特許第5799346号(P5799346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5799346
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   A63F7/02 308G
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-108049(P2014-108049)
(22)【出願日】2014年5月26日
【審査請求日】2014年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100188226
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 俊達
(72)【発明者】
【氏名】小川 慎也
(72)【発明者】
【氏名】山本 和弘
【審査官】 井上 昌宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−31499(JP,A)
【文献】 特開2010−214162(JP,A)
【文献】 特開2014−79296(JP,A)
【文献】 特開2003−80169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F7/02
A63F9/24;13/00〜13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技者によって操作可能な操作部材を備えた遊技機であって、
前記操作部材は、
遊技部材と、
前記遊技部材とは別体で前記遊技部材の少なくとも一部を覆うカバー部材と、
前記遊技部材を振動させる第1振動手段と、
前記カバー部材を振動させる第2振動手段と、を備えて、
前記遊技部材と前記カバー部材とが各々独立して振動するように構成されたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記カバー部材は、容器状又は筒状をなし、
前記遊技部材は、前記カバー部材の内側に収容され、
前記第1振動手段は、前記カバー部材の内側で前記カバー部材とは別に前記遊技部材を振動させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記カバー部材は、遊技者の操作により移動して遊技の演出に関与する操作部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記カバー部材の振動パターンと、前記遊技部材の振動パターンとを異ならせたことを特徴とする請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記遊技部材を視認可能にする視認部を有し、
前記第1振動手段は、前記視認部を介して前記遊技部材の振動状態が視認可能となるように前記遊技部材を振動させる一方、前記第2振動手段は、前記カバー部材の振動状態が前記遊技部材の振動状態よりも視認困難又は視認不能となるように前記カバー部材を振動させることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記遊技部材を視認可能にする視認部を有すると共に、接触により遊技者に振動が把握されるように構成され、
前記遊技部材は、遊技者と接触困難又は接触不能な位置に配置され、前記視認部を介して視認されることで遊技者に振動が把握されるように構成されたことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記第1振動手段には、第1の駆動源と、前記第1の駆動源が駆動されたときに前記遊技部材を振動させる第1振動発生部とが備えられ、
前記第2振動手段には、第2の駆動源と、前記第2の駆動源が駆動されたときに前記カバー部材を振動させる第2振動発生部とが備えられたことを特徴とする請求項1乃至6のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技者が操作可能な操作部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遊技機として、操作部材のうち遊技者が直接触ることが可能な操作部を振動させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−190434号公報(段落[0012])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の遊技機では、操作部材を構成する1つの部材だけが振動するため、遊技の趣向性に欠けるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、操作部材の振動による遊技の趣向性向上を図ることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、遊技者によって操作可能な操作部材を備えた遊技機であって