(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799293
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】太陽電池及び太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
H01L31/04 262
【請求項の数】16
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-256788(P2013-256788)
(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公開番号】特開2014-120775(P2014-120775A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2013年12月12日
(31)【優先権主張番号】101147800
(32)【優先日】2012年12月17日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】510052621
【氏名又は名称】茂迪股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 政豪
(72)【発明者】
【氏名】陳 威有
(72)【発明者】
【氏名】陳 哲宏
(72)【発明者】
【氏名】柳 彦志
(72)【発明者】
【氏名】張 冠綸
【審査官】
濱田 聖司
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2012/009809(WO,A1)
【文献】
国際公開第2012/073801(WO,A1)
【文献】
特表2002−530894(JP,A)
【文献】
特開2008−135655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面としての表面と、該表面と背中合わせの裏面とを有する基板と、
前記基板の前記裏面に設けられている裏面電極ユニットと、
前記基板の前記表面に設けられている表面電極ユニットとを備え、
前記表面電極ユニットは、第1の方向に沿って帯状に延びて形成された第1のバスバー電極と、第2のバスバー電極とが前記第1の方向と同一平面且つ直角の第2の方向に沿って互いに接触せずに隔てて並列するように設けられ、前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の間にそれぞれが前記第1の方向に沿って互いに隔てて平行に並ぶ複数の第1のフィンガー電極セットと複数の第2のフィンガー電極セットとが前記第2の方向に沿って互いに隔てて並ぶように設けられ、
複数の前記第1のフィンガー電極セットはそれぞれ、前記第1のバスバー電極の前記第2のバスバー電極側に連結されると共に前記第2のバスバー電極に向かって延びる数本の第1のフィンガー電極と、数本の前記第1のフィンガー電極の前記第2のバスバー電極側に延伸された第1の延伸端部を接続した第1のサイド接続電極とを有し、
複数の前記第2のフィンガー電極セットはそれぞれ、前記第2のバスバー電極の前記第1のバスバー電極側に連結されると共に前記第1のバスバー電極に向かって延びる数本の第2のフィンガー電極と、数本の前記第2のフィンガー電極の前記第1のバスバー電極側に延伸された第2の延伸端部を接続した第2のサイド接続電極とを有し、
複数の前記第1のフィンガー電極セットにおける前記第1の方向に沿って隣り合って並ぶ2つの前記第1のフィンガー電極セットは、第1の連結電極によって繋ぐように設けられ、
複数の前記第2のフィンガー電極セットにおける前記第1の方向に沿って隣り合って並ぶ2つの前記第2のフィンガー電極セットは、第2の連結電極によって繋ぐように設けられ、
前記第1の連結電極は、前記第2の方向において前記第1のバスバー電極に前記第1のサイド接続電極よりも近づいて設けられ、
前記第2の連結電極は、前記第2の方向において前記第2のバスバー電極に前記第2のサイド接続電極よりも近づいて設けられていることを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1の方向に沿って隣り合って並んでいる2つの前記第1のフィンガー電極の間の距離及び前記第1の方向に沿って隣り合って並んでいる2つの前記第2のフィンガー電極の間の距離をd1とし、各前記第1のフィンガー電極の第1の延伸端部を通る前記第1の方向沿いの直線と、各前記第2のフィンガー電極の第2の延伸端部を通る前記第1の方向沿いの直線との間の距離をd2とするとき、式:d1≧d2>100μmを満たすことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
各前記第1のサイド接続電極と各前記第2のサイド接続電極とは、前記第2の方向沿いに隔てて交錯して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
各前記第1のサイド接続電極と各前記第2のサイド接続電極とは、前記第2の方向沿いに隔てて対向して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1の連結電極と前記第2の連結電極は、前記第1の方向に沿って延びるように形成され、
前記第1の連結電極の前記第1の方向沿いの延伸された両端によって前記第1の方向沿いに隣り合った前記第1のフィンガー電極セット同士における隣接した2つの前記第1のフィンガー電極を連結し、
前記第2の連結電極の前記第1の方向沿いの延伸された両端によって前記第1の方向沿いに隣り合った前記第2のフィンガー電極セット同士における隣接した2つの前記第2のフィンガー電極を連結し、
各前記第1のフィンガー電極及び各前記第2のフィンガー電極のそれぞれの前記第2の方向の長さをXとしたとき、
