特許第5799332号(P5799332)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799332
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   A63F5/04 516D
【請求項の数】4
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2011-63380(P2011-63380)
(22)【出願日】2011年3月22日
(65)【公開番号】特開2012-196348(P2012-196348A)
(43)【公開日】2012年10月18日
【審査請求日】2013年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】特許業務法人青海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴之
(72)【発明者】
【氏名】下森 大輔
(72)【発明者】
【氏名】瀬村 純一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 元亮
(72)【発明者】
【氏名】八鍬 祐治
(72)【発明者】
【氏名】丸田 智行
(72)【発明者】
【氏名】工藤 恭弘
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−202819(JP,A)
【文献】 特開2009−254456(JP,A)
【文献】 特開2007−289544(JP,A)
【文献】 特開2004−298381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の契機に基づいて取得した乱数が、複数種類の当選領域に区画された抽選テーブルのいずれかの前記当選領域に割り当てられた置数に含まれているか参照し、その乱数が含まれている前記当選領域に対応した制御を行わせる制御手段と、互いに異なる複数の遊技状態と、を備えている遊技機であって、
前記抽選テーブルには、前記複数の遊技状態のうち、一の前記遊技状態の全ての前記当選領域が順に配された後に、他の前記遊技状態の全ての前記当選領域が順に配されるようにするとともに、前記複数の遊技状態におけるそれぞれの前記当選領域のうち、他の前記遊技状態と同一種類でかつ同一の置数を有する前記当選領域同士については、一つの前記当選領域として共通化し、前記当選領域の種類および置数の少なくとも一方が異なる前記当選領域同士については、それぞれ独立して配されることで、前記複数の遊技状態が有する全ての前記当選領域が順に配されており、
前記制御手段は、前記抽選テーブルに配されている全ての前記当選領域のうち、現在の前記遊技状態に応じた全ての前記当選領域における先頭の前記当選領域から順に前記遊技状態に応じた全ての前記当選領域のみを参照することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
所定の契機に基づいて取得した乱数が、複数種類の当選領域に区画された抽選テーブルのいずれかの前記当選領域に割り当てられた置数に含まれているか参照し、その乱数が含まれている前記当選領域に対応した制御を行わせる制御手段と、互いに異なる複数の遊技状態と、を備えている遊技機であって、
前記抽選テーブルには、前記複数の遊技状態それぞれにおける全ての前記当選領域が置数を等しくして、もしくは、置数を減じて全て順に配されるようにするとともに、前記複数の遊技状態におけるそれぞれの前記当選領域のうち、他の前記遊技状態と同一種類でかつ同一の置数を有する前記当選領域同士、および、他の前記遊技状態と同一種類でかつ一方の当選領域の置数を減じた結果、同一の置数を有することとなる前記当選領域同士については、一つの前記当選領域として共通化することで、前記複数の遊技状態が有する全ての前記当選領域が順に配されており、
前記制御手段は、前記抽選テーブルに配されている全ての前記当選領域のうち、現在の前記遊技状態に応じた全ての前記当選領域のいずれかの前記当選領域から順に参照し、全ての順を参照した際に、参照した置数が、前記遊技状態に応じた全ての前記当選領域のうち、一つの前記当選領域全体の置数に足りていない不足当選領域がある場合には、昇順の場合、順の最後に到達すると順の最初に戻ることによって、降順の場合、順の最初に到達すると順の最後に戻ることによって、前記不足当選領域全体の置数に達するまでその前記不足当選領域に対応した前記抽選テーブルの前記当選領域を繰り返し参照しており、
前記不足当選領域は、前記昇順の場合、前記抽選テーブルにおける順の最初に配され、前記降順の場合、前記抽選テーブルにおける順の最後に配されていることを特徴とする遊技機。
【請求項3】
前記複数の遊技状態にはそれぞれ、参照を開始する互いに異なる前記当選領域が対応付けられ、
前記制御手段は、前記抽選テーブルに配されている全ての前記当選領域のうち、現在の前記遊技状態に応じた前記当選領域から昇順および降順のうち予め定められたいずれか一方の順に従って順次参照することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記複数の遊技状態のうち、少なくとも1の前記遊技状態に昇順が対応付けられ、少なくとも他の1の前記遊技状態に降順が対応付けられ、
前記制御手段は、前記抽選テーブルに配されている全ての前記当選領域のうち、現在の前記遊技状態に応じたいずれかの前記当選領域から現在の前記遊技状態に対応付けられた昇順または降順に従って順次参照することを特徴とする請求項1または2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抽選テーブルを用いて遊技に関する抽選を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技者によるメダル(遊技媒体)の投入およびスタートスイッチの操作に応じて、当選役の抽選を行うとともに、種々の図柄が記された複数の回転リールが回転する。そして、抽選結果と遊技者によるストップスイッチの操作に応じて回転リールを順次停止するとともに、当選役に対応する図柄組み合わせが、払い出しの対象となるラインである有効ライン上に表示された場合に、所定枚数のメダルが払い出されるなど、当選役に応じた遊技上の利益が遊技者に付与されることとなる。
【0003】
このようなスロットマシンでは、当選役や、各デバイスを用いて出力される各種演出等の遊技利益が抽選テーブルに対応付けられ、抽選時に取得される乱数に対応した遊技利益に従って遊技が進行する。例えば、特許文献1に示される遊技機は、複数の抽選テーブルを用いて液晶表示器に表示する演出画像を決定している。
【0004】
しかし多軸化かつ多様化された抽選テーブルをスロットマシン内で保持するためには大量の記憶容量が必要になる。そこで、特許文献2に示される遊技機は、置数検索データテーブルと演出データテーブルとの間の関係を利用して、演出データテーブルに記憶された演出番号それぞれに対応する置数を、置数検索データテーブルを用いて取得し、取得した置数の範囲内に、演出に対応する演出番号を選択するための演出抽選乱数が含まれると、置数に対応する演出番号を選択するといった抽選処理を採用して、データテーブルが占めるメモリの記憶容量を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−261712号公報
【特許文献2】特開2007−252850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スロットマシンにおける各種の演出は、当選役の報知を行ったり、当選役への当選期待度を報知したり、また、ストップスイッチの操作態様に応じて遊技利益が異なる当選役に当選した場合に、遊技者にとって遊技利益が最も有利になる操作態様を報知(アシストタイム)したりする等、極めて重要な要素となっており、それに伴い、当選役の数や演出の種類は増加する傾向にある。
【0007】
通常、このような演出を決定するための抽選テーブルは、遊技の進行に応じて遷移する遊技状態毎に設けられるので、演出の種類が増えると、各遊技状態それぞれについて抽選テーブルの容量が増え、このような複数の抽選テーブルを保持するために膨大な記憶容量が必要となる。ここで、特許文献2の技術によっても記憶容量を低減することは可能であるが、その低減量は限られ、また、特許文献2の技術では、演出データテーブルを参照するために一旦置数検索データテーブルを検索しなくてはならず、処理が複雑になり時間がかかるといった問題があった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、簡易な構成で、処理負荷が高くなるのを抑制しつつ、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、所定の契機に基づいて取得した乱数が、複数種類の当選領域に区画された抽選テーブルのいずれかの当選領域に割り当てられた置数に含まれているか参照し、その乱数が含まれている当選領域に対応した制御を行わせる制御手段と、互いに異なる複数の遊技状態と、を備えている遊技機であって、抽選テーブルには、複数の遊技状態のうち、一の遊技状態の全ての当選領域が順に配された後に、他の遊技状態の全ての当選領域が順に配されるようにするとともに、複数の遊技状態におけるそれぞれの当選領域のうち、他の遊技状態と同一種類でかつ同一の置数を有する当選領域同士については、一つの当選領域として共通化し、当選領域の種類および置数の少なくとも一方が異なる当選領域同士については、それぞれ独立して配されることで、複数の遊技状態が有する全ての当選領域が順に配されており、制御手段は、抽選テーブルに配されている全ての当選領域のうち、現在の遊技状態に応じた全ての当選領域における先頭の当選領域から順に遊技状態に応じた全ての当選領域のみを参照することを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の他の遊技機は、所定の契機に基づいて取得した乱数が、複数種類の当選領域に区画された抽選テーブルのいずれかの当選領域に割り当てられた置数に含まれているか参照し、その乱数が含まれている当選領域に対応した制御を行わせる制御手段と、互いに異なる複数の遊技状態と、を備えている遊技機であって、抽選テーブルには、複数の遊技状態それぞれにおける全ての当選領域が置数を等しくして、もしくは、置数を減じて全て順に配されるようにするとともに、複数の遊技状態におけるそれぞれの当選領域のうち、他の遊技状態と同一種類でかつ同一の置数を有する当選領域同士、および、他の遊技状態と同一種類でかつ一方の当選領域の置数を減じた結果、同一の置数を有することとなる当選領域同士については、一つの当選領域として共通化することで、複数の遊技状態が有する全ての当選領域が順に配されており、制御手段は、抽選テーブルに配されている全ての当選領域のうち、現在の遊技状態に応じた全ての当選領域のいずれかの当選領域から順に参照し、全ての順を参照した際に、参照した置数が、遊技状態に応じた全ての当選領域のうち、一つの当選領域全体の置数に足りていない不足当選領域がある場合には、昇順の場合、順の最後に到達すると順の最初に戻ることによって、降順の場合、順の最初に到達すると順の最後に戻ることによって、不足当選領域全体の置数に達するまでその不足当選領域に対応した抽選テーブルの当選領域を繰り返し参照しており、不足当選領域は、昇順の場合、抽選テーブルにおける順の最初に配され、降順の場合、抽選テーブルにおける順の最後に配されていることを特徴とする。
【0011】
複数の遊技状態にはそれぞれ、参照を開始する互いに異なる当選領域が対応付けられ、制御手段は、抽選テーブルに配されている全ての当選領域のうち、現在の遊技状態に応じた当選領域から昇順および降順のうち予め定められたいずれか一方の順に従って順次参照してもよい。
【0012】
複数の遊技状態のうち、少なくとも1の遊技状態に昇順が対応付けられ、少なくとも他の1の遊技状態に降順が対応付けられ、制御手段は、抽選テーブルに配されている全ての当選領域のうち、現在の遊技状態に応じたいずれかの当選領域から現在の遊技状態に対応付けられた昇順または降順に従って順次参照してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、抽選テーブルの各遊技利益の配置を工夫し、複数の抽選テーブルを共通化(一本化)することで、処理負荷が高くなるのを抑制しつつ、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための外観図である。