、操作部材は、遊技部材と、遊技部材とは別体で遊技部材の少なくとも一部を覆うカバー部材と、遊技部材を振動させる第1振動手段と、カバー部材を振動させる第2振動手段と、を備えて、遊技部材とカバー部材とが各々独立して振動するように構成されたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遊技機において、カバー部材は、容器状又は筒状をなし、遊技部材は、カバー部材の内側に収容され、第1振動手段は、カバー部材の内側でカバー部材とは別に遊技部材を振動させるところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、カバー部材は、遊技者の操作により移動して遊技の演出に関与する操作部であるところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のうち何れか1の請求項に記載の遊技機において、カバー部材の振動パターンと、遊技部材の振動パターンとを異ならせたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1の請求項に記載の遊技機において、カバー部材は、遊技部材を視認可能にする視認部を有し、第1振動手段は、視認部を介して遊技部材の振動状態が視認可能となるように遊技部材を振動させる一方、第2振動手段は、カバー部材の振動状態が遊技部材の振動状態よりも視認困難又は視認不能となるようにカバー部材を振動させるところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1の請求項に記載の遊技機において、カバー部材は、遊技部材を視認可能にする視認部を有すると共に、接触により遊技者に振動が把握されるように構成され、遊技部材は、遊技者と接触困難又は接触不能な位置に配置され、視認部を介して視認されることで遊技者に振動が把握されるように構成されたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6のうち何れか1の請求項に記載の遊技機において、第1振動手段には、第1の駆動源と、第1の駆動源が駆動されたときにカバー部材を振動させる第1振動発生部とが備えられ、第2振動手段には、第2の駆動源と、第2の駆動源が駆動されたときに遊技部材を振動させる第2振動発生部とが備えられたところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
[請求項1の発明]
請求項1の発明によれば、操作部材を構成する2つ部材、即ち、遊技部材とカバー部材とが各々独立して振動するので、操作部材を構成する1つの部材だけが振動する従来の遊技機よりも、操作部材の振動による遊技の趣向性向上を図ることが可能となる。
【0014】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、カバー部材の内側に収容された遊技部材をカバー部材とは別に振動させて、遊技の趣向性向上を図ることが可能となる。
【0015】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、遊技の演出の進行状況に関連付けてカバー部材を振動させることが可能となる。
【0016】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、カバー部材と遊技部材の振動パターンが異なっているので、2つの部材の振動の区別を容易にすることが可能となる。
【0017】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、遊技部材の振動状態を、遊技部材を覆うカバー部材の振動状態よりも視覚的に際立たせることが可能となる。
【0018】
[請求項6の発明]
請求項6の発明によれば、遊技部材の振動については視覚により把握させる一方、カバー部材の振動については触覚により把握させることが可能となる。このように、本発明によれば、2つの部材の振動を別々の感覚機能により把握させて趣向性の向上を図ることが可能となる。
【0019】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、第1の駆動源と第2の駆動源とを別々に駆動して、遊技部材とカバー部材とを別々に振動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図
図2】球貯留部の斜視図
図3】操作ボタン装置の斜視図
図4】操作ボタン装置の分解斜視図
図5】カバー部材とその駆動機構を構成する部材の斜視図
図6】カバー部材とその駆動機構の断面図
図7】可動演出部材とその駆動機構を構成する部材の斜視図
図8】可動演出部材とその駆動機構を構成する部材の斜視図
図9】ベースプレート及び支持プレートの平面図
図10】ベースプレートと円形突部の平断面図
図11】可動演出部材とその駆動機構の断面図
図12】(A)変形例に係るカバー部材と可動演出部材の断面図、(B)変形例に係るカバー部材と可動演出部材の断面図
