特許第5799358号(P5799358)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日章工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社 有紀の特許一覧

<>
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000002
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000003
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000004
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000005
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000006
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000007
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000008
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000009
  • 特許5799358-荷重式扉開閉装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5799358
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月21日
(54)【発明の名称】荷重式扉開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 13/04 20060101AFI20151001BHJP
【FI】
   E05F13/04
【請求項の数】4
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-86640(P2014-86640)
(22)【出願日】2014年4月18日
【審査請求日】2015年3月19日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597087099
【氏名又は名称】日章工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507017875
【氏名又は名称】株式会社 有紀
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 保
(72)【発明者】
【氏名】藤新 成信
【審査官】 渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−275499(JP,A)
【文献】 特開2012−251420(JP,A)
【文献】 米国特許第01593845(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の体重を利用して扉を開閉させる開閉機構を備えた荷重式扉開閉装置において、
前記扉を開閉するように摺動自在に支持する摺動支持レールと、
前記扉に設けられ、該扉の開方向に上昇傾斜した開扉用レールと、
前記開扉用レールを摺動する摺動部材に連結部材を介して連結され、前記扉を踏力で開方向に動作させる踏板と
を備え、
前記扉は、閉じた状態で前記摺動部材が前記開扉用レールの上端側に配置され、開動作時に前記踏板に作用した踏力により該摺動部材が該開扉用レールに対して押し下げられ該扉が開方向に変位することを特徴とする荷重式扉開閉装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷重式扉開閉装置において、
前記連結部材は、
前記踏板に連結されて上下方向に動作する第1連結体と、一端が前記摺動部材に連結すると共に他端が地面に当接し、一端と他端との間で前記第1連結体に軸着された第2連結体とを備えるパンタグラフ式と、
一端が前記踏板に連結された第1アームと、他端が前記摺動部材に連結された第2アームと、前記第1アームと前記第2アームとを各々独立に軸支し、該第1アームと該第2アームとを互いに逆方向に動作させるギア部とを備えるギア式と、
一端が前記踏板に連結された第1アームと、他端が前記摺動部材に連結された第2アームと、共有の回転軸に軸支された前記第1アームと前記第2アームとの間に設けられ、該第1アームと該第2アームとを互いに逆方向に動作させる一対のカム機構とを備えるカム式と
記踏板から垂直方向に延設され一端が該踏板に連結すると共に他端に摺動部材が設けられた連結棒である直接押し下げ方式と
から選択されるいずれかの方式であることを特徴する荷重式扉開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の荷重式扉開閉装置において、
開扉用レールは、扉の開方向の上昇傾斜角度が、該開扉用レールの上端側が大きく、下端側が小さいことを特徴とする荷重式扉開閉装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の荷重式扉開閉装置において、
前記扉に連結されたワイヤの巻き取りの力によって該扉を閉方向に付勢する巻取装置を備えることを特徴とする荷重式扉開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の体重を利用して扉を開閉させる開閉機構を備えた荷重式扉開閉装置に関する。
