(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図31に示した従来の積層半導体デバイス(積層モジュール)の実装構造では、チャネル175は、あたかも「多数の柱が林立する回廊」のように形成されており、しかも、その高さは数百マイクロメータ(μm)以下であるから、チャネル175内に流体(冷媒)を流し込むには、大きな圧力が必要であると思われる。
【0011】
また、流体の流れる方向は、
図31の符号111の下側にある下向き矢印と右向き矢印で示されているが、その下向き矢印に沿ってチップスタック110の周囲に流入した流体は、その右向き矢印に沿ってチップ110a、110b、110cの間にあるチャネル175内に流入するだけではなく、チップ110a、110b、110cの周囲においても流動する。上述したように、チャネル175の高さが低いことと、チップ110a、110b、110cの周囲には広い空間があることを考えると、チャネル175内のみに流体を流し込むことは困難であり、多くの流体はチップ110a、110b、110cの周囲に沿って流れてしまうと思われる。しかも、チップ110a、110b、110cに形成されたチャネル175の形状(流体が流れる方向に沿った形状)は、チップ110a、110b、110c毎に異なるので、各層に形成されたチャネル175の全てにおいて均一な流体の流れを実現することも、困難であろう。
【0012】
このような理由から、
図31の従来の実装構造では、チップ110a、110b、110cの十分な冷却(あるいはチップ110a、110b、110cからの放熱)を実現することは、必ずしも容易ではない。
【0013】
さらに、チップスタック110の下位層に配置されたチップ110cでの電力消費が、チップ110cの温度上昇だけでなく、それより上位層に配置されたチップ110a、110bの温度上昇も引き起こすため、チップスタック110自体を冷却できるだけでなく、下位層のチップ110cでの発熱が上位層のチップ110a、110bに伝達し難いことが望ましい。しかし、各層に形成されたチャネル175への均一な流体の流れが実現困難なのであるから、チップ110a、110b、110c間の熱伝導を抑制することは困難である。
【0014】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、消費電力の大きい半導体デバイスを積層した構成を持つ場合であっても、それら半導体デバイスの発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる積層モジュールと、それに用いるインターポーザを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、積層された半導体デバイス間の熱伝導を抑制してその温度上昇を抑制することができる積層モジュールと、それに用いるインターポーザを提供することにある。
【0016】
ここに明記しない本発明の他の目的は、以下の説明及び添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1) 本発明の積層モジュールは、
インターポーザと、
前記インターポーザの片側に配置された1個以上の第1半導体デバイスと、
前記インターポーザの前記第1半導体デバイスとは反対側に配置された1個以上の第2半導体デバイスとを備え、
前記インターポーザは、流体が流れるチャネルを持つ本体と、その本体の前記チャネルを画定する内壁の所定領域に配置された熱放射層及び熱反射層の少なくとも一方とを有して
おり、
前記熱放射層は、前記第1半導体デバイスの側に配置されて、前記第1半導体デバイスで発生した熱を前記チャネルの内部に向けて放射する機能を持ち、
前記熱反射層は、前記第2半導体デバイスの側に配置されて、前記第2半導体デバイスで発生した熱を前記第2半導体デバイスに向けて反射する機能を持ち、
前記熱放射層及び前記熱反射層の少なくとも一方によって、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの間における熱的影響を低減するようにしたことを特徴とするものである。
【0018】
本発明の積層モジュールでは、上述したように、前記インターポーザが、前記内壁の所定領域に配置された前記熱放射層及び前記熱反射層の少なくとも一方を有している。そして、前記熱放射層は、前記第1半導体デバイスの側(例えば下側)に配置されて、前記第1半導体デバイスで発生した熱を前記チャネルの内部に向けて放射する機能を持っているため、前記第1半導体デバイスで発生する熱の多くは、当該積層モジュールの内部を通って前記熱放射層まで伝導した後、前記熱放射層によって前記チャネルの内部に向けて照射され、その結果、前記チャネルを流れる前記流体に吸収される。このため、前記流体に吸収された熱を効果的に前記チャネルの外部に放出することができるので、前記熱が前記第2半導体デバイスに到達するのを抑制することができる。
また、前記熱反射層は、前記第2半導体デバイスの側(例えば上側)に配置されて、前記第2半導体デバイスで発生した熱を前記第2半導体デバイスに向けて反射する機能を持っているため、前記第2半導体デバイスで発生する熱の多くは、当該積層モジュールの内部を通って前記熱反射層まで伝導した後、前記熱反射層によって前記第2半導体デバイスに向かって反射され、したがって、前記第1半導体デバイスに到達するのを抑制することができます。反射しきれずに前記熱反射層を透過した熱は、前記チャネルを流れる前記流体に吸収されて外部に放出される。
本発明の積層モジュールでは、このようにして、前記熱放射層及び前記熱反射層の少なくとも一方によって、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの間における熱的影響を低減するようにしている。
【0019】
従って、前記第1半導体デバイスから発する前記熱が前記第2半導体デバイスに伝達されるのを、防止または低減することができる。その結果、消費電力の大きい半導体デバイスを積層した構成を持つ積層モジュールであっても、それら半導体デバイスの発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる。
【0020】
また、前記チャネルを画定する内壁の所定領域に前記熱放射層もしくは前記熱反射層またはそれらの両方を有する前記インターポーザを、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの間に介在させているから、前記積層モジュールを構成する半導体デバイス間での熱伝導を抑制して、当該積層モジュールの温度上昇を抑制することができる。
【0021】
(2) 本発明の積層モジュールの好ましい例では、
前記第1半導体デバイス(下位)の発熱量が前記第2半導体デバイス(上位)の発熱量よりも相対的に大きくなるようにされる。
【0022】
(3) 本発明の積層モジュールの他の好ましい例では、
前記インターポーザの前記内壁が、前記第1半導体デバイスの側に配置された第1壁と、前記第2半導体デバイスの側に配置された第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を接合する側壁を有し、前記側壁の内部に形成された電気的接続部を介して、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスとが電気的に接続される。
【0023】
(4) 本発明の積層モジュールのさらに他の好ましい例では、
前記インターポーザの前記内壁が、前記第1半導体デバイスの側に配置された第1壁と、前記第2半導体デバイスの側に配置された第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を接合する側壁を有し、前記第1壁及び前記第2壁の少なくとも一方に電子回路または電気配線層が形成される。
さらに、前記インターポーザの前記内壁の少なくとも一部が、前記第1半導体デバイスの対向面によって形成され、前記熱放射層が前記対向面に配置されるのが好ましい。
前記インターポーザの前記内壁の少なくとも一部が、前記第2半導体デバイスの対向面によって形成され、前記熱反射層が前記対向面に配置されるのが好ましい。
前記チャネルが、相対的に断面積の小さい第1領域と、相対的に断面積の大きい第2領域と、前記第1領域と前記第2領域を連結する遷移領域とを有し、前記流体を前記第1領域から前記第2領域に向かって流した時に、前記遷移領域において前記流体が膨張してその温度が低下するようになっているのが好ましい。
【0024】
(5) 本発明のインターポーザは、
1個以上の第1半導体デバイスと1個以上の第2半導体デバイスとの間に配置して使用されるインターポーザであって、
流体が流れるチャネルを持つ本体と、
前記本体の前記チャネルを画定する内壁の所定領域に配置された熱放射層及び熱反射層の少なくとも一方とを備え
、
前記熱放射層は、前記第1半導体デバイスの側に配置されて、前記第1半導体デバイスで発生した熱を前記チャネルの内部に向けて放射する機能を持ち、
前記熱反射層は、前記第2半導体デバイスの側に配置されて、前記第2半導体デバイスで発生した熱を前記第2半導体デバイスに向けて反射する機能を持ち、
前記熱放射層及び前記熱反射層の少なくとも一方によって、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの間における熱的影響を低減するようにしたことを特徴とするものである。
【0025】
本発明のインターポーザでは、前記熱放射層が、前記第1半導体デバイスの側(例えば下側)に配置されて、前記第1半導体デバイスで発生した熱を前記チャネルの内部に向けて放射する機能を持っているため、前記第1半導体デバイスで発生する熱の多くは、当該積層モジュールの内部を通って前記熱放射層まで伝導した後、前記熱放射層によって前記チャネルの内部に向けて照射され、その結果、前記チャネルを流れる前記流体に吸収される。このため、前記流体に吸収された熱を効果的に前記チャネルの外部に放出することができるので、前記熱が前記第2半導体デバイスに到達するのを抑制することができる。
また、前記熱反射層が、前記第2半導体デバイスの側(例えば上側)に配置されて、前記第2半導体デバイスで発生した熱を前記第2半導体デバイスに向けて反射する機能を持っているため、前記第2半導体デバイスで発生する熱の多くは、当該積層モジュールの内部を通って前記熱反射層まで伝導した後、前記熱反射層によって前記第2半導体デバイスに向かって反射され、したがって、前記第1半導体デバイスに到達するのを抑制することができる。反射しきれずに前記熱反射層を透過した熱は、前記チャネルを流れる前記流体に吸収されて外部に放出される。
本発明のインターポーザでは、このようにして、前記熱放射層及び前記熱反射層の少なくとも一方によって、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスの間における熱的影響を低減するようにしている。
【0026】
従って、前記
第1(または第2)半導体デバイスから発する前記熱が前記インターポーザの反対側
に配置された前記第2(または第1)半導体デバイスに伝達されるのを、防止または低減することができる。その結果、消費電力の大きい半導体デバイスを積層した構成を持つ積層モジュールであっても、それら半導体デバイスの発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる。
【0027】
また、前記チャネルを画定する内壁の所定領域に前記熱放射層もしくは前記熱反射層またはそれらの両方を有しているから、当該インターポーザを介在させることで、前記積層モジュールを構成する半導体デバイス間での熱伝導を抑制して、当該積層モジュールの温度上昇を抑制することができる。
【0028】
(6) 本発明のインターポーザの好ましい例では、
前記内壁が、互いに対向して配置された第1壁及び第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を互いに接合する側壁とを有し、前記側壁の内部に、前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスを電気的に接続するための電気的接続部が形成される。
さらに、前記内壁が、互いに対向して配置された第1壁及び第2壁と、前記第1壁と前記第2壁を互いに接合する側壁とを有し、前記第1壁及び前記第2壁の少なくとも一方に電子回路または電気配線層が形成されるのが好ましい。
前記チャネルが、相対的に断面積の小さい第1領域と、相対的に断面積の大きい第2領域と、前記第1領域と前記第2領域の間の遷移領域とを有し、前記流体を前記第1領域から前記第2領域に向かって流した時に、前記遷移領域において前記流体の温度が低下するようになっているのが好ましい。
【0029】
(7) 本明細書では、関連する用語を下記のように定義する。
【0030】
・基板: 前記積層モジュールを支持できる剛性を持つ基板であれば、その構成や材質は任意である。
【0031】
・半導体デバイス: 以下の(i)と(ii)を含む半導体デバイス全般を指す。
【0032】
(i) ウェーハプロセスが完了し、半導体ウェーハから切り出された半導体チップ(ベアチップ)。当該半導体チップには、少なくとも1個のトランジスタ、ダイオードなどの半導体素子が配置された、いわゆる集積回路のチップを含む。
【0033】
(ii) パッケージングされた上記の半導体チップ。ボールグリッドアレイ(BGA)、チップサイズパッケージ(CSP)などと称される、種々のパッケージでパッケージングされたものが含まれる。
【0034】
・電子部品: 受動素子とも称されている部品で、抵抗、キャパシタ(コンデンサ)、インダクタ(コイル)などがある。単一の素子(個別部品)を複数個組み合わせた構成(例えば、モジュール抵抗)もある。また、特定の機能を有するセンサやアクチュエータも、電子部品に含まれる。さらには、信号処理回路、駆動回路などが集積化された前記センサや前記アクチュエータも、電子部品に含まれる。
【0035】
・積層モジュール: 2個以上の前記半導体デバイスが積層された構造を持つ。この積層構造を構成する各層の間の相互接続の手法には、ワイヤボンディング、貫通電極(TSV)などがあるが、その手法は問わない。例えば、インターポーザと、その片側に配置された1個以上の第1半導体デバイスと、前記インターポーザの反対側に配置された1個以上の第2半導体デバイスから構成されている場合、「3段構成の積層モジュール」となる。より多くの半導体デバイスが積層されている場合は、「多段構成の積層モジュール」となる。
【0036】
・実装構造: 前記基板と、その上に搭載された前記積層モジュールとを含む構造である。が、前記基板上に搭載されたカバーなどを含んでもよい。
【0037】
・インターポーザ: 前記第1半導体デバイスと前記第2半導体デバイスとの間に配置されるものであり、その一端から他端まで貫通(延在)するチャネルを有している。インターポーザの表面及び裏面には、それぞれ、前記半導体デバイスに設けられた電気接続点(パッドとも称される)に接続される電気接続点が形成されることがある。さらに、インターポーザの表裏面には、「再配線層」と称される配線パターンが設けられることもある。なお、前記した積層モジュールには、この積層モジュールを構成する半導体デバイスの間に、「上下に配置された半導体デバイス間に電気導電路を形成する」ための「配線基板」が挿入されることがあり、この「配線基板」も「インターポーザ」と称することがある。しかしながら、本明細書では、この「配線基板」は「インターポーザ」に含まれない。
【0038】
・流体: 気体あるいは液体であり、熱伝導で熱を吸収することにより、放熱あるいは排熱効果を有するものである。このような機能を有する流体は、「冷媒」とも称される。具体例としては、(i)フロン類・ノンフロン類(多用されており、種類が多い)、(ii)有機化合物であるブタン、イソブタンなど、(iii)無機化合物である水素、ヘリウム、アンモニア、水、二酸化炭素などがある。