図2】スロットマシンの概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。
図3】リールの図柄配列を示す図である。
図4】スロットマシンの概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図5】主制御基板のメイン処理を示したフローチャートである。
図6】有効ラインおよび当選役に対応する図柄組み合わせを示す図である。
図7】共通遊技状態用抽選テーブルを示す図である。
図8】主制御基板のベット処理を示したフローチャートである。
図9】主制御基板の抽選処理を示したフローチャートである。
図10】抽選処理のサブルーチンを示したフローチャートである。
図11】主制御基板のリール回転処理を示したフローチャートである。
図12】主制御基板のリール停止処理を示したフローチャートである。
図13】主制御基板の判定・払出処理を示したフローチャートである。
図14】副制御基板のリセット割込処理を示したフローチャートである。
図15】演出抽選テーブルを説明するための図である。
図16】副制御基板の抽選結果コマンドの受信処理を示したフローチャートである。
図17】共通演出抽選テーブルの他の例を説明するための図である。
図18】共通演出抽選テーブルの他の例を説明するための図である。
図19】共通演出抽選テーブルの他の例を説明するための図である。
図20】パチンコ機の概略的な機械的構成を説明するための外観斜視図である。
図21】パチンコ機のガラス扉を開けた状態の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0016】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理を説明する。
【0017】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための外観図であり、図2は、スロットマシン100の概略的な機械的構成を説明するための前面扉を開いた状態での外観図である。スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方で、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下方でメダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
【0018】
前面下扉106の上部には前方に突出した操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130等が配設されている。
【0019】
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部124は、メダル投入口(投入口)124aからの遊技媒体としてのメダルの投入を受け付ける。メダル投入部124は、投入メダル検出部124bを備え、投入メダル検出部124bは、メダル投入口124aを通過した後、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)によって規格内と判定されたメダルを検出する。このとき、メダル投入口124aを通過した規格外のメダルはメダルセレクタによってメダル排出口108aから受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入枚数である規定数を超えてメダルが投入されると、その規定数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部に電子的に貯留(以下、単に「クレジット」という。)される。ここで、1遊技は、メダルの投入を契機として1度の払い出しを受け得る一連の遊技をいう。また、本実施形態においては、規定数は「3」に設定されている。
【0020】
ベットボタン126は、クレジットされているメダルのうち規定数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。精算ボタン132は、クレジットされているメダルの返却(精算)要求操作を受け付ける、押圧式のボタンスイッチである。
【0021】
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なスタートレバーまたは押圧操作を検出可能なボタンスイッチで形成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。
【0022】
前面上扉104の下部略中央位置に位置するリールユニット134には、図3に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された回転リール134a、134b、134c(以下、回転リール134aを左リールとよび、回転リール134bを中リールとよび、回転リール134cを右リールとよぶ場合がある。)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136を通じて、回転リール134a、134b、134cを視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、回転リール134a、134b、134cの回転を開始する。
【0023】
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、複数の回転リール134a、134b、134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチ(ストップスイッチ130に係るボタンスイッチを特にストップボタンスイッチ130a、130b、130cという。)であり、回転リール134a、134b、134cを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。
【0024】
前面上扉104の上部略中央位置には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部138が設けられている。また、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における受け皿部108の内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。
【0025】
また、図2に示すように、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出するメダル検出部264cとを備えている。具体的に払出制御部264bは、当該払出制御部264bに回転可能に支持され、メダル貯留部264aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
【0026】
また、図1図2では図示していないが、リールユニット134の背面側には、回転リール134a、134b、134cに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する(有効ラインの対象となり得る)各回転リールの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト(図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にも回転リール134a、134b、134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
【0027】
また、図1に示すように、操作部設置台122において、回転リール134a、134b、134cとストップスイッチ130との間に設けられた略水平面を成す段部122aには、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。また、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0028】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。図4に示すように、スロットマシン100は、主として、主制御基板200と、副制御基板202とによって制御されている。ここでは、遊技の進行に関わるプログラムやデータのうち、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202で実行している。また、指令信号を、主制御基板200から副制御基板202への一方向に制限することで、主制御基板200に対する不正処理を防止する。
【0029】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。
【0030】
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130および精算ボタン132から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、メインCPU200aが両表示部152、154に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0031】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に基づき主制御基板200から送信される回転リール134a、134b、134cの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動するとともに、ストップスイッチ130の操作信号に基づき主制御基板200から送信される回転リール134a、134b、134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいてステッピングモータ262の駆動を停止するものである。
【0032】
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、メインCPU200aは、その検出信号に応じてメダルの払出枚数をカウントしながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
【0033】
(副制御基板202)
副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からの指令信号に基づき、特に演出を制御する。また、副制御基板202には、液晶制御基板204が接続されている。液晶制御基板204は、中央処理装置である液晶CPU204a、プログラムや画像データ等が格納された液晶ROM204b、ワークエリアとして機能する液晶RAM204c、画像制御を行う際のワークエリアとして機能するVRAM204d等を含む各種半導体集積回路を有し、副制御基板202と双方向通信することにより液晶表示部138を制御する。
【0034】
ここで、演出とは、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役の抽選結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。また、たとえ、いずれの当選役も当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
【0035】
なお、主制御基板200および副制御基板202の双方には、乱数発生器256が設けられている。乱数発生器256によって生成される乱数は、主制御基板200においては、遊技者に付与する遊技上の利益を決定するために用いられ(第1内部抽選乱数)、副制御基板202においては、主に演出の態様を決定するために用いられる(第2内部抽選乱数)。
【0036】
(主制御基板200のメイン処理)
図5は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
【0037】
(ステップS100)
まず、メインCPU200aは、遊技開始に備え、必要に応じて、メインRAM200cのクリア(RAMクリア)、投入枚数に対する払出枚数の比率の期待値を示す設定値(例えば、1〜6の6段階)の設定処理等、初期化処理を実行する。この初期化処理は電源投入時、設定値変更時、RAMクリア時等にのみ行われるものであり、リールユニット134をはじめとする各種装置の接続状況や作動状況を確認する。また、メインCPU200aは、電源が投入されている間バックアップデータを生成、メインRAM200cに保持し、不意の電源断が生じた場合、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電源断前の状態に復帰させる処理を実行する。