【0002】
具体的に、本発明は、利用者の体重や荷車の重量を掛けることにより出入口の引戸を開く自動開扉方法、及び該方法を用いた出入口自動開閉扉に関する。電動機・油圧モータ等の動力源を持たず、利用者や荷車の踏込み力のみで作動する出入口開引き戸機構の技術分野に属し、特に、扉を開き方向へ移動させる踏込力作動の無電源自然エネルギー利用推進具付出入口自動開閉扉に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、この種の荷重式扉開閉装置としては、代表的には、下記特許文献1がある。かかる荷重式扉開閉装置は、扉の閉方向に下降傾斜し扉を支持する摺動支持レールと、扉の開方向に下降傾斜し該扉に固定された開扉用レールと、開扉用レールに移動自在に接触させた摺動部材と、踏板に加えられた下方向の踏力をテコを介して摺動部材の上方向の分力に変換する開扉機構とを備える。
【0004】
具体的に特許文献1では、引戸の前後位置の床面に設けた踏板の沈下量を、テコを介し所定の変位に変換し伝達する伝達機構を設け、伝達機構及び調整ウエイトの自重による沈下で、前記テコを介し前記踏板の浮上状態を保つよう、重量バランス設定され、前記伝達長尺材の上下動作により、開扉レールに駆動回転体を押し付けて、引戸の水平な開扉を軽加重で動作させる方法が提案されている。
【0005】
その他、周辺技術について以下補足説明をする。
【0006】
従来から、電動モータ等の付加動力源を用いることなく、利用者、荷車の体荷重による荷重変位を動力源として、出入口の引戸を開閉させる機構については、多数の出願特許が存在している。
【0007】
例えば、踏み込みによる変位量を用いて、リンク機構により引戸の上部又は下部に配置したガイドレールを所望移動方向へ適宜傾斜させて、この傾斜に沿って引戸を摺動移動させる方式(傾斜方式)のものとしては、下記特許文献2などが存在している。
【0008】
しかし、かかる傾斜方式は、移動が引戸の自重に起因した斜面上の自然移動のみに頼っているため、応答性の良い素早い移動ができ難く、頻繁な出入りには煩わしさがあった。
【0009】
また、長年の使用によりガイドレールにゴミなどが堆積した場合は、その影響を大きく受ける欠点もあった。さらに加えて、上記構成の作動力伝達機構に何らかの障害が発生した場合には、手動によって開閉させることが不可能、又は非常に困難であると言う欠点もあった。
【0010】
なかでも、通行者の踏込力を作動源とした、出入口の自動開閉機構については、種々多数の発明が開示されている(特許文献3参照)。
【0011】
例えば、通行者の踏込力による踏板の変位量(主に、沈下量)を油圧、水圧、又は気圧等の流体圧の変化に置き換え、これによりシリンダ・ピストン機構を作動させて引戸の開閉動をさせる方式(流体圧利用方式)のものとして多数件が開示されている(特許文献3参照)。
【0012】
また、別な機構のものとして、踏込みによる沈下量を、クランク体や滑車を伝達手段として、引戸を垂下保持するガイドレールに伝達し、このレールを移動方向へ傾斜させることよって引戸の開閉動をさせる方式(傾斜開閉方式)のものがある(特許文献4参照)。
【0013】
人体の加重によって、傾斜開閉方式は、特許文献1のほか、次のようなものが提案されている。
【0014】
足踏板に体重を掛けながら通るだけで自然に扉が開閉され、電気も使わず経済的な装置を提供するにおいて、ラックの上部にバネを設け、そのラックの下にクサリを設け、クサリの下に足踏板を固定しラックに歯車をかみ会わせ、この歯車に固定したプーリーともう一つのプーリーにベルトを設け、レールに車輪を乗せベルトの一片を取り付け部に固定する方法が提案されている(特許文献5参照)。
【0015】
開閉可能に支持され、かつ閉方向へ移動付勢力を付加した引戸と、閉戸位置にある引戸の前後位置の床面にそれぞれ配置し、人の踏込圧により所定の沈下量を生じるように構成した踏板と、該踏板の上下移動量を所定の回転角に変換し、この回転角に従って第1アームを回動させる第1作動機構と、前記回動する第1アームの先端部と連係され、該先端部の移動量を拡大して出力させるレバー機構と、該レバー機構の出力側と引戸とを、引戸の開放方向へ牽引するように連係させた牽引ワイヤーと、から成ることを特徴とした踏込圧利用の自動開閉引戸装置が提案されている(特許文献6参照)。
【0016】
出入口を開閉可能に構成した引戸と、該出入口の前後位置の床面に配置し、人の踏込圧によって所定量の沈下を生じるように構成した踏板と、該踏板と一端部が連係し、該踏板の沈下移動に従って他端部が所定角度で揺動する揺動体と、該揺動体の他端部の移動量を略直線運動量に拡大変換して出力させるリンク機構と、一端部を戸袋側に回動自在に軸支持すると共に、他端部を引戸と連係させた作動アームと、から成り、前記リンク機構からの出力を作動アームの中程に作用させて作動アームを揺動させることにより、引戸を開閉移動させる自動扉が提案されている(特許文献7参照)。
【0017】
電動的エネルギーを使わず、モータ等のメンテナンスが不必要な自動開閉戸において、開閉戸と一体にハンガーおよび開閉ハンガーを設ける。ハンガーに軸架した戸車をハンガーレール上に走行させて開閉戸を開閉自在とする。ハンガーには開閉戸を閉方向に付勢する重りを設ける。開閉ハンガーには、躯体側基枠に設けたシリンダ内の油圧により突出するロッドを連結する。シリンダ内の油圧は踏み台の下動により発生させる。上記構成により、シリンダの圧油がロッドを押しだし、開閉ハンガーを介して開閉戸を開とし、圧油力が消失した段階で重りにより開閉戸を閉とする方法を提案されている(特許文献8参照)。
