(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の圧搾装置にあっては、外側ローラーと内側ローラーとの間に予め形成された一定の隙間に、圧搾対象物が噛み込まれて圧搾される構成であり、投入する圧搾対象物の大きさや形状によって圧搾率が異なり、一定の圧搾率が得にくい問題があった。
また、外側ローラーと内側ローラーとの間に形成された隙間が一定であって、この一定の隙間に圧搾対象物が噛み込まれて前方へ移動しながら圧搾される構成である。そのため、外側ローラーと内側ローラーとの間の隙間を小さくすると、圧搾率を高くできるものの圧搾対象物を噛みこむことができなくなり、結果的に、圧搾率を高く設定することができない問題があった。
以上をより詳細に説明すると、外側ローラーと内側ローラーとの間に形成された隙間に対して、入側の圧搾対象物の厚みと密度との両方を厳密に管理しないと圧搾率が大きく変動し、所定の残渣の水分含有量(水分含有率)が得られないという問題があった。つまり、従来の圧搾装置では、入側の圧搾対象物の厚みと密度と、外側ローラー及び内側ローラーの間に形成された隙間とで圧搾率が決定される。ところが圧搾対象物は、一般的に繊維及び破砕片を含む混合物であるので、厚みは当然のこと密度のばらつきも大きい。そのため、実際には圧搾対象物の密度のコントロール(管理)を行うことが困難又はできず、結果的に所定の残渣の水分含有量(水分含有率)が得られない問題があった。
仮に、所定の残渣の水分含有量(水分含有率)を得るために、例えば圧搾対象物を入れ過ぎて(投入し過ぎて)しまうと、外側ローラー及び内側ローラーに対する噛み込み不良が発生するという新たな問題に繋がってしまう。
【0005】
さらに、圧搾対象物の圧搾後の残渣は、その後、燃料として利用される場合がある。ここで、前述した従来の圧搾装置を用いた圧搾では、残渣の水分含有量(水分含有率)が高く、そのまま燃料として利用することができない。このため、圧搾工程の後に、残渣を強制的に乾燥させる乾燥工程が必要となり、残渣を燃料として利用するには、処理時間が多くかかるとともにコスト高になる問題があった。
また、従来の圧搾装置にあっては、破砕力が弱く大きな残渣が残るため、残渣から燃料としての例えば燃料ペレットを作製するには、再破砕工程が必要であった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、投入する圧搾対象物の大きさや形状が変わる場合でも、一定でかつ高い圧搾率を得ることができて、残渣の水分含有量(水分含有率)の低減を図ることができ、しかも残渣の微細化が可能となる圧搾装置、燃料ペレット製造設備および圧搾方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一態様に係る圧搾装置は、回転可能に配置された内接ロールと、内側に形成された空間部に前記内接ロールが配置され、かつ、前記内接ロールとのロール中心間距離が可変に配置された回転可能なリングロールと、前記内接ロールを回転させる内接ロール回転手段と、前記リングロールの下方に配置されて該リングロールを下方から支持することで、該リングロールの外周面を押圧する押圧ロールと、前記内接ロールと前記押圧ロールとを、互いが接近又は離間する方向に相対的に移動させ、前記内接ロールの回転中心と前記押圧ロールの回転中心との中心間距離を調整する調整手段と、前記押圧ロールを介して前記リングロールを回転させる、又は前記リングロールを直接的に回転させるリングロール回転手段と、を備え、
前記リングロール、前記内接ロールおよび前記押圧ロールの各回転中心が同一線上に配置されるように、前記内接ロール、前記リングロール及び前記押圧ロールは、上下方向に並んで配置され、前記リングロールの前記空間部に投入された圧搾対象物が、前記リングロールの内周面と前記内接ロールの外周面との間で、前記リングロールの内周面及び前記内接ロールの外周面によって直接圧搾される。
なお、前記圧搾対象物から搾取された搾汁は、前記内接ロールの回転軸線に沿って前記内接ロールと前記リングロールとの間から排出されても良い。
なお、前記調整手段が、前記押圧ロールを前記リングロールのリング壁部を介して前記内接ロール側へ押圧する押圧ロール押圧手段を備えても良い。
【0008】
上記圧搾装置によれば、内接ロールが内接ロール回転手段によって回転される。また、リングロールがリングロール回転手段によって回転される。リングロールは、同時に、押圧ロール押圧手段により押圧される押圧ロールによって、内接ロール側へ押圧される。
【0009】
前記リングロールの内側の空間部に投入された圧搾対象物は、ともに回転されるリングロールの内周面と内接ロールの外周面との間に噛み込まれて、これらリングロールの内周面および内接ロールの外周面によって直接圧搾される。ここで、リングロールは、押圧ロール押圧手段により押圧ロールを介して内接ロール側へ押圧されているので、内接ロールの回転中心と押圧ロールの回転中心との中心間距離を調整することができ、リングロールの内周面と内接ロールの外周面との間の圧搾対象物に対する圧搾面圧を任意に設定することが可能である。この圧搾面圧を高く設定することによって、圧搾対象物に対し、一定でかつ高い圧搾率とすることができる。この結果、残渣の水分含有量(水分含有率)を低減することができるとともに、残渣の微細化も可能となる。
さらに、リングロール、内接ロールおよび押圧ロールの各回転中心が同一線上に配置されているので、押圧ロール押圧手段によって押圧される押圧ロールの押圧力が、リングロールおよび内接ロールに効率良く伝わる。この結果、リングロールの内周面と内接ロールの外周面との間の圧搾面圧をより高く設定することが可能となる。
【0010】
ここで、前記リングロール回転手段を、前記押圧ロールを回転させる押圧ロール回転手段と、前記押圧ロールの回転を摩擦により前記リングロールに伝達して前記リングロールを回転させる回転伝達手段としても良い。
これにより、リングロール回転手段の構成が簡素化できる。すなわち、リングロールを直接回転させる場合には、リングロールが内接ロールもしくは押圧ロールに対してロール中心間距離が可変に配置されているので、内接ロールもしくは押圧ロールとの干渉も考慮しなければならず、構成上複雑にならざるを得ない。これに対し、押圧ロール回転手段により押圧ロールを回転させる場合には、内接ロールとの干渉を考慮する必要がなく、その分構成が簡素化できる。
【0012】
また、前記リングロール、前記内接ロールおよび前記押圧ロールの各回転中心を結ぶ線を、鉛直方向に対して所定角度傾斜するように配置してもよい。
これにより、リングロールの内周面と内接ロールの外周面との圧搾対象物への噛み込み位置が、リングロールの内周面の最下端位置から若干左方あるいは右方へずれることとなり、結果的に、この噛み込み位置がリングロールの内周面の最下端位置よりも上側になる。
ここで、リングロールの内側の空間部は、例えばこの噛み込み位置を境にして、一方が圧搾対象物投入部、他方が残渣貯留部となる。この場合、若干の隙間が形成される噛み込み位置を介して搾汁が圧搾対象物投入部から残渣貯留部側へ染み出ることを鑑みれば、上記噛み込み位置がリングロールの内周面の最下端位置よりも上側になることは、圧搾対象物投入部で生成される搾汁が、残渣貯留部側へ移りにくくなることを意味する。
この結果、残渣貯留部に残る圧搾後の残渣の水分含有量(水分含有率)をより低く保持することが可能になる。
【0013】
また、前記空間部には、前記空間部に前記圧搾対象物を供給する圧搾対象物供給部が接続され、前記圧搾対象物供給部が、振動により前記圧搾対象物を搬送する振動フィーダーと、前記振動フィーダーの上方に配置され、外周面に突起が設けられた回転ロールと、を備え、前記回転ロールが、前記振動フィーダー上を搬送方向の前側に搬送されている前記圧搾対象物を、前記突起により、前記搬送方向の後側に向けて弾き飛ばすように回転してもよい。