【0038】
(ステップS200)
次に、メインCPU200aは、メダル投入部124から規定数のメダルが投入されるか、あるいは規定数以上のクレジットが貯留されている状況でベットボタン126が操作されることにより、メダルのベットがなされ、スタートスイッチ128の操作待ち状態となる。そして、スタートスイッチ128の操作が検知されると、次のステップS300に処理が移される。
【0039】
(ステップS300)
次に、メインCPU200aは、乱数発生器256によって生成された第1内部抽選乱数に基づいて、複数設けられた当選役およびハズレのうちのいずれかを決定する内部抽選を行う。
【0040】
具体的に、スロットマシン100においては、遊技の進行に際して複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態および設定値に対応する複数の抽選テーブルがメインROM200bに格納されている。メインCPU200aは、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態と設定値とに応じて、対応する抽選テーブルを選択するとともに、選択した抽選テーブルに基づいて乱数が抽選テーブル内のいずれの当選役に対応するか判定する。
【0041】
ここで、各抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。また、各抽選テーブルにおける当選役の当選領域として、当選役が単独で抽出される単独当選領域と、複数の当選役が重複して抽出される重複当選領域とが存在する。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ライン上に揃った状態を表示(入賞)といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選という。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、次回の1遊技に際してメダルのベットが不要になる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより所定枚数のメダルの払い出しを受けることができるものである。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、遊技状態を、通常遊技状態からBB(ビッグボーナス)遊技状態に移行させることができる当選役である。
【0042】
なお、本実施形態においては、当選役の判定にあたり、遊技の進行にともなってメダルが減少するように小役の当選確率が設定された抽選テーブル(通常遊技状態用抽選テーブル)を用いる遊技状態を通常遊技状態とよぶ。これに対して、当選役の判定にあたり、メダルが増加するように小役の当選確率が設定された抽選テーブル(BB遊技状態用抽選テーブル)を用いる遊技状態をBB遊技状態とよぶ。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技上の利益について説明する。
【0043】
図6は、有効ラインおよび図柄組み合わせテーブルを示している。図6(a)は、本実施形態における有効ラインを示している。ここで、有効ラインは5本あり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9つの図柄のうち、左リール134a、中リール134b、右リール134cのそれぞれ中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインA、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB2、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC2をそれぞれ有効ラインとして設定している。
【0044】
また、図6(b)に示すように、本実施形態においては、当選役として、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「ビッグボーナス(以下、「BB」という。)」の合計4種類の当選役が設けられている。このうち、当選役「リプレイ」がリプレイ役に相当し、当選役「ベル」、当選役「スイカ」が小役に相当し、当選役「BB」がボーナス役に相当する。
【0045】
内部抽選の結果、当選役「リプレイ」が内部当選した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせのうち、回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「リプレイ」図柄が同一有効ライン上に表示可能となる。
【0046】
ここで、本実施形態においては、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄が有効ライン上にある場合には、当該図柄を有効ライン上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄が、有効ライン上にはないが、回転リール134の回転方向と反対の方向の図柄4つ分に相当する範囲(以下、「引込範囲」という。)内に存在している場合には、当該当選役に対応する図柄を有効ライン上に引き込むように停止制御がなされる。以下、単に「停止制御」や「表示可能」といった場合、このような引込範囲内で当選役に対応する図柄を引き込むといった処理を含む。
【0047】
そして、各回転リール134a、134b、134cにおいては、「リプレイ」図柄および「ベル」図柄が、有効ラインの数および形状、ならびに、上記の停止制御によって、必ず有効ライン上に表示可能なように配置されている(図3参照)。したがって、当選役「リプレイ」に内部当選した場合には、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ライン上に表示されることとなる。このようにして、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、メダルをベットすることなく次回の1遊技を開始することが可能となる。
【0048】
また、内部抽選の結果、当選役「ベル」に内部当選した場合には、「ベル」に対応する図柄組み合わせのうち、回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「ベル」図柄が同一有効ライン上に表示可能となる。そして、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、10枚のメダルが遊技者に払い出される。上記したとおり、本実施形態の各回転リール134a、134b、134cにおいては、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ライン上に表示されることとなる(図3参照)。
【0049】
また、内部抽選の結果、当選役「スイカ」に内部当選した場合には、回転リール134a、134b、134cに記される「スイカ」図柄が同一有効ライン上に表示可能となる。上記の当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、10枚のメダルが遊技者に払い出される。なお、回転リール134a、134b、134cにおいては、「スイカ」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ライン上に表示されない場合があるように配置されている(図3参照)。そのため、当選役「スイカ」に内部当選したとしても、遊技者は、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させられるとは限らない。
【0050】
また、内部抽選の結果、当選役「BB」に内部当選した場合には、回転リール134a、134b、134cに記される「赤7」図柄または「青7」図柄が同一有効ライン上に停止可能となる。そして、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB遊技フラグがONすることで、遊技状態がBB遊技状態に設定され、次遊技以降、メダルが所定枚数(例えば465枚)払い出されるまで、BB遊技状態にて遊技を実行することが可能となる。なお、回転リール134a、134b、134cにおいては、それぞれ「赤7」図柄および「青7」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ライン上に表示されない場合があるように配置されている(図3参照)。そのため、当選役「BB」に内部当選したとしても、遊技者は、1遊技において、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させられるとは限らない。
【0051】
なお、いずれかの当選役に内部当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、回転リール134a、134b、134cの停止制御がなされることとなる。このとき、当選役「ベル」、当選役「スイカ」に内部当選したものの、これら内部当選役に対応する図柄組み合わせをその1遊技で有効ライン上に表示することができなかった場合には(ただし、上記したように、本実施形態では、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせは必ず有効ライン上に表示することができる)、当該遊技において内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の内部当選の権利は当該遊技のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。
【0052】
これに対して、当選役「BB」に内部当選した場合には、BB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、BB内部当選フラグの成立状況に応じて、回転リール134a、134b、134cの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示することができなかった場合には、そのまま内部当選フラグが次遊技に持ち越され、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示することが可能となる(以下、単に「内部中」と略す場合もある。)。
【0053】
なお、リプレイ役である当選役「リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
【0054】
図7は、共通遊技状態用抽選テーブルを説明するための図である。このうち、図7(a)は、本実施形態における共通遊技状態用抽選テーブルであり、従来であれば、個別に設けられていた、例えば、図7(b)に示す通常遊技状態用抽選テーブル、図7(c)に示す内部中遊技状態用抽選テーブル、図7(d)に示すBB遊技状態用抽選テーブルといった抽選テーブル(軸)が共通化(一本化)されたものである。ここでは理解を容易にするため、まず、図7(b)〜図7(d)に示す共通化前の各抽選テーブルを用いて当選領域と当選役との関係を説明する。
【0055】
図7(b)に示す通常遊技状態用抽選テーブルは、通常遊技状態において第1内部抽選乱数を判定する場合に用いられる。ここでは、第1内部抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域に区画されており、当選領域毎に当選役と、当選役が当選する数である当選数(置数)が対応付けられている。例えば、第1内部抽選乱数0〜8999に相当する当選数9000の当選領域1には当選役「リプレイ」が対応付けられている。第1内部抽選乱数は0〜65535まで設けられていることから、当選役「リプレイ」が内部当選する確率は9000/65536となる。同様に、第1内部抽選乱数9000〜16999に相当する当選数8000の当選領域2には当選役「ベル」が対応付けられており、当選役「ベル」が内部当選する確率は、8000/65536となる。第1内部抽選乱数17000〜17399に相当する当選数400の当選領域3には当選役「スイカ」が対応付けられており、当選役「スイカ」が内部当選する確率は、400/65536となる。第1内部抽選乱数17400〜17499に相当する当選数100の当選領域4には当選役「BB」が単独で対応付けられており、当選役「BB」が単独で内部当選する確率は、100/65536となる。第1内部抽選乱数17500〜17699に相当する当選数200の当選領域5には当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して対応付けられており、当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して内部当選する確率は、200/65536となる。このように、2以上の当選役が重複して内部当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるかについての停止条件が設定されている。また、第1内部抽選乱数17700〜65535に相当する当選数47836の当選領域6には「ハズレ」が対応付けられている。