【0018】
農業用簡易温室又はこれに類する各種温室や建屋の出入り口を開閉する引き戸の開動作を足踏みペダル等の操作により自動的に行わせる半自動開ドア装置を提供することが提案されている(特許文献9参照)。
【0019】
簡単な構造で、引戸の自動開閉ができる引戸の開閉装置において、引戸幅としたガイドレールを開口部上部に配置し、そのガイドレールと系合する吊車を引戸上辺の戸先側に取り付けられるようにし、前記ガイドレールの戸尻側を軸支して回動自在とすると共に、ガイドレールの戸先側を上下に操作する手段を設け、引戸全開時の吊車停止位置をガイドレールの戸尻側軸支位置よりも戸先側に位置させる方法が提案されている(特許文献10参照)。
【0020】
以上が、周辺技術について以下補足説明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許第4253034号公報(特開2009−275499号公報)
【特許文献2】実開平6−37482号公報
【特許文献3】特開平7−286476号公報
【特許文献4】実開平6−37482号公報
【特許文献5】特開平07−208016号公報
【特許文献6】特開平11−324480号公報
【特許文献7】特開2000−274139号公報
【特許文献8】特開2000−220343号公報
【特許文献9】特開2010−19041号公報
【特許文献10】特開2010−37921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
ここで、代表的な特許文献1の荷重式扉開閉装置によれば、踏板に加えられた下方向の踏力をテコを介して摺動部材の上方向の分力に変換することで、開扉用レールに摺動部材が上方向に押し付けられ、開扉用レールの上昇傾斜方向に沿って摺動部材が移動することで扉が開方向に動作する。
【0023】
しかしながら、かかる従来の荷重式扉開閉装置では、開扉用レールに摺動部材を上方向に押し付けた際に、扉の加重が摺動部材に掛ることになり、摺動部材に過度の負荷が掛るという問題があった。
【0024】
さらに、扉を開方向に動作させるためには、かかる扉の加重に逆らって開扉用レールの傾斜方向に沿って摺動部材を移動させる必要があり、テコを利用した場合でも、扉の動作スピードが遅いという問題があった。
【0025】
上記事情に鑑みて、本発明は、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に、俊敏な扉の動作を実現した荷重式扉開閉装置を提供することを目的とする。
【0026】
また、上述の周辺技術に対しては、以下の荷重式扉開閉装置を提供することを目的とする。
【0027】
すなわち、踏板にかける荷重に対する扉開閉の敏速な応答性の不備、複数の同時利用者に依る衝撃的な踏み力に対する耐久性、踏板にかける荷重の変化に起因した作動速さの違いを解消し、さらには踏板機構部及び連結部品について、万一の不具合の発生時においても、これに影響されず通常の手動引戸と同様に、無理なく手動開閉することができる自動開扉方法及び扉自動開閉装置を提供するものである。また、配線等の設備工事不要で、かつ設置工事が短時間で済み、保守点検が容易で実現性の高い荷重式開扉方法及び扉開閉装置を提供するものである。
【0028】
中でも、複数の利用者に依る同時使用の衝撃力については、動力伝達金具及び開扉レールの機構を上からの引き下げ力に変えるものに設計し、衝撃力に依る扉の跳ね上がり、支持レールからの脱輪及び外れ止め金具等の部材の破損を防止する必要がある。また扉の跳ね上がりに依る一次的な静止状態や扉本体の重量に逆らう方向に働く分力が無くなるので、俊敏な応答性と部材の耐久性を確保する必要がある。
【0029】
利用者の体重や荷車の重量より得られる踏み力を扉の開閉力に直接的にできる機構では無いので、最も効率良く分力を伝達できる連結金具及び進歩した技術があれば、もっと効率が良くなると考えられる連結金具を備えた自動開扉方法及び扉自動開閉装置を提供するものである。本願発明は、上記課題に着目して為されたものであり、開き方向へ移動させる踏込力作動の無電源自然エネルギー利用推進具付出入口自動開閉扉に関する新規かつ実現性の高い踏込力利用の自動開閉引戸装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
第1発明の荷重式扉開閉装置は、人の体重を利用して扉を開閉させる開閉機構を備えた荷重式扉開閉装置において、
前記扉を開閉するように摺動自在に支持する摺動支持レールと、
前記扉に設けられ、該扉の開方向に上昇傾斜した開扉用レールと、
前記開扉用レールを摺動する摺動部材に連結部材を介して連結され、前記扉を踏力で開方向に動作させる踏板と
を備え、
前記扉は、閉じた状態で前記摺動部材が前記開扉用レールの上端側に配置され、開動作時に前記踏板に作用した踏力により該摺動部材が該開扉用レールに対して押し下げられ該扉が開方向に変位することを特徴とする。
【0031】
第1発明の荷重式扉開閉装置によれば、踏板に作用した踏力は連結部材を介して摺動部材が開扉用レールを押し下げるように下方向に作用する。そのため、扉の加重が摺動部材に掛ることがなく、摺動部材の耐久性を向上させることができる。
【0032】
すなわち、開扉用レールには鉛直下方向にのみ力が作用する為、複数の同時利用者よる衝撃力に対して扉本体の重量が反発せず、下からの衝撃力を受ける場合より各部材の耐久性が向上する。また、衝撃力が伝わる各機構の連結部も耐久性が向上し、故障頻度が減少する。