この場合、回転ロールの突起が、振動フィーダー上を搬送方向の前側に搬送されている圧搾対象物を、搬送方向の後側に向けて弾き飛ばす。そのため、振動フィーダー上の圧搾対象物が、回転ロールの下側を通過するときに、この圧搾対象物のうち、過剰な高さにまで積み上げられている部分を、搬送方向の後側に向けて弾き飛ばすことができる。これにより、回転ロールの下側を通過した圧搾対象物を、鉛直方向への圧縮を抑えながら一定の高さにすることが可能になり、空間部に供給される圧搾対象物のかさ(容量)を安定させることができる。
【0014】
また、前記圧搾対象物から搾取された搾汁を回収する回収部を備え、前記回収部が、前記搾汁内に混合した前記圧搾対象物の残渣を前記搾汁から分離する分離部と、前記分離部により分離された前記残渣を前記空間部に供給する再供給部と、を備えていてもよい。
この場合、回収部が、分離部を備えているので、回収する搾汁の純度を高めることができる。さらに回収部が、再供給部を備えているので、分離部により搾汁から分離された圧搾対象物の残渣を再び圧搾することができる。
【0015】
また、前記内接ロールの外周面および前記リングロールの内周面を
改削することで修復する修復部を備え、前記修復部が、前記内接ロールを回転させながら前記内接ロールの外周面を
改削することで修復し、前記リングロールを回転させながら前記リングロールの内周面を
改削することで修復してもよい。
この場合、修復部が、内接ロールを回転させながら内接ロールの外周面を修復するので、修復部を、内接ロール外で全周にわたって移動させることなく、内接ロールの外周面を全周にわたって修復することができる。また内接ロールを回転させるときには、内接ロール回転手段を利用することができる。
さらに修復部が、リングロールを回転させながらリングロールの内周面を修復するので、修復部をリングロール内の全周にわたって移動させることなく、リングロールの内周面を全周にわたって修復することができる。またリングロールを回転させるときには、リングロール回転手段を利用することができる。
【0016】
また、前記修復部が、前記リングロールの外周面を支持する複数の保持ロールを備え、前記複数の保持ロールが、前記リングロールの外周面において前記押圧ロールに対して、前記リングロールの周方向にずれて配置されてもよい。
この場合、複数の保持ロールが、リングロールの外周面において押圧ロールに対して、リングロールの周方向にずれて配置されている。そのため、押圧ロールを修復するためにリングロールを回転させるときに、押圧ロールと、複数の保持ロールと、によって、リングロールの外周面を、周方向に離間した少なくとも3か所で支持することができる。これにより、リングロールの回転を安定させることができる。
【0017】
また、前記修復部が、前記内接ロールの外周面を改削することで修復する内接ロール改削部を備え、前記内接ロールの硬度が、前記リングロールの硬度よりも高く、前記修復部が、前記内接ロール改削部により改削された前記内接ロールの外周面を、前記リングロールの内周面に押圧させながら、前記内接ロールおよび前記リングロールをそれぞれ回転させることで、前記リングロールの内周面を修復してもよい。
この場合、修復部が、内接ロール改削部を備え、かつ、内接ロールの硬度が、リングロールの硬度よりも高い。したがって、内接ロール改削部によって内接ロールの外周面を改削して修復した後、この内接ロールの外周面を、リングロールの内周面に押圧させながら、内接ロールおよびリングロールをそれぞれ回転させることで、修復された内接ロールの外周面をリングロールの内周面に押圧転写することができる。これにより、リングロールの内周面を修復することができる。
【0018】
また、前記空間部に圧搾された後の残渣を該空間部から排出する気流搬送手段が接続されても良い。
上述したように、リングロールの内周面と内接ロールの外周面との間の圧搾対象物に対する圧搾面圧を高く設定することができ、これによって、残渣の水分含有量(水分含有率)を低減することができる。したがって、圧搾後の残渣をリングロールの内側の空間部から排出するに際し、気流搬送手段を用いた気流搬送を利用することができ、これによって、残渣の連続的な排出が可能になる。
【0019】
本発明の一態様に係る燃料ペレット製造設備は、前記圧搾装置と、前記圧搾装置の後段に、前記圧搾対象物が圧搾された後の残渣を圧縮して燃料ペレットを成形する成形装置と、を備える。
上記燃料ペレット製造設備によれば、圧搾装置により圧搾対象物を圧搾する際、圧搾面圧を高く設定することで、例えば残渣の水分含有量(水分含有率)を35パーセント以下でかつ、残渣に残る繊維の平均長さを6mm以下にすることができる。従って、残渣に対する乾燥工程や再破砕工程を経ることなく、直接、残渣を圧縮して燃料ペレットを成形することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る圧搾方法は、前記圧搾装置を用いた圧搾方法であって、
前記調整手段により、前記内接ロールの回転中心と前記押圧ロールの回転中心との中心間距離を調整することで、前記リングロールの内周面と前記内接ロールの外周面との間の前記圧搾対象物に対する圧搾面圧を、前記圧搾対象物の残渣水分含有率と圧搾面圧との関係に基づいて事前に設定する工程と、前記リングロールの前記空間部に圧搾対象物を投入する工程と、
設定した前記圧搾面圧によって、前記リングロールの内周面と前記内接ロールの外周面との間で、前記圧搾対象物を前記リングロールの内周面及び前記内接ロールの外周面によって直接圧搾することによって、圧搾後の前記圧搾対象物の残渣の水分含有率を35パーセント以下とする工程と、前記残渣を前記気流搬送手段で前記空間部の外側に搬送する工程と、を備える。
圧搾対象物の残渣の水分含有量(水分含有率)を35パーセント以下とすることによって、残渣を水分が少ないいわゆる「カラカラ」の状態にすることができる。このように残渣自体が非常に軽いので、気流搬送を利用した効率の良い残渣搬送が行なえる。
【0021】
また、
前記圧搾面圧を事前に調整することで、前記残渣に残る繊維の平均長さが6mm以下となるように、前記圧搾対象物を圧搾しても良い。
この場合、残渣に残る繊維の平均長さが6mm以下であるため、残渣から燃料ペレットを製造するに際し、残渣を再破砕する工程が不要になる。したがって、圧搾後の残渣を、そのまま燃料ペレットの材料として利用することができ、燃料ペレットを製造する際の処理時間を短くすることができ、しかもランニングコストを低減することができる。
【0022】
また、前記残渣を圧縮して燃料ペレットを成形する工程を備えても良い。
この場合、前記燃料ペレット製造設備と同様、圧搾対象物の残渣に対する乾燥工程や再破砕工程を経ることなく、直接、残渣を圧縮して燃料ペレットを成形することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、リングロールの内周面と内接ロールの外周面との間の圧搾対象物に対する圧搾面圧を任意に設定することが可能である。そのため、圧搾面圧を高く設定することによって、圧搾対象物に対し一定でかつ高い圧搾率(搾汁効率)とすることができる。また、残渣の水分含有量(水分含有率)を低減することができ、残渣を燃料に転用する場合に燃料効率を大幅に向上させることができる。加えて、残渣の微細化も可能となる。
【0024】
本発明によれば、リングロール回転手段の構成が簡素化できる。
【0025】
本発明によれば、押圧ロール押圧手段によって押圧される押圧ロールの押圧力が、リングロールおよび内接ロールに効率良く伝わる。この結果、リングロールの内周面と内接ロールの外周面との間の圧搾面圧をより高く設定することが可能となる。
【0026】
本発明によれば、圧搾対象物の噛み込み位置がリングロールの内周面の最下端位置よりも上側になり、圧搾対象物投入部で生成される搾汁が、残渣貯留部側へ移りにくくなる。この結果、圧搾後の残渣の水分含有量(水分含有率)をより低く保持することが可能になる。
【0027】
本発明によれば、空間部に供給される圧搾対象物のかさ(容量)を安定させることで、例えば、空間部に過度に圧搾対象物が供給されるのを抑制して圧搾対象物を円滑に圧搾すること等ができる。
【0028】
