(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の詳細を図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0010】
(実施形態1)
図1は本発明の第1の実施形態に係る携帯機器保持具の斜視図であり、
図2は同保持具の正面図、
図3は同保持具の上面図、
図4は同保持具の保持部の展開図、
図5は同保持具の使用状態を示す斜視図、
図6は同保持具の使用状態を示す上面図、
図7は同保持具の使用状態を示す側面図である。
【0011】
本発明の第1の実施形態に係る携帯機器保持具10は携帯電話やスマートフォン、PDA、デジタルカメラ、携帯ゲーム、携帯音楽プレーヤー等の携帯機器を身につけて保持する携帯機器保持具であり、携帯機器の保持部1と、体に巻くベルト部2とからなる。保持部1は携帯機器を挟んで保持すべく対向する前面部3と後面部4と、前面部3と後面部4を繋ぐ底部5と、前面部3の左右に延びる耳部6aと、後面部4の左右に延びる耳部6bとを有し、耳部6a、6bの先端部にはベルト部2との連結孔8を有し、この連結孔8にベルト部2が連結されて保持部1とベルト部2とで体に巻くことが可能な環を形成している。
【0012】
本実施形態の保持部1は
図4に示すように四隅を左右に延伸して形成した四つの耳部6a、6bを有する一枚のシート体からなり、6a、6bの先端部にはそれぞれ連結孔8を有する。
図1〜3に示すようにこのシート体を二つに折って、携帯機器を保持する前面部3と後面部4と、前面部3と後面部4の下端を繋ぐ底部5と、前面部3と後面部4の左右に延びる耳部6を形成し、重なった前面部側の耳部6aと後面部側の耳部6bの二つの連結孔8をベルト部2の端部の留め具7でとめることによって、上方に開口する広幅の携帯機器の挿入口9を形成すると共に、折り返した底部5の両サイドに左右方向に開口する一対の開口部11を形成している。
【0013】
保持部1(前面部、後面部、底部、耳部)は保持した携帯機器にあわせて、また使用時に身体に沿って曲がる可曲性または可撓性を有する素材で、皮革、布、繊維、合成樹脂、紙、金属、ゴム、シリコン等の単一または複合した薄いシート体、例えば鞄やポーチ等に使われているものが使用できる。伸縮性を有する素材とすると携帯機器の出し入れがしやすい。また、クッション性を有する素材を使用すると携帯機器を保護することができる。
【0014】
底部5や耳部6に折れやすいように複数の折線を入れることにより、硬質の素材、例えば合成樹脂や金属も保持部1の素材として使用できる。また、前面部3と後面部4を木や金属、合成樹脂等の剛性材とし、底部5や耳部6を繊維や皮革等の柔軟な素材としてもよい。前面部3や後面部4を曲げる力がかかっても平面を維持できるような剛性を有する硬質な素材とすると保持した携帯機器を保護することができる。保持部1(前面部、後面部、底部、耳部)は平板に限らず、帯状体を組み合わせたもの、編み物、一部を厚地構造としたもの、メッシュ状やレース状に穴の開いたもの等としてもよく、携帯機器を挟んで保持することが可能なものであればよい。
【0015】
保持部1を縁のほつれ処理を必要としない素材、例えば皮革、フェルト、不織布、シリコン、合成樹脂シートとすれば成型または型抜きした素材を二つに折り曲げて耳部6a、6bをとめるのみで保持部1が形成され、製造工程を大幅に減らした生産性の非常に高い保持具を作ることができる。
【0016】
また、保持部1を紙や合成樹脂等の薄いシートにより形成すると表面に印刷がしやすく、多様なバリエーションの展開が容易で、意匠製の高い色柄、形状の保持部を安価に提供できる。表面に家庭用プリンタで印刷可能となる処理を施し、使用者が好みの写真やグラフィックをプリントできるようにしてもよい。
【0017】
本実施形態では保持部1は挿入口9が広幅で底部5が狭幅で、左右に延びる耳部6から底部5にかけて徐々に幅が狭くなっている略T字形または略Y字形の形状であるが、逆三角形等の形状でもよく、携帯機器を挿入できて保持部1から携帯機器が落ちない程度の大きさ、形状であればよい。長方形等の幾何学形の他、動物や植物、またはアート、文字、イラスト、キャラクター等の形あるいは柄としてもよく、販促品やギフト品と応用範囲が広く、多様な展開が可能である。
