特許第5799148号(P5799148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5799148新規ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含む皮膚外用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799148
(24)【登録日】2015年8月28日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】新規ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含む皮膚外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20151001BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20151001BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20151001BHJP
   C07D 233/96 20060101ALN20151001BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61Q19/00
   A61Q17/04
   !C07D233/96
【請求項の数】10
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2014-197213(P2014-197213)
(22)【出願日】2014年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-86224(P2015-86224A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】特願2013-202402(P2013-202402)
(32)【優先日】2013年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 崇
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】水垂 陽子
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 雅俊
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第2719141(US,A)
【文献】 特開平6−82856(JP,A)
【文献】 特表2011−526616(JP,A)
【文献】 特開平8−127589(JP,A)
【文献】 特開平9−241289(JP,A)
【文献】 特開平7−89838(JP,A)
【文献】 特開平11−116457(JP,A)
【文献】 特開平2−111760(JP,A)
【文献】 特開平5−345713(JP,A)
【文献】 特許第5386662(JP,B1)
【文献】 Katarina POPOV-PERGALら,Synthesis of 2-(5-arylidene-2,4-dioxotetrahydro-1,3-thiazolyl-3)-ethanols,J. Serb. Chem. Soc.,1995年,60(9),745-748
【文献】 Mudit Mら,Chemistry & Biodiversity,2011年,Vol.8,1470-1485
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
DB Thomson Innovation
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)で表されるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩、
【化1】

(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、Aは、O、S、またはN−Aであり、A、Aおよび、Aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA、Aおよび、Aのいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
【化2】

(構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【化3】

(構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【化4】

(構造式(3)中、X3aおよび、X3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよび、R3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよび、tは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
ならびに、
紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、皮膚外用組成物。
【請求項2】
前記構造式(I)中、A、Aおよび、Aのうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることを特徴とする、請求項1に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
前記構造式(I)中、Aおよび、/またはAが、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項4】
前記構造式(I)が、下記構造式(II)で表わされるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【化5】

(構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
【請求項5】
前記構造式(I)が、下記構造式(III)で表わされるベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩である、請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【化6】
【請求項6】
前記紫外線吸収剤が、桂皮酸誘導体、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリジン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、および、4,4−ジアリールブタジエン誘導体からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【請求項7】
前記抗酸化剤が、ビタミン系抗酸化剤、含硫抗酸化剤、フェノール系抗酸化剤、および、ポリフェノール系抗酸化剤からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【請求項8】
前記美白有効成分が、チロシナーゼ阻害剤、エンドセリン−1受容体阻害剤、チロシナーゼタンパク質分解促進剤、メラニン排出促進剤、および、メラニン輸送阻害剤からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【請求項9】
前記抗炎症成分が、アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、酸化亜鉛、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、ならびに、サリチル酸からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【請求項10】
前記増粘成分が、アクリル酸系増粘剤、ビニル系増粘剤、セルロース系増粘剤、ムコ多糖系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、海藻類系増粘剤、微生物系増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、デンプン系増粘剤、および、植物系増粘剤からなる群より選択される1種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩を含む皮膚外用組成物に関する。より詳細には、本発明は、新規なベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩、ならびに、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む皮膚外用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線は、ビタミンDの生合成に必須であり、生体の血行や新陳代謝を促進するためや、また殺菌・消毒のためにも使用される。その一方で、皮膚が過剰に紫外線に曝されると、皮膚ガンが発生する原因となったり、肌の老化を促進してシミ、そばかすやしわなどの原因となったりする。さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、PVC、ABS樹脂などの種々の合成樹脂または塗料が、過剰に紫外線に曝されると、これらの合成樹脂や塗料の劣化の原因となる。このように、過剰な紫外線への曝露は、悪影響を招来する。
【0003】
そのため、このような悪影響を防ぐために、種々の紫外線吸収剤が開発され、広く利用されている。
【0004】
なお、一般に「紫外線(UV)」と呼ばれている近紫外線は、その波長に基づいて、UVA(波長315〜400nm)、UVB(波長280〜315nm)および、UVC(波長200〜280nm)に大別される。なお、UVCは、太陽光由来のUVであるが、地上に達するまでに、オゾン層等において、著しく吸収されるため、通常はオゾン層等を通過して、地上に達することができない。
【0005】
皮膚がんの発生、皮膚の老化、合成樹脂や塗料の劣化の原因となるのは、主にUVAおよび、UVBである。
【0006】
したがって、紫外線吸収剤は、主にUVAまたはUVBを吸収することを目的として開発されている。
【0007】
従来開発されている紫外線吸収剤に含まれる紫外線吸収性物質としては、イソオクチルp−メトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、フェニルベンズイミダゾールNaスルホネート、3−(4’−メチルベンジリデン)−カンファー、4−t−ブチル−メトキシ−ジベンゾイルメタン、および、4−イソプロピル−ジベンゾイルメタンなどが知られている。これらの化合物はすべて芳香環を有している。この芳香環内で共役している電子は、共役していない電子よりも、小さなエネルギーで励起することができるため、紫外線を吸収することができる。さらに、共役系が拡張すると、共役系の電子は、より小さなエネルギーで励起できるようになり、長波長側の紫外線、さらには可視光線等を吸収できるようになる。
【0008】
また、実用に供することのできるUVB吸収性化合物は数多く開発されている。このようなUVB吸収性化合物としては、たとえば上記のイソオクチルp−メトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、フェニルベンズイミダゾールNaスルホネートおよび、3−(4’−メチルベンジリデン)−カンファーが知られている。
【0009】
一方で、従来のUVA吸収性化合物の多くは、UVAを吸収し、UVAの光エネルギーが熱エネルギーに変換されて放出する過程において、分解してしまう。つまり、従来のUVA吸収性化合物は、光安定性に問題があり、依然として、このような問題を解決した化合物は、ほとんど開発されていないのが現状である。
【0010】
現在開発されているUVA吸収性化合物として、たとえば、特許文献1〜2には、ヒダントイン誘導体が開示されている。
【0011】
ところで、日焼け止め組成物のような皮膚外用組成物が、海水浴等、適用箇所が水に接触するような状況下で使用される場合、適用箇所が水に接触しても、皮膚外用組成物が適用箇所に留まる特性が求められている。そのため、このような組成物に含まれるUVA吸収性化合物は、高い油溶性を有することが好ましい。
【0012】
一方で、近年、紫外線が皮膚に及ぼす影響等が明らかになるにつれ、日焼け止め組成物等の皮膚外用組成物が、日常生活でも(すなわち、必ずしも適用箇所が水に接触するような状況下でなくても)、使用されるようになってきた。このような使用態様においては、使用時においてはべたつきや皮膜感、白残り等がなく、また使用後に適用箇所から容易に組成物を洗い流せること(優れた洗浄性)が要求されるために、組成物に含まれるUVA吸収性化合物にも、高い親水性が求められている。
【0013】
このような皮膚外用組成物に使用するには、特許文献1〜2に開示のヒダントイン誘導体は、親水性に乏しく、かかる誘導体を含む皮膚外用組成物でこれら機能を両立させることは困難であった。
【0014】
このように、従来のヒダントイン誘導体には、高い紫外線(特にUVA)の吸収性とともに、優れた親水性を発揮することができないという点で、改善の余地があった。
【0015】
また、特にサンスクリーン剤などの皮膚外用剤として用いる場合には、紫外線吸収性物質自体の経時使用での光安定性が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平02−111760号公報
【特許文献2】特許3497246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、このような事情に照らし、紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)を有する、親水性かつ皮膚にも安全な中性の新規化合物であるベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩の光安定性を向上させた皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
【0018】
また、本発明は、紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)、親水性かつ皮膚にも安全な中性の新規化合物であるベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩の紫外線吸収効果を向上させた皮膚外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下に示す新規ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の創製に成功し、上記化合物と、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分からなる群より選ばれる少なくとも1種とを含む皮膚外用組成物により上記目的を達成できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0020】
すなわち、本発明の皮膚外用組成物は、一般式(I)で表されるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩、
【化1】

(構造式(I)中、nは1〜5の整数であり、Aは、O、S、またはN−Aであり、A、Aおよび、Aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(1)、下記構造式(2)で表わされる官能基(2)、または下記構造式(3)で表わされる官能基(3)である(ただし、少なくともA、Aおよび、Aのいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする)。また、nが2〜5の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
【化2】

(構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【化3】

(構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【化4】

(構造式(3)中、X3aおよび、X3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよび、R3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよび、tは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
ならびに、
紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とすることを特徴とする。
【0021】
本発明の皮膚外用組成物は、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩、ならびに、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことにより、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の光安定性を向上させた皮膚外用組成物となる。
【0022】
また、本発明の皮膚外用組成物は、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩、ならびに、紫外線吸収剤を含むことにより、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の紫外線吸収効果を向上させた皮膚外用組成物となる。
【0023】
また、本発明は、皮膚外用組成物に含有される、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の光安定化方法、ならびに紫外線吸収効果を向上させる方法をも包含する。
【0024】
本発明の皮膚外用組成物において、前記構造式(I)中、A、Aおよび、Aのうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましい。
【0025】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記構造式(I)中、Aおよび、/またはAが、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のアルキル基、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記構造式(I)が、下記構造式(II)で表わされるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩であることが好ましい。
【化5】