本発明によれば、分離部により搾汁から分離された圧搾対象物の残渣を再び圧搾することで、例えば、残渣の収量を増大させること等ができる。
【0029】
本発明によれば、修復部を、内接ロール外やリングロール内で各ロールの全周にわたって移動させることなく、内接ロールの外周面およびリングロールの内周面を修復することができる。これにより、修復部の小型化を図り、修復部を内接ロールおよびリングロールに支障なく隣接して配置することが可能になり、オンラインで確実に修復することができる。
【0030】
本発明によれば、リングロールの回転を安定させることで、リングロールの内周面を円滑に精度良く修復することができる。
【0031】
本発明によれば、内接ロールの外周面をリングロールの内周面に押圧転写して、リングロールの内周面を修復することで、リングロールを、内接ロールを用いて修復することができる。したがって、修復部が、リングロールを修復するための専用の機構を備える場合に比べて、修復部の小型化を図ることができる。
【0032】
本発明によれば、圧搾後の残渣をリングロールの空間部から排出するに際し、気流搬送手段を用いた気流搬送を用いることができる。これによって、残渣の連続的な排出が可能になる。
【0033】
本発明によれば、残渣に対する乾燥工程や再破砕工程を経ることなく、直接、残渣を圧縮して燃料ペレットを成形することができる。これにより、燃料ペレットを製造する際の処理時間を短くすることができ、しかもランニングコストを低減することができる。
【0034】
本発明によれば、圧搾対象物の残渣の水分含有量(水分含有率)が35パーセント以下であるため、残渣を水分の少ないいわゆる「カラカラ」の状態にすることができる。このように残渣自体が非常に軽いので、気流搬送を利用した効率の良い残渣搬送が行なえる。
【0035】
本発明によれば、残渣に残る繊維の平均長さが6mm以下であるため、残渣を燃料ペレットに加工する際に、残渣を再破砕する工程が不要になる。残渣から燃料ペレットを製造するに際し、残渣を再破砕する工程が不要になる。したがって、圧搾後の残渣を、そのまま燃料ペレットの材料として利用することができ、燃料ペレットを製造する際の処理時間を短くすることができ、しかもランニングコストを低減することができる。
【0036】
本発明によれば、燃料ペレットを製造する際の処理時間を短くすることができ、しかもランニングコストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る圧搾装置の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1〜
図13は本発明に係る圧搾装置の第1実施形態を示す。
図1は第1実施形態の概略正面図である。
図2は、第1実施形態の概略側断面図である。
図3は、第1実施形態のリングロールの支持状態を示す正面図である。
図4は、第1実施形態のリングロールの支持状態およびリングロールの周辺の部材を示す正面図である。
図5は、第1実施形態の詳細を示す断面図である。
【0039】
この実施形態の圧搾装置10は、
図1から
図5に示すように、フレーム1と、フレーム1によって上下動可能かつ第1の回転軸線回りに回転可能に支持されたリングロール2と、リングロール2の内側に形成された円柱状の空間部2Aに配置され、第1の回転軸線に対して平行に配置された第2の回転軸線回りに回転する内接ロール3と、リングロール2の下方に配置されて該リングロール2の外周面を押圧すると共に、第1の回転軸線に対して平行に配置された第3の回転軸線回りに回転する押圧ロール4とを備える。
また、圧搾装置10は、内接ロール3と押圧ロール4とを、互いが接近又は離間する方向に相対的に移動させ、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離を調整する調整手段33Aをさらに備えている。
上記リングロール2、内接ロール3、押圧ロール4は、互いの回転軸線が平行となるように配置されている。しかも、リングロール2、内接ロール3、押圧ロール4は、
図1に示すようにそれぞれの回転軸線方向から見た際、リングロール2の回転中心と、内接ロール3の回転中心と、押圧ロール4の回転中心とが、同一の線L上に位置するように配置されている。なお、この線Lは、リングロール2、内接ロール3及び押圧ロール4における各回転軸線に対して直交する方向に延びている。
なお、本実施形態では、
図1および
図2を基準にして圧搾装置10の前後左右を定義する。
図1および
図2におけるXa方向を左方、Xb方向を右方、Ya方向を前方、Yb方向を後方と規定する。
【0040】
フレーム1は、底板部11と底板部11上に立設された柱部12とを備える。底板部の
図1における左右方向の一方の下部には、枕部材13が介在されている。これによって、フレーム1の上下方向に延びる左右方向の中心線(前記各ロールの回転中心を結ぶ線Lと一致する)が、上方に向かうに従い、鉛直方向(鉛直軸)に対して、
図1における左方への偏倚量が大きくなるように斜めに傾斜して配置されている。
【0041】
リングロール2は、
図3に示すようにフレーム1の上部に配置されたロール支持部15からそれぞれ左右に延びる支持ロール16によってロール側面が押圧支持されている。これにより、リングロール2は、前後方向の移動が規制されつつ、自転可能に配置されている。
なお、
図3では前側のロール支持部15および支持ロール16だけを図示しているが、リングロール2の後側にも、同様な構成のロール支持部15および支持ロール16が配置されている。つまり、リングロール2は、前後に配置された支持ロール16によって前後から挟まれることで、前後方向の移動が規制される。
また、支持ロール16は、リングロール2の周速度に合わせて、内周側が幅狭かつ外周側が幅広となるテーパー形状(リングロール2の内周側から外周側に向かうにしたがって漸次拡径するテーパー形状)のものであってもよい。
【0042】
また、リングロール2は、
図3、
図4に示すように左側下部を固定ロール18によって支持されるとともに右側下部を上下方向へ移動可能な可動ロール19によって支持されている。これにより、リングロール2は、左右方向の移動が規制されつつ上下方向への移動が可能となるように支持されている。
つまり、内接ロール3が固定位置に取り付けられる関係上、該内接ロール3とリングロール2とは、ロール中心間距離が可変となるように配置されている。
固定ロール18はロール支持部18Aを介してフレーム1に対して固定位置に取り付けられている。可動ロール19は、フレーム1との間に弾性部材20を介在させた状態でフレーム1に取り付けられたロール支持部21に支持されている。ロール支持部21は、フレーム1の柱部12に当該ロール支持部21を固定するボルト22とロール支持部21に形成されたボルト挿通孔21aとの間に形成される隙間分だけ、フレーム1に対し移動可能とされている。
なお、
図4に示すように、ボルト22とボルト挿通孔21aの内周面との間には、スリーブ23が介在されている。
【0043】
なお、可動ロール19の代わりに、
図4において2点鎖線で示すように、リングロール2の右端部に当接する固定ロール24によってリングロール2の右側部分を支持してもよい。この場合、リングロール2は、両固定ロール18、24によって左側下部および右側部分が支持されることにより、左右方向の移動が規制されつつ上下方向への移動が可能となるように支持される。
また、リングロール2の左右方向の移動を規制しつつ上下方向への移動を可能に支持する方法としては、
図4では固定ロール24をリングロール2の右側に配置しているが、リングロール2の左側にも固定ロールを、右側の固定ロール24と同じ高さ位置に配置し、これら両固定ロールによってリングロール2を支持する構成にしてもよい。
【0044】
図2、
図5に示すように、内接ロール3は前後方向に延びる各小径軸部3aが、軸受け25を介して軸受けブロック26に支持されている。軸受けブロック26はフレーム1の柱部12に取り付けられている。すなわち、内接ロール3は予め定められた位置に、回転可能に配設されている。
