(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799433
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】芝生清掃車の集塵装置
(51)【国際特許分類】
A01B 45/00 20060101AFI20151008BHJP
A01G 1/12 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
A01B45/00
A01G1/12 B
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-247586(P2013-247586)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-104339(P2015-104339A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2013年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000247904
【氏名又は名称】有限会社河島農具製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】河島 隆則
【審査官】
柴田 和雄
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭52−037377(JP,U)
【文献】
実開平04−077751(JP,U)
【文献】
特開2003−143954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 45/00
A01G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芝生上のゴミをブラシケース内で回転駆動するブラシで掻き揚げて空気と共に掻揚風胴を通って送り込まれるタンクの後方開口部をタンクの上方で軸支されて開閉自在な扉部材で閉塞しているタンク内に導入し、該タンク内に大きいゴミを貯留させると共に空気と一緒に送り込まれた細かいゴミを排出する通風孔を前記扉部材に具備する芝生清掃車において、
前記扉部材の通風孔から排出される空気と網目を通過した細かいゴミを扉部材の下方向へ導く通風胴の排出口の開口面積は前記通風胴の途中経路の断面積よりも小さく形成されるようにして複数個設け、前記排出口の下方に水面が位置するように細かいゴミ吸収用の水タンクを設けたことを特徴とする芝生清掃車の集塵装置。
【請求項2】
前記通風胴は、通風孔から噴き出される空気と細かいゴミが当たる対向内面が外側へ膨出した曲面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の芝生清掃車の集塵装置。
【請求項3】
前記通風胴の排出口は横長であることを特徴とする請求項1又は2に記載の芝生清掃車の集塵装置。
【請求項4】
前記水タンクは前記扉部材の下方に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の芝生清掃車の集塵装置。
【請求項5】
前記水タンクは、水タンク内面の上方に内側に傾斜した水飛散防止板を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の芝生清掃車の集塵装置。
【請求項6】
前記水タンクは、前記扉部材のタンクの閉塞板の該側面に高さ位置可変に取付けられている水受ガイドに着脱自在に載置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の芝生清掃車の集塵装置。
【請求項7】
前記水受ガイドは、前記水タンクを載置する底面の両側の側面板に前記閉塞板の外側面に設けられた水受上下調整枠のノッチのその両側を固定するための握り手を設けたことを特徴とする請求項6に記載の芝生清掃車の集塵装置。
【請求項8】
