(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上ピンチロール,下ピンチロール及びホールドダウンロールをピンチロールハウジング内に備えて構成したピンチロール装置に向かって、板搬送方向の上流側から下流側に向かって複数のテーブルロール上で搬送される鋼板の板幅方向の両側に配置される一対のサイドガイドを備えたサイドガイド装置であって、
前記サイドガイドは、
サイドガイド本体と、
板搬送方向に関して前記サイドガイド本体の下流側に備えられており、前記サイドガイド本体に対して可動できる状態で配置されているサイドガイド先端部と、
で構成されており、
しかも、前記鋼板をガイドする際には前記サイドガイド先端部の下辺が前記テーブルロールの頂部よりも下方に位置する構成になっており、
前記サイドガイド先端部は、前記サイドガイド本体の下流側に回動自在に取り付けられており、
双方のサイドガイド先端部は、相互に平行になる状態から、鋼板の板幅方向の外側に向かって回動した状態にまで、回動可能となっており、
前記サイドガイド本体に対して、前記サイドガイド先端部を昇降させる昇降機構を備えていることを特徴とするサイドガイド装置。
【背景技術】
【0002】
熱間圧延設備における従来の鋼板搬送部の構成を、側面側から見た断面図である
図15及び平面図である
図16を参照して説明する。なお、
図16ではピンチロール装置10のピンチロール12,13やホールドダウンロール14やピンチロール入側ガイド15は図示省略している。
【0003】
両図に示すように、鋼板(図示省略)は複数本のテーブルロール1により、板搬送方向αに沿い搬送される。
具体的には、板搬送方向αの上流側に配置された仕上ミル(図示省略)から送りだされた鋼板は、複数のテーブルロール1上で搬送され、ピンチロール装置10を経由して、コイラ(図示省略)に導かれて巻き取られる。
【0004】
テーブルロール1の上側には、一対のサイドガイド2が配置されている。一対のサイドガイドは、
図16中に一点鎖線で示した搬送ライン中心線Cに対して対称で、且つ、相互に平行になるように配置されている。
しかも、サイドガイド2は、鋼板の板幅方向Hに沿い移動できるようになっており、鋼板の板幅に合わせて、双方のサイドガイド2の間隔を調整している。これにより、搬送される鋼板の両サイドはサイドガイド2によりガイドされつつセンタリングされて搬送される。
【0005】
前述したように一対のサイドガイド2は、鋼板の板幅方向Hに沿い移動できるようになっており、鋼板搬送時には、搬送している鋼板の板幅に合わせて、双方のサイドガイド2の間隔を最小開きW1〜最大開きW2の間で調整することができる。
【0006】
また、メンテナンス時には、双方のサイドガイド2の間隔を、メンテナンス時開きW3にまで開くこと、つまり、板幅方向Hに関してテーブルロール1の両端よりも外側の位置にまでサイドガイド2を移動させることができる。
このように、双方のサイドガイド2の間隔を、メンテナンス時開きW3にまで開く状態にしてから、テーブルロール1の交換などのメンテナンスをすることができる。
なお、テーブルロール1の交換などのメンテナンスをするために、双方のサイドガイド2の間隔をメンテナンス時開きW3にまで開くことを、「メンテナンスオープン」と称する。
【0007】
ピンチロール装置10は、コイラ(図示省略)の入り側に配置されている。このピンチロール装置10は、ピンチロールハウジング11内に、上ピンチロール12と、下ピンチロール13と、ホールドダウンロール14と、板状のピンチロール入り側ガイド15を備えている。
なお各ロール12〜14及びピンチロール入り側ガイド15の板幅方向Hの長さは、テーブルロール1の板幅方向Hの長さと、ほぼ等しくなっている。
【0008】
上ピンチロール12と下ピンチロール13は、板搬送方向αに沿い搬送されてきた鋼板を、回転しつつ挟持してコイラへ導く。
【0009】
ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド15は、搬送されてくる鋼板が、厚い鋼板や特殊な高張力鋼(硬い鋼板)であるときには、
図15において二点鎖線で示すように、下方位置にまで移動してきてこの位置に配置される。
【0010】
鋼板は上下のピンチロール12,13の間に導入されていくが、鋼板が厚い鋼板や硬い鋼板の場合には、鋼板の尾端部分(板搬送方向αの後端側部分)がピンチロール装置10の近くにまで進行してくると、この尾端部分が上方に跳ね上がる状態となろうとするため、下方位置に配置されたホールドダウンロール14により鋼板を下方に押さえ込むことにより、尾端部分の跳ね上がりを防止している。これにより、鋼板を、先頭部分から尾端部分まで、良好な形状でコイラに巻き込むことができる。
