特許第5799315号(P5799315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799315
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】レゾルバ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   G01D5/20 110H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-200383(P2011-200383)
(22)【出願日】2011年9月14日
(65)【公開番号】特開2013-61265(P2013-61265A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147500
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和之
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−242758(JP,A)
【文献】 特開2006−38808(JP,A)
【文献】 特開2004−7902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00− 5/252
G01D 5/39− 5/62
G01B 7/00− 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方へ向けて所定角度間隔で形成された複数の突出磁極(2)を有する輪状レゾルバステータ(1)と、前記輪状レゾルバステータ(1)の周縁に形成された取り付け用の孔(5)又は切り欠き(4)と、前記輪状レゾルバステータ(1)の内側に回転自在に配設された輪状レゾルバロータ(7)と、前記輪状レゾルバステータ(1)に設けられたステータ巻線(3)と、からなるレゾルバにおいて、
前記輪状レゾルバステータ(1)は、輪状磁性体ステータコア(1a又は1a,1b)と輪状非磁性体ステータコア(1c)を積層して形成され、前記輪状非磁性体ステータコア(1c)の第1外径(D1)は前記輪状磁性体ステータコア(1a又は1a,1b)の第2外径(D2)より大であり、前記輪状レゾルバロータ(7)は、輪状磁性体ロータコア(7a又は7a,7b)と輪状非磁性体ロータコア(7c)を積層して形成され、前記輪状非磁性体ロータコア(7c)の第1内径(D3)は前記輪状磁性体ロータコア(7a又は7a,7b)の第2内径(D4)より小であることを特徴とするレゾルバ。
【請求項2】
前記輪状磁性体ロータコア(7a,7b)は二枚、前記輪状非磁性体ロータコア(7c)は一枚であることを特徴とする請求項記載のレゾルバ。
【請求項3】
前記輪状磁性体ロータコア(7a)は一枚、前記輪状非磁性体ロータコア(7c)は一枚であることを特徴とする請求項記載のレゾルバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバに関し、特に、輪状レゾルバステータを輪状非磁性体ステータコアと輪状磁性体ステータコアの組合せとし、外部磁束からの影響を低減するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたレゾルバとしては、その代表的な構成として、特許文献1に開示された構成を挙げることができる。
すなわち、図8及び図9で示されるように、輪状レゾルバステータ1の内面には、所定角度間隔で複数の突出磁極2が形成され、各突出磁極2には、周知の励磁巻線と出力巻線とからなるステータ巻線3が巻回され信号線3Aで外部と接続されている。
【0003】
前記輪状レゾルバステータ1のステータ巻線3が位置する外側の周縁には、切り欠き4又は孔5又はその両方が形成された輪状の取り付け部6(すなわち、バックヨーク部)が形成されている。
前記取り付け部6の切り欠き4又は孔5又はその両方を用いて、各種装置又は自動車等の回転装置にレゾルバ8が取り付けられるように構成されている。
【0004】
前記輪状レゾルバステータ1の内側には、輪状レゾルバロータ7が回転自在に配設され、この輪状レゾルバロータ7は周知のバリアブルリラクタンス型(VR型)で巻線を有しない周知のロータ構造で形成されている。
前述の輪状レゾルバステータ1及び輪状レゾルバロータ7は、通常、珪素鋼板等の多数のコア片を積層させた積層構造で形成され、各コア片の転積によって磁気特性のバラツキを回避した構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,838,804号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のレゾルバは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、従来の輪状レゾルバステータは、輪状磁性体ステータコアのみを積層して形成していたため、輪状レゾルバステータ全体が磁性体で構成され、レゾルバの磁束経路であるバックヨーク部が取り付け部6と同じ磁路となっており、そのため、取り付け部6が直接回転装置の固定側に取り付けられた場合には、磁性体で形成されたこの取り付け部6を経由して外部のモータ等が発生する磁束がノイズとしてステータ巻線3の出力側に干渉し、レゾルバ8の出力特性の低下となっていた。
