(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
TFDB(2,2’−bis trifluoromethyl−4,4’−biphenyl diamine)に由来する単位構造、6FDA(4,4’−(hexa−fluoroisopropylidene)diphthalicanhydride)に由来する単位構造、BPDA(3,3’,4,4’−Biphenyltetracarboxylic Dianhydride)に由来する単位構造およびTPC(Terephthaloylchloride又は1,4−benzenedicarbonyl chloride)に由来する単位構造が共重合された共重合樹脂を含み、
前記共重合樹脂は、TFDBに由来する単位構造:6FDAに由来する単位構造とBPDAに由来する単位構造との和:TPCに由来する単位構造が1:0.2〜0.8:0.8〜0.2のモル比で共重合されたことを特徴とする、共重合ポリアミド−イミドフィルム。
前記6FDAに由来する単位構造とBPDAに由来する単位構造との和において、前記6FDAに由来する単位構造:前記BPDAに由来する単位構造は1:0.2〜4のモル比であることを特徴とする、請求項1に記載の共重合ポリアミド−イミドフィルム。
TFDB、6FDAおよびBPDAを溶液反応させて第1重合体を得る第1重合段階と、前記第1重合段階によって得られた第1重合体とTPCを溶液反応させる第2重合段階とを含んでポリアミド酸溶液を製造するポリアミド酸製造工程;および
前記ポリアミド酸製造工程によって製造されたポリアミド酸溶液をイミド化触媒の存在下で化学的イミド化反応させるイミド化工程を含むことを特徴とする、共重合ポリアミド−イミドの製造方法。
前記ポリアミド酸製造工程において、TFDB、6FDAおよびBPDAの第1重合段階はTFDB100mole%に対してXmole%の6FDAおよびYmole%のBPDAを溶液反応させて第1重合体を得て、第2重合段階は前記第1重合体と100−(X+Y)mole%のTPCを溶液反応させること(X+Yは20〜80である)を特徴とする、請求項4に記載の共重合ポリアミド−イミドの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る共重合ポリアミド−イミドフィルムは、TFDB(2,2’−bis trifluoromethyl−4,4’−biphenyl diamine)に由来する単位構造、6FDA(4,4’−(hexa−fluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)に由来する単位構造、BPDA(3,3’,4,4’−Biphenyltetracarboxylic Dianhydride)に由来する単位構造およびTPC(Terephthaloyl chloride又は1,4−benzenedicarbonyl chloride)に由来する単位構造が共重合された樹脂を含み、前記共重合された樹脂は10,000〜400,000の重量平均分子量を有し得る。
【0011】
すなわち、本発明に係る共重合ポリアミド−イミドフィルムは、ポリアミド成分として、TFDB由来の単位構造とTPC由来の単位構造とが重合されたものを含み、ポリイミド成分として、TFDB由来の単位構造、6FDA由来の単位構造およびBPDA由来の単位構造が共重合されたものを含むものであって、ポリアミド成分とポリイミド成分のジアミン系単位構造を共通にTFDBとし、ポリイミド成分をTFDBに対して6FDAとBPDが共重合されたポリイミド成分とすることにより、これにより形成される共重合ポリイミド成分の高いガラス転移温度および優れる光学特性、樹脂の高い溶解度、並びにフィルムに製造されたときの優れる熱膨張係数(CTE)および高い表面硬度を実現し、かつこれにより形成されるポリアミド成分の低い熱膨張係数と高い機械的性質を同時に実現することにより、透明でありながらも耐熱性、熱膨張係数および表面硬度に優れるフィルムを製造することができる。
【0012】
これらのポリアミド成分と共重合ポリイミド成分とが互いに共重合されることにより、共重合ポリイミド成分の優れた熱的・機械的特性およびポリアミド成分の優れた光学的特性が分離されず、単一の共重合物として特性が発現できるのである。
【0013】
ここで、前記共重合された樹脂は、TFDBに由来する単位構造:6FDAに由来する単位構造とBPDAに由来する単位構造との和:TPCに由来する単位構造が1:0.2〜0.8:0.8〜0.2のモル比で共重合されることにより、ポリアミド成分および共重合ポリイミド成分のそれぞれの特性が有意に発現できるようにすることができ、ポリアミド成分による光学的特性とポリイミド成分による熱的・機械的特性を最適化させることができる。
【0014】
TPC由来の単位構造を0.2より大きくすることにより、ポリアミド成分の光学的特性が十分に発現できるようにすることができ、TPC由来の単位構造を0.8より小さくすることにより、共重合の際に重合度の制御を容易にして均一な物性を実現する共重合体を製造することができる。
【0015】
また、前記6FDAに由来する単位構造とBPDAに由来する単位構造との和において、前記6FDAに由来する単位構造:前記BPDAに由来する単位構造は1:0.2〜4のモル比であることが好ましい。BDPAの含量を6FDAに対して0.2モル比以上にすることにより、共重合ポリアミド−イミドフィルムの熱膨張係数および表面硬度を十分に向上させることができ、4モル比以下にすることにより、共重合ポリアミド−イミドフィルムの平均透過度および黄色度が優れるように維持することができる。
【0016】
また、前記TFDB由来の単位構造、6FDA由来の単位構造、BPDA由来の単位構造およびTPC由来の単位構造が共重合された共重合樹脂は、10,000〜400,000の重量平均分子量を有する。共重合された樹脂の重量平均分子量が10,000未満である場合は、低分子量によりポリアミド−イミド共重合フィルムの機械的物性だけでなく耐熱および光学物性が低下する問題があり、共重合された樹脂の重量平均分子量が400,000超過である場合は、高い粘度によりポリアミド−イミド共重合フィルムの取り扱いおよび工程上難しい問題がある。
【0017】
本発明に係る共重合ポリアミド−イミドの製造方法は、TFDB、6FDAおよびBPDAを溶液反応させて第1共重合体を得る第1重合段階と、前記第1重合段階で得られた前記第1共重合体とTPCを溶液反応させる第2重合段階とを含んでポリアミド酸溶液を製造するポリアミド酸製造工程;および前記ポリアミド酸製造工程によって製造されたポリアミド酸溶液をイミド化触媒の存在下で化学的イミド化反応させるイミド化工程を含んでなる。
【0018】
すなわち、本発明に係る共重合ポリアミド−イミドの製造方法は、共重合ポリアミド酸を製造する工程において、TFDB、6FDAおよびBPDAを溶液反応させる第1重合段階をまず行って共重合ポリアミド酸成分を先に重合し、しかる後に、TPCを添加してポリアミド成分を重合する第2重合段階を行うことにより、共重合ポリアミド酸成分を先に重合した後にポリアミド成分を共重合するのである。
【0019】
ポリアミド成分をまず重合する場合には、粘度があまり急激に増加し、ポリアミド酸成分に対するポリアミド成分の反応が均一に起こらないおそれがあり、ポリアミド成分がポリアミド酸成分に比べて相対的に溶解度に劣るから、溶液の白濁現象が起こって溶媒との相分離が起こるおそれがあって、ポリアミド酸成分を先に重合することが有利である。
【0020】
もしポリアミド酸とポリアミドをそれぞれ重合して連結剤を用いて連結させる場合、連結剤の量によっては、一定の部分がポリアミド酸とポリアミドの共重合体として連結されず別々にそれぞれ存在する部分が生じて物性の低下を起こす。
【0021】
前記ポリアミド酸製造工程において、TFDB、6FDA及びBPDAの第1重合段階はTFDB100mole%に対してXmole%の6FDAおよびYmole%のBPDAを溶液反応させ第1重合体を得て、第2重合段階は、第1重合体と100−(X+Y)mole%のTPCを溶液反応させること(X+Yは20〜80である)が好ましい。
【0022】
ここで、前記イミド化工程において、イミド化触媒は、通常のイミド化触媒であれば使用可能であり、ピリジンおよび無水酢酸を同時に使用することができる。
【0023】
本発明に係る共重合ポリアミド−イミドフィルムは、上述した本発明の共重合ポリアミド−イミドの製造方法によって製造された共重合ポリアミド−イミドを用いて通常のポリイミドフィルムの製造方法によって製造することができる。
【0024】
以下、本発明を実施するための具体的な内容として実施例を詳細に説明する。
【0025】
<実施例1>
共重合ポリアミド−イミドの製造
