(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799124
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】交流駆動型の発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
H01L 33/38 20100101AFI20151001BHJP
【FI】
H01L33/00 210
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-37340(P2014-37340)
(22)【出願日】2014年2月27日
(62)【分割の表示】特願2008-70697(P2008-70697)の分割
【原出願日】2008年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-112721(P2014-112721A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年2月27日
(31)【優先権主張番号】10-2007-0026697
(32)【優先日】2007年3月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ヨ ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム ゾン キュ
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン ヒ
【審査官】
百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/018401(WO,A1)
【文献】
特開2004−6582(JP,A)
【文献】
特開2005−303295(JP,A)
【文献】
特開2001−156331(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3117281(JP,U)
【文献】
特表2006−504265(JP,A)
【文献】
特開2006−73815(JP,A)
【文献】
特開2006−73979(JP,A)
【文献】
特許第5291937(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上の少なくとも3つの発光セルと、
を有する発光ダイオード(LED)であり、
それぞれの発光セルは、
第1の半導体層と、
前記第1の半導体層上に形成された第2の半導体層と、
前記第1の半導体層の露出した部分に形成された第1の電極と、
前記第2の半導体層上に形成された第2の電極と
を有し、
第1の接続手段が、前記少なくとも3つの発光セルのうちの少なくとも2つの発光セルを直列に接続し、
前記少なくとも3つの発光セルのうちの少なくとも1つの発光セルが、前記少なくとも3つの発光セルのうちの少なくとも2つの発光セルと並列に接続され、
少なくとも1つの第2の接続手段が、順方向電圧に応じて動作する前記少なくとも3つの発光セルのうちの少なくとも2つの発光セルを、逆方向電圧に応じて動作する前記少なくとも3つの発光セルのうちの少なくとも1つの発光セルに接続し、
第1の発光セルアレイグループに属する前記少なくとも3つの発光セルのうちの少なくとも2つの発光セルまたは少なくとも1つの発光セルに過大な電圧が印加するのを前記順方向電圧の動作中に前記第2接続手段により防ぎ、
前記発光セルのそれぞれに対応する前記第2の電極および前記第1の電極は、対角線方向に対向するコーナー部に隣接して配置され、前記少なくとも3つの発光セルの少なくとも1つの発光セルに隣接する発光セルと対称構造を有して配置され、
前記発光セルのそれぞれに対応する前記第1の電極と前記第2の電極とを結ぶ線分は、該発光セルに隣接する発光セルの前記第1の電極と前記第2の電極とを結ぶ線分と対称であり、
前記発光セルのそれぞれに対応する前記線分は、隣接する発光セルに対向する発光セルの前記第1の電極と前記第2の電極を結ぶ線分の延長線上にある
発光ダイオード。
【請求項2】
第1の発光セルの前記第1の電極と前記第2の電極とは前記第1の発光セルに隣接する第2の発光セルの前記第1の電極と前記第2の電極と対称構造を有して配置されている請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記第1の発光セルの前記第1の電極は、前記第2の発光セルの前記第2の電極に接続されている請求項2に記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記少なくとも2つの発光セルは直列に接続されている請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項5】
さらに第4の発光セルを有し、前記第4の発光セルは、前記少なくとも3つの発光セルの2つの発光セルと直列に接続されるか、または、前記少なくとも3つの発光セルの1つの発光セルと直列に接続される請求項4に記載の発光ダイオード。
