特許第5799505号(P5799505)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5799505熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799505
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 47/88 20060101AFI20151008BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20151008BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20151008BHJP
【FI】
   B29C47/88 Z
   B29K101:12
   B29L7:00
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2010-547886(P2010-547886)
(86)(22)【出願日】2010年10月4日
(86)【国際出願番号】JP2010067348
(87)【国際公開番号】WO2011043285
(87)【国際公開日】20110414
【審査請求日】2013年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2009-233133(P2009-233133)
(32)【優先日】2009年10月7日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】李 道錫
(72)【発明者】
【氏名】井上 博之
(72)【発明者】
【氏名】麻生 博行
【審査官】 粟野 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−266406(JP,A)
【文献】 特開2002−200667(JP,A)
【文献】 特開2007−320038(JP,A)
【文献】 特開平07−329153(JP,A)
【文献】 特開2006−027133(JP,A)
【文献】 特開昭59−071828(JP,A)
【文献】 特開2006−281531(JP,A)
【文献】 特開昭61−121923(JP,A)
【文献】 特開平03−239525(JP,A)
【文献】 特開平08−290458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融させた熱可塑性樹脂を押出ダイより冷却ドラム上にキャストし、該冷却ドラム上で冷却固化して熱可塑性樹脂フィルムを製造するに際し、冷却ドラムに接しないフィルム面(以下、反冷却ドラム面とする)から吹き付けノズルでフィルムに向けてエアを吹き付けながら、同時に反冷却ドラム面からノズル間排気機構でフィルム近傍のエアを吸引する装置であって、該ノズル間排気機構の吸引面が、該吹き付けノズルの先端面よりフィルムから離れた位置に設置され、かつ、該ノズル間排気機構を、吹き付けノズルと完全に分離して、吹き付けノズルの背面に設置し、吹き付けノズル間に隙間を設けることを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造装置。
【請求項2】
吹き付けるエアの単位時間当たりの総量をS、吸引するエアの単位時間当たりの総量をEとした時、SがEより大きいかまたは等しい請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造装置。
【請求項3】
前記吹き付けノズルの内、押出ダイの最も近くに位置する吹き付けノズルが、フィルム面に対して角度調整が可能な角度調整機構を有することを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面異物欠点が少なく、光学的な特性の均一性に非常に優れた特に光学用フィルムの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)に代表される各種ディスプレイ部材の軽量化、低コスト化が進められている中、ディスプレイの重要部材として、光学用フィルムの市場が拡大している。光学用フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、アクリル系ポリマー、ポリカーボネート(PC)等の熱可塑性樹脂からなる各種の透明フィルムを基材とし、機能性付与のため、例えば傷つきを防止する保護膜(ハードコート層)、AR層(反射防止層)、集光・光拡散層、偏光板等を基材に積層する各種表面処理加工が施されて得られるものであり、基材フィルムには透明性が強く求められている。一方で大型ディスプレイ等に組み込んで加工される際、十分な強度が要求されるため、厚みが150μm以上の厚物フィルムが好んで使われている。
【0003】