図5に示すように、内接ロール3の後方にはカップリング27を介して回転軸28が連結され、回転軸28にはさらにカップリング29を介してモータ等の駆動部30が連結されている。つまり、駆動部30および回転軸28等は、内接ロール3を回転させる内接ロール回転手段30Aを構成する。
【0045】
なお、圧搾面圧を高めるためには、圧搾対象物を介して互いに対向位置にある、リングロール2の内周面および内接ロール3の外周面を平滑な面とするのが好ましい。また、圧搾対象物への噛み込み性を高めるためには、例えばなし地のように、リングロール2の内周面および内接ロール3の外周面に微細な凹凸があることが好ましい。このように、リングロール2の内周面および内接ロール3の外周面の形状は、圧搾面圧と噛み込み性とを考慮して決定される。
特に、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面とで圧搾対象物を直接圧搾するので、リングロール2の内周面及び内接ロール3の外周面の形状を、上述のように工夫することが好ましい。
【0046】
押圧ロール4は、前後方向に延びる各小径軸部4aが軸受け31を介して軸受けブロック32に支持されている。軸受けブロック32は、フレーム1を構成する柱部12に上下動可能に支持される。
また、軸受けブロック32は、フレーム1の底板部11との間に介在された押圧シリンダ33によって上方へ押圧される。つまり、押圧シリンダ33は、軸受けブロック32を介して押圧ロール4を、上方すなわちリングロール2のリング壁部を介して内接ロール3側へ押圧する押圧ロール押圧手段を構成する。
この押圧シリンダ33が押圧ロール4を内接ロール3側へ押圧することで、内接ロール3と押圧ロール4とが互いに接近し、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離が小さくなる。従って、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間に生じる圧搾面圧を高めることができる。このように、押圧シリンダ33を利用することで、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離を任意に調整でき、圧搾面圧を所望する値に設定することが可能である。
従って、押圧シリンダ33は、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離を調整する調整手段33Aを構成する。
【0047】
また、押圧ロール4の後方にはカップリング34を介して回転軸35が連結され、この回転軸35にはモータ等の駆動部36が連結されている。そして、駆動部36の回転が、回転軸35を介して押圧ロール4に伝わり、さらに押圧ロールの回転がリングロール2に伝わる。つまり、押圧ロールを回転させる押圧ロール回転手段である駆動部36等は、リングロール2を回転させるリングロール回転手段36Aを構成する。
なお、上記押圧シリンダ33は、押圧ロール4の回転を摩擦によりリングロール2に伝達してリングロール2を回転させる回転伝達手段をさらに構成する。
【0048】
なお、
図4、
図5に示す例では、固定ロール18と可動ロール19とを用いて、リングロール2を、左右方向の移動を規制しつつ上下方向へ移動可能に支持しているが、このようにリングロール2の左右方向の移動を規制しつつ上下方向へ移動可能に支持する方法としては、軸受けブロックを利用した、
図6、
図7に示すものも考えられる。
図6は本発明に係る圧搾装置の第1実施形態における、リングロール2の支持形態の他の例を示す正面図である。
図7は本発明に係る圧搾装置の第1実施形態における、リングロール2の支持形態の他の例を示す断面図である。
【0049】
軸受けブロック37には、左右のアーム38A、38Bが柱部12よりもそれぞれ左右外方へ張り出すとともに前後方向中央へ延びるように、かつ上方へ持ち上がるように配設されている。これら左右のアーム38A、38Bの先端には、それぞれロール39が取り付けられ、これら左右のロール39によってリングロール2が支持される。
リングロール2を支持するこれらロール39は、軸受けブロック37およびこの軸受けブロック37に回転可能に支持される押圧ロール4と一体的に上下動する。これにより、押圧ロール4によって上方へ押圧される前記リングロール2を、左右方向の移動を規制しつつ上下方向へ移動可能に支持することが可能とされる。
【0050】
図4に示すように、リングロール2の内側に形成された空間部2Aの下部は、内接ロール3によって2分される。そして、内接ロール3の左側が、圧搾対象物投入部40となり、内接ロール3の右側が、圧搾後の残渣が貯留される残渣貯留部41となる。内接ロール3の上方には、ロール支持部15の上方へ延びるブラケット15aによって支持された第1のスクレーパー42が設けられている。第1のスクレーパー42は、その先端が内接ロール3に当接するように設けられている。この第1のスクレーパー42によって、内接ロール3の外周面に付着する残渣が取り除かれる。
また、残渣貯留部41にはロール支持部15によって支持された第2のスクレーパー43がリングロール2に当接するように設けられている。この第2のスクレーパー43によって、リングロール2の内周面に付着する残渣が取り除かれる。
【0051】
リングロール2の内側の左右には、下端が内接ロールの外周面に沿うように湾曲しながら先細り形状となる側板部45、46が設けられている。これら側板部45、46と、内接ロール3の外周面と、リングロール2の内周面と、によって、前述の圧搾対象物投入部40と残渣貯留部41がそれぞれ区画されている。
【0052】
圧搾対象物投入部40には圧搾対象物供給部48が接続されており、この圧搾対象物供給部48によって圧搾対象物が圧搾対象物投入部40に供給される。
図8Aは本発明に係る圧搾装置の第1実施形態における、圧搾対象物供給部48の側面図を示す。
図8Bは本発明に係る圧搾装置の第1実施形態における、圧搾対象物供給部48の断面図を示す。
図8Aおよび
図8Bに示すように、圧搾対象物供給部48は、筒体49と、筒体49内に配置された回転可能なスクリュ50と、スクリュ50の基端側に設けられたホッパ51と、スクリュ50を回転させるモータ等の回転駆動部52とを備える。圧搾対象物供給部48を構成するこれらの部材は、フレーム1から延びるブラケット53によって支持されている。
この圧搾対象物供給部48では、ホッパ51に投入された圧搾対象物が、回転駆動部52によって回転されるスクリュ50により先端側へ搬送されて、圧搾対象物投入部40へ連続的に供給される。
【0053】
図4に示すように、残渣貯留部41には残渣排出手段55が接続され、この残渣排出手段55によって残渣貯留部41に貯留された残渣が外部へ排出される。
図9は本発明に係る圧搾装置の第1実施形態における、残渣排出手段の一例を示す概略構成図である。
図9に示す残渣排出手段55は気流を利用した気流搬送手段55Aである。
【0054】
気流搬送手段55Aは、残渣貯留部41から延びる残渣移送管57と、残渣移送管57に分岐管57aを介して接続されたコンプレッサまたはブロアー等のエア駆動源58と、残渣移送管57の途中部分に介在されたサイクロン59と、残渣移送管57の先端に取り付けられたバグフィルタ60とを備える。
この気流搬送手段55Aによれば、エア駆動源58で残渣移送管57に生じる負圧を利用して、残渣貯留部41に貯留する残渣を吸い込み、吸い込んだ残渣の大部分をサイクロン59で回収する。残渣移送管57を流れる小さなごみ等の塵埃はバグフィルタ60によって収集される。サイクロン59の後段には圧搾対象物の残渣を圧縮して燃料ペレットを成形する成形装置61が接続されている。
なお、圧搾装置10と成形装置61とで燃料ペレット製造設備69を構成する。
【0055】
図10は本発明に係る圧搾装置の第1実施形態における、残渣排出手段55の他の例を示す概略構成図である。
図10に示す残渣排出手段は機械式の排出手段である。
【0056】
