(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
紙面が搬送方向に沿う姿勢で紙葉類を搬送するための搬送路をなし且つ搬送力源となる空気流が一方向へ流れるように管内に生成される筒状の搬送管が両端からそれぞれ挿入されてこれらを連結する筒状の搬送管連結部材であって、
前記搬送管の断面外縁形状に対応する断面内縁形状を有して前記搬送管が密に内挿される筒状の受入部を両端に備えると共に、前記受入部間は、前記搬送管の断面内縁形状に対応した断面内縁形状を有する筒状の搬送路部をなし、
前記搬送管連結部材は、両端の前記受入部に挿入された前記搬送管から該搬送管の一方の側方へ離脱可能な1つのベース部と、前記搬送管の前記一方の側方と反対方向の側方へ離脱可能な1つのカバー部を分離可能に結合して筒状をなしており、
前記ベース部と前記カバー部は、結合時に、第1箇所と、該第1箇所に対して前記搬送管を挟んで反対側の第2箇所で当接し、
前記第1箇所、前記第2箇所のそれぞれにおいて、前記ベース部の外面に設けた突起に前記カバー部から延出させたフックを引掛けて前記ベース部と前記カバー部を結合し、
前記突起は、両端の前記受入部を構成する部分の前記ベース部に設けられ、前記フックは、両端の前記受入部を構成する部分の前記カバー部に設けられ、
前記受入部のうち前記突起に前記フックを引掛けて結合した部分は、該受入部に密に挿入された前記搬送管によって内側から外側に押圧される
ことを特徴とする搬送管連結部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
接続部の気密性を確保のためにシール材を被せる方法では、連結管などで接続した後にさらにシール材を被せる作業を要し、施工が面倒である。また、搬送路の途中で紙幣詰まりが起きて搬送管同士の接続を外す必要が生じた場合には、シール材を剥がして連結管を取り外さなければならないので、作業量が多く、迅速な対応ができない。また接続用部品として連結管とシール材を要するので、部品点数が増えて費用や管理工数が嵩むといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、空気漏れなく搬送管同士を接続できると共に、接続や取り外し作業が容易な搬送管接続部材およびこれを用いた紙葉類搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]紙面が搬送方向に沿う姿勢で紙葉類を搬送するための搬送路をなし且つ搬送力源となる空気流が一方向へ流れるように管内に生成される筒状の搬送管が両端からそれぞれ挿入されてこれらを連結する筒状の搬送管連結部材であって、
前記搬送管の断面外縁形状に対応する断面内縁形状を有して前記搬送管が密に内挿される筒状の受入部を両端に備えると共に、前記受入部間は、前記搬送管の断面内縁形状に対応した断面内縁形状を有する筒状の搬送路部をなし、
前記
搬送管連結部材は、両端の前記受入部に挿入された前記搬送管から該搬送管の一方の側方へ離脱可能な
1つのベース部と、前記搬送管の前記一方の側方と反対方向の側方へ離脱可能な
1つのカバー部を分離可能に結合して筒状をな
しており、
前記ベース部と前記カバー部は、結合時に、第1箇所と、該第1箇所に対して前記搬送管を挟んで反対側の第2箇所で当接し、
前記第1箇所、前記第2箇所のそれぞれにおいて、前記ベース部の外面に設けた突起に前記カバー部から延出させたフックを引掛けて前記ベース部と前記カバー部を結合し、
前記突起は、両端の前記受入部を構成する部分の前記ベース部に設けられ、前記フックは、両端の前記受入部を構成する部分の前記カバー部に設けられ、
前記受入部のうち前記突起に前記フックを引掛けて結合した部分は、該受入部に密に挿入された前記搬送管によって内側から外側に押圧される
ことを特徴とする搬送管連結部材。
【0010】
上記発明では、搬送管の断面外縁形状に対応する断面内縁形状を有して搬送管が密に内挿される筒状の受入部を両端に備えており、これらに搬送管を差し込むだけで、空気漏れなく搬送管と搬送管を連結することができる。これにより、施工やメンテナンスが容易・迅速となり費用も軽減できる。また、受入部間に存する搬送路部は、搬送管の断面内縁形状に対応した断面内縁形状を有するので、この部分も搬送管と同様の搬送路として機能し、上流側の受入部に完挿された搬送管と下流側の受入部に完挿された搬送管との間を円滑に接続する。
また上記発明では、搬送管が挿入される受入部をベース部とカバー部に分離可能に結合して構成するので、施工時の組み立てや、メンテナンス時の分解・再組み立てを容易に行うことができる。
【0012】
上記発明では、ベース部とカバー部を組み合わせる際には、第1箇所において
突起にフックを引っ掛け、次に、ここを支点として、ベース部とカバー部の第2箇所側の端部同士を近づけて当接させ、
第2箇所において突起にフックを引っ掛けて結合する。分解は逆の手順で行う。
【0013】
[
2]前記受入部は略長方形の環状の断面を有し、
前記ベース部は、前記断面における一方の長辺部分と両方の短辺部分を成し、
前記カバー部は前記断面における他方の長辺部分を成し、
前記突起のうち前記第1箇所に設けられる第1突起は、前記ベース部を構成する一方の前記短辺部分のうち結合時に前記カバー部と当接する端部の近傍の外面に設け
られ、前記フックのうち前記第1突起に引掛けられる第1フックは、前記他方の長辺部分の一方の端部から前記突起側へ突出して設けられ、前記
第1突起に引っ掛ける穴部を
有し、
前記突起のうち前記第2箇所に設けられる第2突起は、前記ベース部を構成する他方の前記短辺部分のうち結合時に前記カバー部と当接する方の端部から他方の端部側へ一定以上離れた箇所の外面に設けられ、