(構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。)
【0027】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記構造式(I)が、下記構造式(III)で表わされるベンジリデンヒダントイン誘導体またはその塩であることが好ましい。
【化6】
【0028】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記紫外線吸収剤(紫外線吸収成分)が、桂皮酸誘導体、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリジン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、4,4−ジアリールブタジエン誘導体からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0029】
なかでも、前記紫外線吸収剤が、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、フェルラ酸、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、3,3’−カルボニルビス[4−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(ベンゾフェノン−1)、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ジメチコジエチルベンザルマロナート、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[4−2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、および、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール]からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。また、塩の形態をとり得る場合、前記いずれかの化合物の塩および前記いずれかの誘導体の塩であってもよい。
【0030】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記抗酸化剤(抗酸化成分、酸化防止成分ともいう)が、ビタミン系抗酸化剤、含硫抗酸化剤、フェノール系抗酸化剤、および、ポリフェノール系抗酸化剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0031】
なかでも、前記抗酸化剤が、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルおよびその誘導体、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデントコフェロールおよびその誘導体、チオタウリンおよびその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエンおよびその誘導体、没食子酸およびその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、へスペリジンおよびその誘導体、グルコシルヘスペリジンおよびその誘導体、エルゴチオネインおよびその誘導体、フラボノイドおよびその誘導体、ジブチルヒドロキシアニソールおよびその誘導体、ならびに、塩の形態をとり得る場合、前記いずれかの化合物の塩および前記いずれかの誘導体の塩からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0032】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記美白有効成分(美白剤)が、チロシナーゼ阻害剤、エンドセリン−1受容体阻害剤、チロシナーゼタンパク質分解促進剤、メラニン排出促進剤、および、メラニン輸送阻害剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0033】
なかでも、前記美白有効成分(美白剤)が、アスコルビン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、または、ハイドロキノンおよびその誘導体もしくはそれらの塩、トラネキサム酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、エラグ酸、ならびに、ナイアシンアミドからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0034】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記抗炎症成分(抗炎症剤)が、アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、酸化亜鉛、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、ならびに、サリチル酸からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0035】
なかでも、前記抗炎症成分(抗炎症剤)が、アラントイン、または、グリチルリチン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、インドメタシン、ならびに、サリチル酸からなる群より選択される1種以上であることがより好ましい。
【0036】
また、本発明の皮膚外用組成物において、前記増粘成分(増粘剤)が、アクリル酸系増粘剤、ビニル系増粘剤、セルロース系増粘剤、ムコ多糖系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、海藻類系増粘剤、微生物系増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、デンプン系増粘剤、および、植物系増粘剤からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0037】
なかでも、前記増粘成分(増粘剤)が、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ポリアクリル酸またはその誘導体および、これらの塩、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、ならびに、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸であることが好ましい。
【0038】
また、本発明の皮膚外用組成物は、紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とするものであるが、上記紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分は、適宜それら複数を組み合わせて用いる場合も含まれる。また、上記紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分が、上記の紫外線吸収作用などとは異なる他の性質・特性を利用することを主目的として添加・配合されている場合であっても、本願発明の皮膚外用組成物に含まれる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の皮膚外用組成物は、紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)を有する、親水性かつ皮膚にも安全な中性の新規化合物であるベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩の光安定性を向上させることができる。
【0040】
また、本発明の皮膚外用組成物は、紫外線吸収作用(特にUVA吸収作用)を有する、親水性かつ皮膚にも安全な中性の新規化合物であるベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩の紫外線吸収効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図2】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図3】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図4】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図5】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図6】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図7】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
図8】実施例における紫外線の吸光度の測定結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0043】
[ベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩]
本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体は、下記構造式(I)で表わされる。
【化7】
【0044】
なお、上記構造式(I)中、下記構造式(i)で表わされる部分および、下記構造式(ii)で表わされる部分を、それぞれ、「ベンゼン環部分(i)」および、「アゾリジン部分(ii)」と称する。
【化8】
【0045】
上記構造式(I)に示されるように、アゾリジン部分(ii)には、「N−A」が、さらにはAが「N−A」である場合、「N−A」が含まれている。「N−A」や「N−A」の窒素原子は、塩基性の窒素原子であり、このN原子に、無機酸や有機酸が付加して、酸付加塩が形成されうる。ここで、無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸などをあげることができる。また、有機酸としては、酢酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、メタンスルホン酸、および、パラトルエンスルホン酸などをあげることができる。
【0046】
また、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体の塩は、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体に比べて、親水性が向上したり、固形になりやすいために取り扱いが容易になったりするなどの点で好ましい。
【0047】
上記構造式(I)、および、上記構造式(I)を除く本明細書中の構造式において、「n」、「A」および、「A」、「A」は、以下のように規定される。
【0048】
(1)「n」
nは、1〜5の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮して、高いUV吸収性を示すという観点からは、好ましくは、1〜3の整数であり、より好ましくは1である。
【0049】
(2)「A
は、O、S、またはN−Aであり、UVAおよび、UVAに近接した波長領域の光を有効に吸収できるという観点からは、好ましくは、N−Aである。
【0050】
(3)「A」、「A」および、「A
、Aおよび、Aは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、下記構造式(1)で表わされる官能基(官能基(1))、下記構造式(2)で表わされる官能基(官能基(2))、または下記構造式(3)で表わされる官能基(官能基(3))である。ただし、少なくともA、Aおよび、Aのいずれかに1つ以上のヒドロキシル基を含むものとする。
【0051】
また、UV吸収性を向上できる点では、A、Aおよび、Aのうち、少なくとも1つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましく、A、Aおよび、Aのうち、少なくとも2つは、前記官能基(1)、前記官能基(2)、または前記官能基(3)であることが好ましい。
【化9】

(構造式(1)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、mは、1〜4の整数である。mが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【化10】

(構造式(2)中、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、pは1または2であり、qは、0〜4の整数であり、qが2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一でも異なっていてもよい。)
【化11】

(構造式(3)中、X3aおよび、X3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基であり、R3aおよび、R3bは、それぞれ独立に炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、rは1または2であり、sおよび、tは、それぞれ独立に0〜4の整数である。sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。)
【0052】
なお、nが2〜5の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。
【0053】
また、高い水溶性を発揮できるという観点からは、A、Aおよび、「A−O−」のうち、少なくとも1つは、ヒドロキシル基を有する官能基であることが好ましい。
【0054】
(3―1)「ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基」
「ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基」は、炭素数1〜8のアルキル基である限り、直鎖状であっても分岐状であってもよく、ヒドロキシル基で置換されているもの(ヒドロキシアルキル基)であっても、ヒドロキシル基で置換されていないアルキル基であってもよい。そのなかでも、UV吸収性および、水溶親水性が向上するという観点からは、直鎖状または分岐状の、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基であることが好ましい。
【0055】
また、上記アルキル基の炭素数は、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、1〜8であることが好ましく、1〜4であることがより好ましい。
【0056】
(3―2)「官能基(1)」
官能基(1)は、上記構造式(1)で表わされる官能基である。ここで、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、上記アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。Xは、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、アルキレン基の炭素数は、1〜2であること(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―))が好ましい。
【0057】
は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたアルキル基)であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、炭素数2のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシエチル基(―CHCHOH)であることがより好ましい。
【0058】
mは、1〜4の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0059】
なお、mは2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一であっても、異なっていてもよい。この場合、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、複数存在するXは、メチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
【0060】
(3―3)「官能基(2)」
官能基(2)は、上記構造式(2)で表わされる官能基である。ここで、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基であり、上記アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。Xは、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、アルキレン基の炭素数は、1〜2であること(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―))であることが好ましい。
【0061】
は、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基(少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されたアルキル基)であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、炭素数2のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシエチル基(―CHCHOH)であることがより好ましい。
【0062】
pは、1または2であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、1であることが好ましい。
【0063】
qは、0〜4の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0064】
なお、qは2〜4の整数である場合、複数存在するXは、同一であっても、異なっていてもよい。この場合、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、複数存在するXは、メチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
【0065】
(3―4)「官能基(3)」
官能基(3)は、上記構造式(3)で表わされる官能基である。ここで、X3aおよび、X3bは、それぞれ独立に、2〜4のアルキレン基であり、上記アルキレン基は、直鎖であっても、分岐していてもよい。高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、X3aおよび、X3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のアルキレン基(たとえば、アルキレン基がメチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
【0066】
3aおよび、R3bは、それぞれ独立に、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基(少なくともヒドロキシル基で置換されたアルキル基)であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、炭素数2のヒドロキシアルキル基であることが好ましく、ヒドロキシエチル基(―CHCHOH)であることがより好ましい。
【0067】
rは、1または2であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できるという観点からは、1であることが好ましい。
【0068】
sおよび、tは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、1〜2の整数であることが好ましく、1であることがより好ましい。
【0069】
なお、sが2〜4の整数である場合、複数存在するX3aは、同一でも異なっていてもよいし、tが2〜4の整数である場合、複数存在するX3bは、同一でも異なっていてもよい。この場合、高い比吸光度(質量あたりの紫外線の吸光度)を発揮できかつ汎用な試薬原料より製造しうるという観点からは、複数存在するX3aおよび、X3bは、メチレン基(―CH―)またはエチレン基(―CHCH―)であることが好ましい。
【0070】
(3―5)「A
親水性をより向上できるという観点からは、Aは、水素原子、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることが好ましく、ヒドロキシル基で置換された炭素数1〜8のヒドロキシルアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることがより好ましく、官能基(1)または官能基(3)であることがさらに好ましい。
【0071】
(3―6)「A
上述のように、Aは、水素原子、ヒドロキシル基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、官能基(1)〜(3)のいずれかであるために、ベンゼン環部分(i)に結合している「A−O−」は、電子供与性の基である。そのために、上記構造式(I)で表わされる本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩に、UVが照射された場合、共鳴効果によって「A−O―」からベンゼン環に電子が供与され、ベンゼン環の共役系が有効に拡張する。そのため、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、長波長の紫外線(たとえば、UVA)のUV吸収性が良好である。
【0072】
UV吸収性をより向上できるという観点からは、Aは、水素原子、炭素数1〜8のヒドロキシアルキル基、官能基(1)、官能基(2)または官能基(3)であることが好ましく、官能基(1)または官能基(3)であることがより好ましい。
【0073】
さらに、よりUV吸収性を向上できるという観点からは、「A―O―」は、「アゾリジン部分(ii)」に対して、ベンゼン環部分(i)のパラ位に結合していることが好ましい。このようなベンジリデンアゾリジン誘導体は、下記構造式(II)で表わされる。
【化12】