このようなフィルムの製造工程には、溶融させた熱可塑性樹脂を押出ダイより押出して冷却する工程があり、透明性に優れたフィルムを製造するには押し出された熱可塑性樹脂を速やかに所望の温度まで冷却することが重要となる。熱可塑性樹脂を速やかに冷却する方法としては、冷却ドラムに熱可塑性樹脂を密着させる方法が一般的であり、150μm以上の厚物フィルムの製造時は、冷却ドラムに接しないフィルム面(反冷却ドラム面という)からも冷却する必要がある。なぜなら、厚物フィルムにおいて、冷却ドラムのみによる冷却の場合、反冷却ドラム面のフィルム温度は所望の温度までなかなか下がらないからである。特にポリエステルなどの結晶性樹脂からなるフィルムの場合、熱可塑性樹脂のガラス転移温度近傍における冷却速度が十分でないと、熱可塑性樹脂の結晶化が進行し、結果としてフィルムの透明性が低下してしまうからである。反冷却ドラム面を速やかに冷却する方法としては、反冷却ドラム面に補助冷却装置を設置し、前記溶融させた熱可塑性樹脂の冷却を促進する方法が知られている。この補助冷却装置は、例えば、反冷却ドラム面から熱可塑性樹脂に向けて冷気を吹き付けるノズル(以下吹き付けノズルとする)により構成されているのが一般的である(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、熱可塑性樹脂、例えばポリエステルのような樹脂は一旦溶融された後、冷却、固化される過程において、フィルム表面からオリゴマ等の低分子物を揮散する性質を持っている。そのため補助冷却装置の周辺に揮散したオリゴマが、例えば補助冷却装置の吹き付けノズルの表面や、排気面などに析出する。補助冷却装置の表面に析出したオリゴマは、補助冷却装置の吹き付けエアに導かれてフィルム表面に落下・付着し、異物欠点となることがある。この補助冷却装置表面に析出したオリゴマがフィルム表面に付着するのを防止するために、熱可塑性樹脂フィルムと吹き付けノズルとの間の距離を離した場合、冷却速度が上がらずにフィルムの透明性が低下する。一方、吹き付けノズルの先端面をできるだけ、熱可塑性樹脂フィルムに接近させると冷却速度は上がるが、補助冷却装置にオリゴマが析出し、オリゴマが熱可塑性樹脂フィルムに吹き付けられ、熱可塑性樹脂フィルム表面に付着し、異物欠点や後工程でのトラブルの原因になる。
こういった問題に対し、溶融させた熱可塑性樹脂を、冷却ドラム上にキャストし、該冷却ドラム上で冷却固化して熱可塑性樹脂フィルムを形成するに際し、該フィルムの反冷却ドラム面からフィルムに向けて、前期冷却ドラムの幅方向に延びる吹き付けノズルを含む給気手段により冷却用空気を吹き付けつつ、複数の排気孔が穿設された遮閉板を含むノズル間排気機構により、フィルム近傍の空気を吸引、排出し、かつ、この給気と排気手段をフィルム流れ方向に交互に行うことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法が知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
また、溶融させた熱可塑性樹脂を冷却ドラム上にキャストし、該冷却ドラム上で冷却固化して熱可塑性樹脂フィルムを製造するに際し、冷却用空気の吹き付けノズルと排気機構の吸引面を冷却ドラムの回転方向に沿って交互に設置し、その際、全吸引面の合計吸引風量と全吹き付けノズルの合計風量の比を3.4〜4.5に設定し、オリゴマ雰囲気のエアを積極的に除去する冷却方法が知られている。また、補助冷却装置周辺のオリゴマに対して、少なくとも排気機構の第一吸引面内部の壁面にオリゴマ析出防止のためのヒーターを設ける技術が知られている(例えば、特許文献3)。
【0006】
しかし、このように、吹き付けノズル間に、吸引・排出機構を設け、フィルム近傍のエアを積極的に排出する方法は、フィルム近傍の、吹き付けノズル部で揮発するオリゴマエアを吸引するだけではなく、次のような問題もあった。すなわち、溶融させた熱可塑性樹脂の温度が高温であるほど、オリゴマは多量に発生するため、前記押出ダイ周辺において高濃度のオリゴマ雰囲気が形成され、補助冷却装置にて吹き出し風量以上のエアを排気することで、高濃度のオリゴマエアも積極的に吸い込むことになる。従って、冷却装置の使用時間が経過するにつれ、排気機構の吸引面へのオリゴマの析出量が多くなり、析出したオリゴマが熱可塑性樹脂フィルムの表面に落下、異物欠点を発生させていた。結果として、このような異物の欠点の経時増加により、補助冷却装置の使用における欠点ロスが発生、生産率を低下させていた。
【0007】
また、排気機構の吸引面へのオリゴマ析出を防止するため、吸引面内部にヒーターを設ける場合、吸引面の表面をオリゴマが析出しないくらいの温度まで加熱する必要があり、吸引面近傍の吹き付けノズルの冷却効率が低下し、冷却ムラ、または熱可塑性樹脂フィルム表面の部分的な結晶化による結晶化キズを発生してしまう。これにより例えば透明性が求められるフィルムの透明性を悪化させてしまう問題もあった。また、冷却機能を阻害しない程度に吸引面を加熱しても、長時間使用によって排気機構の吸引面にオリゴマが析出・堆積する可能性が大きくなり、冷却効率、オリゴマ汚れ防止を両立することは困難であった。
【0008】
このように、従来の方法では、冷却速度を保ちながら、補助冷却装置に析出したオリゴマが落下することによって発生した異物欠点の少ないという特性を両立し、透明性に優れた光学フィルムを得ることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3-239525号公報
【特許文献2】特許第3341451号公報