【0056】
ここで、重複当選(当選領域5)について説明する。第1内部抽選乱数が上記当選領域5に対応している場合、当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して当選し、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせと当選役「BB」に対応する図柄組み合わせのいずれの図柄組み合わせも有効ライン上に表示させることができる。ただし、小役とボーナス役とはいずれを優先的に停止するかが予め定められており、両当選役に対応する図柄組み合わせのいずれも有効ラインに表示可能な状態において、いずれの当選役に対応する図柄も有効ラインに停止することが可能なタイミングで遊技者の停止操作が為された場合、その優先停止制御に従って有効ライン上に表示される図柄組み合わせが決定される。
【0057】
このように、当選領域5に当選した場合、遊技者は、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせか当選役「BB」に対応する図柄組み合わせのいずれかを有効ラインに表示することができる。しかし、図6(b)に示したように、当選役「BB」の払出枚数が「0」であるのに対し当選役「スイカ」の払出枚数は「10」である。また、当選役「BB」は、内部当選フラグを次遊技に持ち越すことができ、次回以降の遊技においても当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示することが可能であるのに対し、当選役「スイカ」は、内部当選フラグの次遊技への持ち越しはできない。したがって、遊技者は、当選領域5に当選している可能性がある場合、まず、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示されるように停止操作を行うことが想定される。
【0058】
ところで、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ラインに表示された場合、その契機となる当選領域は、図7(b)に示すように、当選役「スイカ」が単独で当選する当選領域3と、当選役「スイカ」と当選役「BB」とが重複して当選する当選領域5とがあり、いずれの当選領域が当選したかを容易に把握することはできないような停止制御が行われていたとする。したがって、当選役「スイカ」に当選した場合、遊技者は、1/3の確率で、さらに当選役「BB」にも当選していることを期待することができる。本実施形態では、当選役「スイカ」が当選している場合に当選役「BB」にも当選している可能性が高いことを報知する演出(「チャンス演出」)を行う。かかる演出については後ほど詳述する。
【0059】
図7(c)に示す内部中遊技状態用抽選テーブルは、内部中遊技状態において第1内部抽選乱数を判定する場合に用いられる。なお、内部中遊技状態は、BB内部当選フラグが持ち越される場合に設定され、当選役「BB」に入賞することにより終了する。この内部中遊技状態用抽選テーブルによれば、重ねてボーナス役に内部当選することがなく、また、当選役「リプレイ」の内部当選確率が、通常遊技状態用抽選テーブル(図7(b)参照)に比べて高く設定され、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示できない場合においてもメダルの新たな投入を抑えさせることができる。
【0060】
図7(d)に示すBB遊技状態用抽選テーブルは、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせに入賞して設定されるBB遊技状態において第1内部抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。このBB遊技状態用抽選テーブルによれば、重ねてボーナス役およびリプレイ役に内部当選することがなく、当選役「ベル」の内部当選確率が通常遊技状態用抽選テーブル(図7(b)参照)に比べて高く設定されている。
【0061】
本実施形態では、図7(a)に示す共通遊技状態用抽選テーブルのように、複数の抽選テーブルの共通化を図っている。かかる共通遊技状態用抽選テーブルには、図7(b)〜図7(d)に示した各抽選テーブルにおいても対応付けられている当選役と当選数とに加え、抽選条件と参照順とが対応付けられている。例えば、遊技状態が通常遊技状態であった場合、抽選条件=通常遊技状態の列に示された参照順に、当選領域が参照され、その当選領域に対応付けられた当選数が順次累積され(当選総数)、累積された値と第1内部抽選乱数とが比較されて所定の条件を満たすと、その参照された当選領域の当選役が抽選結果として決定される。また、所定の条件を満たさないと、次の参照順の当選領域が参照される。こうして、第1内部抽選乱数に対応する当選役が決定されることとなる。
【0062】
したがって、共通遊技状態用抽選テーブルにおける当選領域(当選役)に対応付けられた当選数の総数(ここでは、178536)は、第1内部抽選乱数の所定の数値範囲(ここでは、65536)より大きくなり、また、通常遊技状態、内部中遊技状態、BB遊技状態のうち、任意の抽選条件に基づいて抽選され得る複数の当選領域(例えば、当選領域1、4、6〜11)と他の抽選条件に基づいて抽選され得る当選領域(例えば、当選領域1、2、4、6、9、10)とは、少なくとも一部(例えば、当選領域1、4、6、9、10)が重複し、他の一部(当選領域2、7、8、11)が異なることとなる。共通遊技状態用抽選テーブルを用いた抽選処理は後ほど詳述する。
【0063】
このように、図5のステップS300の抽選処理においては、設定されている遊技状態に対応する抽選テーブルを決定するとともに、当該決定した抽選テーブルに基づいて取得した第1内部抽選乱数を判定することにより、いずれかの当選役またはハズレを決定することとなる。
【0064】
(ステップS400)
上記のようにして抽選処理が終了すると、次に、メインCPU200aは、ステッピングモータ262を駆動して回転リール134a、134b、134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における回転リール134a、134b、134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると、当該遊技における回転リール134a、134b、134cの回転を開始し、回転リール134a、134b、134cの全てが定速回転となったところで、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を有効化する。
【0065】
(ステップS500)
続いて、メインCPU200aは、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが有効化されている状態で、遊技者によるストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応する回転リール134a、134b、134cを所定の停止制御に従って停止させる。
【0066】
(ステップS600)
次に、メインCPU200aは、有効ライン上に表示された図柄組み合わせを判定するとともに、判定結果に基づいて、メダルの払出処理または遊技状態の変更や再遊技に際して要求される種々の処理を実行し、次遊技に備えることとなる。
【0067】
次に、本実施形態の特徴点を中心に、上記ステップS200〜ステップS600における各処理の詳細を説明する。
【0068】
図8は、上記ステップS200のベット処理の詳細を示す図である。
【0069】
(ステップS201)
まず、メインCPU200aは、再遊技カウンタが「0」であるかを判定する。この再遊技カウンタは、リプレイ役に対応する図柄組み合わせが入賞した場合に、当該リプレイ役に入賞した遊技の開始時における投入されたメダル(以下、単に投入メダルと称する場合がある。)の枚数が記憶されるものである。例えば、3枚のメダルをベットして行った遊技でリプレイ役に対応する図柄組み合わせが入賞した場合には、上記ステップS600の判定・払出処理において、再遊技カウンタに「3」が記憶される。つまり、ここでは、前回の遊技において、リプレイ役に入賞したか否かを判定することとなる。そして、再遊技カウンタが「0」であると判定した場合にはステップS205に処理を移し、再遊技カウンタが「0」ではないと判定した場合にはステップS202に処理を移す。
【0070】
(ステップS202)
上記ステップS201において、再遊技カウンタが「0」ではないと判定した場合、すなわち前回の遊技でリプレイ役に入賞した場合には、メインCPU200aは、メダルのベットを要することなく遊技を開始すべく、再遊技処理を行う。ここでは、再遊技カウンタに記憶された値を投入枚数カウンタに上書きして、規定数のメダルが自動的にベットされるとともに、再遊技カウンタがクリアされる。この投入枚数カウンタは、メダル投入部124に投入されたメダルの投入枚数を記憶するための記憶領域である。
【0071】
(ステップS203)
次に、メインCPU200aは、以後のメダル通過を禁止すべく、メダルセレクタを制御する。
【0072】
(ステップS204)
次に、メインCPU200aは、スタートスイッチ128の操作を検知するまで待機する。そして、スタートスイッチ128の操作を検知したところで、当該ベット処理を終了することとなる。
【0073】
(ステップS205)
一方、上記ステップS201において、再遊技カウンタが「0」であると判定した場合には、メインCPU200aは、メダルセレクタを制御して、メダル投入部124から投入されるメダルのスロットマシン100内部への通過を許可する処理を行う。
【0074】
(ステップS206)
次に、メインCPU200aは、メダル投入部124から投入されたメダルを検知したかを判定する。その結果、投入メダルを検知したと判定した場合にはステップS207に処理を移し、投入メダルを検知していないと判定した場合にはステップS212に処理を移す。
【0075】
(ステップS207)
上記ステップS206において、投入メダルを検知したと判定した場合には、メインCPU200aは、メダルの投入枚数が既に規定数に到達しているかを判定する。その結果、投入枚数が規定数に到達していると判定した場合にはステップS209に処理を移し、投入枚数は規定数に到達していないと判定した場合にはステップS208に処理を移す。
【0076】
(ステップS208)
上記ステップS207において、投入枚数は規定数に到達していないと判定した場合には、メインCPU200aは、投入枚数カウンタに記憶されている値に「1」を加算した値を、新たに投入枚数カウンタに記憶する。
【0077】
(ステップS209)
一方、上記ステップS207において、投入枚数が規定数に到達していると判定した場合には、メインCPU200aは、クレジットカウンタに記憶されているクレジット枚数が上限(例えば50枚)に到達しているかを判定する。なお、クレジットカウンタは、クレジット枚数を記憶するための記憶領域である。その結果、クレジット枚数が上限に到達していると判定した場合にはステップS211に処理を移し、クレジット枚数は上限に到達していないと判定した場合にはステップS210に処理を移す。
【0078】
(ステップS210)
上記ステップS209において、クレジット枚数は上限に到達していないと判定した場合には、メインCPU200aは、クレジットカウンタに記憶されている値に「1」を加算した値を、新たにクレジットカウンタに記憶する。
【0079】
(ステップS211)
一方、上記ステップS209において、クレジット枚数が上限に到達していると判定した場合には、メインCPU200aは、メダルセレクタを制御して投入されたメダルをメダル排出口108aから排出する。
【0080】
(ステップS212)
次に、メインCPU200aは、ベットボタン126の操作を検知したかを判定する。その結果、ベットボタン126の操作を検知したと判定した場合にはステップS213に処理を移し、ベットボタン126の操作を検知していないと判定した場合にはステップS215に処理を移す。