前記フックのうち前記第2突起に引掛けられる第2フックは、前記他方の長辺部分の他方の端部から前記第2突起側へ前記第1フックより長く突出して設けられ、前記第2突起に引っ掛ける穴部を
有する
ことを特徴とする[
1]に記載の搬送管連結部材。
【0015】
[
3]前記紙葉類は、前記空気流によって前記搬送管内を移動する搬送補助体によって上流側から押し動かされて前記搬送管内を搬送される
ことを特徴とする[1]
または[2]に記載の搬送管連結部材。
【0016】
上記発明では、空気流の作用を受けて移動する搬送補助体が紙葉類を後方から押し動かして紙葉類を搬送する。搬送補助体についても、搬送管と搬送路部との接続箇所を円滑に通過することができる。
【0017】
[
4]前記搬送補助体は、円柱状であってその中心軸を通る断面が前記搬送管の断面内縁形状に対応した形状である
ことを特徴とする[
3]に記載の搬送管連結部材。
【0018】
上記発明では、搬送補助体は、円柱状のため、搬送管と搬送路部との接続箇所をより円滑に通過することができる。
【0019】
[
5]紙葉類の搬送路となる搬送管と
前記搬送管同士を連結する[1]乃至[
4]のいずれか1つに記載の搬送管連結部材と、
前記搬送管内に、該搬送管の延設方向の空気流を発生させる空気流発生装置と、
前記搬送管内に挿入されると共に、前記空気流によって前記搬送管内を移動する搬送補助体と、
を備え、
前記搬送管内に紙葉類をその紙面が前記延設方向に沿う姿勢にして挿入し、この紙葉類の上流に前記搬送補助体を挿入することで、前記空気流によって移動する前記搬送補助体で前記紙葉類を押し動かして搬送する
ことを特徴とする紙葉類搬送装置。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る搬送管接続部材および紙葉類搬送装置によれば、空気漏れなく搬送管同士を接続できると共に、接続や取り外し作業が容易とな
る。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送管連結部材(連結ユニット)を使用した紙葉類搬送装置10の概略構成を示す平面図、
図2は紙葉類搬送装置10の正面図である。本実施の形態では、紙葉類搬送装置10は、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技球貸機3とパチンコ機などの遊技機4とを一組にしたものを、互いが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容した遊技機島2内に設けられ、各遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を取り込んで遊技機島の端部に設けられた金庫5まで搬送する紙幣搬送装置として構成されている。
【0024】
紙葉類搬送装置10は、紙幣(紙葉類)の搬送路となる搬送管12と、搬送管12内にその延設方向に流れる空気流を発生させる空気流発生装置14とを備えている。紙葉類搬送装置10では、空気流を受けて搬送管12内を移動可能な搬送補助体16を、搬送対象の紙幣より上流側で搬送管12内へ挿入し、該搬送補助体16で搬送管12内の紙幣を後方から押し動かして下流へ搬送するようになっている。
【0025】
本例では、
図2に示すように、遊技機島2の一方の端部に、空気流発生装置14と金庫5が配置されており、紙葉類搬送装置10の搬送管12は、空気流発生装置14が設置された側の遊技機島2の端部にその始端部と終端部を備え、始端部から遊技機島2の他方の端部まで延設された往路12aと、他方の端部でU字状に折り返すターン部12bと、ターン部12bで折り返した後、終端部まで延設された復路12cで構成されている。
【0026】
搬送管12は、搬送管12の往路12aおよび復路12cは、所定の長さ、たとえば、遊技機島2に併設収容された遊技機4と遊技球貸機3の1セット分の横幅に対応した長さ、を単位に分割されており、これらを連結ユニット40(搬送管連結部材)で必要本数連結することで、遊技機島2の長手方向の長さに応じて経路長を調整できるようになっている。また、施工現場では、搬送管12を必要な長さにその場でカットして使用するようになっている。
【0027】
空気流発生装置14の吹き出し口14aは、搬送管12(往路12a)の始端部側に接続され、空気流発生装置14の吸い込み口14bは搬送管12(復路12c)の終端部側に接続されている。空気流発生装置14はモータでファンを回転させることによって、始端部側から搬送管12内へ空気を吹き出すと共に、終端部側から搬送管12内の空気を吸い出すことで、搬送管12内にその始端部から終端部へ向かう(搬送管12の延設方向に沿って流れる)空気流を発生させる。なお、空気流発生装置14は吸い込み口14bから吸い出した搬送管12内の空気の一部を吹き出し口14aから再び搬送管12内へ送り出して循環させるようになっている。
【0028】
搬送管12の始端部には、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置18が設けてある。また、搬送管12の終端部には紙幣分離装置20が配置され、紙幣分離装置20のやや上流には搬送補助体分離装置22が配置されている。また、搬送管12の復路12cの途中には、各遊技球貸機3に対応する位置に、遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を搬送管12内へ取り込む紙幣取込装置24が配設されている。紙幣取込装置24は、遊技機島2の表面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6と、遊技機島2の裏面側に配置された遊技球貸機3からの紙幣6とを取り込むべく、搬送管12の側壁の両側に設けられている。紙幣取込装置24は、復路12cを構成する搬送管と搬送管の間に介在してこれらを連結する役割も果たす。