【特許文献3】特開2006-281531号公報
【特許文献4】特開平7-329153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術では困難であった結晶化キズを発生せず、かつオリゴマによる表面異物欠点の少ない特性を両立するため、前記押出ダイ周辺の高濃度のオリゴマ雰囲気のエアが冷却ドラムの回転に随伴され、吹き付けノズル部に吸い込まれることを防止すると同時に、フィルム付近で発生するオリゴマエアを効率よく吸引・排出する必要がある。本発明は、高い冷却効率を保ちつつ、吹き付けノズル、ノズル間排気機構等へのオリゴマの析出、堆積を抑制できる熱可塑性樹脂フィルムの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、溶融させた熱可塑性樹脂の冷却固化における補助冷却装置の設計と、製造時の好ましい室内環境を含めたその工程条件設定の高度な組み合わせにより、本発明を完成するに至った。つまり、従来技術の課題を解決すべく、溶融させた熱可塑性樹脂を押出ダイより、冷却ドラム上にキャストする際、吹き付けノズルと吸引・排出機構を設け、冷却ドラムに接しないフィルム面(以下、反冷却ドラム面とする)を冷却しながら、フィルム近傍の空気を吸引する装置構成において、吹き付け風量と吸引・排出量のバランス及び冷却ドラム、補助冷却装置を含んだ室全体の給気・排気のバランスの最適化を達成手段としている。
【0012】
すなわち、前記本発明の課題は、以下の達成手段により、達成できる。一つは、溶融させた熱可塑性樹脂を押出ダイより冷却ドラム上にキャストし、該冷却ドラム上で冷却固化して熱可塑性樹脂フィルムを製造するに際し、冷却ドラムに接しないフィルム面(以下、反冷却ドラム面とする)から吹き付けノズルでフィルムに向けてエアを吹き付けながら、同時に反冷却ドラム面からノズル間排気機構でフィルム近傍のエアを吸引する装置であって、該ノズル間排気機構の吸引面が、該吹き付けノズルの先端面よりフィルムから離れた位置に設置されたことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造装置、もう一つは、溶融させた熱可塑性樹脂を押出ダイより冷却ドラム上にキャストし、該冷却ドラム上で冷却固化して熱可塑性樹脂フィルムを製造するに際し、冷却ドラムに接しないフィルム面(以下、反冷却ドラム面とする)からフィルムに向けてエアを吹き付けながら、同時に反冷却ドラム面からフィルム近傍のエアを吸引する工程を有する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法であって、吹き付けるエアの単位時間当たりの総量をS、吸引するエアの単位時間当たりの総量をEとした時、SがEより大きいかまたは等しいことを特徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法は、反冷却ドラム面の本冷却装置の吹き付け風量を吸引量より過多とすることで、押出ダイ周辺のオリゴマ濃度の高いエアを本冷却装置内に吸い込まないようにすることによって、本冷却装置内の吹き付けノズルおよびノズル間排気機構の吸引面にオリゴマが析出、堆積することを防止できる。(ここで、本発明の装置を本冷却装置ということがある。)結果として、オリゴマに起因する異物欠点を抑え、異物欠点に起因する生産歩留まりの低下、掃除ロスを大幅に低減することができる。さらに、吸引・排出機構を吹き付けノズル先端部より、フィルムから離れた位置に設けることで、吸引面に多少オリゴマが析出しても、フィルム面にオリゴマが落下、付着しにくくなる。
【0014】
また、ヒーターなどの加熱手段を吹き付けノズルに有する必要がなくなり、吹き付けノズルの冷却効率を確保でき、結晶化キズも発生しにくくなる。
【0015】
一方、反冷却ドラム面、押出ダイ周辺に排気機構を設け、室全体の給排気バランスを排気過多とし、前記押出ダイ周辺のオリゴマ濃度の高いエアを排出すると同時に、本冷却装置の第1吹き付けノズルから吹き付けられ、押出ダイ方向に吹き上がってくるエアを排出する。これにより、室全体のクリーン度確保と同時に、吹き付けエアの吹き上がりによる押出ダイ直下の溶融させた熱可塑性樹脂の着地点の不安定性も改善できる。
【0016】
従って、この発明により得られるフィルムは、従来、フィルム厚みが150μm程度以上の厚物フィルムの製造技術では両立困難であった、オリゴマ起因の表面異物のトラブル、結晶化キズのトラブルが同時に解決され、主にディスプレイ関連用途、詳細には、拡散板における光拡散層、プリズムシートにおけるプリズム層、反射防止用フィルムにおける反射防止層、偏光板加工に使用される光学機能性フィルムの基材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に関わる熱可塑性樹脂フィルムの製造装置の概略側面図である。
図2図1の吹き付けノズルの拡大図である。
図3】本発明に関わる最良のノズル間排気機構位置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法で得られる熱可塑性樹脂フィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(以下PETと略することがある)などのポリエステル、アクリル系ポリマー、ポリカーボネート(以下PCと略することがある)である。