【0081】
(ステップS213)
上記ステップS212において、ベットボタン126の操作を検知したと判定した場合には、メインCPU200aは、メダルの投入枚数が、規定数に既に到達しているかを判定する。その結果、投入枚数が規定数に到達していると判定した場合にはステップS215に処理を移し、投入枚数は規定数に到達していないと判定した場合にはステップS214に処理を移す。
【0082】
(ステップS214)
上記ステップS213において、投入枚数は規定数に到達していないと判定した場合には、メインCPU200aは、クレジットカウンタに記憶されているクレジット枚数を減算するとともに、投入枚数カウンタに記憶されている投入枚数を加算する処理を行う。具体的には、規定数に到達するのに必要な枚数のクレジット枚数がクレジットカウンタに記憶されている場合には、記憶されていたクレジット枚数から投入枚数を減算した値にクレジットカウンタを更新するとともに、投入枚数カウンタを規定数に更新する。また、規定数に到達するのに必要なクレジット枚数が記憶されていない(クレジット枚数が1または2枚)場合には、クレジットカウンタを「0」に更新するとともに、記憶されている投入枚数にクレジット枚数を加算した値に投入枚数カウンタを更新する。なお、クレジット枚数が「0」であった場合には、投入枚数カウンタおよびクレジットカウンタを更新することなくステップS215に処理を移す。
【0083】
(ステップS215)
次に、メインCPU200aは、スタートスイッチ128の操作を検知したかを判定する。その結果、スタートスイッチ128の操作を検知したと判定した場合にはステップS216に処理を移し、スタートスイッチ128の操作を検知していないと判定した場合にはステップS205に処理を移し、ステップS205からを繰り返す。
【0084】
(ステップS216)
上記ステップS215において、スタートスイッチ128の操作を検知したと判定した場合には、メインCPU200aは、メダルの投入枚数が、規定数に既に到達しているかを判定する。その結果、投入枚数が規定数に到達していると判定した場合にはステップS217に処理を移し、投入枚数は規定数に到達していないと判定した場合にはステップS205に処理を移し、ステップS205からを繰り返す。
【0085】
(ステップS217)
上記ステップS216において、投入枚数が規定数に到達していると判定した場合には、メインCPU200aは、以後のメダル通過を禁止すべく、メダルセレクタを制御し、当該ベット処理を終了する。
【0086】
(ステップS218)
次に、メインCPU200aは、精算許可フラグをOFFにして、精算ボタン132による精算処理を禁止して当該ベット処理を終了する。
【0087】
図9は、上記ステップS300の抽選処理の詳細を示す図である。
【0088】
(ステップS301)
上記のようにしてベット処理が終了すると、まず、メインCPU200aは、図7(a)に示す共通遊技状態用抽選テーブルをセットする。
【0089】
(ステップS302)
次に、メインCPU200aは、乱数発生器256によって更新された第1内部抽選乱数を抽出し、メインRAM200cの処理領域に記憶し、ステップS350に処理を移す。かかる第1内部抽選乱数の判定処理S350についてはサブルーチンとして後述する。
【0090】
(ステップS303)
ステップS350に示す第1内部抽選乱数の判定処理が完了すると、メインCPU200aは、上記ステップS350の判定結果に基づいて、内部当選フラグを設定する。例えば、上記ステップS350において、当選役「ベル」に当選していると判定された場合には当選役「ベル」に内部当選していることを示す内部当選フラグをONし、当選役「BB」に内部当選していると判定された場合には当選役「BB」に内部当選していることを示すBB内部当選フラグをONする。
【0091】
(ステップS304)
次に、メインCPU200aは、当該抽選処理における抽選結果を示すコマンドを副制御基板202に送信する抽選結果コマンド送信処理を行って、当該抽選処理を終了する。ここでは、いずれかの当選役に内部当選した場合には、その当選役に対応するコマンドが送信され、抽選結果がハズレであった場合には、ハズレに対応するコマンドが送信される。
【0092】
(ステップS350)
また、メインCPU200aは、セットされた共通遊技状態用抽選テーブルに基づいて、抽出した第1内部抽選乱数を判定する。この第1内部抽選乱数の判定処理について、図10を用いて説明する。
【0093】
(ステップS351)
まず、メインCPU200aは、現在の遊技状態がBB遊技状態であることを示すBB遊技フラグがON(成立)しているかを判定する。その結果、BB遊技フラグがONしていると判定した場合にはステップS352に処理を移し、BB遊技フラグはONしていないと判定した場合にはステップS353に処理を移す。
【0094】
(ステップS352)
上記ステップS351において、BB遊技フラグがONしていると判定した場合には、メインCPU200aは、共通遊技状態用抽選テーブルの抽選条件として「BB遊技状態」をセットして、ステップS356に処理を移す。
【0095】
(ステップS353)
一方、上記ステップS351において、BB遊技フラグはONしていないと判定した場合には、メインCPU200aは、現在の遊技状態が内部中遊技状態であることを示すBB内部当選フラグがON(成立)しているかを判定する。その結果、BB内部当選フラグがONしていると判定した場合にはステップS354に処理を移し、BB内部当選フラグはONしていないと判定した場合にはステップS355に処理を移す。
【0096】
(ステップS354)
上記ステップS353において、BB内部当選フラグがONしていると判定した場合には、メインCPU200aは、共通遊技状態用抽選テーブルの抽選条件として「内部中遊技状態」をセットして、ステップS356に処理を移す。
【0097】
(ステップS355)
一方、上記ステップS353において、BB内部当選フラグはONしていないと判定した場合には、メインCPU200aは、共通遊技状態用抽選テーブルの抽選条件として「通常遊技状態」をセットして、ステップS356に処理を移す。
【0098】
(ステップS356)
次に、メインCPU200aは、参照順カウンタに記憶されている参照順を「1」にセットするとともに、当選総数カウンタに記憶されている当選総数を「0」にセットする。ここで参照順カウンタは、第1内部抽選乱数に対応する当選領域を判定するために当選領域を参照する順が記憶されるものであり、当選総数カウンタは、参照された当選領域に対応付けられた当選数の合計である当選総数が記憶されるものである。
【0099】
(ステップS357)
続いて、メインCPU200aは、図7(a)に示した共通遊技状態用抽選テーブルを用い、上記ステップS352、ステップS354、ステップS355でセットされた抽選条件と、参照順カウンタに記憶されている参照順に従って1の当選領域を特定し、その当選領域に対応付けられた当選数を取得する。
【0100】
(ステップS358)
次に、メインCPU200aは、当選総数カウンタに記憶されている値に、新たに取得された当選数を加算した値を当選総数カウンタに記憶する。
【0101】
(ステップS359)
続いて、メインCPU200aは、ステップS302で抽出された第1内部抽選乱数が、当選総数カウンタに記憶された当選総数未満であるか判定する。その結果、第1内部抽選乱数が当選総数未満であると判定した場合にはステップS361に処理を移し、第1内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合にはステップS360に処理を移す。
【0102】
(ステップS360)
上記ステップS359において、第1内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合には、メインCPU200aは、参照順カウンタに記憶されている値に「1」を加算した値を、新たに参照順カウンタに記憶し、新たな参照順でステップS357からステップS359までの処理を繰り返す。
【0103】
(ステップS361)
上記ステップS359において、第1内部抽選乱数が当選総数未満であると判定した判定した場合には、メインCPU200aは、ステップS357で特定された当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果として決定し、当該第1内部抽選乱数の判定処理を終了する。
【0104】
このような第1内部抽選乱数の判定処理の流れを、図7(a)の共通遊技状態用抽選テーブルを用いて具体的に説明する。例えば、第1内部抽選乱数として「17211」が抽出され、抽選条件が「通常遊技状態」に、参照順が「1」に、当選総数が「0」にセットされたとする。まず、メインCPU200aは、抽選条件「通常遊技状態」における参照順「1」に対応した当選領域1の当選数「9000」を取得する。そして、メインCPU200aは、第1内部抽選乱数「17211」と、当選総数「0」に当選数「9000」を加算した新たな当選総数「9000」とを比較し、第1内部抽選乱数「17211」≧当選総数「9000」であると判定して、参照順カウンタを「2」に更新する。
【0105】
続いて、メインCPU200aは、抽選条件「通常遊技状態」における参照順「2」に対応した当選領域4の当選数「8000」を取得する。そして、メインCPU200aは、第1内部抽選乱数「17211」と、当選総数「9000」に当選数「8000」を加算した新たな当選総数「17000」とを比較し、第1内部抽選乱数「17211」≧当選総数「17000」であると判定して、参照順カウンタを「3」に更新する。
【0106】
次に、メインCPU200aは、抽選条件「通常遊技状態」における参照順「3」に対応した当選領域6の当選数「400」を取得する。そして、メインCPU200aは、第1内部抽選乱数「17211」と、当選総数「17000」に当選数「400」を加算した新たな当選総数「17400」とを比較する。ここでは、第1内部抽選乱数「17211」<当選総数「17400」となるため、メインCPU200aは、当該当選領域6に対応付けられた当選役「スイカ」を抽選結果として決定する。
【0107】
図11は、上記ステップS400のリール回転処理の詳細を示す図である。
【0108】
(ステップS401)
上記のようにして抽選処理が終了すると、まず、メインCPU200aは、ウェイトタイマが「0」であるか、すなわち、前回の回転リール134a、134b、134cの回転開始から4.1秒を経過したかを判定する。その結果、ウェイトタイマが「0」ではなく、前回の回転リール134a、134b、134cの回転開始から4.1秒を経過していないと判定した場合にはステップS402に処理を移し、ウェイトタイマが「0」であり、前回の回転リール134a、134b、134cの回転開始から4.1秒を経過していると判定した場合にはステップS403に処理を移す。
【0109】
(ステップS402)
上記ステップS401において、ウェイトタイマが「0」ではないと判定した場合には、メインCPU200aは、ウェイトタイマをカウントダウンするウェイト実行処理を行う。このウェイト実行処理においては、ウェイトタイマが「0」になるまで待機するとともに、ウェイトタイマが「0」になったところでステップS403に処理を移すこととなる。
【0110】
(ステップS403)
次に、メインCPU200aは、次遊技のウェイト実行処理に備えて、ウェイトタイマに4.1秒をセットする。ウェイトタイマは時間の経過に応じて減算され4.1秒後に「0」を示す。
【0111】
(ステップS404)
次に、メインCPU200aは、リール駆動制御部258を制御してステッピングモータ262を駆動し、回転リール134a、134b、134cの回転を開始する。
【0112】
(ステップS405)
次に、メインCPU200aは、回転リール134a、134b、134cの全てが定速回転となったところで、ストップスイッチ130を有効化し、当該リール回転処理を終了する。
【0113】
図12は、上記ステップS500のリール停止処理の詳細を示す図である。
【0114】
(ステップS501)
上記のようにしてリール回転処理が終了すると、まず、メインCPU200aは、上記ステップS303で設定された内部当選フラグを参照し、これらのフラグに対応する停止制御テーブルを決定する。この停止制御テーブルは内部当選フラグに対応する分だけ予め用意されている。
【0115】
そして、上記のように、内部当選フラグに応じて設けられた停止制御テーブルが決定されると、メインCPU200aは、ステップS502に処理を移すこととなる。
