特許第5799146号(P5799146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5799146-蓋用ラベル、及び湿潤シート用包装体 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5799146
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】蓋用ラベル、及び湿潤シート用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20151001BHJP
   A47K 7/00 20060101ALI20151001BHJP
【FI】
   B65D83/08 B
   A47K7/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-158977(P2014-158977)
(22)【出願日】2014年8月4日
【審査請求日】2014年9月16日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391027424
【氏名又は名称】株式会社フクヨー
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100096677
【弁理士】
【氏名又は名称】伊賀 誠司
(72)【発明者】
【氏名】福田 昭人
(72)【発明者】
【氏名】伊東 哲也
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−104550(JP,A)
【文献】 特開平09−202369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成され、湿潤シートを収納する湿潤シート用包装体の袋本体に形成された取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋用ラベルであって、
少なくとも前記取出口の周縁部を含めて前記取出口を覆うように前記袋本体に剥離可能に貼付される開閉蓋部と、
前記開閉蓋部の基端に沿うように前記袋本体に貼付され、前記開閉蓋部の基端の少なくとも一部と連結されて該開閉蓋部を支持する支持部と、
前記開閉蓋部の側縁部に沿うように前記袋本体に貼付され、前記支持部の両端のそれぞれから前記開閉蓋部の前記側縁部に沿って延出する略L字型の形状の側枠部とを備え、
前記開閉蓋部の先端側の略中央には、該先端方向に突出する摘み部が形成され、該摘み部は、前記開閉蓋部が前記取出口を覆う際に、前記側枠部のそれぞれの先端の間に配置される構成となっており、
前記開閉蓋部、前記支持部及び前記側枠部は、全体の厚さ少なくとも200μm以上とする略矩形の可撓性シートにスリット状の境界部分を設けることによって一体成型されていることを特徴とする蓋用ラベル。
【請求項2】
前記開閉蓋部、前記支持部及び前記側枠部は、それぞれ厚さが300μm以下となるように一体成型されていることを特徴とする請求項1に記載の蓋用ラベル。
【請求項3】
前記支持部は、前記袋本体の長さ方向又は幅方向の何れかに沿って貼付され、前記開閉蓋部は、前記袋本体の前記幅方向又は前記長さ方向の何れかに対して前記取出口を開閉可能に覆う構成となっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蓋用ラベル。
【請求項4】
湿潤シートを収納する湿潤シート用包装体であって、
気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成され、前記湿潤シートを内部に収納する袋本体と、
前記袋本体の表面に形成された取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う請求項1乃至の何れか1項に記載の蓋用ラベルと、を備えることを特徴とする湿潤シート用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水やアルコール、薬液等の液体を含浸させたウエットティッシュ等の湿潤シートを収容する湿潤シート用包装体の蓋用ラベル、及び湿潤シート用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
