特許第5799392号(P5799392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799392
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
   A61J3/00 310F
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-196556(P2014-196556)
(22)【出願日】2014年9月26日
(62)【分割の表示】特願2010-226359(P2010-226359)の分割
【原出願日】2010年10月6日
(65)【公開番号】特開2014-237063(P2014-237063A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2014年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】510154420
【氏名又は名称】株式会社タカゾノテクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】影山 裕
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−18335(JP,A)
【文献】 特開2006−232351(JP,A)
【文献】 国際公開第2004/078095(WO,A1)
【文献】 特開2002−19705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置において、
薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニットであり、取り外し可能なカセット本体を有するカセットユニットと、
前記カセットユニットが定位置にある場合に、このカセットユニットを上方から覆う閉じ位置と、カセットユニットが露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバーと、
前記カセットユニットとカバーとの動作を関連付ける関連付け機構とを備え、
前記関連付け機構は、前記カセットユニットが引き出し位置にある場合に前記カバーを閉じ位置で保つようにカバーの動作を規制するものであり、
前記カセット本体は、前記カセットユニットが引き出し位置にある場合に前記カセットユニットから取り外すことができることを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項2】
薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置において、
薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニットであり、取り外し可能なカセット本体を有するカセットユニットと、
前記カセットユニットが定位置にある場合に、このカセットユニットを上方から覆う閉じ位置と、カセットユニットが露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバーと、
前記カセットユニットとカバーとの動作を関連付ける関連付け機構と、
前記カセット本体が前記カセットユニットから取り外されることを規制するカセットユニット取外し規制手段とを備え、
前記関連付け機構は、前記カバーが前記開き位置にある場合に前記カセットユニットを定位置で保つようにカセットユニットの動作を規制するものであり、
前記カセットユニット取外し規制手段は、前記カセットユニットが定位置にある場合に、前記カセット本体の前記カセットユニットからの取り外しを規制することを特徴とする薬剤供給装置。
【請求項3】
前記カセットユニット取外し規制手段は、前記カセット本体が前記定位置における前記カセット本体の位置から上方へ移動することを規制することを特徴とする請求項2に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薬剤分包機等には、錠剤等の薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置が設けられている。例えば特許文献1に記載の「薬剤包装装置」に設けられたものが挙げられる。
【0003】
薬剤供給装置は、特許文献1では「錠剤供給ユニット」と記載されている。この錠剤供給ユニットは、薬剤包装装置の上面側に設けられており、複数の錠剤収容枡がマトリクス状に設けられた錠剤収容部を有し、この錠剤収容部に薬剤師等の作業者が錠剤を手撒きで供給するようになっている。この際、錠剤収容枡の一つ毎に一包分の錠剤が供給される。
【0004】
この錠剤収容枡の下方(装置内部側)には、錠剤払出部が設けられており、前記のように錠剤収容枡に供給された錠剤を自動的に取り出して(払い出して)装置内の包装ユニットに供給することができるようになっている。
【0005】
特許文献1に記載の薬剤包装装置は、薬剤供給装置としての錠剤供給ユニットが装置の本体部分に固定されたものであった。前記のように錠剤供給ユニットは薬剤包装装置の上面側に設けられたものであるため、作業者が小柄な人である場合、背面寄りの錠剤収容枡に錠剤を供給するのに手をかなり伸ばさなければならず、作業に困難を伴う場合があった。これは、大型の薬剤包装装置で錠剤収容枡が奥行方向に多数配列されている場合に特に顕著であった。