【0116】
(ステップS502)
メインCPU200aは、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかが操作されるまで待機する。
【0117】
(ステップS503)
上記ステップS502において、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかが操作されると、メインCPU200aは、上記ステップS501において決定された停止制御テーブルに基づいて、リール停止制御処理を実行する。このリール停止制御処理は、ストップスイッチ130の押圧操作を検知するたびに、予め設定された条件に従って回転リール134a、134b、134cを停止させるものである。つまり、上記したとおり、いずれかの当選役に当選した場合に、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが操作された時点で、有効ライン上に当選役に対応する図柄が位置していれば、当該図柄をその位置に停止するように制御する。また、有効ライン上に当選役に対応する図柄が位置していない場合であっても、引込範囲に当選役に対応する図柄が位置していれば、回転リール134の回転方向に沿って当選役に対応する図柄が有効ラインに表示されるようにその当選役に対応する図柄を引き込むように停止制御する。一方、何ら当選役に当選していないときには、有効ラインに当選役に対応する図柄が表示されるように狙ったとしても、その表示が回避されるように停止制御を行う。
【0118】
(ステップS504)
次に、メインCPU200aは、回転リール134a、134b、134cのいずれかが停止したことおよび停止した回転リールを示す停止コマンドを副制御基板202に送信するための処理を行う。
【0119】
(ステップS505)
次に、メインCPU200aは、回転リール134a、134b、134cのうち、停止した回転リールに対応するストップボタンスイッチ130a、130b、130cを無効化する処理を行う。
【0120】
(ステップS506)
次に、メインCPU200aは、回転リール134a、134b、134cの全てが停止したかを判定する。その結果、回転リール134a、134b、134cは全て停止していないと判定した場合、換言すれば、回転リール134a、134b、134cのうちのいずれかが回転中であると判定した場合にはステップS502に処理を移す。一方、回転リール134a、134b、134cの全てが停止したと判定した場合には、当該リール停止処理を終了する。
【0121】
図13は、上記ステップS600の判定・払出処理の詳細を示す図である。
【0122】
(ステップS601)
上記のようにしてリール停止処理が終了すると、まず、メインCPU200aは、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせである「赤7」「赤7」「赤7」からなる図柄組み合わせまたは「青7」「青7」「青7」からなる図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているかを判定する。その結果、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されていると判定した場合にはステップS602に処理を移し、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせは有効ライン上に表示されていないと判定した場合にはステップS603に処理を移す。
【0123】
(ステップS602)
また、上記ステップS601において、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されていると判定した場合には、次遊技からBB遊技を開始すべく(BB遊技状態に移行すべく)、メインCPU200aは、BB遊技フラグをONするとともにBB内部当選フラグをOFFするなど、種々の処理を実行し、ステップS609に処理を移す。
【0124】
(ステップS603)
一方、上記ステップS601において、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせは有効ライン上に表示されていないと判定した場合には、メインCPU200aは、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているかを判定する。その結果、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されていると判定した場合にはステップS604に処理を移し、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせはいずれも有効ライン上に表示されていないと判定した場合にはステップS605に処理を移す。
【0125】
(ステップS604)
上記ステップS603において、当選役「リプレイ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されていると判定した場合には、メインCPU200aは、次回の遊技をメダルのベットを要さずに開始するための再遊技処理を実行する。この再遊技処理においては、当該遊技の開始時にベットされたメダルの枚数(規定数)を、上記した再遊技カウンタに記憶するとともに、当該遊技の終了にあたって必要となる種々の処理が行われる。
【0126】
(ステップS605)
一方、上記ステップS603において、当選役「リプレイ」に対応するいずれの図柄組み合わせも有効ライン上に表示されていないと判定した場合には、メインCPU200aは、いずれかの小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されているかを判定する。その結果、小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されていると判定した場合にはステップS606に処理を移し、小役に対応するいずれの図柄組み合わせも有効ライン上に表示されていないと判定した場合にはステップS607に処理を移す。
【0127】
(ステップS606)
また、上記ステップS605において、小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されていると判定した場合には、メインCPU200aは、当該小役に対応するメダルを払い出す払出処理を実行する。なお、この払出処理においては、当該遊技の終了にあたって必要となる種々の処理が行われる。
【0128】
(ステップS607)
上記ステップS605において、小役に対応するいずれの図柄組み合わせも有効ライン上に表示されていないと判定した場合には、メインCPU200aは、ハズレ処理として当該遊技の終了にあたって必要となる種々の処理を実行する。
【0129】
(ステップS608)
次に、メインCPU200aは、以後の遊技状態を設定するための遊技状態設定処理を実行する。例えば、BB遊技フラグがONしている場合、つまり、現在、BB遊技中である場合には、当該BB遊技中の合計払出枚数が所定枚数(例えば465枚)を超えたかを判定する。そして、BB遊技中の合計払出枚数が所定枚数を超えた場合には、BB遊技状態を終了して、以後の遊技状態を通常遊技状態に設定するようにフラグ処理を行い、合計払出枚数が所定枚数を超えていない場合には、次遊技もBB遊技状態を継続するための処理を行う。なお、各小役内部当選フラグ、リプレイ内部当選フラグがONしている場合には、当該フラグをOFFすることとなる。
【0130】
(ステップS609)
次に、メインCPU200aは、再遊技カウンタが「0」であるかを判定する。その結果、再遊技カウンタが「0」であると判定した場合にはステップS610に処理を移し、再遊技カウンタは「0」ではない、すなわち、当選役「リプレイ」に対応する内部当選フラグが成立していると判定した場合には当該判定・払出処理を終了する。
【0131】
(ステップS610)
上記ステップS609において、再遊技カウンタが「0」であると判定した場合、メインCPU200aは、精算許可フラグをONにして、当該判定・払出処理を終了する。こうして、精算処理が可能になる。
【0132】
本実施形態における抽選テーブルの共通化は、主制御基板200のみならず、副制御基板202の演出テーブルにも適用できる。したがって、以下では、副制御基板202の処理について説明するが、ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0133】
図14は、副制御基板202のリセット割込処理を示したフローチャートである。
【0134】
(ステップS1000)
まず、サブCPU202aは、電源が投入されると、サブRAM202c等を初期化し、割込を許可する初期化処理を実行する。
【0135】
(ステップS1001)
次に、サブCPU202aは、主制御基板200からのコマンドの入力を監視する。
【0136】
(ステップS1002)
次に、サブCPU202aは、主制御基板200から受信したコマンドを解析し、当該受信コマンドに基づいて種々の処理を実行する。ここでは、特に、抽選結果コマンド受信処理S1002aを説明し、他の処理は説明を省略する。抽選結果コマンド受信処理S1002aでは、抽選処理S300で決定された当選役に基づいて、当選役や、当選役への当選期待度を報知する演出が決定される。本実施形態では、サブCPU202aは、共通演出抽選テーブルを用いて当該演出を決定している。
【0137】
図15は、共通演出抽選テーブルを説明するための図である。このうち、図15(a)は、本実施形態における共通演出抽選テーブルであり、従来であれば、個別に設けられていた、例えば、図15(b)に示す第1演出抽選テーブル、図15(c)に示す第2演出抽選テーブルといった抽選テーブルが共通化されたものである。ここでは理解を容易にするため、まず、図15(b)、図15(c)に示す共通化前の各抽選テーブルを用いて当選領域と演出種別との関係を説明する。
【0138】
図15(b)に示す第1演出抽選テーブルは、抽選処理S300における抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかであった場合において、第2内部抽選乱数を判定する場合に用いられる。ここでは、第2内部抽選乱数の総数に相当する領域が複数の当選領域に区画されており、当選領域毎に演出種別と当選数が対応付けられている。例えば、第2内部抽選乱数0〜63999に相当する当選数64000の当選領域1には演出種別として、「通常演出」が対応付けられている。第2内部抽選乱数は0〜65535まで設けられていることから、演出種別「通常演出」が内部当選する確率は64000/65536となる。同様に、第2内部抽選乱数64000〜65199に相当する当選数1200の当選領域2には演出種別として、当選役「BB」の当選期待度が「通常演出」と異なる「チャンス演出A」が対応付けられており、演出種別「チャンス演出A」が内部当選する確率は、1200/65536となる。また、第2内部抽選乱数65200〜65535に相当する当選数336の当選領域3には演出種別として、当選役「BB」の当選期待度が「通常演出」および「チャンス演出A」と異なる「チャンス演出B」が対応付けられており、演出種別「チャンス演出B」が内部当選する確率は、336/65536となる。
【0139】
図15(c)に示す第2演出抽選テーブルは、抽選処理S300における抽選結果が当選役「スイカ」および当選役「BB」のいずれか一方または両方であった場合において、第2内部抽選乱数を判定する場合に用いられる。当選役「スイカ」が当選している場合には1/3の確率で当選役「BB」にも重複して当選しており、また、当選役「BB」に単独で当選した場合も適用されるので、この第2演出抽選テーブルによれば、演出種別「チャンス演出A」の内部当選確率を、第1演出抽選テーブル(図15(b)参照)に比べて高く設定し、当選役「BB」への当選期待度を高める演出を頻出させる。
【0140】
本実施形態では、図7同様、図15(a)に示す共通演出抽選テーブルにおいても、複数の抽選テーブルの共通化を図っている。かかる共通演出抽選テーブルには、図15(b)、図15(c)に示した各抽選テーブルにおいても対応付けられている演出種別と当選数とに加え、抽選条件と参照順の方向(昇順または降順)とが対応付けられている。また、かかる共通演出抽選テーブルでは、複数の当選領域(演出種別)の参照される所定の順が、例えば、当選領域1→2→3→4といったように定められている。
【0141】