【0018】
挿入口9は携帯機器を挿入可能な大きさ、開口部11は携帯機器が抜け落ちない程の大きさであるが、挿入口9の幅は異なったサイズの携帯機器を保持できるように、また携帯機器の出し入れがし易いように大きめで、例えば保持する携帯機器の幅の1.2倍以上であることが好ましい。後述するように保持する携帯機器に対して大きめでも携帯機器保持具10を体に巻いて使用時には耳部6が携帯機器の幅にあわせて曲がることにより、どのような携帯機器にも対応でき、携帯機器は非常に安定して保持される。また、本実施形態では底部5は携帯機器K1より狭幅であるが携帯機器より少し広幅としても安定して保持できる。
【0019】
耳部6a、6bは前面部3と後面部4の上部の左右を延伸して形成したもので先端は幅狭で基端に向かって幅広に形成されている。このように構成するとベルト部2の引っ張る力が前面部3と後面部4に分散して伝わり、保持した携帯機器をより広い面で挟持することができるため安定して保持できる。本実施形態では回動時に干渉しないよう耳部6の先端部は連結孔8と同心円弧状に丸められた形状である。
【0020】
連結孔8は留め具7を通してとめることが可能な大きさの円形の穴で、連結に耐える強度を有する。耳部6がゴム、シリコン等の強度のない素材の場合は連結孔8をハトメ等で補強するのが好ましい。
【0021】
図1、2に示すように保持部1の挿入口9の後面側の縁4eは前面側の縁3eより高く形成されている。このように形成すると携帯機器の挿入時に後面部4がガイドとなり携帯機器を容易に挿入することが可能になる。本実施形態では後面側の縁4eを舌状に延伸して前面側より高くし、さらに前面側の縁3eを凹ませて低く形成しいるが、どちらか一方でもよい。
【0022】
また、
図3に示すように保持部1の挿入口9の前面側の長さは後面側の長さより長く形成されており、前面部3は後面部4から浮き上がって前方に膨らみ、間に空間がある。本実施形態では
図4に示すように前面部の耳部6aの左右の連結孔間の幅D3が後面部の耳部6bの連結孔間の幅D4より広い。このように形成すると体に巻いて保持部1が湾曲した時にも挿入口9が少し開いた状態となるため、携帯機器の挿入がしやすく、また携帯機器保持時にも後面部4が弛まずに保持できる。
【0023】
保持部1は保持する携帯機器K1の長手方向の長さD1より短く形成されており、保持した携帯機器K1の上端の一部、好ましくは携帯機器K1の長手方向の長さD1の1/6以上が挿入口から露出するように構成されている。このように構成すると露出した部分をつまむことができ、取り出しが容易となる。
【0024】
両サイドから底部までの縁が連続して閉じた、底部の両サイドに角を有する従来の箱状や袋状の収納具では角が携帯機器に比して大きすぎるとあそびができ、小さすぎると伸びたり皺ができるため収納する携帯機器のサイズや厚さ、形状に合わせた形状とする必要があったが、本実施形態のような保持部に耳部を有し、底の両サイドを切り取ったような角のない形状とすると、保持部1の底部5は狭幅で両サイドが開いているため保持した携帯機器の角が露出して携帯機器の幅や角の形状に関係なく、一つのサイズで多くの種類の携帯機器に対応できる。例えば
図2に示すように携帯機器K1と大きさ、形状の異なる携帯機器K2も保持できるので保持する携帯機器のサイズ、形状を問わず汎用性がある。
【0025】
また、折り返した底部5は両サイドが左右方向に開いているため、変形自在で保持した携帯機器下端部の形状や厚みに沿って湾曲してぴったりフィットする。また、底部5を押して保持した携帯機器を上方に押し出すこともできる。さらに、携帯機器の側面にある操作ボタンが操作でき、開口部11を通して携帯機器の接続端子にイヤホンや充電ケーブル等の接続が可能となる。
【0026】
ベルト部2は腰回りに巻いたり肩から斜めに掛けられるような長い帯状で、両端は耳部6と連結可能に構成されている。ベルト部2は腰等の身体に巻けるものであればよく、紐状またはチェーン状等でもよい。素材は通常の腰ベルトや鞄のショルダーストラップ等に使われる皮革、布、繊維、合成樹脂等が考えられるが、ゴム、シリコン等の伸縮性のある素材とすると装着時のフィット感が高く、保持部にテンションがかかり保持した携帯機器がより抜け落ちにくく、また出し入れも容易となる。
