(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799106
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
F02M 35/024 20060101AFI20151001BHJP
B01D 46/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
F02M35/024 511B
F02M35/024 511A
B01D46/00 C
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-532108(P2013-532108)
(86)(22)【出願日】2011年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-540228(P2013-540228A)
(43)【公表日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2011066473
(87)【国際公開番号】WO2012045583
(87)【国際公開日】20120412
【審査請求日】2014年9月19日
(31)【優先権主張番号】102010041948.6
(32)【優先日】2010年10月4日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘンドリック フォン メルカッツ
(72)【発明者】
【氏名】オイゲーン ヴォールマン
【審査官】
寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】
英国特許出願公開第02400574(GB,A)
【文献】
特開2000−064917(JP,A)
【文献】
特表2008−527246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
B01D 46/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体のフィルタ装置であって、
フランジ領域7で互いに軸方向に接する少なくとも1つの第1のハウジング部分3と第2のハウジング部分4とを有するハウジング2を備え、
フランジ領域7で結合する周辺シール11を有する板形状のフィルタエレメント5を備え、
第1のハウジング部分3は、フランジ領域7に、2つの互いに反対側の放射方向のベアリング面15,16を有し、
シール11は、互いに逆向きで、ベアリング面15,16に抗して平らに支持する2つの放射方向のシーリング面17,18を有し、
シール11が、シーリング面17,18の放射方向の間に、第2のハウジング部分4に向けて軸方向に開く周辺のスロット領域37を有し、
周囲の方向に互いに間を開け、放射方向に反対側のスロット壁40,41が互いに放射方向に支持される複数の放射方向ウェブ42が、スロット領域37に設けられていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1のフィルタ装置であって、
第1のハウジング部分3が、フランジ領域7の付近に位置し、軸方向に突出し、放射方向に外側の放射方向ベアリング面16を有する外側ウェブ22を有し、
第2のハウジング部分4が、フランジ領域7の付近に位置し、外側ウェブ22が軸方向に支持される軸方向の支持面23を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2のフィルタ装置であって、
放射方向ウェブ42が、シール11に一体的に、若しくは第2のハウジング部分4に一体的に形成され、または
複数の放射方向ウェブ42が、シール11に一体的に形成され、かつ複数の放射方向ウェブ42が、第2のハウジング部分4に一体的に形成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうち何れか1項のフィルタ装置であって、
放射方向ウェブ42が、同一のサイズ、またはスロット領域37よりも軸方向8に小さく、および/または
放射方向ウェブ42が、軸方向8に異なるサイズを有し、および/または
放射方向ウェブ42が、周囲方向に互いに反対側に面する、互いに平行または互いに斜めに延びた外側45を有し、互いに斜めの外側45は放射方向の外側に収束または発散し得、および/または平行な外側45は放射方向10に平行に向くことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか1項のフィルタ装置であって、
フィルタエレメント5が、多角形の軸方向8の横断面を有し、
スロット領域37が、フィルタエレメント5の少なくとも1つの角領域43に、放射方向の凹部44を有していることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項6】