(上記構造式(II)中、n´は、0〜4の整数であり、n´が1〜4の整数である場合、複数存在するA−O−は、同一でも異なっていてもよい。Aは、水素原子、炭素数1〜8の、ヒドロキシル基で置換されているアルキル基、官能基(1)、官能基(2)、または官能基(3)である。)
【0074】
ここで、よりUV吸収性と親水性とを向上できるという観点から、上記構造式(II)中のn´は、0であり、かつAはN−Aであること、すなわち、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体下記化学構造式(III)で表わされることが好ましい。
【化13】
【0075】
また、合成しやすさ(合成工程の短縮化)を考慮すると、AとAとは同一の官能基であることがより好ましい。
【0076】
(3―7)「A
は、よりUV吸収性と親水性を向上できるという観点からは、水素原子または官能基(3)であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0077】
(4)分子量
高い吸光度と高い安全性とをバランスよく発揮できるという観点からは、本発明におけるベンジリデンヒダントイン誘導体の分子量は、通常250〜1000であり、好ましくは300〜500である。なお、上記分子量は、皮膚を透過して体内に吸収されて刺激性や毒性を示すといった悪影響を及ぼすリスクを低減するためには、300以上であることが好ましい。
【0078】
また、本発明の皮膚外用組成物において、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩の含有量は、0.00001重量%以上20重量%以下の含有量とすることができ、0.0001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.001重量%以上5重量%以下であってもよく、0.05重量%以上3重量%以下であってもよく、0.03重量%以上1重量%以下であってもよく、0.02重量%以上0.5重量%以下であってもよく、0.01重量%以上0.1重量%以下であってもよい。
【0079】
[ベンジリデンアゾリジン誘導体およびその塩の製造方法]
たとえば、まず、化学反応式(1)に示されるように、下記式(a)で表される化合物(a)と、下記式(b)で表される化合物(b)を、塩基の存在下で反応させて、下記式(c)で表される化合物(c)を合成する。次いで、化学反応式(2)に示されるように、下記式(c)で表される化合物を、下記式(d)で表される化合物(d)と塩基の存在下に反応させることにより、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体を合成することができる。
【化14】

【化15】
【0080】
ここで、上記化合物(b)として、市販品をそのまま用いることもできる。また、Aとして水素原子を除く官能基を有する化合物(b)は、下記構造式(b´)で表わされる、Aとして水素原子を有する化合物(b´)と、下記構造式(e)で表わされる化合物(e)とを、塩基の存在下で、反応式(3)で示されるように、反応させることによって得られたものを用いることができる。
【化16】

【化17】
【0081】
また、上記化合物(a)として、市販品をそのまま用いることもできる。
【0082】
また、下記式(4−1)で示されるように、上記化合物(a)と上記化合物(d)とを、塩基の存在下で反応させて、下記構造式(f)で表される化合物(f)を合成できる。あるいは、下記反応式(4−2)で示されるように、下記化合物(g)と下記化合物(h)とを、塩基の存在下または非存在下にて、縮合剤を用い、さらに酸の存在下で環化させることにより、下記構造式(f)で表される化合物(f)を合成することもできる。ここで、上記化合物(a)のAが「NH」である場合、反応式(5)で示されるように、化合物(f)と下記構造式(e´)とを、塩基の存在下で反応させて、Aが「NA」である化合物(f)を合成できる。次いで、下記反応式(6)で示されるように、化合物(f)と上記化合物(b)とを、塩基の存在下で、反応させて、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体を合成することもできる。
【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

(式(g)のAは、式(I)のAと同一である。
Zは、ヒドロキシル基またはアルコキシル基である。)
【化22】

(式(h)のAは、式(I)のAと同一である。)
【化23】

【化24】
【0083】
また、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体が、構造式(I)のA、AおよびAとして、官能基(2)または官能基(3)を有する場合、それぞれ、前記化合物(d)、前記化合物(e)、前記化合物(e´)の代わりに、下記構造式(i)で表される化合物(i)、また、前記化合物(h)の代わりに、下記構造式(j)で表される化合物(j)を用いることを除いては、反応式(1)〜(6)と同様にして、構造式(I)中、A、AまたはAとして、下記構造式(k)で表される官能基(k)を有する化合物(k)を合成することができる。次いで、前記化合物(k)を一般的な官能基変換反応(カルボン酸のエステル化、カルボン酸のアミド化、エステル交換、エステルのアミド化など)により、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体に導くこともできる。
【化25】

