(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
通常、ペーパーホルダーは、枠状をなすホルダー本体と、ロールペーパーを回転可能に支持する支持軸と、該ロールペーパーの上部を覆うような曲面状の押さえ板と、を有しており、該ホルダー本体に支持軸を着脱可能に、かつ押さえ板を上下方向に回動自在に取り付けて構成されている。そして、ペーパーの切断時には、片方の手で該ロールペーパーからペーパーを適度な長さで引き出し、もう片方の手で押さえ板を押さえつつ、該押さえ板先端のエッジにペーパーを当てて引っ張る、という操作を行う。
しかし、上記した通常のペーパーホルダーの場合、ペーパーの切断に際して両方の手の使用が前提となっており、特に身障者や高齢者等のような右半身や左半身が不自由な者や、片麻痺などで片手しか自由に使えない者には使用が難しいため、ペーパーを片手で切断することができるように構成したペーパーホルダーが提供されている(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。
上記ペーパーを片手で切断することができるように構成したペーパーホルダーは、板状をなすカッター部材を備えている。該カッター部材の先端には切断刃が設けられており、また先端と基端との間の中間部には回動軸が設けられている。該カッター部材は、ペーパーを繰り出す進路上に該切断刃が配置されるように、ペーパーホルダーに該回動軸を介して枢着されている。そして、ペーパーを切断する際には、該ペーパーを切断刃に押し当てることにより、該カッター部材が該回動軸を中心に回動し、該カッター部材の基端がペーパーを押さえ付けることで、片手でペーパーを切断可能としている。
また上記従来のペーパーホルダーは、上記ペーパーを切断しようと上記切断刃に押し当てる力を利用し、上記カッター部材を回動させ、該カッター部材の基端でペーパーを押さえ付ける構成としているが、該基端でペーパーを押さえ付ける力が弱いので、エッジ状の切断刃では切断時にペーパーが滑ってしまい、該ペーパーをきれいに切断することができない。このため上記従来のペーパーホルダーは、切断刃を鋸歯状とし、該切断刃の該ペーパーに対する切断能力を向上させるとともに、該切断刃に手指が触れないように、該切断刃を外側から安全カバーで覆う構成とし、切断時には該安全カバーがカッター部材に対して回動することで、該切断刃を露出させるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記従来のペーパーホルダーは、切断刃が外部に露出して配置されており、さらに上記安全カバーは、手指で触れると簡単に回動し、該切断刃を外部に露出させてしまうので、誤って手指が切断刃に触れたときの安全性が十分でないという問題があった。
加えて、ペーパーの切断時に該ペーパーを切断刃に押し当てるときには、カッター部材が回動することで逃げるように動く切断刃に対し、これを追いかけるように該ペーパーを動かす必要があるので、該切断刃による該ペーパーの切断力が好適に発揮されず、さらにペーパーを引く手を大きく動かさなければならないという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、十分な安全性を有するとともに、片手でペーパーを簡易かつ好適に切断することができるペーパーホルダーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載のペーパーホルダーは、トイレ用のロールペーパーを支持するホルダー本体と、該ロールペーパーから繰り出したペーパーを切断する切断機構部と、を有するペーパーホルダーであって、上記切断機構部は、上記ホルダー本体に装着される枠体と、該枠体の内側に設けられた繰出口及び壁部と、を有しており、上記ロールペーパーから引き出した上記ペーパーを、上記壁部の内面側となる上記枠体の内部に挿入し、上記繰出口を通して上記壁部の外面上に繰り出すように構成されており、上記枠体の内部には、先端に切断刃が設けられるとともに基端に回動軸が設けられた可動刃を、該回動軸を介して回動自在に枢着し、さらに上記壁部で