アルコール、保湿剤、界面活性剤等を含む薬液を紙、織布又は不織布の繊維素材に含浸させた湿潤シートであるウエットティッシュは、乾燥しないように、気密性及び不透水性を有する包装容器に収容される。湿式シートには、皮膚の汚れを拭き取ったり、化粧落とし、幼児のお尻拭き、掃除用のウェットシート等、様々なものがある。これらのウエットティッシュは、含ませた薬液が乾燥しないように、気密性及び不透水性を有する可撓性の樹脂フィルムからなる包装体に収納して製品とされる。包装体の表面略中央部には、取出口が形成され、この取出口の上面に独立部品である蓋用ラベルが繰返して開閉・密封可能に装着されている。
【0003】
このような従来の包装体の蓋用ラベルを用いた場合には、蓋用ラベルを剥離して内容物であるウエットティッシュを取りだした後に、包装体に再密着させる際に、充分に注意を払わないと包装体の表面、特に取出口の近傍が皺になりやすく、蓋用ラベルが包装体に密着せず、隙間が発生してしまう。このため、携行時にウエットティッシュに含浸させてある薬液が漏れたり、蒸発してしまいウエットティッシュが乾燥してしまう等の課題があった。このような課題を解決する先行技術として、特許文献1には、取出口の周縁部に補強ラベルを貼って、当該周縁部が皺にならないように蓋用ラベルを貼れるようにした包装体が開示されている。また、特許文献2及び特許文献3には、蓋用ラベルの周囲に枠部を設けることによって、貼り付け位置を正確にして包装体内部の乾燥を防ぐようにした包装体の蓋用ラベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−150872号公報
【特許文献2】特開平10−024972号公報
【特許文献3】特開2002−104550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
湿潤シート用包装体やその蓋用ラベルを製造する過程において、時間的にも費用的にも余分なコストがかからないことが好ましい。また、湿潤シート用包装体は、薄い可撓性を有する樹脂フィルムから形成されるので、その表面が柔らかく、よれて波打ちや皺が発生し易い。このため、包装体の製造過程等で包装体の取出口を覆うように蓋用ラベルを取り付ける際に、取出口の周縁部に波打ちや皺が発生して、密閉性を確保するように包装体の袋本体に取り付け難いことが問題となっている。
【0006】
特許文献1に開示されている包装体は、補強ラベルによって取出口の周囲をフラットな状態にするので、蓋用ラベルの開閉動作を繰り返した際における包装体の密閉性を確保できるが、補強ラベルの加工や貼付する工程が必要となり、時間及び費用に関して余分なコストを要することが課題となる。また、特許文献2及び特許文献3に開示された包装体の蓋用ラベルは、包装体に密着したラベル枠部が取出口の周囲をフラットな状態にするので、蓋用ラベルの開閉動作を繰り返した際における包装体の密閉性を確保できるが、包装体の袋本体に蓋用ラベルを取り付ける際における密閉性の確保には課題が残る。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より効率的に包装体の袋本体に蓋用ラベルを取り付ける際における密閉性の確保と、蓋用ラベルの開閉動作後における密閉性の確保の双方の両立が可能な新規かつ改良された蓋用ラベル、及び湿潤シート用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成され、湿潤シートを収納する湿潤シート用包装体の袋本体に形成された取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋用ラベルであって、少なくとも前記取出口の周縁部を含めて前記取出口を覆うように前記袋本体に剥離可能に貼付される開閉蓋部と、前記開閉蓋部の基端に沿うように前記袋本体に貼付され、前記開閉蓋部の基端の少なくとも一部と連結されて該開閉蓋部を支持する支持部と、前記開閉蓋部の側縁部に沿うように前記袋本体に貼付され、前記支持部の両端のそれぞれから前記開閉蓋部の前記側縁部に沿って延出する略L字型の形状の側枠部とを備え、前記開閉蓋部の先端側の略中央には、該先端方向に突出する摘み部が形成され、該摘み部は、前記開閉蓋部が前記取出口を覆う際に、前記側枠部のそれぞれの先端の間に配置される構成となっており、前記開閉蓋部、前記支持部及び前記側枠部は、全体の厚さ少なくとも200μm以上とする略矩形の可撓性シートにスリット状の境界部分を設けることによって一体成型されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様によれば、蓋用ラベルを側枠部に沿って開閉蓋部が開閉可能な構成として、かつ全体の厚さを200μm以上に増大させることによって、当該蓋用ラベルを袋本体に取り付ける際に、袋本体の表面の波打ちや皺を伸ばしながら貼り付けることができる。また、開閉蓋部の開閉動作を容易にするので、開閉蓋部を閉じた際における袋本体の密閉性を確保し易くなる。