前記水タンクの上面が上側を扉部材に固定されている柔軟性部材によって覆われていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の芝生清掃車の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、芝刈機や草刈機などを用いて刈り取られた芝生や草あるいは落葉、枯れ草やホコリなどのゴミを拾い集めて芝生植え表面を清掃する芝生清掃車に取付けて使用する芝生清掃車の集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場や野球場或いは販売する芝生の芝生育成場などにおいて、芝生が成長しすぎると競技に支障が生じたり商品価値が低下するために、所定の長さ以上になれば草刈機などを用いて短くする芝生の刈り取り作業をしている。この作業時において発生した刈り取った芝生や草等を収集してゴミ捨場へ運ぶために芝生清掃車が一般に用いられている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
この従来の芝生清掃車1は、
図11〜14に示すように、車体2を走行自在に支える前輪3と後輪4の間であって、前方のエンジン駆動部5と後方のタンク積載部6の境界の下方には刈り取った芝生や草あるいはホコリも混じった大小の刈取ゴミA,aを掻き上げるため回転駆動するブラシ7を内臓するブラシケース8が設けられており、このブラシケース8から掻上風胴9を通ってタンク10内に空気と共に大小の刈取ゴミA,aがタンク10内に送られる。このタンク10に送られた刈取ゴミA,aは、タンク10内の前方上方に設けてある反射板11あるいは天井に当って下方へ向きを変えるために大きな刈取ゴミAはタンク底10aに蓄積され、細かな刈取ゴミaは空気と共に反射板11の延長上に設けられてタンク10内の後方上方にある網12の目を通り抜けてタンク10の後方端の開口部10bを開閉自在な扉部材13の閉塞板14の上方に形成してある通風孔15から閉塞板14の外側に形成している通風胴16を経由して下向きに排出口17から地面に向かって大気中に放出されている。
【0004】
そして、所定量の大きな刈取ゴミAがタンク底10aに溜ると、タンク10を車体2に設けた支点18を中心にダンプさせることで、扉部材13の閉塞板14の上方とタンク10の上方とを回転自在に固定している回転軸19を中心に重力により真下方向に扉部材13が垂れてタンク10の後方端の開口部10bと扉部材13の閉塞板14の間にできる隙間から堆積した刈取ゴミAがタンク底10aを滑ってゴミ捨場に捨てられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】有限会社河島農具製作所の2011年版カタログ「カワシマ乗用ローンスイーパー LS950D LS950HD」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来の芝生清掃車1によると、タンク内に空気と共に掻き上げられた大小の刈取ゴミA、aのうち網12の目を通り抜けた細かい刈取などのゴミaは、空気と共に通風孔15から通風胴16を経由して下向きに排出口17から地面に向かって大気中に放出されるが、ゴルフ場などのように人が近くに居る場合には細かいゴミaが大気環境を悪くして周りの人に不愉快感を与えるという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その手段とするところは、請求項1は、芝生上のゴミをブラシケース内で回転駆動するブラシで掻き上げて空気と共に掻上風胴を通って送り込まれるタンクの後方開口部をタンクの上方で軸支されて開閉自在な扉部材で閉塞しているタンク内に導入し、該タンク内に大きいゴミを貯留させると共に空気と一緒に送り込まれた細かいゴミを排出する通風孔を前記扉部材に具備する芝生清掃車において、
前記扉部材の通風孔から排出される空気と網目を通過した細かいゴミを扉部材の下方向へ導く通風胴の排出口
の開口面積は前記通風胴の途中経路の断面積よりも小さく形成されるようにして複数個設け、前記排出口の下方に水面が位置するように細かいゴミ吸収用の水タンクを設けたことを特徴とする芝生清掃車の集塵装置としたことにある。
【0008】
請求項2の発明は、前記通風胴は、通風孔から噴き出される空気と細かいゴミが当たる対向内面が外側へ膨出した曲面に形成されていることにある。
【0011】
請求項3の発明は、通風胴の排出口は横長であることにある。
【0012】
請求項4の発明は、水タンクが前記扉部材の下方に設置されていることにある。
【0013】
請求項5の発明は、水タンクは、水タンクの内面の上方に内側に傾斜した水飛散防止板を設けたことにある。
【0014】
請求項6の発明は、水タンクは、前記扉部材のタンクの閉塞板の外側面に高さ位置可変に取付けられている水受ガイドに着脱自在に載置されていることにある。
【0015】