【0033】
さらに、扉を開方向に動作させるために、(扉の加重に逆らって開扉用レールを上昇傾斜方向に沿って摺動部材を移動させる必要がなく)開扉用レールの下降傾斜方向に沿って摺動部材を開扉用レールの上端側から下方向に移動させればよく、扉の動作スピードを向上させることができる。
【0034】
このように、第1発明の荷重式扉開閉装置によれば、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に、俊敏な扉の動作を実現することができる。
【0035】
第2発明の荷重式扉開閉装置は、第1発明において、
前記連結部材は、
前記踏板に連結されて上下方向に動作する第1連結体と、一端が前記摺動部材に連結すると共に他端が地面に当接し、一端と他端との間で前記第1連結体に軸着された第2連結体とを備えるパンタグラフ式と、
一端が前記踏板に連結された第1アームと、他端が前記摺動部材に連結された第2アームと、前記第1アームと前記第2アームとを各々独立に軸支し、該第1アームと該第2アームとを互いに逆方向に動作させるギア部とを備えるギア式と、
一端が前記踏板に連結された第1アームと、他端が前記摺動部材に連結された第2アームと、共有の回転軸に軸支された前記第1アームと前記第2アームとの間に設けられ、該第1アームと該第2アームとを互いに逆方向に動作させる一対のカム機構とを備えるカム式と
記踏板から垂直方向に延設され一端が該踏板に連結すると共に他端に摺動部材が設けられた連結棒である直接押し下げ方式と
から選択されるいずれかの方式であることを特徴する。
【0036】
第2発明の荷重式扉開閉装置によれば、まず、連結部材をパンタグラフ式の上記第1連結体および第2連結体により構成することで、第2連結体の他端(接地点)を支点として、踏力が摺動部材を開扉用レールに対して押し下げるように作用する。
【0037】
これにより、連結部材をパンタグラフ式にした場合に、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に俊敏な扉の動作性能を有する荷重式扉開閉装置を具体的に実現することができる。
【0038】
次に、連結部材をギア式とし、第1アームと第2アームとをギア部により逆方向に動作させることで、第1アームの一端に作用した踏力が、第2アームの他端の下方向の分力となり、摺動部材を開扉用レールに対して押し下げるように作用する。
【0039】
これにより、連結部材をギア式とした場合に、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に俊敏な扉の動作性能を有する荷重式扉開閉装置を具体的に実現することができる。
【0040】
次に、連結部材をカム式とし、第1アームと第2アームとを一対のカム機構により逆方向に動作させることで、第1アームの一端に作用した踏力が、第2アームの他端の下方向の分力となり、摺動部材を開扉用レールに対して押し下げるように作用する。
【0041】
これにより、連結部材をカム式とした場合に、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に俊敏な扉の動作性能を有する荷重式扉開閉装置を具体的に実現することができる。
【0042】
さらに、連結部材を直接押し下げ方式とし、連結棒により踏板と摺動部材とを直接連結することで、踏力が摺動部材を開扉用レールに対して押し下げるように作用する。
【0043】
これにより、連結部材を直接押し下げ方式とした場合に、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に俊敏な扉の動作性能を有する荷重式扉開閉装置を具体的に実現することができる。
【0044】
第3発明の荷重式扉開閉装置は、第1または第2発明において、
請求項1または2記載の荷重式扉開閉装置において、
第3発明の荷重式扉開閉装置によれば、開扉用レールの上昇傾斜角度を変えることで、摺動部材が開扉用レールに作用する作用力の開扉用レール方向の分力を変えることができる。ここで、開扉用レールの上端側の上昇傾斜角度を大きくすることで、開扉用レールに作用する摺動部材の作用力の開扉用レール方向の分力を大きくすることができ、扉の開動作開始を俊敏なものとすることができる。
【0045】
これにより、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に俊敏な扉の動作性能を有する荷重式扉開閉装置を具体的に実現することができる。
【0046】
第4発明の荷重式扉開閉装置は、第1〜第3発明のいずれかにおいて、
前記扉に連結されたワイヤの巻き取りの力によって該扉を閉方向に付勢する巻取装置を備えることを特徴とする。
【0047】
第4発明の荷重式扉開閉装置によれば、扉が閉方向に変位する場合には、摺動部材が開扉用レールを押し上げるように作用する。そのため、扉を閉方向に付勢する巻取装置を設けることで、扉の閉方向の動作を補助することができる。
【0048】
これにより、摺動部材の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に俊敏な扉の開閉動作性能を有する荷重式扉開閉装置を具体的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本実施形態の荷重式扉開閉装置の全体構成図。
図2図1の荷重式扉開閉装置の平面図。
図3図1の荷重式扉開閉装置の詳細説明図。
図4図1の荷重式扉開閉装置の変更例を示す詳細説明図。