【0010】
このとき、本発明の一態様では、前記開閉蓋部、前記支持部及び前記側枠部は、それぞれの厚さが300μm以下となるように一体成型されていることとしてもよい。
【0011】
このように、蓋用ラベルの厚さをかかる条件とすることによって、新たな貼付用装置を使用することなく、従来の貼付用装置による貼り付け作業が可能となる。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記支持部は、前記袋本体の長さ方向又は幅方向の何れかに沿って貼付され、前記開閉蓋部は、前記袋本体の前記幅方向又は前記長さ方向の何れかに対して前記取出口を開閉可能に覆う構成となっていることとしてもよい。
【0015】
このような構成とすることによって、蓋用ラベルを包装体の袋本体に取り付ける際に、袋本体の表面の波打ちや皺を伸ばしながら貼り付けることができ、かつ、開閉蓋部を閉じた際における袋本体の密閉性を確保するための開閉動作が容易になる。
【0016】
本発明の他の態様は、湿潤シートを収納する湿潤シート用包装体であって、気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成され、前記湿潤シートを内部に収納する袋本体と、前記袋本体の表面に形成された取出口を繰り返し開閉可能に貼付して覆う上記の何れかに記載の蓋用ラベルと、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様によれば、蓋用ラベルの全体の厚さを200μm以上に増大させることによって、袋本体に蓋用ラベルを取り付ける際における包装体の密閉性の確保と、蓋用ラベルの開閉動作後における包装体の密閉性の確保の両立が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、開閉蓋部のガイドとなる側枠部を設けた蓋用ラベルの全体の厚さを従来より大幅に増大させたので、包装体の袋本体に取り付ける際に、袋本体の表面の波打ちや皺を伸ばしながら貼り付けることができる。このため、余分な補強ラベル等の別部材を使用しないで、包装体の袋本体に蓋用ラベルを取り付ける際における密閉性の確保と、蓋用ラベルの開閉動作後における包装体の密閉性の確保の両立が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルが設けられた湿潤シート用包装体の概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルが設けられた湿潤シート用包装体の蓋用ラベルが開いた状態を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルの概略構成を示す平面図である。
図4】(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルの貼付及び開閉動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0021】
まず、本発明の蓋用ラベルが設けられた湿潤シート用包装体の一実施形態の構成について、図面を使用しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルが設けられた湿潤シート用包装体の概略構成を示す斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルが設けられた湿潤シート用包装体の蓋用ラベルが開いた状態を示す斜視図である。
【0022】
本実施形態に係る蓋用ラベル100が設けられた湿潤シート用包装体10は、気密性及び不透水性を有する可撓性シートであるフィルム素材からなる袋本体12の内部に、1枚毎に繰り出し可能に積層されたウエットティッシュ11が所謂ポップアップ式となるように収納されている。また、包装体10の袋本体12の一面12aの略中央部には、ウエットティッシュを取り出すための取出口14が形成され、当該取出口14を覆うように蓋用ラベル100が貼付されている。