【0039】
(8) 前記積層モジュールを搭載する基板と、前記積層モジュールを包含するように前記基板上に密着して固定せしめられて、前記基板と共に内部空間を形成するカバーとを、さらに設けてもよい。この場合、前記カバーと前記基板との間に配置された、前記内部空間を仕切るための堰(仕切り部材)を備えるのが好ましい。前記カバーの形状は、前記積層モジュールの外観形状に依存する。略直方体(略立方体を含む)であることが好ましいが、これに限定されるものではない。その直方体の頂点と稜(面と面とが交わる線分)は、滑らかであっても構わない。
【0040】
前記カバーに形成されたインレットとアウトレットの位置については、前記インレットから前記内部空間に流入した流体が、前記インターポーザのチャネルを通過し、前記アウトレットから流出する配置であることが必要である。すなわち、前記インレットは前記堰の上流側に配置され、前記アウトレットは前記堰の下流側に配置される、換言すれば、前記インレットは前記上流側空間に連通し、前記アウトレットは前記下流側空間に連通することが必要である。この位置関係を満たす限りにおいては、前記インレットと前記アウトレットの位置についての制限はない。例えば、(a)前記インレットを前記カバーの指定された面に配置し、前記カバーのその面とは反対側の面に前記アウトレットを配置してもよいし、(b)前記インレットと前記アウトレットの双方を前記カバーの同じ面(例えば上面)に配置してもよいし、(c)前記インレットを前記カバーの指定された面に配置し、前記アウトレットを前記カバーの上面に配置してもよい。
【0041】
前記カバーの材質としては、金属、樹脂などが使用できる。冷却(放熱)効果の増大を望むならば、金属材料で前記カバーを形成することが好ましいが、これには限定されない。樹脂材料で前記カバーを形成する場合は、冷却(放熱)効果の増大のために、前記カバーの表側もしくは裏側、あるいは、表側および裏側の面に、金属層を設けてもよい。
【0042】
前記カバーは、一体構造として形成して、前記基板の表面に直接、密着して固定してもよい。前記カバーを前記基板の表面に密着・固定させるためには、接着剤(固化時に発生するガスが前記半導体デバイスの特性に悪影響を与えないことが好ましい)を用いてもよい。また、前記カバーが金属材料である場合には、前記基板の表面に設けられた金属層との間で金属・金属接合(例えば、溶接、半田付けなど)により密着・固定してもよい。
【0043】
前記カバーは、複数の構成部品から構成し、これら構造部品を合体させる(組み立てる)ことで前記カバーとなるようにしてもよい。例えば、前記インレットと前記アウトレットが配置された「蓋」(平板状である)と、前記カバーの側面部を形成する「枠」とを組み合わせて、前記カバーを構成してもよい。この構成例では、前記枠の下面を前記基板の表面に密着させ、かつ、前記枠の上面を前記蓋の下面に密着させる。前記枠の材料は、前記カバーと同一にしなくてもよい。例えば、前記蓋は金属材とし、前記枠は樹脂あるいはガラスとするといった組合せでもよい。
【0044】
前記蓋と前記枠の密着・接合、および、前記枠と前記基板の表面との密着・固定には、接着剤(固化時に発生するガスが前記半導体デバイスの特性に悪影響を与えないことが好ましい)を用いてもよい。前記蓋と前記枠とが共に金属材料である場合には、金属・金属接合(例えば、溶接、半田付け)をさせてもよい。前記蓋が金属(例えば、アルミニウム)、前記枠がガラスの場合には、静電接合(金属とガラスの接着法)を用いてもよい。前記枠が金属材料であれば、前記基板の表面に設けられた金属層との間で、金属・金属接合(例えば、溶接、半田付け)させてもよい。前記枠がガラス、前記インターポーザの表面が金属(あるいは逆の組合せ)の場合には、静電接合を用いてもよい。
【0045】
(9) 前記堰は、前記インレットから前記内部空間に流れ込んだ前記流体が、前記チャネルへ流入することなく、前記積層モジュールの側面(外周)を通って前記アウトレットへ導かれることを阻止するために設けられるが、これは、前記インレットから流入した前記流体が、前記チャネルを通過することなく直接、前記アウトレットから流出すると、所望の冷却効果が得られないからである。このような機能を持つ堰は、(a)前記カバーの前記堰が配置されるべき位置に予め隙間を設け、(b)前記カバーを前記基板に密着して固定し、(c)前記隙間から前記堰となる材料(合成樹脂など)を注入する、という手順により形成することができる。ここで使用する合成樹脂は、熱硬化性であって、前記積層モジュールおよび前記カバーとの密着性が高く、かつ、その熱膨張係数が前記積層モジュールおよび前記カバーの熱膨張係数に近い(好ましくは一致する))ことが好ましい。しかし、これに限定されるわけではない。
【0046】
前記堰の存在により、前記インレットから前記内部空間に流れ込んだ前記流体の一部は、前記上流側空間(前記積層モジュールと前記カバーと前記堰との間にできる、前記インレット側の空間)に入り込み、そこで淀む傾向がある。つまり、前記上流側空間において、前記流体がほとんど流動しない状態になりやすい。このような淀みが発生すると、前記流体による放熱効果が低下する。この放熱効果の低下を防止するには、前記流体の全量が前記インレットから前記アウトレットに常に流動するように構成することが好ましい。そのためには、前記堰を、前記積層モジュールの前記インレット側の端部の近傍まで延在させ、前記上流側空間の体積を小さくする必要があるから、例えば、前記堰の幅(前記流体の流動方向に沿った長さ)を大きくすればよい。このような幅広の堰は、前記堰を形成する合成樹脂などを注入する前記隙間を大きくすることにより、容易に実現される。
【0047】
上述のように前記堰の幅を広げて前記上流側空間の体積を小さくした場合、前記「隙間」が大きくなる。前記堰を形成する際に、前記カバーに設けられた前記隙間から前記樹脂を注入するが、空圧などによりシリンジから前記樹脂を押し出すような製造プロセスを利用する場合には、前記隙間内に露出した前記積層モジュールの外表面にも前記樹脂が塗布される。しかし、露出した前記積層モジュールの外表面の全面にわたって前記樹脂が塗布されなくてもよい。すなわち、前記隙間の上流側端部と下流側端部だけに前記樹脂が塗布され、前記隙間の中央部分(前記上流側端部と前記下流側端部の間の部分)には前記樹脂が塗布されないようにしてもよい。
【0048】
このように前記隙間の上流側端部と下流側端部だけに前記樹脂が塗布される場合は、前記シリンジからの前記樹脂の流れが細くなるようにする必要があるため、前記シリンジとして小口径のものが使用される。この場合、前記樹脂の塗布後でも、前記積層モジュールの外表面に露出した部分が残存するので、この露出部分から放熱が行われる。この露出部分からの放熱は、前記カバーの隙間から外部に向かって直接、熱が放射されるものであり、前記流体を利用した放熱ではない。
【0049】
(10) 前記堰については、上述した構成をさらに発展させた構成も考えられる。例えば、前記積層モジュールの外表面の露出部分からの放熱を、熱放射によって行うのではなく、第2流体(前記したチャネルを通過する冷却用の前記流体とは別の流体)を利用する構成とすることができる。この構成では、外表面に前記露出部分(これは前記上流側端部と前記下流側端部の間にある)を持つ前記積層モジュールと前記カバーを覆うように、第2カバーを前記基板上に密着して固定することで、前記カバーと前記第2カバーとの間に、前記基板と共に第2内部空間を形成する。そして、その第2内部空間に前記第2流体を流し込むようにする。
【0050】
この構成では、前記内部空間に供給される前記流体には、圧力を加えて、断面積が小さい前記チャネルへの前記流体の流入が円滑に行われるようにすることが望ましい。他方、前記第2内部空間に供給される前記第2流体には、前記流体のような加圧は必要ない。開口断面積が小さい前記チャネルに対して前記流体を流入させる必要がないからである。このため、前記第2カバーには、前記第2流体が流入・流出する(つまり、インレット兼アウトレットとして機能する)単一のポートを設け、ノート型パソコンに搭載されているようなヒートポンプ(圧縮機を使用していないもの)と類似した構成にすることも可能である。このような二重カバー構成を採用すれば、前記積層モジュールで発生した熱の放熱効果がいっそう高まる、という利点がある。
【0051】
(11) 前記インターポーザは、前記チャネルの内壁の指定領域に配置された熱放射層及び熱反射層の少なくとも一方を備えていればよい。例えば、前記インターポーザの前記チャネルの内壁の第1指定領域に熱放射層を配置し、その内壁の第2指定領域に熱反射層を配置してもよい。この場合、例えば、(a)少なくとも2個の半導体デバイスと、互いに上下に隣接する前記半導体デバイスの間に挟み込まれたインターポーザから構成される積層モジュールと、(b)前記積層モジュールが搭載された基板とを含み、(c)前記インターポーザの内部に流体が流れるチャネルを形成し、(d)前記チャネルの内壁の第1指定領域に熱放射層を配置した実装構造とする。あるいは、(a)少なくとも2個の半導体デバイスと、互いに上下に隣接する前記半導体デバイスの間に挟み込まれたインターポーザから構成される積層モジュールと、(b)前記積層モジュールが搭載された基板とを含み、(c)前記インターポーザの内部に流体が流れるチャネルを形成し、(d)前記チャネルの内壁の第2指定領域に熱反射層を配置した実装構造とする。
【0052】
前記熱反射層と前記熱放射層とは、前記内壁の全域にわたって配置してもよいし、一部に配置してもよい。前記内壁の指定された領域に限定して、前記熱反射層と前記熱放射層をそれぞれ配置してもよい。例えば、前記内壁の第1指定領域を前記チャネルの「天井」とし、この天井に前記熱反射層を配置し、前記内壁の第2指定領域を前記チャネルの「床」とし、この床に前記熱放射層を配置し、さらに、前記チャネルの「側壁」には前記熱反射層および前記熱放射層を配置しない構成としてもよい。また、前記「天井」の周辺部(「側壁」に近い領域)には前記熱反射層を配置しない構成、あるいは、前記「床」の周辺部(「側壁」に近い領域)には前記熱放射層を配置しない構成としてもよい。
【0053】
前記チャネルを構成する「天井」と「床」と「側壁」は、同一材料で構成してもよい。例えば、これらを全て単結晶シリコンで形成した場合、周知の集積回路作成技術を利用して、前記インターポーザの表面と裏面、あるいは、前記「天井」や前記「床」に電子回路あるいは電気配線層を容易に形成することができる。
【0054】
前記チャネルを構成する「天井」と「床」と「側壁」は、異なる材料で構成してもよい。例えば、「天井」と「床」を単結晶シリコンで、「側壁」をガラスで構成してもよい。この構成例では、単結晶シリコンとガラスとを静電接合で気密良く(流体が漏れないように)かつ強固に密着させることが可能である。また、「天井」と「床」を樹脂材料(例えば、プリント基板の素材)で、「側壁」を接着性の高い樹脂材料(例えば、フォトレジスト材料である「SU−8」)で構成してもよい。なお、「天井」と「床」と「側壁」は、熱伝導率が大きい材料で形成することが好ましいが、必ずしもそうしなくてもよい。
【0055】
(12) 前記インターポーザの表面と裏面(前記第1及び第2半導体デバイスにそれぞれ対向する面)には、電子回路あるいは電気配線層を配置してもよい。前記チャネルの内壁(「天井」と「床」と「側壁」)にも、電子回路あるいは電気配線層を配置してもよい。この場合、前記熱反射層および前記熱放射層が、前記電子回路などの動作を阻害(例えば電子回路の短絡)しないために、前記熱反射層と前記電子回路などの間、および、前記熱放射層と前記電子回路などの間に、絶縁層を配置することが必要である。
【0056】
前記インターポーザには、貫通電極を形成してもよい。貫通電極を形成することにより、前記インターポーザの上方(前記基板とは反対側)に配置された前記第2半導体デバイスからの電気信号を、前記インターポーザの下方(前記基板の側)に配置された前記第1半導体デバイス、前記基板などへ伝達することが可能となる。
【0057】
前記チャネルには「天井」がなくても構わない。この場合、前記インターポーザの表面(前記基板とは反対側の面)側に配置された前記第2半導体デバイスの対向面が「天井」となる。また、前記チャネルには「床」がなくても構わない。この場合、前記インターポーザの裏面(前記基板側の面)に配置された前記第1半導体デバイスの対向面が「床」となる。これらの構成例では、前記第半導体デバイスの表面あるいは裏面で、前記インターポーザの「天井」または「床」に蓋をすることになる。
【0058】
(13) 前記チャネルの形状については多くの変形がある。
【0059】
前記チャネルの断面形状(前記流体の流れる方向に対して垂直な面での断面形状)は、略正方形を含む略長方形(例えば、幅方向が大きく、高さ方向が小さい長方形)が好ましい。前記チャネルの前記基板に平行な面内での形状は、略正方形を含む略長方形が好ましいが、これには限定されない。例えば、前記チャネルへ流体が流入する入口(上流側)の近傍領域と、流出する出口(下流側)の近傍領域の双方、あるいは、入口の近傍領域と出口の近傍領域のいずれか一方が狭まっている形状とすることができる。すなわち、「前記チャネルの少なくとも一方の端部が括れており、その中央部が太くなっている」形状である。この狭まっている領域は、前記チャネルの前記側壁の少なくとも一方を内側に曲折させることで形成されるが、この曲折箇所に貫通電極を配置してもよい。前記入口と前記出口の配置される位置は、前記チャネルの幅方向の中央とするのが好ましいが、これには限定されない。例えば、前記入口が前記チャネルの幅方向で左寄り、前記出口が前記チャネルの幅方向で右寄りといった配置にしてもよい。
【0060】
(14) 前記インターポーザを挟み込む前記第1及び第2の半導体デバイスは、それぞれ2個以上であってもよい。例えば、前記インターポーザの表面または裏面において、同一平面内に複数個の半導体デバイスを配置してもよい。
【0061】
前記インターポーザを2個以上用いて、前記積層モジュールの構成を多段の半導体デバイスを含む構成としてもよい。例えば、前記第1半導体デバイスの表面に前記インターポーザを搭載し、前記インターポーザの表面に前記第2半導体デバイスを搭載し、前記第2半導体デバイスの表面に追加のインターポーザを搭載し、前記追加のインターポーザの表面に第3半導体デバイスを搭載するような構成としてもよい。この場合、前記インターポーザと前記追加のインターポーザの各々に前記チャネルを形成してもよいし、前記インターポーザまたは前記追加のインターポーザにのみ前記チャネルを形成してもよい。
【0062】
(15) 前記インターポーザは、前記チャネルの指定された第1領域での断面積を、同チャネルの指定された第2領域での断面積よりも小さくすることもできる。この場合、断面積が相対的に小さい前記第1領域は、前記上流側に位置し、断面積が相対的に大きい前記第2領域は、前記下流側に位置する。別の表現をするならば、前記第1領域は、前記チャネルの前記入口に近い位置にあり、前記第2領域は前記チャネルの前記出口に近い位置にある。さらに詳しく言えば、前記第1領域は、前記第2領域よりも上流側(前記チャネルの入口に近い側)に位置する。前記断面積とは、前記流体の流れる方向に垂直な断面での前記チャネルの面積である。
【0063】
前記チャネルの前記第1領域は、前記チャネルへ前記流体が流れ込む領域であり、前記第2領域は、前記チャネルから前記流体が流れ出す領域である。この構成では、前記流体は、まず断面積が小さい前記第1領域へ流れ込み、前記チャネルから流れ出る前に、断面積が大きい前記第2領域へ導かれる。その結果、前記流体に「断熱膨張」が起こり、吸熱作用が発生する。この吸熱作用により、前記インターポーザの両側に配置された前記第1及び第2の半導体デバイスで発生した熱は、前記流体に吸収されるため、前記第1及び第2の半導体デバイスの動作温度を低下させることができる。前記流体に吸収された熱は、前記流体によって外部に放出される。
【0064】