【0019】
本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法としては、概略側面図を図1に、図1の部分拡大図を図2にそれぞれ示したように、例えば押出ダイ1と、その真下に冷却ドラム2があり、冷却ドラム2の回転方向に沿って、反冷却ドラム面の本冷却装置として、吹き付けノズル6が冷却ドラム2の中心に向かってエアを吹き付けるように配置され、かつ、冷却ドラム2の円周方向に配置されている。また、各々の吹き付けノズル間からエアを吸引するノズル間排気機構4がある。また、押出ダイ周辺排気機構5を押出ダイより上流側(溶融させた熱可塑性樹脂がキャストされる側)かつ、ノズル間排気機構の上部に設置する場合もある。
【0020】
本発明の装置は、溶融熱可塑性樹脂を、押出ダイ1より冷却ドラム2上におよそ1〜5mm厚み程度の熱可塑性樹脂フィルム3にキャストし冷却固化するにあたり、フィルムの反冷却ドラム面に向けてエアを吹き付ける2つ以上の複数の吹き付けノズル6を有し(複数の吹き付けノズルからのエアの単位時間当たりの総量をSとする。つまり、複数の吹き付けノズル各々からの吹き付けエアの単位時間当たりの量を最上段から例えばSm、Sn、Soとすると、Sは、S=Sm+Sn+Soとなる。)、さらに、フィルム近傍のエアを吸引するノズル間排気機構4を吹き付けノズル間に有する(ノズル間排気機構4により吸引されるエアの単位時間当たりの総量をEとする。つまり、複数の吹き付けノズル間の隙間から吸引されるエアの単位時間当たりの量を最上段から例えばEm、Enとすると、Eは、E=Em+Enとなる)。本発明の装置または本発明の製造方法では、吹き付けエアSを吸引エアEより大きくする(S>E)かまたは等しくすることにより、押出ダイ周辺のオリゴマ濃度の高いエアを、吹き付けノズルと冷却ドラム間に極力存在させないようにする。
【0021】
本発明の製造方法では、吸引エアEは、好ましくは25〜150m/min、さらに好ましくは40〜80m/minの範囲である。また、吹き付けエアSは、好ましくは50〜150m/min、さらに好ましくは70〜100m/minの範囲である。かつ、吸引エアEと吹き付けエアSの関係は、吹き付けエアSを吸引エアEより大きくするかまたは等しくするが、その比E/Sは好ましくは0.5〜1.0、より好ましくは0.5〜0.9の範囲である。この比率が1.0より大きい場合、本冷却装置と冷却ドラム間には押出ダイ周辺の高濃度のオリゴマエアを吸い込むようなエア流れが形成される。また、この比が0.5より小さい場合、吹き上がりが大きくなり、熱可塑性樹脂が、押出ダイから押し出されて冷却ドラムに着地するまでの間で振動にすることで、厚みムラを起こす場合がある。
【0022】
さらに、本発明の装置または製造方法では、押出ダイ周辺に滞留している高濃度のオリゴマエアを図1の5で示すような、別の排気機構によって吸引排出することが望ましい。押出ダイ周辺排気機構の位置としては、例えば、キャスティング室の天井など、フィルムの反冷却ドラム面で、かつ、冷却ドラム上側に設置することが好ましい。一方、押出ダイ自体に排気機構を設置することも考えられるが、押出ダイに排気機構の吸引面を設置すると、溶融させた熱可塑性樹脂フィルムが振動しやすくなり、排気量を少量に抑えなければならないため、オリゴマ濃度の低減効果が見込めない。
【0023】
本発明装置の、吹き付けノズルとノズル間排気機構では、例えば、冷却ドラムの幅方向に延びる吹き付けノズルとノズル間排気機構の吸引面は、冷却ドラムの回転方向に沿って交互に配列されており、ノズル間排気機構は、複数の排気孔を有する遮閉板として存在する。例えば、直径1000〜1600mm、幅1000〜1600mmの冷却ドラムに対して、吹き付けノズルは、間隙2〜10mmのスリット状の先端部を持ったノズルが100〜150mmピッチで、円周方向に5〜15段設置されている構成が好ましく例示される。吹き付けノズルの段数が5段より少ないと、結晶化速度の速いフィルムの領域を冷却しきれず、結晶化キズが発生する可能性がある。吹き付けノズルの段数が15段より多いと、吹き付けノズル部において、過冷却が生じ、冷却ドラム出のフィルム温度が低くなり、次工程、例えば、縦延伸での延伸ムラを誘発する可能性がある。また、吹き付けノズルの幅は、冷却ドラム上の熱可塑性樹脂フィルムの幅に対して、100〜500mm広いことが好ましい。また、吹き付けノズルの先端面と熱可塑性樹脂フィルム表面との距離は5〜30mmが好ましい。吹き付けノズルの先端面とフィルムの距離が5mmより近いと、吹き付けエアによりフィルム表面が変形しやすい、フィルム表面にオリゴマも付着しやすくなる。この距離が、30mmより離れると吹き付けエアの冷却効率が落ち、結晶化キズを発生する可能性がある。
【0024】
また、第一吹き付けノズルの位置は、冷却ドラムの頂点真上から、第一吹き付けノズルの吹き付けエアの着地点までの、冷却ドラムの回転方向に沿った長さ10が500mm以上の位置が好ましく、より好ましくは1000mm以上離れたところに設置すると良い。500mmより近いと、押出ダイより流れる溶融させた熱可塑性樹脂が膜揺れをおこし、フィルムに表面ムラが発生する問題がある。