【0023】
袋本体12は、柔軟で気密性及び不透水性を有する可撓性シート、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂の単材又は複合材で形成されている。なお、袋本体12は、上述に限らず、上述の合成樹脂とアルミホイル、紙等とを貼りあわせた複合材からなるものであってもよい。
【0024】
袋本体12は、フィルムの長辺の一端部及び短辺の両端部がシールされた、いわゆるピロータイプの包装体であり、その内部には、ウエットティッシュ11が積層されて封入されている。なお、包装体10の袋本体12は、上述のような所謂ピロータイプに限らず、柔軟で気密性及び不透水性を有する可撓性シートのものからなり、その内部にウエットティッシュ等を収容できる包装体であれば、他の態様であってもよい。
【0025】
袋本体12に収納されるウエットティッシュ11は、パルプ、綿、合成繊維などからなる不織布、天然パルプ、合成パルプなどからなる紙、又はガーゼ等の布など湿潤強度を有する繊維素材等に水、アルコール、香料、化粧水、薬剤、界面活性剤などの液体成分、又は溶液を含浸させたものである。ウエットティッシュ11は、一枚一枚が互いに重なりあって折り畳まれており、連続してウエットティッシュを袋本体12の取出口14から取り出せる、所謂ポップアップ式となるように袋本体12に収納されている。すなわち、複数のウエットティッシュ11のそれぞれが互いに一部重なるように折り畳んだ状態で積層されて袋本体12に収納される。
【0026】
包装体10の袋本体12の一面12aの略中央部には、包装体10の長手方向に平行で両端が円弧をなす形状の取出口14が形成されている。取出口14は、当該取出口14よりも大きく形成され、袋本体12の取出口14の周囲14aと貼り合わせることによって取出口14を繰り返して開閉可能に覆う蓋用ラベル100が貼付されている。
【0027】
蓋用ラベル100は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂の単材又は複合材等の柔軟で気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成され、図1に示すように、略矩形の形状を有し、袋本体12の一面12aに貼付されている。本実施形態では、蓋用ラベル100は、図2に示す取出口14を開閉可能に貼付される開閉蓋部102の先端側に有する摘み部102aを除いた周囲を支持部104と側枠部106で囲う構成となっている。すなわち、蓋用ラベル100は、開閉蓋部102、支持部104、及び側枠部106の各境界部分がスリット状となって一体成型される構成となっている。なお、蓋用ラベル100は、開閉蓋部102が取出口14を周縁部14aも含めて被覆する所定の面積を有していれば、略矩形以外の他の形状としてもよい。
【0028】
蓋用ラベル100の裏面側、すなわち包装体10の袋本体12に対向する面には、包装体10に繰り返し剥離、貼付可能にするための再剥離接着剤糊として、例えば、ポリエステル系、アクリル系、ゴム系等の感圧接着剤が塗布され、袋本体12の一面12aに接着されて取出口14を閉塞する。本実施形態では、蓋用ラベル100の開閉蓋部102は、包装体10に繰り返し剥離、貼付され、支持部104と側枠部106は、貼付されたままの状態となっている。
【0029】
開閉蓋部102は、少なくとも取出口14の周縁部14aを含めて取出口14を覆うように袋本体12に剥離可能に貼付されている。本実施形態では、開閉蓋部102は、先端側に有する摘み部102aを除く本体部分が略矩形の形状となっている。開閉蓋部102の基端の略中央には、当該開閉蓋部102が袋本体12から外れないようにするために、袋本体12に貼付される支持部104と連結するための略矩形の連結部102bが設けられている。なお、連結部102bの構成は、開閉蓋部102の基端の少なくとも一部が支持部104と連結する構成となっていれば、他の形状、位置、個数としてもよい。
【0030】
また、本実施形態では、開閉蓋部102は、その側縁部102eに沿って側枠部106が設けられ、側枠部106に沿って袋本体12の幅方向Yに対して取出口14を開閉可能に覆う構成となっている。開閉蓋部102の裏面102cには、上述した感圧接着剤が塗布されており、包装体10の袋本体12に繰り返し剥離、貼付可能となっている。
【0031】