前記チャネルの高さ(「天井」と「床」の間の距離)は、一定であることが、製造技術上好ましいが、これに限定されるわけではない。例えば、前記流体が前記チャネルへ流れ込む前記第1領域では、前記チャネルの高さが相対的に小さく、前記流体が前記チャネルから流れ出す前記第2領域では、前記チャネルの高さが相対的に大きくてもよい。前記吸熱作用を大きくするためには、前記第1領域での断面積と、前記第2領域での断面積の比を大きくすることが好ましい。この断面積の比を大きくするためには、前記チャネルの幅(前記チャネルの「両側壁」間の距離)の比と、前記高さの比の両者を、共に大きくすることが好ましい。
【0065】
前記チャネルには「天井」がなくてもよい。「天井」のない構成では、前記インターポーザの上側(前記基板とは反対側)に配置される前記第2半導体デバイスの下位表面が「天井」の役割を果たす。また、前記チャネルには「床」がなくてもよい。「床」のない構成では、前記インターポーザの下側(前記基板の側)に配置された前記第1半導体デバイスの上位表面が「床」の役割を果たす。これらの構成では、前記第2半導体デバイスの上位表面あるいは前記第1半導体デバイスの下位表面が、前記チャネルの開口箇所に蓋をすることになる。
【0066】
(16) 前記流体に「断熱膨張」を引き起こす前記チャネルの平面形状については、多くの選択肢がある。例えば、(a)断面積が一定でかつ相対的に断面積が小さい領域→断面積が増大する領域→断面積が一定でかつ相対的に断面積が大きい領域、(b)断面積が一定の領域がなく、流体が流れる方向に断面積が順次(連続的に)大きくなる、などである。また、相対的に断面積が小さい領域から相対的に断面積が大きい領域へ変化する場合、この変化が急峻であることが好ましいが、この限りではない。さらに、前記流体が流れ込む位置と流れ出す位置についても、特に制限されない。
【0067】
(17) 前記チャネルの個数は、1個以上であればよい。例えば、前記インターポーザの内部に2個の前記チャネルが配置され、それぞれの断面積が変化する領域が異なる位置に配置されていてもよい。より具体的に一例を記載すると、第1の前記チャネルでの断面積が変化する領域が、前記インターポーザの左下(インターポーザを上部から見て)に配置され、第2の前記チャネルでの断面積が変化する領域が、前記インターポーザの右上に配置される。このような構成では、前記第1または第2の半導体デバイスの消費電力が大きい領域(ホットスポット)に、前記の断面積が変化する領域を近接させることになる。
【0068】
前記チャネルを2個以上持つ上記構成の場合、それらチャネルの入口を結合して1個とすることも可能である。例えば、前記複数チャネルへの前記流体の流入は1カ所とされ、前記インターポーザ内部において前記した2個以上のチャネルのそれぞれに前記流体が分岐される構成とすることができる。
【0069】
前記チャネルの前記天井及び前記床には、それぞれ、前記熱反射層と前記熱放射層を配置してもよい。また、前記チャネルの前記天井あるいは前記床に、それぞれ、前記熱反射層あるいは前記熱放射層を配置してもよい。これらの熱反射層と熱放射層は、それぞれ、前記天井と前記床の指定された領域のみに限定して配置されていてもよいし、前記天井の全面と前記床の全面にそれぞれ配置されていてもよい。さらには、前記チャネルの前記側壁にも、選択的に、前記熱反射層あるいは前記熱放射層が配置されていてもよい。
【0070】
(18) 前記積層モジュールからの信号取り出し方法(電気配線)については、なんら限定されない。例えば、ボンディングワイヤを用いる構成(ボンディングモジュール)、あるいは、貫通電極を用いる構成(貫通電極モジュール)がある。貫通電極を用いる構成では、前記インターポーザに形成された貫通電極により、前記インターポーザの両側(上下)に配置された前記第1及び第2の半導体デバイスが相互に電気接続されることになる。さらに、前記インターポーザの表面あるいは裏面、あるいは、表面及び裏面の双方に、電子回路あるいは電気配線層を配置して、前記電気接続を容易ならしめてもよい。
【0071】
(19) 前記積層モジュールにおいて、前記インターポーザを挟み込む前記第1及び第2の半導体デバイスは、それぞれ2個以上であってもよい。例えば、前記インターポーザの表面または裏面において、同一平面内に複数個の半導体デバイスを配置してもよい。前記インターポーザを2個以上用いて、多段の半導体デバイスから成る積層モジュールを形成しても構わない。例えば、前記第1半導体デバイスの表面に前記インターポーザを搭載し、前記インターポーザの表面に前記第2半導体デバイスを搭載し、前記第2半導体デバイスの表面に追加のインターポーザを搭載し、その追加のインターポーザの表面に第3半導体デバイスを搭載する構成でもよい。この構成では、それぞれのインターポーザに前記チャネルを配置してもよいし、指定されたインターポーザにのみ前記チャネルを配置してもよい。
【0072】
前記積層モジュールは、通常、上述したボンディングモジュールあるいは貫通電極モジュールとされるが、より多くの半導体デバイスを積層した構成では、ボンディングを用いた電気接続と貫通電極を用いた電気接続とが混用されてもよい。かかる構成の一例は、ボンディングモジュールと貫通電極モジュールとが「混載」される構成である。
【発明の効果】
【0073】
本発明の積層モジュール及びインターポーザによれば、(a)消費電力の大きい半導体デバイスを積層した構成を持つ場合であっても、それら半導体デバイスの発熱に伴う温度上昇を抑えて安定に動作させることができる、(b)積層された半導体デバイス間の熱伝導を抑制して、当該積層モジュールの温度上昇を抑制することができる、といった効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る積層モジュール(積層半導体デバイス)とインターポーザの好適な実施形態を説明する。
【0076】
(積層モジュールの構成例)
図1Aと
図1Bは積層モジュールの構成を示している。
【0077】
図1Aは、樹脂、セラミック、半導体などで形成された基板10上に、第1半導体デバイス11aと第2半導体デバイス12aをこの順に積み重ね、それらの電気接続をボンディングワイヤ(金属細線)13をボンディングすることにより行った構成例である。以下、この構成を持つ積層モジュールを「ボンディングモジュール」と呼ぶ。ここでは、下位にある第1半導体デバイス11aと上位にある第2半導体デバイス12aは、いずれもチップ状とされているが、チップ状に限定されない。第1半導体デバイス11aは、基板10の表面(上面)に接着剤17などで固定されている。第2半導体デバイス12aは、第1半導体デバイス11aの上面に接着剤17などで固定されている。これらの半導体デバイス11a及び12aと基板10との間の電気接続は、ボンディングワイヤ13を用いて行われている。
【0078】
図1Bの構成例では、
図1Aのボンディングモジュールと同様に、基板10上に、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bをこの順に積み重ねてあるが、電気接続法はそれとは異なる。すなわち、第1半導体デバイス11bの表面と裏面は、当該デバイス11bをその厚さ方向に貫通する貫通電極14によって電気的に相互接続されており、基板10と第1半導体デバイス11bの間の電気接続(及び機械接続)と、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bの間の電気接続(及び機械接続)は、いずれも、導電性ボール15を用いて行われている。こうして、基板10と第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bは、相互に電気接続されていると共に、相互に機械接続(固定)されている。基板10と第1半導体デバイス11bの間と、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bの間の隙間には、それぞれ、アンダーフィラー16が充填されている。これは、ボール15を用いた基板10とデバイス11b及び12b間の機械接続強度を増大させるためである。以下、
図1Bの構成を持つ積層モジュールを「貫通電極モジュール」と呼ぶ。
【0079】
図1Aのボンディングモジュールと
図1Bの積層モジュールには、それぞれ得失がある。すなわち、ボンディングモジュールは、二つの半導体デバイス11a及び12aを基板10上に単に積層し、ボンディングワイヤ13でそれらの電気配線を行うだけであるから、新たな技術開発は不要である。しかし、第1半導体デバイス11bが第2半導体デバイス12aよりも大きいこと、高さが異なる位置からのワイヤボンディングが的確にできることなどの条件を満たす必要がある。この手法で、3個以上の半導体デバイスを積層して3層以上としたボンディングモジュールもある。なお、この構成例で冷却用流体(冷媒)を半導体デバイス11a及び12aの周囲に流す場合には、ボンディングワイヤ13が切断されないように、何らかの形でボンディングワイヤ13の保護を施すことが必要である。
【0080】
図1Bの積層モジュールでは、下位の第1半導体デバイス11bに貫通電極14を埋め込む技術、多数の導電性ボール15の搭載・溶融・再凝固を安定して行う製造技術、基板10と第1半導体デバイス11bの間と、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bの間の狭い隙間に、アンダーフィラー16を流し込む技術などが必要となる。この構成では、配線に関わる領域の全てが、半導体チップ11b及び12bの内部にあるか、アンダーフィラー16で覆われているので、上述の冷却用流体を周囲に流してもこの積層モジュールが破壊される可能性は少ない。
【0081】
(チャネル付きインターポーザを用いたボンディングモジュールの構成例)
図2Aは、
図1Aに示したボンディングモジュールにチャネル付きインターポーザ20を搭載した構成例(積層モジュール)を示す断面図であり、
図2Bは、そのA−A線に沿ったインターポーザ20の断面図である。
【0082】
図2Aに示すように、この構成例では、チャネル付きインターポーザ20は、基板10の表面(上面)に配置された第1半導体デバイス11aの表面(上面)に配置されており、そのインターポーザ20の表面(上面)に第2半導体デバイス12aが配置されている。換言すれば、インターポーザ20の上下にそれぞれ、第2半導体デバイス12aと第1半導体デバイス11aが配置されており、両デバイス12a及び11aがインターポーザ20を挟む構造となっている。
【0083】
第1半導体デバイス11aは、基板10の表面(上面)に接着剤17などで固定されている。インターポーザ20は、第1半導体デバイス11aの表面(上面)に接着剤17などで固定されている。第2半導体デバイス12aは、インターポーザ20の上面に接着剤17などで固定されている。接着剤17は、熱伝導率が大きい材料(例えば、金属フィラーを混練した樹脂)であることが好ましいが、これに限定されるわけではない。
【0084】
第1半導体デバイス11aは、基板10より小さい。インターポーザ20は、第1半導体デバイス11aより小さい。第2半導体デバイス12aは、インターポーザ20より小さい。これらの半導体デバイス11a及び12aと基板10との間の電気接続は、ボンディングワイヤ13を用いて行われている。
【0085】
インターポーザ20の内部に形成されたチャネル21は、上壁23と下壁24と左右両側の側壁22で支持されている。換言すれば、チャネル21は、上壁23と下壁24と側壁22で画定されている。チャネル21の前端部(上流側端部)と後端部(下流側端部)は開口しており、したがってチャネル21の前壁と後壁は存在しない。チャネル21には、
図2Bの矢印25で示された方向に、
図2Aでは紙面に垂直方向に(手前から奥へ、前端部から後端部へ)、冷却用の流体が流れるようになっている。この構成においては、第1及び第2半導体デバイス11a及び12aで発生した熱は、チャネル21を流れる流体に吸熱され、当該積層モジュールの外部へ排出される。このような流体の流れは、後述するように、ポンプやコンプレッサと配管など(共に図示せず)により容易に実現できる。
【0086】
冷却用の前記流体は、「冷媒」とも呼ばれ、発熱物体から熱を吸収して外部へ移送できる特性を有している。前記流体としては、例えば、(1)フロン類・ノンフロン類(多用されており、種類が多い)、(2)ブタン、イソブタンなどの有機化合物、(3)水素、ヘリウム、アンモニア、水、二酸化炭素などの無機化合物などが使用できる。
【0087】
なお、チャネル21は、少なくとも両側の側壁22で支持されていれば足り、上壁23と下壁24の少なくとも一方は省略してもよい。
【0088】
チャネル21の上壁23と下壁24は、熱伝導率が大きい材料で形成されていることが好ましいが、必ずしもこの限りではない。また、上壁23と下壁24が単結晶シリコンで構成され、上壁23と下壁24の外面(つまり、上壁23の下面と上面、下壁24の上面と下面)に電子部品やトランジスタなどからなる電子回路、あるいは、電気配線層が配置されていてもよい。チャネル21に露出する面(つまり、上壁23の下面と下壁24の上面)に電子回路あるいは電気配線層が形成されている場合には、これらの面の最表層に絶縁層(図示せず)を配置することで、当該電子回路あるいは電気配線層の冷却用流体による浸食や汚染を防止し、当該電子回路あるいは電気配線層を保護することが好ましい。
【0089】
(チャネル付きインターポーザを用いた貫通電極モジュールの構成例)
図3Aは、
図1Bに示した貫通電極モジュールにチャネル付きインターポーザ30を搭載した構成例(積層モジュール)を示す断面図であり、
図3Bは、そのB−B線に沿ったインターポーザ30の断面図である。
【0090】
図3Aに示すように、この構成例では、チャネル付きインターポーザ30は、基板10の表面(上面)に配置された第1半導体デバイス11bの表面(上面)に配置されており、そのインターポーザ30の表面(上面)に第2半導体デバイス12bが配置されている。換言すれば、インターポーザ30の上下にそれぞれ、第2半導体デバイス12bと第1半導体デバイス11bが配置されており、両デバイス12b及び11bがインターポーザ30を挟む構造となっている。
【0091】
インターポーザ30の左右の側壁32には、それを厚さ方向に貫通する貫通電極36が埋め込まれている。これらの貫通電極36は、導電性ボール37を介して第2半導体デバイス12bの電子回路と電気接続(及び機械接続)され、また、導電性ボール38を介して第1半導体デバイス11bの電子回路と電気接続(及び機械接続)されている。すなわち、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bの電子回路は、貫通電極36を用いて相互に電気接続されていると共に、相互に機械接続(固定)されている。こうして、基板10と第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bは、相互に電気接続されていると共に、相互に機械接続(固定)されている。なお、基板10と第1半導体デバイス11bの間の電気接続及び機械接続は、
図1Bの場合と同様に、導電性ボール15を用いて行われている。
【0092】
基板10と第1半導体デバイス11bの間と、第1半導体デバイス11bとインターポーザ30の間と、インターポーザ30と第2半導体デバイス12bの間の隙間には、それぞれ、アンダーフィラー16が充填されている。これは、ボール15、37及び38を用いた基板10とインターポーザ30とデバイス11b及び12b間の機械接続強度を増大させるためである。
【0093】
インターポーザ30の貫通電極36は、上壁33および下壁34には形成できず、左右の側壁32にのみ形成可能である。換言するならば、半導体デバイス11bおよび12bに配置されている電気接続点(ボンディングパッドに相当)は、インターポーザ30の左右いずれかの側壁32に対向する部分に配置されていることが必要である。
【0094】