【0027】
ベルト部2は長さ調節手段12を有し、腰回りや肩から斜め掛け等、巻く部位に合わせて、長さ調節可能に構成されている。本実施形態では長さ調節手段12はサスペンダーに使われるアジャスターであるが、コキ等の他の公知のものを用いてもよいし、バックル等でベルト部2を連結、解放可能に、かつ長さ調節可能に構成してもよい。
【0028】
耳部6と連結するベルト部2の端部は二重に形成されて対向面に留め具7が取り付けられ、留め外し可能に構成されている。本実施形態ではベルト部2の一方の端部は革皮等よりなる板体をカン15を通して二つ折りにして二重に、もう一方の端部は二つの板体でベルト部2の端部を挟んで接合して二重に構成されている。
図1に示すように留め具7は雄部7aと雌部7bが嵌合するスナップボタンとし、雄部7aを耳部6a、6bの連結孔8を通し、雌部7bと嵌合してとめることにより保持部1とベルト部2が留め具7を軸としてベルト部2の端部が耳部6の端部を挟んだ状態で回動可能に連結されている。
【0029】
保持部1とベルト部2を直接、または角カン等で回動不可に連結すると、肩や腰等に斜めに巻いた場合に挿入口の前面部側の縁が身体から浮き上がる一方、ベルト部の下辺側に引っ張る力が強く働くため、携帯機器を保持部が均等に挟持できず抜け落ちやすいが、回動可能とすると保持部とベルト部が自由に動くため、
図7のように斜めに巻いても保持部の前面部側の縁3eは浮き上がることがなく身体に沿ってフィットし、また、携帯機器を保持部が均等に挟持し、安定した保持が可能となる。
【0030】
留め具7はスナップボタンの他、ジャンパーホック、ボタン、ギボシ、ナスカン、フック、カラビナ等、他の留め具を使用してもよいが、ベルト部と保持部をベルト部の面と耳部の面に垂直な回動軸により回動可能に連結できることが可能なものが好ましい。
【0031】
ベルト部2の端部と耳部6の端部に互いに係合する留め具を取り付けて連結してもよいが、ベルト部を引っ張る力が掛かると係合面が斜めになり外れやすいため、ベルト部と耳部の少なくともどちらか一方の端部は二重に形成され、他方の端部を挟んだ状態で回動するように連結する構成とするのが好ましい。本実施形態ではベルト部の端部を二重に形成しているが、逆に耳部を二重に形成してベルト部の端部を挟んで連結するように構成してもよい。
【0032】
留め具により保持部とベルト部の連結は両端で取り外し可能に構成しているが、片端のみ取り外し可能としてもよく、また連結は外せないようにしてもよいが、両端で取り外し可能な構成とする保持部が取り外せて付け替え可能で、保持部とベルト部を自由に組み合わせることができるので好ましい。
【0033】
図2に示すようにベルト部2と耳部6の連結の中心を結んだ線L1(本実施形態では留め具7の中心を結んだ線)が保持した携帯機器K1の下端から1/2から上端の間、好ましくは携帯機器K1の下端から5/9から8/9の間、より好ましくは携帯機器K1の下端から3/5から4/5の間の位置にくるようにベルト部2は保持部1と連結されている。
【0034】
上記より上や下の位置にベルト部2が連結されていると、装着時に走る等の激しい運動をした時に保持部1がぶらぶら揺れて安定せず、保持部1が大きく揺れて上下逆さまになり、開口部9が下を向いて保持した携帯機器が落下することがある。試作での試験の結果、上記の位置とすると後述するように保持部1が携帯機器K1を上記連結位置を中心に挟持して身体側に引きつけるので携帯機器K1がぶらぶら揺れることなく非常に安定して保持できる。
【0035】
この携帯機器保持具10の使用方法を説明すると、
図5、
図7に示すように携帯機器保持具10を腰部等の体に巻いて携帯機器K1を保持部1の挿入口9から挿入すと、
図6に示すように、保持部1の左右の耳部6a、6bは挿入した携帯機器K1の幅にあわせて曲がり、携帯機器K1は前面部3と後面部4に挟まれて保持される。
【0036】