図13】変形例に係る操作ボタン装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をパチンコ遊技機に適用した第1実施形態を図1図11に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10(以下、「遊技機10」という。)は、前面が前面枠10Zにて覆われており、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技板11の遊技領域R1が視認可能になっている。
【0022】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、遊技球を貯留可能な上皿26及び下皿27を上下2段にして備える球貯留部30が設けられ、下皿27の右側には操作ハンドル28が設けられている。そして、操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に貯留された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。
【0023】
遊技領域R1には、図示しない始動入賞口と大入賞口が備えられ、始動入賞口に遊技球が入球すると所定数の賞球が払い出されると共に、当否判定が行われる。大入賞口は、通常は、可動扉等で閉塞されて入球が困難な状態になっていて、上記当否判定の結果が当りとなったときに開放されて入球が容易な状態となる。また、遊技領域R1には、当否判定の結果に基づく演出が行われる表示部(図示せず)が設けられている。
【0024】
図2に示すように、上皿26は、球貯留部30の上部の後側部分に配置されていて、球貯留部30の上皿26の前側部分には、十字キー31、演出用操作ボタン32、球排出ボタン33、球貸ボタン34、球貸用カードの返却ボタン35を並べて備える総合操作部30Sが設けられている。
【0025】
球排出ボタン33が操作されると、上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。球貸ボタン34が操作されると、予め設定された数の遊技球が貸し出され、上皿26に貯留される。返却ボタン35が操作されると、球貸用カードが返却される。なお、球貸用カードは、パチンコホール内で遊技球を借りるためのカードであって、例えば、遊技機10の左側に設置される球貸用サンドのカード挿入口に挿入されると、球貸用カードに記録されている残高分の遊技球を借りることが可能となる。また、球貸用カードは、返却ボタン35が操作されると、球貸用サンドの返却口から返却される。
【0026】
十字キー31及び演出用操作ボタン32は、遊技の進行に応じて実行される演出に使用される。その使用例としては、例えば、(a)実行する演出を複数種類の演出群の中から十字キー32で選択させて演出用操作ボタン32で決定させることや、(b)(a)の例と同様にして、遊技中のBGMを複数種類の楽曲の中から選択、決定させること等が挙げられる。
【0027】
詳細には、総合操作部30Sは、以下のようにして形成されている。即ち、ボタン31〜35を上部に備える複数の操作ボタン装置が球貯留部30に組み付けられると共に、各ボタン31〜35が球貯留部30の上面から露出することで、総合操作部30Sが形成される。
【0028】
図3には、演出用操作ボタン32を備える操作ボタン装置40(本発明の「操作部材」に相当する。)が示されている。演出用操作ボタン32は、ドーム部41Dを上部に有するカバー部材41にて支持プレート44の上方が覆われた構造になっていて、カバー部材41が支持プレート44に対して相対的に上下動可能となっている。そして、カバー部材41が押圧操作されて下方に移動すると、操作ボタン装置40の下部の底ケース50に収容された図示しないセンサにより押圧操作が検出される。
【0029】
詳細には、図4に示すように、操作ボタン装置40は、カバー部材41と支持プレート44のほかに、可動演出部材42と、LED基板48と、底ケース50とを備えている。可動演出部材42は、カバー部材41と支持プレート44との間に配置されて、カバー部材41の内側に収容されている。ここで、カバー部材41のドーム部41Dは、全体が透明になっていて、上方から見ると、可動演出部材4の全体がカバー部材41を介して視認可能となっている。別の見方をすれば、カバー部材41は、本発明に係る「視認部」としてのドーム部41Dを有している。LED基板48は、支持プレート44の下方に配置されて、可動演出部材42との間に支持プレート44を挟み、可動演出部材42を発光させるLED(図示せず)を制御する。底ケース50は、上述したカバー部材41の押圧操作検出用のセンサ、LED基板48、後述する第1モータ47及び第2モータ51等を収容する。なお、以下では、操作ボタン装置40において、カバー部材41側を上側、底ケース50側を下側、と適宜呼ぶことにする。
【0030】