ボンディングモジュールの構成例とは異なり、第1半導体デバイス11bと、インターポーザ30と、第2半導体デバイス12bは、ほぼ同じ大きさで、いずれも基板10より小さい。ここでは、積層モジュール40を構成する第1半導体デバイス11bとインターポーザ30と第2半導体デバイス12bの大きさ(面積)が、全て等しくされているが、これには限定されない。例えば、第1半導体デバイス11bよりもインターポーザ30が小さく、インターポーザ30よりも第2半導体デバイス12bが小さくてもよい。
【0095】
インターポーザ30の内部に形成されたチャネル31は、上壁33と下壁34と左右両側の側壁32で支持されている。換言すれば、チャネル31は、上壁33と下壁34と側壁32で画定されている。チャネル31の前端部(上流側端部)と後端部(下流側端部)は開口しており、したがってチャネル31の前壁と後壁は存在しない。チャネル31には、
図3Bの矢印35で示された方向に、
図3Aでは紙面に垂直方向に(手前から奥へ、前端部から後端部へ)、冷却用の流体(冷媒)が流れるようになっている。この構成においては、第1及び第2半導体デバイス11b及び12bで発生した熱は、チャネル31を流れる流体に吸熱され、当該積層モジュールの外部へ排出される。このような流体の流れは、ポンプやコンプレッサと配管など(共に図示せず)により容易に実現できる。流体としては、チャネル付きインターポーザを用いたボンディングモジュールの構成例で上述したものが使用できる。
【0096】
なお、チャネル31は、少なくとも両側の側壁32で支持されていれば足り、上壁33と下壁34の少なくとも一方は省略してもよい。
【0097】
チャネル31の上壁33と下壁34は、熱伝導率が大きい材料で形成されていることが好ましいが、必ずしもこの限りではない。また、上壁33と下壁34が単結晶シリコンで構成され、上壁33と下壁34の外面(つまり、上壁33の下面と上面、下壁34の上面と下面)に電子部品やトランジスタなどからなる電子回路、あるいは、電気配線層が配置されていてもよい。チャネル31に露出する面(つまり、上壁33の下面と下壁34の上面)に電子回路あるいは電気配線層が形成されている場合には、これらの面の最表層に絶縁層(図示せず)を配置することで、当該電子回路あるいは電気配線層の冷却用流体による浸食や汚染を防止し、当該電子回路あるいは電気配線層を保護することが好ましい。
【0098】
基板10と第1半導体デバイス11bとインターポーザ30と第2半導体デバイス12bの間の隙間に充填されたアンダーフィラー16は、熱伝導率が大きい材料(例えば、金属フィラーを混練した樹脂)で構成されていることが好ましいが、この限りではない。
【0099】
(チャネル付きインターポーザを用いた貫通電極モジュールを冷却する構成例)
図4Aは、
図3Bに示した貫通電極モジュール(チャネル付きインターポーザ30を持つ)40を流体を使って冷却する場合の構成例(実装構造)を示す断面図であり、
図4Bは、そのC−C線に沿った断面図である。
【0100】
上述したように、積層モジュール40は、基板10の表面に配置された第1半導体デバイス11bと、第1半導体デバイス11bの表面に配置されたインターポーザ30と、インターポーザ30の表面に配置された第2半導体デバイス12bとを主たる構成要素としており、インターポーザ30の内部にはチャネル31が形成されている。
【0101】
基板10の上には、積層モジュール40の全体を内包するカバー42が密着して固定されており、基板10とカバー42の間には内部空間50が形成されている。カバー42には、内部空間50に冷却用流体Lを導入するためのインレット43と、内部空間50から同流体Lを排出するためのアウトレット44が設けられている。カバー42の下端には脚部45が、基板10の表面の脚部45に対応する箇所には取付部46が、それぞれ形成されており、カバー42は、脚部45を取付部46に密着・固定させることで基板10に固定されている。
【0102】
流体Lは、カバー42の外部に設けられたポンプP(またはコンプレッサ)により、インレット43から矢印47aで示す方向に内部空間50に流れ込み、アウトレット44から矢印47bで示す方向に流れ出て、ポンプPに戻るようになっている。なお、T1は、インレット43とポンプPの間を連結する配管、T2は、アウトレット44とポンプPの間を連結する配管である。
【0103】
インレット43を通って内部空間50に導入された流体Lは、矢印48で示す経路に沿って、インターポーザ30のチャネル31をその上流側端部から下流側端部まで通過し、その間に第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bで発生した熱を吸熱することが期待される。しかしながら、内部空間50では、そのような期待される流体Lの流れ以外に、積層モジュール40の周囲に沿った、矢印49で示される期待しない流体Lの流れも発生してしまう。チャネル30の断面積(特にチャネル30の高さ)は小さい(例えば数百マイクロメータ程度である)のに対し、積層モジュール40とカバー42の間の隙間(断面積)はそれよりもかなり大きい(例えば数ミリメータ程度である)ことを考えると、矢印48に沿う流れの流量は少なく、矢印49に沿う流れの流量の方が大きくなる。流量の間にこのような大小関係があると、チャネル31を流れる流体Lを介しての所望の吸熱効果は得られない可能性が大である。よって、積層モジュール40に対して所望の冷却効果を確実に得るには、積層モジュール40の全体を覆うカバー42を基板10上に装着するだけの構成(
図4A及び
図4B参照)では十分ではなく、何らかの方策を講じることが必要である。
【0104】
(貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した実装構造の第1例)
図5A及び
図5Bと
図6は、
図4A及び
図4Bの実装構造に堰を付加した、積層モジュールの実装構造の第1例を示す。
図5Aは、この実装構造の冷却用流体Lの流動方向に沿った縦断面図であり、
図5Bは、
図5AのC−C線に沿った断面図である。
図6は、この実装構造のカバー42を基板10から取り外した状態を示す斜視図である。
【0105】
この積層モジュールの実装構造の第1例は、
図4A及び
図4Bに示した構成例(貫通電極モジュールを使用)において、積層モジュール40とカバー42の間に、内部空間50を上流側空間と下流側空間の二つに仕切る堰51を設けたものである。
図5A及び
図5Bにおいて、
図4Aと
図4Bに示した構成要素と同一の符号は、同一の構成要素を示している。
【0106】
堰51の全体形状は、ほぼ逆U字形であり、カバー42の内側において積層モジュール40の外側を帯状に覆うことにより、積層モジュール40の周囲を通る経路を遮断している。換言すれば、堰51は、内部空間50を、インレット43側の上流側空間と、アウトレット44側の下流側空間の二つに仕切っているのである。こうして、矢印49で示される、積層モジュール40の周囲を通る望まない流体Lの流れの発生を防止している。
【0107】
堰51を設けたため、内部空間50の上流側空間と下流側空間は、インターポーザ30のチャネル31のみで相互に繋がっており、したがって、インレット43から上流側空間に流れ込んだ流体Lのすべてが、矢印48で示す経路に沿ってチャネル31を通過し、下流側空間に到達する。その後、アウトレット44から排出される。このため、効率的な吸熱効果が実現され、積層モジュール40に対する所望の冷却効果を確実に得ることができる。
【0108】
堰51が配置される位置と、堰51の厚さ(流体Lの流動方向に沿った長さ)については、チャネル41の入口(上流側端部)と出口(下流側端部)を塞がないことを除いて、特段の制限はない。
【0109】
(貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した実装構造の第2例)
図7A及び
図7Bと
図8A及び
図8Bは、
図4A及び
図4Bの実装構造に堰を付加した、積層モジュールの実装構造の第2例の製造方法を示す。
図7A及び
図7Bは、この製造方法を示す斜視図であり、
図8A及び
図8Bはその断面図である。
図8A及び
図8Bでは、当該実装構造の縦断面が上位に、横断面が下位に描かれている。
【0110】
この積層モジュールの実装構造の第2例は、
図8B(d1)及び(d2)に示したように、上述した第1例のカバー42が、二つのカバー半体42aと42bから構成されていると共に、それらカバー半体42aと42bが所定の隙間Gをあけて基板10上に固定されたものである。堰51は、第1例と同様に、ほぼ逆U字形で、積層モジュール40の外側を帯状に覆っているが、カバー半体42aと42bの間の隙間Gに配置されているため、堰51の外周面はカバー42(カバー半体42aと42b)から外部に露出している。それ以外の構成は、第1例と同じである。
【0111】
このように、堰51は、カバー42から外部に露出してもよく、堰51全体がカバー42の内部に配置されていなくてもよい。
【0112】
次に、この実装構造の第2例の製造方法について説明する。
【0113】
まず、
図7A(a)と
図8A(a1)及び(a2)に示すように、積層モジュール40が基板10の表面に搭載される。積層モジュール40の構成は、
図3A及び
図3Bに示した貫通電極モジュール40(チャネル付きインターポーザ30を持つ)と同じであるから、その説明は省略する。なお、ここでは、積層モジュール40を構成する第1半導体デバイス11bとインターポーザ30と第2半導体デバイス12bの大きさ(面積)が全て等しくされているが、本発明はこれには限定されず、互いに異なってもよい。例えば、第1半導体デバイス11bよりもインターポーザ30が小さく、インターポーザ30よりも第2半導体デバイス12bが小さくてもよい。
【0114】
次に、
図7A(b)と
図8A(b1)及び(b2)に示すように、基板10の表面において、積層モジュール40の裾部の周辺領域に接着剤が塗布され、接着層55が基板10上に形成される。接着層55に用いる接着剤は、例えばエポキシ樹脂であり、その粘度は、塗布後においてもその形状が維持される(つまり、流れて厚さが薄くならない)程度の値とされる。
【0115】
次に、
図7B(c)と
図8B(c1)及び(c2)に示すように、カバー半体42aとカバー半体42bが基板10の表面に配置される。カバー半体42aと42bとは、
図6におけるカバー42を2分割した形状であり、それぞれには、インレット43とアウトレット44が設けられている。カバー半体42aと42bが基板10の表面に配置された状態では、カバー半体42aと42bの間には隙間Gが形成されている。隙間Gの大きさ(間隔)は、通常は数ミリメータ(mm)であるが、これに限定されない。
【0116】
カバー半体42aと42bにそれぞれ設けられた脚部45と、基板10の表面の脚部45に対応する位置にそれぞれ設けられた取付部46とは、接着剤を用いて互いに接合される。この接合には、接着剤以外も使用可能である。例えば、半田付け(カバー半体42aと42bと取付部46の表面が共に金属の場合)、静電接合(カバー半体42aと42bが金属、取付部46の表面がガラスの場合)、分子間での直接接合(カバー半体42aと42bと取付部46の表面が共にシリコン結晶の場合)など、周知の手法が利用可能である。
【0117】
カバー半体42aと42bの脚部45は、接着層55の端部と重なっていることが好ましいが、この限りではない。重なっている場合には、脚部45を基板10の表面に押し付けることで、接着層55の脚部45と重なっている端部は変形する。
【0118】
引き続いて、接着層55の接着剤と、脚部45と取付部46との間の接着剤とを固化させて、以後のプロセスでの機械的強度を確保する。脚部45と取付部46とが接着剤以外の材料もしくは手法で結合されている場合は、接着層55の接着剤のみを固化させればよい。
【0119】
次に、
図7B(d)と
図8B(d1)及び(d2)に示すように、カバー半体42a及び42bの間の隙間Gから樹脂56を流し込み、貫通電極モジュール40の外周面にほぼ逆U字形の堰51を形成する。樹脂56としては、エポキシ樹脂などが使用可能である。カバー半体42a及び42bと積層モジュール40との間の隙間は、樹脂56の流動性を利用して、樹脂56により完全に充填される。樹脂56の粘度を適宜選択することで、インターポーザ30のチャネル31の入口と出口を塞ぐことがないように、樹脂56を隙間Gの周辺領域にのみ留まらせることができる。
【0120】
このように、堰51が、カバー半体42aと42bの間の隙間Gに樹脂56を流し込んで形成されるので、上記第1例の場合よりも堰51の形成が容易であるという利点がある。
【0121】
堰51には、インレット43から流れ込んだ流体Lの圧力が印加されるので、長期的に見て、堰51を形成する樹脂56が変形する可能性がある場合には、樹脂56を十分に固化させることが必要である。上述したように、堰51は、インレット43側の上流側空間とアウトレット44側の下流側空間を絶縁(分離)する役割を有しているため、堰51の表側(外側)がカバー半体42a及び42bの内壁面に強固に密着し、かつ、堰51の下端部が接着層55に強固に接着していることが必要である。
【0122】
この積層モジュールの実装構造の第2例における堰51の作製プロセスでは、堰51の配置される領域を隙間Gが規定する。一般的には、
図7B(d)と
図8B(d1)及び(d2)に示すように、カバー半体42aと42bの長さ(流体Lの流動方向に沿った長さ)を互いに等しくし、隙間Gすなわち堰51が積層モジュール40の中央部に配置される。しかし、必ずしもこのように配置しなくてもよい。例えば、カバー半体42aの長さを、カバー半体42bの長さよりも短くしてもよい。この場合、隙間Gすなわち堰51は、積層モジュール40の中央部よりインレット43側にずれて配置される。
【0123】
図7B及び
図8Bは、カバー半体42aと42bへのインレット43とアウトレット44の配置の一例を示しているだけであり、これ以外の配置も可能である。例えば、(i)インレット43がカバー半体42aの上面に配置され、アウトレット44がカバー半体42bの上面に配置されてもよいし、(ii)インレット43がカバー半体42aの側面に配置され、アウトレット44がカバー半体42bの上面に配置されてもよい。インレット43とアウトレット44が配置される領域については、特段の制限はなく、本第2例の実装構造が配置される環境(例えば、プリント基板上での部品類の配置状況)に応じて適宜決定される。
【0124】
この積層モジュールの実装構造の第2例においても、堰51が積層モジュール40の周囲を通る経路を遮断している。換言すれば、堰51が、内部空間50をインレット43側の上流側空間とアウトレット44側の下流側空間の二つに仕切っている。このため、矢印49で示される、積層モジュール40の周囲を通る期待しない流体Lの流れが発生せず、インレット43から上流側空間に流れ込んだ流体Lのすべてが、矢印48で示す経路に沿ってチャネル31を通過し、下流側空間に到達してから、アウトレット44から排出される。このため、上述した第1例の場合と同様に、効率的な吸熱効果が実現され、積層モジュール40に対する所望の冷却効果を確実に得ることができる。
【0125】
(貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した実装構造の第3例)
図9は、貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した、積層モジュールの実装構造の第3例を示す。
【0126】
これは、3個の半導体デバイスと2個のインターポーザからなる5段構成(インターポーザを除くと3段構成)の積層モジュール40aを使用したものであり、それ以外の構成は、上述した第1例と同じである。
【0127】