【0006】
そこで、本願の発明者は、薬剤供給装置の一部を正面側(作業者の立つ側)へと引き出せる構造を考え付いた。この構造は、より具体的には、特許文献1の「錠剤収容部」に相当する部分である、トップタブレットカセットユニット(以下「カセットユニット」と表記)を薬剤包装装置の本体部分に対して引き出し可能とする構造である。こうすることで、作業者とカセットユニットの距離が近くなり、作業者が小柄な人であっても作業を容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−18335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、このようにカセットユニットを引き出せる構造とすると、カセットユニットを引き出した場合に元々カセットユニットがあった部分に空間ができてしまう。そのため、この空間に作業者が誤って薬剤を投入してしまったり、あるいは、異種の薬剤等の異物が薬剤包装装置の内部に混入してしまい、調剤過誤等のトラブルが起こる可能性がある。
【0009】
そこで本発明は、カセットユニットを引き出した場合に異物が装置内部に混入すること等を防止できる薬剤供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置Mにおいて、薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニット1であり、取り外し可能なカセット本体10を有するカセットユニット1と、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、このカセットユニット1を上方から覆う閉じ位置と、カセットユニット1が露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバー2と、前記カセットユニット1とカバー2との動作を関連付ける関連付け機構3とを備え、前記関連付け機構3は、前記カセットユニット1が引き出し位置にある場合に前記カバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制するものであり、前記カセット本体10は、前記カセットユニット1が引き出し位置にある場合に前記カセットユニット1から取り外すことができることを特徴としている。
【0011】
前記構成によると、関連付け機構3がカバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制するため、カセットユニット1が引き出し位置にある場合にカセットユニット1が引き出された部分にできる空間をカバー2が覆うことができる。そして、カセット本体10を取り外して、粉塵の清掃等を容易に行うことができる。また、カセット本体10を取り外し、その外されたカセット本体10の薬剤小分け枡11に薬剤を手撒きすることもできるため、薬剤の供給作業を、場所が制限されることなく容易に行うことができる。
【0012】
また、本発明は、薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置Mにおいて、薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニット1であり、取り外し可能なカセット本体10を有するカセットユニット1と、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、このカセットユニット1を上方から覆う閉じ位置と、カセットユニットが露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバー2と、前記カセットユニット1とカバー2との動作を関連付ける関連付け機構3と、前記カセット本体10が前記カセットユニット1から取り外されることを規制するカセットユニット取外し規制手段4とを備え、前記関連付け機構3は、前記カバー2が前記開き位置にある場合に前記カセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制するものであり、前記カセットユニット取外し規制手段4は、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、前記カセット本体10の前記カセットユニット1からの取り外しを規制することを特徴としている。
【0013】
前記構成によると、関連付け機構3がカセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制するため、カバー2が開き位置にある場合にカセットユニット1が引き出されて空間ができてしまうことを防止できる。そして、カセットユニット1が定位置にある場合、カセット本体10を上方に取り外すことができない。このため、不意にカセット本体10が取り外され、アンダータブレットカセットが露出してしまい、薬剤供給装置Mの内部に異物等が混入することを防止できる。
【0014】