特に、前述のように、レゾルバ8の周縁である取り付け部6に切り欠き等の凹凸が存在すると、平坦状とは異なって外部からの磁束を呼び込みやすく、より一層、出力特性の低下となりやすい状況であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるレゾルバは、内方へ向けて所定角度間隔で形成された複数の突出磁極を有する輪状レゾルバステータと、前記輪状レゾルバステータの周縁に形成された取り付け用の孔又は切り欠きと、前記輪状レゾルバステータの内側に回転自在に配設された輪状レゾルバロータと、前記輪状レゾルバステータに設けられたステータ巻線と、からなるレゾルバにおいて、前記輪状レゾルバステータは、輪状磁性体ステータコアと輪状非磁性体ステータコアを積層して形成され、前記輪状非磁性体ステータコアの第1外径は前記輪状磁性体ステータコアの第2外径より大であ、前記輪状レゾルバロータは、輪状磁性体ロータコアと輪状非磁性体ロータコアを積層して形成され、前記輪状非磁性体ロータコアの第1内径は前記輪状磁性体ロータコアの第2内径より小である構成であり、また、前記輪状磁性体ロータコアは二枚、前記輪状非磁性体ロータコアは一枚である構成であり、また、前記輪状磁性体ロータコアは一枚、前記輪状非磁性体ロータコアは一枚である構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるレゾルバは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、内方へ向けて所定角度間隔で形成された複数の突出磁極を有する輪状レゾルバステータと、前記輪状レゾルバステータの周縁に形成された取り付け用の孔又は切り欠きと、前記輪状レゾルバステータの内側に回転自在に配設された輪状レゾルバロータと、前記輪状レゾルバステータに設けられたステータ巻線と、からなるレゾルバにおいて、前記輪状レゾルバステータは、輪状磁性体ステータコアと輪状非磁性体ステータコアを積層して形成され、前記輪状非磁性体ステータコアの第1外径は前記輪状磁性体ステータコアの第2外径より大であることにより、輪状レゾルバステータの輪状非磁性体ステータコアのみが装置側に接続され、輪状磁性体ステータコアは装置側から磁気的に浮いているため、外部からのノイズである磁束がレゾルバ側に入ることを従来より低減でき、レゾルバの出力特性の向上を得ることができる。
た、前記輪状レゾルバロータは、輪状磁性体ロータコアと輪状非磁性体ロータコアを積層して形成され、前記輪状非磁性体ロータコアの第1内径は前記輪状磁性体ロータコアの第2内径より小であることにより、ロータ側のノイズ防止を達成することができる。
また、前記輪状磁性体ロータコアは二枚、前記輪状非磁性体ロータコアは一枚、あるいは、前記輪状磁性体ロータコアは一枚、前記輪状非磁性体ロータコアは一枚であることにより、前述と同様に、外部からのノイズ低減用の輪状レゾルバロータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるレゾルバを示す平面図である。
図2図1の断面図である。
図3図2のA部の拡大断面図である。
図4図3の他の形態を示す拡大断面図である。
図5図1の他の形態を示す平面図である。
図6図5の輪状レゾルバロータを示す断面図である。
図7図6の他の形態を示す断面図である。
図8】従来のレゾルバを示す平面図である。
図9図8の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、レゾルバステータを輪状非磁性体ステータコアと輪状磁性体ステータコアの組合せとし、外部磁束からの影響を低減するようにしたレゾルバを提供することを目的とする。
【実施例】
【0011】
以下、図面と共に本発明によるレゾルバの好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を付して説明する。
図1及び図2において、符号1で示されるものは、輪状レゾルバステータであり、この輪状レゾルバステータ1の内面には、所定角度間隔で内方へ向けて突出する複数の突出磁極2が形成されている。
前記各突出磁極2には、周知の励磁巻線及び出力巻線からなるステータ巻線3が巻回され、このステータ巻線3は前記輪状レゾルバステータ1の一部において結束固定された信号線3Aによって信号の出入りが行われるように構成されている。
【0012】
前記輪状レゾルバステータ1のステータ巻線3が位置する外側の周縁には、切り欠き4又は孔5又はその両方が形成された輪状の取り付け部6が形成されている。