積層モジュール40aは、基板10の表面(上面)に配置された第1半導体デバイス11bと、第1半導体デバイス11bの表面(上面)に配置されたチャネル31付きのインターポーザ30と、インターポーザ30の表面(上面)に配置された第2半導体デバイス12bと、第2半導体デバイス12bの表面(上面)に配置されたもう一つのチャネル31付きのインターポーザ30と、そのインターポーザ30の表面(上面)に配置された第3半導体デバイス12b'とから構成されている。換言すれば、下側のインターポーザ30の上下にそれぞれ、第2半導体デバイス12bと第1半導体デバイス11bが配置され、両デバイス12b及び11bが下側のインターポーザ30を挟んでおり、また、上側のインターポーザ30の上下にそれぞれ、第3半導体デバイス12b'と第2半導体デバイス12bが配置され、両デバイス12b'及び12bが上側のインターポーザ30を挟んだ構造となっている。
【0128】
積層モジュール40aの外周面には、略逆U字形の堰51が配置されているため、流体Lは二つのインターポーザ30のチャネル31のみを通過することができる。カバー42のインレット43から内部空間50に流入した流体Lは、チャネル31を通過した後、カバー42のアウトレット44から外部に流出する。堰51は、その全体がカバー42の内部にあり、カバー42からは露出していない。
【0129】
なお、二つのインターポーザ30の双方にチャネル31が形成されていなくてもよい。例えば、下側のインターポーザ30のみ、あるいは上側のインターポーザ30のみにチャネル31が形成されていてもよい。
【0130】
(貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した実装構造の第4例)
図10A及び
図10Bと
図11A及び
図11Bは、貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した、積層モジュールの実装構造の第4例の製造方法を示す。
図10A及び
図10Bは、この製造方法を示す斜視図であり、
図11A及び
図11Bはその断面図である。
図11A及び
図11Bでは、当該実装構造の縦断面が上位に、横断面が下位に描かれている。
【0131】
この実装構造の第4例は、
図11B(d1)及び(d2)に示したように、カバー52が二つのカバー半体52aと52bから構成されていると共に、それらカバー半体52aと52bが所定の隙間Gをあけて基板10上に密着・固定されたものである。カバー52のこの構成は、上述した第2例の場合と近似しているが、カバー半体52aと52bの長さが上記第2例のそれよりも短くされていて、カバー半体52aと52bの間の隙間Gが上記第2例のそれよりも大きく、積層モジュール40の全長に近い値に設定されている点が異なっている。また、堰51は、上記第2例と同様に、ほぼ逆U字形であり、積層モジュール40の外側のほぼ全面を帯状に覆っているが、堰51はカバー半体52aと52bの間の大きな隙間Gに配置されているため、その長さ(流体Lの流動方向の長さ)は、上述した第2例の場合よりも大きく、積層モジュール40の全長に近い値になっている。それ以外の構成は、上記第1例と同じである。
【0132】
上述した第2例(
図8B(d1)及び(d2)参照)では、内部空間50が堰51によって上流側空間と下流側空間に分けられる。上流側空間には、カバー半体42aの内面と積層モジュール40の外周面との間に、ほぼ逆U字形の狭い領域が存在するが、この領域に流体Lが入り込むと、そこで淀んだ(流体Lがほとんど流動しない)状態になる。内部空間50にこのような流体Lの淀みが発生すると、流体Lによる排熱作用が阻害され、所望の積層モジュール40の冷却作用が得られない。これは下流側空間についても同様である。この第4例は、その難点を除去したものである。
【0133】
すなわち、この第4例では、カバー半体52a及び52bの間の隙間Gが、積層モジュール40の全長に近い値に設定されているため、堰51のその長さ(流体Lの流動方向の長さ)も積層モジュール40の全長に近い値になっている。このため、カバー半体52a及び52bの内面と積層モジュール40の外周面との間にほぼ逆U字形の狭い領域がほとんど形成されない。その結果、流体Lの淀みに起因して排熱作用が阻害されることがなく、所望の積層モジュール40の冷却作用が得られるのである。
【0134】
次に、この実装構造の第4例の製造方法について説明する。
【0135】
まず、
図10A(a)と
図11A(a1)及び(a2)に示す積層モジュール40の搭載工程と、
図10A(b)と
図11A(b1)及び(b2)に示す接着層55の形成工程は、上述した第2例と同じである。よって、それらの説明は省略する。
【0136】
次に、
図10B(c)と
図11B(c1)及び(c2)に示すように、カバー半体52a及び52bが基板10の表面に配置される。カバー半体52a及び52bは、
図7Bにおけるカバー半体42a及び42bと同様に、カバー52を2分割した形状であり、それぞれにインレット43とアウトレット44が設けられている。カバー半体52a及び52bが基板10の表面に密着・固定された状態では、カバー半体52a及び52bの間には隙間Gが形成されている。隙間Gの大きさ(間隔)は、積層モジュール40の全長にほぼ等しい値に設定されている。
【0137】
カバー半体52a及び52bの脚部45と、基板10の表面の取付部46とは、上記第2例と同様に、接着剤などを用いて互いに接合される。
【0138】
脚部45の内側は、上述した接着層55の端部と重なっていることが好ましいが、この限りではない。重なっている場合には、脚部45を基板10の表面に押し付けることで、接着層55の脚部45と重なっている端部は変形する。
【0139】
引き続いて、接着層55の接着剤と、脚部45と取付部46との間の接着剤とを固化させて、以後のプロセスでの機械的強度を確保する。脚部45と取付部46とが接着剤以外の材料もしくは手法で結合されている場合は、接着層55の接着剤のみを固化させればよい。この点は、上記第2例と同様である。
【0140】
次に、
図10B(d)と
図11B(d1)及び(d2)に示すように、カバー半体52a及び52bの隙間Gから樹脂56を流し込み、貫通電極モジュール40の外周面に、ほぼ逆U字形の堰51を形成する。樹脂56としては、エポキシ樹脂などが使用可能である。カバー半体52a及び52bと積層モジュール40との間の二つの隙間は、樹脂56の流動性を利用して、樹脂56により完全に充填される。隙間Gは、上記第2実施形態の実装構造の場合よりも大きいが、樹脂56の粘度を適宜選択することで、インターポーザ30のチャネル31の入口と出口を塞ぐことがないように、また、隙間Gの全体を埋め込むように、樹脂56を流し込んで留まらせることができる。
【0141】
この時、堰51は、貫通電極モジュール40の外周面のほぼ全面を覆っているため、貫通電極モジュール40の外周面はカバー52から露出していない。堰51の外周面は、カバー52の隙間Gから露出している。
【0142】
上記第2例と同様に、堰51にはインレット43から流れ込んだ流体Lの圧力が印加されるので、長期的に見て、堰51を形成する樹脂56が変形する可能性がある場合には、樹脂56を十分に固化させることが必要である。上述したように、堰51は、インレット43側の上流側空間とアウトレット44側の下流側空間を絶縁(分離)する役割を有しているため、堰51の表側(外側)がカバー半体42a及び42bの内壁面に強固に密着し、かつ、堰51の下端部が接着層55に強固に接着していることが必要である。
【0143】
本第4例における堰51の作製プロセスにおいても、隙間Gが堰51の配置される領域を規定する。
【0144】
図10B及び
図11Bは、カバー半体52a及び52bへのインレット43とアウトレット44の配置の一例を示しているだけであり、これ以外の配置も可能である。これは、上記第2例の場合と同様である。
【0145】
以上説明したように、この積層モジュールの実装構造の第4例では、上記第3例と同様に、流体Lの淀みに起因して排熱作用が阻害されることがないため、積層モジュール40に対する冷却効果が、上記第2例の場合よりも高くなるという効果がある。
【0146】
なお、
図10A及び
図10Bと
図11A及び
図11Bでは、堰51が隙間Gの全体を埋め込んだ構造を示したが、本第4例はこれに限定されない。例えば、樹脂56を隙間Gの両端部(すなわち、カバー半体52aの下流側端部と、カバー半体52bの上流側端部)の近傍のみに限定して流し込むことで、
図13C(d1)及び(d2)に示すように、隙間Gの両端部のみに堰51a及び51bを分散して形成してもよい。この場合、積層モジュール40の外周面のほとんどが、堰51aと51bの間からカバー52の外部に露出する。
【0147】
(貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した実装構造の第5例)
図12A及び
図12Bと
図13A〜
図13Dは、貫通電極モジュールを冷却する構成例に堰を付加した、積層モジュールの実装構造の第5例の製造方法を示す。
図12A及び
図12Bは、この製造方法を示す斜視図であり、
図13A〜
図13Dはその断面図である。
図13A〜
図13Dでは、当該実装構造の縦断面が上位に、横断面が下位に描かれている。
【0148】
この実装構造の第5例は、積層モジュール40を覆うカバー52に加えて、第2カバー(外カバー)57が装着されていて、2重カバーになっている点が特徴である。すなわち、
図13D(e1)及び(e2)に示したように、上記第4例と同様に、カバー52が二つのカバー半体52aと52bから構成されていると共に、カバー半体52a及び52bの間の隙間Gが積層モジュール40の全長に近い値に設定されている。しかし、隙間Gの両端部のみに堰51a及び51bが形成(分散して配置)されていて、積層モジュール40の外周面の大部分が堰51aと51bの間の隙間Gからカバー52の外部に露出している点で、上記第4例とは異なっている。
【0149】
基板10の表面には、カバー52を覆うように第2カバー(外カバー)57がさらに装着されている。第2カバー57は、上流側にインレット58を、下流側にアウトレット59を、それぞれ備えている。カバー52と第2カバー57の間の空間には、インレット58からアウトレット59に向かって、冷却用の第2流体L2が流動せしめられる。カバー52のインレット43とアウトレット44は、第2カバー57の側壁を貫通してその外部に出ており、それらの貫通箇所は、流体Lと第2流体L2が漏れないように樹脂などで封止されている。
【0150】
カバー半体52a及び52bへのインレット43とアウトレット44の配置と、第2カバー57のインレット58とアウトレット59の配置は、必要に応じて任意に変更可能である。
【0151】
次に、本第5例の製造方法について説明する。
【0152】
まず、
図12A(a)と
図13A(a1)及び(a2)に示す積層モジュール40の搭載工程と、
図12A(b)と
図13A(b1)及び(b2)に示す接着層55の形成工程と、
図12A(c)と
図13B(c1)及び(c2)に示すカバー52(カバー半体52a及び52b)の装着工程とは、上述した第4例と同じであるから、その説明は省略する。
【0153】
次に、
図12B(d)と
図13C(d1)及び(d2)に示すように、カバー半体52aの下流側端部の近傍と、カバー半体52bの上流側端部の近傍に、それぞれ、別個に樹脂56を流し込み、貫通電極モジュール40の外周面に、ほぼ逆U字形の二つの堰51a及び51bを形成する。樹脂56としては、エポキシ樹脂などが使用可能である。カバー半体52aの下流側端部の近傍とカバー半体52bの上流側端部の近傍にある、カバー半体52a及び52bと積層モジュール40との間の隙間は、樹脂56の流動性を利用して、樹脂56により完全に塞がれる。隙間Gの両端部は、樹脂56(堰51a及び51b)によって覆われるが、その中央部は露出したままである。
【0154】
最後に、
図12B(e)と
図13D(e1)及び(e2)に示すように、カバー52(カバー半体52a及び52b)を覆うように、第2カバー(外カバー)57を基板10の表面に密着・固定する。こうして、この実装構造の第5例が完成する。
【0155】
以上説明したように、この積層モジュールの実装構造の第5例では、2重カバー構成となっていて、内側のカバー52の内部空間50は、堰51a及び51bによって上流側空間と下流側空間に分割されていると共に、インレット43からアウトレット44に向かって冷却用の流体Lが導入・排出される。また、カバー52と第2カバー57の間の空間には、インレット58からアウトレット59に向かって、冷却用の第2流体L2が流動せしめられるようになっている。この空間には、堰は設けられていない。このため、冷却用の流体Lによる排熱に加えて、第2流体L2による排熱が同時に行われる。よって、上述した第3及び第4例に比べて構造は少し複雑になるが、積層モジュール40(第2半導体デバイス12bおよび第1半導体デバイス11b)に対する冷却効果が、上記第3及び第4例の場合よりも高くなるという効果がある。
【0156】
流体Lと第2流体L2は、同一種類の流体である必要はない。例えば、流体Lが液体、第2流体が気体などであってもよい。流体Lは、上述したように、断面積が小さい(狭い)チャネル31を通過するので、コンプレッサやポンプなどを用いて圧力を高めた流体をインレット43に供給することが好ましい。他方、第2流体L2は、チャネル31に比べるとはるかに断面積が大きい領域を通過するので、高い圧力は必要とされない。このため、第2流体に対しては、より簡便な構成を採用することも可能である。例えば、第2カバー(外カバー)57には第2流体L2が流入・流出する単一のポート(このポートはインレット兼アウトレットとして機能する)を設け、ノート型パソコンに搭載されているようなヒートポンプ(これは圧縮機を使用していない)と類似した構成にすることも可能である。
【0157】
(第1実施形態に係る積層モジュール)
図14と
図15A及び15Bは、本発明の第1実施形態に係る積層モジュール(貫通電極モジュール)を示す。
図14は、その積層モジュールに使用されたインターポーザ30aの構成を示す断面説明図である。
図15A及び15Bは、その積層モジュールの実装構造の縦断面図と、そのD−D線に沿った断面図である。
【0158】
なお、本第1実施形態では貫通電極モジュールとしているが、ボンディングモジュールとしてもよいことは言うまでもない。また、このモジュールを基板上に実装する際には、上述した実装構造(基板とカバーを有するもの)のいずれも適用可能である。
【0159】
本第1実施形態の積層モジュールは、それに使用されているインターポーザ30aが、チャネル31に露出した熱反射層61aと熱放射層61bを内蔵している点が特徴である。
【0160】
図14に示すように、インターポーザ30aの上壁33の内面には、絶縁層62aを介して熱反射層61aが形成されており、その下壁34の内面には、絶縁層62bを介して熱放射層61bが形成されている。熱反射層61aは、上壁33の内面全体を覆っている。熱放射層61bは、下壁34の内面全体を覆っている。このように、インターポーザ30aのチャネル31の内部では、上位にある熱反射層61aと下位にある熱放射層61bが、互いに対向している。このため、チャネル31の上壁と下壁は、それぞれ、熱反射層61aと熱放射層61bによって画定されている。
【0161】
上壁33の外面には、熱源63(これは第2半導体デバイス12bに対応する)が接触せしめられている。下壁34の外面には、熱源64(これは第1半導体デバイス11bに対応する)が接触せしめられている。
【0162】
図14に示したインターポーザ30aの構造は、「放射・反射構造」とも呼ぶ。
【0163】
熱反射層61aは、金属薄膜などから形成されることが多く、その上方と下方の両方から入射する熱を反射させる機能を有している。熱反射層61aは、例えば、金やアルミの薄膜から形成され、その表面が鏡面であることが好ましいが、この限りではない。また、熱反射層61aは、上壁33の内面全体にわたって配置されていることが好ましいが、この限りではない。例えば、上壁33の内面の指定された領域にのみ熱反射層61aが配置されていてもよい。
【0164】