【0011】
また、搬送されてくる鋼板が薄い鋼板であるときには、鋼板は自重で下方に下がり鋼板の尾端部分が上方に跳ね上がることはないため、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド15は、
図15において実線で示すように、上方位置にまで移動してきてこの位置に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1にかかるサイドガイド装置100を備えた、熱間圧延設備における鋼板搬送部を、
図1〜
図4を参照して説明する。
なお、
図1は薄い鋼板を搬送しているときの状態を示す側面から見た断面図であり、
図2は薄い鋼板を搬送しているときの状態を示す平面図である。
図2ではピンチロール装置10のピンチロール12,13やホールドダウンロール14やピンチロール入側ガイド15は図示省略している。
また、
図3は厚い鋼板や硬い鋼板を搬送しているときの状態を示す側面側から見た断面図であり、
図4は厚い鋼板や硬い鋼板を搬送しているときの状態を示す平面図である。
図4ではピンチロール装置10のピンチロール12,13やホールドダウンロール14やピンチロール入側ガイド15は図示省略している。
【0027】
図1〜
図4に示すように、鋼板(図示省略)は複数本のテーブルロール1により、板搬送方向αに沿い搬送される。
具体的には、板搬送方向αの上流側に配置された仕上ミル(図示省略)から送りだされた鋼板は、複数のテーブルロール1上で搬送され、ピンチロール装置10を経由して、コイラ(図示省略)に導かれて巻き取られる。
【0028】
テーブルロール1の上側には、本発明の実施例1に係るサイドガイド装置100が配置されている。
このサイドガイド装置100は、搬送される鋼板の両サイドをガイドしつつセンタリングするものであり、その構成・動作は後述する。
【0029】
ピンチロール装置10は、コイラ(図示省略)の入り側に配置されている。このピンチロール装置10は、ピンチロールハウジング11内に、上ピンチロール12と、下ピンチロール13と、ホールドダウンロール14と、板状のピンチロール入り側ガイド15を備えている。
なお各ロール12〜14及びピンチロール入り側ガイド15の板幅方向Hの長さは、テーブルロール1の板幅方向Hの長さと、ほぼ等しくなっている。
【0030】
上ピンチロール12と下ピンチロール13は、板搬送方向αに沿い搬送されてきた鋼板を、回転しつつ挟持してコイラへ導く。
【0031】
ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド15は、搬送されてくる鋼板が、厚い鋼板や特殊な高張力鋼(硬い鋼板)であるときには、
図3に示すように、下方位置にまで移動してきてこの位置に配置される。
【0032】
鋼板は上下のピンチロール12,13の間に導入されていくが、鋼板が厚い鋼板や硬い鋼板の場合には、鋼板の尾端部分(板搬送方向αの後端側部分)がピンチロール装置10の近くにまで進行してくると、この尾端部分が上方に跳ね上がる状態となろうとするため、下方位置に配置されたホールドダウンロール14により鋼板を下方に押さえ込むことにより、尾端部分の跳ね上がりを防止している。これにより、鋼板を、先頭部分から尾端部分まで、良好な形状でコイラに巻き込むことができる。
【0033】
また、搬送されてくる鋼板が薄い鋼板であるときには、鋼板は自重で下方に下がり鋼板の尾端部分が上方に跳ね上がることはないため、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド15は、
図1に示すように、上方位置にまで移動してきてこの位置に配置される。
【0034】
サイドガイド装置100は、一対のサイドガイド101を有している。一対のサイドガイド101は、サイドガイド本体101aとサイドガイド先端部101bとを備えている。
【0035】
一対のサイドガイド101は、
図2及び
図4に一点鎖線で示した搬送ライン中心線Cに対して対称で、且つ、相互に平行になるように配置されている。
しかも、サイドガイド101は、鋼板の板幅方向Hに沿い移動できるようになっており、鋼板の板幅に合わせて、双方のサイドガイド101の間隔を調整している。これにより、搬送される鋼板の両サイドはサイドガイド101によりガイドされつつセンタリングされて搬送される。
