貯蔵ビット18及び造粒機14へ運ばれ、造粒機へ運ばれた金属粒子は高温液状スラグと混合される。
【0043】
図1に示す実施態様においては、4つのサブユニットA,B,C,Dを備える熱交換機が用いられる。
【0044】
固化スラグ片及び固体金属粒子は、プレチャンバー36から上部に材料ゲート46及び底部に密閉蓋48を備える4つの別個の熱交換機サブユニットA,B,C,Dへ分配される。
【0045】
熱交換機のこれらサブユニットの一つが空/充填段階にある期間(図1:熱交換機サブユニットD参照)は、他の3つのサブユニットは冷却モードにある(図1:A−B−Cは作動状態にある)。
【0046】
熱交換機サブユニットDが一旦満たされたら、上部材料ゲート46及び底部密閉蓋48は閉じられ、熱交換機サブユニットDを通る冷却ガス流が活性化される。次いで、次の熱交換機サブユニットがガス循環路から遮断され、冷却されたスラグ粒子及び固体金属粒子が放出され、新たな高温スラグ粒子及び固体金属粒子が該サブユニット中へ運び込まれる。
【0047】
上述した熱交換機サブユニットの連続作動により、熱交換段階において、ガスあるいは埃を環境中へ全く出すことなく、熱交換機38を大気から完全に遮断することが可能とされる。各熱交換機サブユニットは、熱交換機及び環境に対するいかなる負の影響を及ぼすことなく作動させることを可能とするため、スラグ粒子の充填及び放出期間だけ減圧され、及びガス流から隔離される。
【0048】
サイクル時間及び1サイクルにおける充填粒子量は、熱交換の視点からガス流中における温度変動の極めて小さい準静止操作として考えられるように選定される。本願において用語「サイクル時間」は、各熱交換機サブユニットが連続ガス流と接続され、あるいは連続ガス流から遮断される時間のフレームを言うために用いられている。冷却期間中、熱交換機内部の粒子には出口ゲートの低温から入口ゲートの高温に亘る温度勾配が生ずる。従って、1サイクルにおいて充填され、及び放出される粒子量は、充填/放出前後における出口と入口間の温度差が例えば50℃を超えないように制限されなければならない。
【0049】
前記熱交換機サブユニットA,B,C,Dは、特別に設計され、加圧下における作動に適しており、ガス流の圧力ロスを大幅に減ずることから、熱交換機及び流れ発生装置を通してガスを循環させるために必要とされるブロアー/コンプレッサー動力が低減される。かかる構成においては、1つのサブユニットの減圧中に生ずるガスロスだけは同時に圧力制御装置としても機能するブースターブロワー/コンプレッサー(図示せず)によって補償されなければならない。熱交換機内部圧力を1バールから3バール(絶対)へ増加させることにより、必要とされるブロワー/コンプレッサー動力は約1/3まで低減される。
【0050】
ファン50によって生じたガス流はガスダクト54を通して冷却モードで3つの熱交換機サブユニットへ導かれる。熱交換の実施後、加熱されたガス流は高温ガスダクト56中へ流出される。埃は、約700℃の高温ガスが流れ生成60のために熱交換機へ運ばれる前に、サイクロン58中において濾過によって取り除かれる。このようにして生成された流れは発電のためタービン(図示せず)及び発電機(図示せず)へ運ばれる。次いで冷却ガスは閉鎖ループ系内のパイプ62中を通してファン52へ戻される。
【0051】
発電のための熱力学プロセスは、約700℃の温度レベルにおいて最も効率的に作動する。さらに、この温度レベルでは、直接熱回収に関して最良の融通性及び効率性が得られる。
【0052】
粒子・ガス熱交換機38は連続作動するため効率的発電が可能である。本実施態様においては、材料流及びガス流の双方が連続して熱交換器中へ入り、また熱交換機から流出する。しかしながら、材料とガスの取扱いは分離され、関わり合う熱交換機サブユニットは充填及び放出期間中ガス流から分離されるため、ガス漏れはもはや問題とならない。従って、ガスが流れる間は熱交換機内部での材料の移動はないため、シーリングフラップを用いて熱交換機サブユニットの密閉を容易に得ることができる。
【0053】
このような着想によって得られる利点は多数に亘る。
【0054】
ガス流と材料流を切り離すことによって熱交換機の密閉が容易化され、また環境中への埃の放出も無くなり、あるいは最小化される。冷却操作中に熱交換機サブユニットを密閉することにより、ガス漏れリスクが排除され、従って漏れ出すガスに伴うスラグ粒子によって引き起こされる「サンドブラスト」の影響ももはや問題とならない。これにより、摩耗は減じられ、全体としての操作安定性及び有効性も向上される。
【0055】
冷却と熱交換機サブユニットの充填/放出を分離することにより、加圧ガス循環状態下で冷却段階を作動することが可能となり、その結果として材料層全体に亘る圧力降下及びファンのエネルギー消費が減じられる。