反応器として、攪拌器、窒素注入装置、滴下漏斗、温度調節器および冷却器を取り付けた1.5Lの反応器に窒素を通過させながらN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)769gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、TFDB64.046g(0.2mol)を溶解し第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA8.885g(0.02mol)とBPDA17.653g(0.06mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、TPC24.362g(0.12mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0026】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して25℃で30分攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて108gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0027】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記108gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを722gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。こうして得られた溶液をステンレス板に塗布した後、390μmの厚さにキャストし、130℃の熱風で30分乾燥させた後、フィルムをステンレス板から剥離してフレームにピンで固定した。フィルムが固定されたフレームを真空オーブンに入れ、100℃から300℃まで2時間ゆっくり加熱した後、徐々に冷却してフレームから分離してポリアミド−イミドフィルムを得た。その後、最終熱処理工程としてポリアミド−イミドフィルムをさらに300℃で30分間熱処理した(厚さ50μm)。
【0028】
<実施例2>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)789gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA17.77g(0.04mol)とBPDA11.769g(0.04mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC24.362g(0.12mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0029】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて111gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0030】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記111gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを742gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0031】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0032】
<実施例3>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)809gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA26.655g(0.06mol)とBPDA5.584g(0.02mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC24.362g(0.12mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0033】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて114gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0034】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記114gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを763gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0035】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0036】
<実施例4>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)781gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA8.885g(0.02mol)とBPDA23.538g(0.08mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC20.302g(0.10mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0037】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン16gおよび無水酢酸21gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて110gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0038】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記110gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを736gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0039】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0040】
<実施例5>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)801gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA17.77g(0.04mol)とBPDA17.653g(0.06mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC20.302g(0.10mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0041】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン16gおよび無水酢酸21gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて110gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0042】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記110gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを736gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0043】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0044】
<実施例6>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)821gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA17.77g(0.06mol)とBPDA17.653g(0.04mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC20.302g(0.10mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0045】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン16gおよび無水酢酸21gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて116gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0046】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記116gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを776gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0047】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0048】