各前記第1の連結電極の前記第1の方向沿いの直線から各前記第1の連結電極と連結された前記第1のフィンガー電極同士の前記第1の延伸端部の前記第1の方向沿いの直線に至る前記第2の方向沿いの距離、及び各前記第2の連結電極の前記第1の方向沿いの直線から各前記第2の連結電極と連結された前記第2のフィンガー電極同士の前記第2の延伸端部の前記第1の方向沿いの直線に至る前記第2の方向沿いの距離はそれぞれ、X/2〜X/3の範囲内となるように設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記表面電極ユニットは更に、前記第1の方向に沿って隔てて並ぶ第1の外側連結電極と第2の外側連結電極とを有し、
前記第1の外側連結電極によって前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の前記第1の方向沿いの一端部を連結し、
前記第2の外側連結電極によって前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の前記第1の方向沿いの前記一端部と反対側の他端部を連結していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記表面電極ユニットは更に、前記第2の方向に沿って延伸される2つの第3の外側連結電極と2つの第4の外側連結電極とが互いに前記第1の方向の間隔をおいて平行に並ぶように設けられ、
2つの前記第3の外側連結電極のそれぞれを前記第1のバスバー電極と前記第2のバスバー電極との前記第1の方向沿いの一端部のそれぞれと連結し、
2つの前記第4の外側連結電極のそれぞれを前記第1のバスバー電極と前記第2のバスバー電極との前記第1の方向沿いの前記一端部と反対側の他端部のそれぞれと連結していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項8】
互いに上下対向して配置されている第1のプレート状部材と第2のプレート状部材と、
前記第1のプレート状部材及び前記第2のプレート状部材の間に配列されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の複数の太陽電池と、
前記太陽電池の周りを取り囲むと共に前記第1のプレート状部材及び前記第2のプレート状部材の間に配置されているパッケージ部材とを備えている太陽電池モジュール。
【請求項9】
受光面としての表面と、該表面と背中合わせの裏面とを有する基板と、
前記基板の前記裏面に設けられている裏面電極ユニットと、
前記基板の前記表面に設けられている表面電極ユニットとを備え、
前記表面電極ユニットは、第1の方向に沿って帯状に延びて形成された第1のバスバー電極と、第2のバスバー電極とが前記第1の方向と同一平面且つ直角の第2の方向に沿って互いに接触せずに隔てて並列するように設けられ、前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の間に少なくとも1つの第1のフィンガー電極セットと少なくとも1つの第2のフィンガー電極セットとが前記第2の方向に沿って互いに隔てて並ぶように設けられ、
前記第1のフィンガー電極セットは、前記第1のバスバー電極の前記第2のバスバー電極側に連結されると共に前記第2のバスバー電極に向かって延びる数本の第1のフィンガー電極と、数本の前記第1のフィンガー電極の前記第2のバスバー電極側に延伸された第1の延伸端部を接続した第1のサイド接続電極とを有し、
前記第2のフィンガー電極セットは、前記第2のバスバー電極の前記第1のバスバー電極側に連結されると共に前記第1のバスバー電極に向かって延びる数本の第2のフィンガー電極と、数本の前記第2のフィンガー電極の前記第1のバスバー電極側に延伸された第2の延伸端部を接続した第2のサイド接続電極とを有し、
前記第1のフィンガー電極セットにおける少なくとも隣接した2つの前記第1のフィンガー電極を第1の内側連結電極によって連結し、
前記第2のフィンガー電極セットにおける少なくとも隣接した2つの前記第2のフィンガー電極を第2の内側連結電極によって連結し、
前記第1の内側連結電極は、前記第1のバスバー電極に前記第1のサイド接続電極よりも近づいて設けられ、
前記第2の内側連結電極は、前記第2のバスバー電極に前記第2のサイド接続電極よりも近づいて設けられていることを特徴とする太陽電池。
【請求項10】
隣接した2つの前記第1のフィンガー電極の間の距離及び隣接した2つの前記第2のフィンガー電極の間の距離をd1とし、各前記第1のフィンガー電極の第1の延伸端部を通る前記第1の方向沿いの直線と、各前記第2のフィンガー電極の第2の延伸端部を通る前記第1の方向沿いの直線との間の距離をd2とするとき、以下の式:d1≧d2>100μmを満たすことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1の内側連結電極と前記第2の内側連結電極とは、前記第2の方向沿いに隔てて対向して設けられていることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1の内側連結電極と前記第2の内側連結電極とは、前記第2の方向沿いに隔てて交錯して設けられていることを特徴とする請求項9に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記第1の内側連結電極と前記第2の内側連結電極とは、前記第1の方向に沿って延伸されるように形成され、
前記第1の内側連結電極の前記第1の方向沿いに延伸された両端によって、前記第1のフィンガー電極セットにおける隣接した2つの前記第1のフィンガー電極を連結し、
前記第2の内側連結電極の前記第1の方向沿いに延伸された両端によって、前記第2のフィンガー電極セットにおける隣接した2つの前記第2のフィンガー電極を連結し、
前記第1のフィンガー電極及び前記第2のフィンガー電極のそれぞれの前記第2の方向の長さをXとしたとき、