気体のフィルタ装置であって、
フランジ領域7で互いに軸方向に接する少なくとも1つの第1のハウジング部分3と第2のハウジング部分4とを有するハウジング2を備え、
フランジ領域7で結合する周辺シール11を有する板形状のフィルタエレメント5を備え、
第1のハウジング部分3は、フランジ領域7に、2つの互いに反対側の放射方向のベアリング面15,16を有し、
シール11は、互いに逆向きで、ベアリング面15,16に抗して平らに支持する2つの放射方向のシーリング面17,18を有し、
シール11が、シーリング面17,18の放射方向の間に、第2のハウジング部分4に向けて軸方向に開く周辺のスロット領域37を有し、
フィルタエレメント5が、多角形の軸方向8の横断面を有し、
スロット領域37が、フィルタエレメント5の少なくとも1つの角領域43に、放射方向の凹部44を有していることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項7】
請求項6のフィルタ装置であって、
第1のハウジング部分3が、フランジ領域7の付近に位置し、軸方向に突出し、放射方向に外側の放射方向ベアリング面16を有する外側ウェブ22を有し、
第2のハウジング部分4が、フランジ領域7の付近に位置し、外側ウェブ22が軸方向に支持される軸方向の支持面23を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のうち何れか1項のフィルタ装置であって、
第1のハウジング部分3が、フランジ領域7に周囲溝24を有し、その溝は、第2のハウジング部分4に向けて軸方向に開き、互いに対向するその溝壁25,26はベアリング面15,16を有し、または形成し、
溝壁25,26の間に位置するシール11と溝底27との間に、軸方向スペーシング29が存在することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のうち何れか1項のフィルタ装置であって、
シール11は、放射方向のシーリング面17,18の放射方向の間に、周囲方向の軸方向シーリング面34を有し、それは、第2のハウジング部分4上のフランジ領域7に形成された周囲方向の軸方向ベアリング面36を軸方向に受けることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうち何れか1項のフィルタ装置であって、
第1のハウジング部分3が、フランジ領域7の付近に位置し、軸方向に突出し、放射方向に内側の放射方向の支持面15を有する内側ウェブ31を有することを特徴とするフィルタ装置。
【請求項11】
請求項10のフィルタ装置であって、
内側ウェブ31と第2のハウジング部分4との間に、シール11に貫かれる放射方向スペーシング32が存在し、および/または
内側ウェブ31に面する軸方向シーリング面33と、第2のハウジング部分4に面する請求項9の軸方向シーリング面34との間に、軸方向スペーシング35が存在し、および/または
内側ウェブ31が、請求項2の外側ウェブ22よりも軸方向8に短いことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のうち何れか1項のフィルタ装置のためのフィルタエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求の範囲のプリアンブルに従った気体のフィルタ装置に関し、特に、好ましくは、例えば自動車の内燃機関のフレッシュエアシステムのエアフィルタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フランジ領域で互いに軸方向に隣接する少なくとも1つの第1のハウジング部分と第2のハウジング部分とを有するハウジングを有する、気体のフィルタリングのためのフィルタ装置を開示している。さらに、フィルタ装置は、上記フランジ領域に結合する周囲シールを備えた板形状のフィルタエレメントを有している。「板形状のフィルタエレメント」または板フィルタエレメントは、実質的に流れの方向を横切るように広がる平面に延びている。
【0003】
公知のフィルタ装置では、第1のハウジング部分は、フランジ領域に、ハウジングの内部に面する放射方向のベアリング面(bearing face)を有し、シールは、フランジ領域に、組み付けられた状態で、ハウジングの内部と反対側に面して第1のハウジング部分の1つのベアリング面に対して放射方向にシールするように支持(bear)する放射方向のシーリング面を有している。さらに、シールは、ハウジングの内部に面する側で第2のハウジング部分に放射方向に支持される。
【0004】