【0036】
前述したように一対のサイドガイド101は、鋼板の板幅方向Hに沿い移動できるようになっており、鋼板搬送時には、搬送している鋼板の板幅に合わせて、双方のサイドガイド101の間隔を最小開きW1〜最大開きW2の間で調整することができる。
【0037】
また、メンテナンス時には、双方のサイドガイド101の間隔を、メンテナンス時開きW3にまで開くこと、つまり、板幅方向Hに関してテーブルロール1の両端よりも外側の位置にまでサイドガイド101を移動させることができる。
【0038】
ここで、サイドガイド101の詳細構造について説明する。
このサイドガイド101では、サイドガイド本体101aの先端側(板搬送方向αに関して下流側)に、回転支持部102を介して、サイドガイド先端部101bが回動自在に取り付けられている。
【0039】
サイドガイド本体101aには、アクチュエータ支持部103が固定されている。
油圧シリンダ等の伸縮機構であるアクチュエータ104は、回転支持部105により、アクチュエータ支持部103に回転自在に取り付けられている。更に、アクチュエータ104の先端部は、回転支持部106により、サイドガイド先端部101bに回転自在に取り付けられている。
【0040】
前述した回転支持部102には、サイドガイド先端部101bを回動させる際に、サイドガイド先端部101bの下辺が、テーブルロール1と干渉(衝突)しないように、サイドガイド先端部101bを上昇させる、昇降機構110が組み込まれている。
【0041】
この昇降機構110を、サイドガイド先端部101bが下降している状態を示す
図5、及び、サイドガイド先端部101bが上昇している状態を示す
図6を参照して説明する。
【0042】
図5及び
図6に示すように、サイドガイド本体101aとサイドガイド先端部101bには、連結ピン111が鉛直方向に貫通しており、サイドガイド先端部101bは、連結ピン111に沿い上下移動することができるようになっている。
昇降シリンダ112は、サイドガイド本体101aとサイドガイド先端部101bとの間に配置されている。
【0043】
昇降シリンダ112が伸びると、
図6に示すように、サイドガイド先端部101bは、サイドガイド本体101aに対して上方に移動する。
この結果、サイドガイド先端部101bの下辺と、テーブルロール1との間に隙間ができ、サイドガイド先端部101bが回動しても、サイドガイド先端部101bの下辺がテーブルロール1と干渉することはない。
【0044】
一方、昇降シリンダ112が縮むと、
図5に示すように、サイドガイド先端部101bが下方に移動して、サイドガイド先端部101bの下辺の高さ位置は、サイドガイド本体101aの下辺の高さ位置と等しくなる。
【0045】
上記構成となっているサイドガイド装置100の動作を、他の機器の動作と共に説明する。
【0046】
(1)薄い鋼板を搬送するときの動作状態を説明する。
【0047】
このときには、
図1に示すように、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド15を、上方位置に移動させておく。
また、
図1,
図2に示すように、アクチュエータ104を伸ばして、双方のサイドガイド先端部101b,101bを平行状態とする。このように双方のサイドガイド先端部101b,101bを平行状態にしたまま、双方のサイドガイド101,101の間隔を鋼板の板幅に合わせて調整する。
【0048】
図1,
図2に示すように、双方のサイドガイド先端部101b,101bを平行状態にすると、サイドガイド先端部101b、101bは、ピンチロールハウジング11内に入り込み、サイドガイド先端部101b、101bの先端(ピンチロール側の端部)は、ピンチロール12,13に近接する。
このため、鋼板は、サイドガイド100のサイドガイド本体101aによりガイドされるのみならず、サイドガイド先端部101bによりピンチロール12,13の近くにまでガイドされる。このため、薄い鋼板のセンタリングをより確実に行なうことができ、薄い鋼板の巻取り形状を向上させることができる。
【0049】
(2)厚い鋼板や硬い鋼板を搬送するときの動作状態、並びに、メンテナンスオープン時の動作状態を説明する。
【0050】
初期状態において、
図2に示すように、双方のサイドガイド先端部101b,101bが平行状態となっている場合には、双方のサイドガイド先端部101b,101bを平行状態にしたまま、双方のサイドガイド101,101の間隔を最小開きW1にする。