各前記第1の内側連結電極の前記第1の方向沿いの直線から前記第1の内側連結電極と連結された前記第1のフィンガー電極同士の前記第1の延伸端部の前記第1の方向沿いの直線に至る前記第2の方向沿いの距離、及び前記第2の内側連結電極の前記第1の方向沿いの直線から前記第2の内側連結電極と連結された前記第2のフィンガー電極同士の前記第2の延伸端部の前記第1の方向沿いの直線に至る前記第2の方向沿いの距離はそれぞれ、X/2〜X/3の範囲内となるように設定されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記表面電極ユニットは更に、前記第1の方向に沿って隔てて並ぶ第1の外側連結電極と第2の外側連結電極とを有し、
前記第1の外側連結電極によって前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の前記第1の方向沿いの一端部を連結し、
前記第2の外側連結電極によって前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の前記第1の方向沿いの前記一端部と反対側の他端部を連結していることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記表面電極ユニットは更に、それぞれ前記第2の方向に沿って延伸されると共に互いに隔てて並ぶ2つの第3の外側連結電極と、それぞれ前記第2の方向に沿って延伸されると共に互いに隔てて並ぶ2つの第4の外側連結電極とが互いに前記第1の方向の間隔をおいて平行に並ぶように設けられ、
2つの前記第3の外側連結電極のそれぞれを前記第1のバスバー電極と前記第2のバスバー電極との前記第1の方向沿いの一端部のそれぞれと連結し、
2つの前記第4の外側連結電極のそれぞれを前記第1のバスバー電極と前記第2のバスバー電極との前記第1の方向沿いの前記一端部と反対側の他端部のそれぞれと連結していることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項16】
互いに上下対向して配置されている第1のプレート状部材と第2のプレート状部材と、
前記第1のプレート状部材及び前記第2のプレート状部材の間に配列されている請求項9〜15のいずれか一項に記載の複数の太陽電池と、
前記太陽電池の周りを取り囲むと共に前記第1のプレート状部材及び前記第2のプレート状部材の間に配置されているパッケージ部材とを備えていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池及び太陽電池モジュールに関し、特に結晶系シリコンを用いた太陽電池及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の結晶シリコン系太陽電池は、太陽光のエネルギーを電力に光電変換する電池本体と、電池本体の両面のそれぞれに積層した受光側の表面電極ユニットと裏面電極ユニットとを備えている。表面電極ユニットは、縦長く延伸して帯状に形成された数本のバスバー電極と、バスバー電極の横側に連結されるように延伸された複数のフィンガー電極とが設けられている。表面電極ユニットは、例えばスクリーン印刷法で導電ペーストを電池本体の受光面に印刷し、高温焼結により導電ペーストを硬化してバスバー電極とフィンガー電極が形成される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-135655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記太陽電池の製造では、スクリーン印刷法にて形成されたフィンガー電極は高いアスペクト比を有するため、フィンガー電極による電極本体の受光面の遮蔽面積が少なくなるので、太陽電池の受光する面積及び光電変換効率の向上を図ることができる。しかし、フィンガー電極が長く延伸されて形成されているため、太陽電池の製造中、フィンガー電極がよく断線する。フィンガー電極が断線すると、輝度にむらが発生し、太陽電池の外観や電流の収集効率が劣化する問題点がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決してなされたものであり、フィンガー電極の断線による影響を低減すると共に、光電変換効率及び電流収集効率の向上を図ることができる太陽電池及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、一の観点によれば、本発明に係る太陽電池は、受光面としての表面と、該表面と背中合わせの裏面とを有する基板と、前記基板の前記裏面に設けられている裏面電極ユニットと、前記基板の前記表面に設けられている表面電極ユニットとを備え、前記表面電極ユニットは、第1の方向に沿って帯状に延びて形成された第1のバスバー電極と、第2のバスバー電極とが前記第1の方向と同一平面且つ直角の第2の方向に沿って互いに接触せずに隔てて並列するように設けられ、前記第1のバスバー電極及び前記第2のバスバー電極の間にそれぞれが前記第1の方向に沿って互いに隔てて平行に並べる複数の第1のフィンガー電極セットと複数の第2のフィンガー電極セットとが前記第2の方向に沿って互いに隔てて並ぶように設けられ、複数の前記第1のフィンガー電極セットはそれぞれ、前記第1のバスバー電極の前記第2のバスバー電極側に連結されると共に前記第2のバスバー電極に向かって延びる数本の第1のフィンガー電極と、数本の前記第1のフィンガー電極の前記第2のバスバー電極側に延伸された第1の延伸端部を接続した第1のサイド接続電極とを有し、複数の前記第2のフィンガー電極セットはそれぞれ、前記第2のバスバー電極の前記第1のバスバー電極側に連結されると共に前記第1のバスバー電極に向かって延びる数本の第2のフィンガー電極と、数本の前記第2のフィンガー電極の前記第1のバスバー電極側に延伸された第2の延伸端部を接続した第2のサイド接続電極とを有し、複数の前記第1のフィンガー電極セットにおける前記第1の方向に沿って隣り合って並ぶ2つの前記第1のフィンガー電極セットは、第1の連結電極によって繋ぐように設けられ、複数の前記第2のフィンガー電極セットにおける前記第1の方向に沿って隣り合って並ぶ2つの前記第2のフィンガー電極セットは、第2の連結電極によって繋ぐように設けられ、前記第1の連結電極は、前記第2の方向において前記第