(式(i)のYは、式(d)のYと同一であり、uは、1または2であり、Zは、ヒドロキシル基またはアルコキシル基である。)
【化26】

(式(j)のuは、1または2であり、Zは、ヒドロキシル基またはアルコキシル基である。)
【化27】

(式(k)のuは、1または2であり、Zは、ヒドロキシル基またはアルコキシル基である。)
【0084】
上述したような、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体の製造法で用いる塩基としては、たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド、ピリジン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、酢酸ナトリウム、アンモニア水、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネンをあげることができる。
【0085】
また、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体の製造方法で用いる縮合剤としては、たとえば、ホスゲン、トリホスゲン、カルボニルジイミダゾール、クロロ蟻酸トリクロロメチル、クロロ蟻酸パラニトロフェニルあるいはクロロ蟻酸パラシアノフェニルをあげることができる。
【0086】
また、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体の製造方法で用いる酸としては、たとえば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸などの無機酸、または、酢酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸をあげることができる。
【0087】
さらに、上述のようにして得られたベンジリデンアゾリジン誘導体は、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、活性炭、イオン交換樹脂、多孔性合成樹脂などの吸着剤での処理、溶媒の留去、および/または再結晶により精製することで高純度のものをうることができる。
【0088】
また、本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体の塩は、上述のようにして得られたベンジリデンアゾリジン誘導体に、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、臭化水素酸等の無機酸、または、酢酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸を加えて中和、留去、精製することでうることができる。
【0089】
[紫外線吸収剤]
本発明における紫外線吸収剤(紫外線吸収成分)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の紫外線吸収剤を使用できる。なお、本発明において、紫外線吸収剤(紫外線吸収成分)とは、紫外線を吸収する性質を有する化合物(成分)をいう。
【0090】
上記紫外線吸収剤としては、たとえば、
(a)パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、メトキシ桂皮酸イソプロピル、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、シノキサート、DEAメトキシシンナマート、フェルラ酸、および、メトキシ桂皮酸イソアミルなどの桂皮酸誘導体;
(b)パラ−アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記する)、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、グリセリルPABA、PEG−25PABA、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、および、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステルなどの安息香酸誘導体;
(c)ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、TEAサリチラート、サリチル酸エチレングリコール、および、ジプロピレングリコールサリチラートなどのサリチル酸誘導体;
(d)ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−1)、テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−2)、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(ベンゾフェノン−4)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−5)、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−6)、2,2‘−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−8)、および、3,3’−カルボニルビス[4−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム(ベンゾフェノン−9)などのベンゾフェノン誘導体;
(e)3−ベンジリデンショウノウ、4−メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、および、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウなどのベンジリデンショウノウ誘導体;
(f)アニソトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス(ジイソブチル−4’−アミノベンザルマロナート)−s−トリアジン、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、および、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジンなどのトリアジン誘導体;
(g)フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、および、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウムなどのフェニルベンゾイミダゾール誘導体;
(h)ドロメトリゾールトリシロキサン、および、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール]などのフェニルベンゾトリアゾール誘導体;
(i)アントラニル酸メンチルなどのアントラニル誘導体;
(j)ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシルなどのイミダゾリジン誘導体;
(k)ジメチコジエチルベンザルマロナートなどのベンザルマロナート誘導体;
(l)1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエンなどの4,4−ジアリールブタジエン誘導体;ならびに
(m)4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンのようなジベンゾイルメタン誘導体;
などをあげることができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0091】
なかでも、広い波長範囲の紫外線を吸収して化粧品原料としての有用性を高めるために、UV−A波吸収剤とUV−B波吸収剤とを併用するか、またはUV−AB波吸収剤を使用することが好ましい。本発明におけるベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は特にUVA吸収作用を有する場合が多いが、適宜、UV−A波吸収剤および、/またはUV−B波吸収剤を組み合わせて用いてもよい。
【0092】
UV−A波吸収剤としては、それには限定されないが、たとえば、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル(たとえば、ソフトシェードDH(商品名);味の素社製)、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシル(たとえば、ユビナールAプラス(商品名);BASF社製)、および、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(たとえば、パルソール1789(商品名);DSMニュートリションジャパン社製)などをあげることができる。
【0093】
UV−B波吸収剤としては、それには限定されないが、たとえば、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル(たとえば、パルソールMCX(商品名);DSMニュートリションジャパン社製、ユビナールMC80(商品名)、ユビナールMC80N(商品名);BASF社製)、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラ−アミノ安息香酸、エチルPABA、エチル−ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル−ジメチルPABA、PEG−25PABA(たとえば、ユビナールP25(商品名);BASF社製)、ホモサラート(たとえば、パルソールHMS(商品名);DSMニュートリションジャパン社製、ユーソレックスHMS(商品名);メルク社製)、エチルヘキシルサリチラート(サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸オクチルともいう)(たとえば、ネオヘリオパンOS(商品名);ハーマンアンドレイマー社製)、3−ベンジリデンショウノウ(たとえば、メギゾリルSD(商品名);シメックス社製)、4−メチルベンジリデンショウノウ(たとえば、ユーソレックス6300(商品名);メルク社製)、ベンジリデンショウノウスルホン酸(たとえば、メギゾリルSL(商品名);シメックス社製)、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム(たとえば、メギゾリルSO(商品名);シメックス社製)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ(たとえば、メギゾリルSW(商品名);シメックス社製)、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸(たとえば、メギゾリルSX(商品名);シメックス社製)ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン(たとえば、ユビナールT150(商品名);BASF社製)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(たとえば、パルソールHS(商品名);DSMニュートリションジャパン社製、ユーソレックス232(商品名);メルク社製)、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(たとえば、ネオヘリオパンAP(商品名);ハーマンアンドレイマー社製)、ジメチコジエチルベンザルマロナート(たとえば、パルソールSLX(商品名);DSMニュートリションジャパン社製)、および、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)(たとえば、ユビナール539N(商品名);BASF社製;エスカロール597(商品名);アイエスピージャパン社製、ユーソレックスOCR(商品名);メルク社製、パルソール340(商品名);DSMニュートリションジャパン)などをあげることができる。
【0094】
UV−AB波吸収剤としては、それには限定されないが、たとえば、テトラヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−2)、2―ヒドロキシ―4―メトキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−3)(たとえば、ユビナールM40(商品名);BASF社製、エスカロール567(商品名);アイエスピージャパン社製)、ベンゾフェノン−4、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(たとえば、チノソーブS(商品名);BASF社製)、ドロメトリゾールトリシロキサン、および、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール](たとえば、チノソーブM(商品名);BASF社製)などをあげることができる。
【0095】
上記紫外線吸収剤を2種以上組み合わせて使用する場合は、具体的には、2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシルとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルとの組合せ、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンとα−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)とパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルとの組み合わせ、および、2,4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジンとパラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシルと2−〔4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル〕安息香酸ヘキシルとの組み合わせ等が例示できる。
【0096】
本発明の皮膚外用組成物において、上記紫外線吸収剤が、たとえば、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、フェルラ酸、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、メトキシケイ皮酸イソアミル、シノキサート、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラ−アミノ安息香酸、エチルPABA、3,3’−カルボニルビス[4−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム(オキシベンゾン−9)、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(オキシベンゾン−4)、ジヒドロキシベンゾフェノン(ベンゾフェノン−1)、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ドロメトリゾールトリシロキサン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、4,6−トリス〔4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、ホモサラート、TEAサリチラート、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール]、アントラニル酸メンチル、ジメトキシベンジリデンオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチルプロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン等であることが好ましい。また、パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、フェルラ酸、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、3,3’−カルボニルビス[4−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(ベンゾフェノン−1)、α−シアノ−β−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、ジメチコジエチルベンザルマロナート、2,4−ビス−〔{4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル〕−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス[4−2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]−1,3,5−トリアジン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、および、2,2’―メチレンビス[6―(2H―ベンゾトリアゾール―2―イル)―4―(1,1,3,3―テトラメチルブチル)フェノール]がより好ましい。
【0097】
本発明の皮膚外用組成物において、紫外線吸収剤として、刺激感やにおいを低減させたり、使用感や溶解性を向上させるために、1種または2種以上の上記紫外線吸収剤を、マイクロカプセルに内包させる等の製剤修飾を加えた原料を用いることもできる。具体的には、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート/ジビニルベンゼン共重合体、またはポリ(ジビニルベンゼン)からなるポリマー成分で実質的に構成されたシェルに紫外線吸収剤を内包し、平均粒子径を0.4〜10μmとしたマイクロカプセル(たとえば、特開2009−167168に記載の紫外線吸収剤内包カプセル)や、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタンをゾル−ゲルシリカガラスで内包し、水に分散させたマイクロカプセル(たとえば、Eusolex UV−Pearls OB−S(商品名)、Eusolex UV−Pearls OB−S2(商品名);メルク社製)や同様にメトキシケイヒ酸エチルヘキシルをゾル−ゲルシリカガラスに内包し、水に分散させたマイクロカプセル(たとえば、Eusolex UV−Pearls 2292(商品名)、Eusolex UV−Pearls OMC(商品名);メルク社製)、また、紫外線吸収剤(オクトクリレン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、t−ブチル−メトキシジベンゾイルメタン等)をシリコーン−レジン化加水分解シルク(ポリシリコーン−14)で内包し、平均粒子2μmのマイクロカプセルとし、水に分散させたもの(たとえば、Silasoma ME、Silasoma MEA、Silasoma MEA(S)、Silasoma MEA(V)、Silasoma MEA(L)、Silasoma MFA(S)、Silasoma MFA(LS)、Silasoma EP(S)、Silasoma REA(S)等のSilasomaシリーズ(商品名);成和化成社製)などが例示できる。
【0098】
また、本発明の皮膚外用組成物において、上記紫外線吸収剤の含有量は、0.00001重量%以上30重量%以下の含有量とすることができ、0.0001重量%以上20重量%以下であってもよく、0.001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.01重量%以上10重量%以下であってもよい。
【0099】
[抗酸化剤]
本発明における抗酸化剤(抗酸化成分)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の抗酸化剤を使用できる。なお、本発明において、抗酸化剤(抗酸化成分、酸化防止成分)とは、活性酸素種等による酸化を阻害、低減、抑制する性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0100】
上記抗酸化剤としては、たとえば、
(a)トコフェロール類およびその誘導体またはそれらの塩(たとえば、α−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸−α−トコフェロール、トコトリエノール)、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、ユビキノン類およびその誘導体またはそれらの塩、レチノール類およびその誘導体またはそれらの塩、パントテン酸およびその誘導体またはその塩、エリソルビン酸またはそれらの塩、などのビタミン系抗酸化剤;
(b)チオタウリン、システイン、ホモシステイン、アセチルシステイン、メチオニン、チオグリセロール、亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムピロ亜硫酸ナトリウム、チオレドキシン、ジチオスレイトール、αリポ酸、エルゴチオネイン、グルタチオン、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、などの含硫系抗酸化剤;
(c)ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、没食子酸およびその誘導体もしくはそれらの塩、クロロゲン酸およびその誘導体またはそれらの塩、などのフェノール系抗酸化剤;
(d)植物(たとえば、ブドウ、オタネニンジン、コンフリーなど)に由来する成分(たとえば、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、オタネニンジンエキス、コンフリー葉エキスなど);プロアントシアニジン、へスペリジン、グルコシルヘスペリジン、フラボノイド、
などのポリフェノール系抗酸化剤などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0101】
本発明の皮膚外用組成物において、上記抗酸化剤が、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジルおよびその誘導体、マロン酸およびその誘導体、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体、トコフェロール類およびその誘導体、チオタウリンおよびその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエンおよびその誘導体、没食子酸またはその誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、へスペリジンおよびその誘導体、グルコシルヘスペリジンおよびその誘導体、エルゴチオネインおよびその誘導体、フラボノイドおよびその誘導体、または、ジブチルヒドロキシアニソールおよびその誘導体、ならびに、塩の形態をとり得る場合、前記いずれかの化合物の塩および前記いずれかの誘導体の塩等であることが好ましい。なかでも、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、トコフェロール類およびその誘導体またはそれらの塩、チオタウリン、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸およびその誘導体またはそれらの塩、クロロゲン酸およびその誘導体またはそれらの塩、または、ジブチルヒドロキシアニソールがより好ましい。また、マロン酸ビスエチルヘキシルヒドロキシジメトキシベンジル、マロン酸ジエチルヘキシルシリンギリデン、ピロロキノリンキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、トコフェロールおよびその誘導体またはそれらの塩、チオタウリン、ジブチルヒドロキシトルエン、または、没食子酸およびその誘導体またはそれらの塩がさらにより好ましい。