【0029】
紙幣取込装置24から搬送管12の復路12c内に取り込まれた紙幣6は、その紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で取り込み完了位置に滞在する。この搬送管12内に取り込まれて滞在している紙幣6を金庫5まで搬送して回収するために搬送補助体16が搬送補助体挿入装置18によって搬送管12内へ送り込まれる。搬送補助体挿入装置18から搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置14が発生させた空気流の作用を受けて往路12a内をターン部12bに向けて移動し、ターン部12bでUターンした後、復路12c内を終端部に向けてさらに移動する。このとき、
図3に示すように、搬送管12内の紙幣6を、該紙幣6の後端側から搬送補助体16が押し動かすことで、搬送管12の終端部へ向けて(図中の搬送方向Fへ)紙幣6が搬送される。
【0030】
搬送補助体挿入装置18(
図2参照)は、搬送補助体16を待機させておく待機部と、空気流発生装置14からの空気流を、待機部を経由させて搬送管12の始端部へ送り込むか、この送り込みを遮断するかを切り替える切り替え弁とを備えている。切り替え弁は、通常は空気流を遮断する側に設定されている。待機部に待機している搬送補助体16を搬送管12内へ送り出すときは空気流発生装置14からの空気流が待機部を経由して搬送管12内へ送り込まれる側に切り替えられる。このとき、待機部で待機していた搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送補助体挿入口から搬送管12内へ送り込まれるようになっている。空気流の送り込みは、少なくとも搬送補助体16が搬送補助体分離装置22によって回収されるまで継続される。
【0031】
搬送補助体分離装置22は、搬送補助体16とこの搬送補助体16によって搬送されてきた紙幣6とを分離して搬送補助体16を回収する機能を果たす。詳細には、搬送補助体分離装置22は、空気流の作用を受けて移動してきた搬送補助体16とこの搬送補助体16に押されて移動してきた紙幣6のうちの紙幣6に触れないように突出して搬送補助体16のみに当接する当接部を備えている。搬送補助体分離装置22は、この当接部に搬送補助体16を当接させて停止させ、紙幣6はそのまま下流へ進行させることで搬送補助体16と紙幣6を分離する。
【0032】
なお、当接部に当接して停止した搬送補助体16は、搬送管12の側壁に開設された回収口から帰還通路を経て搬送補助体挿入装置18の待機部へ案内されるようになっている。この搬送補助体16の回収においても空気流発生装置14の空気流が利用される。詳細には、帰還通路の途中の所定箇所と空気流発生装置14の吸い込み口14bとを連通させるか否かの切り替え弁を備え、連通状態に切り替えることで、搬送管12の側壁に開設された回収口から搬送補助体16を帰還通路内へ吸い出す。帰還通路は回収口から搬送補助体挿入装置18の待機部の真上の仮停止位置へ延びた後、この仮停止位置の真下の待機部へと連通している。搬送補助体16が帰還通路内の仮停止位置に到達して停止した後に切り替え弁を吸い込み口14bとの連通を遮断する状態に戻すと、空気流の作用を受けなくなった搬送補助体16が真下に落下して待機部へ至るようになっている。
【0033】
搬送補助体分離装置22で搬送補助体16から分離された紙幣6は紙幣分離装置20において空気流から分離される。空気流から分離された紙幣6はモータで駆動された搬送ベルトに搬送されて金庫5に収容される。
【0034】
搬送補助体挿入装置18、紙幣分離装置20、搬送補助体分離装置22、紙幣取込装置24は、CPU、ROM、RAMなどを主要部とする図示省略の制御部に制御されて動作する。本例では、空気流発生装置14は常時作動させておき、制御部は、紙幣取込装置24に設けたセンサが遊技球貸機3の背面から排出された紙幣6を検知すると紙幣取込装置24を作動させて該紙幣6を搬送管12内に取り込む。そして、この取り込み動作が完了したら搬送補助体挿入装置18の切り替え弁を制御して搬送補助体16を搬送管12内へ送り込む。すると、この搬送補助体16が空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、紙幣6を後方から押し動かして搬送する。そして、搬送補助体分離装置22に設けたセンサが当接部に当接して停止した搬送補助体16を検知すると搬送補助体分離装置22を作動させて搬送補助体16を回収して搬送補助体挿入装置18の待機部へ案内する。さらに、紙幣分離装置20が紙幣6を検知したら紙幣分離装置20の搬送ベルトを駆動して紙幣6を金庫5へ搬送する、というように制御する。なお、空気流発生装置14を必要時(たとえば、紙幣取込装置24が遊技球貸機3からの紙幣を検知した時点からその紙幣を金庫5に搬送し終えるまでの間)のみ動作させるように制御してもよい。
【0035】
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣6を後端側から押し動かして搬送するので、紙幣6自体は空気流を受けて推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣6を折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣6を空気流によって搬送することができる。
【0036】
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
【0037】