該切断刃と対応する箇所に貫通孔を設けることにより、上記切断刃は、上記貫通孔から上記枠体の内部に引き込まれた待機位置と、上記貫通孔から上記壁部の外面上に出現した切断位置との2つの位置の間を、上記可動刃の回動に応じて変位可能に構成されており、上記枠体の内部には、カム部材が回動自在に取り付けられ、該カム部材には、上記繰出口を通して繰り出す際の上記ペーパーを当接させることができるように上記繰出口の内側に配置される当接部と、上記ペーパーを上記枠体の内面に押さえ付ける押付部と、を設け、上記ペーパーの繰り出しに際して、該ペーパーを該当接部に当接させることにより、該カム部材が上記枠体の内部で回動し、該押付部で上記ペーパーを上記枠体の内面に押し付けて、固定するように構成されているとともに、上記カム部材には押圧部が設けられ、上記可動刃の基端からは、該カム部材の該押圧部に向かって操作部が差し出されており、上記カム部材の回動に際して該押圧部が該操作部を押圧することにより、上記可動刃が回動されて、上記切断刃が上記待機位置から上記切断位置へと変位するように構成されていることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のペーパーホルダーの発明において、上記切断刃が待機位置となる方向に上記可動刃の回動方向を常に付勢する付勢手段を設けたことを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のペーパーホルダーの発明において、上記枠体の内部には、上記カム部材の上記押付部との間で上記ペーパーを挟み込んで固定する凸部を設けたことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか一項に記載のペーパーホルダーの発明において、上記切断機構部は、上記ロールペーパーの上方に配置されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
〔作用〕
本発明のペーパーホルダーによれば、切断機構部において枠体の内部に回動自在に枢着された可動刃は、先端の切断刃を、壁部上に設けられた貫通孔から枠体の内部に引き込まれた待機位置と、該貫通孔から壁部の外面上に出現した切断位置との2つの位置の間で変位できるように構成されている。そして、該切断刃を待機位置とすることにより、該切断刃に誤って手指が触れることを抑制することができ、該ペーパーホルダーに十分な安全性を付与することができる。
上記切断機構部において枠体の内部にはカム部材が枢着されており、該カム部材は、ペーパーを繰り出す繰出口の内側に配置されるように当接部が設けられて、該当接部に繰り出し時のペーパーが当接することにより、回動するように構成されたものである。該カム部材には、ペーパーを上記枠体の内面に押さえ付ける押付部が設けられているので、ペーパーの当接によって回動したカム部材は、該押付部で該ペーパーを上記枠体の内面に押さえ付けるため、ペーパーを繰り出す片手の操作のみで、切断時にペーパーが動かないように固定することができる。
上記カム部材には押圧部が設けられ、上記可動刃からは該押圧部に向かって操作部が差し出されており、上記カム部材の回動に伴い、該押圧部が該操作部を押圧することにより、上記可動刃が回動されて、上記切断刃が上記待機位置から上記切断位置へと変位する。このため、ペーパーを繰り出す片手の操作のみで、切断刃が切断位置へと変位し、またペーパーを繰り出す操作の間、該押圧部が該操作部を押圧した状態が保たれて、該切断刃は切断位置に保持される。従って、切断刃の変位操作がペーパーを繰り出す操作に連動され、かつペーパーの切断時に該切断刃が動かないので、ペーパーを引く手を大きく動かすことなく、また切断刃によるペーパーの切断力が好適に発揮され、片手でペーパーを簡易かつ好適に切断することができる。
また上記ペーパーホルダーにおいては、上記切断刃が待機位置となる方向に上記可動刃の回動方向を常に付勢する付勢手段を設けることにより、ペーパーの切断時以外は、切断刃が常に待機位置に維持されるので、該ペーパーホルダーにさらに十分な安全性を付与することができるようになる。