1のバスバー電極に前記第1のサイド接続電極よりも近づいて設けられ、前記第2の連結電極は、前記第2の方向において前記第2のバスバー電極に前記第2のサイド接続電極よりも近づいて設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、他の観点によれば、本発明に係る太陽電池モジュールは、互いに上下対向して配置されている第1のプレート状部材と第2のプレート状部材と、前記第1のプレート状部材及び前記第2のプレート状部材の間に配列されている複数の本発明に係る太陽電池と、前記太陽電池の周りを取り囲むと共に前記第1のプレート状部材及び前記第2のプレート状部材の間に配置されているパッケージ部材とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上のように構成された本発明に係る太陽電池及び太陽電池モジュールは、少なくとも第1のフィンガー電極と第2のフィンガー電極が直接接触せずに設けられているので、従来のフィンガー電極の連続的に延伸された構成と比べて、スクリーン印刷の実施時における断線を大幅に低減することができる。従って、断線による影響を大幅に軽減することができ、良好な外観を有することができるので、発光試験においても、均一的な輝度を得ることができ、良好な電気特性を得ることができる。また、フィンガー電極セットにおいてサイド接続電極によって対応するフィンガー電極同士を連結し、且つ連結電極によって隣り合ったフィンガー電極セット同士を繋いでいるので、良好な導電ネットワークを得ることができる。従って、電流の収集効率及び光電変換効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る太陽電池モジュールの第1の実施形態の構成を示す一部断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る太陽電池の平面図である。
【
図5】本発明に係る太陽電池の第2の実施形態を示す平面図である。
【
図6】本発明に係る太陽電池の第3の実施形態を示す平面図である。
【
図7】本発明に係る太陽電池の第4の実施形態を示す平面図である。
【
図9】本発明に係る太陽電池の第5の実施形態を示す平面図である。
【
図10】本発明に係る太陽電池の第6の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をいくつかの好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る太陽電池モジュールの第1の実施形態の構成を示す一部断面図である。この太陽電池モジュールは、図示の如く、互いに上下対向して配置されている第1のプレート状部材1と第2のプレート状部材2と、第1のプレート状部材1及び第2のプレート状部材2の間にアレイ状に配置されている複数の太陽電池3と、太陽電池3の周りを取り囲むと共に第1のプレート状部材1及び第2のプレート状部材2の間に配置されている少なくとも1つのパッケージ部材4とを備えている。
【0012】
第1のプレート状部材1及び第2のプレート状部材2としては、ガラスやプラスチックのプレートを用いることができ、特に制限されない。なお、電池の受光面側としてのプレート状部材としては、光透過性を持ったものが必要である。パッケージ部材4は、例えば光透過性を有するエチレン酢酸ビニール(EVA)コポリマーなどの材料を適切に用いることができ特に制限されない。
【0013】
複数の太陽電池3は、隣り合う太陽電池3同士を帯状の導線(ribbon)(図示せず)によって電気的に接続している。なお、太陽電池3のそれぞれの構成は同じであるので、以下、複数の太陽電池3におけるいずれかの一つについて説明する。
【0014】
太陽電池3は、
図3に示されているように、電池本体31と、裏面電極ユニット32と、表面電極ユニット6とを含む。電池本体31は、受光面としての表面311と該表面311と背中合わせの裏面312とを有する基板310と、基板310の表面311寄りの裏側に配置されたエミッタ層313と、表面311の表側に形成された反射防止層314とを有する。
【0015】
基板310としては、例えば結晶シリコンとアモルファスシリコンのSi系基板を用いることができる。電池本体31は、基板310とエミッタ層313との一方がn型半導体、他方がp型半導体としてn型とp型の半導体を接合した構造をもつ。反射防止層314は光の反射を抑制して光の入射量を増やすために、例えば窒化ケイ素(SiNx)化合物を用いる。電池本体31は、この形態ではその角部が落とされて多角形に形成された基板310を用いている。
【0016】
裏面電極ユニット32は、基板310の裏面312に設けられており、表面電極ユニット6とにより太陽電池の電気エネルギーを外部に出力させる役割をもつ。なお、裏面電極ユニット32の配置は当該技術分野では既知技術であるため、ここではその詳細は省略する。
【0017】
表面電極ユニット6は、基板310の表面311の表側に反射防止層314を貫通してエミッタ層313に接触するように設けられている。表面電極ユニット6は、
図2に示されているように、この第1の実施形態では、第1の方向51に沿って延伸されている第1のバスバー電極61と第2のバスバー電極62と第3のバスバー電極63とが第1の方向51と同一平面且つ垂直な第2の方向52に沿って隔てて並ぶように設けられ、第1のバスバー電極61及び第2のバスバー電極62の間に複数の第1のフィンガー電極セット64と複数の第2のフィンガー電極セット65とが設けられ、第2のバスバー電極62及び第3のバスバー電極63の間に複数の第3のフィンガー電極セット66と複数の第4のフィンガー電極セット67とが設けられ、第1のバスバー電極61の第2のバスバー電極62から離れた側に第5のフィンガー電極セット68が設けられ、第3のバスバー電極63の第2のバスバー電極62から離れた側に第6のフィンガー電極セット69が設けられている。なお、本実施形態では、バスバー電極を3つ設けている形態を例として説明したが、場合によってバスバー電極を2つ設けてもよく、バスバー電極の両側に設けられたフィンガー電極セットも応じて設置数を減らしてもよい。