ここで、本実施形態では、カバー部材41と可動演出部材42とは、振動可能に構成されている。具体的には、カバー部材41と可動演出部材42とは、別々の駆動源によって駆動され、可動演出部材42を駆動するための第1モータ47(図4参照)は、予め設定された第1振動条件が成立したときに駆動され、カバー部材41を駆動するための第2モータ51(図6参照)は、予め設定された第2振動条件が成立したときに駆動される。なお、第2振動条件は、カバー部材41が押圧操作されたときに成立してもよいし、カバー部材41の押圧操作とは無関係に成立してもよい。
【0031】
以下、カバー部材41の振動機構と、可動演出部材42の振動機構について説明する。図5には、カバー部材41と、カバー部材41を振動させる第2振動機構51Kとが示されている。同図に示すように、第2振動機構51Kは、支持プレート44と、第2モータ保持盤49と、第2モータ51と、底ケース50とを備えている。
【0032】
図5に示すように、カバー部材41は、ドーム部41Dの底部を構成する円筒壁41Hから下方に突出して円筒壁41Hの径方向で対向配置された1対の第1脚部41Aと1対の第2脚部41Bとを備えている。第1脚部41Aと第2脚部41Bとは、カバー部材41の周方向で互いに90°ずれるように配置されている。また、第1脚部41Aは、第2脚部41Bよりも下方に突出し、第1脚部41Aの下端部には、円筒壁41Hの径方向に延びた係合孔41Kが形成されている。
【0033】
支持プレート44は、カバー部材41の円筒壁41Hより大径の円形状をなし、支持プレート44の外周部には、カバー部材41の第1脚部41Aと第2脚部41Bとに対応した第1脚部挿通孔44Aと第2脚部挿通孔44Bが形成されている。また、支持プレート44の中央部には、略円形の中央孔44Cが形成されている。
【0034】
第2モータ保持盤49は、長手方向の長さがカバー部材41の円筒壁41Hの直径と略同じ長さの長方形状をなしている。第2モータ保持盤49の長手方向の両端部からは、カバー部材41側に端部突壁49Hが突出し、その端部突壁49Hに、円筒壁41Hの径方向に突出する係合突部49Tが設けられている。また、第2モータ保持盤49の中央部には、略円形の中央孔49Cが形成されている。なお、上述したように、第1脚部41Aは第2脚部41Bより下方に突出しているので、第1脚部挿通孔44Aに挿通された第1脚部41Aは、支持プレート44を貫通し、この第1脚部41Aの係合孔41Kに端部突壁49Hの係合突部49Tが係合する。
【0035】
図6に示すように、第2モータ51は、第2モータ保持盤49上に取り付けられ、第2モータ51の回転出力軸51Jには、重心が回転出力軸51Jからずれた偏心錘52が取り付けられている。具体的には、第2モータ保持盤49の長手方向の一方側には、モータ収容部53が設けられていて、第2モータ51はモータ収容部53に収容されることで、上下方向と水平方向の移動が規制されている。なお、図5では、モータ収容部53が省略して示されている。
【0036】
底ケース50は、支持プレート44と略同じ大きさの円形状をなして、支持プレート44の底部に固定され、カバー部材41の第1脚部41Aと、第2モータ保持盤49と、第2モータ51とを収容する。また、底ケース50の底部と第2モータ保持盤49との間には、付勢バネ50Sが設けられ、この付勢バネ50Sによって第2モータ保持盤49及びカバー部材41が、底ケース50及び支持プレート44に対して上側に付勢される。なお、付勢バネ50Sは、底ケース50の底部と第2モータ保持盤49の互いの対向面に形成された位置決め凹部によって位置決めされている。また、上述したカバー部材41の押圧操作検出用のセンサは、付勢バネ50Sに抗して第2モータ保持盤49が下方位置へ配置されたことを検出するようになっている。
【0037】
次に、第2振動機構51Kの動作について説明する。第2振動条件が成立して第2モータ51が作動すると、図6に示すように、回転出力軸51Jを中心として偏心錘52が回転する。すると、その偏心錘52の遠心力によって第2モータ51が振動し、第2モータ保持盤49のモータ収容部53と衝突する。そして、第2モータ51の振動が、モータ収容部53を介して第2モータ保持盤49に伝達され、第1脚部41Aを介して第2モータ保持盤49と係合するカバー部材41にも伝達する。これにより、カバー部材41が振動する。
【0038】
ここで、上述したように、カバー部材41は、第1脚部42A及び第2脚部41が支持プレート44の第1脚部挿通孔44A及び第2脚部挿通孔44Bに挿通されることにより、水平方向の移動が制限される一方、付勢バネ50Sの伸縮により上下方向の移動は許容される。従って、カバー部材41の振動は、水平方向の振動よりも上下方向の振動が大きい、所謂、縦揺れ型の振動となっている。
【0039】
なお、本実施形態では、カバー部材41が本発明の「カバー部材」及び「操作部」に相当し、第2モータ51が本発明の「第2の駆動源」に相当する。また、第2振動機構51Kが本発明の「第2振動手段」に相当し、第2振動機構51Kのうち第2モータ51を除く部材、即ち、支持プレート44、第2モータ保持盤49及び収容ケース50が、本発明の「第2振動発生部」に相当する。以上が、カバー部材41の振動機構に関する説明である。