また上記ペーパーホルダーにおいては、上記枠体の内部に上記カム部材の上記押付部との間で上記ペーパーを挟み込んで固定する凸部を設けることにより、ペーパーの切断時に該ペーパーをしっかりと固定することができるので、片手でペーパーを良好に切断することができるようになる。
また上記ペーパーホルダーにおいては、上記切断機構部を上記ロールペーパーの上方に配置することにより、ペーパーを引き下ろす動作で切断することができるので、片手でペーパーをさらに簡易に切断することができるようになる。
【0007】
〔効果〕
本発明にあっては、十分な安全性を有するとともに、片手でペーパーを簡易かつ好適に切断することができるペーパーホルダーを提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、ペーパーホルダー10は、トイレ用のロールペーパー(図示略)を支持するホルダー本体11と、該ロールペーパーから繰り出したペーパー(図示略)を切断する切断機構部12と、を有している。該ペーパーホルダー10は、ホルダー本体11に設けられた固定部材13を介して、トイレの壁やポータブルトイレのアームレストなどに固定される。該ペーパーホルダー10は、片手でペーパーを簡易かつ好適に切断することができるという観点から、高齢者や障害者、特に半身麻痺などによって片手のみしか使用出来ない者が使用するポータブルトイレに適用することが望ましい。よって本実施形態におけるペーパーホルダー10は、固定部材13を介して、ポータブルトイレのアームレストを下方から支持する支持柱1に固定されているものとする。
【0010】
図2(a)〜(c)に示すように、上記ホルダー本体11は、正面視で略L字状をなす支柱14を有しており、該支柱14の下端には、上記固定部材13に連結するためのアーム部15が設けられている。
上記支柱14の一面(
図2(a)中で手前側となる面)には、上記ロールペーパーを支持するための支持アーム16が、横方向へ略水平に延設されている。該支持アーム16の先端には、板状の抜止部16Aが設けられており、該抜止部16Aによって該支持アーム16に支持されたロールペーパーの抜け落ちを抑制している。
上記支柱14の上面には、取付座14Aが凹設されているとともに、該取付座14Aの内面からは、差込片14Bが上方に向かって延設されている。該取付座14A及び該差込片14Bは、上記切断機構部12を上記ホルダー本体11に装着するためのものである。
上記固定部材13は、平面視で四半円状をなす中空の略箱状に形成され、円弧状をなす一面が開放されることにより、上記アーム部15が挿入される連結孔13Aが形成されている。また該固定部材13の内部には、上記アーム部15を連結するための連結軸13Bが設けられている。該連結軸13Bの周面には、複数の凹条13Cが上下方向に延びるように所定間隔おきに凹設されている。
上記アーム部15は、平面視C環をなす筒状に形成されており、側方に開放された切欠部分15Aを有している。該アーム部15の内周面上で、上記切欠部分15Aの対向位置には、1つの突条15Bが上下方向に伸びるように形成されている。
【0011】
上記ホルダー本体11を上記支持柱1に固定する際には、まず上記固定部材13が、開放されていない面(
図2(a)中で奥側となる面)を装着面13Dとし、該装着面13Dを上記支持柱1の表面に当接させ、ネジやピン等を使用することにより、該支持柱1に固定される。
次いで、上記固定部材13の連結軸13Bに、上記アーム部15が嵌着される。該嵌着は、アーム部15の切欠部分15Aを連結軸13Bに押し当て、該アーム部15の内側へ該連結軸13Bを圧入することによって行う。
そして該連結軸13Bに嵌着された該アーム部15は、内面に設けられた突条15Bと、該連結軸13Bの何れかの凹条13Cとが相互に係合することにより、上記固定部材13に対する該連結軸13Bを中心とした回動を抑制されるので、上記支柱14が所定角度で固定される(
図2(b)参照)。
上記固定部材13の上記支持柱1への固定時においては、使用者の事情に応じ、左右何れかのアームレストの支持柱1のうち、該使用者にとって使い勝手が良い側に該固定部材13は固定される。従って、上記支持柱1に対する該固定部材13の取り付けの向きに応じ、該固定部材13に対する上記アーム部15の嵌着の方向は変更可能であり、例えば