【0051】
双方のサイドガイド101,101の間隔を最小開きW1にし、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド1を上方位置に保持したまま、
図6に示すように昇降シリンダ112を伸ばしてサイドガイド先端部101bを上昇させる。
【0052】
このようにサイドガイド先端部101bを上昇させた(浮かせた)状態のままで、アクチュエータ104を縮めると、サイドガイド先端部101bは回転支持部102を回転中心として回動していき、双方のサイドガイド先端部101b,101bが外側に開いていく。
そして、最後には、
図4に示すように双方のサイドガイド先端部101b,101bは、その長手方向が板幅方向Hに沿うようになる。つまり、アクチュエータ本体101aの長手方向に対して、サイドガイド先端部101bの長手方向が直角になる。
【0053】
このように、双方のサイドガイド先端部101bは回転支持部102を回転中心として回動していくが、この回動の際に、サイドガイド先端部101bがピンチロールハウジング11に衝突しないように、サイドガイド先端部101bの長さを設定している。
【0054】
双方のサイドガイド先端部101b,101bが外側に開いていき、アクチュエータ本体101aの長手方向に対して、サイドガイド先端部101bの長手方向が直角になったら、アクチュエータ104の作動を停止する。
【0055】
そして、双方のサイドガイド101,101のサイドガイド本体101a,101aの間隔を鋼板の板幅に合わせて調整し、更に
図3に示すように、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド
15を下方位置に移動させた後に、厚い鋼板を搬送する。
【0056】
図3に示すように、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド
15を、下方位置に位置させているため、厚い鋼板や硬い鋼板を搬送する場合であっても、鋼板の尾端部分の跳ね上がりを防止でき、厚い鋼板や硬い鋼板の巻取り形状を向上させることができる。
【0057】
なお、メンテナンスオープンをする場合には、
図4に示すように双方のサイドガイド先端部101b,101bの長手方向が板幅方向Hに沿う状態にしたままで、サイドガイド本体101a,101aの間隔をメンテナンス時開きW3にまで開いていく。
このとき、サイドガイド先端部101b,101bは外側に開いた状態となっているため、サイドガイド先端部101b,101bがピンチロールハウジング11と干渉(衝突)することはない。
【0058】
(3)
図4に示すように双方のサイドガイド先端部101b,101bが外側に開いている状態から、
図2に示すように双方のサイドガイド先端部101b,101bを平行な状態にするときの動作状態を説明する。
【0059】
図4に示すように双方のサイドガイド先端部101b,101bが外側に開いている状態で、且つ、サイドガイド先端部101bを上昇させた(浮かせた)状態のまま、双方のサイドガイド101,101のサイドガイド本体101a,101aの間隔を最小開きW1とする。
【0060】
アクチュエータ104を伸ばすと、サイドガイド先端部101bは回転支持部102を回転中心として回動していき、双方のサイドガイド先端部101b,101bが内側に向かって閉じていく。
サイドガイド先端部101b,101bが平行になったら、アクチュエータ104の作動を停止し、その後に昇降シリンダ112を縮めて、
図5に示すように、サイドガイド先端部101bを下降させる。
【0061】
上述したように本実施例では、薄い鋼板を搬送するときには、
図2に示すように、双方のサイドガイド先端部101b,101bを平行状態にすることにより、サイドガイド先端部101b,101bをピンチロール12,13に近接して配置することができるため、薄い鋼板の巻取り形状を向上させることができる。
【0062】
また
図4に示すように、双方のサイドガイド先端部101b,101bが外側に開いていき、アクチュエータ本体101aの長手方向に対して、サイドガイド先端部101bの長手方向を直角にしておけば、メンテナンスオープンのために、サイドガイド101,101の間の間隔をメンテナンス時開きW3にまで開いていっても、サイドガイド先端部101bがピンチロールハウジング11に衝突することはない。