従来の収納具は収納した携帯機器との間に隙間があると中で動いて安定しないため、収納具は携帯機器ぴったりか少し小さい大きさで出し入れがしにくかったが、本発明の保持具は耳部6を有し、挿入口9の幅が携帯機器K1の幅より広く、挿入口が大きく開き、さらに底部5の両サイドが開いているため携帯機器を斜めに挿入することも可能で携帯機器の出し入れが非常にしやすい。
【0037】
携帯機器K1を保持して荷重が下方に掛かると、
図6に示すようにベルト部2が保持部1(耳部6a、6b)を左右に引っ張る力F1、F2が生じて、保持部1(前面部3と後面部4)が収納した携帯機器K1を前後両面から挾持する力F3、F4が発生する。この携帯機器K1を挾持する力F3、F4により蓋がなくても携帯機器K1が落ちないという効果を発揮する。
【0038】
さらに、腰に巻いた携帯機器保持具10に携帯機器K1の加重がかかると
図7に示すように斜めに掛かり、保持部1は身体側に引き寄せられ、携帯機器K1を身体側に押し付ける力F5が発生し、携帯機器K1がぶらぶらせずに体に密着して非常に安定して保持することが可能になる。
【0039】
従来の収納具はサイズがぴったりでないと収納物が中で動いて安定しなかったが、上記の携帯機器を挾持する力F3、F4と身体側に押し付けるF5が働き、さらに耳部6が身体のラインに沿って曲がることにより携帯機器がどのようなサイズでも中で動いたりすることがなく安定して保持できるため、保持部1は携帯機器のサイズぴったりである必要はない。よってワンサイズで様々なサイズ、形状、厚みの携帯機器を安定して保持でき、汎用性に優れる。
【0040】
携帯機器K1を保持部1に左寄りに挿入した場合は左の耳部6aの曲率が大ききくなり、上記の左右に引っ張る力F1、F2と身体側に押し付けるF5がかかると、携帯機器K1の左側の角に大きな力が、右寄りに挿入した場合は右側の角にに大きな力がかかるため、歩行等で体が動いて保持部1が動くことにより携帯機器K1が保持部1のほぼ中央に移動して安定して保持される。
【0041】
また、携帯機器K1を保持部1に斜めに挿入しても歩行等で体が動いて保持部1が動くと携帯機器K1の荷重により携帯機器K1の底面と保持部1の底部5の面が平行に接するようにまっすぐに保持される。
【0042】
ベルトに通したり、カラビナ、フック等で衣類に取り付ける収納具は、取り付けた場所一点に荷重がかかるため、取り付け場所が変形したり下方に引っ張られて重量感を感じるが、本発明の携帯機器保持具は腰等の身体に巻いて使用するので、保持した携帯機器の重量はベルト部が身体を締め付ける方向の力に換わり、荷重が分散されて携帯機器の重量感を軽減できる。
【0043】
底の両サイドに角を有する袋状や側面部を有する箱状の従来の収納具では、携帯機器を収納すると平面となるため、携帯機器より一回り大きい収納具の角が身体の面から大きく浮き上がり、引っ掛かりたりして邪魔になり見栄えも悪いが、本発明のような保持部に側面部がなく耳部を有し、底部の両サイドを切り取った角のない構成とすると、保持部1の底部5は狭幅で両サイドが開いているため、身体の面から大きく浮き上がらず、また、
図6に示すように耳部6が曲がって携帯機器の平面と身体の曲面とをなだらかに連続する面で繋ぐため、身体からの突起物にならないので邪魔にならず、歩行時に引っ掛かったりしないので安全である。また、身体にフィットして装着感に優れ、見栄えも良い。
【0044】
携帯機器K1を取り出す時は携帯機器K1を上方に引き抜くと下方に掛かっていた荷重がぬけて保持部1が携帯機器K1を挟持する力がなくなるため携帯機器K1は瞬時に容易に取り出せる。携帯機器保持具は身体の面に沿ってほぼ面一となり、突起物がなく、じゃまにならず、嵩張らない。
【0045】
(実施形態2)
図8は本発明の第2の実施形態に係る携帯機器保持具20の斜視図である。
図8に示すように本実施形態は実施形態1の携帯機器保持具の保持部の耳部の先端部を別部材としたものである。つまり前面部23と後面部24の上部を左右に延伸して形成した耳部26a、26bの先に薄板状の先端部26cを有する。先端部26cは耳部26aと耳部26bの間に挟んで縫合等により接合されている。
【0046】