請求項7の発明は、水受ガイドは、前記水タンクを載置する底面の両側の側面板に前記閉塞板の外側面に設けた水受上下調整枠のノッチにその両側を固定するための握り手を設けたことにある。
【0016】
請求項8の発明は、水タンクの上面が上側を扉部材に固定されている柔軟性部材によって覆われていることにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、タンクから排出される刈取りした細かいゴミ等を含んだ空気が、通風胴の排出口から水タンクの水面に向かって吹き出すように構成されているので、空気中にある細かい刈取ゴミ等は水面に衝突して水に吸収されることとなり空気中に飛散することがなくなり、周りの人に不快感を与えることがなくなる。従って、例えば、ゴルフ場の清掃に使用した場合にはゴルフのプレー中であっても清掃作業が行える利点がある。
また、通風胴の排出口の開口面積は通風胴の途中経路の断面積よりも小さく形成されているので、排出口において排出速度が速くなる結果、水タンクの水面に衝突する細かい刈取ゴミ等の衝突力も大きくなってより多くの細かい刈取ゴミ等を水面に吸収させることができる。このことにより、より排出される空気が浄化される。
加えて、排出口が複数個あるので、水タンクの水面の離れた位置へ細かいゴミを吸着させることができるので、水タンクに堆積する細かい刈取ゴミ等の位置を離れさせることができる。このために、多くの細かいゴミを1つの水タンクに収集することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、タンクから細かい刈取ゴミ等と空気が噴出される通風孔の向いの通風胴の対向内面が外側へ膨出した曲面となるように形成されているので、空気の流れが平板の場合と比べてスムーズになる利点がある。
【0021】
請求項3の発明によれば、排出口が横長となっているので、水タンクの横方向全域に亘って細かいゴミ等を堆積することができるので、多くの細かいゴミを1つの水タンクに収集することができる。
【0022】
請求項4の発明によれば、水タンクは扉部材の下方に設置されているので、タンクがダンプして後方側へ傾斜した場合であっても、扉部材が軸支されているので常に垂直方向の姿勢を維持することから、水タンクは傾くことはなく、従って、水がこぼれ出ることがない。
【0023】
請求項5の発明によれば、水タンクに設けた水飛散防止板によって、清掃車が走行する芝生等の植込み地面に凹凸があって水タンクの水面が揺れた場合にあっても飛散してこぼれ出ることを防止できるのに加えて、排出口から吹き出す細かい刈取ゴミを含んだ空気との接触の機会が増加することから、多くの細かい刈取ゴミを水に吸収させて、空気を一層きれいに浄化できる。
【0024】
請求項6の発明によれば、水タンクが閉塞板に高さ位置可変に取付けられている水受ガイドに着脱自在に固定されているので、細かい刈取ゴミが水タンクの中で堆積して背が高くなった場合には徐々に高さ位置を低くしてゆけばよいので、細かい刈取ゴミを水タンクに多く回収することができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、水受ガイドの両側面板に握り手を設けているのでこれを手で持って運ぶことができ便利であると共に、この握り手を水受上下調整枠に固定することで水受ガイドの上下位置を容易に調整できる。
【0026】
請求項8の発明によると、水タンクの上面が上側を扉部材に固定されている柔軟性部材によって覆われているので、細かい刈取ゴミが水面に衝突してもまだ一部に細かい刈取ゴミを含む空気がこの柔軟性部材によって覆われた空間内で暫く対流するので、その間に水面との接触の機会もより多くなって、より空気が浄化される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の芝生清掃車の集塵装置の全体斜視図
【
図2】芝生清掃車のタンクへの取付状態の
図1の中央横断面説明図
【
図8】水タンクと通風胴の排出口の間の柔軟性部材の取付説明図
【
図9】この発明の芝生清掃車の他の実施形態の集塵装置の全体斜視図
【
図10】この発明の芝生清掃車の更に他の実施形態の集塵装置の全体斜視図
【
図11】芝生清掃車と従来の集塵装置の一部断面全体説明図
【
図13】芝生清掃車のタンクへの取付状態の
図12の中央縦線断面説明図
【
図14】芝生清掃車に従来の扉部材を具備した時のタンクから大きいゴミを排出するダンプ状態説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