また、前記カセットユニット取外し規制手段4は、前記カセット本体が前記定位置における前記カセット本体の位置から上方へ移動することを規制することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、カセットユニットが引き出された部分にできる空間をカバーが覆うことができるため、カセットユニットを引き出した場合に異物が装置内部に混入すること等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の薬剤供給装置が設けられた薬剤分包装置の、内部機構を省略した、正面側から見た斜視図である。
図2】同薬剤分包装置の上部を示す斜視図で、カセットユニットが定位置にあり、カバーが閉じ位置にある状態を示す。
図3】同薬剤分包装置の上部を示す斜視図で、カセットユニットが引き出し位置にあり、カバーが閉じ位置にある状態を示す。
図4】同薬剤分包装置の上部を示す斜視図で、カセットユニットが定位置にあり、カバーが開き位置にある状態を示す。
図5】本実施形態の薬剤供給装置の要部拡大斜視図であり、カセットユニットが引き出し位置にあり、カバーが閉じ位置にある状態を示す。
図6】本実施形態の薬剤供給装置の要部拡大斜視図であり、カセットユニットが定位置にあり、カバーが閉じ位置にある状態を示す。
図7】本実施形態の薬剤供給装置の要部拡大斜視図であり、カセットユニットが定位置にあり、カバーが開けられようとしている途中の状態を示す。
図8】本実施形態の薬剤供給装置の要部拡大斜視図であり、カセットユニット規制手段が作動していない状態を示す。
図9】本実施形態の薬剤供給装置の要部拡大斜視図であり、カセットユニット規制手段が作動している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。
【0018】
本実施形態の薬剤供給装置Mは薬剤を小分けして供給できるものである。この薬剤供給装置Mは、例えば図1に示すように、薬剤分包装置に組み込まれて用いられる。小分けの対象となる薬剤は、気体状、液状、粉状、顆粒状の各々のものを除く薬剤(ただし、カプセル内に封入されたものを除く)であって、薬剤師等の作業者が所定の分量を(例えば一包分の分量)を手に取って分けることのできる形態を有しているものである。例えば、錠剤、カプセル剤が挙げられる。
【0019】
この薬剤供給装置Mは、カセットユニット1とカバー2と関連付け機構3とを備えている。カセットユニット1は、薬剤を次工程に供給可能な位置である定位置(図2及び図4参照)と、前記定位置からずれた位置である引き出し位置(図3参照)との間で移動可能に設けられている。図3に示すように、カセットユニット1の上部には、図示奥行き方向及び左右方向に並列して複数の薬剤小分け枡11が設けられている。この薬剤小分け枡11は上下が開放されている。カセットユニット1の下部には開閉シャッター12が設けられており(図9参照)、薬剤小分け枡11の下端部を開閉できる。これにより、開閉シャッター12が閉じている場合には、薬剤小分け枡11に薬剤を小分けした状態で一時的に留めておくことができる。開閉シャッター12が開いている場合には、薬剤小分け枡11から薬剤を下方に落下させることができ、カセットユニット1の下方に設けられたアンダータブレットカセット(図示しない)に薬剤を供給することができる。ちなみに、従来の薬剤供給装置と同じく、このアンダータブレットカセットの下部にもシャッターが設けられており、このシャッターを開くことで、アンダータブレットカセットの更に下方に設けられている分包装置に一包分づつ薬剤を供給することができるようになっている(図示はしていない)。カセットユニット1は作業者により引き出されるため、作業者の手を掛けやすくするために、カセットユニット1の正面側が切り欠かれ、引き手13が設けられている。
【0020】
カバー2は、カセットユニット1を上方から覆う閉じ位置(図2及び図3参照)と、カセットユニット1が露出した開き位置(図4参照)との間で移動可能に設けられている。本実施形態のカバー2は、1枚の板状のものであって、背面側(図示奥側)にヒンジが設けられており、閉じ位置と開き位置との間で回動できるようになっている。カバー2の正面側端部には持ち手21が正面側に突出して設けられており、作業者はこの持ち手を持ってカバー2を回動させることができる。そして、図4に示すように、カバー2の正面寄りの内面には2箇所の爪部22が突出しており、各爪部22の先端は対向するように折り曲げられている。この折り曲げられた部分が、後述する関連付け機構3の引掛部311aとなる。カバー2が開き位置にある場合に、薬剤師等の作業者が薬剤をカセットユニット1の薬剤小分け枡11に、手撒きで供給することができる。
【0021】
カバー2については、本実施形態のものに限らず、例えば、水平方向にスライドするもの、全体が上方に移動するもの、途中で折り返すことのできるヒンジが設けられており、折り畳まれて開き位置とするもの等、種々の形態で実施することができる。また、表面あるいは裏面に、図4に示すリブ23等の補強部を設けることにより、カバー2上に物を置いても撓みにくくされていても良い。また、図4等に示すように、本実施形態のカバー2は1枚の板状体から構成されているが、重なり合う複数の板状体から構成されたもの、具体的には外側カバー片・内側カバー片の2枚、あるいは3枚以上の複数のカバー片が集合して構成されていても良い。この場合においては、複数のカバー片の間に処方箋を挟み込み、カバー片を立てた状態で、処方箋を作業者が見やすい位置で保持できるようにされていても良い。
【0022】
