(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スタブに設けられた短尺光ファイバに長尺光ファイバを融着接続する融着作業部と、前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバの融着部を補強する補強作業部と、係止部を備える非軸対称構造の搬送用ファイバホルダとを有し、
前記融着作業部は、
前記スタブに取り付けられた非軸対称構造のスタブキャップ及び前記長尺光ファイバを把持する非軸対称構造のファイバホルダを支持し、前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバとを軸方向に沿って位置決めして配置させる支持部と、軸方向に合わされた前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバを融着接続させる融着処理部と、前記搬送用ファイバホルダの前記係止部が嵌合可能な第一の係止部と、前記スタブキャップを収容可能な第一のキャップ収容部とを有し、
前記補強作業部は、
前記融着作業部の前記第一の係止部及び前記第一のキャップ収容部とその相対位置関係が同一の第二の係止部及び第二のキャップ収容部が設けられ、前記搬送用ファイバホルダの係止部を前記第二の係止部に嵌合させると共に前記第二のキャップ収容部に前記スタブキャップを収容させることにより、前記スタブキャップ及び前記搬送用ファイバホルダを相対位置関係が前記融着作業部における支持状態と同一となるように支持する支持部と、融着接続された前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバに張力を付与する付勢部材とを有する、ことを特徴とする融着接続機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、スタブ及び光ファイバ心線の支持部と電極とを相対的に移動させる機構を備え、支持部と電極とを近接させた状態で融着させることが示されている。このような機構を設けた場合、次に融着を行う際に高精度に元の位置に支持部または電極を戻す必要があるが、高精度に戻すことは困難であり、位置ずれが生じてしまうことがある。それにより、融着接続の信頼性が低下してしまう。また、特許文献6,7に示されている移動機構は、比較的高精度に移動させることができるが、その構造が複雑で大掛かりになってしまうため、コストアップを招いてしまう。特許文献8は、フェルールの把持具に柄部を設けておき、この柄部と接続させる光ファイバ心線とを把持し、融着後の光ファイバ心線及びフェルールを移動させるものであり、移動機構を備えたものと比較してコストアップを抑えることができるが、光ファイバに軸回転である捻れが残存してしまうおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、コストアップを招く大掛かりな移動機構等を用いずに、融着後の光ファイバに曲げ、捻れや弛みが生じないように融着部を補強し、補強箇所の信頼性を高めることが可能な融着部の補強方法及び融着接続機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決することのできる本発明の融着部の補強方法は、スタブに設けられた短尺光ファイバに長尺光ファイバを融着接続し、その融着部を補強する融着部の補強方法であって、
前記スタブに非軸対称構造のスタブキャップを取り付けて融着作業部に支持させるとともに、前記長尺光ファイバを非軸対称構造のファイバホルダに把持させて前記融着作業部に支持させるファイバ支持工程と、
前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバを軸方向に合わせて融着接続させる融着接続工程と、
前記スタブキャップ及び前記ファイバホルダを補強作業部へ移動させる移動工程と、
前記スタブキャップと前記ファイバホルダとの相対位置関係が前記融着作業部における支持状態と同一となるように前記補強作業部に支持させるファイバ再支持工程と、
融着接続された前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバに張力を付与した状態で前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバとの融着部に補強部材を取り付けて補強する補強工程と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の融着部の補強方法において、前記融着接続工程後に、前記融着作業部で前記ファイバホルダとは別の非軸対称構造の搬送用ファイバホルダに前記長尺光ファイバを把持させた後、前記ファイバホルダとして前記搬送用ファイバホルダを用いて、