図2(c)に示すように、固定部材13を
図2(b)と左右逆向きにした場合、上記アーム部15の嵌着の方向も上記切欠部分15Aが左向きになる方向に変更される。
また上記固定部材13に対して上記支柱14を強い力で略水平方向に動かすことにより、上記アーム部15は、上記切欠部分15Aを広げるようにして変形することで拡径されるので、突条15Bと、凹条13Cとの係合が解除され、固定部材13に対する支柱14の角度を変更することができる。さらに、固定部材13に対する支柱14の角度変更後、突条15Bと、他の凹条13Cとを係合させることで、上記支柱14が異なる角度で固定される(
図2(b)中に二点鎖線で示す)。結果、上記ペーパーの切断時において、ペーパーを引っ張る時の力で上記支柱14が上記固定部材13に対して回動してしまうことを防ぎ、該ペーパーを好適に引っ張ることができる。
【0012】
図3(a),(b)に示すように、上記切断機構部12は、上記ホルダー本体11に装着される枠体21を有している。該枠体21は、左右一対の側板22A,22Bと、該側板22A,22Bの前端の間に架設された前梁23と、該側板22A,22Bの後端の間に架設された裏蓋24と、から構成されている。該裏蓋24は、一方の側板22Aに対してヒンジ24Aを介して連結されており、該ヒンジ24Aを中心に回動することで、開閉自在に構成されている(
図4参照)。また左右一対の側板22A,22Bの下面には、それぞれ挿着スリット25が形成されている。上記ホルダー本体11の上記支持柱1への固定の向きに応じて、左右一対の側板22A,22Bの何れかの挿着スリット25が選択され、該選択された挿着スリット25に上記支柱14の上記差込片14Bが挿着されることにより、上記支柱14の取付座14Aに上記枠体21が装着され、固定される。
上記枠体21の内側には、壁部26が設けられている。また該壁部26を、その後端縁が上記裏蓋24から離れるように配置することにより、該枠体21の内側には、繰出口27が設けられている。さらに該壁部26の前端部には、該壁部25を厚み方向に貫通するようにして、貫通孔28が形成されている。そして、上記ロールペーパーから引き出したペーパーPは、上記壁部26の内面側となる上記枠体21の内部に下方から挿入され、上記繰出口27を通って上記壁部26の外面上に繰り出されて、貫通孔28上に至るように構成されている(
図5〜
図8参照)。
【0013】
上記枠体21の内部には、可動刃31が設けられている。該可動刃31は平面視で略板状に形成され、その先端には切断刃32が、壁部25の先端部に設けられた貫通孔28へ向かって立設されている。該切断刃32は鋸歯状とすることにより、ペーパーPに対する切断力の向上が図られている。
上記可動刃31の基端には、回動軸33が設けられている。該回動軸33を介して上記枠体21の内部に枢着されることにより、該可動刃31は、該枠体21の内部で上下方向に回動自在に構成されている。該可動刃31が上下方向に回動することにより、上記切断刃32は、上記貫通孔28から上記枠体21の内部に引き込まれた待機位置(
図3(b)参照)と、上記貫通孔28から上記壁部26の外面上に出現した切断位置(
図8参照)と、の2つの位置の間を変位できるように構成されている。
上記可動刃31の基端において、回動軸33の周面上からは、上記裏蓋24の方向である後方へ向かって操作部34が差し出されている。該操作部34の下面には、付勢手段である第1バネ部材35が配設されている。該第1バネ部材35は、その先端を上記操作部34の下面に接触させており、該操作部34を常に上方へ向かって付勢している。該操作部34が該第1バネ部材35によって付勢されることにより、上記可動刃31は、回動軸33を中心にして下方へ回動するように常に付勢されており、結果、切断刃32は待機位置に保持されている。
【0014】
上記枠体21の内部において、上記可動刃31の基端から差し出された上記操作部34と、上記裏蓋24との間には、カム部材36が配設されている。該カム部材36は、略軸状に形成され、軸37を介して上記枠体21の内部に、該軸37を中心として回動自在に取り付けられている。