【0025】
一方、ノズル間排気機構の吸引面の孔は、孔の径4〜10mm、一段の吸引面に対して列数は5〜10列が好ましい。孔の径が4mmより小さく、列が10列より多いと、吸引時の孔周辺の圧力損失が高くなり、排気エアを吸いきれず、オリゴマが堆積しやすい。なお、幅は吹き付けノズルの幅に合わせると良い。
【0026】
吹き付けノズルとノズル間排気機構の吸引面を交互に設置する場合、最上段部には吹き付けノズルを配置することが好ましい。最上段部に吸引面が配置される場合、吸引面上にオリゴマが析出、堆積し、フィルム表面上に落下しやすく、異物欠点をおこしやすい。
【0027】
また、前記吹き付けノズルと前記排気機構の表面材質を工夫することでフィルムから発生したオリゴマの堆積を一層効果的に防止できる。例えば、吹き付けノズルの先端面、ノズル間排気機構の吸引面にオリゴマ析出防止処理として、表面摩擦の低い材質、例えばダイヤモンドコーティング(DLC)を実施すると良い。また、より好ましくは、表面にフッ素樹脂コーティングあるいはフッ素系樹脂テープの貼り付けにより安価にかつ容易に施すことができる。これによりフィルムから発生し、フィルム近傍の空気中を浮遊するオリゴマは、給気手段や排気手段に析出・堆積することが抑制され、フィルム近傍の空気とともに効率よく外部に排出される。
【0028】
吹き付けノズルの先端面は、幅方向に一定間隙のスリット状の開口を有するスリットタイプや、複数の円形孔を有する多孔板タイプなどが好ましく例示される。吹き付けノズルの冷却効率は、吹き付けノズル先端面の開口面積と吹き付けエアの風速および温度が同じであれば、一般的に多孔板タイプがスリットタイプより高いことが知られており(例えば特許文献4)、結晶化キズを防止する効果が大きい。しかし、例えば、透明な光学フィルムの表面を多孔板タイプの吹き付けノズルで冷却する際、孔の径や孔と孔の間隔が大きすぎると冷却ムラが発生するおそれがある。このような冷却ムラはフィルムの厚みムラまたは加工品の輝度ムラなどにつながる可能性があるので、多孔板タイプの吹き付けノズルを用いる際は、冷却ムラを生じないよう、孔の径、孔と孔の間隔、孔列の数、孔列の間隔などをデザインする必要がある。
【0029】
例えば、孔と孔の間、または孔列と孔列の間の距離が近いと吹き付けノズルの噴流同士が干渉し、噴流が変動しやすくなり、冷却効率の低下や冷却ムラなどを生じる。また、孔列の数を増やしたり孔列と孔列の間隔を大きくすると、吹き付けノズルの先端面(冷却ドラムに近接しているノズル面)の面積が大きくなり、オリゴマが析出、堆積しやすくなる。よって、吹き付けノズルの先端面のデザインは冷却効率を考慮しながら、なるべく吹き付けノズルの先端面の面積が小さくなるようにするのが好ましい。具体的には、多孔板タイプの吹き付けノズルの場合、孔の径は2〜10mm、吹き付けノズル一本あたりの列数は2〜6列が好ましい。
【0030】
吹き付けノズルの、多孔板タイプとスリットタイプの選択は、熱可塑性樹脂の結晶化特性、冷却ドラム仕様、所望する冷却風の強さ、冷却の度合いにより諸条件を考慮して決定すればよい。例えば、複数の吹き付けノズルで構成された本冷却装置において、押出ダイ周辺からのエアの吸い込みを抑制するエアカーテンとして最上段にはスリットノズルを設置し、結晶化速度が速い温度範囲に多孔板の吹き付けノズルを設置し冷却効率を上げると良い。
【0031】
ノズル間排気機構の吸引面は、複数の孔を有する遮蔽板を使用することで、フィルム近傍の空気は滞留することなく排気孔から吸引され、フィルムから発生しフィルム近傍の空気中に浮遊するオリゴマを排気孔から迅速に吸引し、系外に排出できる。しかし、長時間使用していると、吸引面、例えば、排気孔の縁などにオリゴマが析出、堆積し、吹き付けエアによりオリゴマがフィルム表面に落下・付着すると異物欠点となるおそれがある。よって、図2のように、ノズル間排気機構の吸引面8を吹き付けノズルの先端面9より、冷却ドラムから遠く設置すると良い。また、ノズル間排気機構の吸引面から吹き付けノズルの先端面までの距離は、好ましくは100mm以上であり、これにより排気機構にオリゴマが析出した場合でもフィルムに落下しにくくなる。
【0032】
好ましくは、図3に示すように、ノズル間排気機構4を吹き付けノズル6と完全に分離し、吹き付けノズルの背面に設置し、吹き付けノズル間に隙間を設けるのがよい。この場合、フィルム面に吹き付けられ、はね返ってくるエアは吹き付けノズル間の隙間を通過し、ノズル背面の排気に吸われる。ここで、「完全に分離」とは、図3のように全ての吹き付けノズルと吸引面が接していないことをいい、一方、図1は、吹き付けノズル6とノズル間排気機構4が分離していない例である。単に、分離とは、図1の吹き付けノズルのうちの少なくとも一つが、図3の吹き付けノズルのように吸引面と接していない場合のことを指す。
【0033】