図5A図1の荷重式扉開閉装置の他の変更例を示す詳細説明図。
図5B図5Aの荷重式扉開閉装置の平面図。
図6図1の荷重式扉開閉装置の他の変更例を示す詳細説明図。
図7】本実施形態の荷重式扉開閉装置の設置例を示す実施例1の説明図。
図8】本実施形態の荷重式扉開閉装置の他の設置例を示す実施例2の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態として、荷重式扉開閉装置について、図1〜3を参照して説明する。
【0051】
図1に示すように、荷重式扉開閉装置は、扉1を開閉させる開閉機構を備えた荷重式扉開閉装置であって、扉1を開閉するように摺動自在に支持する摺動支持レール2と、扉1に設けられた開扉用レール3と、開扉用レール3に摺動自在に取り付けられた摺動部材4と、踏板5と、摺動部材4と踏板5とを連結する連結部材6とを備える。
【0052】
なお、図1(a)は、動作前の状態(扉1が閉じた状態)を示し、図1(b)は、動作後の状態(扉1が開いた状態)を示す。
【0053】
扉1は、1枚の引戸(片開き引戸)であって、その上側の両端に吊下フック11,11が延設されており、吊下フック11,11には、摺動支持レール2に回転自在に支持されるローラ12,12が軸着されている。
【0054】
摺動支持レール2は、サッシ枠体Fまたは建物(図示省略)に水平方向に支持されたレールであって、ローラ12,12を介して扉1が摺動支持レール2に摺動自在に支持される。
【0055】
なお、吊下フック11,11には、ローラ12,12に加えて、補助ローラ13,13が設けられており、補助ローラ13,13は、摺動支持レール2の両端に設けられた補助レール14、14で動作スピードを安定させるように機能する。
【0056】
また、本実施形態では、摺動支持レール2を水平として、定荷重バネ15(本発明の巻取装置に相当する)によりワイヤ16を介して扉1の閉方向に吊下フック11を付勢(扉1の重量20〜100kgに対して、ワイヤ16の巻き取り力を2〜10N能力として付勢)しているが、これに加えてまたは替えて、扉1の開方向にわずかに上昇傾斜(閉方向にわずかに下降傾斜)させてもよい。いずれの場合にも、扉1の閉動作をアシストして閉動作をスムーズにすることができる。
【0057】
開扉用レール3は、扉1下側において開方向に上昇傾斜したレールであって、摺動部材4が嵌合した状態で摺動自在となるように構成される。
【0058】
開扉用レール3の上昇傾斜角度は、該開扉用レールの上端側が大きく、下端側が小さくなるように段階的に傾斜角度が変化している。なお、本実施形態では、上昇傾斜角度を3段階に、初期段階の勾配においては15〜6°、次段階では6〜4°、最終段階では4〜2°にして、初期段階の幅をレールの長さの1/3以内にしているが、これに限定されるものではなく、2段階または4段階以上でもよく、初期段階である上端側が大きく、最終段階である下端側が小さければ、連続的に角度を変更するようにしてもよい。
【0059】
なお、開扉用レール3は、扉1下側に内蔵され、その外側を覆うカバー(扉下端側を覆う化粧カバー)により、通常の使用状態ではユーザが視認できないようになっている。
【0060】
摺動部材4は、開扉用レール3に嵌合した状態で摺動するローラであって、連結部材6の一端に軸着されている。なお、摺動部材4と連結部材6との関係は、詳細を後述する。
【0061】
踏板5は、図2に平面図(扉1および摺動支持レール2は省略)で示すように、扉1により仕切られた内側と外側に亘る平板であって、人の踏み込み量により沈み込むようになっている。
【0062】
なお、踏板5は、踏板5の下面(図中、踏板5の外側の下面)に当接する復帰用摺動部材40を介して、踏板5に人が乗っていない状態で浮上する。具体的には、一端に復帰用摺動部材40が軸着されると共に他端に重錘41が設けられたアーム42が軸部43により地面に軸着される。これにより、アーム42は、軸部43を支点とするテコの原理により、踏板5に人が乗っていない状態では重錘41により、復帰用摺動部材40が踏板5の下面を押し上げ、摺動部材4の開動作と逆の閉動作を行う。なお、これに加えてまたは替えて、踏板5を上方向へ付勢する付勢手段等が設けられてもよい。
【0063】
連結部材6は、踏板5の下面に軸着されて、踏板5の上下動作に伴って上下方向に動作する第1連結体61と、一端が摺動部材4を軸支すると共に他端が踏板5の下の地面GLに当接した第2連結体62とにより構成される。
【0064】
なお、第1連結体61は、踏板の下面から水平方向に延設して踏板5と一体に上下方向に動作するようにしてもよい。
【0065】
第1連結体61は、図2に示すように、一端が踏板5に連結(本実施形態では軸着)され、他端で第2連結体62を軸支する。
【0066】
第2連結体62は、図3に示すように、その中央部(上下移動に制限を持たせる、一端と他端の間の所定の比率の位置)で第1連結体61に軸着され、第2連結体62の他端(地面GLと接地点)には接地ローラ63が軸着されており、接地ローラ63を支点として動作する。
【0067】
摺動部材4は、連結棒60を介して、第2連結体62と接続されている。連結棒60は第2連結体62との接続位置に応じて、その長さが調整可能となっており、これにより、摺動部材4は、開扉用レール3に嵌合するように位置決めすることができるようになっている。
【0068】
以上のように構成された荷重式扉開閉装置によれば、まず、踏板5に人が乗っていない状態では、踏板5が浮上し、これに対応して摺動部材4が垂直方向において最も高い位置(開扉用レール3の上端位置)で開扉用レール3に嵌合している。