本実施形態の保持部21は長手方向の両端部が広幅で中間部が狭幅のシート体を二つに折ることにより、携帯機器を挟んで保持する対向する前面部23と後面部24と、前面部と後面部を繋ぐ底部25と、左右に延びる耳部26a、26bを形成し、重なった広幅の両端部の左右の両サイド(耳部26a、26b)を、耳部の先端部26cとなる薄板体を挟んで縫合等でとめることによって、上方に開口する広幅の携帯機器の挿入口29を形成すると共に、折り返した底部25の両サイドに左右方向に開口する一対の開口部22を形成している。
【0047】
耳部の先端部26cは薄板状で連結に耐える強度を有し、使用時に身体に沿って曲がる可曲性または可撓性を有する素材で、例えば合成樹脂、繊維、金属等が使用できる。
【0048】
耳部の先端部26cにはベルト部2との連結孔28を有し、ベルト部2の端部に設けた留め具7をこの連結孔28を通してとめることで耳部26にベルト部2が回動能可に連結されている。本実施形態では耳部の先端部26cを別部材としたが、前面部側の耳部26aか後面部側の耳部26bのどちらか一方を延伸させて先端部としてもよい。
【0049】
本実施形態のような構成とすると耳部26とベルト部2との連結部の厚さををより薄くすることができる。また、ベルト部2と連結される耳部26の先端部26cは別部材であるため、保持部21の素材の自由度が高まる。また、前面部側の耳部26aと後面部側の耳部26bは縫合等で接合されて保持部21の両サイドが上下に広い長さでとめられているため携帯機器をより安定して保持できる。
【0050】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同様である。
【0051】
(実施形態3)
図9は本発明の第3の実施形態に係る携帯機器保持具の斜視図である。本実施形態の携帯機器保持具30は携帯機器の保持部31と、体に巻くベルト部32とからなる。保持部31は携帯機器を挟んで保持すべく対向する前面部33と後面部34と、前面部33と後面部34を繋ぐ底部35と、前面部33の上部の左右に延びる耳部36aと後面部34の上部の左右に延びる耳部36bとを有する。耳部36a、36bの先端部はベルト部32と連結されてとめられ、携帯機器の挿入口39と、底部35の左右に一対の開口部38を形成している。
【0052】
前面部33は皮革、布、繊維、合成樹脂、ゴム、シリコン等の単一または複合した薄い板状体である。保持した携帯機器にあわせて、また使用時に身体に沿って曲がる可曲性または可撓性を有する素材であることが好ましい。
【0053】
後面部34は金属、合成樹脂等の曲げる力がかかっても平面を維持できるような剛性を有する硬質の薄い平板である。前面部33と同じ部材とし、剛性材を芯材等として補強したものであってもよい。また、後面部34全てが剛性材である必要はなく一部、例えば携帯機器の幅の部分のみでもよい。
【0054】
使用時に保持した携帯機器が身体に押し付けられると、ジーンズのリベット等の金具やポケット等の生地の合わせ目で携帯機器の筐体や画面等が破損する可能性があるが、本実施形態のように後面部34を剛性を有する平板とすると後面部34は携帯機器と平面で接し、身体に強く押し付けられても一点に力がかからないので携帯機器の画面等を保護することができる。さらに、使用時には耳部36が身体に沿って曲がる一方、後面部34は曲がらないため耳部36が携帯機器を保持部31の中央に移動させ、安定して保持できる。
【0055】
底部35は前面部33と後面部34の下端に接着、縫合等により接合され、前面部33と後面部34を繋ぐシート状の素材で、保持した携帯機器の底の形状にあわせて曲がる皮革、繊維等の可曲性の部材である。前面部33と後面部34の下端同士を縫合等で接合して底部としてもよい。
【0056】
耳部36は前面部33と後面部34の左右の端部に接着、縫合等により接合され、左右に延びる可曲性の部材である。保持した携帯機器の出し入れがしやすいように伸縮性を有する素材としてもよい。
【0057】
ベルト部は実施形態1と同様のものであるが、長さ調節手段52は腰ベルトに一般に用いられるバックルとし、ベルト部を長さ調節可能、かつ連結、解放可能に構成されている。
【0058】