前記移動工程で、前記スタブキャップ及び前記搬送用ファイバホルダを補強作業部へ移動させ、前記ファイバ再支持工程で、前記スタブキャップと前記搬送用ファイバホルダとの相対位置関係が前記融着作業部における支持状態と同一となるように前記補強作業部に支持させることが好ましい。
【0009】
また、本発明の融着接続機は、スタブに設けられた短尺光ファイバに長尺光ファイバを融着接続する融着作業部と、前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバの融着部を補強する補強作業部とを備え、
前記融着作業部は、前記スタブに取り付けられた非軸対称構造のスタブキャップ及び前記長尺光ファイバを把持する非軸対称構造のファイバホルダを支持し、前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバとを軸方向に沿って位置決めして配置させる支持部と、軸方向に合わされた前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバを融着接続させる融着処理部とを有し、
前記補強作業部は、前記スタブキャップ及び前記ファイバホルダを相対位置関係が前記融着作業部における支持状態と同一となるように支持する支持部と、融着接続された前記短尺光ファイバと前記長尺光ファイバに張力を付与する付勢部材とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の融着接続機において、前記融着作業部及び前記補強作業部は、前記長尺光ファイバを把持する前記ファイバホルダとは別の非軸対称構造の搬送用ファイバホルダが着脱可能とされ、前記補強作業部における前記スタブキャップと前記搬送用ファイバホルダとの相対位置関係が前記融着作業部における支持状態と同一とされることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、融着作業部に支持させた非軸対称構造のスタブキャップ及びファイバホルダを補強作業部へ移動させて相対位置関係が融着作業部における支持状態と同一となるように支持させる。これにより、互いに融着接続された短尺光ファイバ及び長尺光ファイバを、曲げや捻れのない状態で補強することができる。また、補強作業部において融着接続された短尺光ファイバと長尺光ファイバに張力を付与するので、互いに融着接続された短尺光ファイバ及び長尺光ファイバを弛みのない状態で補強することができる。
つまり、大掛かりな移動機構等を備えることによるコストアップを招くことなく、光ファイバに曲げ、捻れや弛みのない状態で融着部を補強することができ、補強箇所における信頼性を大幅に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る融着部の補強方法及び融着接続機の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る融着部の補強方法が適用される光コネクタ10は、スタブ11、ハウジング12及びブーツ13を有している。スタブ11は、光ファイバコード(長尺光ファイバ)15の端部に接続されたものであり、ハウジング12内に装着される。ハウジング12は、装着孔17を有しており、スタブ11は、ハウジング12の装着孔17に挿入されることにより、ハウジング12に装着される。また、ハウジング12にスタブ11を装着した状態で、ハウジング12にブーツ13が取り付けられ、これにより、ハウジング12におけるスタブ11の装着箇所がブーツ13によって覆われる。
【0014】
図2に示すように、スタブ11は、フェルール21と、このフェルール21の中心に形成された挿入孔(図示省略)に挿入された短尺光ファイバ22とを備えている。短尺光ファイバ22は、ガラスファイバ23を有しており、このガラスファイバ23に、光ファイバコード15の外被から露出されたガラスファイバ16が融着接続される。光ファイバコード15は、ガラスファイバ16を紫外線硬化性樹脂からなる外被で覆った外径0.25mmの光ファイバ心線の外周をさらに樹脂で被覆して外径0.9mmとしたコードである。なお、光ファイバ心線を用い、この光ファイバ心線の端部で露出させたガラスファイバ16と短尺光ファイバ22のガラスファイバ23とを融着接続する場合もある。
【0015】