熱放射層61bは、例えば、「金黒」とも称される熱放射層から形成される。「金黒」は、真空度が比較的低い雰囲気中で金を蒸着することにより得られる。「金黒」の表面には、微小な凹凸があり、可視光で観察すると黒色に見える。「金黒」は、その表面温度が周囲温度よりも低い場合には熱を吸収するが、その表面温度が周囲温度よりも高い場合には熱を放射する、という特性が知られている。なお、「金黒」の代替として、他の材料、例えば、黒色に着色された樹脂などであってもよい。さらに、熱放射層61bは、下壁34の内面全体にわたって配置されていることが好ましいが、この限りではない。例えば、下壁34の内面の指定された領域にのみ熱放射層61bが配置されていてもよい。
【0165】
上壁33と下壁34は、熱伝導率が大きい材料で形成されていることが好ましいが、必ずしもこの限りではない。上壁33と下壁34が、いずれも単結晶シリコンで構成され、それぞれの表面(上壁33の内面、下壁34の内面)に電子部品やトランジスタなどからなる電子回路、あるいは、電気配線層が配置されている場合には、絶縁層62a及び62bを介在させることが好ましい。これらの絶縁層62a及び62bは、当該電子回路などが熱反射層61a(これは金属薄膜のため導電性である)や熱放射層61b(金黒である場合には導電性である)により短絡することを防止する役割を持つ。
【0166】
図14において、矢印66a及び66bは、冷却用流体Lの流れる方向を示している。チャネル31を流れる流体Lにより、熱放射層61bからチャネル31内に放射される熱と、熱反射層61aによってチャネル31内に反射される熱は、インターポーザ30aの外部に排出される。このような流体Lの流れは、ポンプやコンプレッサと配管など(共に図示せず)を用いて容易に実現できる。流体Lは、「冷媒」とも呼ばれ、発熱物体から熱を吸収して外部へ移送できる特性を有している。例えば、(1)フロン類・ノンフロン類(多用されており、種類が多い)、(2)ブタン、イソブタンなどの有機化合物、(3)水素、ヘリウム、アンモニア、水、二酸化炭素などの無機化合物などがある。この点は、上述したものと同じである。
【0167】
ここで、下位にある熱源64の方が、上位にある熱源63よりも発熱量が大きいと仮定する。すると、下位の熱源64で発生した熱は、下壁34と絶縁層62bの内部を通って熱放射層61bの表面(チャネル31側の面)に到達し、この表面でチャネル31を流れる流体Lに向かって放射される。こうして放射された熱のほとんどは、流体Lに吸収される。流体Lに吸収されずに熱反射層61aに到達した熱は、熱反射層61aの表面(チャネル31側の面)で流体Lに向かって反射されるから、やはり流体Lに吸収される。
【0168】
他方、上位の熱源63で発生した熱は、まず、上壁34と絶縁層62aの内部を通って熱反射層61aの裏面(チャネル31側とは反対側の面)に到達し、この裏面で熱源63に向かって反射される。熱反射層61aで反射しきれずにこれを透過した熱は、熱反射層61aの表面(チャネル31側の面)に到達し、この表面でチャネル31を流れる流体Lに吸収される。
【0169】
その結果、下位の熱源64で発生した熱は、上位の熱源63に到達することがなく、また、上位の熱源63で発生した熱は、下位の熱源64に到達することもない。換言すれば、上下の熱源63と64は、インターポーザ30aによって「熱的に絶縁」される。このため、例えば、下位の熱源64が大電力を消費する半導体デバイスであり、上位の熱源63が熱に敏感な特性を有する半導体デバイスであっても、このような構成を持つインターポーザ30aを両者の間に介在させることで、下位の半導体デバイスが上位の半導体デバイスに与える熱的影響を、大幅に低減させることが可能である。
【0170】
図14に示した構成を持つインターポーザ30aを用いた本発明の第1実施形態に係る積層モジュール40bを、
図15A及び15Bに示す。
【0171】
図15Aに示すように、本第1実施形態の積層モジュール40bは、基板10上に搭載された第1半導体デバイス11bと、その上に搭載されたインターポーザ30aと、その上に搭載された第2半導体デバイス12bとを備えている。
【0172】
インターポーザ30aの両側の側壁32には、それを厚さ方向に貫通する貫通電極36が複数個埋め込まれている。これらの貫通電極36は、導電性ボール37を介して第2半導体デバイス12bの電子回路と電気接続(及び機械接続)され、また、導電性ボール38を介して第1半導体デバイス11bの電子回路と電気接続(及び機械接続)されている。すなわち、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bの電子回路は、インターポーザ30aの貫通電極36を用いて相互に電気接続されていると共に、相互に機械接続(固定)されている。こうして、基板10と第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bは、相互に電気接続されていると共に、相互に機械接続(固定)されている。基板10と第1半導体デバイス11bの間の電気接続及び機械接続は、導電性ボール15を用いて行われている。基板10と第1半導体デバイス11bの間と、第1半導体デバイス11bとインターポーザ30aの間と、インターポーザ30aと第2半導体デバイス12bの間の隙間には、それぞれ、アンダーフィラー16が充填されている。
【0173】
図15Aでは、インターポーザ30aの熱反射層61aと熱放射層61bは示しているが、絶縁層62aと62bは省略している。
【0174】
図15Bに示すように、インターポーザ30aのチャネル31には、矢印35で示すように流体Lが流れる。したがって、
図15Aでは、流体Lは紙面の手前から奥に向かって流れる。第1半導体デバイス11bで発生した熱は、熱放射層61bを介して流体Lに吸収されるので、流体Lの排出によって外部に放出される。熱放射層61bを透過して熱反射層61aに達した熱も、そこで反射されて流体Lに吸収されるので、やはり、流体Lの排出によって外部に放出される。また、第2半導体デバイス12bで発生した熱は、熱反射層61aによって上方に反射されることで、外部に放熱される。熱反射層61aで反射しきれずにこれを透過した熱も、熱反射層61aを介してチャネル31を流れる流体Lに吸収されるので、これも流体Lの排出によって外部に放出される。
【0175】
インターポーザ30aの左右の側壁32は、上壁33及び下壁34と共にチャネル31を画定するものであるが、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bとをつなぐ熱伝導路ともなる。この場合、第1半導体デバイス11bで発生した熱の一部は、側壁32を経由して第2半導体デバイス12bまで伝達される。しかし、側壁32の幅を小さくしたり、側壁32を上壁33及び下壁34とは異なる材料(熱伝導率が小さい材料が好ましい)で構成するなどの措置を施すことにより、側壁32を介する熱伝導量を小さくすることができる。したがって、可能な限りそのようにすることが好ましい。
【0176】
側壁32に形成された貫通電極36は、通常、金属のような熱伝導率が大きい材料で形成される。この場合、貫通電極36を介した熱伝導が容易に起こるから、第1半導体デバイス11bで発生した熱の一部が第2半導体デバイス12bまで到達し、第2半導体デバイス12bの温度を上昇させる可能性がある。しかしながら、貫通電極36の太さを小さくしたり、前記電気配線層の設計を修正して貫通電極36の数を減らしたりすることで、伝導する熱量を小さくすることができる。したがって、可能な限りそのようにすることが好ましい。
【0177】
図15A及び
図15Bに示したように、チャネル31の上壁33の内面に配置された熱反射層61aは、上壁33の内面全体に配置されておらず、上壁33の内面の周辺領域を除いた部分に配置されている。同様に、チャネル31の下壁34の内面に配置された熱放射層61bは、下壁34の内面全体に配置されておらず、下壁34の内面の周辺領域を除いた部分に配置されている。しかし、熱反射層61aと熱放射層61bの配置については、
図15A及び
図15Bに例示した配置に限られない。
【0178】
例えば、(a)熱放射層61bを下壁34の内面全体と側壁32の内面全体に配置し、熱反射層61aを上壁33の内面の指定された領域に配置してもよい。この配置例は、半導体デバイス11bで発生した熱を流体Lに放出することだけを考慮した場合に好適である。(b)熱放射層61bを下壁34の指定された領域に配置し、熱反射層61aを上壁33の内面全体と側壁32の内面全体に配置してもよい。(c)熱放射層61bを下壁34の内面全体と、左側の側壁32の下壁34に近接した領域とに配置し、熱反射層61aを上壁33の内面全体と、右側の側壁32の上壁33に近接した領域とに配置してもよい。
【0179】
図15Bから明らかなように、上述したインターポーザ30aのチャネル31の平面形状は、直線的である。しかし、チャネル31の平面形状はこれに限定されない。例えば、
図16A及び
図16Bに示すような平面形状としてもよい。
【0180】
(第2実施形態に係る積層モジュール)
図16Aは、本発明の第2実施形態に係る積層モジュールに使用されたインターポーザ30bの構成を示す断面説明図である。
【0181】
このインターポーザ30bでは、左右の側壁32がチャネル31の上流側と下流側の端部領域(
図16Aでは上下端部の領域)で内側に向かって迫り出している。つまり、チャネル31の幅(断面積)が、上流側と下流側の端部領域で中央部よりも狭くなっている。その結果、矢印35aに沿ってチャネル31に流入する流体Lは、チャネル31の狭い入口を通って流れ込み、広い中央部に導かれてから、狭い出口を通って外部に流出する。
【0182】
このインターポーザ30bでは、左右の側壁32を内側に向かって迫り出させることにより、貫通電極36の配置できる面積を増大させているため、貫通電極36の数を増やす必要がある場合に特に有効である。
【0183】
チャネル31の形状については多くの変形が可能である。例えば、チャネル31の縦断面形状(基板10に対して垂直な面に沿った断面形状)は、略正方形を含む略長方形(例えば、流体の流動方向の長さが大きく、高さ方向の長さが小さい長方形)が好ましい。チャネル31の水平断面形状は、縦断面形状と同様に、略正方形を含む略長方形が好ましいが、この限りではない。例えば、チャネル31に流体Lが流入する入口領域と、流体Lが流出する出口領域の双方、あるいは、チャネル31の入口領域と出口領域のいずれか一方が狭まっていてもよい。この狭まった領域は、側壁32が屈曲しているが、その屈曲領域には、貫通電極36を配置してもよい。この例が第2実施形態の構成である。
【0184】
チャネル31の入口と出口の配置領域は、チャネル31の幅方向の中央部に位置することが好ましいが、この限りではない。例えば、入口を幅方向の中央部よりも左寄りに配置し、出口を右寄りに配置してもよい。この例が
図16Bに示した、後述する第3実施形態の構成である。
【0185】
図16Aに示したインターポーザ30bでは、チャネル31がその入り口側端部と出口側端部で括れており、チャネル31の中央部がその入り口側及び出口側の端部よりも太く(断面積が大きく)なっている。このような構成では、熱反射層61aと熱放射層61bの面積を大きくして放熱効果を大きくしたい、という要請と、貫通電極36の総数の増加に対応したい、という二つの要請を、同時に満足させることができる。
【0186】
(第3実施形態に係る積層モジュール)
図16Bは、本発明の第3実施形態に係る積層モジュールに使用されたインターポーザ30cの構成を示す断面説明図である。
【0187】
このインターポーザ30cでは、左側の側壁32が、チャネル31の下流側の端部領域(
図16Bでは上端部の領域)で内側に迫り出し、右側の側壁32が、チャネル31の上流側の端部領域(
図16Bでは下端部の領域)で内側に迫り出している。つまり、チャネル31の中央に階段状に曲がった屈曲部が形成されている。その結果、矢印35aに沿ってチャネル31に流入する流体Lは、チャネル31の狭い入口を通って流れ込み、中央の屈曲部を通過してから、狭い出口を通って外部に流出する。このため、流体Lは、チャネル31をあたかも斜め方向に流れているように見える。
【0188】
このインターポーザ30cでは、左右の側壁32を内側に向かって迫り出させることにより、貫通電極36の配置できる面積を増大させているため、貫通電極36の数を増やす必要がある場合に特に有効である。
【0189】
チャネル31の形状については、上記第2実施形態で述べたのと同様の変形が可能である。
【0190】
図16Bに示したインターポーザ30cでも、チャネル31がその入り口側端部と出口側端部で括れており、チャネル31の中央部がその入り口側及び出口側の端部よりも太く(断面積が大きく)なっている。このような構成では、熱反射層61aと熱放射層61bの面積を大きくして放熱効果を大きくしたい、という要請と、貫通電極36の総数の増加に対応したい、という二つの要請を、同時に満足させることができる。
【0191】
(第1実施形態に使用したインターポーザの製造方法の第1例)
図17は、上述した第1実施形態の積層モジュールに使用したインターポーザ30aの製造方法の第1例を示す。この製造方法は、上述した第2及び第3実施形態の積層モジュールに使用したインターポーザ30b及び30cのいずれにも適用可能であるから、ここではインターポーザ30aの製造方法について説明する。
【0192】
まず、
図17(a)に示すように、板状の上壁33の内面(図では下面)の所定領域に、熱反射層61aを形成する。上壁33は、熱伝導率が大きい材料からなるのが好ましいが、そうでなくてもよい。熱反射層61aは、例えば、金、アルミなどの金属を蒸着法などの手法を用いて形成される。
【0193】
次に、
図17(b)に示すように、板状の下壁34の内面(図では上面)の所定領域に、熱放射層61bを形成する。熱放射層61bは、例えば、「金黒」の蒸着膜により形成される。
【0194】
ここでは、熱反射層61aと熱放射層61bが、それぞれ、上壁33の内面と下壁34の内面の全体を覆うことなく、中央領域にのみ選択的に形成されているが、これには限定されない。上壁33の内面と下壁の内面の全体をそれぞれ覆ってもよい。
【0195】
次に、
図17(c)に示すように、下壁34の左右の周辺領域に、それぞれ、熱放射層61bとは重ならないように帯状の側壁32が形成される。側壁32の素材は、例えば樹脂であって、接着剤などにより下壁34の内面(図では上面)に固着される。
【0196】
最後に、
図17(d)に示すように、接着剤などを用いて、左右の側壁32の上面に上壁33の内面の対応する箇所をそれぞれ固着させる。こうして、内部にチャネル31を有するインターポーザ30aが製造される。流体Lは、紙面の前方から後方(または後方から前方)に向かってチャネル31の内部を貫通して流動する。
【0197】
この製造方法の第1例で使用される接着剤などは、長期にわたってチャネル31の気密性が維持されるように、接着対象物との密着性を考慮して選択される。例えば、上壁33と下壁34が単結晶シリコンから形成され、側壁32がガラスから形成される場合、下壁34と側壁32との接合、そして側壁32と上壁33との接合に、静電接合技術を用いることが可能である。静電接合の封止性は十分に高いため、長期にわたるチャネル31の気密性が維持される。また、上壁33と下壁34が単結晶シリコン製であるため、上壁33と下壁34の表面にそれぞれ、周知技術を用いて1層以上の配線層を形成することも可能である。
【0198】
なお、
図17には示していないが、貫通電極36をインターポーザ30aの周辺領域に形成することもできる。例えば、RIE(反応性イオンエッチング)などの加工技術を用いて、上壁33(例えば単結晶シリコン)と側壁32(例えばガラス)と下壁34(例えば単結晶シリコン)を貫通する孔を複数個形成し、それら貫通孔の内部に、必要に応じて絶縁膜を介在させながら導電材料を付着あるいは充填することにより、貫通電極36を形成することができる。
【0199】
(第1実施形態に使用したインターポーザの製造方法の第2例)
図18は、上述した第1実施形態の積層モジュールに使用したインターポーザ30aの製造方法の第2例を示す。
【0200】
まず、