なお、作業者は薬剤分包装置の正面側に立って作業をすることが多い。前記のように、カセットユニット1が定位置と引き出し位置との間で移動可能に設けられているため、カセットユニット1を引き出し位置に移動させると、作業者とカセットユニットの距離が近くなる。そのため、作業者が小柄な人であっても全ての薬剤小分け枡11上に無理をせずに手を持っていくことができ、薬剤の手撒き作業を容易にすることができる。そして、このようにカセットユニット1が引き出し位置にある場合には、カセットユニット1の一部であるカセット本体10を取り外すこともでき、清掃等がしやすくなっている。カセット本体10は、図3に示すようにカセット本体10の図示左右側に設けられた持ち手14を持つことで容易に取り外すことができる。
【0023】
関連付け機構3は、カセットユニット1とカバー2との動作を関連付けるものである。この関連付け機構3は、カバー規制手段31とカセットユニット規制手段32とを備えている。カバー規制手段31は、カセットユニット1が引き出し位置にある場合にカバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制するものである。カセットユニット規制手段32は、カバー2が開き位置にある際、カセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制するものである。これらにより、カセットユニット1が引き出し位置にある場合にカバー2が開き位置となることで、元々カセットユニットがあった部分に空間ができ、アンダータブレットカセットが露出してしまい、薬剤供給装置Mの内部に異物等が混入することを防止できる。
【0024】
なお、前記のようにカバー2を重なり合う複数の板状体で構成した場合は、関連付け機構3が動作を規制する対象を内側カバー片のみとし、外側カバー片等、内側カバー片以外のものはカセットユニット1の位置に関係なく、自由に開閉できるようにされていても良い。
【0025】
カバー規制手段31は、第1カバー規制部材311と第2カバー規制部材312とを備えている。本実施形態では、第1カバー規制部材311がカバー2に設けられ、第2カバー規制部材312がカセットユニット1に設けられているが、これとは逆に、第1カバー規制部材311がカセットユニット1に設けられ、第2カバー規制部材312がカバー2に設けられていても良い。
【0026】
第1カバー規制部材311は引掛部311aを有している。この引掛部311aは、前記のように、カバー2の内面に設けられた爪部22の先端に形成されたものである。
【0027】
第2カバー規制部材312は、カセットユニット1の引き出し方向を基準として平行に設けられた被引掛部312aと、被引掛部312aが設けられていない部分である開放部312bとを有している。
【0028】
被引掛部312aは、引掛部311aに引っ掛かることでカバー2が開き位置へと移動することを規制するものである。具体的には、カセットユニット1の図示左右側端部に、庇状に張り出した部分である(図5図7参照)。これにより、被引掛部312aは、カセットユニット1が少なくとも引き出し位置にある場合、言い換えると、カセットユニット1が定位置にない場合に、引掛部311aと被引掛部312aとが引っ掛かることでカバー2が開き位置へと移動することを規制する。
【0029】
開放部312bは、カバー2が開き位置へと移動する際に引掛部311aに対する相対的な移動の支障にならない程度の空間312sが形成されている。具体的には、カセットユニット1の図示左右側端部のうち正面寄り部分にて被引掛部312aが途切れた部分である。開放部312bにおいて、空間312sは上下方向に延びる空間となっている。閉じ位置から開き位置へと移動するカバー2の移動と共に、上方へと移動する引掛部311aがこの空間312sを通過する。よって、引掛部311aはカバー2が閉じ位置にあり、かつ、カセットユニット1が定位置にある際、図6に示すように開放部312bに一致する位置関係にある。これにより、被引掛部312aは、カセットユニット1が定位置にある場合に、引掛部311aが開放部312bの空間312sを通過することでカバー2が開き位置へと移動することを許容する。
【0030】
カセットユニット規制手段32は、図8及び図9に示すように、薬剤供給装置Mのカセットユニット1以外の部分に設けられた第1カセットユニット規制部材321とカセットユニット1に設けられた第2カセットユニット規制部材322とからなる。
【0031】
第1カセットユニット規制部材321は、カバー2の開閉動作に連動するものである。
本実施形態の第1カセットユニット規制部材321は、軸部321a、爪部321b、被押圧部321cを有している。軸部321aは上下方向に形成されており、上端が被押圧部321cとされている。爪部321bは軸部321aの下方から正面側に突出する、上向きの爪状部分である。この爪部321bの背面側には係合部321b1が形成されている。
【0032】
第2カセットユニット規制部材322は、図9に示すように、カバー2が開き位置にある際、カセットユニット1の引き出しを規制するように第1カセットユニット規制部材321に係合するものである。本実施形態の第2カセットユニット規制部材322は、カセットユニット1の背面と平行に設けられた板状体からなり、第1カセットユニット規制部材321の爪部321bに引っ掛けられるようになっている。
【0033】