開閉蓋部102の裏面102cの略中央には、図2に示すように、取出口14を覆う内蓋12bが貼付されている。内蓋12bは、袋本体12の取出口14が形成される部分に該当し、開閉蓋部102を最初に剥離するまでは、袋本体12とミシン目状の連結点を介して連結されている。そして、開閉蓋部102が最初に剥離された際に、内蓋12bは、開閉蓋部102の裏面102cに塗布された感圧接着剤によって、袋本体12の取出口14となる部分を切り離して、かかる切り離された部分が当該裏面102に貼付されて、取出口14を覆う内蓋12bとなる。
【0032】
また、蓋用ラベル100の開閉蓋部102の先端側には、開閉蓋部102を繰り返し剥離、貼付するための摘み部102aが形成されている。摘み部102aは、開閉蓋部102の先端方向に略円弧状に突出して形成されている。摘み部102aは、摘みやすくするために、図2に示すように、上述した再剥離接着剤糊が摘み部102aの裏面102a1に塗布されておらず、包装体10の袋本体12に接着されていない。
【0033】
また、摘み部102aは、図1に示すように、開閉蓋部102が取出口14を覆う際に、側枠部106a、106bのそれぞれの先端106a1、106b1の間に配置される構成となっている。このような構成とすることによって、開閉蓋部102の開閉動作をし易くなるので、開閉蓋部102を閉じた際における袋本体12の密閉性も確保し易くなる。なお、摘み部102aは、上述した構成に限らず、開閉蓋部102の先端に形成されて、ユーザによって剥離動作を容易に行なえるものであればよく、その形状が、例えば、矩形、台形等であってもよい。
【0034】
支持部104は、開閉蓋部102の基端に沿うように袋本体12に貼付され、開閉蓋部102の基端の略中央に有する連結部102bと連結されて当該開閉蓋部102が袋本体12から外れないように支持する。また、本実施形態では、支持部104は、袋本体12の長さ方向Xに沿って貼付されているので、開閉蓋部102が袋本体12の幅方向Yに対して取出口14を開閉可能に覆う構成となっている。このため、開閉蓋部102を閉じた際における袋本体12の密閉性を確保するための開閉動作がし易くなる。
【0035】
側枠部106は、開閉蓋部102の側縁部102eに沿うように袋本体12に貼付され、支持部104の両端104a、104bのそれぞれから開閉蓋部102の側縁部102eに沿って袋本体12の幅方向Yに延出する構成となっている。側枠部106a、106bは、図1に示すように、略L字型の形状となっており、その先端106a1、106b1の間に、開閉蓋部102の先端に有する摘み部102aが配置するようになっている。
【0036】
本実施形態では、このように側枠部106(106a、106b)が設けられるので、開閉蓋部102の開閉動作を繰り返しても、開閉蓋部102が側枠部106に沿って取出口14を覆う定位置に戻って貼付されるようになる。このため、開閉蓋部102を閉じた際に、当該開閉蓋部102が取出口14からずれるリスクを低減するので、包装体10の密閉性を確保し易くなる。
【0037】
また、本実施形態では、蓋用ラベル100は、開閉蓋部102、支持部104及び側枠部106のそれぞれの厚さが少なくとも200μm以上となるように一体成型されていることを特徴とする。蓋用ラベル100は、それ自体で保形性を有して皺になり難いものが望ましいので、従来から例えば100μmと包装体10の袋本体12よりも厚めに形成されているが、本実施形態では、従来のものよりも更に厚めな構成となっている。
【0038】
このように蓋用ラベル100を開閉蓋部102と支持部104と側枠部106の一体型として、その厚さを少なくとも200μm以上と大きくすることによって、袋本体12に蓋用ラベル100を取り付ける際に、袋本体12の一面12aに有する波打ちや皺を引き延ばしながら取り付けられるようになる。そして、袋本体12に取り付けた後には、開閉蓋部102が側枠部106に沿って開閉動作されるので、開閉蓋部102がより確実に取出口14を覆うようになり、開閉動作後における包装体10の密閉性が確保されるようになる。すなわち、より効率的に袋本体12に蓋用ラベル100を取り付ける際における密閉性の確保と、蓋用ラベル100の開閉蓋部102の開閉動作後における密閉性の確保の両立が実現されるようになる。
【0039】
次に、本発明の一実施形態に係る湿潤シート用包装体の蓋用ラベルの構成等に関する詳細について、図面を使用しながら説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る蓋用ラベルの概略構成を示す平面図である。