【0056】
粒子の全質量が、1つではなく、数個の熱交換機サブユニットへ分配されるため、個々のサブユニット断面積は小さく構成される。熱交換機サブユニットの直径を小さくすることにより、全断面積に亘って反対流ガス流を容易に分配することが可能とされる。さらに、上記より理解されるように、漏れるガス量を大幅に減ずることが可能となる。かかる組み合わせの効果により、ファンに必要とされる出力が低減されるため、全体的効率の向上へと導かれる。熱風ロスが減じられることから、スラグ粒状化工程の全体熱効率は増加される。
【0057】
本発明構成においては、定常的に回転する部分は必要とされない。実際、熱交換機の放出に回転弁は必要とされず、ピンチ/スライダ/スクイズ弁のみ必要とされる。これにより摩耗が減じられる。
【0058】
本発明の構成によれば、全体としてのスラグ流速は遅くなるものの、たとえ熱交換機サブユニットの1つが故障しても連続操作が可能とされる。これにより、これら熱交換機サブユニットの1つに対するメンテナンスが容易化される。さらに、熱交換機サブユニットの1つに予見できないトラブルがあっても全体の工程をシャットダウンする必要性がなくなる。
【0059】
図2は、図1に模式的に示された造粒機/ミキサー14の第一の好ましい実施態様を示した図である。スラグランナー12からの高温液状スラグ64が最初にトラフ型ベルトコンベヤ68のトラフ66中へ注がれ、次いで固体金属粒子70が高温液状スラグ64を収容しているトラフ66中へ注がれる。高温液状スラグ64及び固体金属粒子70は混合されて固化したガラス質スラグケーキ72が生成される。トラフ型ベルトコンベヤ72の各トラフ66は最初に液状スラグで満たされ、次いで第一貯蔵ビット18の真下を進み、各トラフ66中へ落下してくる固体金属粒子によって満たされる。固化後、トラフ66は図1に示すバケットエプロンコンベヤ32上において空状態にされる。
【0060】
各トラフ66はまず液状スラグ64でその高さの約1/3まで満たされ、次いで固体金属粒子70がトラフ66中へ注ぎ込まれる。
【0061】
直径が約10mmの固体金属粒子が約2mの高さから落とされ、スラグ64と固体金属粒子70の素早い効率的な混合が為される。
【0062】
図3は、図1模式的に示された造粒機/ミキサー14の第二の好ましい実施態様を示した図である。スラグランナー12からの高温液状スラグ10は最初にトラフ66’中へ注がれる。図1におけるトラフはコンベヤベルト24上に固定されているが、図2の実施態様におけるトラフは回転ドラム74上に固定されている。最初の位置において、トラフ66はスラグランナー12の下方に運ばれ、その高さの約1/3まで液状スラグ10で満たされ、次いで矢印76の方向に固体金属粒子用の第一貯蔵ビット18の真下の第二位置の方へ回転される。固体金属粒子70は高温液状スラグを収容しているトラフ66中へ注ぎ込まれる。高温液状スラグ及び固体金属粒子70は落下している固体金属粒子70の運動エネルギーの作用を通して混合され、固化したガラス質のスラグケーキ72が生成される。次いでトラフ66’は、図1に示したようなバケットアプロンコンベヤ32上において重力の作用で空状態とされる第三位置まで回転される。
【0063】
回転ドラム74の各トラフ66’は最初に液状スラグで満たされ、次いで第一貯蔵ビット18の真下を進みながら各トラフ66’中へ落下してくる固体金属粒子で満たされ、次に固化したガラス質スラグケーキ72がトラフ66’から落下する第三位置まで進む。次いでトラフ66’は、それが再度第一位置へ到達するまでさらに回転される。
【0064】
図3の実施態様の利点の一つは、隣接トラフ間に相対動作がないことである。トラフ中における有効冷却時間はドラム径によって異なるが、トラフ内部での迅速な固化を保証する固体金属粒子の添加によって短縮される。
【符号の説明】
【0065】
10:高温液状スラグ
12:スラグランナー
14:造粒機/ミキサー
16:粒状スラグ
18:第一貯蔵ビット
20:スラグケーキ
22:吸引装置
24:コンベヤベルト
26:第一ブレーカー
28:温度カメラ
30:水噴霧装置
32:バケットエプロンコンベヤ
34:第ニブレーカー
36:プレチャンバー
38:熱交換機
A,B,C,D:熱交換機サブユニット
40:ポストチャンバー
42:パイプコンベヤ
44:第三ブレーカー
46:材料ゲート
48:密閉蓋
50:ファン
54:ガスダクト
56:高温ガスダクト
58:サイクロン
60:スチーム生成用熱交換機
62:パイプ
64:高温液状スラグ
66,66’:トラフ
68:トラフ型ベルトコンベヤ
70:固体金属粒子
72:スラグケーキ
74:回転ドラム
76:回転方向
図1
図2
図3