この発明の実施形態について以下図面に基づき説明する。なお背景技術の項で説明した従来技術と共通部分については、同符号を付してその説明を省略する。
【0029】
この発明の芝生清掃車1の集塵装置20は、
図1、
図2によく現れているように、通風胴16の排出口17の下方に水タンク21を置いて、排出口17から排出される細かい刈取ゴミaを含んだ空気を水タンク21の面に当てて、細かい刈取ゴミaを水に吸収させ、空気を浄化して大気へ放出することにある。
【0030】
前記集塵装置20は、タンク10の後方開口部10bを塞ぐ閉塞板14と、該閉塞板14の上方に形成した通風孔15と連通してタンク10からの細かい刈取ゴミaと空気を外部下方へ導くために前記閉塞板14の外側に設けた通風胴16と、該通風胴16の下方に設けた排出口17を具備する扉部材13と、前記排出口17の下方に水面が位置するように設置した水タンク21とを基本構成としたものである。
【0031】
前記扉部材13は、タンク10の後方開口部10bの上方で回転軸19によって芝生清掃車1の走行方向前後に回転自在となっているので、タンク10が図外のダンプ機構によって支点18を中心にその前方を持ち上げられた際には、扉部材13は自重によって地面に対して垂直方向の姿勢を維持するように回転軸19に吊り上げられた状態となる。これによってタンク10の後方開口部10bと扉部材13の閉塞板14との間に生じた間際からタンク10内に貯留している大きな刈取ゴミAが後方へ傾いたタンク10のタンク底10aを滑り落ちて地面に放出される。
【0032】
前記通風胴16の通風孔15に対向する側の通風胴16を形成する外周枠22は外側へ膨らんだ曲線を描いて流れをスムーズに下方へ方向転換するようにしている。通風胴16はその外周枠22の一部を閉塞板14と兼用してもよいし、全て別部材によって形成してもよい。通風胴16の通風部の断面積は排出口17に近づくに従って絞られて小さくなっているので、排出口17からは高速度で小さな刈取ゴミaを含んだ空気が排出されるために、小さな刈取ゴミaの水に吸収される割合が多くなるようになっている。この場合において、絞った排出口17を
図9に示すように2つに分けて設けても、
図10に示すように横方向に長くなるようにしてもよい。
【0033】
前記水タンク21は、
図1,
図2によく表われているように前記閉塞板14の外側面に高さ調節自在に固定されている水受ガイド23に載置されている。該水受ガイド23は、水タンク21を載置する載台23aとこの載台23aの両側の側板23bと2つの側板23bの間の後方を塞ぐ後方板23cとからなり、両側板23bには外側へ突出したコの字型の握り手24が固定され、又、載台23aには水タンク21を引出し易いようにベアリング25が設けられ、更に、両側板23bの開放側の端部には載台23a上の水タンク21を係止するためのストッパー26が回動自在に設けられている。このストッパー26は、
図3,
図4によく表わされているように、側板23bに固定された軸受け27に側板23bの内側への直交方向に回動するように固定されている。そして、一端を側板23bに固定された引張バネ28の他端がストッパー26の軸受27の軸の近傍の引掛け棒29に固定されることによって、側板23bの内側への係止位置及び側板23bの外側への開放位置を付勢力によって維持し得るよにしている。
【0034】
前記水タンク21は
図1,
図2によく表わされているように、前記水受ガイド23の両側板23bと後方板23cの空間に収納されて載台23aのベアリング25上へ載置されることによって、その内部に入れてある水Bの水面が排出口17に直面するようになるもので、その内部の相対向する内面には持ち運びのために手把棒30が設けられ、又、水受ガイド23の開放側の側面には引出し時に使用する取手21aが固定されている。この水タンク21の大きさは水受ガイド23の内部に納まる程度でよい。更に、
図7に示すように、水面が揺れた場合に端から飛び出さないように内面の上方に水返しとなる内側に傾斜した水飛散防止板31を設けるようにすれば、芝生走向車1が走向する地面が芝生等によって平地でない時にも水が飛び出すことを防止できる。そして、運行時には
図5に示すように前記ストッパー26を倒して水タンク21が水受ガイド23から外れないように係止し、取り出すときには、
図4に示すように、ストッパー26を反対側に対して取手21でもってベアリング25上を滑らせて引出す。
【0035】
この実施形態においては、水タンク21の高さの調節はすなわち水受ガイド23の高さの調節であるが、これは、
図5、