【請求項6】
ぞれぞれの発光セルの前記第1の電極および前記第2の電極は、直列に接続された発光セルの1つにおいて互いに対向する請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記発光セルは直列に接続され、2つの隣接する発光ダイオードにおける前記第1の電極と前記第2の電極の配置は、前記2つの隣接する発光ダイオードに対向する2つの発光セルにおいて対応する配置と同じである請求項5に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記第2の半導体層および前記第2の電極の間に透明電極層をさらに有する請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項9】
基板と、
前記基板上の複数の発光セルと、
を有する発光ダイオード(LED)であり、
第1の接続手段が、前記基板上に配置され、前記複数の発光セルにより形成される少なくとも2つの発光セルアレイそれぞれを直列に接続し、
前記第1の接続手段により接続される前記少なくとも2つの発光セルアレイは、交流(AC)電源による順方向電圧および逆方向電圧に応じて動作し、
第2の接続手段が、前記二つの発光セルアレイの一方の発光セルアレイと他方の発光セルアレイを接続し、前記二つの発光セルアレイの一方の発光セルアレイは順方向電圧に応じて動作し、前記二つの発光セルアレイの他方の発光セルアレイは逆方向電圧に応じて動作し、
順方向電圧の動作時において発光セルアレイグループの1つまたは2つの発光セルアレイに逆方向電圧が印加されるときに過大な電圧が印加されるのを前記第2の接続手段により防ぎ、
それぞれの発光セルは、
第1の化合物半導体を含む下部半導体層と、
前記下部半導体層上に形成され、第2の化合物半導体層を含む上部半導体層と、
前記下部半導体層と前記上部半導体層との間に配置された活性層と、
前記下部半導体層の露出した部分に形成された下部電極と、
前記上部半導体層上に形成された透明電極層と、
前記透明電極層上に形成された上部電極と、
を有し、
前記上部電極と前記下部電極のそれぞれは、対角線方向に対向するコーナー部に隣接して配置され、前記少なくとも2つの発光セルの一つに隣接する発光セルに対して対称であり、
前記発光セルのそれぞれに対応する前記上部電極と前記下部電極とを結ぶ線分は、該発光セルに隣接する発光セルの前記上部電極と前記下部電極とを結ぶ線分と対称であり、
前記発光セルのそれぞれに対応する前記線分は、隣接する発光セルに対向する発光セルの前記第1の電極と前記第2の電極を結ぶ線分の延長線上にある発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードに係り、より詳しくは、上部電極パッド及び下部電極が発光ダイオードに占める領域を小さく設計することにより、上部電極パッドと下部電極により、発光ダイオードから放出される光が遮断される領域を減らし、発光領域がさらに確保されるようにすることにより、発光効率を改善させた交流駆動型の発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオードが、約10年間適用されてきている。GaN系LEDは、LED技術を相当程度変化させており、現在、総天然色LED表示素子、LED交通信号機、白色LED等、様々な応用に用いられている。最近、高効率白色LEDは、蛍光ランプを代替するものと期待されており、特に、白色LEDの効率は、通常の蛍光ランプの効率とほぼ同水準に達している。
【0003】
一般に、発光ダイオードは、順方向電流により光を放出し、直流電源の供給を必要とする。したがって、発光ダイオードは、交流電源に直接連結して使用する場合、電流の方向によりオン/オフを繰り返し、その結果、連続的に光を放出せず、逆方向電流により破損しやすいという問題点があった。
【0004】
このような発光ダイオードの問題点を解決して、高電圧交流電源に直接連結して使用可能な発光ダイオードが、特許文献1の国際特許文献2に「発光成分を有する発光素子」(LIGHT-EMITTING DEVICE HAVING LIGHT-EMITTING ELEMENTS)という題目で、サカイ等(Sakai et. al.)により開示されたことがある。
前記特許文献2によると、LED(発光セル)がサファイア基板のような単一の絶縁性基板上に二次元的に直列連結され、LEDアレイを形成する。このような二つのLEDアレイが、前記サファイア基板上にて逆並列で連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−6582公報
【特許文献2】国際公開第WO2004/023568号パンフレット
【0006】
窒化ガリウム系発光ダイオードは、一般に、サファイアのような基板上にエピ層を成長させて形成され、N型半導体層、P型半導体層、及びこれらの間に介在された活性層を有する。一方、N型半導体層上にn電極が形成され、P型半導体層上にp電極が形成される。発光ダイオードは、電極を介して外部電源に電気的に連結されて駆動される。この際、