したがって、メンテナンスオープン動作も確保することができる。
【実施例2】
【0063】
上記実施例1では、サイドガイド先端部101bを回動する際に、サイドガイド先端部101bの下辺が、テーブルロール1と干渉(衝突)しないように、サイドガイド先端部101bを昇降させる昇降機構110を回転支持部102に組み込んでいたが、この昇降機構110の代わりに、サイドガイド先端部101bをチルトアップ・チルトダウンするチルト機構を採用することもできる。
【0064】
実施例2は、サイドガイド先端部101bをチルトアップ・チルトダウンするチルト機構120に関するものであり、その構成を、サイドガイド先端部101bがチルトダウンした状態を示す
図7(a)(b)、及び、サイドガイド先端部101bがチルトアップした状態を示す
図8(a)(b)を参照して説明する。
なお
図7(a),
図8(a)は側面図、
図7(b),
図8(b)は
図7(a),
図8(a)においてβ方向から見た図である。
【0065】
図7(a)(b)及び
図8(a)(b)に示すように、サイドガイド本体101aと回動ピン122には、連結ピン121が鉛直方向に貫通しており、回動ピン122は、連結ピン121を回転中心として、水平面内で回動できるようになっている。
【0066】
回動ピン122は回動連結部123に挿入されており、回動連結部123は回動ピン122を回転中心として回動できるようなっている。更に回動連結部123には、サイドガイド先端部101bが固定されている。
このため回動連結部123及びサイドガイド先端部101bは、回動ピン122を回転中心として、γ方向に回動(チルト)することができる。
【0067】
固定連結部124は、回動ピン122に固定されている。そして、シリンダ125は、固定連結部124に回動自在に取り付けられると共に、シリンダ先端が回動連結部123に回動自在に連結されている。
【0068】
したがって、シリンダ125が縮むとサイドガイド先端部101bは、
図7(a)(b)に示すようにチルトダウンし、サイドガイド先端部101bの下辺の高さ位置は、サイドガイド本体101aの高さ位置と等しくなる。
【0069】
一方、シリンダ125が伸びるとサイドガイド先端部101bは、
図8(a)(b)に示すようにチルトアップし、サイドガイド先端部101bの下辺の高さ位置は、サイドガイド本体101aの高さ位置よりも高くなる。
したがって、チルトアップした状態でサイドガイド先端部101bが回動しても、サイドガイド先端部101bの下辺がテーブルロール1と干渉することはない。
【0070】
このようなチルト機構120を、
図1〜
図4に示す実施例1において、昇降機構110の代わりに用いることができる。
【実施例3】
【0071】
本発明の実施例3にかかるサイドガイド装置200を備えた、熱間圧延設備における鋼板搬送部を、
図9〜
図12を参照して説明する。
なお、
図1〜
図4に示す実施例1と同一部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
なお、
図9は薄い鋼板を搬送しているときの状態を示す側面から見た断面図であり、
図10は薄い鋼板を搬送しているときの状態を示す平面図である。
図10ではピンチロール装置10のピンチロール12,13やホールドダウンロール14やピンチロール入側ガイド15は図示省略している。
また、
図11は厚い鋼板や硬い鋼板を搬送しているときの状態を示す側面側から見た断面図であり、
図12は厚い鋼板や硬い鋼板を搬送しているときの状態を示す平面図である。
図12ではピンチロール装置10のピンチロール12,13やホールドダウンロール14やピンチロール入側ガイド15は図示省略している。
【0073】
図9〜
図12に示すように、テーブルロール1の上側には、本発明の実施例3に係るサイドガイド装置200が配置されている。
このサイドガイド装置200は、搬送される鋼板の両サイドをガイドしつつセンタリングするものである。
【0074】
サイドガイド装置200は、一対のサイドガイド201を有している。
一対のサイドガイド201は、
図10及び
図12に一点鎖線で示した搬送ライン中心線Cに対して対称で、且つ、相互に平行になるように配置されている。
しかも、サイドガイド201は、鋼板の板幅方向Hに沿い移動できるようになっており、鋼板の板幅に合わせて、双方のサイドガイド201の間隔を調整している。これにより、搬送される鋼板の両サイドはサイドガイド201によりガイドされつつセンタリングされて搬送される。
【0075】