【0102】
また、本発明の皮膚外用組成物において、上記抗酸化剤の含有量は、0.00001重量%以上20重量%以下の含有量とすることができ、0.0001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.001重量%以上7重量%以下であってもよく、0.05重量%以上5重量%以下であってもよく、0.03重量%以上3重量%以下であってもよく、0.02重量%以上1重量%以下であってもよく、0.01重量%以上0.5重量%以下であってもよい。
【0103】
[美白有効成分]
本発明における美白有効成分(美白剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の美白有効成分を使用できる。なお、本発明において、美白有効成分(美白剤)とは、肌のくすみやしみ、肝斑等に特に関係しているメラニン色素等による肌の色素沈着を改善、抑制・低減・防止、予防、または遅延させる性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0104】
上記美白有効成分としては、たとえば、
(a)ハイドロキノンおよびその誘導体またはそれらの塩(たとえばα−アルブチン、β−アルブチン);コウジ酸;エラグ酸;フィチン酸;ルシノール;アスコルビン酸およびその誘導体またはそれらの塩(たとえば、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2−O−エチルアスコルビン酸、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシドなど)、4−メトキシサリチル酸カリウム塩、トラネキサム酸およびその誘導体またはそれらの塩などのようなチロシナーゼ阻害剤;
(b)カモミラETのようなエンドセリン−1受容体阻害剤;
(c)遊離リノール酸のようなチロシナーゼタンパク質分解促進剤;
(d)アデノシン1リン酸2ナトリウム塩のようなメラニン排出促進剤;
(e)ナイアシンアミドのようなメラニン輸送阻害剤;
(f)その他、美白作用を有する植物成分(たとえば、植物エキスや精油);
をあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0105】
本発明の皮膚外用組成物において、上記美白有効成分が、ハイドロキノンおよびその誘導体またはそれらの塩、アスコルビン酸およびその誘導体またはそれらの塩、トラネキサム酸およびその誘導体またはそれらの塩、エラグ酸、ナイアシンアミド等であることが好ましい。なかでも、ハイドロキノン、アルブチン、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、3−O−エチルアスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、トラネキサム酸などがより好ましい。
【0106】
また、本発明の皮膚外用組成物において、上記美白有効成分の含有量は、0.00001重量%以上20重量%以下の含有量とすることができ、0.00001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.001重量%以上7重量%以下であってもよく、0.05重量%以上5重量%以下であってもよく、0.03重量%以上3重量%以下であってもよく、0.02重量%以上1重量%以下であってもよく、0.01重量%以上0.5重量%以下であってもよい。
【0107】
[抗炎症成分]
本発明における抗炎症成分(抗炎症剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の抗炎症成分を使用できる。なお、本発明において、抗炎症成分(抗炎症剤)とは、表皮等の細胞の炎症を阻害、低減、抑制する性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0108】
上記抗炎症成分としては、たとえば、植物(たとえば、コンフリー葉エキスなど)に由来する成分;アラントイン、カラミン、グリチルリチン酸およびその誘導体またはそれらの塩(グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸ナトリウムなど)、グリチルレチン酸およびその誘導体またはそれらの塩(グリチルレチン酸ステアリル、18α‐ヒドロキシグリチルレチン酸など)、酸化亜鉛、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、サリチル酸およびその誘導体などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0109】
本発明の皮膚外用組成物において、上記抗炎症成分が、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体またはそれらの塩、グリチルレチン酸およびその誘導体またはそれらの塩、酸化亜鉛、グアイアズレン、塩酸ピリドキシン、メントール、カンフル、テレピン油、インドメタシン、または、サリチル酸およびその誘導体またはそれらの塩等であることが好ましい。なかでも、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリル、酸化亜鉛、メントール、カンフル、インドメタシン、サリチル酸がより好ましい。
【0110】
また、本発明の皮膚外用組成物において、上記抗炎症成分の含有量は、0.00001重量%以上20重量%以下の含有量とすることができ、0.0001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.001重量%以上5重量%以下であってもよく、0.05重量%以上3重量%以下であってもよく、0.03重量%以上1重量%以下であってもよく、0.02重量%以上0.5重量%以下であってもよく、0.01重量%以上0.1重量%以下であってもよい。
【0111】
[増粘成分]
本発明における増粘成分(増粘剤)は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の増粘成分を使用できる。なお、本発明において、増粘成分(増粘剤)とは、粘度を増加させる性質を有する薬剤(成分)をいう。
【0112】
本発明の皮膚外用組成物において、上記増粘成分が、アクリル酸系増粘剤、ビニル系増粘剤、セルロース系増粘剤、ムコ多糖系増粘剤、アミノ酸系増粘剤、海藻類系増粘剤、微生物系増粘剤、ポリエチレングリコール系増粘剤、デンプン系増粘剤、または、植物系増粘剤であることが好ましい。
【0113】
上記増粘成分としては、たとえば、
(a)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体(特に、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー)、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体、ポリビニルアルコール、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ポリアクリル酸またはそれらの塩等のアクリル酸系高分子;
(b)ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、カルビキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤;
(c)メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤;
(d)ヒアルロン酸・ヒアルロン酸誘導体・およびこれらの塩、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖系増粘剤;
(e)コラーゲン等のアミノ酸系増粘剤;
(f)カラギーナン、アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天のような海草類系増粘剤;
(g)キサンタンガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、デキストラン、スクレロチウムガム、ジェランガム等の微生物系増粘剤;
(h)ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、(PEG−240/デシルテトレデセス−20/HDI)コポリマー、ベヘン酸グリセリル・オクタステアリン酸ポリグリセリル−6等のポリエチレングリコール系増粘剤;
(i)ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、コーンスターチ等のデンプン系増粘剤;
(j)グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、ウェランガム、カラヤガム、ガティガム、タマリンドガム、ペクチン等の植物系増粘剤;
(k)デキストリン脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、トリイソステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)メチルグルコシド、ベントナイト、マクロゴール、ジブチルエチルヘキサノイルグルタミド、ジブチルラウロイルグルタミド、ガゼインナトリウムなどのその他の水溶性高分子;
などをあげることができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0114】
上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体としては、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、アクリルアミド/アクリル酸アンモニウムコポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス−25)クロスポリマーナトリウム、ポリアクリレート−6、ポリアクリレート−13、(アクリル酸/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス−20)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP)コポリマー、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ステアレス−10アリルエーテル・アクリレーツコポリマーがあげられる。また、これらは市販品として、PEMULEN(商標)TR−1、TR−2(Lubrizol Advanced Materials社製);カーボポール(商標)ETD2020、Ultrez20Polymer、Ultrez21Polymer、Ultrez10Polymer(Lubrizol Advanced Materials社製)、STRUCTURE(商標)2001(アクゾノーベル社製)、Aristoflex(商標)AVC、HMB(クラリアントジャパン社製)などを使用できる。上記ポリビニルアルコールとしては、たとえば、市販品のゴーセノール(商標)EG−05、EG−40(日本合成化学工業社製)などを使用できる。また、スクワラン等の油剤、非イオン性界面活性剤、および、水などと混合した混合物として使用してもよい。このような混合物として、具体的には、たとえば、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリンナトリウム共重合体を含有する市販品であるSIMULGEL(商標)FL、NS(セピック社製);アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体を含有する市販品であるSIMULGEL(商標)EG(セピック社製)、SIMULGEL(商標)EPG(セピック社製);ステアレス−10アリルエーテル・アクリレーツ共重合体を含有する市販品であるSALCARE(商標)SC80(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);アクリル酸ナトリウム・アクリル酸メタクリルナトリウム・メタクリル酸ナトリウムメタクリル酸アルキル共重合体を含有する市販品であるSALCARE(商標)SC91(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製);(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマーを含有する市販品であるSEPINOV(商標)P88(セピック社製)、アデカノール(商標)GT−700(旭電化工業社製);および、ポリアクリルアミドを含有する市販品であるSEPIGEL(商標)305(成和化成)などをあげることができる。上記ポリアクリル酸アミドとしては、たとえば、市販品のSEPIGEL(商標)305(成和化成社製)などを使用できる。その他、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーを含有する市販品であるアデカノール(商標)GT−700(旭電化工業社製)、上記デンプン系増粘剤としては、たとえば、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有する市販品であるSTRUCTURE(商標)XL(アクゾノーベル社製)などをあげることができる。
【0115】
なかでも、アクリル酸系増粘剤としては、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリロイルジメチルタウリン塩共重合体、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン共重合体、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマーであることが好ましい。ビニル系増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、ポリアクリルアミド、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸誘導体またはこれらの塩、コラーゲン、カンテン、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、マクロゴール、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマーであることが好ましい。
【0116】
また、本発明の皮膚外用組成物において、上記増粘成分の含有量は、0.00001重量%以上20重量%以下の含有量とすることができ、0.0001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.001重量%以上5重量%以下であってもよく、0.05重量%以上3重量%以下であってもよく、0.03重量%以上1重量%以下であってもよく、0.02重量%以上0.5重量%以下であってもよく、0.01重量%以上0.1重量%以下であってもよい。
【0117】
[その他の基剤または担体]
本発明の皮膚外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬部外品に使用される公知の基剤または担体を含むことができる。基剤または担体は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0118】
基剤または担体としては、パラフィン、流動パラフィン、スクワラン、白ロウ、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、セレシン、ワセリン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、α−オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィンのような炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸のような脂肪酸;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルのようなトリ脂肪酸グリセリド;セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールのような高級アルコール;メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシプロピレン)シロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキル変性シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン網状重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチルポリシロキサンのようなシリコーン油;エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、トリエチレングリコールジアセタート、ヘキシレングリコールジアセタート、および、2−メチル−2−プロペン−1,1−ジオールジアセタートのようなグリコールアセタート;トリエチレングリコールジバレラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチラートのようなグリコールエステル;エチレングリコールジアクリラート、ジエチレングリコールジアクリラート、プロピレングリコールモノアクリラート、2,2−ジメチル−トリメチレングリコールジアクリラート、および、1,3−ブチレングリコールジアクリラートのようなグリコールアクリラート;エチレングリコールジニトラート、ジエチレングリコールジニトラート、トリエチレングリコールジニトラート、および、プロピレングリコールジニトラートのようなグリコールジニトラート;2,2′−[1,4−フェニレンジオキシ]ジエタノール;エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン;カラギーナン;ポリビニルブチラート;ポリエチレングリコール;ジオキサン;ブチレングリコールアジピン酸ポリエステル;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスエリットのようなエステル類;デキストリン、マルトデキストリンのような多糖類;エタノール、イソプロパノールのような低級アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルのようなグリコールエーテル;水などの水系基剤などをあげることができる。
【0119】
なかでも、炭化水素(特に、α−オレフィンオリゴマー、スクワラン、軽質流動パラフィン、流動パラフィン)、トリ脂肪酸グリセリド(特に、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル)、高級アルコール(特に、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール)、シリコーン油(特に、メチルポリシロキサン、アクリル酸アルキル共重合体メチルポリシロキサンエステル、架橋型メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、エチルトリシロキサン、メチルトリメチコン、メチルシロキサン網状重合体、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンポリシロキサン、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、ジメチルポリシロキサン)、エステル類(特に、イソノナン酸イソノニル、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット)、多糖類(特に、デキストリン、マルトデキストリン)、グリコールエーテル(特に、ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、水が好ましい。
【0120】
[添加剤]
本発明の皮膚外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧品や医薬部外品に添加される公知の添加剤、たとえば、界面活性剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定化剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、パール光沢付与剤などを添加することができる。添加剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0121】
界面活性剤としては、たとえば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタンのようなソルビタン脂肪酸エステル類;モノステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸のようなグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリン脂肪酸類;モノステアリン酸プロピレングリコールのようなプロピレングリコール脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO−40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80などの硬化ヒマシ油誘導体;モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタンのようなポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル;グリセリンアルキルエーテル;アルキルグルコシド;ポリオキシエチレンセチルエーテルのようなポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ステアリルアミン、オレイルアミンのようなアミン類;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンのようなシリコーン系界面活性剤などをあげることができる。
【0122】
なかでも、グリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸グリセリル)、ポリグリセリン脂肪酸類(特に、モノステアリン酸ポリグリセリル)、硬化ヒマシ油誘導体(特に、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO−50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO−60))、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(特に、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60))、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(特に、ポリオキシエチレンセチルエーテル)、シリコーン系界面活性剤(特に、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)が好ましい。