電流は、p電極から前記半導体層を経てn電極に流れる。
【0007】
一般に、P型半導体層は、高比抵抗を有するので、P型半導体層内で電流が均一に分散されず、P電極の形成部分に電流が集中して流れる問題点が生じる。電流集中は、発光領域の減少につながり、結果的に発光効率を低下させる。このような問題点を解決するために、P型半導体層上に低比抵抗の透明電極層を形成し、電流分散を図る技術が用いられている。p電極から流入した電流が透明電極層で分散され、前記P型半導体層に流入するので、発光ダイオードの発光領域を広げることができる。
【0008】
しかしながら、透明電極層は光を吸収するので、その厚さが制限され、したがって、電流分散には限界があった。特に、高出力のために用いられる約1mm
2以上の大面積の発光ダイオードにおいて、透明電極層を用いた電流分散は、限界があった。
【0009】
一方、電流は、半導体層を通じてn電極に流れる。これにより、N型半導体層におけるn電極の形成部分に電流が集中し、これは、半導体層内で流れる電流が、n電極の形成領域付近に集中することを意味する。したがって、N型半導体層内の電流集中を改善することができる発光ダイオードがさらに要求される。
【0010】
又、一般に、発光ダイオードに形成されるp型電極及びn型電極は、発光ダイオードから放出される光を遮断するようになる。これにより、発光ダイオードの光効率を向上させることができるp型電極及びn型電極の構造に対する改善が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、発光ダイオードの動作時に流れる電流を均一に分散させ、光効率を向上させることができる電極構造を有する交流駆動型の発光ダイオードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明の一側面によると、基板と、前記基板上に複数個の発光セルが直列連結された少なくとも一つの直列アレイとを備え、前記発光セルは、基板上に形成された第1の導電型化合物半導体層からなる下部半導体層と、前記下部半導体層上に形成された第2の導電型化合物半導体層からなる上部半導体層と、前記下部半導体層と前記上部半導体層との間に介在された活性層と、前記基板の第1のコーナー部分の露出した前記下部半導体層上に形成された下部電極と、前記上部半導体層上に形成された上部電極層と、前記基板の第2のコーナー部分の前記上部電極層上に形成された上部電極パッドと、を備え、前記上部電極パッド及び前記下部電極は、互いに対角線上のコーナー部にそれぞれ配置され、それぞれの発光セルは、隣接した発光セルに対して、前記上部電極パッド及び前記下部電極の配置が互いに対称構造を有して配列されている交流駆動型の発光ダイオードを提供する。
【0013】
好ましくは、前記少なくとも一つの直列アレイは、互いに逆並列で連結された二つの直列アレイを有してもよい。
【0014】
好ましくは、前記互いに逆並列で連結された二つの直列アレイは、いずれか一方の直列アレイ内における任意の位置にある少なくとも一つの発光セルが、他方の直列アレイ内におけるそれに対応する発光セルと電気的に連結され、発光ダイオードの動作時に特定の直列アレイに逆方向電圧による過電圧が印加されることを防止することができる。
【0015】
好ましくは、前記上部電極層は、透明電極層である。
【0016】
好ましくは、前記透明電極層は、インジウムスズ酸化物(ITO)膜またはNi/Auで形成される。
【0017】
好ましくは、前記上部電極パッドは、Ni、Cr、Pd、Pt、W、Alより選ばれた少なくとも一つからなってもよい。
【0018】
好ましくは、前記上部電極パッドは、少なくとも一つの層または合金層からなってもよい。
【0019】
好ましくは、前記下部電極は、Ni、Cr、Pd、Pt、W、Alより選ばれた少なくとも一つからなってもよい。
【0020】
好ましくは、前記下部電極は、少なくとも一つの層または合金層からなってもよい。
【0021】
好ましくは、 前記活性層は、In
xGa
1−xN(0<x<1)井戸層及びIn
xGa
1−xN(0≦x<1)バリア層を有する単一または多重量子井戸構造を含む。
【0022】
好ましくは、前記In
xGa
1−xN(0<x<1)井戸層は、前記In
xGa
1−xN(0≦x<1)バリア層に比べてInの含量がさらに大きい。
【0023】
好ましくは、前記第2の導電型化合物半導体層は、Al
xGa
1−xN(0≦x<1)を含む。
【0024】