図4は、直線部分(往路12aおよび復路12cの部分)における搬送管12の該搬送管12の延設方向F(=紙幣の搬送方向F=空気流の流れる方向)に垂直な断面の形状を示している。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
【0038】
搬送管12の直線部分は、
図4の断面形状を有して直線状に延設された筒状を成している。搬送管12の延設方向に垂直な断面は略長方形の扁平した形状をなしており、その長辺(長手方向)をなす一対の対向する側壁部32は複数のリブ34およびガイドレール36、拡張部38が形成されて凹凸にされている。略長方形の断面の短辺(短手方向)側をなす一対の対向する壁部33はほぼ平らになっている。
【0039】
以後、搬送管12の延設方向(搬送方向F)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向(もしくは幅方向)、長辺方向をY方向(もしくは高さ方向)とする。
【0040】
側壁部32は、搬送される紙幣6の紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣6は長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向Fとなる向きとなって搬送される。言い換えると、紙面が搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣6の一方の短辺が搬送方向の先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
【0041】
搬送管12の一対の対向する壁部33同士の間隔Dyは紙幣6の短辺より僅かに長くされている。また、一対の側壁部32のうちリブ34やガイドレール36、拡張部38が形成されていない部分(基準平面部とする)での間隔Dxは2cmほどに設定されている。
【0042】
ガイドレール36は、側壁部32のY方向(高さ方向)の中央部に形成されている。ガイドレール36は、基準平面部より搬送管12の外側へ「コ」の字状に突出し、搬送管12の内部空間を拡張する矩形の拡張部38としての役割も兼ねている。ガイドレール36のY方向の内壁間距離は23ミリ程にされている。またガイドレール36の基準平面部から外側への突出量は5ミリ程にされている。
【0043】
リブ34は、側壁部32から搬送管12の内側(対向する側壁部32)に向けて突出するようにして複数本形成されている。基準平面部からリブ34の頂までの高さは約2ミリになっている。リブ34の高さは適宜に設定すればよい。リブ34は、ガイドレール36の両縁部に沿って形成されている。また、これらよりY方向に中心から両外側へ10ミリ程離れた位置にもそれぞれ設けられている。
【0044】
図5は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向(高さ方向)となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は発泡スチロール、押出発泡ポリスチレンなどにより、軽量かつ丈夫に形成される。なお、搬送補助体16は内部が空洞に形成されてもよい。
【0045】
図6は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態における、延設方向Fに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面を示している。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向Fと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
【0046】
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が下流へ至るのを遮り、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
【0047】
紙幣6は、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣6の一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなると、空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣6が狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される、すると狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣6が側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
【0048】
紙幣6が強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣6を押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣6が張り付き吸着する力は小さく、円滑な搬送が実現される。
【0049】
搬送補助体16のガイドレール36に対応する箇所は、ガイドレール36と係合する係合部となっている。本例では、ガイドレール36を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣6の後端に適切に当接して安定した搬送力を与えることができ、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣6が巻き込まれる事態を回避しやすくなる。
【0050】