上記カム部材36の周面の上部には、当接部38が、上記繰出口27の内側に配置されるように突設されている。該当接部38は、側面視で扇状に形成されることにより、曲面からなる当接面38Aを有している。該当接面38Aには、上記繰出口27を通して繰り出す際の上記ペーパーPが当接されるように構成されている(
図5参照)。そして、上記ペーパーPを繰り出す際に、該ペーパーPを引っ張ることにより、該ペーパーPを当接された当接部38が該引っ張り方向に押され、上記カム部材36が回動されるように構成されている(
図6〜
図8参照)。また当接面38Aを曲面とすることにより、上記当接部38への当接時に上記ペーパーPが該当接部38に引っ掛かって繰り出し不能になることを抑制している。
【0015】
上記カム部材36の周面の下部において、上記裏蓋24と向かい合う箇所には、平面状の押付部39が形成されている。該押付部39と対応する位置となるように、上記枠体21の内部において、上記枠体21の内面である上記裏蓋24の内面上には、凸部40が突設されている。該押付部39及び凸部40は、切断時において上記ペーパーPを挟み込んで固定するべく設けられたものである(
図8参照)。すなわち、該押付部39は、上記カム部材36が回動した際に上記凸部40に接近し、上記ペーパーPを該凸部40に押し付けることにより、該凸部40との間で上記ペーパーPを挟持して固定する。
上記凸部40は、先端面が曲面とされており、上記ペーパーPを間に挟んで上記押付部39と接触する際の接触面積を小さくすることにより、該押付部39が該凸部40に上記ペーパーPを押し付ける力を小面積に集中させて、該押し付ける力を好適に発揮出来るように構成されている。また上記カム部材36と上記裏蓋24との間には、該凸部40を挟むようにして上下一対のテンションバー41が設けられている。上下一対のテンションバー41は、これらの間における上記ペーパーPの弛みを抑制するためのものであり、上記押付部39と上記凸部40との間で上記ペーパーPを挟持する際に、該押付部39が該凸部40に上記ペーパーPを押し付ける力が上記ペーパーPの弛みによって無為に消費されることを防止している。
【0016】
上記カム部材36の周面の前部には押圧部42が、上記可動刃31の基端から差し出された上記操作部34の上方に位置するように突設されている。該押圧部42は、上記カム部材36の回動に際して上記操作部34に接触し、かつ上記操作部34を下方へ押圧するように構成されている。そして該押圧部42は、上記操作部34を押圧することによって上記可動刃31を回動させ、上記切断刃32を待機位置から切断位置に変位させる。また該押圧部42によって上記操作部34が下方へ押圧されている間、上記切断刃32は切断位置に保持される。
上記カム部材36の下面には、付勢手段である第2バネ部材43が配設されている。該第2バネ部材43は、その先端を上記カム部材36の下面に接触させており、該カム部材36を上方向、つまり上記操作部34から押圧部42を離隔させる方向であり、かつ上記凸部40から上記押付部39を離隔させる方向に常に付勢している。従って上記カム部材36は、第2バネ部材43によって付勢されることにより、上記ペーパーPを繰り出す際の該ペーパーPの引っ張りを止めることで、上記操作部34の押圧が解除され、上記押付部39による上記ペーパーPの固定が解除されるように構成されている。
【0017】
上記切断機構部12へのペーパーPの装着について説明する。
ペーパーPの装着時には、
図4に示すように、裏蓋24を開け、ロールペーパーから引き出したペーパーPを下方から枠体21の内部に挿入するとともに、該ペーパーPの先端部が繰出口27よりも外部へ繰り出されるように配置した後、裏蓋24を閉じる。すると、
図5に示すように、一対のテンションバー41の間を凸部40が押圧し、該ペーパーPに張力を加えることで、該ペーパーPの枠体21内部からの抜け落ちが抑制され、切断機構部12へのペーパーPの装着が完了する。また装着が完了した後、ペーパーPは、所望時にすぐに使えるようにするべく、繰出口27から所定量繰り出されて、上記壁部26の外面上に載置して保持される。