本発明の他の側面によると、電気的に直列連結された 少なくとも二つの単一チップを含むが、それぞれの前記単一チップは、基板と、前記基板上に複数個の発光セルが直列連結された少なくとも一つの直列アレイとを備え、前記発光セルは、基板上に形成された第1の導電型化合物半導体層からなる下部半導体層と、前記下部半導体層上に形成された第2の導電型化合物半導体層からなる上部半導体層と、前記下部半導体層と前記上部半導体層との間に介在された活性層と、前記基板の第1のコーナー部分の露出した前記下部半導体層上に形成された下部電極と、前記上部半導体層上に形成された上部電極層と、前記基板の第2のコーナー部分の前記上部電極層上に形成された上部電極パッドと、を備え、前記上部電極パッド及び前記下部電極は、互いに対角線上のコーナー部にそれぞれ配置され、それぞれの発光セルは、隣接した発光セルに対して、前記上部電極パッド及び前記下部電極の配置が互いに対称構造を有して配列されている交流駆動型の発光ダイオードを提供する。
【0025】
好ましくは、前記少なくとも一つの直列アレイは、互いに逆並列で連結された二つの直列アレイを有してもよい。
【0026】
好ましくは、前記 少なくとも二つの単一チップは、それぞれのパッケージに実装され、ボンディングワイヤを介して直列連結されてもよい。
【0027】
好ましくは、前記 少なくとも二つの単一チップは、それぞれのパッケージに実装され、前記パッケージは、直列連結されてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、上部電極パッド及び下部電極が発光ダイオードに占める領域を小さく設計することにより、上部電極パッド及び下部電極により、発光ダイオードから放出される光が遮断される領域を減らし、発光領域がさらに確保されるようにすることにより、発光効率を改善することができる。
また、発光ダイオードの上部電極パッド及び下部電極を互いに対向するコーナー部に配置することにより、電流分散を最大化することができる。
【0029】
さらに、交流発光ダイオードの安定した動作のために、発光セル間に電気的に連結する場合も、各発光セルの上部電極パッド及び下部電極が各コーナーのコーナー側に配置されることにより、任意の位置にある発光セルの上部電極パッドと、当該発光セルに隣接した他の発光セルの下部電極との間に、最短の経路で連結回路を構成することができ、交流駆動型の発光ダイオードの工程を簡素化させ、信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付した図面に基づき、本発明の実施例について詳述する。以下に紹介される実施例は、本発明の思想を当業者に充分伝達するために、例として提供されるものである。
したがって、本発明は、後述する実施例に限定されず、他の形態に具体化され得る。なお
、図面において、構成要素の幅、長さ、厚さ等は、便宜のために誇張して表現されることもある。明細書の全体にわたって、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0031】
図1は、本発明の一実施例による電極構造を有する単一発光セルからなる発光ダイオードを説明するための平面図であり、
図2は、
図1のA−A線による断面図である。
図1及び
図2に示した本発明の一実施例による電極構造を有する単一発光セルからなる発光ダイオードを説明するのに用いられるそれぞれの技術的な構造及び特性は、特に断りがない限り、
図3乃至
図9と関連して後述する様々な実施例において適応的に使用される。
【0032】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施例による電極構造を有する単一発光セルからなる発光ダイオード1aは、基板51上に、第1の導電型下部半導体層55、活性層57、及び第2の導電型上部半導体層59を有する。
以下の図面において、発光ダイオード1aは、本願発明の基本的な趣旨を逸脱しない範囲内で、適応的に発光セル1として示す。
【0033】
活性層57は、井戸層及びバリア層を有する単一または多重量子井戸層構造を有してもよく、要求される発光波長により、その物質及び組成が選択される。例えば、活性層57は、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されてもよい。また、活性層57は、例えば、
In
xGa
1−xN(0<x<1)井戸層及びIn
xGa
1−xN(0≦x<1)バリア層を有する単一または多重量子井戸構造を含んでなってもよい。
前記In
xGa
1−xN(0<x<1)井戸層は、前記In
xGa
1−xN(0≦x<1)バリア層に比べてInの含量がさらに大きく形成され得る。
【0034】
一方、下部及び上部半導体層55、59は、活性層57に比べてバンドギャップの大きい物質で形成され、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されてもよい。例えば、下部半導体層55を構成する第2の導電型化合物半導体層は、Al
xGa
1−xN(0≦x<1)を含んでなってもよい。
【0035】
一方、下部半導体層55と基板51との間に、バッファ層53が介在してもよい。バッファ層53は、基板51と下部半導体層55の格子不整合を緩和させるために採用される。
【0036】
上部半導体層59は、