【0018】
各第1のフィンガー電極セット64は互いに第1の方向51に沿って隔てて並列するように第1のバスバー電極61の第1の方向51の一側(即ち、第2のバスバー電極62寄りの一側)に設けられ、各第2のフィンガー電極セット65は互いに第1の方向51に沿って隔てて並列するように第2のバスバー電極62の第1の方向51の他側(即ち、第1のバスバー電極61寄りの他側)に設けられている。この実施形態では、第1のフィンガー電極セット64と第2のフィンガー電極セット65は直接接触せずに隔てて設けられている。
【0019】
各第1のフィンガー電極セット64は、それぞれが第1のバスバー電極61の第1の方向51の一側より第2の方向52沿いに第2のバスバー電極62に向かって延びると共に第1の方向51沿いに隔てて並列された少なくとも2本の第1のフィンガー電極641と、第1のサイド接続電極642とを有する。第1のフィンガー電極641は、第1のバスバー電極61に接続された第1の接続端部643と、第1の接続端部643と反対側で第2のバスバー電極62に向かっている第1の延伸端部644とを有する。本実施形態では、第1のフィンガー電極641を2本有するが、製造の際には3本以上をもって実施されている。
【0020】
第1のサイド接続電極642は、各第1のフィンガー電極セット64における全ての第1のフィンガー電極641の第1の延伸端部644を繋いで設けている。このように構成された第1のフィンガー電極セット64はそれぞれがリンクされて導電ネットワークに形成されているので、電流の収集効率を向上することができる。
【0021】
各第2のフィンガー電極セット65は、それぞれが第2のバスバー電極62の第1の方向51の一側より第2の方向52沿いに第1のバスバー電極61に向かって延びると共に第1の方向51沿いに隔てて並列された少なくとも2本の第2のフィンガー電極651と、第2のサイド接続電極652とを有する。第2のフィンガー電極651は、第2のバスバー電極62に接続された第2の接続端部653と、第2の接続端部653と反対側で第1のバスバー電極61に向かっている第2の延伸端部654とを有する。本実施形態では、第2のフィンガー電極651を2本有するが、製造の際には3本以上をもって実施されている。
【0022】
第2のサイド接続電極652は、各第2のフィンガー電極セット65における全ての第2のフィンガー電極651の第2の延伸端部654を繋いで設けている。このように構成された第2のフィンガー電極セット65はそれぞれがリンクされて導電ネットワークに形成されているので、電流の収集効率を向上することができる。
【0023】
本実施形態では、各第1のサイド接続電極642と各第2のサイド接続電極652とは、各第1のサイド接続電極642の第2の方向52沿いの中央直線が第2のサイド接続電極652の第2の方向52沿いの中央部を通らずに、第2の方向52沿いに隔てて交錯して設けられている。
【0024】
一例として、第1の方向51に沿って隣り合って並んでいる2つの第1のフィンガー電極641の間の距離及び第1の方向51に沿って隣り合って並んでいる2つの第2のフィンガー電極651の間の距離をd1とし、各第1のフィンガー電極641の第1の延伸端部644を通る第1の方向51沿いの直線を第1の直線L1とし、各第2のフィンガー電極651の第2の延伸端部654を通る第1の方向51沿いの直線を第2の直線L2とし、第1の直線L1と第2の直線L2との間の距離をd2とするとき、式:d1≧d2>100μmを満たすことが好ましい。
【0025】
太陽電池は、エレクトロルミネセンス(EL)の発光原理によってバイアスをかけて発光させる発光試験を行うことで、電池表面の発光にむらが発生したかどうかを確認することによって、太陽電池の電気特性を検出する。太陽電池において電流量が大きい箇所の輝度が大きく、電流量が小さい箇所の輝度が小さいことが発光試験からは分かる。発光試験では、第1の直線L1及び第2の直線L2の間が暗く帯状ダークエリア(ダークライン)として現されるが、これは、発光むらによって発生したことではなく、ただそこに集められた電流の量が少なく、その上、電池全体の映像のコントラストによって引き起こされた現象である。太陽電池の電気特性の向上のためには、ダークエリアを減らすかコントラストを低減することが考えられる。そのため、第1の直線L1と第2の直線L2との間の距離d2は大きくならない方がよく、d1と同じ或いはより小さいことが好ましい。
【0026】
その一方、各フィンガー電極及びサイド接続電極は、発光試験では、比較的暗くグレー色の細線として現されるため、第1の直線L1と第2の直線L2が近づく、つまりd2が小さい場合、第1のサイド接続電極642と第2のサイド接続電極652とがかなり近づいているので、第1のサイド接続電極642と第2のサイド接続電極652とで形成されたグレー色の細線がかなり近づくことになる。このようになると、発光試験では、ダークラインが明らかに現れるのでよくないため、d2>100μmであることが好ましい。
【0027】
d1は、フィンガー電極の数により調節することができるので、d1については制限されないが、ダークラインを抑えるために、d1>100μmである方が好ましい。
【0028】
また、この実施形態では、第1の方向51沿いに隣り合った第1のフィンガー電極セット64を第1の連結電極71によって連結し、第1の方向51沿いに隣り合った第2のフィンガー電極セット65を第2の連結電極72によって連結している。
【0029】
第1の連結電極71は第1のバスバー電極61に第1のサイド接続電極642よりも近づくように、言い換えれば、第1の連結電極71は、第1のバスバー電極61との間の距離が第1のサイド接続電極642と第1のバスバー電極61との間の距離よりも短くなるように設けられ、第2の連結電極72は第2のバスバー電極62に第2のサイド接続電極652よりも近づくように、言い換えれば、第2の連結電極72は、第2のバスバー電極62との間の距離が第2のサイド接続電極652と第2のバスバー電極62との間の距離よりも短くなるように設けられている。このように第1の連結電極71によって連結された第1のフィンガー電極セット64のそれぞれがリンクされて導電ネットワークを形成すると共に、第2の連結電極72によって連結された第2のフィンガー電極セット65のそれぞれがリンクされて導電ネットワークを形成することができるので、電流収集効率を高めることができる。