また、ガイドレール36の部分は、搬送管12の内部空間を外側へ広げる拡張部38となっており、搬送補助体16もガイドレール36の形状に対応した形状(係合部)を成している。これにより、搬送補助体16は、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、拡張部38を設けることで、拡張部38以外の部分での搬送管12内の幅(Dx)を狭くすることができるので、紙幣6の倒れを防止することができる。
【0051】
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ34の存在により、紙幣6が側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣6と側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣6が側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣6は複数本のリブ34の先端部分で支持されるため、リブ34の周辺やリブ34とリブ34の間では側壁部32と紙幣6との間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。
【0052】
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ34は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣6の通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣6が搬送管12内で倒れ難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ34を複数設けることで、紙幣6の倒れを適切に防ぐと共に、紙幣6の側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ34を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
【0053】
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、ガイドレール36に対応する部分の径が最も大きいので、
図3に示すように、この最大径の部分16mが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
【0054】
図7は、ターン部12bの正面図である。ターン部12bは、搬送管12を、Y方向を半径方向として180度の円弧を描くように延設した形状をなしている。ターン部12bにおいてもリブ34およびガイドレール36は形成されているが、搬送補助体16が円弧状にターン部12b内を移動する際に引っかかることがないように、搬送補助体16がターン部12b内を円弧状に通る軌跡の範囲からリブ34やガイドレール36を逃がすように(直線部分よりクリアランスを大きく)してある。これにより、ターン部12bでの回転半径を小さくすることができる。リブ34等の逃がし部分Qは、回転半径が小さくなる内側ほど大きくとってある。
【0055】
図8は、搬送管12と搬送管12とを接続する連結ユニット40の正面および上流側の側面、下流側の側面を示している。連結ユニット40は、全体として搬送管12と相似な断面の筒状をなしている。より詳細には、連結ユニット40は、搬送管12の断面外縁形状に対応する断面内縁形状を有して搬送管12が密に内挿される筒状の受入部41(上流側受入部41Uと下流側受入部41D))を両端に備えると共に、上流側受入部41Uと下流側受入部41Dの間は、搬送管12の断面内縁形状に対応した断面内縁形状を有する筒状の搬送路部42になっている。
【0056】
図9に示すように、連結ユニット40の上流側受入部41Uに上流側の搬送管12を、下流側の搬送管12を下流側受入部41Dにそれぞれ挿入することで、これらの搬送管12が連結ユニット40によって連結接続される。
図10は、2つの搬送管12を連結ユニット40で連結した状態を示しており、
図10(a)は上面を、同図(b)は正面を、同図(c)は下面をそれぞれ示している。なお、連結ユニット40には上下はなく、
図10に示す状態と上下を逆にしても使用することができる。
【0057】
受入部41(上流側受入部41Uおよび下流側受入部41D)の断面内縁形状は搬送管12の断面外縁形状と一致する形状を成しているので、受入部41に挿入された搬送管12の外壁と受入部41の内壁との間には隙間がほぼなく気密となる。このため、連結ユニット40での接続箇所での空気漏れが防止される。
【0058】
連結ユニット40は、
図11(a)に示すように、ベース部44とカバー部45とに分解可能に構成されている。ベース部44は、断面が略長方形の筒状をなした連結ユニット40のうちの一方の側壁(長方形断面の長辺部分)と上下の壁部(長方形断面の短辺部分)とを成している。カバー部45は長辺部分の他方の側壁を成している。これらを組み合わせることで筒状の連結ユニット40が形成される。
【0059】
ベース部44は、受入部41を成す部分の上側の壁部の外面であってカバー部45側の端部に第1突起44aを有すると共に、受入部41を成す部分の下側の壁部の外面であってカバー部45側の端部からやや離した位置に第2突起44bを有している。カバー部45は、ベース部44の第1突起44aと対応する箇所に、第1突起44aに引っ掛ける穴部を備えかつベース部44側へやや突出した第1フック45aを備え、ベース部44の第2突起44bと対応する箇所に、第2突起44bに引っ掛ける穴部を備えてベース部44側へ長く突出した第2フック45bを備えている。