特許文献2は、2つのハウジング部分が互いに境界を成すフランジ領域で、周囲シールを有する板形状のフィルタエレメントが結合するフィルタ装置を開示している。第1のハウジング部分は、フランジ領域に、軸方向に開いた、シールが軸方向に挿入される周囲受け溝を有する。第2のハウジング部分は、受け溝の領域内のシールの軸方向のシーリング面に軸方向に支持される、軸方向に突き出た周囲ウェブを有している。このエアフィルタ装置では、2つのハウジング部分は互いに直接は支持されず、間接的に、すなわちシールを介して支持される。
【0005】
このタイプのさらなるフィルタ装置は、特許文献3によって知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/150165号
【特許文献2】独国特許出願公開第4412474号明細書
【特許文献3】欧州特許第1647701号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、組み立てが比較的容易で効果的なシール効果を有する、導入部で述べられたようなタイプのフィルタ装置の改良された実施例を特徴付ける課題に関するものである。
【0008】
この課題は、独立請求項の主題による発明によって解決される。有利な実施例は従属請求項の主題を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フランジ領域で、ハウジング部分が互いに軸方向に直接接するフィルタ装置において、フランジ領域に、2つの互いに反対側の放射方向のベアリング面を有する第1のハウジング部分を備え、互いに逆向きで、組み付けられた状態の時にベアリング面に抗して平らに支持する2つの放射方向のシーリング面を有するシールが設けられているという概略のコンセプトに基づく。このようにして、放射方向に互いに間隔を空けた2つの放射方向の効果的なシーリングゾーンがフランジ領域に実現される。2つのベアリング面が同一のハウジング部分に取り付けられているので、2つのシーリングゾーンは直列的に作用し、それは達成可能なシールの有効性を増大させる。さらに、2つのハウジング部分をこの相対的な位置に互いに固定するために実質的に軸方向の組み付け力をかけることなく、第2のハウジング部分が第1のハウジング部分に対して軸方向に支持するようにされ得るようにして、フィルタ装置の組み立ての間に、フィルタエレメントが簡単に第1のハウジング部分に取り付けられ得る。これは、組み立て工程の大幅な簡素化を達成する。
【0010】
有利な実施例では、第1のハウジング部分は、フランジ領域の付近に位置し、軸方向に飛び出し、放射方向に外側の放射方向ベアリング面を有する外側ウェブを有し得る。第2のハウジング部分は、適宜、フランジ領域の付近に位置し、外側ウェブが軸方向に支持される支持面を有し得る。2つのハウジング部分は、このように、組み立て状態の時に、支持面および外側ウェブを介して互いに軸方向に支持する。これは、組み立て状態での定義された相対的な位置を確実にする。
【0011】
他の有利な実施例では、シールは、シーリング面の放射方向の間に、第2のハウジング部分に向けて軸方向に開く周辺のスロット領域を有し得る。このスロット領域は、増大した放射方向の弾力性をシールに与え、その結果、2つのシーリング面は、より容易に、互いに放射方向に圧縮され得、それは第1のハウジング部分の2つのベアリング面の間に形成された受けスペースへのシールの挿入を容易にする。
【0012】
有利な実施例では、周囲の方向に互いに間を開け、放射方向に反対側のスロット壁が互いに放射方向に支持される複数の放射方向ウェブが、スロット領域に設けら得る。そのような放射方向ウェブの助けによって、シールが、例えばシーリング面がベアリング面に抗して放射方向に支持するようになる放射方向のプレストレス力(prestress forces)を増大させるように、やはりスロット領域に固定される。スロット領域は、原則として、シール内のシーリング面の放射方向の調整を許し、放射方向のウェブは、放射方向の圧縮などを相殺する十分な放射方向のプレストレスが維持されるのを確実にする。
【0013】
他の有利な実施例では、放射方向ウェブは、シールに一体的に、若しくは第2のハウジング部分に、特に、上記支持面に一体的に形成され得る。同様に、複数の放射方向ウェブがシールに一体的に形成され、かつ複数の放射方向ウェブが第2のハウジング部分に、例えば上記支持面に一体的に形成されることも可能である。シールへの放射方向ウェブの一体化は、放射方向ウェブがシールと同じ材料から特に簡単に作製されるのを許す。しかし、2成分法(two-component method)によって、異なる材料から成る放射方向ウェブをシールに射出成形することも、原則として可能である。ハウジング部分への放射方向ウェブの一体的な配置によって、シールに選択されたのと異なる材料が、放射方向ウェブに特に簡単に選択され得る。放射方向ウェブは、特に、結果として、シールよりも高い剛性を有し得る。そこで、特に、スロット領域によって、シールを第1のハウジング部分に簡単に取り付けること、および第2のハウジング部分に位置させ、第2のハウジング部分の放射方向のウェブがシールのスロット領域に入り込んでシーリング表面がシール内で放射方向外側に向ける(drive)力を生じさせることによってシール効果を大幅に改善することが可能である。ハウジング側の放射方向のウェブは、周囲方向において、それぞれスロット領域内でシール側の放射方向ウェブの間に入り込むことができる。