最上段の吹き上がり風速が大きい場合、排気機構を近づけすぎた場合と同じく押出ダイから吐出される熱可塑性樹脂が振動することで、フィルムに厚みムラが発生する問題がある。従って、押出ダイから最も近い吹き付けノズル、つまり最上段の吹き付けノズルはフィルム面に対して、その吹き付け角度を自由に調整できる機構とすることが好ましい。このような機構を設けることで、吸い込みと吹き上がり速度を制御することが可能となる。つまり、最上段の吹き付けノズルを冷却ドラムの回転方向傾けると、吹き付けエアがカーテンの役割をし、吹き上がりを抑制する効果がある。具体的には最上段の吹き付けノズルの傾斜角は冷却ドラムの回転方向に0〜20°が好ましく、それ以上傾けると、最上段での冷却効率が低下してしまう。
【実施例】
【0034】
まず、本願発明のフィルムの製造方法で得られるフィルムの評価方法について説明する。
(1)フィルム厚みムラ
長さ1m、幅600mmのフィルムサンプルから、フィルムサンプルの幅方向中心部および端部から100mmの位置をサンプル中央とするようにして、幅40mmの厚み測定用サンプルを3箇所切り出した。その後、接触式厚み計(アンリツ(株)製KG60/A)を用いて、各厚み測定用サンプルの長手方向の厚みを連続的に測定してチャートレコーダに出力した。出力した厚みのプロファイルから厚みの最大値(MAX)と最小値(MIN)の差を厚みムラR(=MAX-MIN)μmとした。厚みムラRは3箇所の値を平均したものとする。
【0035】
(2)表面異物欠点
長さ1m、幅600mmのフィルムサンプルを暗室内で垂直方向に垂らし、フィルム背面の全面に光沢の無い黒色の布を配置し、配向フィルムを巻き出しつつ、前面(被覆層面)からブロムライトを用いてフィルム面に対し約10°から45°の範囲で該ブロムライトの角度を変えながら、フィルム正面から観察し、長径0.5mm以上の異物欠点をマーキングし、フィルム面積1m当たりの欠点個数を数えた。そのさい、メチルエチルケトンを浸透させたキムワイプ(登録商標)を用いて欠点部を軽く拭き、欠点部が消失しないことで塗布層由来の異物でないことを確認した。なお、表面異物欠点は製膜時間の経過とともに増加するため、本冷却装置の連続使用時間が24Hr経過したフィルムサンプルに対して反冷却ドラム面から観察した。
【0036】
(3)結晶化キズ
長さ1m、幅600mmのフィルムサンプルについて、フィルムサンプルを暗室内で垂直方向に垂らし、反冷却ドラム面から3波長蛍光灯(パナソニック(株)パルック3波長形昼白色(F.L 15EX-N 15W))の投光器反射で10mmを越えるキズをマーキングし、マーキングしたキズに対して光学顕微鏡(倍率400倍)で測定し、複数の突起物が集中して10mmを越える形状となっているキズを結晶化キズとして数えた。
【0037】
(4)ヘイズの測定
JIS−K7105(1981)にもとづき、ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。長さ1m、幅600mmのフィルムサンプルに対して、長さ方向、幅方向の一辺が100mmの正方形の範囲で、但し、隣り合う正方形同士は重ならず、隣り合う正方形同士が一辺を共有するように、長さ方向9個所×幅方向5個所の計45箇所で測定し、その平均値をとった。
【0038】
(5)吹き付けノズル部のオリゴマ濃度
本冷却装置について、第1吹き付けノズルの表面(フィルム幅方向の中央部付近)に長さ50mm、幅50mmのテフロン(登録商標)コーティングを実施したSUS板を取り付けた。本冷却装置の連続使用時間24Hr後、SUS板を吹き付けノズルから取り外し、表面に析出、堆積したオリゴマをメタノール中で洗浄した。その濾液を、分光光度計にセットし、波長240nmの吸光度を測定した。
オリゴマ量の定量化には、あらかじめ吸光度(240nm)とオリゴマ濃度(ppm)の検量線を作成し、吸光度からオリゴマ濃度を推算した。
【0039】
(6)本冷却装置周辺のエア流れ
本冷却装置の第1吹き付けノズル及び前記押出ダイ直下(冷却ドラムの頂点付近)付近に、純水ミスト気流可視化装置(日本エアーテック株式会社 CLEAN VIEWER ACV-501)のホースを向け、可視化装置からの白煙の流れを目視観察した。本冷却装置付近のエアの強さ、向きの状態について、下記のように評価付けした。
評価A:吹き付けノズル付近のエアが押出ダイ直下に向かって勢いよく吹出している。押出ダイから吐出される熱可塑性樹脂がエアによって振動することに加え、吹き付けノズルからのエアが斜めにフィルムに当たっており冷却効率が低下するため、好ましくない。
評価B:吹き付けノズル付近のエアが押出ダイに向かって吹出しているが、押出ダイ直下までは届かない。吹き付けノズルからのエアがフィルムにやや斜めに当たっており冷却効率が若干落ちるが、口金付近のオリゴマが本冷却装置内部へ流入しておらず好ましい。
評価C:吹き付けノズル付近のエアがほとんど滞留して無風、あるいは吸込みと吹出しをランダムに繰り返している。吹き付けノズルからのエアがフィルムにまっすぐ当たっており冷却効率が高く、口金付近のオリゴマが本冷却装置内部へ流入しておらず最も好ましい。
評価D:吹き付けノズル付近のエアが緩やかに冷却ドラムの回転方向に吸込まれている。吹き付けノズルからのエアがフィルムにやや斜めに当たっており冷却効率が若干落ちることにくわえ、口金付近のオリゴマ濃度が高いエアが本冷却装置内部へ流入しており好ましくない。
評価E:吹き付けノズル付近の空気が勢いよく冷却ドラムの回転方向に吸込まれている。吹き付けノズルからのエアがフィルムに斜めに当たっており冷却効率が落ちることにくわえ、口金付近のオリゴマ濃度が高いエアが本冷却装置内部へ流入しており好ましくない。