図6に示すように、両側板23bに設けてある握り手24を閉塞板14に縦方向に設けてある水受調整枠32の複数のノッチ32aの任意の高さ位置に掛けて、該水受調整枠32の上方に回転自在に支持されている固定枠32bを閉めてノッチ32aからの握り手24の落下を防止するようにしたものである。固定枠32bは芝生走行車1の振動によって走行中に開くことがないように固定枠32bの下方と水受調整枠32の双方に設けてあるピン穴33に差し込むピン34によって固定されている。
【0036】
上記構成からなるこの発明の芝生清掃車1の集塵装置20を用い芝生や草原上に残っている刈取ゴミA,a等を回収するには、芝生清掃車1に乗ってそれら刈取ゴミA,a等がある芝生面上を走行する。これにより、車体2の略中央下方に設けてあるブラシケース8の内側のブラシ7の回転によって、刈取ゴミA,a等が風圧によって掻き上げられて掻上風胴9を通ってタンク10内に導かれ、ここでタンク10内の上方にある反射板11に当ってタンク底10a方向に落下する時に大きい刈取ゴミAはそのままタンク底10aに堆積され、細かい刈取ゴミaは再び舞い上がって網12の目の間を空気と共に通風孔15から扉部材13の通風胴16に入る。網12を通過する際には、舞い上がった大きな刈取ゴミAは網12の目を通過できず落下してタンク底10aに堆積される。
【0037】
通風胴16に導かれた細かい刈取ゴミaと空気は外側へ膨出した外周枠22の内面の曲線によって緩やかに下方への方向転換をして排出口17から出て、その下方にある水タンク21内の水Bに衝突する。このとき、排出口17の開口面積は通風胴16の途中の断面積よりも小さくなるように絞られていることから、細かい刈取ゴミaが水と接触する割合が大きくなって、水Bに吸収される度合いが大きくなる。又、この時、水タンク21に水飛散防止板31が設けてあれば、芝生走行車1が揺れるとそれに伴って水面も揺れて内面に沿って上方へ飛散した水Bは水飛散防止板31によって再び水タンク21内に戻る過程においても細かい刈取ゴミaを含む空気と接触するために細かい刈取ゴミaの除去効率が向上する。
【0038】
このようにして、水に吸収された細かい刈取ゴミaは、水タンク21の底面に堆積して水面を越えることも生じるため、水受ガイド23を順次下方の位置へと下げていくのが好ましく、そのためにピン34を外してから固定枠32bを回転して持ち上げて水受ガイド23の握り手24を持って下方のノッチ32aに移動させて再び固定枠32bを回転して下ろしてピン34で固定する。このようにして、水タンク21内に細かい刈取ゴミaが満たされると、除去効率が低下するので、水タンク21を取り外して内部に堆積した細かい刈取ゴミaを水Bと共に所定場所に投棄する。この時ストッパー26を外してから取手21aを持って引張ると水タンク21はベアリング25上を滑って手前に容易に引出せる。そして、手握棒30を両手で持って投棄して新しい水Bを入れて逆の手順で元に戻す。
【0039】
上記のようにして、一端水面に衝突して細かい刈取ゴミaを除去された空気が大気に放出されるために、周囲に人が居ても不快感を与えることが亡くなる。尚。
図8に示すように、水タンク21の上方と排出口17のそれぞれの周囲をゴムや合成樹脂シートなど柔軟性部材35で塞いでおくことによって、細かい刈取ゴミaと水面との接触機会が多くなって、細かい刈取ゴミaの含有の少ない空気が水タンク21と柔軟性部材35の隙間から放出させることになり、又、水の飛散による水面の低下も防止できる。
【0040】
以上の説明においては、芝生刈りによる刈取ゴミの集塵装置1の場合について説明したが、芝生に代えて草原或いは芝生と草原の混合の場合でもよく、更に、刈取ゴミに限らず落葉や枯草などのゴミであっても良い。又、芝生も天然芝のみならず合成樹脂からなる人工芝でその上面に紙クズなどのゴミやアンツーカーなどが散乱している場合にも同様に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明の芝生清掃装置の集塵装置は、全国各場に多数存在するゴルフ場、ゴルフ練習場、育芝場、球戯場、野球場、人工芝運動場などにおいて広く利用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 芝生清掃車
2 車体
7 ブラシ
8 ブラシケース
9 掻上風胴
10 タンク
11 反射板
12 網
13 扉部材
14 閉塞板
15 通風孔
16 通風胴
17 排出口
20 集塵装置
21 水タンク
23 水受ガイド
26 ストッパー
31 水飛散防止板
35 柔軟性部材