図2に示すように、下部半導体層55の一部領域の上部に位置し、活性層57は、上部半導体層59と下部半導体層55との間に介在される。また、上部半導体層59上に上部電極層61が位置してもよい。上部電極層61は、透明電極層、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)膜またはNi/Au等の物質で形成されてもよい。
【0037】
一方、基板51の第1のコーナー(
図1において、左下コーナー)部分の露出した下部半導体層55上に下部電極65が位置する。一方、上部半導体層59上に上部電極層61が形成され、基板の第2のコーナー(
図1において、右上コーナー)部分の上部電極層61上に上部電極パッド64が位置する。上部電極パッド64は、リフトオフ技術を用いて形成されてもよく、Ni、Cr、Pd、Pt、W、Alより選ばれた少なくとも一つからなってもよく、少なくとも一つの層または合金層からなってもよい。
【0038】
下部半導体層55がN型である場合、下部電極65は、リフトオフ技術を用いてTi/Alで形成されてもよい。それ以外にも、下部電極65は、Ni、Cr、Pd、Pt、W、Alより選ばれた少なくとも一つからなってもよく、少なくとも一つの層または合金層からなってもよい。
【0039】
上部電極層61は、透明電極層、例えば、ITOまたはNi/Auで形成され、透光性を有し、さらに、上部半導体層59にオーム接触され、接触抵抗を低くする。しかし、上部電極パッド64は、透光性がなく、また、上部半導体層59にオーム接触されない。上部電極層61が上部電極パッド64と上部半導体層59との間に形成されていることにより、上部電極パッド64の下方に電流が集中することを防止することができ、発生した光が上部電極パッド64により吸収され損失することを防止することができる。
【0040】
これに加えて、上部半導体層59のコーナー部に比較的小さな面積で上部電極パッド64が形成されることにより、上部半導体層59で電流分散を改善することができる。
さらに、上部電極パッド64及び下部電極65は、基板51の互いに対向するコーナー部にそれぞれ位置するように配置されている。これにより、上部電極パッド64を通じて供給される電流が上部電極層61内に均一に分散され得る。
【0041】
図3は、本発明の実施例により、
図1に示した発光セルの直列アレイを有する発光ダイオードを説明するための概略図である。直列アレイは、単一チップ50内に配置される。
図3を参照すると、単一チップ50は、基板51を含む。基板51は、絶縁基板であり、または、上面に絶縁層を有する導電性基板であってもよい。基板51上に複数個の発光セル1が配置される。発光セル1は、配線により互いに直列連結され、直列アレイ52を形成する。直列アレイ52の両端部にボンディングパッド71が配置されてもよい。ボンディングパッド71は、直列アレイ52の両端部にそれぞれ電気的に連結される。
【0042】
本発明の実施例において、単一チップ50内の発光セルは、単一基板上で全て直列連結されてもよい。したがって、単一基板上に発光セル1を形成する工程、及び前記発光セルを連結する配線を形成する工程が単純化される。
【0043】
図4は、本発明の実施例で用いられる発光セルを説明するための部分断面図であって、
ステップカバー工程で形成された配線により発光セルが直列連結されたことを説明するための部分断面図である。しかし、ステップカバー工程以外にも、エアブリッジ工程で形成された配線により発光セルを直列連結してもよい。
【0044】
図3を参照すると、基板51上に複数個の発光セル1が互いに離隔して位置する。発光セルのそれぞれは、第1の導電型化合物半導体層からなる下部半導体層55と、活性層57と、及び第2の導電型化合物半導体層からなる上部半導体層59と、を有する。活性層57は、層及びバリア層を有する単一または多重量子井戸構造を有してもよく、要求される発光波長により、その物質及び組成が選択される。例えば、活性層57は、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されてもよい。一方、下部及び上部半導体層55、59は、活性層57に比べてバンドギャップが大きい物質で形成され、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されてもよい。
【0045】
一方、下部半導体層55と基板51との間にバッファ層53が介在されてもよい。バッファ層53は、基板51と下部半導体層55の格子不整合を緩和させるために採用される。バッファ層53は、図示のように、互いに離隔されてもよいが、これに限定されるものではなく、バッファ層53が絶縁性であるか、または、抵抗の大きい物質で形成された場合、互いに連続的であってもよい。
【0046】
上部半導体層59は、図示のように、下部半導体層55の一部領域の上部に位置し、活性層は、上部半導体層59と下部半導体層55との間に介在される。また、上部半導体層59上に上部電極層61が位置してもよい。上部電極層61は、透明電極層、例えば、インジウムスズ酸化物膜(ITO)またはNi/Au等の物質で形成されてもよい。