【0040】
本発明者は、前述した本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、蓋用ラベル100の厚さを少なくとも200μm以上と従来より厚くすることによって、蓋用ラベル100を包装体10の袋本体12に取り付ける際に、袋本体12の表面12aの波打ちや皺を伸ばしながら貼り付けられることを見出した。また、蓋用ラベル100の厚さを少なくとも200μm以上と従来より厚くすることによって、袋本体12の表面12aの波打ちや皺を伸ばしながら貼り付けられるので、蓋用ラベル100の開閉動作を繰り返し行っても、包装体10の密閉性を維持できることを見出した。
【0041】
本実施形態の蓋用ラベル100は、開閉蓋部102、支持部104及び側枠部106が一体成型され、その厚さが少なくとも200μm以上となるように形成されていることを特徴とする。蓋用ラベル100は、図3に示すように、略矩形の形状を有し、開閉蓋部102の先端側に有する摘み部102aを除いた周囲を支持部104と側枠部106で囲う構成となっている。また、蓋用ラベル100の開閉蓋部102、支持部104及び側枠部106の各境界部分は、スリット状になっている。
【0042】
蓋用ラベル100は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂シートの複合材、又はこれら合成樹脂シートとアルミホイル、紙等とを貼り合わせた複合シートからなる柔軟で気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成されている。なお、蓋用ラベル100は、上述の材質に限らず、全体として蓋用ラベル100の開閉蓋部102の剥離、貼付動作を繰り返し行った場合にも傷まず、適度な柔軟性、気密性や液密性を保てるものであればよい。
【0043】
本実施形態では、蓋用ラベル100は、袋本体12に蓋用ラベル100を取り付ける際に、袋本体12の一面12aに有する波打ちや皺を引き延ばしながら取り付けられるようにするために、少なくとも200μm以上の厚さに形成される。このように、蓋用ラベル100を従来よりも厚くすることによって、袋本体12に蓋用ラベル100を取り付ける際に、蓋用ラベル100により強い応力が働くようになるので、袋本体12の波打ちや皺を伸ばすように作用するようになる。
【0044】
ただし、蓋用ラベル100を必要以上に厚くすると、その材料コストが余分に要する点や、従来の蓋用ラベル100の貼付装置を使用して貼付作業をすることが困難になる点を鑑みると好ましくない。すなわち、蓋用ラベル100を厚くし過ぎると、材料コストが多くなり、かつ厚い蓋用ラベルの貼付対応が可能な新たな貼付装置が必要となることから、設備コストも多くなる。
【0045】
本発明者は、前述した本発明の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、新たな貼付用装置を使用することなく、従来の貼付用装置による貼り付け作業が可能な蓋用ラベル100の厚さの上限値が300μmであることを見出した。このことから、余分な材料コストをかけずに、かつ新たな貼付用装置を用いないで余分な設備コストをかけずに、袋本体12の一面12aに有する波打ちや皺を引き延ばしながら取り付けるためには、蓋用ラベル100の厚さは、200μm以上で300μm以下の範囲であることが好ましい。
【0046】
次に、本発明の一実施形態に係る湿潤シート用包装体の蓋用ラベルの貼付及び開閉動作について、図面を使用しながら説明する。図4(a)乃至(d)は、本発明の一実施形態に係る湿潤シート用包装体の蓋用ラベルの貼付及び開閉動作を示す説明図である。
【0047】
ウエットティッシュ11が収納され、蓋用ラベル100が貼付される包装体10の袋本体12は、薄い可撓性を有する樹脂フィルムから形成されるので、その表面が柔らかく、よれて波打ちや皺が発生し易い。本実施形態の蓋用ラベル100は、図4(a)に示すように、波打ち12a1や皺が発生している袋本体12の一面12aに貼付される。このとき、支持部104(図3参照)が袋本体12の長さ方向に沿って貼付される。なお、本実施形態では、蓋用ラベル100を袋本体12に貼付する際に、支持体104が袋本体12の長さ方向に沿って貼付されているが、幅方向に沿って貼付されるようにしてもよい。
【0048】