したがって、共通遊技状態用抽選テーブル同様、共通演出抽選テーブルにおける当選領域(演出種別)に対応付けられた当選数の総数は、第2内部抽選乱数の所定の数値範囲(ここでは、65536)より大きくなり、また、抽選結果が当選役「リプレイ」、「ベル」、および、ハズレのいずれかであった場合と、当選役「スイカ」および当選役「BB」のいずれか一方または両方であった場合との間で、抽選され得る複数の当選領域(演出種別)が一部(当選領域2および3)で重複し、一部(当選領域1と当選領域4)で異なることとなる。以下に、共通演出抽選テーブルを用いた抽選結果コマンド受信処理S1002aについて説明する。
【0142】
(ステップS1002a)
図16は、上記ステップS1002のコマンド受信処理において、抽選結果コマンドを受信した場合の処理を示す図である。なお、この抽選結果コマンドは、上記したとおり、図9のステップS304で送信されるコマンドであり、いずれかの当選役に内部当選した場合にはその当選役の種別を示す情報が付加されており、いずれの当選役にも内部当選しなかった場合にはハズレを示す情報が付加されている。
【0143】
(ステップS1101)
抽選結果コマンドを受信すると、サブCPU202aは、図15(a)に示す共通演出抽選テーブルをセットする。
【0144】
(ステップS1102)
次に、サブCPU202aは、乱数発生器256によって更新された第2内部抽選乱数を抽出し、サブRAM202cの処理領域に記憶し、ステップS1103に処理を移す。
【0145】
(ステップS1103)
まず、サブCPU202aは、抽選結果コマンドに示された抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかであるか判定する。その結果、抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかであると判定した場合にはステップS1104に処理を移し、抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかではない、すなわち、当選役「スイカ」および当選役「BB」のいずれか一方または両方であると判定した場合にはステップS1105に処理を移す。
【0146】
(ステップS1104)
上記ステップS1103において、抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかであると判定した場合には、サブCPU202aは、共通演出抽選テーブルの参照順として、予め定められた順(当選領域の序数1〜4)の「昇順」をセットして、ステップS1106に処理を移す。
【0147】
(ステップS1105)
一方、上記ステップS1103において、抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかではないと判定した場合には、サブCPU202aは、共通演出抽選テーブルの参照順として、予め定められた順(当選領域の序数1〜4)の「降順」をセットして、ステップS1106に処理を移す。
【0148】
(ステップS1106)
次に、サブCPU202aは、当選総数カウンタに記憶されている当選総数を「0」にセットするとともに、参照順カウンタに記憶されている参照順をセットする。ここで、参照順カウンタにセットする値は、上記ステップS1104およびS1105でセットされた順(「昇順」または「降順」)に従い、「昇順」であれば「0」をセットし、「降順」であれば、共通演出抽選テーブルにおける最終の当選領域(ここでは当選領域4)の序数(ここでは「4」)をセットする。かかる最終の当選領域は共通演出抽選テーブルに基づいて予め定められている。
【0149】
(ステップS1107)
続いて、サブCPU202aは、図15(a)に示した共通演出抽選テーブルを用い、参照順カウンタに記憶されている参照順と序数が等しい当選領域を特定し、その当選領域に対応付けられた当選数を取得する。
【0150】
(ステップS1108)
次に、サブCPU202aは、当選総数カウンタに記憶されている値に、新たに取得された当選数を加算した値を当選総数カウンタに記憶する。
【0151】
(ステップS1109)
続いて、サブCPU202aは、ステップS1102で抽出された第2内部抽選乱数が、当選総数カウンタに記憶された当選総数未満であるか判定する。その結果、第2内部抽選乱数が当選総数未満であると判定した場合にはステップS1113に処理を移し、第2内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合にはステップS1110に処理を移す。
【0152】
(ステップS1110)
上記ステップS1109において、第2内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合には、サブCPU202aは、上記ステップS1104およびS1105でセットされた順が「昇順」であるか判定する。その結果、「昇順」であると判定した場合にはステップS1111に処理を移し、「昇順」ではない、すなわち、「降順」であると判定した場合にはステップS1112に処理を移す。
【0153】
(ステップS1111)
上記ステップS1110において、上記ステップS1104およびS1105でセットされた順が「昇順」であると判定した場合には、サブCPU202aは、参照順カウンタに記憶されている値に「1」を加算した値を、新たに参照順カウンタに記憶し、新たな参照順でステップS1107からステップS1109までの処理を繰り返す。
【0154】
(ステップS1112)
上記ステップS1110において、上記ステップS1104およびS1105でセットされた順が「昇順」ではないと判定した場合には、サブCPU202aは、参照順カウンタに記憶されている値から「1」を減算した値を、新たに参照順カウンタに記憶し、新たな参照順でステップS1107からステップS1109までの処理を繰り返す。
【0155】
(ステップS1113)
上記ステップS1109において、第2内部抽選乱数が当選総数未満ではないと判定した場合には、サブCPU202aは、S1107で特定された当選領域に対応付けられた演出種別を抽選結果として決定し、決定された演出種別にしたがって演出制御処理を実行する。
【0156】
このような第2内部抽選乱数の判定処理の流れを、図15(a)の共通演出抽選テーブルを用いて具体的に説明する。例えば、第2内部抽選乱数として「12040」が抽出され、抽選結果が当選役「ベル」であり、参照順が「1」かつ「昇順」に、当選総数が「0」にセットされたとする。まず、サブCPU202aは、参照順カウンタに記憶されている参照順「1」と序数が等しい当選領域1を特定し、その当選領域1に対応付けられた当選数「64000」を取得する。そして、サブCPU202aは、第2内部抽選乱数「12040」と、当選総数「0」に当選数「64000」を加算した新たな当選総数「64000」とを比較する。ここでは、第2内部抽選乱数「12040」<当選総数「64000」となるため、サブCPU202aは、当該当選領域1に対応付けられた演出種別「通常演出」を抽選結果として決定する。
【0157】
また、第2内部抽選乱数として「12040」が抽出され、抽選結果が当選役「スイカ」であり、参照順が「4」かつ「降順」に、当選総数が「0」にセットされた場合には、サブCPU202aは、参照順カウンタに記憶されている参照順「4」と序数が等しい当選領域4を特定し、その当選領域4に対応付けられた当選数「64000」を取得する。そして、サブCPU202aは、第2内部抽選乱数「12040」と、当選総数「0」に当選数「64000」を加算した新たな当選総数「64000」とを比較する。ここでは、第2内部抽選乱数「12040」<当選総数「64000」となるため、サブCPU202aは、当該当選領域4に対応付けられた演出種別「チャンス演出A」を抽選結果として決定する。こうして、遊技者は、「チャンス演出A」を通じて、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるよう停止操作を行うことができ、また、停止操作の結果、当選役「スイカ」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合に、当選役「BB」が1/3の確率で当選していることを期待でき、「チャンス演出A」と相俟って遊技の興趣を高めることができる。
【0158】
図15(a)に示す共通演出抽選テーブルでは、図7(a)に示す共通遊技状態用抽選テーブルのように抽選条件に応じて個別に参照順が設定されておらず、降順や昇順といった単純な方向のみで参照順を特定することができる。また、当選総数が第2内部抽選乱数の所定の数値範囲(ここでは「65536」)を超えることはないので、図15(a)に破線で示した境界を超えて当選領域が参照されることはない。
【0159】
以上、説明したように、本実施形態によれば、抽選テーブルの各遊技利益の配置を工夫して抽選テーブルを共通化することで、複数の抽選テーブルの当選領域や当選数が重複する部分を共通化でき、また、他の抽選テーブルとの関係で生じていた、当選数が「0」となる無駄な当選領域(例えば、図15(c)における当選領域1等)を排除できるので、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することが可能となる。本実施形態の共通化された抽選テーブルは、参照順に従って当選領域(遊技利益)を参照するのみといった簡易な処理によって参照可能なので、処理負荷が高くなることもない。
【0160】
また、図15(a)を用いて説明した共通演出抽選テーブルでは、抽選条件が複数あったとしても、相違する当選領域または当選数を共通演出抽選テーブルの上下に配することで、容易に抽選テーブルの共通化を図ることが可能であり、また、予め定められた所定の順に従って機械的に当選領域を参照することができるので、処理負荷の著しい低減を図ることが可能となる。
【0161】
また、上記実施形態では、図15を用いて、抽選テーブル(共通演出抽選テーブル)における複数の遊技利益(図15では演出種別)が参照される所定の順が定められていることを前提に、その参照される所定の順の方向を異ならせて(昇順または降順)、当選判定を行う例を挙げたが、遊技利益(図15では演出種別)が参照される所定の順が定められていることを前提に、抽選条件に応じ、遊技利益を参照する開始位置を異ならせて当選判定を行うとしてもよい。
【0162】
図17は、共通演出抽選テーブルの他の例を説明するための図である。このうち、図17(a)は、本実施形態における他の共通演出抽選テーブルであり、図15(b)および図15(c)と等しい第1演出抽選テーブル(図17(b))および第2演出抽選テーブル(図17(c))とともに、内部当選フラグがONした状態(内部中)において参照される第3演出抽選テーブルを共通化したものである。図17(d)の第3演出抽選テーブルの当選領域3には、演出種別として、当選役「BB」が当選していることを確定的に報知する「確定演出」が含まれている。
【0163】
図17(a)の共通演出抽選テーブルには、図17(b)、図17(c)、図17(d)に示した各抽選テーブルにおいても対応付けられている演出種別と当選数とに加え、抽選条件と参照を開始する当選領域とが対応付けられている。また、かかる共通演出抽選テーブルでは、複数の当選領域(演出種別)の参照される所定の順が、例えば、当選領域1→2→3→4といったように定められている。
【0164】
したがって、サブCPU202aは、図17(a)の共通演出抽選テーブルにおいて、抽選結果が当選役「リプレイ」、当選役「ベル」およびハズレのいずれかであると判定した場合には、序数「1」から「1」→「2」→「3」の順で当選領域(演出種別)を参照し、抽選結果が当選役「スイカ」および当選役「BB」のいずれか一方または両方であると判定した場合には、序数「2」から「2」→「3」→「4」の順で当選領域を参照し、現在が内部中であると判定した場合には、序数「3」から「3」→「4」→「5」の順で当選領域を参照する。こうして、抽選条件が複数あったとしても、容易に抽選テーブルの共通化を図ることが可能となり、また、予め定められた所定の順で所定の当選領域(開始位置)から参照を開始すればよいので、処理負荷の著しい低減を図ることが可能となる。
【0165】
また、上記実施形態では、抽選テーブルにおける当選領域に対応付けられた当選数の総数が、第1および第2内部抽選乱数の所定の数値範囲(ここでは、65536)より大きくなる例を挙げて説明したが、当選数の総数を第1および第2内部抽選乱数の所定の数値範囲より小さくし、1の抽選条件に対して複数回参照される当選領域を設けてもよい。このとき、任意の抽選条件に基づいて抽選され得る複数の遊技利益と他の抽選条件に基づいて抽選され得る遊技利益とは、繰り返し参照される遊技利益が異なる。