一対のサイドガイド201は、鋼板の板幅方向Hに沿い移動できるようになっており、鋼板搬送時には、搬送している鋼板の板幅に合わせて、双方のサイドガイド201の間隔を最小開きW1〜最大開きW2の間で調整することができる。
【0076】
また、メンテナンス時には、双方のサイドガイド201の間隔を、メンテナンス時開きW3にまで開くこと、つまり、板幅方向Hに関してテーブルロール1の両端よりも外側の位置にまでサイドガイド201を移動させることができる。
【0077】
ここで、サイドガイド201の詳細構造について説明する。
一対のサイドガイド201は、サイドガイド本体201aとサイドガイド先端部201bとを備えている。
サイドガイド先端部201bは、サイドガイド本体201aの先端側(板搬送方向αに関して下流側)において、板搬送方向αに沿い移動自在に配置されている。
しかも、サイドガイド本体201aは中空構造になっており、サイドガイド先端部201bが、板搬送方向αに関して上流側に移動してくると、サイドガイド先端部201bがサイドガイド本体201aの内部空間に収納(挿入)されるようになっている(
図12参照)。
【0078】
油圧シリンダ等の伸縮機構であるアクチュエータ202は、回転支持部203により、サイドガイド本体201aに回転自在に取り付けられている。更に、アクチュエータ202の先端部は、回転支持部204により、サイドガイド先端部201bに回転自在に取り付けられている。
【0079】
サイドガイド先端部201bが、板搬送方向αに関して、上流側に移動してサイドガイド本体201aの内部空間に収納(挿入)されたり、下流側に移動してサイドガイド本体201aの下流側に配置されたりする際に、サイドガイド先端部201bの下辺が、テーブルロール1と干渉(衝突)しないように、サイドガイド先端部201bを上昇させる、昇降機構210が、サイドガイド本体201aとサイドガイド先端部201bとの間に組み込まれている。
【0080】
この昇降機構210を、サイドガイド先端部201bが下降している状態を示す
図13(a)(b)、及び、サイドガイド先端部201bが上昇している状態を示す
図14(a)(bを参照して説明する。
なお
図13(a),
図14(a)は側面図、
図13(b),
図14(b)は
図13(a),
図14(a)においてδ方向から見た図である。
【0081】
図13(a)(b)及び
図14(a)(b)に示すように、サイドガイド本体201a内には、板搬送方向αに沿いスライド(往復移動)自在にスライド部材211が配置されている。
サイドガイド先端部201bは、スライド部材211に連結されているが、スライド部材211に対して昇降移動自在に取り付けられている。
スライド部材211とサイドガイド先端部201bとの間には、昇降シリンダ212が配置されている。
【0082】
昇降シリンダ212が伸びると、
図14に示すように、サイドガイド先端部201bは、スライド部材211及びサイドガイド本体201aに対して上方に移動する。
この結果、サイドガイド先端部201bの下辺と、テーブルロール1との間に隙間ができ、サイドガイド先端部201bが移動しても、サイドガイド先端部201bの下辺がテーブルロール1と干渉することはない。
【0083】
一方、昇降シリンダ212が縮むと、
図13に示すように、サイドガイド先端部201bは、スライド部材211及びサイドガイド本体201aに対して下方に移動する。
この結果、サイドガイド先端部201bの下辺の高さ位置は、サイドガイド本体201aの下辺の高さ位置と等しくなる。
【0084】
上記構成となっているサイドガイド装置200の動作を、他の機器の動作と共に説明する。
【0085】
(1)薄い鋼板を搬送するときの動作状態を説明する。
【0086】
このときには、
図9に示すように、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド15を、上方位置に移動させておく。
また、
図9,
図10に示すように、アクチュエータ202を伸ばした状態で、サイドガイド先端部201bを、サイドガイド本体201aの下流側に配置しておく。
このようにして双方のサイドガイド本体201a及びサイドガイド先端部201bを平行状態にしたまま、双方のサイドガイド本体201a及びサイドガイド先端部201bの間隔を鋼板の板幅に合わせて調整する。
【0087】
図9,