【0014】
または、ハウジング部分、とくに上記支持面上に、周囲方向に延び、軸方向に突出するウェブを形成することも同様に可能であり、その横断面の輪郭は、特にハウジング部分からの距離の増加に伴って先細りになり得、第2のハウジング部分が取り付けられたときに多かれ少なかれシールのスロット領域に入り込むように形作られ位置される。
【0015】
他の実施例では、放射方向ウェブは、同一のサイズ、またはスロット領域よりも軸方向に小さくあり得る。加えて、または代えて、放射方向ウェブは、軸方向に異なるサイズを有し得る。さらに、放射方向ウェブは、周囲方向に互いに間を空け、互いに平行または互いに斜めに延びた外側を有し得、互いに斜めの外側は放射方向の外側に収束または発散し得る。上記のような、累積的にまたは選択的に、またはあらゆる組み合わせで実現し得る変形は、それぞれ、シールの弾力性を目的的に(in a targeted manner)特に、放射方向に設定するために、特に十分なシール効果と共に簡単な組み立てが達成できるように、用い得る。
【0016】
他の有利な実施例では、フィルタボディは、多角形、特に矩形の軸方向の横断面を有し得る。上記スロット領域は、フィルタボディの少なくとも1つの角領域、好ましくはフィルタボディの各角領域に、特に放射方向外側のスロット壁上に、凹部44を有し得る。そのような凹部は、フィルタボディが第1のハウジング部分に取り付けられるときに、シールの放射方向の圧縮によって周囲方向に力が作用されるシール材料に、それぞれの角領域のそのような凹部に逸らされることを許す。特に、それによって、それぞれのシーリング面内での折れ曲がりや硬化(fold formation and hardening)のリスクが回避され得る。それぞれの凹部は、この場合には放射方向に連続せず、そこで、シールを突き通さない。それぞれの凹部の放射方向の深さは、それぞれのスロット壁とそれぞれ隣接するシーリング面との間の放射方向の距離よりも相応に(correspondingly)浅い。結果的に、シーリング面は、インタラプションフリーに、または周囲方向に連続的に設計される。
【0017】
他の有利な実施例では、第1のハウジング部分は、フランジ領域に周囲溝を有し得、その溝は、第2のハウジング部分に向けて開き、互いに対向するその溝壁はベアリング面を有し、または形成する。この溝は、上記シールが軸方向に挿入され得る受けスペースを囲む。この溝およびシールの寸法は、好ましくは、溝壁の間に位置するシールと溝底との間に、軸方向距離が存在するように互いに合致される。これは、シールが、適切に使用されたときには軸方向に止まることなく入り込みはしない(not come up against a stop)ことを意味する。これは、第1のハウジング部分へのフィルタエレメントの取付を簡単にする。
【0018】
もし、ハウジング部分の1つが、シールの受けスペースの外側の周りに延びる保護カラーを、少なくとも実質的な領域に有していれば有利である。保護カラーは、好ましくは、受けスペースを完全に取り囲む。保護カラーは、ハウジング部分に環状壁として好ましくは一体的に形成され、フィルタ装置組み立て状態の時に、泥がシールに直接進入するのを防ぐ。さらに、保護カラーは、シーリング領域を機械的作用によって外方側から損傷させられるのを防ぐ。この目的のため、保護カラーは、好ましくは、シールを受けるハウジング部分に配置される。保護カラーは、受けスペースから離れて配置され得、その結果、他のハウジング部分の輪郭がこのスペースに特に非接触に連結され得、したがって、シールまたはシーリング領域のよりよい保護をもたらす。
【0019】
他の実施例では、シールは、放射方向のシーリング面の放射方向の間に、周囲方向の軸方向シーリング面を有し得、それは、第2のハウジング部分上のフランジ領域に形成された周囲方向の軸方向ベアリング面を軸方向に受ける。第3のシーリングゾーンは、それによってシール上に形成され、そのゾーンは、第2のハウジング部分と軸方向にシールするように相互作用する。
【0020】
もし、フィルタ装置が、清浄側が第1のハウジング部分の内部に位置し、その清浄側はフィルタエレメントによって第2のハウジング部分内に位置する未処理側と分離される流れの方向に関して稼働し、または使用されれば、特に適切である。発生するいかなる漏洩も、このように未処理側だけで行われ、それは、少なくとも内燃機関のフレッシュエアシステムにおいては多分に危険でない。しかし、シールと第1のハウジング部分との間に直列的に配置された2つのシーリングゾーンを通した不適切な空気の吸入は多分に回避される。