【0040】
(7)キャスティング室のクリーン度
パーティクルカウンタを用いてキャスティング室内のクリーン度を測定した。測定箇所は冷却ドラムの真上の位置および本冷却装置最上段吹き付けノズルの真上の位置の2箇所で行い、その平均値をクリーン度の指標とした。光学用途としての適合性について、前記したフィルムの評価結果から、表面異物欠点が5個/m以下、結晶化キズ5個/m以下、厚みムラR=10μm以下の条件をすべて満足するフィルムを合格とした。
【0041】
次に、本発明のフィルム製造方法に関するフィルムの製膜条件を説明する。なお、実施例1〜6、比較例1〜6における本冷却装置条件を表1に、冷却工程条件を表2、実施例及び比較例の条件より得られたフィルムの品位特性を表3に示す。
【0042】
(実施例1)
ポリエステル原料として、ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)、F20S)ペレットを減圧乾燥した後、押し出し機に供給し、280℃で溶融押出しした。これを表面温度20℃に保った冷却ドラム(直径φ1600mm)に静電印加法にて密着させると同時に、本冷却装置を用いて冷却固化し、厚さ2100μmの熱可塑性樹脂フィルムを得た。
本冷却装置は、熱可塑性樹脂が押出される押出ダイに一番近い部分には、第一吹き付けノズルが配置され、ノズル間排気機構を吹き付けノズルと完全に分離し、吹き付けノズルの背面から50mm離れて設置した。従って、ノズル間排気機構の吸引面は吹き付けノズルの先端面から完全に離れており、吹き付けノズル間には隙間がある。
吹き付けノズルは冷却ドラムの回転方向に沿って100mmピッチで15段設置しており、吹き付けノズルの間には隙間があり、フィルムに当たってはね返ってくるエアが通る。
また、エアが吹き出る部分はスリットタイプとなっていて、スリット間隙2mm、幅1400mmである。
【0043】
また、ノズル間排気機構の吸引面は、ブラインド式の遮蔽板を設置し、開度調整により排気量を可変とした。また、冷却ドラムの頂点真上から第一吹き付けノズルの吹き付けエアの着地点までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さは1400mmである。
冷却固化の工程条件としては冷却ドラムの回転速度を8m/min、全吹き付け風量を90m 3/min、ノズル間排気機構の全吸引風量を70m/min、冷却エア温度を11℃とした。
冷却ドラム、本冷却装置は一つの部屋として、カバーなどで仕切られた空間にあり(以下、キャスティング室とする)、床5m四方、天井高さ5mで容積125mである。キャスティング室には押出ダイ周辺排気機構を天井に設けてあり、換気回数80回/hr、室内のクリーン度はクラス1000である。
【0044】
この熱可塑性樹脂フィルムを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで加熱し、その後、周速差のあるロール群で長手方向に3.2倍延伸して一軸配向ポリエステルフィルムを得た。引き続きフィルムの端部をクリップで把持して温度130℃の熱風ゾーンに導き、フィルム幅方向に3.5倍に延伸した。次にその延伸された幅を保ったまま、温度220℃の熱風ゾーンにて熱固定処理を行い、さらに温度100℃の熱風ゾーンにて冷却処理後、フィルム両端部をトリミングし、さらに巻き取り装置にて巻き取り、厚さ188μm、幅3450mmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムに対し、両端から150mmずつ除き、1000mm幅に3等分してスリットすることで、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロール3本を得た。この3本のうち中央のロールを用い、厚みムラ、表面異物、結晶化キズなどの評価に必要なフィルムロールサンプルを作製した。
【0045】
(実施例2)
本冷却装置において、各々の吹き付けノズルと吹き付けノズルの間にノズル間排気機構の吸引面があり、吹き付けノズルの先端面からノズル間排気機構の吸引面までの距離を100mmとした。従って、ノズル間排気機構は吹き付けノズルと分離しておらず、吹き付けノズル間に隙間はない。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0046】
(実施例3)
冷却工程条件において、全吹き付け風量を120m/min、全吸引風量を70m/min、全吸引風量/全吹き付け風量=0.58とした。また、ノズル間排気機構を、吹き付けノズルと分離し、吹き付けノズルの背面に設置、吹き付けノズル間に隙間を設けた。そして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0047】
(実施例4)
冷却工程条件において、冷却エア温度を15℃とした。また、ノズル間排気機構を、吹き付けノズルと分離し、吹き付けノズルの背面に設置、吹き付けノズル間に隙間を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
(実施例5)