フェルール21は、その後端側に、一対の補強部材25を有しており、これらの補強部材25は、その一端側がヒンジ部26によってフェルール21に連結され、ヒンジ部26で回動可能とされている。それぞれの補強部材25をガラスファイバ23側へ回動することにより、これらの補強部材25同士が互いに重ね合わされて、ガラスファイバ16,23の融着部S及びその周辺が補強部材25によって覆われて補強される。これらの補強部材25には、互いに重ね合わされる当接面25aに接着剤が塗布されており、この当接面25aには、剥離紙27が貼り付けられている。そして、補強部材25同士を重ね合わせて接着固定する際には、剥離紙27を剥がして当接面25aにおける接着剤を露出させる。
【0016】
次に、融着接続機について説明する。
図3に示すように、この融着接続機101は、例えば、光ファイバ設備の工事が行われる現地で光ファイバコード15のガラスファイバ16とスタブ11のガラスファイバ23とを融着して接続する装置である。
【0017】
この融着接続機101は、その上部に、融着作業部(支持部)102及び補強作業部(支持部)120を備えている。融着作業部102では、光ファイバコード15のガラスファイバ16とスタブ11のガラスファイバ23とを融着接続する融着作業が行われ、補強作業部120では、光ファイバコード15のガラスファイバ16とスタブ11のガラスファイバ23との融着部Sの補強作業が行われる。
【0018】
融着作業部102には、ファイバホルダ105及びスタブホルダ106が設けられている。
図4に示すように、ファイバホルダ105は、略直方体形状に形成されたホルダ本体30を有している。ホルダ本体30には、その上面に、光ファイバコード15の外被部分を収容する収容溝32が形成されている。
【0019】
ホルダ本体30には、その一側部に、保持蓋31が設けられている。保持蓋31は、ヒンジ部34を有しており、このヒンジ部34が、ホルダ本体30に形成された保持溝35に配設されている。ホルダ本体30には、保持溝35を貫通する連結ピン38が設けられており、この連結ピン38がヒンジ部34に形成された挿通孔に挿通されている。これにより、保持蓋31は、連結ピン38の軸線を中心として、ホルダ本体30に対して回動可能に連結され、保持蓋31を回動させることにより、ホルダ本体30の上面が開閉される。そして、保持蓋31は、ホルダ本体30の上面側へ向かって回動させることにより、収容溝32の上部を覆うように配置される。
【0020】
保持蓋31には、ホルダ本体30との対向面に、例えば、ゴム等の弾性材料からなる押さえ板部41が設けられており、保持蓋31をホルダ本体30の上面側へ向かって回動させることにより、押さえ板部41が、収容溝32の上部に配置される。
【0021】
また、ホルダ本体30には、保持蓋31が連結された一側部と反対側における上面に磁石44が設けられており、保持蓋31をホルダ本体30の上面に配置した際に、この保持蓋31が磁石44と接触するようになっている。保持蓋31は、鉄などの磁性体から形成されており、これにより、保持蓋31は、ホルダ本体30の上面に配置された状態で磁石44の磁力によって吸着される。
【0022】
このように、上記構造のファイバホルダ105は、磁石44の磁力によってホルダ本体30に保持蓋31を吸着させて光ファイバコード15を保持する。この光ファイバコード15を保持するファイバホルダ105は、略直方体形状とされていることより、光ファイバコード15を保持した状態で、この光ファイバコード15の軸に対して非軸対称となる非軸対称構造とされている。
【0023】
スタブホルダ106は、ホルダ本体51を有している。ホルダ本体51には、その上面に、キャップ収容凹部52が形成されている。このキャップ収容凹部52には、スタブ11を保持するスタブキャップ55が収容される。
【0024】
図5に示すように、スタブキャップ55は、略直方体形状に形成されており、その上面側には、把持部56が設けられている。スタブキャップ55には、その一端側に、保持穴(図示省略)が形成されており、この保持穴にスタブ11を挿し込むことにより、スタブキャップ55にスタブ11が保持される。このとき、スタブ11は、軸回りに回転されることなくスタブキャップ55に保持される。そして、このスタブキャップ55にスタブ11を保持させれば、把持が容易なスタブキャップ55を把持することで、スタブ11を容易に取り扱うことができる。
【0025】
そして、スタブ11を保持したスタブキャップ55をスタブホルダ106のキャップ収容凹部52に嵌め込んで収容させると、スタブホルダ106にスタブ11が支持される。
【0026】
スタブキャップ55は、略直方体形状とされていることより、スタブ11を保持した状態で、このスタブ11の短尺光ファイバ22の軸に対して非軸対称となる非軸対称構造とされている。したがって、このスタブキャップ55をスタブホルダ106に保持させた状態では、スタブホルダ106も、スタブ11の短尺光ファイバ22の軸に対して非軸対称となる。