【0030】
より具体的には、各第1の連結電極71及び各第2の連結電極72のそれぞれの第1の方向51沿いの両端によって、第1の方向51沿いに隣り合った第1のフィンガー電極セット64及び第2のフィンガー電極セット65のそれぞれにおける隣り合った第1のフィンガー電極641同士及び第2のフィンガー電極651同士のそれぞれを連結している。各第1のフィンガー電極641及び各第2のフィンガー電極651のそれぞれの第2の方向52の長さをXとしたとき、各第1の連結電極71の第1の方向51沿いの直線から各第1の連結電極71と連結された第1のフィンガー電極641同士の第1の延伸端部644の第1の方向51沿いの直線に至る第2の方向52沿いの距離d3、及び各第2の連結電極72の第1の方向51沿いの直線から各第2の連結電極72と連結された第2のフィンガー電極651同士の第2の延伸端部654の第1の方向51沿いの直線に至る第2の方向52沿いの距離d4はそれぞれ、X/2〜X/3の範囲内となるように設定される。このようにすると、発光試験の結果を改善する効果を有する。
【0031】
複数の第3のフィンガー電極セット66は、第2のバスバー電極62の第1の方向51沿いの一側に第3のバスバー電極63に向かって第2の方向52沿いに延びるように設けられた第3のフィンガー電極661と第3のサイド接続電極662とを有する。第3のフィンガー電極セット66は、第2のフィンガー電極セット65とは第2のバスバー電極62に対してミラー対称に設けられている。なお、第3のフィンガー電極セット66はその構成が第2のフィンガー電極セット65と同じである。第3のフィンガー電極661は、第2のバスバー電極62に接続された第3の接続端部663と、第3の接続端部663と反対側で第3のバスバー電極63に向かっている第3の延伸端部664とを有する。第1の方向51に沿って隣り合った2つの第3のフィンガー電極セット66は第3の連結電極73によって繋いで設けられている。第3のサイド接続電極662は、第3のフィンガー電極セット66における全ての第3のフィンガー電極661の第3の延伸端部664を繋いで設けている。
【0032】
複数の第4のフィンガー電極セット67は、互いに第1の方向51に沿って隔てて並ぶと共に、それぞれは第3のバスバー電極63の第1の方向51沿いの一側に第2のバスバー電極62に向かって第2の方向52沿いに延びるように設けられた第4のフィンガー電極671と第4のサイド接続電極672とを有する。なお、第4のフィンガー電極セット67はその構成が第1のフィンガー電極セット64と同じである。第4のフィンガー電極セット67は、第1のフィンガー電極セット64とは第2のバスバー電極62に対してミラー対称に設けられている。第4のフィンガー電極671は、第3のバスバー電極63に接続された第4の接続端部673と、第4の接続端部673と反対側で第2のバスバー電極62に向かっている第4の延伸端部674とを有する。第1の方向51に沿って隣り合った2つの第4のフィンガー電極セット67は第4の連結電極74によって繋いで設けられている。第4のサイド接続電極672は、各第4のフィンガー電極セット67における全ての第4のフィンガー電極671の第4の延伸端部674を繋いで設けている。
【0033】
複数の第5のフィンガー電極セット68は、互いに第1の方向51に沿って隔てて並ぶと共に、それぞれ第1のバスバー電極61の第1の方向51沿いの他側に第2のバスバー電極62から離れて第2の方向52沿いに延びるように設けられた第5のフィンガー電極681と第5のサイド接続電極682とを有する。なお、第5のフィンガー電極セット68はその構成が第1のフィンガー電極セット64と同じである。第5のフィンガー電極セット68は、第1のフィンガー電極セット64とは第1のバスバー電極61に対してミラー対称に設けられている。第5のフィンガー電極681は、第1のバスバー電極61に接続された第5の接続端部683と、第5の接続端部683と反対側で第2のバスバー電極62から離れた第5の延伸端部684とを有する。第1の方向51に沿って隣り合って並んだ2つの第5のフィンガー電極セット68は第5の連結電極75によって繋いで設けられている。第5のサイド接続電極682は、各第5のフィンガー電極セット68における全ての第5のフィンガー電極681の第5の延伸端部684を繋いで設けている。
【0034】
複数の第6のフィンガー電極セット69は、互いに第1の方向51に沿って隔てて並ぶと共に、それぞれ第3のバスバー電極63の第1の方向51沿いの第2のバスバー電極62から離れた側に第3のバスバー電極63から第2の方向52沿いに延びるように設けられた第6のフィンガー電極691と第6のサイド接続電極692とを有する。なお、第6のフィンガー電極セット69はその構成が第4のフィンガー電極セット67と同じである。第6のフィンガー電極セット69は、第4のフィンガー電極セット67とは第3のバスバー電極63に対してミラー対称に設けられていると共に、第5のフィンガー電極セット68とは第2のバスバー電極62に対してミラー対称に設けられている。第6のフィンガー電極691は、第3のバスバー電極63に接続された第6の接続端部693と、第6の接続端部693と反対側で第2のバスバー電極62から離れた第6の延伸端部694とを有する。第1の方向51に沿って隣り合って並んだ2つの第6のフィンガー電極セット69は第6の連結電極76によって繋いで設けられている。第6のサイド接続電極692は、各第6のフィンガー電極セット69における全ての第6のフィンガー電極691の第6の延伸端部694を繋いで設けている。
【0035】