図10に示すように、第1突起44a、第2突起44bおよび第1フック45a、第2フック45bは上流側受入部41Uと下流側受入部41Dにそれぞれ設けられている。
【0060】
ベース部44とカバー部45を組み合わせる際には、
図11(b)に示すように、まず、上側の壁部にある第1突起44aに第1フック45aを引っ掛ける。次に、ここを支点として、ベース部44とカバー部45の下側の壁部同士を近づけて、第2突起44bに第2フック45bを引っ掛ける。分離するときは、下側から外す。
【0061】
図12は、ベース部44の正面(筒状の連結ユニット40の内側の壁面)および、上流側の側面、下流側の側面、上面、下面を示している。
図13は、カバー部45の正面(筒状の連結ユニット40の内側の壁面)および、上流側の側面、下流側の側面、上面、下面を示している。
【0062】
筒状をなす連結ユニット40を、ベース部44とカバー部45に分けて構成することで、1部品で筒状の連結ユニットを作成する場合に比べて、容易に製造することができる。また、前述のように突起44a、44bにフック45a、45bを引っ掛ければベース部44とカバー部45とを一体に組み立てることができるので、施工時の組み立てや、メンテナンス時の分解・再組み立てを容易に行うことができる。
【0063】
次に、連結ユニット40の内壁に設けてある段差について説明する。
【0064】
図14は、連結ユニット40の内壁に設けてある段差を模擬的に示している。同図(b)は同図(a)の破線で囲った部分を拡大図示している。上流側受入部41Uと搬送路部42との境界では、搬送路部42は、上流側受入部41Uに挿入完了した搬送管12(A)との接続箇所で、搬送路部42の内縁が搬送管12の内縁より外側となる段差H1の生じる形状を有している。すなわち、上流側受入部41Uの内壁面と、搬送路部42の上流側受入部41Uとの境界側端部における内壁面との落差H2を、搬送管12の厚みDより小さく設定してある。
【0065】
これにより、上流側の搬送管12(A)と搬送路部42との接続箇所において、搬送管12(A)の内壁面より搬送路部42の内壁面が管内へ突出することがなく、上流側から搬送管12(A)の内壁に沿うように紙幣6が搬送されてきた場合でも、紙幣6は、搬送路部42に引っ掛かることなく上流側の搬送管12(A)から搬送路部42へと進むことができる。また、搬送補助体16も上流側の搬送管12(A)から搬送路部42へと円滑に進むことができる。よって、接続箇所での紙幣詰まりや搬送補助体16の詰まりを防止することができる。
【0066】
一方、下流側受入部41Dと搬送路部42との境界では、搬送路部42は、下流側受入部41Dに挿入完了した搬送管12(B)との接続箇所で、搬送路部42の内縁が搬送管12(B)の内縁より内側となる段差H3の生じる形状を有している。すなわち、下流側受入部41Dの内壁面と、搬送路部42の下流側受入部41Dとの境界側端部における内壁面との落差H4を、搬送管12の厚みDより大きく設定してある。
【0067】
これにより、下流側の搬送管12(B)と搬送路部42との接続箇所において、搬送路部42の内壁面より搬送管12の内壁面が管内へ突出することがなく、紙幣6は、下流側の搬送管12(B)の端部に引っ掛かることなく搬送路部42から下流側の搬送管12(B)へと進むことができる。また、搬送補助体16も搬送路部42内から下流側の搬送管12(B)へと円滑に進むことができる。よって、接続箇所での紙幣詰まりや搬送補助体16の詰まりを防止することができる。
【0068】
さらに、搬送路部42は上流側受入部41U側の端部から下流側受入部41D側の端部までを段差なく接続する。ここでは、一定の傾斜した面で接続している。これにより、紙幣6や搬送補助体16は円滑に搬送路部42を通ることができる。
【0069】
段差H1、H3の大きさは適宜に設定すればよいが、搬送路部42における、上流側受入部41Uから下流側受入部41D側へと向かう壁面の傾斜を小さく抑えることが好ましい。H1、H3は厚みDより小さくし、より好ましくは厚みDの2分の1以下にする。
【0070】
なお、精度が確保されるならば、段差H1やH3は「0」にしてもよい。すなわち、上流側の搬送管12と搬送路部42との接続箇所において、搬送管12の内壁面より搬送路部42の内壁面が内側へ突出することがないならば、H1は0、あるいは0に近い値にしてもかまわない。また下流側の搬送管12と搬送路部42との接続箇所において、搬送路部42の内壁面より搬送管12の内壁面が内側へ突出することがないならば、H3は0、あるいは0に近い値にしてもかまわない。
【0071】
ここでは、連結ユニット40は、上述の段差H1、H3が、搬送管12と搬送路部42との接続箇所において搬送路部42の内縁の全周に渡って生じる形状を有している。これにより、内縁のすべての箇所で、紙幣6や搬送補助体16の引っ掛かりを防止でき、接続箇所での紙幣詰まりや搬送補助体16の詰まりを確実に防止することができる。
【0072】
図15(a)は、連結ユニット40に搬送管12を接続した状態を搬送方向下流側から見た状態を、
図15(b)は連結ユニット40に搬送管12を接続した状態を搬送方向上流側から見た状態を示している。ただし、
図15(b)においては、搬送管12は内壁面のみ描いてある。
【0073】
図15(b)において、斜線部分は、上流側の搬送管12と搬送路部42との接続箇所における、搬送管12の内壁面Kと搬送路部42の内縁との段差H1を示している。
【0074】
図15(a)において、斜線部分は、下流側の搬送管12と搬送路部42との接続箇所における、搬送管12の内壁面Kと搬送路部42の内縁との段差H3を示している。
【0075】