【0021】
具体的な実施例では、特に、軸方向ベアリング面が、第1のハウジング部分が第2のハウジング部分に軸方向に支持される上記軸方向支持面と、軸方向に同じ高さに配置されるように設けられ得る。
【0022】
他の実施例では、第1のハウジング部分は、フランジ領域の付近に位置し、軸方向に突出し、放射方向に内側放射方向のベアリング面を有しまたは形成する内側ウェブを有し得る。特に、シールは、オプショナリにフランジ領域の付近に位置し内側ウェブが軸方向に支持される軸方向シーリング面を有し得る。これによりシーリング効果がさらに改善される。
【0023】
内側ウェブと第2のハウジング部分との間に、シールに貫かれる放射方向スペーシングが適宜存在し得る。加えて、または代えて、内側ウェブに面する軸方向シーリング面と、第2のハウジング部分に面する軸方向シーリング面との間に、軸方向スペーシングが存在し得る。加えて、または代えて、内側ウェブは、第1のハウジング部分の外側ウェブよりも軸方向に短くあり得る。上記変形は、選択的にまたは累積的に、またはあらゆる組み合わせで実現され得る。特に、これらの特徴は、シールがフランジ領域で寸法的に安定するように位置決めされ支持されるような範囲で、ハウジング部分とシールとの間の特定の幾何学的な適合を許す。それによって、シールの比較的高いレベルの機能的な信頼性が達成され得る。
【0024】
本発明は、また、本発明のフィルタ装置での使用に適したフィルタエレメントに関する。上記フィルタエレメントは、したがって、少なくとも、板形状で、フランジ領域で互いに逆向きの2つの放射方向シーリング面を有する周辺シールを有することによって特徴付けられる。
【0025】
方向の用語「軸」および「放射」は、フィルタエレメントが第1のハウジング部分に取り付けられ、2つのハウジング部分が互いに取り付けられる組み立て方向を基準としている。この組み立て方向は、そこで、軸方向を定義し、すなわち軸方向は組み立て方向に平行に向かう。それゆえ、放射方向は組み立て方向を横切るように広がる。
【0026】
発明のさらに重要な特徴、および利点は、従属請求項、図面、および図面を用いた図解の対応する記述に見出される。
【0027】
上記の、および以下でさらに説明される特徴は、与えられる組み合わせで用いられるだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせ、または単独でも用いられ得る。
【0028】
発明の好ましい例示的実施例は、図示され、以下の記述でより詳細に説明され、同一の参照符号は同一または類似した機能的に等価な構成要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、フランジ領域のフィルタ装置の大幅に簡素化された縦断面を概略的に示す。
【
図2】
図2は、角領域のフィルタエレメントの大幅に簡素化された軸視図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1によれば、フィルタ装置1は、少なくとも1つの第1のハウジング部分3、および第2のハウジング部分4を有するフィルタハウジング2を含む。フィルタ装置1は、また、フィルタハウジング2内に配置されたフィルタエレメント5を含む。フィルタ装置1は、気体、特に空気をフィルタするように働く。フィルタ装置1は、よって、好ましくはエアフィルタ装置である。上記エアフィルタ装置1は、例えば自動車に設けられ得る内燃機関のフレッシュエアシステム内で用いられ得る。
【0031】
2つのハウジング部分3,4は、フランジ領域7の接合位置6(abutment point)で互いに軸方向に接する。ハウジング部分3,4は、また、図示しないが互いに取り外し可能に連結されている。軸方向は、
図1に双方向矢印(double arrow)によって表され、符号8で参照される。軸方向8は、同様に矢印で表され、2つのハウジング部分3,4が互いに取り付けられる組付方向9と平行な方向である。さらなる双方向矢印10は、軸方向8を横切り、および対応して、また、組付方向9を横切る放射方向を表す。
【0032】
フィルタエレメント5は、板形状で、それゆえ、板フィルタエレメント5とも呼ばれる。フィルタエレメント5は、特に、主として軸方向8を横切って広がる平面内に広がる。フィルタエレメント5は、フランジ領域7で結合する周辺シール11を有する。シール11は、特に、
図2に示されるようにフィルタボディ12上に射出成形され、または形成され得る。フィルタエレメント5は、フィルタハウジング2の内部で未処理側13を清浄側14から分離する。フィルタエレメント5が実質的に2つのハウジング部分3,4の間に位置されるので、未処理側13および清浄側14は、異なるハウジング部分3,4内に配置される。好ましい実施例では、清浄側14は、このように第1のハウジング部分3内に配置され、未処理側13は、第2のハウジング部分4内に配置される。