【0069】
この状態から、人が踏板5に乗ると、踏板5に生じた踏力は、踏板5と一体の第1連結体61を介して第2連結体62の下方向の分力となる。これにより、第2連結体62は、接地ローラ63を支点として連結棒60側が押し下げられ、連結棒60に軸支された摺動部材4が開扉用レール3の下面を押し下げるように作用する。
【0070】
これにより、扉1は、開扉用レール3の傾斜方向に沿って、摺動部材4を介して作用した分力を逃がすように開方向に変位する。このとき、扉1の加重が摺動部材4に掛ることがないため、摺動部材4の負荷を軽減してその耐久性を向上させることができる。
【0071】
さらに、扉1を開方向に動作させるために、開扉用レール3の下降傾斜方向に沿って摺動部材4を開扉用レール3の上端側から下方向に移動させればよく、扉の動作スピードを向上させることができる。
【0072】
さらに、開扉用レール3の上端側の上昇傾斜角度が大きくなっているため、開扉用レール3に作用する摺動部材4の下方向の作用力の開扉用レール方向の分力を大きくすることができ、扉1の開動作開始を俊敏なものとすることができる。
【0073】
このように、本実施形態の荷重式扉開閉装置によれば、摺動部材4の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に、俊敏な扉1の動作を実現することができる。
【0074】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本実施形態の他の荷重式扉開閉装置として連結部材6としてギア部70を用いた構成について説明する。なお、上述の実施形態と同一対象については同一の符号を付して説明を省略する。
【0075】
この場合、連結部材6は、一端が踏板5に連結した第1アーム71と、他端側に摺動部材4が連結された第2アーム72と、第1アーム71と第2アーム72との間に設けられ、これらを互いに逆方向に動作させるギア部70とから構成される。
【0076】
ギア部70は、第1ギア70aと第2ギア70bとを備える。第1ギア70aは、第1連結軸71aにより第1アーム71と一体に回転動作する。第2ギア70bは、第2連結軸72aにより第2アーム72と一体に回転動作する。
【0077】
第1ギア70aと第2ギア70bとは、第1アーム71と第2アーム72とは、互いに逆方向の回転となるように噛み合った歯車であって、その直径比率は第1アーム71の動作を倍増させるように1倍を超える値となっている(例えば、2〜3倍)。
【0078】
なお、ギア部70は、踏板5の下の空間に内蔵されると共に、図示しない台座に固定される。
【0079】
第1アーム71は、一端に軸着された踏板側ローラ50を介して踏板5に当接されることにより連結されると共に、延設された他端に重錘71cが設けられている。また、第1アーム71は、その中央位置で第1連結軸71aに軸着される。
【0080】
第2アーム72は、一端が第2連結軸72aに軸着され、他端において摺動部材4が連結される。なお、摺動部材4が連結される機構は、上述の実施形態と同様に連結棒60によるものである。
【0081】
以上のように構成された荷重式扉開閉装置によれば、踏板5に人が乗っていない状態から、人が踏板5に乗ると、踏板5に生じた踏力は、踏板側ローラ50を介して第1アーム71の一端に作用し、第1アーム71が第1連結軸71aを中心に図中時計回りに回動する。
【0082】
これにより、共通の第1連結軸71a上の第1ギア70aを介して、第2ギア70bが逆方向に回転し、第2連結軸72a上の第2アーム72が図中反時計回りに回動する。
【0083】
第2アーム72が反時計回りに回動することで、連結棒60側が押し下げられ、連結棒60に軸支された摺動部材4が開扉用レール3の下面を押し下げるように作用する。
【0084】
以下上述の実施形形態と同様に、扉1は、開扉用レール3の傾斜方向に沿って、摺動部材4を介して作用した分力を逃がすように開方向に変位する。このとき、扉1の加重が摺動部材4に掛ることがないため、摺動部材4の負荷を軽減してその耐久性を向上させることができる。
【0085】
さらに、扉1を開方向に動作させるために、開扉用レール3の下降傾斜方向に沿って摺動部材4を開扉用レール3の上端側から下方向に移動させればよく、扉の動作スピードを向上させることができる。
【0086】
このように、本実施形態の荷重式扉開閉装置によれば、摺動部材4の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に、俊敏な扉1の動作を実現することができる。
【0087】
なお、本実施形態において、踏板5に人が乗っていない状態では、第1アーム71の重錘71cにより、第1アーム71が図中反時計回りに回動し、踏板側ローラ50を介して踏板5が浮上した状態に復帰する。
【0088】
[第3実施形態]
次に、図5を参照して、本実施形態のその他の荷重式扉開閉装置について説明する。なお、上述の実施形態と同一対象については同一の符号を付して説明を省略する。
【0089】
この場合、連結部材6は、一端が踏板5に連結した第1アーム81と、他端側に摺動部材4´(本実施形態では1つの摺動部材が片支持されているため前述の摺動部材4と区別している。以下同じ。)が連結された第2アーム82と、第1アーム81と第2アーム82との間に設けられ、これらを互いに逆方向に動作させる一対のカム機構83とから構成される。
【0090】
第1アーム81および第2アーム82は、それぞれ所定の位置で軸体80に回転自在に軸支される。