第1カセットユニット規制部材321の軸部321aはばね(図示しない)により常時付勢されており、図9に示すように被押圧部321cが上方に突出した状態となっている。この被押圧部321cが、カバー2の背面側に設けられた凸部である押圧部24に図8に示すように押圧されることにより、軸部321aが下方に移動する。このように軸部321aが下方に移動した状態では、爪部321bが第2カセットユニット規制部材322に引っ掛かっていないため、カセットユニット1が引き出し方向に移動可能となる。これにより、図8に示すように、カバー2が閉じ位置にある場合はカセットユニット1を引き出すことができる。
【0034】
一方、図9に示すように、カバー2が開き位置にある場合は、第1カセットユニット規制部材321の軸部321aがばねの付勢により上方位置へ復帰するため、爪部321bの係合部321b1が第2カセットユニット規制部材322に当接する。第2カセットユニット規制部材322の正面側に爪部321bの係合部321b1が位置するため、カセットユニット1を引き出し方向に移動させることができなくなる。このようにして、カセットユニット1を定位置で保つように、カセットユニット1の動作がカセットユニット規制手段32により規制される。
【0035】
以上、本実施形態の関連付け機構3は、一方の部材と他方の部材とを係合させることにより、物理的にカセットユニット1あるいはカバー2の動作を規制するものとしているが、これに限定されるものではない。例えば、カセットユニット1あるいはカバー2をモータ駆動とし、モータへの通電を制御することにより、カセットユニット1あるいはカバー2の動作を規制するものとしても良い。前記の通電制御は、例えば、カセットユニット1あるいはカバー2の位置をセンサーで感知することによってなすことができる。
【0036】
また、物理的にカセットユニット1あるいはカバー2の動作を規制する場合であっても、本実施形態のようにカバー規制手段31とカセットユニット規制手段32を別個独立に設けたものではなく、リンク機構等により両者を連動させるように構成しても良い。
【0037】
また、本実施形態では、カセットユニット1の定位置と引き出し位置との間の移動とは異なる方向である取外し方向への移動を係合により規制するカセットユニット取外し規制手段4を備えている。本実施形態では、カセットユニット1の一部であるカセット本体10が定位置から上方へ移動することを規制している。このカセットユニット取外し規制手段4は、図4に示すものであり、薬剤供給装置Mのうち、カセットユニット1の左右側の各々外部から対向して、カセットユニット1(特にカセット本体10)の上方を覆うように、張り出して形成されたものである。
【0038】
カセットユニット1が定位置にある場合、カセットユニット1(特にカセット本体10)の上方にカセットユニット取外し規制手段4が存在するため、本実施形態では、カセットユニット1のカセット本体10を上方に取り外すことができず、不意にカセット本体10が取り外され、アンダータブレットカセットが露出してしまい、薬剤供給装置Mの内部に異物等が混入することを防止できる。そして、カセットユニット1が引き出し位置にある場合、カセットユニット取外し規制手段4はカセットユニット1(特にカセット本体10)の上方への移動を規制しないため、カセット本体10を取り外して、粉塵の清掃等を容易に行うことができる。
【0039】
また、カセット本体10を取り外し、その外されたカセット本体10の薬剤小分け枡11に薬剤を手撒きすることもできるため、薬剤の供給作業を、場所が制限されることなく容易に行うことができる。そして、カセット本体10を複数用意しておいた場合には、薬剤の供給(手撒き)作業が完了したカセット本体10を、錠剤を払い出して空になったカセット本体10と交換することで薬剤供給装置Mにおける薬剤供給を効率良く行うことができ、その後の分包作業も効率良く行える。
【0040】
なお本発明は、薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置Mにおいて、薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニット1と、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、このカセットユニット1を上方から覆う閉じ位置と、カセットユニット1が露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバー2と、前記カセットユニット1とカバー2との動作を関連付ける関連付け機構3とを備え、前記関連付け機構3は、前記カセットユニット1が引き出し位置にある場合に前記カバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制することもできる。
【0041】
前記構成によると、関連付け機構3がカバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制するため、カセットユニット1が引き出し位置にある場合にカセットユニット1が引き出された部分にできる空間をカバー2が覆うことができる。
【0042】