この形態では、表面電極ユニット6は更に第1のバスバー電極61と第3のバスバー電極63とから電池本体31の4つの角部のそれぞれに向かって第2のバスバー電極62から離れて延びる延伸電極80と、各角部に対応して対応する延伸電極80の延伸端部を繋ぐエッジ電極85と、第1の方向51に沿って隔てて並ぶ第1の外側連結電極81と第2の外側連結電極82とを有する。
【0036】
この形態では、第1の外側連結電極81は第2の方向52に沿って延伸されて形成されており、第1のバスバー電極61の第1の方向51沿いの一端部、第2のバスバー電極62の第1の方向51沿いの一端部、第3のバスバー電極63の第1の方向51沿いの一端部、及び該一端部側の各エッジ電極85を連結している。第2の外側連結電極82は第2の方向52に沿って延伸されて形成されており、第1のバスバー電極61の第1の方向51沿いの一端部と反対側の他端部、第2のバスバー電極62の第1の方向51沿いの一端部と反対側の他端部、第3のバスバー電極63の第1の方向51沿いの一端部と反対側の他端部、及び該他端部側の各エッジ電極85を連結している。なお、基板310の多角形状に応じて基板310の角部に延伸電極80とエッジ電極85が設けられているが、角部がない場合、延伸電極80とエッジ電極85を設けなくてもよい。
【0037】
この形態に係る太陽電池は、第1の外側連結電極81と第2の外側連結電極82によって各バスバー電極の間を繋いでなる導電ネットワークを形成しているので、電流の収集効率が向上することができる。
【0038】
以上のように構成された本発明に係る太陽電池は、少なくとも第1のフィンガー電極641と第2のフィンガー電極651が直接接触せずに設けられているので、従来のフィンガー電極の連続的に延伸された構成と比べて、スクリーン印刷の実施時における断線を大幅に低減することができる。従って、断線による影響を大幅に軽減することができ、良好な外観を有することができるので、発光試験においても、均一的な輝度を得ることができ、良好な電気特性を得ることができる。また、各フィンガー電極セットにおいてサイド接続電極によって対応するフィンガー電極同士を連結し、且つ連結電極によって隣り合ったフィンガー電極セット同士を繋いでいるので、良好な導電ネットワークを得ることができる。従って、電流の収集効率及び光電変換効率の向上を図ることができる。
【0039】
(第2の実施形態)
図5には、本発明に係る太陽電池モジュールの第2の実施形態の構成を示している。第2の実施形態では、第1の実施形態における第1のサイド接続電極642と第2のサイド接続電極652とが第2の方向52沿いに隔てて交錯して設けられている構成に替わって、第1のサイド接続電極642と各第2のサイド接続電極652とが、第2の方向52沿いに隔てて対向して設けられている。即ち、各第1のサイド接続電極642と各第2のサイド接続電極652とは互いに対応すると共に、それぞれ対応して第2の方向52に沿って同一直線に並ぶように設けられている。他のサイド接続電極もそれぞれ対応して対向するように設けられている。
【0040】
以上の構成により、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図6には、本発明に係る太陽電池モジュールの第3の実施形態の構成を示している。第3の実施形態においては、互いに隔てて並ぶように第2の方向52に沿って延伸される複数の第3の外側連結電極83と複数の第4の外側連結電極84とが互いに第1の方向51に間隔をおいて平行に並ぶように設けられている。
【0042】
第2の方向52沿いに延びるように形成された複数の第3の外側連結電極83、複数の第4の外側連結電極84のそれぞれを、対応するフィンガー電極セット64、65、66、67、…に平行に並ぶと共に、対応するバスバー電極61、62、63の一端部と他端部とを繋ぐように設けている。各第1のサイド接続電極642と各第2のサイド接続電極652とは、第2の方向52沿いに隔てて交錯して設けられている。なお、第3の外側連結電極83と第4の外側連結電極84を上記実施形態における第1の外側連結電極81と第2の外側連結電極82に替わって設けてもよい。
【0043】
この形態では、延伸電極80とエッジ電極85と第1の連結電極71と第1のバスバー電極61の一端部とは第3の外側連結電極83によって連結されていると共に、延伸電極80とエッジ電極85と第1の連結電極71と第1のバスバー電極61の他端部とは第4の外側連結電極84によって連結されているので、対応するバスバー電極及び該バスバー電極と繋いだフィンガー電極セットの間で良好な導電ネットワークを形成することができる。従って、この実施形態も上記のような効果を得ることができる。
【0044】
(第4の実施形態)
図7、
図8には、本発明に係る太陽電池モジュールの第4の実施形態の構成を示している。この実施形態では、第1の実施形態と違って、各フィンガー電極セット64〜69におけるサイド接続電極642〜692が第1の方向51に沿って延伸されるように形成されており、各フィンガー電極セット64〜69におけるフィンガー電極同士641〜691を繋ぐと共に、外側連結電極81、82と接続されるように設けられている。また、第1の方向51に沿って隣り合ったフィンガー電極セット64〜69同士における隣接した2つのフィンガー電極641〜691のそれぞれを各内側連結電極645、655、…によって連結している。
【0045】
この実施形態では、第1のフィンガー電極セット64と第2のフィンガー電極セット65とが隔てて交錯して並び、第3のフィンガー電極セット66と第4のフィンガー電極セット67とが隔てて交錯して並び、第1のフィンガー電極セット64と第5のフィンガー電極セット68及び第4のフィンガー電極セット67と第6のフィンガー電極セット69が対向して並び、第1の内側連結電極645と第2の内側連結電極655とが対向せずに交錯して並ぶように設けられている。各内側連結電極645、655、…は、対応するバスバー電極61、62、…に各サイド接続電極642、652、…よりも近づくように、言い換えれば、各内側連結電極645、655、…は、対応するバスバー電極61、62、…との間の距離が、各サイド接続電極642、652、…と対応するバスバー電極61、62、…との間の距離よりも短くなるように設けられている。