前記取り付け部6の切り欠き4又は孔5又はその両方を用いて、各種装置又は自動車等の回転装置にレゾルバ8が取り付けられるように構成されている。
【0013】
前記輪状レゾルバステータ1は、図2及び図3の断面図に示されるように、一対の輪状磁性体ステータコア1a,1bと、一枚の輪状非磁性体ステータコア1cと、が積層されて構成されている。
前記輪状非磁性体ステータコア1cの第1外径D1は、図2に特に示されているように、前記輪状磁性体ステータコア1a,1bの第2外径D2より大であり、前記切り欠き4及び孔5は、前記第2外径D2の外側に位置している。
【0014】
前記各輪状磁性体ステータコア1a,1bは、従来の輪状レゾルバステータと同じ磁性材で構成され、その第2外径D2は前記ステータ巻線3の外周面3aとほぼ同一で形成されている。
前記切り欠き4及び孔5は、前記第2外径D2の外側、すなわち、前記ステータ巻線3の外周面3aより外側に露出した状態で配設されている。
【0015】
前記輪状非磁性体ステータコア1cは、非磁性体である、例えば、アルミニウム、樹脂、絶縁材等で形成されているため、この輪状非磁性体ステータコア1cの各切り欠き4又は孔5又はその両方を用いて輪状非磁性体ステータコア1cを図示しない回転装置又は自動車等の回転部に取り付けることによりレゾルバ8が固定されているが、前記各輪状磁性体ステータコア1a,1bは、直接前記回転装置又は自動車等の回転部の導通部に非導通(すなわち、磁路が断たれた状態)となり、この回転装置又は回転部からの磁気的ノイズである不要な磁束が各輪状磁性体ステータコア1a,1b及びステータ巻線3側へ伝わりにくく、従来よりも外部磁束ノズルの影響を大幅に低減することが可能となり、従来用いていた磁気シールド構造等を追加する必要がなく、レゾルバ信号の特性向上、コスト低減等に大きく寄与することができる。
【0016】
また、前述の図2及び図3の構成においては、一対の輪状磁性体ステータコア1a,1bを用いた場合について述べたが、例えば、図4に示されるように、一枚の輪状磁性体ステータコア1aと一枚の輪状非磁性体ステータコア1cによって輪状レゾルバステータ1を構成した場合も前述の図3の構成と同様の作用効果を得ることができ、その枚数については自在に設定することができる。
尚、前述の各輪状ステータコア1a,1bは、図には示していないが、プレス抜きされた薄い多数の板状のコア片を転積によって積層させた構成である。
【0017】
次に、前述の輪状レゾルバステータ1の内側に回転自在に配設された輪状レゾルバロータ7は、図5から図7で示されるように、一対の輪状磁性体ロータコア7a、7bと一枚の輪状非磁性体ロータコア7cを軸方向に沿って積層することによって構成され、前記輪状非磁性体ロータコア7cの第1内径D3は、図6に示されるように、前記輪状磁性体ロータコア7a、7bの第2外径D4より小である。
【0018】
従って、図6の構成による前述の輪状レゾルバロータ7に回転軸10を装着する場合、回転軸10を輪状レゾルバロータ7に挿入すると、前記輪状非磁性体ロータコア7cの第1内径D3内に回転軸10が嵌合し、輪状レゾルバロータ7と回転軸10とは前記輪状非磁性体ロータコア7cのみを介して一体状に結合される。
【0019】
前述の場合、絶縁材である前記輪状非磁性体ロータ7cのみが直接前記回転軸10に接続して輪状レゾルバロータ7自体が回転軸10に固定されているため、回転軸10と輪状レゾルバロータ7とは、直接導通することはなく、磁気的な結合も従来よりも大幅に低減され、外部からの磁束による磁気的なノイズも、輪状レゾルバロータ7に伝達されることが低減され、レゾルバ8全体としての出力特性への磁気的な悪影響を大幅に低減することができる。
【0020】
また、前述の図6に開示された輪状レゾルバロータ7に限らず、例えば、図7に示されるように、一枚の輪状磁性体ロータコア7aと一枚の輪状非磁性体ロータコア7cとを軸方向に積層させることにより構成することができる。
尚、前述の各ステータコア1a,1b,1c及び各ロータコア7a,7b,7cは、図示していないが、複数のコア片を積層して形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明によるレゾルバは、輪状レゾルバステータを輪状非磁性体ステータコアと輪状磁性体ステータコアの組合せとし、外部磁束からの影響を低減することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 輪状レゾルバステータ
2 突出磁極
3 ステータ巻線
3A 信号線
4 切り欠き
5 孔(長孔)
6 取り付け部
7 輪状レゾルバロータ
8 レゾルバ
D1 第1外径
D2 第2外径
1a 輪状磁性体ステータコア
1b 輪状磁性体ステータコア
1c 輪状非磁性体ステータコア
D3 第1内径
D4 第2内径
7a,7b 輪状磁性体ロータコア
7c 輪状非磁性体ロータコア
10 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9