機械式排出手段55Bは、残渣貯留部41から残渣を強制的に押圧移動させて排出する排出機構62と、排出機構62の排出側に接続されたフィーダー63と、フィーダー63の搬出部近傍に設けられたホッパ64とを備えている。
このホッパ64には、前述と同様な構成である、残渣移送管57、コンプレッサまたはブロアー等のエア駆動源58、サイクロン59およびバグフィルタ60を備える気流搬送手段55Aが接続されている。
【0057】
図11は機械式排出手段55Bの排出機構62の拡大正面図である。
図12は機械式排出手段55Bの排出機構62を上方から見た断面図である。
図11、
図12に示すように、排出機構62は、前後方向に延びるスライダロッド66と、スライダロッド66をその長さ方向(前後方向)に移動させる駆動手段67と、スライダロッド66に固定され、スライダロッド66と一体的に移動する排出板68とを備えている。排出板68は、残渣貯留部41の後端に配置されている。
なお、
図11に示すように、ロール支持部15の上方へ延びるブラケット15bによってスクレーパー43Aが支持されている。このスクレーパー43Aによりリングロール2の内周面に付着する残渣がリングロール2の上部位置で取り除かれる。
【0058】
この機械式排出手段55Bによれば、所定時間おきに駆動手段67が駆動してスライダロッド66を前後方向へ移動させる。このとき、排出板68はスライダロッド66と一体的に移動し、前方へ移動したときに残渣貯留部41に貯留してある残渣を外部へ払い出す。なお、残渣を払い出した後、排出板68はスライダロッド66の移動に伴い初期位置の後端位置に戻る。
【0059】
払い出された残渣は、フィーダー63を介してホッパ64へ移送される。その後、ホッパ64から払い出された残渣は、気流搬送手段55Aによって搬送され、残渣の大部分はサイクロン59で回収される。残渣移送管57を流れる小さなごみ等の塵埃はバグフィルタ60によって収集される。
【0060】
次に、上記構成の圧搾装置10の作用について説明する。
内接ロール3が内接ロール回転手段30Aによって所定方向へ回転される。一方、押圧ロール4が押圧シリンダ33により上方のリングロール2側へ押圧される。この状態で、押圧ロール4が駆動部36により回転駆動されると、この押圧ロール4の回転がリングロール2に伝達され、リングロール2が内接ロール3と同一方向へ回転される。
そして、圧搾対象物供給部48から砂糖黍あるいはオイルパーム等の圧搾対象物が圧搾対象物投入部40へ供給されると、前述したように、ともに同一方向へ回転するリングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間に噛み込まれて圧搾される。
【0061】
ここで、リングロール2は、押圧シリンダ33により押圧ロール4を介して内接ロール3側へ押圧されている。従って、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間に圧搾対象物が噛みこまれると、圧搾対象物はリングロール2の内周面および内接ロール3の外周面によって直接圧搾される。また、これと同時に、リングロール2および押圧ロール4は、圧搾対象物がリングロール2の内周面および内接ロール3の外周面の間に噛み込まれた分だけ、ともに回転しながら、例えば
図4に示す移動量Sだけ、内接ロール3に対して下方へ後退する。これによって、圧搾対象物に対するリングロール2および内接ロール3の面圧(圧搾面圧)を所定値に維持することができる。
【0062】
また、圧搾対象物の材料や形状が変わる場合でも、押圧シリンダ33の押圧ロール4への押圧力、つまりリングロール2の内周面と内接ロール3の外周面による圧搾面圧を適宜値に設定することができる。
この結果、従来のリングロール2と内接ロール3との間の隙間が一定に保持される圧搾装置を用いた圧搾方法に比べ、圧搾対象物に対し一定でかつ比較的高い圧搾率とすることができ、同時に、残渣の水分含有量(水分含有率)を低減することができる。加えて、圧搾力を高く設定できることから、残渣の微細化も可能となる。
【0063】
また、この実施形態の圧搾装置10では、リングロール2、内接ロール3および押圧ロール4の各中心が同一線L上に配置されている。
これにより、押圧シリンダ33によって押圧される押圧ロール4の押圧力が、リングロール2および内接ロール3に効率良く伝わる。この結果、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間で、圧搾対象物を効率よく圧搾することが可能となる。
【0064】
また、この実施形態の圧搾装置10では、リングロール2、内接ロール3および押圧ロール4の各中心を結ぶ線Lが鉛直方向(鉛直軸)に対して所定角度(例えば、5°〜20°)傾斜するように配置されている。しかも、リングロール2および内接ロール3の回転方向出側(両ロールがともに接した後、回転方向に沿って広がる側、すなわちリングロール2および内接ロール3が接した後、回転に伴って両ロール2、3が互いに離間する回転方向下流側)がリングロール2の内周面の最下端よりも高くなる方向に位置するように、上記線Lが鉛直軸に対して左方に傾斜して配置されている。
【0065】
これにより、
図4に示すように、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との圧搾対象物への噛み込み位置Kが、リングロール2の内周面の最下端位置Zから
図1における右方へ若干ずれることとなり、結果的に、この噛み込み位置Kがリングロール2の内周面の最下端位置Zよりも上側に位置する。
【0066】
ここで、リングロール2の内側の空間部2Aは、この噛み込み位置Kを境にして、一方(
図1における左方)が圧搾対象物投入部40、他方(右方)が残渣貯留部41となっている。噛み込み部分は若干隙間が形成されるため、この噛み込み位置Kを介して搾汁が圧搾対象物投入部40から残渣貯留部41側へ染み出すことを鑑みれば、噛み込み位置Kがリングロール2の内周面の最下端位置Zよりも上側になることは、圧搾対象物投入部40で生成される搾汁が、残渣貯留部41側へ移りにくくなることを意味する。
この結果、圧搾後の残渣の水分含有量(水分含有率)をより低く保持することが可能になる。
【0067】
また、
図9に示す実施形態では、残渣貯留部41に圧搾された後の圧搾対象物の残渣を残渣貯留部41から排出する残渣排出手段55として、気流を利用した気流搬送手段55Aを用いた例を示している。このように気流を利用した気流搬送手段55Aであると、残渣が軽量である場合、連続的かつ効率の良い搬送が行なえる。
ここで、この実施形態の圧搾方法では、押圧シリンダ33により押圧ロール4をリングロール2側へ押圧している。これによりリングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間の圧搾面圧(ヘルツ面圧)を任意に設定することができ、この圧搾面圧を高めることによって圧搾対象物の残渣の水分含有量(水分含有率)を所定値以下にまで少なくすることが可能である。
【0068】
ここで、
図13にオイルパームを圧搾したときの残渣水分含有率とヘルツ面圧との関係を示す。
図13は残渣水分含有量(水分含有率)とHertz(ヘルツ)面圧との関係を示す図であり、縦軸を残渣水分含有率、横軸をHertz面圧としている。圧搾対象物の大きさや形状により、破砕片、破砕片を圧縮で固めた破砕片ブランケット、および板材(桂剥き材)の3種類に分類される。
【0069】
なお
図13では、横軸の単位として、kg/mm
2(キログラム毎平方ミリメートル)を採用しているが、この単位をMPa(メガパスカル)に換算すると、60kg/mm
2、70kg/mm
2、80kg/mm
2、90kg/mm
2、100kg/mm
2、110kg/mm
2、120kg/mm
2はそれぞれ、約588MPa程度、約686MPa程度、約784MPa程度、約882MPa程度、約980MPa程度、約1078MPa程度、約1176MPa程度となる。
【0070】
図13から明らかなように、ヘルツ面圧を70kg/mm