冷却工程条件において、天井排気を設置しない以外は実施例1と同様の条件にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。なお、キャスティング室内のクリーン度はクラス3000である。
【0048】
(実施例6)
冷却工程条件において、全吹き付け風量を90m/min、全吸引風量を90m/min、全吸引風量/全吹き付け風量=1.00とした。また、ノズル間排気機構を、吹き付けノズルと分離し、吹き付けノズルの背面に設置、吹き付けノズル間に隙間を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0049】
(実施例7)
冷却工程条件において、全吹き付け風量を90m/min、全吸引風量を45m/min、全吸引風量/全吹き付け風量=0.50とした。また、天井排気を設置していない。また、ノズル間排気機構を、吹き付けノズルと分離し、吹き付けノズルの背面に設置、吹き付けノズル間に隙間を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
(実施例8)
冷却工程条件において、全吹き付け風量を90m/min、全吸引風量を81m/min、全吸引風量/全吹き付け風量=0.90とした。また、天井排気を設置していない。また、ノズル間排気機構を、吹き付けノズルと分離し、吹き付けノズルの背面に設置、吹き付けノズル間に隙間を設けた。それ以外は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0050】
(比較例1)
本冷却装置において、押出ダイに一番近い部分に吸引面を配置し、各々の吹き付けノズルと吹き付けノズルの間にはノズル排気機構の吸引面を配置し、吹き付けノズルの先端面とノズル間排気機構の吸引面の位置は同じ円周上に配置した。従って、吹き付けノズル間に隙間は設けない。また、吸引面へのオリゴマ析出防止対策として、吸引面内部の壁面にヒーターを配置した。
また、冷却ドラムの頂点真上から第一吹き付けノズルの吹き付けエアの着地点までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さを1400mmとした。また、全吹き付け風量90m/min、全吸引風量を340m/minとし、全吸引風量/全吹き付け風量=3.78とした。これら以外の条件は実施例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0051】
(比較例2)
全吹き出し風量を90m、全吸引風量を225m/minとし、全吸引風量/全吹き付け風量=2.50とした以外は比較例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0052】
(比較例3)
キャスティング室内の喚起回数を120回/Hrとした以外は比較例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。なお、キャスティング室内のクリーン度はクラス800である。
【0053】
(比較例4)
吹き付けノズルの先端面からノズル間排気機構の吸引面までの距離を100mmに離した以外は比較例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0054】
(比較例5)
押出ダイに一番近い部分に第1吹き付けノズルを設置した。また、第1吸引面の内部にはヒーターを設置していない。これら以外の条件は比較例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0055】
(比較例6)
押出ダイに一番近い部分に第1吹き付けノズルを設置した。また、第1吸引面の内部にはヒーターを設置していない。また、ノズル間排気機構の吸引面は吹き付けノズルの先端面から離れている。これら以外の条件は比較例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0056】
(比較例7)
押出ダイに一番近い部分に第1吹き付けノズルを設置した。また、第1吸引面の内部にはヒーターを設置していない。また、吹き付けノズルの先端面からノズル間排気機構の吸引面までの距離を100mmとした以外の条件は比較例1と同様にして、厚さ188μm、幅1000mm、長さ2000mのポリエステルフィルムロールを得た。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の製造方法及び製造装置により、得られたフィルムは、優れた光学特性を有しており、かつ従来厚みムラの大きいフィルムの製造技術では両立困難であった、表面異物欠点、結晶化キズのトラブルを同時に解消しており、主にディスプレイ関連用途として好適である。
【符号の説明】
【0061】
1:押出ダイ
2:冷却ドラム
3:熱可塑性樹脂フィルム
4:ノズル間排気機構
5:押出ダイ周辺排気機構
6:吹き付けノズル
7:引き離しロール
8:ノズル間排気機構の吸引面
9:吹き付けノズルの先端面
10:冷却ドラムの頂点真上から第一吹き付けノズルの吹き付けエアの着地点までの冷却ドラムの回転方向に沿った長さ
11:排気機構の吸引面から吹き付けノズルの先端面までの距離
図1
図2
図3