ベルト部32の端部と耳部36a、36bの端部には連結孔を有し、該連結孔を通して留め具37でとめることにより、前面部側の耳部36aの端部と後面部側の耳部36bの端部とがベルト部32の端部を挟んだ状態で回動自在に連結されている。本実施形態では留め具37はカシメとし、保持部31とベルト部32は取り外せない構成としているが、実施形態1のようなスナップボタン等の他の留め具として取り外し可能な構成としてもよい。
【0059】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同様である。
【0060】
(実施形態4)
図10は本発明の第4の実施形態に係る携帯機器保持具の斜視図である。本実施形態の携帯機器保持具40は携帯機器の保持部41と、体に巻くベルト部42とからなる。保持部41は携帯機器を挟んで保持すべく対向する前面部43と後面部44と、前面部43と後面部44を繋ぐ底部45と、前面部43の左右に延びる耳部46aと後面部44の左右に延びる耳部46bを有する。耳部46a、46bの先端部はベルト部42と連結され、保持部41とベルト部42とで体に巻くことが可能な環を形成している。
【0061】
本実施形態の保持部41は実施形態1と同様、四隅を左右に延伸して形成した四つの耳部46a、46bを有する一枚のシート体からなり、このシート体を二つに折って、携帯機器を保持する前面部43と後面部44と、前面部43と後面部44の下端を繋ぐ底部45と、前面部43と後面部44の左右に延びる耳部46を形成し、前面部側の耳部46aと後面部側の耳部46bを重ねてとめることによって、上方に開口する広幅の携帯機器の挿入口49を形成すると共に、折り返した底部45の両サイドに左右方向に開口する一対の開口部48を形成している。
【0062】
ベルト部42と保持部41は、保持部側ではカン47を通して二つ折りにした皮革等の板状の部材53で前面部側の耳部46aと後面部側の耳部46bの端部を挟んで縫合等でとめて、ベルト部側も同様にカン47を通して二つ折りにした板状の部材54でベルト部42の端部を挟んでとめることにより、保持部41とベルト部42はカン47を介して回動可能に連結されている。
【0063】
本実施形態では保持部41とベルト部42はDカンを介して連結されているがこれに限定されることはなく、丸カン等でもよく、他にも保持部とベルト部を連結できるものであればよい。また、ベルト部と耳部は一体的に形成されたものであってもよいが、ベルト面と耳部面に垂直な回動軸により回動可能に連結すると斜めにかけた場合に保持部が身体の面に密着し携帯機器が抜け落ちにくく好ましい。
【0064】
ベルト部は実施形態1と同様のものであるが、長さ調節手段52は腰ベルトに一般に用いられるバックルとし、ベルト部を長さ調節可能、かつ連結、解放可能に構成されている。
【0065】
本実施形態のような構成とすると耳部46の端部が上下に広い範囲で縫合等により接合されてとめられているので保持した携帯機器が斜めになりにくく、保持部に安定して保持される。また、メッシュ状、編み物、帯状体等の単体では強度がなくベルト部との連結が難しい素材も保持部として使用できる。
【0066】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同様である。
【0067】
上記実施形態1〜4の本発明の携帯機器保持具は今までの収納具にあった蓋がなく、蓋の開け閉めの必要がなく、挿入口が大きいので携帯機器の出し入れがしやすい。さらに側面部がなく左右に延びる耳部にベルト部が連結されているため、保持部が様々なサイズ、形状、厚みの携帯機器にあわせて変形し、携帯機器をしっかりと安定して保持でき、汎用性に優れる。構造を簡略化でき部品数が少なく、縫製行程を減らすことで製造に要する工程及びコストを低減でき、生産性の高い保持具を提供できる。
【0068】
本発明の携帯機器保持具はスカートやワンピース等、どのような服にも使用できて身体にフィットして装着感に優れる。従来の袋状や箱状の収納具と違い側面がなく、薄くて嵩張らず、衣類との一体感があり見栄えがよく、ファッション性が高いため女性でも快適に携帯機器を身につけて持ち歩くことができる。