【0040】
次に、可動演出部材42の振動機構について説明する。図7には、可動演出部材42と、可動演出部材42を振動させる第1振動機構47Kとが示されている。同図に示すように、第1振動機構47Kは、回転部材43と、支持プレート44と、固定治具46と、コイルバネ45と、第1モータ47とを備えている。
【0041】
図7に示すように、可動演出部材42は、円盤状のベースプレート42Bを装飾カバー42Aで覆った構成になっている。ベースプレート42Bは、支持プレート44に上方から重ねられ、ベースプレート42Bの中央部に突出形成された略円形の中央突部42Cが、支持プレート44の中央孔44Cに遊嵌される。
【0042】
また、ベースプレート42Bのうち中央突部42Cの外側には、複数(例えば、3つ)の円形孔42Tが形成されている。複数の円形孔42Tは、ベースプレート42Bの周方向に等間隔に配置され、それら複数の円形孔42Tの中心は、ベースプレート42Bと同心円上に配置されている。そして、各円形孔42Tには、支持プレート44の中央孔44Cの開口縁から突出した複数の円形突部44Tが挿通されている(図8図10を参照)。
【0043】
ここで、円形孔42Tは、円形突部44Tよりも大径になっていて、円形孔42Tに挿通される円形突部44Tは、円形孔42T内を移動可能となっている。別の見方をすれば、ベースプレート42Bは、円形孔42Tの内周面と円形突部44Tとの当接によって移動が制限される。図10には、水平面内の一方向に移動して円形突部44Tにより移動が制限されたときのベースプレート42が点線で示され、ベースプレート42の移動が許容される範囲R2が2点鎖線で示されている。なお、本実施形態では、複数の円形孔42T及び円形突部44Tは同じ大きさになっているので、一の円形突部44Tが円形孔42Tの内周面に当接すると、残りの円形突部44Tも円形孔42Tの内周面に当接する。これにより、ベースプレート42Bと円形突部44Tとの当接箇所を、ベースプレート42Bの周方向に分散させることが可能となる。また、本実施形態では、円形突部44Tが円形孔42Tの内周面に摺接することで、ベースプレート42Bをスムーズに移動させることが可能となる。
【0044】
回転部材43は、ベースプレート42Bの中央部、即ち、中央突部42Cに取り付けられ、ベースプレート42Bに対して相対回転可能となっている。具体的には、回転部材43は、図11に示すように、ベースプレート42Bと直交する方向に延びてベースプレート42Bを貫通する回転シャフト43Aと、偏心錘43Bとを備えている。そして、回転シャフト43が中央突部42Cの中心部にベアリング(図示せず)を介して取り付けられることで、回転部材43Bはベースプレート42Bに対して相対回転可能となっている。また、回転部材43Bの下端部には、取付軸部43Jが形成されている。
【0045】
偏心錘43Bは、回転シャフト43Aの上端部に固定されて、回転シャフト43Aと一体に回転する。偏心錘43Bは、平面視扇形状になっていて、ベースプレート42Bの上面には、偏心錘43Bの回転を許容する円形凹部42Dが形成されている。
【0046】
図7に示すように、固定治具46は、固定板46Aと、取付板46Aから支持プレート44側に突出する複数の取付片42Bとで構成され、取付板46Aの中央部に円形の中央孔46Cが形成されている。そして、取付片42Bが支持プレート44の下面に固定されることで、固定板46Aが支持プレート44と平行に配置されると共に、固定板46Aと支持プレート44との間の距離が一定に保たれる。
【0047】
第1モータ47は、回転出力軸47J側の面が固定治具46の固定板46Aの下面に重ねて固定され、第1モータ47の回転出力軸47Jが固定板46Aの中央孔46Cを貫通する。従って、固定治具46によって、第1モータ47と支持プレート44との間の距離が一定に保たれることとなる。
【0048】
コイルバネ45は、第1モータ47の回転出力軸47Jと同軸に配置され、一端部が回転出力軸47Jに固定されている。また、コイルバネ45の他端部は、回転部材43の取付軸部43Jに固定されている。
【0049】
ここで、本実施形態では、図11に示すように、コイルバネ45の自然長さは、コイルバネ45の他端部に回転部材43を介して固定されたベースプレート42B(可動演出部材42)が支持プレート44から浮き上がる長さになっている。別の見方をすれば、上述の固定治具46は、支持プレート44と第1モータ47との間隔を、コイルバネ45が自然長のときにベースプレート42B(可動演出部材42)が支持プレート44から浮き上がる長さとなるように保っている。
【0050】
次に、第1振動機構47Kの動作について説明する。第1振動条件が成立して第1モータ47が作動すると、回転出力軸47Jを中心としてコイルバネ45の他端部と回転部材43が旋回する。すると、ベースプレート42Bが回転部材43に押されて、可動演出部材42も旋回しようとする。
【0051】