図10に示すように、サイドガイド本体201aの下流側にサイドガイド先端部201bを配置すると、サイドガイド先端部201bは、ピンチロールハウジング11内に入り込み、サイドガイド先端部201bの先端(ピンチロール側の端部)は、ピンチロール12,13に近接する。
このため、鋼板は、サイドガイド100のサイドガイド本体201aによりガイドされるのみならず、サイドガイド先端部201bによりピンチロール12,13の近くにまでガイドされる。このため、薄い鋼板のセンタリングをより確実に行なうことができ、薄い鋼板の巻取り形状を向上させることができる。
【0088】
(2)厚い鋼板や硬い鋼板を搬送するときの動作状態、並びに、メンテナンスオープン時の動作状態を説明する。
【0089】
ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド1を上方位置に保持したまま、
図14に示すように昇降シリンダ212を伸ばしてサイドガイド先端部201bを上昇させる。
【0090】
このようにサイドガイド先端部201bを上昇させた(浮かせた)状態のままで、アクチュエータ202を縮めると、サイドガイド先端部201bは、板搬送方向αに関して、上流側に移動してサイドガイド本体201aの内部空間に収納(挿入)される。
【0091】
そして、双方のサイドガイド201のサイドガイド本体201aの間隔を鋼板の板幅に合わせて調整し、更に
図11に示すように、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド1を下方位置に移動させた後に、厚い鋼板を搬送する。
【0092】
図11に示すように、ホールドダウンロール14とピンチロール入り側ガイド1を、下方位置に位置させているため、厚い鋼板や硬い鋼板を搬送する場合であっても、鋼板の尾端部分の跳ね上がりを防止でき、厚い鋼板や硬い鋼板の巻取り形状を向上させることができる。
【0093】
なお、メンテナンスオープンをする場合には、
図12に示すように、サイドガイド先端部201bをサイドガイド本体201aの内部空間に収納(挿入)したままで、サイドガイド本体201a,201aの間隔をメンテナンス時開きW3にまで開いていく。
このとき、サイドガイド先端部201b,201bは、サイドガイド本体201aの内部空間に収納(挿入)されているため、サイドガイド先端部201b,201bがピンチロールハウジング11と干渉(衝突)することはない。
【0094】
(3)
図12に示すように、サイドガイド先端部201bがサイドガイド本体201a内に収納(挿入)されている状態から、
図10に示すようにサイドガイド先端部201bがサイドガイド本体201aの下流側に配置された状態にするときの動作状態を説明する。
【0095】
図12に示すようにサイドガイド先端部201bがサイドガイド本体201aの内部空間に収納(挿入)されている状態で、且つ、サイドガイド先端部201bを上昇させた(浮かせた)状態のままで、アクチュエータ202を伸ばす。
そうすると、サイドガイド先端部201bは板搬送方向αに沿い下流側に向かって移動していく。
サイドガイド先端部201bが、サイドガイド本体201aの下流側に配置されたら、アクチュエータ202の作動を停止し、その後に昇降シリンダ212を縮めて、
図13に示すように、サイドガイド先端部201bを下降させる。
【0096】
上述したように本実施例では、薄い鋼板を搬送するときには、
図10に示すように、サイドガイド先端部201bをサイドガイド本体201aの下流側に配置することにより、サイドガイド先端部201b,201bをピンチロール12,13に近接して配置することができるため、薄い鋼板の巻取り形状を向上させることができる。
【0097】
また
図12に示すように、サイドガイド先端部201bをサイドガイド本体201a内に収納(挿入)しておけば、メンテナンスオープンのために、サイドガイド201,201の間の間隔をメンテナンス時開きW3にまで開いていっても、サイドガイド先端部201bがピンチロールハウジング11に衝突することはない。
したがって、メンテナンスオープン動作も確保することができる。
【0098】
なお実施例1乃至実施例3において、アクチュエータの故障などにより、サイドガイド先端部を回動,昇降,チルト,伸縮する稼働部が、予期せぬ動作をすると、装置を破壊したり、ストリップを傷つけたり、ストリップの通板を阻害したり等する事態が発生する恐れがある。
そこで、かかる事態が発生しないように、稼働部を所定の位置でストッパ等により固定できるようにしていてもよい。但し、稼働部を作動させる場合は、ストッパ等を事前に外すものとする。