【0033】
第1のハウジング部分3は、フランジ領域7に、2つの互いに反対側の放射方向のベアリング面15,16(bearing faces)を有している。ハウジング内部との関係では、ベアリング面15は、一方のベアリング面16よりもさらに内側に配置され、そこで、ベアリング面15,16は、また、内側ベアリング面15および外側ベアリング面16と称される。シール11は、互いに逆向きで、組み付けられた状態の時にベアリング面15,16に抗して平らに支える(bear flat against the bearing faces 15, 16)2つの放射方向のシーリング面17,18を有する。
図1では、シール1は非圧縮状態で表され、そこで、
図1では、シーリング面17,18は対応するベアリング面15,16から放射方向に飛び出している。しかし、実際には、シール11は、組み付けられている間は圧縮され、その結果、シーリング面17,18は互いに放射方向にシフトされる。そこで、放射方向の内側シーリング面17は、組み付けられた状態では、内側ベアリング面15に抗して支える一方、放射方向の外側シーリング面18は、外側ベアリング面16に抗して支える。シーリング面17,18は、以下ではまた、内側シーリング面17、および外側シーリング面18と称される。外側シーリング面18は、外側ベアリング面16と共に、シール11と第1のハウジング部分3との間に、第1の、または外側シーリングゾーン19を形成する。内側シーリング面17と内側ベアリング面15とは、シール11と第1のハウジング部分3との間に、第2の、または内側シーリングーゾーン20を形成する。2つのシーリングゾーン19,20は、第1のハウジング部分3に連続して配置され、その結果、特に効果的なシール効果が達成される。清浄側14とフィルタハウジング2の周囲21との間の妥当でない空気流または漏れ流れは、このようにして回避され得る。
【0034】
第1のハウジング部分3は、フランジ領域7に外側ウェブ22を有し、その軸方向のウェブは第1のハウジング部分3から軸方向に飛び出し、周囲の方向に延びる。外側ウェブ22は、外側ベアリング面16を有している。第2のハウジング部分4は、さらにフランジ領域7に軸方向の支持面23を有し、その支持表面は、周囲の方向に延びる。組み付けられた状態では、この支持面23上に、外側ウェブ22が軸方向に支持される。接合位置6での、およびその結果2つのハウジング部分3,4の間で定義される位置での直接接合は、それによって軸方向8に生み出される。
【0035】
第1のハウジング部分3は、また、フランジ領域7に周囲溝24を有し、その溝は、第2のハウジング部分4に向けて軸方向に開き、互いに対向するその溝壁25,26は2つのベアリング面15,16を有し、または形成する。溝24は、2つの溝壁25,26の間に溝底27を有している。上記溝24は、その溝壁25,26と溝底27とによって、シール11が軸方向に挿入される受けスペース28を画する。溝24とシール11とは、シール11と溝底27との間の軸方向8に軸方向距離29が存在するように、すなわち溝底27と、シール11の溝底27に対向する軸方向端面30との間にギャップまたはスペーシングが存在するように、寸法において互いに適合される。
【0036】
図1の例では、第1のハウジング部分3は、また、フランジ領域7に周囲方向に配置され、第1のハウジング部分3から軸方向に突き出し、内側ベアリング面15を有する内側ウェブ31を備えている。2つのウェブ22,31は、このように溝壁25,26を形成し、それによって、溝24を定める。軸方向の断面に示される溝壁25,26は、直線的な側面を有し、溝壁25,26は互いに近づくように、すなわち溝底27の方向に収束またはテーパリングすることが見られる。
【0037】
放射方向スペーシング32は、内側ウェブ31と第2のハウジング部分4との間に設けられ、これを通してシール11が案内される。さらに、内側ウェブ31は、外側ウェブ22よりも軸方向8に短い。
【0038】
シール11は、フランジ領域7に周囲方向の軸方向シーリング面33を有し得、その上に、内側ウェブ31のシーリング表面が軸方向に支持される。軸方向スペーシング35は、同様に、シール11における、内側ウェブ31に対向する軸方向シーリング面33と、さらに第2のハウジング部分4に対向する軸方向シーリング面34との間に存在する。組み付けられた状態では、このスペーシングは、2つのウェブ31,22の軸方向長さの差に対応する。
【0039】