【0091】
第1アーム81は、一端に軸着された踏板側ローラ50を介して踏板5に当接されることにより連結されると共に、延設された他端に重錘81cが設けられている。
【0092】
第2アーム82は、上述の実施形態と同様に、他端において摺動部材4´が連結棒60を介して連結支持される。
【0093】
一対のカム機構83は、軸体80の両側に配置された楕円形状の第1カム83aおよび第2カム83bであって、各カム83a,83bから第1アーム81側および第2アーム82側にアーム81a,82aおよび81b,82bが突出している。なお、第1カム83aおよび第2カム83bは、図示しない台座上に設けられたフレームに支持された軸体に取り付けられ、軸体を中心に回動可能となっている。
【0094】
具体的には、第1カム83aは、第1カム83aから第1アーム81の下側面に当接するように突出したアーム81aと、第1カム83aから第2アーム82の下側面に当接するように突出したアーム82aとを有する。
【0095】
第2カム83bは、第2カム83bから第1アーム81の下側面に当接するように突出したアーム81bと、第2カム83bから第2アーム82の下側面に当接するように突出したアーム82bとを有する。
【0096】
以上のように構成された荷重式扉開閉装置によれば、踏板5に人が乗っていない状態から、人が踏板5に乗ると、踏板5に生じた踏力は、踏板側ローラ50を介して第1アーム81の一端に作用し、第1アーム81が軸体80を中心に時計回りに回動する。
【0097】
このとき、第2カム83bのアーム81bが押し下げられると共に、アーム82bが押し上げられる。これにより、第2アーム82が反時計回りに回動する。
【0098】
なお、回動動作後のアーム81a,82aおよび81b,82bの位置を、アーム81a´,82a´および81b´,82b´で示す。
【0099】
第2アーム82が反時計回りに回動することで、連結棒60側が押し下げられ、連結棒60に軸支された摺動部材4´が開扉用レール3の下面を押し下げるように作用する。
【0100】
以下上述の実施形形態と同様に、扉1は、開扉用レール3の傾斜方向に沿って、摺動部材4´を介して作用した分力を逃がすように開方向に変位する。このとき、扉1の加重が摺動部材4´に掛ることがないため、摺動部材4´の負荷を軽減してその耐久性を向上させることができる。
【0101】
さらに、扉1を開方向に動作させるために、開扉用レール3の下降傾斜方向に沿って摺動部材4´を開扉用レール3の上端側から下方向に移動させればよく、扉の動作スピードを向上させることができる。
【0102】
このように、本実施形態の荷重式扉開閉装置によれば、摺動部材4´の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に、俊敏な扉1の動作を実現することができる。
【0103】
なお、本実施形態において、踏板5に人が乗っていない状態では、第1アーム81の重錘81cにより、第1アーム81が反時計回りに回動する。このとき、第1カム83aのアーム81aが押し下げられると共に、アーム82aが押し上げられる。これにより、第2アーム82が時計回りに回動する。これにより、第1アーム81が反時計回りに回動して踏板5が浮上した状態に復帰すると共に、第2アーム82が摺動部材4´の初期位置(開扉用レール3の上端)に復帰する。
【0104】
[第4実施形態]
次に、図6を参照して、本実施形態のその他の荷重式扉開閉装置について説明する。なお、上述の実施形態と同一対象については同一の符号を付して説明を省略する。また、踏板5を復帰させるための復帰用摺動部材40、重錘41、アーム42および軸部43の構成も省略する(第1実施形態と同様の構成40〜43省略する)。
【0105】
図6の開閉装置では、踏板5に連結棒60を直接連結させる。すなわち、連結部材6を、踏板5から垂直方向に延設して設けられ一端が踏板に連結すると共に他端に摺動部材4´が設けられた連結棒60のみにより構成する。
【0106】
これにより、踏板5の踏力を踏板5と一体の連結棒60を介してダイレクトに摺動部材4´に伝達し、摺動部材4´が開扉用レール3の下面を押し下げるように作用する。
【0107】
以下上述の実施形形態と同様に、扉1は、開扉用レール3の傾斜方向に沿って、摺動部材4´を介して作用した分力を逃がすように開方向に変位する。このとき、扉1の加重が摺動部材4´に掛ることがないため、摺動部材4´の負荷を軽減してその耐久性を向上させることができる。
【0108】
さらに、扉1を開方向に動作させるために、開扉用レール3の下降傾斜方向に沿って摺動部材4´を開扉用レール3の上端側から下方向に移動させればよく、扉の動作スピードを向上させることができる。
【0109】
このように、本実施形態の荷重式扉開閉装置によれば、摺動部材4´の負荷を低減して耐久性を向上させることができると共に、俊敏な扉1の動作を実現することができる。
【0110】
以下、参考として本実施形態の荷重式開閉装置の設置例を実施例として示す。
【実施例1】
【0111】
JISH4100に規定するA6063S-T5 アルミニウム合金押し出し型材を使用して、図7のIIに示すアルミニウム合金製建具:有効開口W=800mm、H=2000mmかつ枠外寸法W=1600mm、H=2200mmの片引き引戸を製作した。また、図7のIIIに示す、底面が横556mm、縦956mm高さ70mmの上下方向を自在に変動できる天板を持った踏板機構部を製作した。これらを、図7のIに示す、建物の壁開口及び床掘り込み部の所定の位置に設置した。
【0112】