2以上(概ね686MPa以上)にすることにより、圧搾後の残渣の水分含有量(水分含有率)を35%以下にすることができる。このように押圧シリンダ33の押圧力を所定値まで上げることにより、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間の圧搾(ヘルツ)面圧を増大させて、圧搾後の残渣を水分が少ないいわゆる「カラカラ」の状態にすることができる。これにより、前記気流搬送手段55Aを用いた、連続的かつ効率の良い搬送が行なえる。
【0071】
加えて、
図13に示すように、ヘルツ面圧をさらに増大させて、90kg/mm
2(概ね882MPa以上)以上にすることにより、例えば圧搾対象物の残渣に残る繊維の平均長さを6mm以下にすることができる。
この場合、成形装置61を備えた燃料ペレット製造設備69を利用して、残渣から燃料ペレットを製造する際に、残渣を再破砕する工程が不要になるため、圧搾後の残渣を、そのまま燃料ペレットの材料として利用することができる。従って、燃料ペレットを製造する際のランニングコストを低減することができる。
【0072】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の第1実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0073】
(第2実施形態)
例えば、上記第1実施形態では、リングロール2、内接ロール3、押圧ロール4の各中心線を結ぶ線Lが、鉛直方向に対して斜めになるように左方に傾斜して配置しているが、これに限られものではない。
図14、
図15に示すように、リングロール2、内接ロール3、押圧ロール4の各軸線が互いに平行となるように、かつそれら軸線が水平面に対して傾斜するように、圧搾装置10の全体を前後方向に傾斜させても良い。つまり、
図1、
図2等に示した第1実施形態に対し、傾斜方向を90°異ならせた状態で、傾斜させても良い。
なお、
図14は、本発明に係る圧搾装置の第2実施形態の概略正面図である。
図15は、本発明に係る圧搾装置の第2実施形態の概略側断面図である。この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0074】
この場合、
図15に示すように搾汁が内接ロール3の軸線に沿って圧搾対象物投入部40の一方側(
図15における右側)に集めることができ、搾汁の収集効率の点で優れる。
【0075】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る圧搾装置の第3実施形態を、
図16〜
図19を参照して説明する。
図16は第3実施形態の概略斜視図である。
図17は第3実施形態の概略正面図である。
図18は第3実施形態の要部の概略断面図である。
図19は第3実施形態の圧搾対象物供給部の要部の部分的な概略縦断面図である。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0076】
第1実施形態の圧搾装置10では、圧搾対象物供給部48が筒体49、スクリュ50、ホッパ51および回転駆動部52を備えていたが、本実施形態の圧搾装置70では、
図16から
図18に示すように、圧搾対象物供給部48が、振動フィーダー71と、回転ロール72と、を備えている。
【0077】
振動フィーダー71は、振動により圧搾対象物を搬送する。振動フィーダー71は、例えばフレーム1に鉛直方向に振動可能に支持されていて、図示しない加振部により振動させられる。振動フィーダー71は、上方に向けて開口する樋状に形成され、圧搾対象物を搬送する搬送方向D1に延びている。図示の例では、振動フィーダー71は、この圧搾装置70を鉛直方向から見た平面視において、直線状に形成されるとともに前後方向(リングロール2の回転軸線方向、内接ロール3の回転軸線方向、押圧ロール4の回転軸線方向)に沿って延びている。
【0078】
振動フィーダー71は、この振動フィーダー71において搬送方向D1の後側に位置する後端部から搬送方向D1の前側に位置する前端部に向かうに従い、下側に向かうように傾斜している。
振動フィーダー71の後端部は、リングロール2の外側に位置していて、圧搾対象物が供給される被供給部とされている。
【0079】
振動フィーダー71の前端部は、前記平面視において、後側から前側に向かうに従い漸次、幅が狭まる先細り形状、三角形状に形成されていて、空間部2Aのうちの圧搾対象物投入部40の上方に位置している。
なお
図18に示すように、圧搾対象物投入部40は、前後方向に間隔をあけて配置された一対の前記側板部45により区画されている。
【0080】
図16に示すように、回転ロール72は、振動フィーダー71の上方に配置されている。回転ロール72は、例えばフレーム1等に、鉛直方向の位置を調整自在に支持されている。回転ロール72の回転軸線は、前記平面視において、搬送方向D1に直交する方向に延びている(
図16に示すθは、約90度となっている)。回転ロール72は、例えばモータ等により構成される回転ロール回転部73により回転させられる。
【0081】
回転ロール72の外周面には、多数の突起74が設けられている。突起74は、回転ロール72の外周面に、この回転ロール72の回転軸線方向の全長にわたって間欠的に設けられることで突起列74aを形成している。突起列74aは、回転ロール72の外周面に、この回転ロール72の周方向の全周にわたって間欠的に複数設けられている。突起74は、回転ロール72の外周面から、回転ロール72の径方向に沿うように直線状に延びている。突起74は、剛体または弾性体のいずれとすることも可能である。
なお
図19に示すように、振動フィーダー71の上面と、回転ロール72の外周面における下側に位置したときの突起74の先端部とは、鉛直方向に一定の距離tをあけて離間している。
【0082】
前記圧搾装置70を用いて圧搾対象物を圧搾するため、圧搾対象部を圧搾対象物供給部48から供給するときには、振動フィーダー71の被供給部に圧搾対象物を供給する。また、前記加振部により振動フィーダー71を振動させ、圧搾対象物を振動フィーダー71の搬送方向D1に沿って前側に向けて搬送する。さらに、回転ロール回転部73により回転ロール72を振動フィーダー71上で回転させる。このとき、回転ロール72の外周面のうち、下側を向く部分が、振動フィーダー71の搬送方向D1の後側に向けて移動するように、回転ロール72を回転軸線回りに回転させる。
【0083】
すると、振動フィーダー71上を搬送方向D1の前側に搬送されている圧搾対象物が、回転ロール72の下側を通過しようとしたときに、回転ロール72の突起74が、圧搾対象物のうち、振動フィーダー71の上面から前記距離t以上の位置にあるものを、搬送方向D1の後側に向けて弾き飛ばす。このとき、回転ロール72の突起74が、圧搾対象物を後側に弾き飛ばすので、回転ロール72が圧搾対象物を下側に向けて押圧して圧搾対象物を圧縮することが規制される。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る圧搾装置70によれば、回転ロール72の突起74が、振動フィーダー71上を搬送方向D1の前側に搬送されている圧搾対象物を、搬送方向D1の後側に向けて弾き飛ばす。従って、振動フィーダー71上の圧搾対象物が、回転ロール72の下側を通過するときに、この圧搾対象物のうち、過剰な高さにまで積み上げられている部分を、搬送方向D1の後側に向けて弾き飛ばすことができる。これにより、回転ロール72の下側を通過した圧搾対象物を、鉛直方向への圧縮を抑えながら一定の高さにすることが可能になり、空間部2Aに供給される圧搾対象物のかさ(容量)を安定させることができる。
その結果、例えば、空間部2Aに過度に圧搾対象物が供給されるのを抑制して圧搾対象物を円滑に圧搾すること等ができる。
【0085】
なお、本実施形態の圧搾対象物供給部48は、他の形態に適宜変更可能であり、例えば
図20に示すような形態に変更することができる。