図18(a)に示すように、板状の上壁33の内面(図では下面)の所定領域に、熱反射層61aを形成する。上壁33は、熱伝導率が大きい材料からなるのが好ましいが、そうでなくてもよい。熱反射層61aは、例えば、金、アルミなどの金属を蒸着などの手法を用いて形成される。この工程は、上述した製造方法の第1例と同じである。
【0201】
次に、
図18(b)に示すように、インターポーザ30aの下壁34と側壁32を一体的に形成する。側壁32は、下壁34の左右の周辺領域にそれぞれ位置している。下壁34と側壁32に囲まれた箇所には、窪み34aが形成されている。そして、下壁34の内面(図では上面)の所定領域(これは窪み34aの中にある)に、熱放射層61bを形成する。熱放射層61bは、例えば、「金黒」の蒸着膜により形成される。この工程は、上述した製造方法の第1例とは異なる。
【0202】
このような構成は、下壁34の中央領域を選択的に除去して窪み34aを形成してから、窪み34aの底面に熱放射層61bを形成することで、容易に実現できる。その加工法の一例を具体的に示すと、次のようになる。すなわち、まず、単結晶シリコン板(その厚さは側壁32の厚さに等しい)の上側表面に、パターニングされたフォトレジスト層を形成する。次に、そのフォトレジスト層をマスクとして、RIE法などで、単結晶シリコン板を所定深さまで選択的に除去する。こうして、単結晶シリコン板の中央領域に窪み34aが形成される。最後に、蒸着法などを用いて、窪み34aの底面に選択的に金黒層を形成し、熱放射層61bとすれば、完成である。
【0203】
ここでは、熱放射層61bが、窪み34aの底面の全体を覆うことなく、中央領域にのみ形成されているが、これに限定されるわけではない。例えば、熱放射層61bは、窪み34aの底面の全体を覆っていてもよいし、窪み34aの底面全体と両側壁32の内面の一部とを覆っていてもよいし、窪み34aの底面全体と両側壁32の内面の全体とを覆っていてもよい。
【0204】
最後に、
図18(c)に示すように、
図18(a)に示した上壁33(これはを熱反射層61aを持つ)の内面の周辺領域に、
図18(b)に示した構成の両側壁32の上面を固着させると、内部にチャネル31を有するインターポーザ30aが製造される。この固着には、エポキシ系接着材67などを用いることができる。
【0205】
上壁33と、側壁32を持つ下壁34の双方が、単結晶シリコンで形成されており、かつ、側壁32の上端面に熱放射層61bが形成されていない場合(この第2例はそうである)には、上壁33と、側壁32を持つ下壁34との接合を、シリコン−シリコン熱接合で行うことも可能である。
【0206】
チャネル31は、気密性が維持されていることが必要なので、前記した接着材など、あるいは熱接合プロセスは、チャネル31の所望の気密性が維持できるように適宜選択される。
【0207】
図18に示した第2例では、上壁33と、側壁32を持つ下壁34に単結晶シリコンを利用する場合を想定している。このため、周知の加工技術を用いて、側壁32に貫通電極36を形成することが可能であるし、上壁33と下壁34にそれぞれ1層以上の電気配線層を形成することもできる。上壁33と、側壁32を持つ下壁34の材料は、単結晶シリコンに限られず、樹脂などを使用してもよい。
【0208】
なお、
図18(b)に示した構造をそのまま、インターポーザ30aとして使用することも可能である。この場合には、チャネル31を画定する天井部分が存在しないことになるが、この天井部分の役割は、インターポーザ30aの上位に搭載される半導体デバイス12bの下側表面が果たす。そして、熱反射層61aは、この半導体デバイス12bの下側表面に形成される。
【0209】
同様に、
図18(b)の構成を上下逆転させることで、チャネル31を画定する床部分が存在しないインターポーザ30aとすることも可能である。
【0210】
(第1実施形態に使用したインターポーザの製造方法の第3例)
図19は、上述した第1実施形態の積層モジュールに使用したインターポーザ30aの製造方法の第3例を示す。
【0211】
まず、
図19(a)に示すように、下壁34となる板状の母材34'(ここでは単結晶シリコン基板)を用意する。
【0212】
次に、
図19(b)に示すように、周知の手法により、母材34'の左右の周辺領域に貫通電極36を複数個形成する。より具体的に言えば、RIE法でエッチングすることにより、母材34'にその厚さ方向に貫通する貫通穴を複数個形成し、これら貫通穴の内側を絶縁層(図示せず)で覆ってから、これら絶縁層の内側に導電性材料を被覆あるいは充填する。このようにして各貫通穴に導電性を付与することによって、容易に貫通電極36が得られる。その後、母材34'の表面と裏面にそれぞれ電気接続用パッド68及び69を形成し、対応する貫通電極36に電気接続する。
【0213】
次に、
図19(c)に示すように、パターニングされたマスク(図示せず。これはフォトレジスト膜などからなる)を利用して、母材34'をその表面側から選択的に除去し、窪み34aを形成する。この窪み34aの形成工程では、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニアハイドロオキサイド)やKOH(水酸化カリウム)などの異方性エッチング液が利用される。これらのエッチング液では、特定のシリコン結晶面(つまり(111)面)でエッチング速度が相対的に低くなるため、窪み34aの縁(つまり、窪み34aの底面から母材34'の表面にかけての斜面)は、露出した(111)面となる。このようにして、左右の側壁32が一体化された下壁34が得られる。
【0214】
続いて、下壁34の窪み34aの底面に、公知の方法で熱放射層61bを形成する。この時の状態は、
図19(c)に示すとおりである。
【0215】
他方、
図19(d)に示すように、電気接続用パッド68を露出させるための複数の開口33aを持つ上壁33を形成する。この上壁33は、板状の母材(ここでは単結晶シリコン基板)をその上側からRIE法でエッチングすることにより、容易に形成される。その後、上壁33の内面(図では下面)の所定領域に、熱反射層61aを形成する。
【0216】
最後に、
図19(c)に示した下壁34(これは貫通電極36と電気接続用パッド68と熱放射層61bを持つ)の上に、
図19(d)に示した上壁33(これは熱反射層61aを持つ)を載せて固着すると、
図19(e)に示した構造を持つインターポーザ30aが得られる。この固着には、接着剤や低融点ガラスなどが用いられる。下壁34の窪み34aにより、チャネル31が形成される。チャネル31は、その入口と出口を除いて気密性を有していることが必要である。
【0217】
この第3例では、インターポーザ30aの上壁33と下壁34の双方が単結晶シリコン基板から形成されているため、インターポーザ30aの表裏面に1層以上の配線層を形成することも可能である。
【0218】
なお、
図19(c)に示した構造をそのまま、インターポーザ30aとして使用することも可能である。この場合には、チャネル31を画定する天井部分が存在しないことになるが、この天井部分の役割は、インターポーザ30aの上位に搭載される半導体デバイス12bの下側表面が果たす。そして、熱反射層61aは、この半導体デバイス12bの下側表面に形成される。
【0219】
同様に、
図19(b)の構成を上下逆転させることで、チャネル31を画定する床部分が存在しないインターポーザ30aとすることも可能である。
【0220】
(第1実施形態に使用したインターポーザの製造方法の第4例)
図20は、上述した第1実施形態の積層モジュールに使用したインターポーザ30aの製造方法の第4例を示す。
【0221】
図20(a)〜
図20(c)までの下壁34(これは貫通電極36と電気接続用パッド68及び69と熱放射層61bを持つ)の製造工程は、上述した第3例と同じであるから、その説明は省略する。
【0222】
他方、
図20(d)に示すように、下壁34の窪み34aに嵌り込む形状とされた上壁33を形成する。この上壁33は、板状の母材(ここでは単結晶シリコン基板)をその下側からRIE法でエッチングする等により、容易に形成される。その後、上壁33の内面(図では下面)の所定領域に、熱反射層61aを形成する。
【0223】
最後に、
図20(c)に示した下壁34(これは貫通電極36と電気接続用パッド68及び69と熱放射層61bを持つ)の窪み34aに嵌め込むように、
図20(d)に示した上壁33(これは熱反射層61aを持つ)を載せて固着すると、
図20(e)に示した構造を持つインターポーザ30aが得られる。この固着には、接着材や低融点ガラスなどが用いられる。この状態では、窪み34aの内部において、上壁33の熱反射層61aと下壁34の熱放射層61bの間に隙間が形成され、それがチャネル31となる。チャネル31は、その入口と出口を除いて気密性を有していることが必要である。
【0224】
この第4例でも、インターポーザ30aの上壁33と下壁34の双方が単結晶シリコン基板から形成されているため、インターポーザ30aの表裏面に1層以上の配線層を形成することも可能である。
【0225】
この第4例では、
図19に示した第3例とは異なり、上壁33のほぼ全体が下壁34の窪み34aの中に嵌り込むような構成になっており、左右の側壁32の上部の表面が上壁33で被覆されない。このため、上壁33に第3例のような開口33aを設ける必要がなく、したがって、
図19に示した第3例よりも製造技術が簡便になる、という利点がある。
【0226】
なお、
図20(c)に示した構造をそのまま、インターポーザ30aとして使用することも可能である。この場合には、チャネル31を画定する天井部分が存在しないことになるが、この天井部分の役割は、インターポーザ30aの上位に搭載される半導体デバイス12bの下側表面が果たす。そして、熱反射層61aは、この半導体デバイス12bの下側表面に形成される。
【0227】
同様に、
図20(c)の構成を上下逆転させることで、チャネル31を画定する床部分が存在しないインターポーザ30aとすることも可能である。
【0228】
(第1実施形態に係る積層モジュールの変形例)
ここまで、熱反射層61aと熱放射層61bを有するインターポーザ30a、30b、30cと、それを組み込んだ第1実施形態に係る積層モジュール40bについて述べてきたが、この積層モジュール40bでは、これら例示したもの以外にも種々の変形例が可能である。
【0229】
例えば、上位にある第2半導体デバイス12bの消費電力が、下位にある第1半導体デバイス11bの消費電力よりも大きい場合には、熱反射層61aと熱放射層61bの位置が入れ替えられる。すなわち、消費電力が大きい第2半導体デバイス12bの側に熱放射層61bが配置され、消費電力が小さい第1半導体デバイス11bの側に熱反射層61aが配置された構成とされる。また、積層モジュールは、半導体デバイスを3層以上積層した構成としてもよいし、インターポーザを挟み込む上下の半導体デバイスがそれぞれ2個以上の構成(例えば、インターポーザの上面において、同一平面内に複数個の半導体デバイスが並列配置される構成)などとしてもよい。いずれの構成においても、熱反射層61aと熱放射層61bとで、インターポーザの上下にある半導体デバイス間の熱的絶縁を行い、また、熱放射層61bから流体Lに熱を放出することで放熱効果を得ることは、共通している。
【0230】
(流体の断熱膨張を利用して冷却効果を増加させる構成の第1例)
図21A〜
図21Cは、流体の断熱膨張を利用して半導体デバイスの冷却効果を増加させたインターポーザ70を示す。
図21Aはそのインターポーザ70の分解斜視図、
図21Bはその斜視図、
図21Cはその断面図である。
【0231】
上述した第1〜第3実施形態に使用されたインターポーザ30においても、そのチャネル31の形状をインターポーザ70のチャネル71のように変えることで、インターポーザ70と同じ作用効果を得ることが可能である。
【0232】
インターポーザ70は、
図21A〜
図21Cに示すように、矩形板状の上壁73と、同じく矩形板状の下壁74と、一対の側壁72a及び72bとを組み合わせて構成されており、それら四つの部材によって内部にチャネル71が形成されている。一対の側壁72a及び72bは、鏡面対称の形状を持っていて、それらの上流側端部から一定の範囲では幅が広く、その下流側端部から一定の範囲では幅が狭くなっている。一対の側壁72a及び72bの上流側の幅広部分と幅狭部分の間では、その幅は直線的に変化している。従って、上壁73、下壁74及び側壁72a及び72bで画定されるチャネル71は、漏斗形の平面形状を持っており、上流側領域では相対的に幅が狭く(断面積が小さく)、下流側領域では相対的に幅が広く(断面積が大きく)なっている。
【0233】
チャネル71の形状は、
図21Cに明瞭に示されている通りである。すなわち、チャネル71の高さは一定であるが、その幅は一定ではなく、上流側領域では狭く、下流側領域では広くなっている。上流側領域と下流側領域の中間は、チャネル71の幅が徐々に広がる遷移領域となっている。
【0234】
流体Lは、矢印75aで示すように、相対的に狭い上流側開口(入口)からインターポーザ70のチャネル71に流入し、矢印75bで示すように、相対的に広い下流側開口(出口)から流出する。チャネル71の幅は、上流側端部から一定範囲を過ぎた箇所で急拡大しているため、流体Lはチャネル71を通過する途中で断熱膨張を引き起こし、温度が低下する。その結果、チャネル71内の温度が低下する。すなわち、インターポーザ70は、それ自体が冷却(吸熱)作用を持つから、断熱膨張を利用しない場合に比べて、半導体デバイスの冷却作用が向上する。
【0235】
図21A〜
図21Cに示した構造を、ここでは「断熱膨張構造」と呼ぶ。この「断熱膨張構造」は、
図14に示した上記第1〜第3実施形態の「放射・反射構造」と組み合わせてもよい。そうすると、流体Lによる冷却(吸熱)作用をいっそう増すことができる。この場合、チャネル71の天井部分を形成する上壁73に熱反射層61aが配置され、チャネル71の床部分を形成する下壁74に熱放射層61bが配置される。熱反射層61aと熱放射層61bの配置箇所と配置範囲は、上記第1〜第3実施形態で述べたのと同様にすればよい。
【0236】
図22Aは、以上のような構成と作用を持つインターポーザ70を、
図2A及び
図2Bに示したボンディングモジュールに組み込んで構成された、積層モジュールの実装構造の例を示す。
図22Bは、インターポーザ70のチャネル71を示す。
【0237】
図22Aに示した積層モジュールの実装構造は、インターポーザ20に代えてインターポーザ70が使用されている点を除き、
図2A及び
図2Bに示したボンディングモジュールと同じであるから、その説明は省略する。
図22Aにおいて、流体Lは、紙面の前方から後方に向かって、その紙面に垂直方向に流れる。
【0238】
図22Aの実装構造では、下位にある第1半導体デバイス11aと上位にある第2半導体デバイス12aの間に、「断熱膨張構造」を持つインターポーザ70が配置されている。
図22Bに示すように、流体Lをインターポーザ70の狭い入口からチャネル71に流入させると、流体Lはまず、上流側端部から一定範囲の幅広(断面積が相対的に大きい)の第1領域71aに入る。流体Lは、続いて、幅が徐々に増大する遷移領域を通って、下流側端部から一定の範囲の幅狭(断面積が相対的に小さい)の第2領域71bに入り、その広い出口を通ってチャネル71から流出する。流体Lは、第1領域71aを通過すると、急激に圧力が下がるため、断熱膨張しながら第2領域71bに到達する。その結果、流体Lの温度が低下する。
【0239】
第1半導体デバイス11aと第2半導体デバイス12aでの発熱がないと、チャネル71から流出時の流体Lの温度は、チャネル71への流入時の流体Lの温度よりも低くなる。第1半導体デバイス11aと第2半導体デバイス12aでの発熱があると、これらの熱は流体Lによって吸収されるので、第1半導体デバイス11aと第2半導体デバイス12aからの熱は効果的に放出される。
【0240】
(流体の断熱膨張を利用して冷却効果を増加させる構成の第2例)
図23Aは、
図21A〜
図21Cに示されたインターポーザ70を、
図3A及び