前述したように、本実施形態では、蓋用ラベル100が200μm以上の厚さを有するので、袋本体12の一面12aに貼付され始めると、図4(b)に示すように、応力が働いて袋本体12の一面12aに有する波打ち12a1や皺を伸ばしながら、貼り付けられるようになる。すなわち、蓋用ラベル100の厚さを200μm以上とすることによって、表面に波打ち12a1や皺が生じやすい包装体10の袋本体12に、当該波打ち12a1や皺を伸ばすようにして蓋用ラベル100を貼付できるので、包装体10の密閉性を確保するように、袋本体12に取り付け易くなる。
【0049】
そして、蓋用ラベル100が袋本体12の一面12aに貼られ終わると、図4(c)に示すように、袋本体12の波打ち12a1や皺が完全に伸ばされて、蓋用ラベル100が袋本体12に密着した状態で貼り付けられるようになる。すなわち、包装体10の袋本体12に蓋用ラベル100を取り付ける際における袋本体12の密閉性が確保された状態となる。換言すると、包装体10の出荷時における密閉性が確保された状態となる。
【0050】
その後、図4(d)に示すように、側枠部106に沿って開閉蓋部102を袋本体12に対して開閉させるので、開閉蓋部102が開閉動作後に取出口14を覆う定位置に誘導されるようになる。このため、蓋用ラベル100の開閉蓋部102の開閉動作後における包装体10の密閉性を確保し易くなる。本実施形態では、支持部104が袋本体12の長さ方向に沿って貼付されるので、開閉蓋部102は、袋本体12の幅方向に対して取出口14を開閉可能に覆う構成となる。なお、支持部104が袋本体12の幅方向に沿って貼付されるようにした場合では、開閉蓋部102は、袋本体12の長さ方向に対して取出口14を開閉可能に覆う構成となる。
【0051】
このように、本実施形態では、開閉蓋部102のガイドとなる側枠部106を設けた蓋用ラベル100の全体の厚さを従来よりも大幅に増大させたので、包装体10の袋本体12に取り付ける際に、支持部104が袋本体12の長さ方向又は幅方向の何れかに沿うようにして、袋本体12の表面12aの波打ち12a1や皺を伸ばしながら貼り付けられる。すなわち、開閉蓋部102の側縁部102eに沿うように側枠部106を設けた蓋用ラベル100を一体成型して、その厚みを従来よりも大きくすることによって、袋本体12の取出口14の周囲等を波打ちや皺にならないようにすることができる。
【0052】
このため、従来のような余分な補強ラベル等の別部材を使用しないで、包装体10の袋本体12に蓋用ラベル100を取り付ける際における包装体10の密閉性を確保できる。すなわち、従来のような補強ラベル等の別部材を加工する工程や、当該別部材を包装体に貼付する工程が不要となるので、前述した本発明の目的を達成できる蓋用ラベル100の生産効率が向上し、また、補強ラベル等を不要とするので、材料コストの低減も図れる。
【0053】
また、蓋用ラベル100を開閉蓋部102と支持部104と側枠部106とを一体成型した構成としているので、包装体10に蓋用ラベル100を貼付した後において、蓋用ラベル100の開閉動作後における包装体10の密閉性を確保できるようになる。すなわち、蓋用ラベル100を包装体10の袋本体12に取り付けた後に、開閉蓋部102の開閉動作を繰り返しても、取出口14を覆う定位置に開閉蓋部102が誘導されるようになるので、包装体10の使用開始後における密閉性を確保できるようになる。
【0054】
さらに、蓋用ラベル100を200μm以上の厚さとすることによって、包装体10を製造する過程において、ウエットティッシュ11を収納した袋本体12に蓋用ラベル100を貼付する際に、袋本体12の取出口14の周辺に皺がよれた状態で蓋用ラベル100が貼付された欠陥品となるリスクが低減される。すなわち、包装体10を製造する際における蓋用ラベル100の歩留りを向上させられる。具体的には、本実施形態の蓋用ラベル100を備える包装体10を製造する際に、包装体10の生産個数に対する蓋用ラベル100の使用枚数を減少させ、その歩留りを90%以上とすることができる。
【実施例】
【0055】
次に、前述した本発明の一実施形態における効果を実証する実施例となる実験結果について説明する。本実施例では、本発明の一実施形態に係る湿潤シート用包装体の蓋用ラベルを使用することによる使用時の密閉性を確認するための評価実験を行った。なお、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