図20は、本発明に係る圧搾装置の第3実施形態における、圧搾対象物供給部の他の例の要部を示す概略平面図である。
【0086】
図20に示す圧搾対象物供給部48は、回転ロール72の回転に伴って突起74により弾き飛ばされた圧搾対象物を回収して振動フィーダー71に戻す戻し部75を更に備えている。
戻し部75は、振動フィーダー71の下方に配置されていて、例えばベルトコンベヤなどにより構成されている。戻し部75は、振動フィーダー71から弾き飛ばされて上面に落下した圧搾対象物を、振動フィーダー71に戻す。なお図示の例では、戻し部75は、前記平面視において、振動フィーダー71の搬送方向D1に傾斜する第1傾斜方向D2に沿って圧搾対象物を搬送する。
【0087】
ここで、
図20に示す圧搾対象物供給部48では更に、回転ロール72の回転軸線が、前記平面視において、搬送方向D1に直交する方向ではなく、搬送方向D1に傾斜して前記第1傾斜方向D2と直交する方向である第2傾斜方向D3に延びている。
この場合であっても、振動フィーダー71上の圧搾対象物が、回転ロール72の下側を通過するときに、この圧搾対象物のうち、過剰な高さにまで積み上げられている部分を、搬送方向D1の後側に向けて弾き飛ばす。しかしながら、弾き飛ばされる圧搾対象物は、搬送方向D1に沿って後側に真っ直ぐ弾き飛ばされるものよりも、搬送方向D1の後側に向けて弾き飛ばされるものの、前記第1傾斜方向D2に沿って、つまり、前記平面視において搬送方向D1に傾斜する方向に沿って弾き飛ばされるものが多くなる。
【0088】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る圧搾装置の第4実施形態を、
図21および
図22を参照して説明する。
図21は第4実施形態の回収部の一例を示す概略構成図である。
図22は第4実施形態を示す概略斜視図である。
なお、この第4実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0089】
本実施形態の圧搾装置80は、
図21に示すように、圧搾対象物から搾取された搾汁を回収する回収部81を更に備えている。なお回収部81は、残渣排出手段55として
図9に示すような気流搬送手段55Aが採用された形態に採用することもできるし、残渣排出手段55として
図10に示すような機械式排出手段55Bが採用された形態に採用することもできる。
【0090】
図22に示すように、回収部81は、分離部82と、再供給部83a、83bと、回収パン84と、を備えている。
分離部82は、搾汁内に混合した圧搾対象物の残渣を搾汁から分離する。分離部82は、メッシュコンベア85と、分離ロール87と、を備えている。
【0091】
メッシュコンベア85は、無端帯状に形成され、押圧ロール4の下側に、押圧ロール4から離間して配置されている。メッシュコンベア85は、回転軸線が前後方向に延びる一対のコンベアロール86間に巻回されていて、前記平面視において、前後方向に直交する方向である左右方向に走行する。メッシュコンベア85のうち、一対のコンベアロール86に対して上側に位置して表面が上側を向く上側部分は、左右方向のうち、内接ロール3に対して圧搾対象物投入部40が位置する側(
図22における左側、以下、投入部側という)に向けて走行する。
【0092】
分離ロール87は、一対のコンベアロール86のうち、投入部側に位置する部分に、左右方向に隣接して配置されている。分離ロール87は、投入部側のコンベアロール86およびメッシュコンベア85との間で、メッシュコンベア85上に付着した残渣を押圧して残渣から水分を絞り出す。分離ロール87により水分が絞り出された残渣は、分離ロール87とコンベアロール86との間から落下する。
【0093】
再供給部83a、83bは、分離部82により分離された残渣を空間部2Aに供給する。本実施形態では、再供給部83a、83bとして、残渣を圧搾対象物投入部40に直接、供給する第1再供給部83aと、残渣を圧搾対象物投入部40に圧搾対象物供給部48を介して供給する第2再供給部83bと、が設けられている。なお第1再供給部83aおよび第2再供給部83bはそれぞれ、例えばベルトコンベアなどの公知の機構により構成することができる。
【0094】
回収パン84は、分離部82により残渣が分離された搾汁を回収する。回収パン84は、メッシュコンベア85の下側に配置されていて、本実施形態では、メッシュコンベア85を通して濾過されてメッシュコンベア85から滴下された搾汁も回収可能となっている。
【0095】
以上説明したように、本実施形態に係る圧搾装置80によれば、回収部81が、分離部82を備えているので、回収する搾汁の純度を高めることができる。さらに回収部81が、第1再供給部83a、および第2再供給部83bを備えているので、分離部82により搾汁から分離された圧搾対象物の残渣を再び圧搾することができる。これにより、例えば、残渣の収量を増大させて残渣の収率の向上を図ることができる。
【0096】
(第5実施形態)
次に、本発明に係る圧搾装置の第5実施形態を、
図23を参照して説明する。
図23は第5実施形態の修復部を示す概略斜視図である。
なお、この第5実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0097】
本実施形態の圧搾装置90は、
図23に示すように、内接ロール3の外周面およびリングロール2の内周面を修復する修復部91を更に備えている。修復部91は、内接ロール改削部92と、リングロール改削部93と、複数の保持ロール94と、を備えている。
【0098】
内接ロール改削部92は、内接ロール3の外周面を改削することで修復し、リングロール改削部93は、リングロール2の内周面を改削することで修復する。内接ロール改削部92およびリングロール改削部93はそれぞれ、例えばバイト等の切削工具により構成されている。
内接ロール改削部92およびリングロール改削部93はそれぞれ、リングロール2に対して前後方向に相対的に移動可能に配置されていて、リングロール2の空間部2Aに対して、進入および退避可能となっている。
【0099】
保持ロール94は、リングロール2の外周面を支持する。保持ロール94の回転軸線は、リングロール2の回転軸線と平行に延びている。複数の保持ロール94は、リングロール2の外周面において押圧ロール4に対して、リングロール2の周方向(以下、単に周方向という)にずれて配置されている。保持ロール94は、リングロール2の外部に2つ設けられていて、リングロール2の上側に配置されている。
【0100】
各保持ロール94は、リングロール2に対して、リングロール2の径方向(以下、単に径方向という)に進退可能に設けられていて、リングロール2に対して径方向の内側に向けて前進することで、リングロール2の外周面を径方向の外側から支持し、径方向の外側に向けて後退することで、リングロール2の支持を解除する。
2つの保持ロール94は、リングロール2の外周面のうち、上側を向く部分を、左右方向に離間した状態で支持する。リングロール2の外周面は、これらの2つの保持ロール94と、前記押圧ロール4と、によって、周方向に同等に離間した3か所で支持され、いわゆる3点支持される。
【0101】
前記圧搾装置90を用いて圧搾対象物を圧搾するときには、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面との間で圧搾される圧搾対象物により、リングロール2の内周面や内接ロール3の外周面が損傷することがある。この場合、圧搾面圧が安定し難くなるおそれがある。
そこで、修復部91により内接ロール3の外周面およびリングロール2の内周面を、例えば定期的に修復する。なお、以下に示す修復作業は、例えば、コンピュータ等により構成される図示しない制御部により各構成を制御することで実施することができる。
【0102】
内接ロール3の外周面を修復するときには、内接ロール改削部92を前進させてリングロール2の空間部2A内に進入させる。また、リングロール2と内接ロール3との相対的な位置を調整し、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面とを離間させる。