<実施例7>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)841gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA35.54g(0.08mol)とBPDA5.884g(0.02mol)を投入した後、一定の時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC20.302g(0.10mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0049】
前記ポリアミド酸溶液にピリジン16gおよび無水酢酸21gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて118gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0050】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記118gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを790gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0051】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0052】
<比較例1>
ポリイミドの製造
N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)611gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、反応器においてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA88.85g(0.2mol)を添加し、固形分の濃度が20重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0053】
ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、攪拌されたポリアミド酸溶液にピリジン31.64gおよび無水酢酸40.91gを投入して30分25℃で攪拌した後、さらに80℃で2時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20L入りの容器に徐々に投入して沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて136gのポリイミド粉末を得た。
【0054】
ポリイミドフィルムの製造
前記136gの固形分粉末のポリイミド790gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして20wt%の溶液を得た。その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0055】
<比較例2>
ポリアミドの製造
前記実施例1において、反応器の大きさを2LにしてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)1203gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、反応器においてN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液にTPC40.6g(0.2mol)を添加し、1時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得てた。この際、第2溶液の温度は25℃に維持し、固形分の濃度が8重量%のポリアミド酸溶液を得た。ポリアミド酸溶液を蒸留水20L入りの容器に徐々に投入して沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて101gの固形分粉末のポリアミド粉末を得た。
【0056】
ポリアミドフィルムの製造
前記固形分粉末のポリアミド101gを1161gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして8wt%の溶液を得た。その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0057】
<比較例3>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)829gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA35.54g(0.08mol)を添加し、1時間攪拌して溶解および反応させて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC24.362g(0.12mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0058】
前記ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して30分室温で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて118gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0059】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記118gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを788gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0060】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0061】
<比較例4>
共重合ポリアミド−イミドの製造
前記実施例1において、1.5Lの反応器にN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)861gを充填し、反応器の温度を25℃に合わせた後、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)にTFDB64.046g(0.2mol)を溶解して第1溶液を得て、この第1溶液を25℃に維持した。第1溶液に6FDA44.425g(0.1mol)を添加し、1時間攪拌して溶解および反応させたて第2溶液を得た。この際、第2溶液の温度は25℃に維持した。そして、第2溶液にTPC20.302g(0.1mol)を添加し、固形分の濃度が13重量%のポリアミド酸溶液を得た。
【0062】
前記ポリアミド酸溶液を常温で8時間攪拌し、前記ポリアミド酸溶液にピリジン13gおよび無水酢酸17gを投入して30分室温で攪拌した後、さらに70℃で1時間攪拌して常温に冷やし、これをメタノール20Lに沈澱させ、沈澱した固形分を濾過して粉砕した後、100℃、真空で6時間乾燥させて122gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを得た。
【0063】
共重合ポリアミド−イミドフィルムの製造
前記122gの固形分粉末の共重合ポリアミド−イミドを816gのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶かして13wt%の溶液を得た。
【0064】
その後、前記実施例1と同様の方法でポリイミドフィルムを製造した。
【0065】
<物性評価方法>
(1)平均透過度
実施例及び比較例で製造されたフィルムをUV分光計(コニカミノルタ社製、CM−3700d)を用いて380〜780nmでの平均透過度を測定した。
【0066】
(2)黄変度(Yellow Index、Y.I.)
UV分光計(コニカミノルタ社製、CM−3700d)を用いて380〜780nmでの実施例及び比較例の黄変度をASTM E313規格で測定した。
【0067】
(3)熱膨張係数(CTE)
TMA(Thermo-mechanical analyzer、Perkin Elmer社製、Diamond TMA)を用いてTMA法によって2回にわたって50〜260℃での、実施例及び比較例の熱膨張係数を測定した。昇温速度を10℃/minとし、荷重を100mNとした。一番目の値を除いて2番目の値を提示した。その理由はフィルムを製膜し、熱処理によってフィルム内に残留応力が残っているおそれがあるので、一番目のRunで残留応力を完全に除去した後、2番目の値を実測定値として提示した。
【0068】
(4)厚さ測定
Anritsu Electronic Micrometerで、実施例及び比較例の厚さを測定した。装置の偏差は±0.5%以下である。
【0069】
(5)硬度測定
鉛筆硬度測定器を用いて荷重を500gとし、鉛筆速度を15mm/minとしてASTM D3363規格で、実施例及び比較例の硬度を測定した。