また、本発明は、薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置Mにおいて、薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニット1と、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、このカセットユニット1を上方から覆う閉じ位置と、カセットユニットが露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバー2と、前記カセットユニット1とカバー2との動作を関連付ける関連付け機構3とを備え、前記関連付け機構3は、前記カバー2が前記開き位置にある場合に前記カセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制することもできる。
【0043】
前記構成によると、関連付け機構3がカセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制するため、カバー2が開き位置にある場合にカセットユニット1が引き出されて空間ができてしまうことを防止できる。
【0044】
また、本発明は、薬剤を小分けして供給できる薬剤供給装置Mにおいて、薬剤を供給可能な定位置と、前記定位置からずれた引き出し位置との間で移動可能に設けられ、薬剤を前記小分けした状態で一時的に留めておくことのできるカセットユニット1と、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、このカセットユニット1を上方から覆う閉じ位置と、カセットユニットが露出した開き位置との間で移動可能に設けられたカバー2と、前記カセットユニット1とカバー2との動作を関連付ける関連付け機構3とを備え、前記関連付け機構3は、前記カセットユニット1が引き出し位置にある場合に前記カバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制するカバー規制手段31と、前記カバー2が前記開き位置にある際、前記カセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制するカセットユニット規制手段32とを備えたものとできる。
【0045】
前記構成によると、カバー規制手段31がカバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制するため、カセットユニット1が引き出し位置にある場合にカセットユニット1が引き出された部分にできる空間をカバー2が覆うことができ、かつ、カセットユニット規制手段32がカセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制するため、カバー2が開き位置にある場合にカセットユニット1が引き出されて空間ができてしまうことを防止できる。
【0046】
そして、本発明では、前記カバー規制手段31が、カバー側とカセットユニット側のうち一方に設けられた第1カバー規制部材311と、同他方に設けられた第2カバー規制部材312とを備え、前記第1カバー規制部材311は引掛部311aを有し、前記第2カバー規制部材312は、前記引掛部311aに対して引っ掛かることのできる部分である被引掛部312aと、前記被引掛部312aが設けられていない部分である開放部312bとを有し、前記カバー規制手段31は、前記カセットユニット1が少なくとも引き出し位置にある場合に、前記引掛部311aと前記被引掛部312aとが引っ掛かることで前記カバー2が開き位置へと移動することを規制し、そして、前記カバー規制手段31は、前記カセットユニット1が定位置にある場合に、前記引掛部311aが前記開放部312bを通過することで前記カバー2が開き位置へと移動することを許容するものとできる。
【0047】
前記好ましい構成によると、引掛部311aと、被引掛部312a及び開放部312bとによりカバー規制手段31を構成でき、比較的簡素な構成でありながら、カバー2を閉じ位置で保つようにカバー2の動作を規制及び許容できる。
【0048】
また、本発明では、前記カセットユニット規制手段32が、前記カセットユニット1以外の部分に設けられた第1カセットユニット規制部材321とカセットユニット1に設けられた第2カセットユニット規制部材322とからなり、前記第1カセットユニット規制部材321は、前記カバー2の開閉動作に連動するものであり、前記カバー2が前記開き位置にある際に、前記カセットユニット1の引き出しを規制するように前記第2カセットユニット規制部材322に係合するものであることもできる。
【0049】
前記好ましい構成によると、第1カセットユニット規制部材321とこの第1カセットユニット規制部材321に係合する第2カセットユニット規制部材322とによりカセットユニット規制手段32を構成でき、比較的簡素な構成でありながら、カセットユニット1を定位置で保つようにカセットユニット1の動作を規制できる。
【符号の説明】
【0050】
1 カセットユニット
10 カセット本体
2 カバー
3 関連付け機構
4 カセットユニット取外し規制手段
31 カバー規制手段
311 第1カバー規制部材
311a 引掛部
312 第2カバー規制部材
312a 被引掛部
312b 開放部
312s 空間
32 カセットユニット規制手段
321 第1カセットユニット規制部材
322 第2カセットユニット規制部材
M 薬剤供給装置
図1
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図9