シール11は、同様に周囲方向で、放射方向のシーリング面17,18の間のシール11上に位置される上記シーリング面34を有する。フランジ領域7の第2のハウジング部分4上には、組み付けられた状態の時に軸方向シーリング面34が軸方向に受けるようになる周囲方向の軸方向ベアリング面36が形成されている。ここに示される具体的な実施例では、この軸方向ベアリング面36と前記軸方向支持面23とは、軸方向に同じ高さに配置されている。特に、支持面23と軸方向ベアリング面36とは、変化しない形で(transition-free manner)互いに一体化され、または軸方向8を横切るように広がる平面内に延びる共通の軸方向表面によって形成され得る。
【0040】
特に有利な実施例では、シール11は、周辺のスロット領域37を有することができ、それは、第2のハウジング部分4に向けて軸方向に開き、2つの放射方向のシーリング面17,18の間に放射方向に配置される。スロット領域37は、軸方向8に貫通せずにシール11内に軸方向に入り込む。例えば、軸方向8のスロットの深さ38は、シール11の軸方向高さ39の半分よりも長くはない。ここでは、シール11の軸方向高さ39は、軸方向端面30と軸方向シーリング面34との間の軸方向スペーシングに対応する。縦断面では、スロット領域37は、シール11内への陥入深さの増加とともに先細りになる横断面輪郭(cross-sectional profile)を有し、よって、特に収束するスロット壁40,41を有する。
【0041】
スロット領域37には、周囲の方向に互いに間を開けた複数の放射方向ウェブ42が設けられ得る。放射方向に互いに反対側のスロット壁40,41は、これらの放射方向ウェブ42によって互いに放射方向に支持され得る。放射方向ウェブ42は、適宜、シール11上に一体的に形成されている。他の例では、放射方向ウェブ42は、また、第2のハウジング部分4上に一体的に形成され得る。シール11に一体化された放射方向ウェブ42と、第2のハウジング部分4に一体化された放射方向ウェブ42との両方を含む実施例も同様に考えられ、ハウジング側の放射方向ウェブ42は、そこで、シール側の放射方向ウェブ42の間の周囲方向のスロット領域37内に入り込む。
【0042】
複数の放射方向ウェブ42が周囲方向に互いに間を開けるのに代えて、周囲の軸方向に突出したウェブも第2のハウジング部分4上に形成され得、そのウェブは、第2のハウジング部分4が取り付けられたときにスロット領域37内に軸方向に入り込む。
【0043】
保護カラー50は、外側ウェブ22の外側の周囲に配置される。この保護カラー50は、第1のハウジング部分3と一体的に形成されている。第2のハウジング部分4の輪郭51または壁領域51は、外側ウェブ33と保護カラー50との間に結合する。「シケイン」(chicane)は、このようにハウジング部分3,4の間に形成され、それは機械的力の直接的な動き(action)や、泥の進入を防止する。さらに、ハウジング部分3,4の互いの大まかな(coarse)位置決めが、この「シケイン」によってなされ、その結果、組み付けが容易になる。
【0044】
図2に示されるように、フィルタエレメント5は、複数の角領域43を有する多角形の、好ましくは矩形の軸方向横断面を有し得る。少なくともそのような角領域43では、スロット領域37は、放射状の凹部44を有し得る。例えば、上記凹部44は、放射方向外側のスロット壁41に位置される。凹部44は、シール11を貫通しないことが見られる。例えば、凹部44は、スロット領域37とそれぞれ隣接するシーリング面17または18との間のシール11の壁厚の半分よりも大きくは達しない。
【0045】
図2に示されるように、放射方向ウェブ42は、それぞれ、2つの外側45を有し得、その表面は、周囲方向に互いに反対側に向く。
図2は、放射方向ウェブ42の異なる実施例を示し、それは、適宜、選択的に用い得、または累積的に若しくは実際上(cumulatively or in virtually)あらゆる組み合わせを実現し得る。
図2には、4つの異なる放射方向ウェブ42が例として示され、それらは、以下、時計回りに第1、第2、第3、および第4の放射方向ウェブ42と呼ばれる。第1の放射方向ウェブ42では、外側45は、互いに平行に、かつ、放射方向に平行に延びる。第2の放射方向ウェブ42では、2つの外側45は、やはり互いに平行だが、放射方向に斜めに延びる。第3の放射方向ウェブ42では、対応する外側45は、放射方向の外側に収束するように互いに斜めに延びる。第4の放射方向ウェブ42では、外側45は、やはり互いに斜めに、しかし放射方向の外側に発散するように延びる。
【0046】
さらに、放射方向ウェブ42は、外側45の向きに係わらず、スロット領域37と同じ軸方向のサイズであり得る。さらに、放射方向ウェブ42がスロット領域37よりも軸方向で小さいことも可能である。全ての放射方向ウェブ42は、軸方向8に同じサイズであり得る。さらに、放射方向ウェブ42が軸方向8に異なるサイズに設けられることも可能である。
図1では、スロット領域37の深さ38よりも軸方向8に浅い放射方向ウェブ42の、第2のハウジング部分4に対向する端面側の端部(end-face-side end)が破線46で示されている。