【0018】
上記切断機構部12を用いたペーパーPの切断について説明する。
ペーパーPの切断時には、
図6に示すように、まず壁部26の外面上に載置保持されているペーパーPを片手でつまみ上げ、そのまま斜め上方へ真っ直ぐに引っ張る。このときペーパーPは、上記カム部材36の当接面38Aに摺接するのみで、該カム部材36を回動させておらず、ほぼ抵抗なく繰出口27から繰り出される。
上記ペーパーPの繰り出しが所望量となったら、該ペーパーPを切断するべく、ペーパーPをつまむ片手を下ろすと、
図7に示すように、該ペーパーPが当接面38Aを介してカム部材36の当接部38を押し、該カム部材36が第2バネ部材43の付勢力に抗して回動し始める。また該カム部材36の回動開始に伴い、押圧部42が操作部34を押圧することで、可動刃31が第1バネ部材35の付勢力に抗して回動し始め、
切断刃32が待機位置から切断位置へ移動し始める。
図8に示すように、上記ペーパーPが切断刃32に接触するまでに該カム部材36は、押付部39で該ペーパーPを上記枠体21の内面に設けられた凸部40に押し付け、該ペーパーPを固定する。また該カム部材36の押圧部42によって操作部34が押圧されたままの状態にある可動刃31は、回動して切断刃32が切断位置となった状態で保持される。そして切断位置に保持されている切断刃32にペーパーPを押し当てることで、ペーパーPが切断される。
ペーパーPが切断された後、片手で引っ張る力が該ペーパーPに加わらなくなるので、
図5に示すように、カム部材36は、第2バネ部材43の付勢力によって元の位置へ迅速に回動し、また可動刃31は、第1バネ部材35の付勢力によって元の位置へ迅速に回動し、切断刃32が切断位置から待機位置へと移動する。そしてペーパーPの先端部は、壁部26の外面上に載置保持される。
【0019】
上記切断機構部12を用いたペーパーPの切断作業は、ペーパーPを片手でつまんで引っ張り、下ろすという極めて単純かつ小さな動作で完了させることができる。すなわち、ペーパーPを切断するべく引っ張っている間、ペーパーPは押付部39によって凸部40に押し付けられて固定されるので、該引っ張る力をペーパーPに有効に伝えることができ、さらに切断刃32は切断位置に保持されるため、切断時に該切断刃32が動いたり逃げたりすることがないので、該ペーパーPは綺麗かつ好適に切断され、また切断刃32を追いかけるようにしてペーパーPをつまむ手を大きく動かす必要がない。
また上記カム部材36は、ペーパーPを切断するべく引っ張る動作で回動されるものであるため、切断作業の完了後は、ペーパーPに引っ張る力が加わらなくなり、上記カム部材36の押圧部42による操作部34の押圧が解除されるので、切断刃32は待機位置へ迅速に移動する。つまり該切断刃32は、ペーパーPを切断しようと引っ張っている時を除き、待機位置に保持されているので、外部に露出しておらず、従って切断刃32に誤って手指が触れることがない。結果、上記切断機構部12は、誤って手指が切断刃32に触れることがなく、非常に高い安全性を有している。
【0020】
本発明は上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、以下のように実施形態の構成を変更してもよい。
上記切断機構部12は、ホルダー本体11に支持されたロールペーパーの上部に配されることに限らず、該ロールペーパーの前部や下部に配してもよい。
上記凸部40を省略し、上記押付部39でペーパーPを裏蓋24の内面等といった枠体21の内面に直接的に押し付けるように構成してもよい。
付勢手段である上記第1バネ部材35を省略してもよい。また付勢手段に代えて、可動刃31の下面に重りを取り付ける等して、切断刃32が切断時以外は常に待機位置に保持されるように構成してもよい。同様に、カム部材36を付勢する付勢手段である上記第2バネ部材43を省略してもよく、あるいはカム部材36の下面の後ろ側に重りを取り付ける等して、カム部材36の押圧部42による操作部34の押圧を解除する方向に該カム部材36を付勢してもよい。