【0123】
保存剤、防腐剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノールなどをあげることができる。なかでも、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、フェノキシエタノールが好ましい。
【0124】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸など)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、ε−アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸など)、グルコノラクトン、酢酸アンモニウム、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジンなど)などをあげることができる。なかでも、コハク酸、コハク酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。
【0125】
キレート剤としては、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA−2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸などをあげることができる。なかでも、エデト酸ナトリウムが好ましい。
【0126】
安定化剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどをあげることができる。
【0127】
刺激低減剤としては、甘草エキス、アルギン酸ナトリウム、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンなどをあげることができる。
【0128】
着色剤としては、無機顔料、天然色素などをあげることができる。
【0129】
パール光沢付与剤としては、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコールなどをあげることができる。なかでも、ジステアリン酸エチレングリコールが好ましい。
【0130】
[その他の活性成分]
本発明において、皮膚外用組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、老化防止成分、角質柔軟成分、細胞賦活化成分、ビタミン類、血行促進成分、保湿成分、DNAの損傷の予防および、/または修復作用を有する成分、紫外線散乱成分、洗浄成分、抗菌成分、収斂成分などの、化粧品や医薬部外品に添加しうる他の活性成分を配合することができる。他の活性成分は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0131】
抗シワ、老化防止成分としては、加水分解大豆タンパク、レチノイド(レチノールおよびその誘導体、レチノイン酸、レチナールなど)、パンガミン酸、カイネチン、ウルソール酸、ウコンエキス、スフィンゴシン誘導体、ケイ素、ケイ酸、N−メチル−L−セリン、メバロノラクトンなどをあげることができる。なかでも、アルテミアエキス、加水分解大豆タンパク、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールが好ましい。
【0132】
角質柔軟成分としては、ラノリン、尿素、αヒドロキシ酸(フィチン酸、乳酸、乳酸塩、グリコール酸、サリチル酸、リンゴ酸など)、クエン酸などをあげることができる。なかでも、乳酸、乳酸ナトリウム、グリコール酸、サリチル酸、フィチン酸が好ましい。
【0133】
細胞賦活化成分としては、植物(たとえば、ビルベリー)に由来する成分;γ−アミノ酪酸、ε−アミノプロン酸などのアミノ酸類;レチノールおよびその誘導体、チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、パントテン酸類などのビタミン類;グリコール酸、乳酸などのα−ヒドロキシ酸類;タンニン、フラボノイド、サポニン、アラントイン、感光素301号などをあげることができる。なかでも、ビルベリー葉エキス、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールが好ましい。
【0134】
ビタミン類としては、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのレチノール誘導体、レチナール、レチノイン酸、レチノイン酸メチル、レチノイン酸エチル、レチノイン酸レチノール、d−δ−トコフェリルレチノエート、α−トコフェリルレチノエート、β−トコフェリルレチノエートなどのビタミンA類;β−カロチン、α−カロチン、γ−カロチン、δ−カロチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノンなどのプロビタミンA類;δ−トコフェロール、α−トコフェロール、β−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、δ−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;リボフラビン、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチド、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビンテトラ酪酸エステル、リボフラビン5’−リン酸エステルナトリウム、リボフラビンテトラニコチン酸エステルなどのビタミンB2類;ニコチン酸メチル、ニコチン酸、ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類;ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸L−アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、デヒドロアスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、2−O−エチルアスコルビン酸、3−O−エチルアスコルビン酸などのビタミンC類;メチルヘスペリジン、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなどのビタミンD類;フィロキノン、ファルノキノンなどのビタミンK類;ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩、チアミン塩酸塩、チアミンセチル塩酸塩、チアミンチオシアン酸塩、チアミンラウリル塩酸塩、チアミン硝酸塩、チアミンモノリン酸塩、チアミンリジン塩、チアミントリリン酸塩、チアミンモノリン酸エステルリン酸塩、チアミンモノリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル、チアミンジリン酸エステル塩酸塩、チアミントリリン酸エステル、チアミントリリン酸エステルモノリン酸塩などのビタミンB1類;塩酸ピリドキシン、酢酸ピリドキシン、塩酸ピリドキサール、5’−リン酸ピリドキサール、塩酸ピリドキサミンなどのビタミンB6類、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミンなどのビタミンB12類;葉酸、プテロイルグルタミン酸などの葉酸類;パントテン酸、パントテン酸カルシウム、パントテニルアルコール(パンテノール)、D−パンテテイン、D−パンテチン、補酵素A、パントテニルエチルエーテルなどのパントテン酸類;ビオチン、ビオシチンなどのビオチン類;そのほか、カルニチン、フェルラ酸、α−リポ酸、オロット酸、γ−オリザノールなどのビタミン様作用因子などをあげることができる。
【0135】
なかでも、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなどのビタミンA類;アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、テトライソパルミチン酸アスコルビル(テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル)、2−O−エチルアスコルビン酸、3−O−エチルアスコルビン酸などのビタミンC類;δ−トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなどのビタミンE類;ニコチン酸アミドなどのニコチン酸類が好ましい。
【0136】
血行促進作用成分としては、植物(たとえば、オタネニンジン、アシタバ、アルニカ、イチョウ、ウイキョウ、エンメイソウ、オランダカシ、カミツレ、ローマカミツレ、カロット、ゲンチアナ、ゴボウ、コメ、サンザシ、シイタケ、セイヨウサンザシ、セイヨウネズ、センキュウ、センブリ、タイム、チョウジ、チンピ、トウキ、トウニン、トウヒ、ニンジン、ニンニク、ブッチャーブルーム、ブドウ、ボタン、マロニエ、メリッサ、ユズ、ヨクイニン、ローズマリー、ローズヒップ、チンピ、トウキ、トウヒ、モモ、アンズ、クルミ、トウモロコシ)に由来する成分;ニコチン酸トコフェロール、グルコシルヘスペリジン、ヘスペリジンをあげることができる。なかでも、オタネニンジンエキス、ニコチン酸トコフェロール、グルコシルヘスペリジン、ヘスペリジンが好ましい。
【0137】
保湿成分としては、植物(たとえば、チガヤ)に由来する成分;アラニン、セリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニンのようなアミノ酸およびその誘導体;コラーゲン、ゼラチン、エラスチンのようなタンパク質やペプチド、その加水分解物;グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリンなどの多価アルコール;ソルビトールのような糖アルコール;レシチン、水素添加レシチンのようなリン脂質;ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、ヘパリン、コンドロイチンのようなムコ多糖;乳酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素のようなNMF由来成分;ポリグルタミン酸;MPCポリマー(たとえば、LIPIDURE(商標)など)などのリン脂質極性基を有する高分子;ポリオキシプロピレンメチルグルコシド;PPG−10メチルグルコース(たとえば、マクビオブライド MG(商標)シリーズ(日油株式会社製)等)、PEG/PPG/ポリブチレングリコール−8/5/3グリセリン(たとえば、ウィルブライド(商標)S−753(日油株式会社製));トリメチルグリシン(ベタイン);ヒドロキシエチルウレア;アクリル酸・アクリルアミド・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体;ソルビトールなどをあげることができる。なかでも、チガヤ根エキス、加水分解コラーゲン、加水分解エラスチン、MPCポリマーグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、トリメチルグリシン(ベタイン)、ヒドロキシエチルウレア、アクリル酸・アクリルアミド・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、水素添加レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、ソルビトールが好ましい。
【0138】
DNAの損傷の予防および、/または修復作用を有する成分としては、動物(たとえば、アルテミア)に由来する成分;植物(たとえば、キャッツクロー)に由来する成分;DNA、DNA塩、RNA、RNA塩などの核酸成分をあげることができる。なかでも、アルテミアエキス、DNA−Naが好ましい。
【0139】
紫外線散乱成分としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸チタン、ケイ酸亜鉛、無水ケイ酸、ケイ酸セリウム、含水ケイ酸などの無機化合物や、それらの無機化合物を含水ケイ酸、水酸化アルミニウムで被覆したもの、マイカやタルクなどの無機粉体に被覆したもの、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエステル、ポリスチレン、ナイロンなどの樹脂粉体に複合化したもの、さらにシリコン油や脂肪酸アルミニウム塩などで処理したものなどをあげることができる。なかでも、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄などの無機化合物や、これらの無機化合物を水酸化アルミニウム、含水ケイ酸、マイカやタルクなどの無機粉体やシリコン油で被覆したものが好ましい。
【0140】
洗浄成分としては、ポリオキシアルキレンアルキル(またはアルケニル)エーテル硫酸塩、アルキル(またはアルケニル)硫酸塩、高級脂肪酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化タウレートなどのアニオン界面活性剤;アミンオキサイド、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油などの非イオン界面活性剤;アルキレンオキサイドが付加していてもよい、直鎖または分岐鎖の長鎖アルキル基を有するモノまたはジ長鎖アルキル第4級アンモニウム塩などのカチオン界面活性剤;カルボベタイン、スルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、アミドベタインなどの両性界面活性剤をあげることができる。
【0141】
なかでも、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤が好ましい。アニオン界面活性剤では、高級脂肪酸塩(特に、パルミチン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸の塩)、N−アシルアミノ酸塩(特に、N−ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム、水酸化カリウム/N−ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム、ミリストイルグルタミン酸)が好ましい。非イオン界面活性剤では、脂肪酸アルカノールアミド(特に、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド)、アミンオキサイド(特に、ヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド)が好ましい。両性界面活性剤では、イミダゾリニウムベタイン(特に、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム)が好ましい。
【0142】
抗菌成分としては、クロルヘキシジン、サリチル酸、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、クレゾール、グルコン酸およびその誘導体、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシンなどをあげることができる。なかでも、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸およびその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、トリクロカルバン、トリクロサン、感光素101号、感光素201号、パラベン、フェノキシエタノール、1,2−ペンタンジオール、塩酸アルキルジアミノグリシンが好ましく、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸およびその誘導体、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノールがより好ましい。
【0143】
収斂成分としては、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウムなどの金属塩;タンニン酸、クエン酸、乳酸、コハク酸などの有機酸をあげることができる。なかでも、ミョウバン、クロロヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインアルミニウム塩、硫酸アルミニウムカリウム、タンニン酸が好ましい。
【0144】
[製剤形態]
また、本発明における皮膚外用組成物は、各成分を常法に従って、たとえば、混合撹拌することにより調製できる。
【0145】
本発明における皮膚外用組成物は、薬剤の形態は特に限定されず、化粧品または医薬部外品の形態として公知の形態を採ることができる。このような公知の形態として、たとえば、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤、パウダー剤、パップ剤、不織布などのシートに薬液を含浸させたシート剤、リップスティックのようなスティック剤などをあげることができる。なかでも、使用感が良い点で、液剤、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤が好ましく、液剤、乳剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤がより好ましい。また、特に上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩は、基剤への溶解性(特に親水性)に優れ、製剤化(水溶性剤))が容易であることから、水溶液、水系懸濁液、水系乳液、水性ジェル、水系ローションの製剤形態が好適である。また、製剤に応じて水中油型(O/W)、油中水型(W/O)など、使用目的や所望の使用感に応じて、適宜選択できる。
【0146】
また、化粧品組成物の具体的な用途は特に限定されず、化粧水、乳液、クリーム、美容液、日焼け止め用化粧品、パック、ハンドクリーム、ボディローション、ボディークリームのような基礎化粧品;洗顔料、メイク落とし、ボディーシャンプー、シャンプー、リンスのような洗浄用化粧品;ファンデーション、コンシーラー、化粧下地、リップクリーム、口紅、チークカラーのようなメークアップ化粧品;入浴剤などをあげることができる。
【0147】
本発明の皮膚外用組成物が、上記いずれの形態を取る場合でも、上記ベンジリデンアゾリジン誘導体またはその塩、および、特定の薬剤(紫外線吸収剤、抗酸化剤、美白有効成分、抗炎症成分、および、増粘成分)の総含有量は、0.00001重量%以上50重量%以下の含有量とすることができ、0.0001重量%以上20重量%以下であってもよく、0.001重量%以上10重量%以下であってもよく、0.005重量%以上5重量%以下であってもよく、0.01重量%以上3重量%以下であってもよく、0.05重量%以上1重量%以下であってもよい。
【実施例】
【0148】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0149】
H−NMRスペクトルの測定>
H−NMRスペクトルの測定は、核磁気共鳴装置(日本電子社製、JNM−ECP500)を用いて行った。より詳細には、H−NMRスペクトルの測定は、溶媒としてDMSO−dを用い、内部標準としてテトラメチルシランを用いて行った。
【0150】
<UVスペクトルの測定>
UVスペクトルの測定は、分光光度計(島津製作所社製、UV−4250)を用いて行った。より詳細には、UVスペクトルの測定は、溶媒としてエタノールを用い、試料溶液の濃度5ppmで、光路長1cmの石英セルを用いて行った。なお、吸光度は、Lambert−beerの法則に従って、Ioを空のセルの透過光強度、Iが試料セルの透過光強度とした場合、吸光度=−log10(I/I)で算出した。また、得られたUVスペクトルにおける吸光度が最大となる波長をλmax(nm)とした。
【0151】
<親水性評価>
得られた化合物(1)を、以下に示す試験溶媒に溶解させ、性状確認を行うとともに、試験溶媒100g対する25℃における溶解度(g/100g試験溶媒)を測定した。
・試験溶媒:ジプロピレングリコール、エタノール、および、精製水を、それぞれ10質量%、10質量%および、80質量%の量で含む混合溶媒(ただし、ジプロピレングリコール、エタノール、および、精製水の合計量を100質量%とする。)
【0152】
なお、溶解度の違いによって以下のように親水性評価を行った。
・1.0以上(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が特に高い
・0.2以上〜1.0未満(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が高い
・0.1以上〜0.2未満(g/100g試験溶媒)の場合:親水性が乏しい
・0.1未満(g/100g試験溶媒)の場合、固体浮遊物のある場合:親水性がない
【0153】
〔実施例1〕
(化合物(1)の合成)
300mLナス型フラスコ中で、4−ヒドロキシベンズアルデヒド14.7g(120mmol)に、2−(2−クロロエトキシ)エタノール16.4g(132mmol)、炭酸カリウム33.2g(240mmol)、アセトニトリル150mLを加えて、105℃で14時間撹拌しながら加熱した。さらに、2−(2−クロロエトキシ)エタノール1.49g(12.0mmol)を加えて、105℃で30時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を34.6g得た。
【0154】
これに水を80mL加えて、別に用意した200mLナス型フラスコ中に移し替え、ヒダントイン15.6g(156mmol)、28%アンモニア水14.4gを加えて、90℃で12時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、濾過によって析出した結晶を回収した。その後、水で2回、エタノールで2回、結晶の洗浄を行った。乾燥後、5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]ヒダントインを29.6g得た。
【0155】
続いて、得られたうちの17.5g(60.0mmol)に、200mLナス型フラスコ中で、2−(2−クロロエトキシ)エタノール7.47g(60mmol)、炭酸カリウム20.0g(145mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド80mLを加えて、110℃で3時間撹拌しながら加熱した。反応混合液が室温まで冷えた後、セライト濾過によって固形物を除去した。溶剤を減圧下にて留去し、白い固形物の混ざった黄色粘性物質を30.5g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;イソプロパノール:トルエン=1:3)によって精製し、黄色の結晶を9.21g得た。これをエタノールで活性炭処理し、再結晶させることで、下記化合物(1)を6.56g得た(収率;25%)。
【化28】