【0047】
一方、配線87が発光セル1を電気的に連結する。配線87は、一つの発光セルの下部半導体層55と、それに隣接した発光セルの上部電極層61とを連結する。配線は、図示のように、上部電極層61上に形成された上部電極パッド64と、下部半導体層55の露出した領域上に形成された下部電極65とを連結することができる。
【0048】
発光セル1を連結する配線は、ステップカバー工程で形成されてもよい。すなわち、配線87を接触させるための部分を除いて、発光セルの全層及び基板51は、絶縁層85で覆われる。また、配線87が、絶縁層85上でパターニングされ、発光セルを電気的に連結する。
例えば、絶縁層85は、上部電極パッド64及び下部電極65を露出させる開口部を有し、配線87は、開口部を通じて、隣接した発光セルの上部電極パッド64及び下部電極65を互いに連結して発光セルを直列連結する。配線87により、単一基板51上で発光セルが直列連結された直列アレイ(
図3の52)が形成される。
【0049】
以上、基板上に一つの直列アレイを有する単一チップを用いた交流駆動型の発光ダイオードについて説明したが、基板上に直列アレイが逆並列で連結された単一チップを用いて交流駆動型の発光素子を構成してもよい。
【0050】
図5は、単一基板上に逆並列で連結された直列アレイを有する単一チップ100を用いた交流駆動型の発光ダイオードを説明するための概略図である。
図5を参照すると、基板51上に発光セル1が直列連結された二つの直列アレイ52a、52cが配置される。直列アレイ52a、52cは、ボンディングパッド71a、71b間で互いに逆並列で連結される。
【0051】
このような単一チップ100は、連結手段(図示せず)により互いに直列で連結される場合、少なくとも二つのアレイ群が形成され得る。前記連結手段は、ボンディングパッドを直接連結するボンディングワイヤであってもよい。すなわち、単一チップをそれぞれのパッケージに実装し、それぞれのパッケージに実装された単一チップをボンディングワイヤで互いに連結することにより、数個のアレイ群を形成することができる。また、上述したように、それぞれの単一チップ100をそれぞれのパッケージに実装し、各パッケージを直接連結することにより、数個のアレイ群を形成することができ、それ以外にも、単一チップとパッケージを用いて直列アレイ群を多様に形成することができる。
【0052】
一方、同一の基板上に形成された直列アレイ52a、52c間で対応する発光セル1は、連結手段105により電気的に連結される。すなわち、互いに逆並列で連結された二つの直列アレイ52a、52cは、いずれか一方の直列アレイにおける任意の位置にある少なくとも一つの発光セルが、他方の直列アレイ内におけるそれに対応する発光セルと連結手段105を介して電気的に連結される。前記連結手段105は、逆方向電圧が印加された直列アレイ内の発光セルに過電圧が印加されることを防止する。前記連結手段105は、それぞれの直列アレイ52a、52c内における隣接した発光セル1が互いに共有する第1の導電型下部半導体層を互いに連結してもよく、これとは異なり、それぞれの直列アレイ52a、52c内における隣接した発光セルを直列で連結するために形成された配線を互いに連結してもよい。
【0053】
本実施例によると、直列連結された発光セルを含む直列アレイ52a、52cが互いに逆並列で連結された単一チップ100を、数個直列連結し、数個のアレイ群を形成することにより、単一基板上の直列アレイ内の発光セルの数を減少させることができる。
【0054】
図6は、本発明の一実施例による発光ダイオードの電極構造を示す写真である。
図6を参照すると、基板上に数個の発光セルがアレイで配置されている。各発光セルはステップカバー工程を通じて、連結手段により電気的に互いに連結されている。
【0055】
各発光セルに設けられる上部電極パッド及び下部電極は、互いに対向するコーナー部に配置されており、各発光セルにおいて上部電極パッド及び下部電極が占める比率が比較的小さいことがわかる。また、隣接セルと互いに対称構造で配置されていることがわかる。
すなわち、各発光セル内の前記上部電極パッド及び前記下部電極は、互いに対角線上のコーナー部にそれぞれ配置され、それぞれの発光セルは、隣接した発光セルに対して、上部電極パッド及び下部電極の配置が互いに対称構造を有して配列されている。
【0056】
各発光セルに設けられる上部電極パッド及び下部電極は、互いに対向するコーナー部に配置されていることにより、二つの発光セルを電気的に連結するとき、連結手段の長さが最小となるように、各発光セルを配置することが可能である。
例えば、第1の発光セル1、第2の発光セル2、第3の発光セル3が並んで配置されている。この際、第1の発光セル1には、左下部コーナーに下部電極が配置されており、右上部コーナーに上部電極パッドが配置されている。一方、第2の発光セル2には、左上部コーナーに下部電極パッドが配置されており、右下部に上部電極パッドが配置されている。又、第3の発光セル3には、左下部コーナーに下部電極が配置されており、右上部に上部電極パッドが配置されている。