【0046】
本実施形態では、各内側連結電極645、685の第2の方向52沿いの中央直線が内側連結電極655、665の第2の方向52沿いの中央部を通らずに、内側連結電極675、695の第2の方向52沿いの中央部を通過するように、第2の方向52沿いに隔てて交錯して設けられている。
【0047】
この実施形態では、
図8に示されているように、例えば第1のフィンガー電極セット64における第1のフィンガー電極641同士の間隔をd1、第1のフィンガー電極セット64及び第2のフィンガー電極セット64の第2の方向52沿いの間隔をd2とするとき、第1の実施形態と同様に、d1≧d2>100μmを満たすように構成されることが好ましい。
【0048】
本実施形態では、第1のフィンガー電極641の第2の方向52沿いの長さをX、第1の内側連結電極645の第1の方向51沿いの直線から第1のサイド接続電極642の第1の方向51沿いの直線に至る第2の方向52沿いの距離をd3、第2の内側連結電極655の第1の方向51沿いの直線から第2のサイド接続電極652の第1の方向51沿いの直線に至る第2の方向52沿いの距離をd4とするとき、d3がX/2〜X/3、d4がX/2〜X/3と設定される。このように構成すると、発光試験の結果を改善する効果を有する。
【0049】
第3のフィンガー電極セット66と第2のフィンガー電極セット65とは、第2のバスバー電極62を中心としてミラー対称に設けられ、第4のフィンガー電極セット67と第1のフィンガー電極セット64とは第2のバスバー電極62を中心としてミラー対称に設けられ、第5のフィンガー電極セット68と第6のフィンガー電極セット69とは第2のバスバー電極62を中心としてミラー対称に設けられている。
【0050】
第3〜6のフィンガー電極セット66〜69のそれぞれは、同じく第2の方向52に沿って延びる複数のフィンガー電極及び複数のフィンガー電極を繋ぐように第1の方向51に沿って延びるサイド接続電極を有し、第1の方向51に隣り合ったフィンガー電極セットにおける隣接したフィンガー電極を内側接続電極によって連結している。第3〜6のフィンガー電極セット66〜69は上記の実施形態におけるフィンガー電極セットの構成と同じなので、詳しい説明を省略する。
【0051】
以上の構成により、本実施形態では、上記の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0052】
(第5の実施形態)
図9には、本発明に係る太陽電池モジュールの第5の実施形態の構成を示している。この実施形態では、第4の実施形態の構成と類似しているが、第1〜第6のフィンガー電極セット64〜69が互いに第2の方向52にて対向して並ぶように設けられている点で異なる。また各内側連結電極645、655、…は、各サイド接続電極642、652、…よりも対応するバスバー電極61、62、…に近づくように、言い換えれば、各内側連結電極645、655、…は、対応するバスバー電極61、62、…との間の距離が、各サイド接続電極642、652、…と対応するバスバー電極61、62、…との間の距離よりも短くなるように設けられている。第1の内側連結電極645の第2の方向52沿いの中央直線が第2の内側連結電極655の第2の方向52沿いの中央部を通るように配置されている。
【0053】
以上の構成により、本実施形態では、上記の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0054】
(第6の実施形態)
図10には、本発明に係る太陽電池モジュールの第6の実施形態の構成を示している。本実施形態では、表面電極ユニット6は、第2の方向52に沿って所定の間隔を隔てて並ぶ第1のバスバー電極61と第2のバスバー電極62と第3のバスバー電極63と、各バスバー電極61、62、63の第1の方向の両側のそれぞれに設けられた複数のフィンガー電極セットと、各バスバー電極61、62、63に対応して設けられて対応するバスバー電極61、62、63の両端のそれぞれと連結された第3の外側連結電極83、83、83と、第4の外側連結電極84、84、84とを備えている。第3の外側連結電極83と第4の外側連結電極84とは第1の方向51沿いに間隔をおいて平行して設けられていると共に、第1の方向51沿いに延びて形成されたサイド接続電極とにより対応するバスバー電極とその両側のフィンガー電極と内側連結電極とを取り囲むようにリング状に連結されている。
【0055】
なお、第3の外側連結電極83と第4の外側連結電極84を上記第5の実施形態における第1の外側連結電極81と第2の外側連結電極82に替わって設けてもよい。
【0056】
以上の構成により、本実施形態では、上記の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0057】
以上の説明により、本発明に係る太陽電池及び該太陽電池による太陽電池モジュールは、断線による影響を大幅に低減することができると共に、良好な導電ネットワークをも形成することができ、電極の電流収集効果を良好に保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る太陽電池は、その電気特性の向上を図る太陽電池として有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 第1のプレート状部材
2 第2のプレート状部材
3 太陽電池
31 電池本体
310 基板
311 表面
312 裏面
313 エミッタ層
314 反射防止層
32 裏面電極ユニット
4 パッケージ部材
51 第1の方向
52 第2の方向
6 表面電極ユニット
61〜63 バスバー電極
64〜69 フィンガー電極セット
641〜691 フィンガー電極
642〜692 サイド接続電極
643〜693 接続端部
644〜694 延伸端部
645〜695 内側連結電極
71〜76 連結電極
80 延伸電極
81〜84 外側連結電極
85 エッジ電極