5−[4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンジリデン]−3−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ヒダントイン(化合物(1))
【0156】
(化合物(1)のスペクトルデータ等)
UVスペクトル:λmax;335nm、吸光度;0.43(エタノール)。
H−NMRスペクトル:δ〔ppm、DMSO−d〕=3.41−3.46(m,4H),3.48−3.53(m,4H),3.60(m,2H),3.64(m,2H),3.75(t,2H),4.15(t,2H),4.61(t,1H),4.67(t,1H),6.52(s,1H),6.99(d,2H),7.62(d,2H),10.71(s,1H)。
溶解度:2.0(g/100g試験溶媒)、親水性が特に高い。
【0157】
〔実施例2〜8、比較例1〕
(試験例1:抗酸化剤による光安定化効果)
下記表1の配合に基づき試験液を調製し、ポリメタクリル酸メチルプレート上に2mL/cmをそれぞれ塗布した。そのうち、光を照射するプレート(照射試料)を、光照射装置であるサンテスター(SUNTEST XLS+;東洋精機製作所社製)を用いて、放射照度500W/mで10分間光照射した。その間、光を照射しないプレート(未照射試料)は同温度(35±2℃)で同時間、暗所で保管した。その後、未照射試料および、照射試料を50mLのエタノールに浸し、それらを15分間超音波で処理することによって、化合物(1)を抽出した。
【0158】
得られた溶液を紫外可視分光光度計(UV−2450;島津製作所社製)で分析し、化合物(1)の残存率を算出した。より詳細には、照射試料の320−400nmにおける吸光度曲線下面積値(AUC)を、未照射試料のAUCで除した値を式1によりそれぞれ求めた。計算式は以下に示す通りである。
[式1]
[(照射試料のAUC)/(未照射試料のAUC)]×100 (%)
【0159】
また、化合物(1)の安定性向上率を、比較例1の値に対する相対値として、式1により算出した化合物(1)残存率を用い、式2に準じて算出した。
[式2]
[(各実施例の化合物(1)残存率)/(比較例の化合物(1)残存率)]×100)−100 (%)
【0160】
得られた結果を表1に示す。
【表1】