連結ユニット40においては、上流側の搬送管12の端部と下流側の搬送管12の端部とを直接当接させることなく、搬送路部42を介在させている。これは、搬送管12は現場でカットされて使用される場合があり、搬送管12の端部が精度よく直角に切断されず、斜めにカットされたり、切断面が凸凹になったりすることが想定される。搬送管12同士の端部を直接当接させる構成では、斜めにカットされた端部同士や、凹凸のある端部同士が当接するので、隙間が生じて紙幣6や搬送補助体16が引っ掛かってしまう。搬送路部42を介在させれば、少なくとも搬送路部42側の端部は精度よく仕上げられているので、接続箇所に生じる隙間を少なく抑えることができる。
【0076】
さらに、段差H1、H3を設けてある場合、段差の上を通過する紙幣6や搬送補助体16は、段差(接続箇所)を飛び越えるようにして通過するので、接続箇所に多少の隙間が生じていても、これに引っ掛かることはない。
【0077】
次に、搬送管12の外周面と受入部41の内壁とのクリアランスについて説明する。連結ユニット40は搬送管12に比べて十分に剛性があって変形し難く構成されている。たとえば、搬送管12は、塩化ビニルで形成し、連結ユニット40は、これより硬い材質のABS樹脂やポリカーボネイトなどで形成する。また、受入部41(上流側受入部41Uおよび下流側受入部41D)の内壁とこれに挿入される搬送管12の外壁とのクリアランスは、搬送管12の側壁部32(断面略長方形の長辺側なす壁部)との間に僅かに設けられており、短辺方向の壁部(上下の壁部33)との間はクリアランスがゼロに設定されている。
図15(a)の領域Cはクリアランスが設けられている範囲であり、
図15(a)の領域Zは、クリアランスがゼロに設定されている範囲を示している。
【0078】
受入部41に搬送管12を挿入する際には、領域Zのクリアランスがゼロなので、この部分と接する搬送管12の壁部33は僅かに内側へ押圧される。そして、領域Cにはクリアランスがありかつ搬送管12よりも連結ユニット40の方が高剛性なので、この押圧により搬送管12は領域Cに対応する側壁部32が外側へ膨らむように僅かに変形する。これにより、搬送管12は受入部41の内側にぴったりと当接し、気密性がより高まる。また、搬送管12は、クリアランスがゼロの部分からの押圧により、受入部41にぴったりと当接するので、搬送管12は受入部41から抜け難くなると共に、他の形状への変形が防止され、搬送管12の変形を防いで連結することができる。
【0079】
なお、受入部41のY方向(高さ方向)の内側サイズを、搬送管12のY方向の外側サイズより僅かだけ小さくして、領域Zでの押圧力を大きくするように構成されてもよい。
【0080】
また、受入部41の内壁面のうち、クリアランスを設けた領域Cに、搬送管12よりやわらかい弾性体(たとえば、ゴム)を貼り、受入部41に挿入された搬送管12の側壁部32の外面が弾性体を外側へ押圧して、気密性が高まるように構成してもよい。弾性体の存在により搬送管12はしっかりと挿入されてズレや抜けなども防止される。
【0081】
なお、上記の弾性体は受入部41の内壁の全周(一周するよう)に貼り付けてもよい。また、弾性体を貼る範囲は、搬送管12が挿入される端部側から搬送路部42の近くまでのほぼ全域でもよいし、一部の範囲のみでもかまわない。一部の場合、弾性体を貼る場所は、受入部41の内壁のうち、搬送管12が挿入される端部側でもよいし、搬送路部42との境界に近い場所としてもよい。たとえば、幅の細い弾性体を搬送路部42との境界近傍で受入部41の内壁を一周するように貼り付けるとよい。
【0083】
連結ユニット40は、受入部41に挿入された搬送管12をその位置に固定する固定部材50を受入部41に設ける構成としてもよい。
図16は固定部材50の一例(上面、正面、側面)を示している。
図12に示すように、固定部材50は、受入部41の内壁に設けられた窪みに埋め込むように取り付けられる。また、固定部材50は、上流側受入部41Uと搬送路部42のそれぞれに設けられ、また搬送管12の短辺側の壁部33の外面と対向する上下の内壁にそれぞれ設けられる。上下のいずれか一方の内壁のみに設けられてもかまわない。
【0084】
図16に示すように、固定部材50は、受入部41の窪みに取り付けられる基部51と、支点となる一端が基部51に支持され、他端が基部51から離れる方向へ付勢された係止爪52を備えて構成される。ここでは、矩形の板ばねの内側にコの字状の切り込みを入れ、切り込みの外側部分を基部51とし、切り込みの内側部分を起こして係止爪52としている。
【0085】
図17(a)に示すように固定部材50は、係止爪52の先端が、搬送路部42側に向けられかつ管内に向けて傾斜するようにして、受入部41の内壁の窪みに取り付けられる。
【0086】
搬送管12を受入部41に挿入するときは、係止爪52の傾斜に対して順方向になるので、係止爪52は搬送管12の挿入を阻害せず、円滑な挿入が確保される。
【0087】
搬送管12を受入部41から抜く方向は係止爪52の傾斜に対して逆方向になるので、
図17(b)に示すように、係止爪52の先端が搬送管12の外面に食い込むようになり、搬送管12は抜け難くなる。これにより、搬送管12の位置ズレやこれに起因した空気漏れ、紙幣6や搬送補助体16の詰まりを防止することができる。
【0088】
また、固定部材50(特に係止爪52)により、搬送管12の短手方向の壁部33の外面を管内方向へ押圧するので、前述の領Zのクリアランスをゼロにした場合と同様の効果、すなわち、搬送管12の長手方向の側壁部32が外側へ膨らみ、搬送管12の内壁にぴったりと当接して、気密性の向上、変形防止などの効果が発揮される。
【0089】
上記のように固定部材50を設けることで、搬送管12は抜け難くなる。そこで、メンテナンス時などに搬送管12を連結ユニット40から取り外す際には、