【0027】
ファイバホルダ105とスタブホルダ106は、対称位置に配置されており、これらのファイバホルダ105とスタブホルダ106との間に、融着処理部104が設けられている。
この融着処理部104は、スタブ11の短尺光ファイバ22のガラスファイバ23及び光ファイバコード15のガラスファイバ16のそれぞれの先端を位置決めする一対のV溝部材109と、これら一対のV溝部材109間に配置されて、突き合されたガラスファイバ16,23の端面を放電によって融着させる電極113とを備えている。
【0028】
ファイバホルダ105及びスタブホルダ106は、それぞれ3軸ステージからなる移動機構(図示省略)に支持されており、この移動機構によって水平方向及び上下方向へ移動されてガラスファイバ16,23の位置決めが可能とされている。そして、融着処理部104では、融着位置に位置決めされたガラスファイバ16,23が電極113で熱融着されて接続される。
【0029】
融着接続機101の融着作業部102には、ファイバホルダ105の融着処理部104と反対側に、搬送用ファイバホルダ110が着脱可能に設けられている。
図6に示すように、搬送用ファイバホルダ110は、略直方体形状に形成されたホルダ本体62を有している。ホルダ本体62には、その上面に、光ファイバコード15の外被部分を収容する収容溝63が形成されている。
【0030】
ホルダ本体62には、その一側部に、保持蓋71が設けられている。保持蓋71は、ヒンジ部74を有しており、このヒンジ部74が、ホルダ本体62に形成された保持溝65に配設されている。ホルダ本体62には、保持溝65を貫通する連結ピン78が設けられており、この連結ピン78がヒンジ部74に形成された挿通孔に挿通されている。これにより、保持蓋71は、連結ピン78の軸線を中心として、ホルダ本体62に対して回動可能に連結され、保持蓋71を回動させることにより、ホルダ本体62の上面が開閉される。そして、保持蓋71は、ホルダ本体62の上面側へ向かって回動させることにより、ホルダ本体62の上部を覆うように配置される。
【0031】
保持蓋71には、ホルダ本体62との対向面に、例えば、ゴム等の弾性材料からなる押さえ板部81が設けられており、保持蓋71をホルダ本体62の上面側へ向かって回動させることにより、押さえ板部81が、収容溝63の上部に配置される。
【0032】
また、ホルダ本体62には、保持蓋71が連結された一側部と反対側における上面に磁石84が設けられており、保持蓋71をホルダ本体62の上面に配置した際に、この保持蓋71が磁石84と接触するようになっている。保持蓋71は、鉄などの磁性体から形成されており、これにより、保持蓋71は、ホルダ本体62の上面に配置された状態で磁石84の磁力によって吸着される。
【0033】
このように、上記構造の搬送用ファイバホルダ110は、磁石84の磁力によってホルダ本体62に保持蓋71を吸着させて光ファイバコード15を保持する。この光ファイバコード15を保持する搬送用ファイバホルダ110は、略直方体形状とされていることより、光ファイバコード15を保持した状態で、この光ファイバコード15の軸に対して非軸対称となる非軸対称構造とされている。
【0034】
この搬送用ファイバホルダ110には、ホルダ本体62の一端側に、下方へ延在する係止板86が設けられている。また、融着接続機101には、融着作業部102に、係止孔88が形成されており、この係止孔88には、搬送用ファイバホルダ110の係止板86が嵌合可能とされている。そして、この係止板86を係止孔88へ嵌合させることにより、搬送用ファイバホルダ110が融着接続機101の融着作業部102に装着される。
【0035】
融着接続機101における融着作業部102よりも後方側に設けられた補強作業部120には、カバー123によって覆われた熱処理部122が設けられている。この熱処理部122は、その内部に設けられたヒータでガラスファイバ16,23同士の融着部Sに被せた熱収縮チューブを加熱して熱収縮させるものである。
【0036】
この熱処理部122のカバー123上には、キャップ保持部125が設けられている。このキャップ保持部125は、その上面に、キャップ収容凹部126が形成されており、このキャップ収容凹部126には、スタブ11を保持するスタブキャップ55が収容される。
【0037】