【0166】
図18は、共通演出抽選テーブルの他の例を説明するための図である。このうち、図18(a)は、本実施形態における他の共通演出抽選テーブルであり、図18(b)の第4演出抽選テーブルと図18(b)の第5演出抽選テーブルを共通化したものである。ここで、サブCPU202aは、共通演出抽選テーブルに準備されたすべての当選領域を一通り参照した後、さらに参照を開始した当選領域に戻って重複して当選領域を参照する。かかる点以外に関しては図15を用いて説明した共通演出抽選テーブルと実質的に等しいのでここではその詳細な説明を省略する。
【0167】
また、上記実施形態では、抽選条件として遊技状態や抽選結果を用いる例を挙げたが、他の任意の契機に基づいて、抽選条件を変更することもできる。
【0168】
例えば、演出パターンとして「演出パターンA」と「演出パターンB」とを設けたとき、当該スロットマシン100の製作者側の意図として、「演出パターンB」と比較して「演出パターンA」の方が所定の遊技利益を得ることができる期待度が高い演出として設定したとする。これに伴い、「演出パターンA」が実行されたが最終的にハズレが報知される「ハズレ演出A」と、「演出パターンB」が実行されたが最終的にハズレが報知される「ハズレ演出B」との出現比率を5536:60000として、「演出パターンA」が実行された場合にハズレとなる確率を「演出パターンB」が実行された場合にハズレとなる確率より低く設定する。
【0169】
上記のように出現比率を設定することで、統計上、遊技者は「演出パターンA」の方が信頼できる(期待度が高い)と体感するはずであるが、これは、長時間の遊技によって蓄積される感覚である。したがって、短時間の遊技では、遊技者は、製作者側の意図に反した感覚を得てしまうこともある。そこで、図19の共通演出抽選テーブルに示すように、遊技者が遊技を開始したことを検知すると、抽選条件「初回遊技」に基づく当選領域を参照して、「ハズレ演出B」のみ実行される(「ハズレ演出A」は選択されない)ようにする。そして、1度でも「ハズレ演出B」が実行されたら、それを契機に抽選条件を「初回遊技」から「通常遊技」に切り換え、出現比率は「ハズレ演出B」より小さいながらも「ハズレ演出A」を出現可能に設定する。こうすることで、遊技を開始して最初に「ハズレ演出A」が実行されることにより、遊技者が「演出パターンA」の信頼性が低いように体感してしまうのを回避することができる。
【0170】
ただし、遊技者が入れ替わると、新たな遊技者に対して「ハズレ演出A」が最初に実行されてしまう可能性があるので、電源の再投入時や待ち受け演出が表示されたとき等の予め定められた条件を満たした場合、再度、抽選条件を「通常遊技」から「初回遊技」に切り換えるとしてもよい。
【0171】
また、上記実施形態の第1内部抽選乱数の判定処理S350や抽選結果コマンド受信処理S1002aにおいて、第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数の抽選結果を導き出す際、対応する当選領域から当選数を取得し、その当選数を当選総数として積算し、その積算した当選総数と第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数とを比較する構成を述べたが、かかる場合に限られず、第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数から、対応する当選領域の当選数分だけ減算し、減算した値が0未満となったことをもってその当選領域を抽選結果としたり、予め当選領域に第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数の範囲を対応付けておき、第1内部抽選乱数や第2内部抽選乱数がどの範囲に含まれるかといった単純比較によって当選領域を特定する等、様々な導出方法によって抽選結果を導き出すことができる。
【0172】
また、上述した実施形態における、各抽選テーブルは、説明の便宜上、当選領域の数を制限して説明したが、さらに多数の当選領域を設け得ることはいうまでもない。
【0173】
また、上記実施形態のベット処理では、規定数(例えば3枚)に到達することで、抽選処理に移行できる、すなわち、規定数にならないと遊技が進行しないとして説明したが、規定数を段階的に複数(1枚、2枚、3枚)設け、1枚や2枚をベットした状態で、抽選処理に移行し、その投入枚数に応じたテーブルによって抽選処理が実行されてもよい。
【0174】
また、上記実施形態ではスロットマシン100を挙げて説明したが、本実施形態は、パチンコ機1500にも適用することが可能である。
【0175】
(パチンコ機1500の機械的構成)
図20は、パチンコ機1500の概略的な機械的構成を説明するための外観斜視図であり、図21は、パチンコ機1500のガラス扉を開けた状態の外観斜視図である。本実施形態におけるパチンコ機1500は、遊技場の島設備に設置される縦長矩形状の機枠1502と、機枠1502の前面開口部に対して扉形式で開閉可能に取り付けられ、遊技盤1503や、遊技盤1503内の遊技領域1504に向かって遊技球を発射する発射装置1505を収容する前面枠1506と、前面枠1506に扉形式で開閉可能に取り付けられ、中央開口部に遊技領域1504を遊技者に観察させるための透明なガラス板1507を嵌設したガラス扉1508と、ガラス扉1508の下方において前面枠1506に扉形式で開閉可能に取り付けられ、遊技球を収容する受皿1509や、発射装置1505における遊技球の発射強度を調整するためのハンドル1510が設けられた受皿ユニット1511とを備えている。また、ガラス扉1508の上部や側部には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ1512および様々な発光を伴う視覚的な演出を行うランプ部1513が設けられる。以下、パチンコ機1500の機械的構成を説明する。
【0176】
ガラス板1507を通じて観察可能な遊技領域1504は、遊技球を滑走させるガイドレール1520と遊技球規制レール1521とによって略円形状となるように区画形成され、遊技者によるハンドル1510の操作により発射装置1505から発射された遊技球はこの遊技領域1504内を流下する。また、遊技領域1504内には、その流下方向を変化させるための遊技釘(図示せず)、風車(図示せず)、遊技の契機となる始動入賞口(始動口)1523(図中1523a、1523bで示す。)、一般入賞口1524、スルーチャッカ1525、電動チューリップ1526、アタッカー装置1527、遊技の結果を報知する特別図柄表示装置1528、演出表示装置1529、入賞を果たせなかった遊技球を回収する回収口1530等が設けられている。
【0177】
特別図柄表示装置1528は、例えば、7セグメント表示器等で構成され、特別図柄(数字や絵柄)を変動表示し、遊技球が始動入賞口1523に入賞したことを契機に行われる電子抽選の結果に基づく特別図柄を停止表示する。演出表示装置1529は、遊技盤1503の略中央に位置する液晶表示器等で構成され、例えば、特別図柄表示装置1528による特別図柄の変動に連動して、抽選により決定された、大当たりの期待度の異なる様々な演出態様を表示する。遊技者は、主として、このような演出表示装置1529における演出表示に一喜一憂しながら遊技を楽しむこととなる。また、受皿1509の棚部には、押圧式のボタンスイッチで構成されるチャンスボタン1532が設けられている。
【0178】
スルーチャッカ1525は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、そのゲート内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプの検知センサ(スルーチャッカ検知センサ)が内蔵されている。スルーチャッカ1525を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選が実行され、その抽選結果は普通図柄表示装置1534を通じて遊技者に報知される。普通図柄表示装置1534は、本実施形態において、特別図柄表示装置1528に隣接して設けられた2つのLEDランプで構成されており、普通図柄の抽選結果が当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。
【0179】
電動チューリップ1526は、始動入賞口1523bに設けられ、遊技盤1503の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えている。スルーチャッカ1525を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選に当選すると、電動チューリップ1526のソレノイドに通電がなされ、その一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、所定期間、始動入賞口1523bへの入賞が容易になる。こうして、遊技者は、多くの抽選機会を得ることができる。
【0180】
アタッカー装置1527は、始動入賞口1523に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果が、大当たりとなり、通常の遊技に比べて遊技者に有利な大当たり遊技に移行した場合に、大入賞口1535への入賞経路を開放する装置である。大当たり遊技では、アタッカー装置1527を通じて大入賞口1535への入賞が容易となるので、多くの賞球が遊技者に払い出される。また、一般入賞口1524に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。なお、始動入賞口1523、一般入賞口1524、大入賞口1535の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサが設けられている。このようにして払い出された賞球(遊技球)は、一旦受皿1509に収容され、遊技者は、必要に応じて外部に排出することができる。遊技者が投入し、または、払い出されて受皿1509に収容された遊技球は、1個ずつ発射装置1505に流動し、遊技者によるハンドル1510への回動量に応じた発射強度で遊技領域1504に発射される。
【0181】
このようなパチンコ機1500においても、スロットマシン100同様、主制御基板と副制御基板(図示せず)とが設けられており、主制御基板は、始動入賞口1523に遊技球が入賞したことを契機に乱数発生器によって生成された乱数に基づいて特別図柄に係る内部抽選を行ったり、スルーチャッカ1525を遊技球が通過したことを契機に乱数発生器(図示せず)によって生成された乱数に基づいて普通図柄に係る内部抽選を行い、遊技の制御を実行する。また、副制御基板は、主制御基板からのコマンドを受けて、演出表示装置1529に表示する演出等を抽選により決定する。このような特別図柄、普通図柄および演出の抽選に用いられる抽選テーブルを、上述したように共通化することで、スロットマシン100同様、処理負荷が高くなるのを抑制しつつ、各種抽選テーブルの記憶容量を低減することが可能となる。
【0182】
このような様々な変形例においても図1図16を用いて説明した実施形態同様の作用および効果を得ることができる。
【0183】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0184】
なお、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【0185】
なお、上記実施形態において、図9に示す抽選処理を実行するメインCPU200aが本発明の乱数取得手段および当選決定手段に相当し、図13に示す払出処理を実行するメインCPU200aや図16に示す抽選結果コマンド受信処理を実行するサブCPU202aが本発明の遊技利益付与手段に相当する。
【符号の説明】
【0186】
100 …スロットマシン(遊技機)
128 …スタートスイッチ
130 …ストップスイッチ
130a、130b、130c …ストップボタンスイッチ
134 …リールユニット
134a、134b、134c …回転リール
200 …主制御基板
200a …メインCPU
200b …メインROM
200c …メインRAM
202 …副制御基板
202a …サブCPU
202b …サブROM
202c …サブRAM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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