そして、内接ロール回転手段30Aによって内接ロール3を回転させながら、内接ロール3の外周面に内接ロール改削部92を当接させ、内接ロール3の外周面を改削して(例えば削り落として)修復する。その後、内接ロール改削部92を後退させて空間部2Aから退避させる。
【0103】
リングロール2の内周面を修復するときには、リングロール改削部93を前進させてリングロール2の空間部2A内に進入させる。また、リングロール2と内接ロール3との相対的な位置を調整し、リングロール2の内周面と内接ロール3の外周面とを離間させる。さらに、押圧ロール4によりリングロール2の外周面を押圧するとともに、保持ロール94によりリングロール2の外周面を支持する。
そして、リングロール回転手段36Aによってリングロール2を回転させながら、つまり、駆動部36によって押圧ロール4を回転させ、押圧ロール4の回転を摩擦によりリングロール2に伝達してリングロール2を回転させながら、リングロール2の内周面にリングロール改削部93を当接させ、リングロール2の内周面を改削して修復する。その後、リングロール改削部93を後退させて空間部2Aから退避させる。
なお、内接ロール3の外周面およびリングロール2の内周面は、並行して修復することが可能である。
【0104】
以上説明したように、本実施形態に係る圧搾装置90によれば、修復部91が、内接ロール3を回転させながら内接ロール3の外周面を修復するので、修復部91を、例えば、内接ロール3外で全周にわたって移動させることなく、内接ロール3の外周面を全周にわたって修復することができる。また内接ロール3を回転させるときには、内接ロール回転手段30Aを利用することができる。
【0105】
さらに修復部91が、リングロール2を回転させながらリングロール2の内周面を修復するので、修復部91をリングロール2内の全周にわたって移動させることなく、リングロール2の内周面を全周にわたって修復することができる。またリングロール2を回転させるときには、リングロール回転手段36Aを利用することができる。
【0106】
すなわち、修復部91を、内接ロール3外やリングロール2内で各ロールの全周にわたって移動させることなく、内接ロール3の外周面およびリングロール2の内周面を修復することができる。これにより、修復部91の小型化を図り、修復部91を内接ロール3およびリングロール2に支障なく隣接して配置することが可能になり、オンラインで確実に修復することができる。
【0107】
また、複数の保持ロール94が、リングロール2の外周面において押圧ロール4に対して、リングロール2の周方向にずれて配置されている。そのため、押圧ロール4を修復するためにリングロール2を回転させるときに、押圧ロール4と、複数の保持ロール94と、によって、リングロール2の外周面を、前記周方向に離間した少なくとも3か所で支持することができる。これにより、リングロール2の回転を安定させ、リングロール2の内周面を円滑に精度良く修復することができる。
【0108】
(第6実施形態)
次に、本発明に係る圧搾装置の第6実施形態を、
図24および
図25を参照して説明する。
図24および
図25は、第6実施形態の修復部を示す概略斜視図である。
なお、この第6実施形態においては、第5実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0109】
第5実施形態の圧搾装置90では、修復部91がリングロール改削部93を備えていたが、本実施形態の圧搾装置100では、リングロール改削部93に代えて、内接ロール3の硬度が、リングロール2の硬度よりも高くなっている。図示の例では、内接ロール3の外周面における硬度が、リングロール2の内周面における硬度よりも高くなっている。
【0110】
この圧搾装置100において、内接ロール3の外周面およびリングロール2の内周面を修復するときには、まず
図24に示すように、内接ロール改削部92により内接ロール3の外周面を修復する。
その後、リングロール2の内周面を修復する。このとき
図25に示すように、まず、押圧ロール4によりリングロール2を押圧し、押圧ロール4と内接ロール3との間にリングロール2を挟持させる。そして、内接ロール改削部92により改削された内接ロール3の外周面を、リングロール2の内周面に押圧させながら、内接ロール3およびリングロール2をそれぞれ回転させる。
ここで前述のように、内接ロール3の硬度が、リングロール2の硬度よりも高くなっているので、修復された内接ロール3の外周面がリングロール2の内周面に押圧転写され、例えば、リングロール2の内周面の粗さを、内接ロール3により平滑化すること等ができる。これにより、リングロール2の内周面が修復される。
【0111】
以上説明したように、本実施形態に係る圧搾装置100によれば、内接ロール3の外周面をリングロール2の内周面に押圧転写して、リングロール2の内周面を修復することで、リングロール2を、内接ロール3を用いて修復することができる。したがって、修復部91が、リングロール2を修復するための専用の機構を備える場合に比べて、修復部91の小型化を図ることができる。
【0112】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0113】
例えば、前記各実施形態では圧搾装置を傾斜させているが、これに限られるものではない。例えば、圧搾装置を傾斜させることなく、鉛直上に立設させても良い。
また、前記各実施形態において、リングロール2、内接ロール3および押圧ロール4は、互いの回転軸線が平行となるように配置され、且つ回転軸線方向から見た際、リングロール2の回転中心と内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心とが同一の線上に位置するように配置されていれば良く、例えばリングロール2、内接ロール3および押圧ロール4が水平に配置されていても構わない。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
さらに、前記各実施形態では、調整手段33Aが押圧シリンダ33を具備し、押圧ロール4を下方から上方に押圧することで、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離を調整したが、この場合に限定されるものではない。例えば、内接ロール3を上方から下方に押圧することで、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離を調整しても良いし、押圧ロール4を下方から上方に押圧し、且つ内接ロール3を上方から下方に押圧することで、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離を調整しても良い。
いずれにしても、内接ロール3と押圧ロール4とを、互いが接近又は離間する方向に相対的に移動させることで、内接ロール3の回転中心と押圧ロール4の回転中心との中心間距離が調整できれば、調整手段をどのように構成しても構わない。
【0114】
また、前記各実施形態では、リングロール2を回転させるにあたり押圧ロール4を回転させ、この押圧ロール4の回転をリングロール2に伝えることで、リングロール2を回転させているが、これに限られるものではない。例えば、リングロール2を直接、回転駆動手段で回転させる構成にしても良い。
【0115】
また、前記各実施形態では、圧搾装置をひとつだけ設けているが、例えば複数の圧搾装置を直列的に配置し、前段の圧搾装置で圧搾対象物を圧搾し、その後、後段側の圧搾装置で圧搾後の残渣を続いて圧搾しても良い。この場合、例えば前段の圧搾装置と後段の圧搾装置とを
図9に示す気流搬送手段55Aで接続することにより、前段で圧搾した圧搾対象物の残渣を、後段の圧搾装置に連続的に供給することができ、複数の圧搾装置を用いた連続圧搾が可能になる。
【0116】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。