また、融着接続機101には、補強作業部120にも、係止孔128が形成されており、この係止孔128にも、搬送用ファイバホルダ110の係止板86が嵌合可能とされている。そして、この係止板86を係止孔128へ嵌合させることにより、搬送用ファイバホルダ110が融着接続機101の補強作業部120に装着される。そして、補強作業部120では、スタブキャップ55及び搬送用ファイバホルダ110を支持させると、これらのスタブキャップ55及び搬送用ファイバホルダ110の相対位置関係が融着作業部102における支持状態と同一となるようにされている。
【0038】
補強作業部120に設けられたキャップ保持部125は、カバー123との間にバネ等の付勢部材(図示省略)が設けられ、搬送用ファイバホルダ110が装着される係止孔128から離間する方向へ付勢されている。
【0039】
また、上記構成の融着接続機101は、融着処理部104及び熱処理部122を作動させる操作部130を備えている。
【0040】
次に、光ファイバコード15のガラスファイバ16とスタブ11の短尺光ファイバ22のガラスファイバ23とを融着接続し、その融着部Sを補強する方法について説明する。
【0041】
(ファイバ支持工程)
図7に示すように、スタブホルダ106のキャップ収容凹部52に、スタブ11を保持したスタブキャップ55を嵌め込んで保持させる。また、外被から所定長さのガラスファイバ16を露出させた光ファイバコード15をファイバホルダ105の収容溝32へ外被部分を収容して保持蓋31を閉じることにより、ファイバホルダ105に光ファイバコード15を保持させる。
【0042】
そして、移動機構によってファイバホルダ105及びスタブホルダ106を水平方向及び上下方向へ移動させ、スタブ11のガラスファイバ23及び光ファイバコード15のガラスファイバ16を融着処理部104のV溝部材109に位置決めし、ガラスファイバ16,23の端部を電極113による融着位置で突き合わせる。
【0043】
このとき、光ファイバコード15の外被部分を、搬送用ファイバホルダ110の収容溝63に収容するが、搬送用ファイバホルダ110は、移動機構による位置決めができないので、この搬送用ファイバホルダ110では、保持蓋71を開いておき、光ファイバコード15を保持しない状態としておく。
【0044】
(融着接続工程)
この状態で、融着接続機101の操作部130を操作して電極113で放電させ、ガラスファイバ16,23の端面同士を融着接続させる。
【0045】
(移動工程)
ガラスファイバ16,23の融着接続が終了したら、
図8に示すように、搬送用ファイバホルダ110の保持蓋71を閉じ、この搬送用ファイバホルダ110に光ファイバコード15を保持させる。
【0046】
次に、
図9に示すように、ファイバホルダ105の保持蓋31を開いてファイバホルダ105での光ファイバコード15の保持を解除させ、さらに、スタブホルダ106からスタブキャップ55を取り外すとともに、搬送用ファイバホルダ110を融着接続機101の融着作業部102から取り外す。そして、スタブキャップ55及び搬送用ファイバホルダ110を補強作業部120へ移動させる。
【0047】
(ファイバ再支持工程)
図10に示すように、搬送用ファイバホルダ110の係止板86を係止孔128へ挿し込むことにより、搬送用ファイバホルダ110を補強作業部120に取り付け、また、スタブキャップ55をキャップ保持部125のキャップ収容凹部126に収容させる。このとき、キャップ保持部125は、付勢部材によって搬送用ファイバホルダ110が装着される係止孔128から離間する方向へ付勢されているので、キャップ保持部125を付勢部材による付勢方向に抗して移動させた状態でキャップ保持部125のキャップ収容凹部126へスタブキャップ55を嵌め込んで保持させる。
【0048】
このようにすると、補強作業部120に搬送用ファイバホルダ110及びスタブキャップ55が支持される。また、付勢部材によってキャップ保持部125が係止孔128から離間する方向へ付勢されることより、搬送用ファイバホルダ110とスタブ保持部125に保持されたスタブキャップ55との間の光ファイバコード15及び短尺光ファイバ22に張力が付与される。これにより、互いに融着接続されたガラスファイバ16,23が弛みなく真っ直ぐにされる。
【0049】
ここで、補強作業部120では、スタブキャップ55及び搬送用ファイバホルダ110を支持させると、これらのスタブキャップ55及び搬送用ファイバホルダ110の相対位置関係が融着作業部102における支持状態と同一となる。
【0050】
したがって、搬送用ファイバホルダ110及びスタブキャップ55を融着作業部102から補強作業部120へ移動させる際に、これらの搬送用ファイバホルダ110とスタブキャップ55との間で互いに融着接続された光ファイバコード15及び短尺光ファイバ22が捻られていたとしても、これらの搬送用ファイバホルダ110及びスタブキャップ55を補強作業部120へ装着することにより、搬送用ファイバホルダ110及びスタブキャップ55の軸回りの変位が戻される。これにより、ガラスファイバ15,16の融着部Sにおける捻れの残留が防止される。