【0057】
更に、第4の発光セル4には、左上部コーナーに上部電極パッドが配置されており、右下部に上部電極パッドが配置されている。第3の発光セル3及び第4の発光セル4は、連結手段により連結されている。
このように、各発光セル毎に互いに対向するコーナー部に上部電極パッド及び下部電極が配置されていることにより、交流発光ダイオードの製造工程を簡素化させ、信頼性を向上させることができる。
【0058】
また、各発光セル毎に互いに対向するコーナー部に配置された上部電極パッド及び下部電極の大きさが小さいことにより、上部電極パッド及び下部電極により、発光ダイオードから放出される光が遮断される領域が小さく、発光領域が広い。
【0059】
図7は、本発明の一実施例による発光ダイオードの電極構造と比較するための、比較例による発光ダイオードの電極構造を示す写真である。
図7を参照すると、比較例による発光ダイオードに配置された各発光セルには、上部電極パッド及び下部電極が互いに対向する面の周縁に長く形成されている。
図6に比べて、
上部電極パッド及び下部電極が発光セルに占める比率が遥かに多いことがわかる。したがって、上部電極パッド、下部電極、及び配線が占める領域が広いことにより、相対的に発光領域が減少したことがわかる。
【0060】
図8は、本発明の一実施例による発光ダイオードの発光効率を示すグラフであり、
図9は、比較例による発光ダイオードの発光効率を示すグラフである。
すなわち、
図6に示す本発明の一実施例による発光ダイオードに設けられる各発光セルから出力される光パワーを示すものであり、光パワー別発光セルの個数を示している。
【0061】
また、
図9は、
図7に示した比較例による発光ダイオードに設けられる各発光セルから出力される光パワーを示すものであり、光パワー別発光セルの個数を示している。この際、
図6及び
図7に示した各発光セルの大きさを同一にした。
図8を参照すると、本発明の一実施例による発光ダイオードに設けられた各発光セルの光パワーは、平均135mWと測定された。一方、
図9を参照すると、比較例による発光ダイオードに設けられた各発光セルの光パワーは、平均119mWと測定された。
このような比較結果から、本発明の一実施例による発光ダイオードが、比較例による発光ダイオードに比べて発光効率に優れていることがわかる。
【0062】
以上の本発明は、上述した実施例に限定されず、当業者により様々な変形及び変更が可能であり、これは、添付の請求項において定義される本発明の趣旨と範囲に含まれる。
例えば、
図3乃至
図5では、直列連結された発光セルを含む直列アレイの様々な構造について説明した。しかし、各図面には示されていないが、各直列アレイ内に含まれている各発光セル1は、
図6乃至
図9と関連して詳細に説明された電極構造を有している。すなわち、各発光セル1内に形成されている上部電極パッド及び前記下部電極は、対角線位置のコーナーにそれぞれ配置され、各発光セル1は、隣接した発光セルに対して、上部電極パッド及び下部電極の配置が互いに対称構造を有して配列されている。このような電極の構造による効果は、
図6乃至
図9と関連して充分説明された。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、上部電極パッド及び下部電極が発光ダイオードに占める領域を小さく設計することができると同時に、発光ダイオードの動作時に流れる電流を均一に分散させ、光効率を向上させる電極構造を有する発光ダイオードに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】本発明の一実施例による電極構造を有する単一発光セルからなる発光ダイオ ードを説明するための平面図である。
【
図3】本発明の実施例により、
図1に示した発光セルの直列アレイを有する発光ダ イオードを説明するための概略図である。
【
図4】本発明の実施例で用いられる発光セルを説明するための部分断面図である。
【
図5】本発明の他の実施例による発光セルの直列アレイを説明するための概略図で ある。
【
図6】本発明の一実施例による発光ダイオードの電極構造を示す写真である。
【
図7】本発明の一実施例による発光ダイオードの電極構造と比較するための、比較 例による発光ダイオードの電極構造を示す写真である。
【
図8】本発明の一実施例による発光ダイオードの発光効率を示すグラフである。
【
図9】比較例による発光ダイオードの発光効率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0065】
1 発光セル
1a 発光ダイオード
50 単一チップ
51 基板
52、52a、52c 直列アレイ
53 バッファ層
55 第1の導電型下部半導体層
57 活性層
59 第2の導電型上部半導体層
61 上部電極層
64 上部電極パッド
65 下部電極
71、71a、71b ボンディングパッド
85 絶縁層
87 配線
100 単一チップ
105 連結手段