図3Bに示した貫通電極モジュールに組み込んで構成された、積層モジュールの実装構造を示す。
図23Bは、インターポーザ70のチャネル71を示す。
【0241】
図23Aに示した実装構造は、インターポーザ30に代えてインターポーザ70が使用されている点を除き、
図3A及び
図3Bに示したボンディングモジュールと同じであるから、その説明は省略する。
図23Aにおいて、流体Lは、紙面の前方から後方に向かって、その紙面に垂直方向に流れる。
【0242】
図23Aの実装構造においても、下位にある第1半導体デバイス11bと上位にある第2半導体デバイス12bの間に、「断熱膨張構造」を持つインターポーザ70が配置されているから、
図22Aの実装構造の場合と同様に、第1領域71aを通過すると、流体Lの圧力が急激に低下し、断熱膨張しながら第2領域71bに到達する。その結果、流体Lの温度が低下する。
【0243】
第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bでの発熱がないと、チャネル71から流出時の流体Lの温度は、チャネル71への流入時の流体Lの温度よりも低くなる。第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bでの発熱があると、これらの熱は流体Lによって吸収されるので、第1半導体デバイス11bと第2半導体デバイス12bからの熱は効果的に放出される。
【0245】
これらの図において、符号76は、幅狭(断面積が相対的に小さい)の第1領域71aと幅広(断面積が相対的に大きい)の第2領域71bの間にあり、チャネル71の幅(断面積)が増大(変化)する、すなわち、チャネル71に流入した流体Lが断熱膨張を起こし、流体Lの温度が低下する遷移領域を示す。
【0246】
図24A(a)の例では、上流側端部からチャネル71に入った流体Lは、まず、幅(断面積)が一定の第1領域71aに入り、続いて、幅(断面積)が徐々に増大する遷移領域76を通って、幅(断面積)が一定の第2領域71bに入る。そして、第2領域71bの幅広の出口を通って、チャネル71から外部に流出する。流体Lは、遷移領域76で急激に圧力が下がり、断熱膨張しながら第2領域71bに到達する。その結果、流体Lの温度が低下する。
【0247】
図24A(b)の例では、第1領域71aの上流側端部から第2領域71bの下流側端部まで、幅(断面積)が一定割合で徐々に増加しているので、流体Lは、チャネル71(第1領域71a)に流入した瞬間に断熱膨張を起こす。
【0248】
図24A(c)の例では、
図24A(a)の例と同様であるが、上流側の第1領域71aの位置が、チャネル71(インターポーザ70)の中央線に対して幅方向にずれて配置されているので、流体Lは、あたかも、斜め方向(図はで左下から右上の方向)に流れるように見える。
【0249】
図24B(d)の例では、
図24A(a)の例と同様であるが、第1領域71aと第2領域71bが、
図24(a)の例よりも近接して配置されている、換言すれば、第1領域71aから第2領域71bまでの幅(断面積)の変化がより急激になっている点で異なる。この例では、断熱膨張が
図24A(a)の例よりも急激に起こるため、流体Lの温度低下がいっそう大きくなる。
【0250】
図24B(e)の例では、
図24A(a)の例と同様であるが、第1領域71aと第2領域71bの間、つまり遷移領域76に、幅(断面積)が第1領域71aより小さい箇所(絞り部)を設けている点が異なる。この例では、流体Lは、絞り部でいったん加圧されてから断熱膨張する。
【0251】
図24A及び
図24Bに示したように、チャネル71の形状には特段の制限はない。必要とされる遷移領域76の位置に応じて、チャネル71の形状を決定することができる。すなわち、チャネル71を有するインターポーザ70の上下に配置された半導体デバイス(
図24A及び
図24Bでは省略)の発熱状況に応じて、遷移領域76を配置することができる。
【0252】
一般に、半導体デバイスでの発熱は、当該半導体デバイスを構成するチップの全面で起こることはない。例えば、演算回路、出力回路などで消費電力が大きく、発熱もこれらの回路が配置された領域(ホットスポット)で主に発生する。このため、遷移領域76をこれらの回路に対応する領域(上位または下位でこれらの回路と重なる箇所)に配置することが好ましい。この場合、発熱が当該チップの全面に拡散する前に流体Lで吸熱することができる、という利点がある。
【0253】
図25A(a)の例では、同じ形状のチャネル71を隣接して2個設けている。流体Lの流入口は2カ所あり、流体Lの流出口も2カ所ある。つまり、二つのチャネル71は互いに独立している。
【0254】
図25A(b)の例では、一方(図では左側)のチャネル71は、
図25A(a)の例と同じであるが、他方(図では右側)のチャネル71は、遷移領域76が下流側(図では上方)にずれて配置されている。流体Lの流入口は2カ所あり、流体Lの流出口も2カ所ある。つまり、二つのチャネル71は互いに独立している。
【0255】
図25B(c)の例では、
図25A(a)の二つのチャネルの流入口を結合して1カ所にしたものである。チャネル71は、インターポーザ70の内部で二つに分岐されてから、二つの流出口に繋がっている。したがって、二つのチャネル71は、インターポーザ70の内部で互いに連結されている。
【0256】
図25B(d)の例では、
図25B(c)と同様に、二つのチャネルの流入口を結合して1カ所にしたものであるが、一方(図では左側)のチャネル71は、遷移領域76が上流側(図では下方)にずれて配置され、他方(図では右側)のチャネル71は、遷移領域76が下流側(図では上方)にずれて配置されている点が異なる。この例でも、二つのチャネル71は、インターポーザ70の内部で互いに連結されている。
【0257】
図25A及び
図25Bでは、チャネル71と遷移領域76がそれぞれ2個の例が示されているが、チャネル71と遷移領域76の数には制限がない。チャネル71と遷移領域76をそれぞれ3個あるいはそれ以上としてもよい。半導体デバイスの発熱状況(例えば、発熱が大きい領域がいくつ存在するか)に応じて、チャネル71の形状と遷移領域76の数と配置を任意に選択することができる。
【0258】
(流体の断熱膨張を利用したインターポーザの製造方法の第1例)
図26A及び
図26Bは、流体の断熱膨張を利用した上記インターポーザ70の製造方法の第1例を示す。
【0259】
この製造方法では、まず、
図26A(a)及び
図26B(a)に示すように、矩形板状の上壁73を用意する。他方、
図26A(b)及び
図26B(b)に示すように、矩形板状の下壁74を用意し、その表面に左右の側壁72a及び72bを形成する。側壁72a及び72bにより、漏斗形の平面形状を持つ窪み74aが下壁74の表面に形成される。
【0260】
その後、
図26A(c)及び
図26B(c)に示すように、上壁73を左右の側壁72a及び72bの表面に接合すれば、
図21A〜
図21Cに示した断熱膨張構造を持つインターポーザ70が製造される。窪み74aの上面は、上壁73で塞がれて、チャネル71となる。
【0261】
上壁73と下壁74の材料は、好ましくは単結晶シリコンなどとされ、側壁72a及び72bの材料は、好ましくはガラス、単結晶シリコン、樹脂、あるいはフォトレジスト(SU−8など)などとされるが、これら以外の材料であっても構わない。上壁73と下壁74と側壁72a及び72bは、好ましくは接着剤などで接合されるが、これに限らない。他の周知の手法も使用可能である。
【0262】
なお、
図26A及び
図26Bでは、チャネル71が1個とされているが、これに限らず、24A及び
図24Bと
図25A及び
図25Bに例示したように、2個以上のチャネル71を設けてもよい
また、上壁73または下壁74を省略することが可能である。例えば、
図26A(b)及び
図26B(b)に示した構造をそのままインターポーザ70として使用することができる。この場合、天井がない(上面が開口された)インターポーザ70となるので、上位に配置される半導体デバイスの下面を天井として利用する。同様に、
図26A(b)及び
図26B(b)に示した構造を上下反転させれば、床がない(下面が開口された)インターポーザ70となるので、下位に配置される半導体デバイスの上面を天井として利用する。
【0263】
(流体の断熱膨張を利用したインターポーザの製造方法の第2例)
図27A及び
図27Bは、流体の断熱膨張を利用した上記インターポーザ70の製造方法の第2例を示す。
【0264】
この製造方法では、まず、
図27A(a)及び
図27B(a)に示すように、表面に左右の側壁72a及び72bが一体的に形成された矩形の下壁74を用意する。側壁72a及び72bにより、下壁74の表面側に、漏斗形の平面形状を持つ窪み74aが形成されている。下壁74と側壁72a及び72bの材料は、好ましくは単結晶シリコンとされ、窪み74aは、例えば、湿式エッチング(異方性エッチングを含む)や乾式エッチングなどで、下壁74の表面側を選択的に除去することで形成される。
【0265】
その後、
図27A(b)及び
図27B(b)に示すように、接着剤などを用いて、上壁73を左右の側壁72a及び72bの表面に接合すると、
図21A〜
図21Cに示した断熱膨張構造を持つインターポーザ70が製造される。窪み74aの上面は、上壁73で塞がれてチャネル71となる。上壁73がガラスである場合には、静電接合などを利用して接合・一体化することができる。上壁73が単結晶シリコンである場合には、シリコン・シリコン接合で一体化することもできる。
【0267】
また、上壁73または下壁74を省略することが可能である。例えば、
図27A(a)及び
図27B(a)に示した構造をそのままインターポーザ70として使用することができる。この場合、天井がない(上面が開口された)インターポーザ70となるので、上位に配置される半導体デバイスの下面を天井として利用する。同様に、
図27A(a)及び
図27B(a)に示した構造を上下反転させれば、床がない(下面が開口された)インターポーザ70となるので、下位に配置される半導体デバイスの上面を天井として利用する。
【0268】
(流体の断熱膨張を利用したインターポーザの製造方法の第3例)
図28A及び
図28Bは、流体の断熱膨張を利用した上記インターポーザ70の製造方法の第3例を示す。
【0269】
この製造方法では、まず、
図28A(a)及び
図28B(a)に示すように、電気接続のためのパッド78及び79と貫通電極77を有する矩形板状の下壁74を用意する。パッド78は下壁74の表面に形成され、パッド79は下壁74の裏面に形成されている。各貫通電極77は、下壁74を貫通して、対応するパッド78及び79まで達している。
図28B(a)より明らかなように、パッド78及び79と貫通電極77は、チャネル71の上流側端部の近傍のみにチャネル71と重ならないように形成されている。下壁74は、好ましくは、単結晶シリコンで形成される。
【0270】
次に、
図28A(b)及び
図28B(b)に示すように、下壁74の表面を選択的に除去し、漏斗形の平面形状を持つ窪み74aを形成する。この時、窪み74aの左右両側には、下壁74の残存部によって一対の側壁72a及び72bが形成される。窪み74aは、パッド78及び79とは重ならず、パッド78及び79と貫通電極77は、側壁72a及び72bに配置される。下壁74が単結晶シリコン製であれば、窪み74aは、例えば、湿式エッチング(異方性エッチングを含む)や乾式エッチングなどで形成されることができる。
【0271】
その後、
図28A(c)及び
図28B(c)に示すように、複数の開口73aを有する矩形板状の上壁73を用意する。開口73aは、下壁74の各々のパッド78に対応する位置に配置されている。上壁73が単結晶シリコン製であれば、開口73aは、例えば、湿式エッチング(異方性エッチングを含む)や乾式エッチングなどで形成される。
【0272】
最後に、
図28A(d)及び
図28B(d)に示すように、接着剤などを用いて、上壁73を下壁74に接合する。上壁73と下壁74がいずれも単結晶シリコン製であれば、シリコン・シリコン接合で接合することも可能である。上壁73がガラスである場合には、静電接合などで接合することができる。
【0274】
また、上壁73または下壁74を省略することが可能である。例えば、
図28A(b)及び
図28B(b)に示した構造をそのままインターポーザ70として使用することができる。この場合、天井がない(上面が開口された)インターポーザ70となるので、上位に配置される半導体デバイスの下面を天井として利用する。同様に、
図28A(b)及び
図28B(b)に示した構造を上下反転させれば、床がない(下面が開口された)インターポーザ70となるので、下位に配置される半導体デバイスの上面を天井として利用する。
【0275】
(積層モジュールに基板とカバーを付加する構成例)
図29は、
図23Aに示した積層モジュールに、基板10とカバー82を付加する場合の構成例(実装構造例)を示す。基板10の上には、
図23Aに示した構成を持つ積層モジュール80が搭載されており、カバー82は、積層モジュール80の全体を包含するように、カバー82の脚部85を用いて基板10上に固定される。カバー82は、インレット83とアウトレット84を有している。インレット83は、「断熱膨張構造」を持つインターポーザ70の上流側(流体Lが流入する側)に配置され、アウトレット84は、インターポーザ70の下流側(流体Lが流出する側)に配置されている。
【0276】
図29では、積層モジュール80の下位に配置された第1半導体デバイス11と、積層モジュール80の上位に配置された第2半導体デバイス12と、両半導体デバイス11及び12の間に配置されたインターポーザ70の大きさが互いに等しくない場合が例示されている。しかし、これらの大きさの関係に制限はない。また、2個以上の第1半導体デバイス11がインターポーザ70の下位に配置された構成としてもよいし、2個以上の第2半導体デバイス12がインターポーザ70の上位に配置された構成としてもよいし、より多くの段数構成(
図29の積層モジュール80は3段である)を持つ構成としてもよい。
【0277】
図29の構成例は、
図22Aに示した積層モジュールに、基板10とカバー82を付加する場合にも適用可能である。この場合、積層モジュール80がボンディングモジュールに代わるだけであり、それ以外の構成は同じである。
【0278】
(積層モジュールへの流体供給)
図30は、本発明に係る積層モジュールへの流体供給システムの一例を示す。
【0279】
図30において、積層モジュール80に内蔵されたインターポーザ70のチャネル71の上流側開口には、カバー82のインレット83が連通し、その下流側開口には、カバー82のアウトレット84が連通している。90はコンプレッサ、91はコンプレッサ90を駆動する動力源(通常はモータ)である。コンプレッサ90は、配管T3を介してインレット83に接続されている。アウトレット84は、配管T4を介してコンプレッサ90に接続されている。
【0280】
コンプレッサ90で加圧圧縮された流体(ここでは気体)Lは、配管T3を介してインレット83に導かれ、カバー82の内部の上流側空間に入る。その後、流体Lは、インターポーザ70のチャネル71を通過してカバー82の内部の下流側空間に移動する。そして、アウトレット84を介して下流側空間から外部に流出する。こうして流出した流体Lは、配管T4を介してコンプレッサ90まで戻される。配管T4を流れる流体Lは、積層モジュール80内で発生する熱を吸収し、その温度が高くなっているため、さらには、コンプレッサ90内では加圧(断熱圧縮である)により流体Lの温度が上がるため、コンプレッサ90では流体Lの温度を低下させる機能(流体冷却機能)が付属していることが好ましい。しかし、流体冷却機能は必須ではなく、省略可能である。例えば、配管T3とT4が比較的温度が低い環境に置かれている場合には、当該流体冷却機能は不要になることがあるからである。
【0281】
流体Lとして液体が使用される場合は、コンプレッサ90に代えてポンプが使用される。