【0051】
(補強工程)
補強作業部120に搬送用ファイバホルダ110及びスタブキャップ55を支持させたら、スタブ11を構成するフェルール21の補強部材25に貼り付けられている剥離紙27を剥がすことにより、接着剤が塗布された当接面25aを露出させる。
【0052】
そして、
図11に示すように、それぞれの補強部材25をガラスファイバ16,23側へ回動することにより、ガラスファイバ16,23の融着部S及びその周囲を覆うように補強部材25を重ね合わせる。すると、これらの補強部材25が接着剤によって互いに接着され、よって、ガラスファイバ16,23の融着部S及びその周囲が補強される。
【0053】
本実施形態に係る融着部の補強方法によれば、融着作業部102に支持させた非軸対称構造のスタブキャップ55及び搬送用ファイバホルダ110を補強作業部120へ移動させて相対位置関係が融着作業部102における支持状態と同一となるように支持させる。これにより、互いに融着接続された短尺光ファイバ22のガラスファイバ23及び長尺の光ファイバコード15のガラスファイバ16を、曲げや捻れのない状態で補強することができる。また、補強作業部120において融着接続された短尺光ファイバ22のガラスファイバ23と長尺の光ファイバコード15のガラスファイバ16に張力を付与するので、互いに融着接続された短尺光ファイバ22のガラスファイバ23及び長尺の光ファイバコード15のガラスファイバ16を弛みのない状態で補強することができる。
【0054】
つまり、大掛かりな移動機構等の専用搬送装置を備えることによるコストアップを招くことなく、短尺光ファイバ22のガラスファイバ23及び長尺の光ファイバコード15のガラスファイバ16に曲げ、捻れや弛みのない状態で融着部Sを補強することができ、補強箇所における信頼性を大幅に高めることができる。
【0055】
なお、上記の実施形態では、融着接続機101の融着作業部102及び補強作業部120の両方に着脱可能な搬送用ファイバホルダ110を設け、この搬送用ファイバホルダ110に光ファイバコード15を把持させて移動させたが、この搬送用ファイバホルダ110を設けずに、ファイバホルダ105を融着作業部102及び補強作業部120の両方に着脱可能としても良い。この場合、ファイバホルダ105に光ファイバコード15を把持させて融着作業部102で融着接続を行った後、ファイバホルダ105をスタブキャップ55とともに補強作業部120へ移動させて支持させ、補強作業を行うこととなる。
【0056】
また、スタブ11の構造としては、補強部材25の一端側をフェルール21にヒンジ部26で連結したものに限らず、補強部材25の一側部同士をヒンジ部で回動可能に連結した半割り構造のものでも良い。この場合も、ヒンジ部で補強部材25を回動させて融着部Sを含むガラスファイバ16,23を挟み込むことにより、融着部Sを補強することができる。
【0057】
また、融着部Sの補強の仕方としては、一対の補強部材25によって挟み込んで補強するものに限らず、補強チューブを被せて補強しても良い。この場合、熱収縮性の補強チューブによって融着部Sを覆い、その後、カバー123を外して熱処理部122で補強チューブを加熱して収縮させることとなる。
【0058】
なお、この場合、カバー123の内側の熱処理部122にキャップ保持部125を設けるとともに、このキャップ保持部125の高さに合わせて補強作業部120における搬送用ファイバホルダ110の装着位置を下げる。
そして、この場合も、ガラスファイバ16,23に捻れや弛みのない状態で補強チューブを熱収縮させることができるので、補強箇所におけるガラスファイバ16,23の曲げ、捻れや弛みをなくすことができる。
【0059】
このように、融着接続機101では、補強チューブを熱収縮させて融着部Sを補強する熱処理部122のカバー123にスタブキャップ55を保持させるキャップ保持部125を設けるとともに、補強作業部120に搬送用ファイバホルダ110を着脱可能としている。つまり、本実施形態に係る融着接続機101によれば、補強作業部120において、融着部Sを補強部材25で補強する補強作業を行うことができるとともに、熱処理部122での補強チューブによる融着部Sの補強も行うことができる。
【0060】
また、上記実施形態では、融着接続機101に設けられた融着作業部102と補強作業部120とでそれぞれ融着接続及び補強を行ったが、これらの融着接続及び補強を別の機器等の異なる場所に設けられた融着作業部102及び補強作業部120で行っても良い。