ここで、回転部材43には、回転出力軸47Jから偏心した偏心錘43Bが備えられているので、回転部材43の旋回半径が大きくなり、ベースプレート42Bが支持プレート44の円形突部44Tと衝突する。従って、ベースプレート42Bは、図10に示した範囲R2内を、円形突部44Tとの衝突を繰り返しながら、水平方向に振動する。
【0052】
また、本実施形態では、コイルバネ45が第1モータ47の回転出力軸47Jと同軸に配置され、可動演出部材42の水平方向に弾性曲げ変形可能となっているので、ベースプレート42Bは、旋回する回転部材43の遠心力と、衝突した円形突部44Tから受ける抗力と、コイルバネ45の復元力の影響を受けて移動することになり、ベースプレート42Bを水平面内でランダムに振動させることが可能になる。
【0053】
このように、可動演出部材42は、図10に示した範囲R2内を、水平方向にランダム振動する。また、コイルバネ45の伸縮により、可動演出部材42は、上下方向の振動も許容される。従って、可動演出部材42は、上下方向と水平方向の両方の振動が許容される。
【0054】
以上、説明したように、可動演出部材42の振動パターンは、上述した縦揺れ型のカバー部材41の振動とは異なる振動パターンとなる。このように、本実施形態の遊技機10では、カバー部材41と可動演出部材42の振動パターンが異なっているので、2つの部材の振動の区別を容易にすることが可能となる。
【0055】
また、カバー部材41は、上下方向、即ち、カバー部材41が遊技者と対向する方向に振動するので、カバー部材41の振動は、遊技者に視認困難となっている。これに対し、可動演出部材41は、水平方向で振動するので、可動演出部材41の振動は、カバー部材41の振動よりも遊技者に視認され易くなっている。これにより、可動演出部材42の振動状態を、可動演出部材42を覆うカバー部材41の振動状態よりも視覚的に際立たせることが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態では、可動演出部材42が「遊技部材」に相当し、第1モータ47が本発明の「第1の駆動源」に相当する。また、第1振動機構47Kが本発明の「第1振動手段」に相当し、第1振動機構47Kのうち第1モータ47を除く部材、即ち、回転部材43、支持プレート44、コイルバネ45及び固定治具46が、本発明の「第1振動発生部」に相当する。以上が、可動演出部材42の振動機構に関する説明である。
【0057】
本実施形態の遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、遊技機10の作用効果について説明する。
【0058】
本実施形態の遊技機10では、遊技の進行状況に応じて、第1振動条件が成立すると、第1モータ47が駆動され、図11に示した第1振動機構47Kが可動演出部材42を振動させる。この可動演出部材42の振動は、カバー部材41のドーム部41Dを介して視認される。また、第2振動条件が成立すると、第2モータ51が駆動され、図6に示した第2振動機構51Kがカバー部材41を振動させる。このカバー部材41の振動は、遊技者との接触により把握される。
【0059】
このように、本実施形態の遊技機10によれば、操作ボタン装置40を構成する2つ部材、即ち、カバー部材41と可動演出部材42とが各々独立して振動するので、例えば、操作部としてのカバー部材41だけが振動する従来の遊技機よりも、操作ボタン装置40の振動による遊技の趣向性向上を図ることが可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、可動演出部材42の全体がカバー部材41にて覆われると共に、そのカバー部材41のドーム部41Dによって可動演出部材42の振動が視認可能となっているので、可動演出部材42の振動については視覚により把握させる一方、カバー部材41の振動については触覚により把握させることが可能となる。言い換えれば、本実施形態では、2つの部材の振動を別々の感覚機能により把握させることが可能となる。これにより、遊技の趣向性向上を図ることが可能となる。
【0061】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0062】
(1)上記実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用した例を示したが、スロットマシンやアレンジボール等の遊技機に適用してもよい。
【0063】
(2)上記実施形態では、本発明の「視認部」としてのドーム部41Dが可動演出部材42の全体を視認可能とする構成であったが、一部を視認可能としてもよい。
【0064】
(3)上記実施形態において、カバー部材41の振動パターンと、可動演出部材42の振動パターンを同じにしてもよい。具体的には、可動演出部材42の振動機構を、カバー部材41の振動機構と同様にして、可動演出部材42を駆動する第1モータ47自体を振動させ、その振動を可動演出部材42に伝達する構成としてもよい。その際、カバー部材41と可動演出部材42とは、遊技者が触れることで振動が把握される構成であってもよいし、見た目で振動が把握される構成であってもよいし、それら構成の組み合わせであってもよい。