図18(b)に示すように、まず、カバー部45を取り外す。その上で、搬送管12を、カバー部45の取り外しによって開放された側(図では手前)に引き出せば、固定部材50の係止爪52の引っ掛かりが少なくなり、搬送管12を容易に取り外すことができる。
【0090】
図19は、連結ユニット40による連結箇所を紙幣6が通過する様子を示し、
図20は搬送補助体16が連結箇所を通過する様子を示している。なお、
図19、
図20では、連結ユニット40の内部を見やすくするためにカバー部45は取り外した状態を示してある。
【0091】
図19(a)は、紙幣6が連結ユニット40に到達する前の状態を、
図19(b)は、紙幣6の先端が上流側受入部41Uから搬送路部42へと進行した状態を、
図19(c)は、紙幣6を押している搬送補助体16が上流側受入部41Uから搬送路部42へ進行した状態を示している。
図20(a)は、搬送補助体16が搬送路部42上を通過する様子を、
図20(b)は、紙幣6が搬送路部42を通り過ぎて下流側受入部41Dを進行している状態を示している。
【0092】
上流側受入部41Uと搬送路部42との接続箇所では、搬送管12の内壁より搬送路部42の内壁面が管外側となるように段差H1(
図14参照)を設けてあるので、紙幣6や搬送補助体16は接続箇所で引っ掛かることなく円滑に通過することができる。また搬送路部42と下流側受入部41Dとの接続箇所では、搬送管12の内壁より搬送路部42の内壁面が管内側となるように段差H3(
図14参照)を設けてあるので、紙幣6や搬送補助体16は接続箇所で引っ掛かることなく円滑に通過することができる。さらに、搬送路部42は上流側受入部41U側の端部から下流側受入部41D側の端部にかけては段差なく管内側へ緩やかに傾斜しているので、紙幣6や搬送補助体16は円滑に搬送路部42を通ることができる。
【0093】
次に、連結ユニットの変形例について説明する。
【0094】
図21は、変形例に係る連結ユニット70を示している。連結ユニット70は、連結ユニット40と同様に全体として筒状を成している。連結ユニット70の管内形状は連結ユニット40と同一である。連結ユニット70は、連結ユニット40における上流側受入部41Uと搬送路部42の部分を成す第1筒状部71と、連結ユニット40における下流側受入部41Dの部分をなす第2筒状部72とからなり(同図(b)参照)、第2筒状部72は表壁部72aと裏壁部72bとを組み合わせて構成されている(同図(c)参照)。
【0095】
第1筒状部71の、第2筒状部72との接続側の端部近傍の外周面にはフランジ73が設けてあり、第2筒状部72の第1筒状部71側の端部には、このフランジ73に係合する溝74aを備えてフランジ73を外側から覆う形状の係合部74が設けてある。
【0096】
図22は、連結ユニット70で搬送管12を連結する場合の作業フローを例示している。第1筒状部71の上流側受入部41Uに搬送管12を挿入する(同図(a)(b))。次に、第1筒状部71のフランジ73に表壁部72aの係合部74の溝74aを嵌め込み(同図(c))、この状態で下流側の搬送管12を表壁部72aに載せる(同図(d))。最後に、裏壁部72bの係合部74の溝74aを第1筒状部71のフランジ73を嵌め込むようにして、表壁部72aと裏壁部72bとを組み合わせる。これで、
図22(e)に示す状態となる。
【0097】
連結ユニット70は、1部品で筒状を構成した第1筒状部71を有するため、筒形状を高剛性にて維持する。また、第1筒状部71側を取り外すことなく、第2筒状部72側を分解すれば搬送管12同士の連結を外すことができる。たとえば、連結ユニット40ではベース部44とカバー部45とを分解することができないほどの狭い場所や障害物がある場所でも、連結ユニット70であれば、分解してメンテナンスが可能になる。
【0098】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0099】
たとえば、実施の形態では、段差H1やH3を内縁の全周にわたって設けたが、一部にのみ段差を設け、他の部分はつなぎ目が平坦になるように構成されてもよい。この場合、段差は、リブの部分のみとしてもよいし、側壁部のみとしてもよい。段差の優先順位を、たとえば、リブ>側壁部>下側の壁部<上側の壁部、とし、優先順位の高いものからいくつかの部分のみに段差を設けるようにしてもよい。
【0100】
固定手段は、実施の形態に示したものに限定されず、たとえば、受入部41の上下の壁部に貫通するメス螺子穴を設け、これに螺合させたオス螺子の先端で搬送管12を押圧(食い込ませるとよい)して搬送管12を固定するようにしてもよい。
【0101】
実施の形態では搬送管12の断面を略長方形としたが、円形や楕円形など他の形状にされてもよいが、断面は、紙幣の厚み方向を短手側とする扁平した形状が好ましい。
【0102】
なお、空気流で紙幣6を搬送する方法は、実施の形態で示したように搬送補助体16を用いるものに限定されない。たとえば、空気流で直接、紙幣6を搬送する方式でもかまわない。
【0103】
実施の形態では紙葉類として紙幣6を例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、紙葉類の形状は長方形に限定されない。また紙葉類搬送装置10は、遊技機島2内に設置されるものに限定されず、たとえば、遊技場内の複数の遊技機島2や管理室などを巡るように構成されてもよい。
【0104】
搬送補助体挿入装置18や紙幣分離装置20、搬送補助体分離装置22、紙幣取込装置24などは実施の形態で例示した構成に限定されない。また、紙幣6の挿入や回収は作業員が手作業で行うように構成されてもかまわない。
【0105】
また遊技機島は、実施の形態で例示したパチンコ機と遊技球貸機を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。