この際、レーザーを使用し垂直方向及び水平方向のレベルを正確にとり、固定した。上記アルミニウム合金製建具の召し合せ方立と上記踏板機構部の取り合い部に、上記踏板機構部の踏力を伝達する連結金具を召し合せ方立からの離れ、踏板機構部底面からの高さを±0.5mmの範囲となる精度で設置固定した。前記連結金具に並列して、踏板天板を元の位置に復元させる錘をつけたてこの原理を利用した形の復帰金物を設置固定した。
【0113】
踏板天板の20mm〜30mmの上下運動を確認後、前記アルミニウム合金製扉を支持レールへ吊り込みを行い、前記扉の下端はかま部に取り付けしている1〜3段階の勾配を持つ開扉用レールに対して、摺動部材である押し下げランナーローラを高さ調整しながら、前記連結金具の先端部に固定した。踏力の伝達状況、前記扉の開口寸法及び開閉スピードを調整し、所定の性能が出ていることを確認して作業を終了した。複数の同時利用者による衝撃力に対して、扉の跳ね上がりも無く、問題のないレスポンスで作動し、故障も確認されなかった。
【実施例2】
【0114】
JISG3302溶融亜鉛めっき鋼板の板厚0.8mm、1.6mmおよび2.3mmの材料を使用し、組み立て状態で内法寸法0.95m×0.2mの矩形となる片引き鋼製軽量扉の枠及び扉の展開図を作成した。さらに切断加工、プレス加工、曲げ加工、扉組み立て加工、枠組立加工、錆止塗装・仕上げ塗装、仮組検査、外観及び寸法検査を経て製品化し、また底面が横556mm、縦956mm高さ70mmの上下方向を自在に変動できる天板を持った踏板機構部を製作し、製品の梱包、金具を出荷表と共に発送した。
【0115】
施工現場において、図8の全体構成図の通りの取り付け施工に先立ち、壁開口部寸法及び床掘り込み寸法の確認を行なった。壁開口部及び床掘り込み部に構成軽量建具及び踏板機構部を設置し、レーザーを使用し垂直方向及び水平方向のレベルを正確にとり、固定した。
【0116】
上記鋼製軽量建具の召し合せ方立と上記踏板機構部の取り合い部に、上記踏板機構部の踏力を伝達する連結金具を召し合せ方立からの離れ、踏板機構部底面からの高さを±0.5mmの範囲となる精度で設置固定した。前記連結金具に並列して、踏板天板を元の位置に復元させる錘をつけたてこ形の復帰金物を設置固定した。
【0117】
踏板天板の20mm〜30mmの上下運動を確認後、前記鋼製軽量扉を支持レールへ吊り込みを行い、前記鋼製軽量扉の下補強部に取り付けしている開扉用レールに対して押し下げピンを高さ調整しながら、前記連結金具の先端部に固定した。踏力の伝達状況、前記扉の開口寸法及び開閉スピードを調整し、所定の性能が出ていることを確認して作業を終了した。複数の同時利用者による衝撃力に対して、扉の跳ね上がりも無く、問題のないレスポンスで作動し、故障も確認されなかった。
【0118】
本発明は、上記実施例のように、開扉用レールに対して鉛直下方向に踏み力が作用するように構成されているため、踏板の踏み込み作動に敏速に応答して引戸を素早く開方向へ移動させることができる。また、引戸の閉方向の移動は、巻取装置を使用し、さらに押し下げ器によって加速的に移動付勢力が付加されているため、素早く開閉作動が可能である。また広い開放間口を確保することが容易にできる。
【0119】
一端が踏板機構部と連結し、別の一端に摺動部材であるランナーローラを取り付けている押し下げ作動棒付連結金具は、容易に付勢力の設定変更できる為、子供などの低加重であっても、自動開閉可能となり、又、施錠の時も手動で無理なく閉方向に移動することができる。かかる顕著な効果を有する開閉引戸装置は、人の踏板台での踏み込み時の体荷重によって開放移動させる方式であるため、電動モータ用の電力を確保し難いところ、例えば、温室等の屋外簡易建物などにも容易に施工できる効果を有する。重量を持つ扉における扉自動開閉装置は、エネルギー効率が良いため、体重の軽い使用者でも動作させることが出来る。
【0120】
また、鋼製軽量扉などは、はかま部寸法を自由に取れるので、開扉用レールの傾斜角及びレール幅を適宜に設定し製作でき、さらにランナーローラの径を50mmから60mmにでき、容易に付勢力の設定変更できる為、重い扉でもレスポンスが良く、故障のない信頼性のあるものとすることができる。
【符号の説明】
【0121】
1…扉、2…摺動支持レール、3…開扉用レール、4,4´…摺動部材、5…踏板、6…連結部材、11…吊下フック、12…ローラ、15…定荷重バネ(巻取装置)、40…復帰用摺動部材、50…踏板側ローラ、60…連結棒、61…第1連結体、62…第2連結体、63…接地ローラ、70…ギア部、70a…第1ギア、70b…第2ギア、71,81…第1アーム、72,82…第2アーム、41,71c,81c…重錘、83…カム機構、83a,86…第1カム、83b,87…第2カム。
【要約】
【課題】引戸の水平な開閉を軽加重で動作せしめる引戸の開閉装置を提供する。停電時、災害時でも常に利用者の踏込力を利用して、電動式でない金属製自動開閉扉の登場が待ち望まれていた。
【解決手段】
荷重式扉開閉装置は、扉1を扉を開閉するように摺動自在に支持する摺動支持レール2と、扉1に設けられ扉1の開方向に上昇傾斜した開扉用レール3と、開扉用レール3を摺動する摺動部材4と、踏板5と、摺動部材4と踏板5とを連結する連結部材6とを備える。扉1は、閉じた状態で摺動部材4が開扉用レール3の上端側に配置され、開動作時に踏板5に作用した踏力により摺動部材4が開扉用レール3に対して押し下げられ扉1が開方向に変位する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8