【0056】
実施例として、本発明の一実施形態に係る湿潤シート用包装体の蓋用ラベルである厚手ラベル(厚さ200μm)を用意した。また、かかる実施例の比較対象となる比較例1として、当該実施例の厚手ラベルと同形状の従来の厚さ(100μm)の外枠無ラベルを用意し、さらに、比較例2として、当該実施例の厚手ラベルと同形状の従来の厚さ(100μm)の特開昭63−152577の外枠付きラベルを用意した。そして、それぞれのラベルにおける使用時の揮発性の確認を行った。
【0057】
具体的には、下記の手順による評価方法を行った。
40枚のシート(ウエットティッシュ)を袋本体がアルミホイルと合成樹脂シートとを貼り合わせた複合シート構成のフィルムからなる包装体で包装し、取り出し穴をあけて実施例、比較例1、及び比較例2の各ラベルを蓋用ラベルとして貼った湿潤シート用包装体のサンプルを作成した。
上記の各湿潤シート用包装体のサンプルのシートを1枚抜き取る毎にラベルを閉じる工程を10回(10枚抜き取り)、20回(20枚抜き取り)、30回(30枚抜き取り)とそれぞれ繰り返し行った。
上記抜き取り工程後に、その直後のサンプル製品の重量と、室温で4日間放置後のサンプル製品の重量を測定して、これらの重量差から乾燥減量(減量量)を測定し、また、乾燥減量率((乾燥減量/抜き取り後の製品重量)×100)を算出した。
本評価試験では、上記の2)及び3)の工程をそれぞれ3回行って、3回ずつ測定、算出した抜き取り後の製品重量、4日放置後の製品重量、減量量、及び乾燥減量率の平均値を求めた。
【0058】
前述した実施例、比較例1、及び比較例2による各ラベルにおける上記評価方法による使用時の揮発性の検証結果をまとめたものを表1に示す。









【0059】
【表1】
【0060】
表1より、本発明の一実施形態に係る湿潤シート用包装体の蓋用ラベルである実施例の厚手ラベルは、比較例1及び比較例2となる他のラベルに比べて、繰り返し使用した際における乾燥減量率が少ないことが分かった。特に、抜き取り枚数が20枚、30枚と増加するにつれて、実施例に係る蓋用ラベルである厚手ラベルは、比較例1及び比較例2のラベルと比べて、乾燥減量率が大幅に向上することが分かった。すなわち、本実施例の厚手ラベルは、取出口14を塞ぐために当該厚手ラベルを再び袋本体12に貼りつける際に、隙間なく貼りつけられることから、他の比較例のラベルと比べて、ラベルの着脱を繰り返しても、包装体10の密閉性が確保できることが実証された。
【0061】
なお、上記のように本発明の一実施形態及び各実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0062】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、湿潤シート用包装体及び蓋用ラベルの構成、動作も本発明の一実施形態及び各実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 湿潤シート用包装体、11 ウエットティッシュ(湿潤シート)、12 袋本体、12a 一面、12a1 波打ち、14 取出口、14a 周縁部、100 蓋用ラベル、102 開閉蓋部、102a 摘み部、102b 連結部、102e 側縁部、104 支持部、104a、104b (支持部の)両端、106、106a、106b 側枠部、106a1、106b1 (側枠部の)先端、108a 摘み部
【要約】
【課題】包装体に取り付ける際における密閉性の確保と、開閉動作後における密閉性の確保を図る。
【解決手段】気密性及び不透水性を有する可撓性シートにより形成され、湿潤シート11を収納する湿潤シート用包装体10の袋本体12に形成された取出口14を繰り返し開閉可能に貼付して覆う蓋用ラベル100であって、少なくとも取出口の周縁部14aを含めて取出口を覆うように袋本体に剥離可能に貼付される開閉蓋部102と、開閉蓋部の基端に沿うように袋本体に貼付され、開閉蓋部の基端の少なくとも一部と連結されて開閉蓋部を支持する支持部104と、開閉蓋部の側縁部102eに沿うように袋本体に貼付され、支持部の両端104a、104bのそれぞれから開閉蓋部の側縁部に沿って延出する側枠部106とを備え、開閉蓋部、支持部及び側枠部は、それぞれの厚さが少なくとも200μm以上となるように一体成型されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4