上記表1からわかるように、上記抗酸化剤を併用することにより、化合物(1)の光安定性が向上することが確認された。
【0161】
〔実施例9〜12〕
(試験例2:紫外線吸収剤による光安定化効果)
下記表2の配合に基づき試験液を調製し、試験例1と同様の方法で化合物(1)の残存率を求めた。また、また、紫外線吸収剤はそれ自身が320−400nmにおいてUV吸収があるため、化合物(1)未配合の試料を別に調製し、同様にAUCを求めて、それらを差し引くことで、紫外線吸収剤自身のAUCの増加分が直接結果に影響しないように、式3に従い補正した。
[式3]
[(照射試料のAUC−化合物(1)未配合の照射試料のAUC)/(未照射試料のAUC−化合物(1)未配合の未照射試料のAUC)]×100(%)
【0162】
また、化合物(1)の安定性向上率を、比較例1の値に対する相対値として上記式3により算出した化合物(1)残存率を用い、式2に準じて算出した。
【0163】
得られた結果を表2に示す。
【表2】

上記表2からわかるように、上記紫外線吸収剤を併用することにより、化合物(1)の光安定性が向上することが確認された。
(用いた試薬)
・3,3’−カルボニルビス[4−ヒドロキシ−6−メトキシベンゼンスルホン酸]ジナトリウム(ユビナールDS49)
・ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸(ユビナールMS40)
・オクトクリレン(ユビナール539N)
【0164】
〔実施例13〜16、比較例2〕
(試験例3:増粘剤による光安定化効果)
下記表3の配合に基づき配合した試料を、約pH6〜7となるように調製し、ガラスバイアル(スクリューキャップ)に充填し、25℃で恒温化後、UV照射前の測定用サンプルとした。上記サンプルをサンテスター(SUNTEST XLS+;東洋精機製作所社製)を用いて、放射照度350W/mで1時間光照射した。上記サンプルを25℃で恒温化後、ポリメタクリル酸メチルプレート上に2mL/cmをそれぞれ塗布した。次いで、スペクトルメーター(ISV722 付属 JASCO社製 V−650 SPECTROPHOTOMETER)を用いて、UV照射サンプルの吸光度を測定し、化合物(1)の吸収極大である340nmにおける吸光度の変化率を式4により求めた。
[式4]
化合物(1)残存率(%)=[(照射後サンプルの吸光度)/(照射前サンプルの吸光度)]×100
【0165】
また、化合物(1)の安定性向上率を、比較例2の値に対する相対値として上記式3に準じて算出した。
【0166】
得られた結果を表3に示す。
【表3】

上記表3からわかるように、上記増粘剤を併用することにより、化合物(1)の光安定性が向上することが確認された。
【0167】
〔実施例17〜19、比較例3〕
(試験例4:美白剤、抗炎症剤による光安定化効果)
下記表4の配合に基づき配合した試料を調製し、ガラスバイアル(スクリューキャップ)に充填し、25℃で恒温化後、UV照射前の測定用サンプルとした。上記サンプルをサンテスター(SUNTEST XLS+;東洋精機製作所社製)を用いて、放射照度500W/mで20分間光照射した。その後、エタノールにて100倍に希釈したサンプルを、1mLずつ24well plateに移し、マイクロプレートリーダーにて化合物(1)の吸収極大である340nmにおける吸光度を測定し、化合物(1)の変化率および、安定性向上率を試験例3と同様にして求めた。
【表4】

上記表4からわかるように、上記美白剤、抗炎症剤を併用することにより、化合物(1)の光安定性が向上することが確認された。
【0168】
〔実施例20〜22、比較例4〜6〕
(試験例5:紫外線吸収剤による紫外線吸収能増強効果)
下記表5の配合に基づき配合した試料を、約pH6〜7となるように調製し、ガラスバイアル(スクリューキャップ)に充填し、25℃で恒温化後、測定用サンプルとした。上記各サンプルをポリメタクリル酸メチルプレート上に2mL/cmをそれぞれ塗布した。次いで、スペクトルメーター(ISV722 付属 JASCO社製 V−650 SPECTROPHOTOMETER)を用いて、上記各サンプルの吸光度を測定した。
【表5】

(用いた試薬)
・パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル:ユビナールMC80
・2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル:ユビナールAプラス
図1〜3からわかるように、上記紫外線吸収剤を併用することにより、主に吸収極大における紫外線吸収能が向上していることが確認された。
【0169】
〔実施例23〜35、比較例7〜18〕
(試験例6:紫外線吸収剤による紫外線吸収能評価)
下記表6〜10の配合に基づき配合した試料を、約pH6〜7となるように調製し、10mLガラスバイアル(スクリューキャップ)に10gずつ充填し、25℃で恒温化後、UV照射前の測定用サンプルとした。各サンプルを、ポリメタクリル酸メチルプレート上に2mL/cm2をそれぞれ塗布した。次いで、スペクトルメーター(ISV722 付属 JASCO社製 V−650 SPECTROPHOTOMETER)を用いて、各処方におけるスペクトルの変化(図4〜8)をみた。
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

上記表6〜10および図4〜8からわかるように、本願実施例である上記紫外線吸収剤(UV−B派吸収剤)と併用した場合であってもUV吸収能に悪影響を及ぼさないことも確認された。また、ガラスセル、石英セルいずれであっても特に値に影響がなかった。
【0170】
〔実施例36〜39〕
(試験例7:美白剤、抗炎症剤による光安定化効果)
下記表11の配合に基づき配合した試料を、約pH6〜7となるように調製し、10mLガラスバイアル(スクリューキャップ)に10gずつ充填し、25℃で恒温化後、UV照射前の測定用サンプルとした。上記サンプルをサンテスター(SUNTEST XLS+;東洋精機製作所社製)を用いて、放射照度350W/mで1時間光照射した。上記サンプルを25℃で恒温化後、ポリメタクリル酸メチルプレート上に2mL/cmをそれぞれ塗布した。次いで、スペクトルメーター(ISV722 付属 JASCO社製 V−650 SPECTROPHOTOMETER)を用いて、UV照射サンプルの吸光度を測定し、紫外線照射前後における化合物(I)のスペクトルの変化をみた。
【表11】

上記表11からわかるように、上記美白剤、抗炎症剤を併用することにより、化合物(1)の光安定性が向上することが確認された。
【0171】
以下、本発明における製剤例を記載する。各製剤例のpHは4〜8に調整した。
【表12】

【表13】

表中の紫外線吸収剤内包カプセルとは、紫外線吸収剤としてパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、もしくはオクトクリレンを、スチレンおよびその誘導体、もしくは(メタ)アクリル酸およびその誘導体を原料をするマイクロカプセルに内包したものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8