【0065】
(4)上記実施形態では、本発明の「操作部材」が、「操作部」としての演出用操作ボタン33を備えた操作ボタン装置40であったが、例えば、演出用の操作レバーを「操作部」として備えた操作レバー装置であってもよい。なお、この場合、操作レバーを筒状にし、その操作レバーの内側に棒状の可動演出部材を収容し、それら操作レバーと可動演出部材とを別々に振動させる構成とすればよい。
【0066】
(5)上記実施形態では、本発明を操作ボタン装置40に適用した例を示したが、操作ハンドル28を有する操作ハンドル装置に適用してもよい。
【0067】
(6)上記実施形態では、カバー部材41が可動演出部材42の全体を覆っていたが、図12(A)及び図12(B)に示すように、一部を覆う構成であってもよい。なお、図12(A)の例では、可動演出部材42の一部は外側に露出し、遊技者は可動演出部材42に触れることが可能となっている。一方、図12(B)の例では、可動演出部材42は、カバー部材41と、例えば、前面枠10Zに形成されたカバー部90とによって全体が覆われ、遊技者は可動演出部材42に触れることが困難又は不能になっている。
【0068】
(7)上記実施形態では、カバー部材41が上下方向に振動し、可動演出部材42が水平方向に振動することで両部材の振動パターンを異ならせていたが、カバー部材41と可動演出部材42の振動方向を水平面内で異ならせる(例えば、カバー部材41は前後方向に振動し、可動演出部材42は左右方向に振動する)ことで両部材の振動パターンを異ならせてもよいし、カバー部材41と可動演出部材42の一方の部材は、水平面内を一方向に振動し、他方の部材は、水平面内をランダムな方向に振動することで両部材の振動パターンを異ならせてもよい。
【0069】
(8)上記実施形態では、1つの可動演出部材42のみがカバー部材41にて覆われる構成であったが、図13に示すように、複数の可動演出部材42がカバー部材41にて覆われる構成であってもよい。また、カバー部材41を複数備えた構成であってもよい。その際の各可動演出部材42と各カバー部材41の振動パターンは、どのような振動パターンであってもよい。なお、カバー部材41を複数備えた場合、それら複数のカバー部材41で可動演出部材42の外側を覆う1つの殻を構成してもよいし、可動演出部材42の外側を覆う複数の殻を構成してもよい。
【0070】
(9)上記実施形態では、カバー部材41のドーム部41Hは、透明であったが、可動演出部材42を視認可能にするものであれば、半透明であってもよいし、メッシュのように一部が透けて見えるものであってもよい。
【0071】
(10)上記実施形態では、演出用操作ボタン33が、カバー部材41により外殻部を構成し、可動演出部材42により内殻部が構成された2重構造になっていたが、3重以上の多重構造にして、各殻部を振動させる構成としてもよい。また、当該多重構造における任意複数の殻部を振動させる構成としてもよい。
【0072】
(11)上記実施形態の操作ボタン装置40において、カバー部材41を押し下げたときに、カバー部材41が可動演出部材42と当接して可動演出部材42を押し下げる構成として、可動演出部材42の押し下げを検出するようにしてもよい。
【0073】
(12)上記(6)の図12(A)に示した構成において、可動演出部材42を押し下げ可能な構成とし、可動演出部材42の押圧操作を検出する構成としてもよい。
【0074】
(13)上記実施形態では、操作ボタン装置40は、カバー部材41の押圧操作を検出する電気的な構成であったが、カバー部材41が押し下げられることにより、物理的に役物等を駆動する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 パチンコ遊技機
32 演出用操作ボタン(操作部)
40 操作ボタン装置(操作部材)
41 カバー部材
41D ドーム部(視認部)
42 可動演出部材(遊技部材)
47 第1モータ(第1の駆動源)
47K 第1振動機構(第1振動手段)
51 第2モータ(第2の駆動源)
51K 第2振動機構(第2振動手段)
【要約】
【課題】操作部材の振動による遊技の趣向性向上を図ることが可能な遊技機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係るパチンコ遊技機10では、遊技者によって操作可能な操作ボタン装置40が、可動演出部材42と、可動演出部材42を覆うカバー部材41と、第1モータ47と、第1モータ47が駆動されたときに可動演出部材42を振動させる第1振動手段47Kと、第2モータ51と、第2モータ51が駆動されたときにカバー部材41を振動させる第2振動手段51Kと、を備えて、可動演出部材42とカバー部材41とが各々独立して振動するように構成されている。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図10
図11
図12
図13
図9