特許第5799507号(P5799507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799507
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】光走査装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/12 20060101AFI20151008BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20151008BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20151008BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
   G02B26/12
   G02B26/10 F
   B41J2/47 101D
   H04N1/04 104A
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-4253(P2011-4253)
(22)【出願日】2011年1月12日
(65)【公開番号】特開2012-145781(P2012-145781A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】横沢 亮二
【審査官】 鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−282454(JP,A)
【文献】 特開2000−187175(JP,A)
【文献】 特開2005−122021(JP,A)
【文献】 特開2006−154116(JP,A)
【文献】 特開2008−032906(JP,A)
【文献】 特開2009−139803(JP,A)
【文献】 特開2011−118217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10 − 26/12
B41J 2/47
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各色別の像保持体に各色別に露光光を照射するための光学系が収容された樹脂製の筐体と、
前記筐体内に収容された前記光学系に含まれるとともに同じ向きを向くように設けられ、光源から照射された光を各色別に反射する複数の反射鏡と、
前記筐体内の熱源からの距離がそれぞれ異なる位置に形成され、数の前記反射鏡それぞれつの保持点で保持する複数の保持部と、
を有し、
前記3つの保持点は、前記保持部において熱変位による変位量が同じとなる保持点を選択してなる保持点であり、
複数の前記保持部のうち、少なくとも1つの前記保持部における前記3つの保持点の位置が、残りの前記保持部における前記3つの保持点の位置と異なることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
各色別の像保持体に各色別に露光光を照射するための光学系が収容された樹脂製の筐体と、
前記筐体内に収容された前記光学系に含まれるとともに同じ向きを向くように設けられ、光源から照射された光を各色別に反射する複数の反射鏡と、
前記筐体内の熱源からの距離がそれぞれ異なる位置に形成され、複数の前記反射鏡をそれぞれ3つの保持点で保持する複数の保持部と、
を有し、
前記3つの保持点は、前記保持部において熱変位による変位量が同じとなる保持点が2つ以下の場合に、前記保持部における法線方向の変位量の差の絶対値が最小となる保持点を選択してなる保持点であり、
複数の前記保持部のうち、少なくとも1つの前記保持部における前記3つの保持点の位置が、残りの前記保持部における前記3つの保持点の位置と異なることを特徴とす光走査装置。
【請求項3】
前記保持部は3個以上形成されており、前記熱源に最も近い位置に形成されている前記保持部における前記3つの保持点の位置が、残りの前記保持部における前記3つの保持点の位置と異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記各保持部における前記各保持点は、前記反射鏡を前記保持部に接着剤によって接着する接着点であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の光走査装置。
【請求項5】
像保持体と、
前記像保持体の表面に露光光を照射して該表面に潜像を形成する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の光走査装置と、
前記像保持体の表面に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段と、
前記現像手段で現像された現像剤像を前記像保持体の表面に向けて搬送される被転写材に転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出光学系から出射された光束を折り返す反射ミラーにおける光束反射面に直交し、かつ互いに直交する2つの当接面に当接する取付基準面により、反射ミラーを精度よく光学箱内に配置するようにした走査光学装置は、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−271836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、各色別に設けられた複数の反射鏡を保持する各保持部の角度が熱により変化しても、各色の色ずれを抑制できる光走査装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の光走査装置は、各色別の像保持体に各色別に露光光を照射するための光学系が収容された樹脂製の筐体と、前記筐体内に収容された前記光学系に含まれるとともに同じ向きを向くように設けられ、光源から照射された光を各色別に反射する複数の反射鏡と、前記筐体内の熱源からの距離がそれぞれ異なる位置に形成され、数の前記反射鏡それぞれつの保持点で保持する複数の保持部と、を有し、前記3つの保持点は、前記保持部において熱変位による変位量が同じとなる保持点を選択してなる保持点であり、複数の前記保持部のうち、少なくとも1つの前記保持部における前記3つの保持点の位置が、残りの前記保持部における前記3つの保持点の位置と異なることを特徴としている。
また、本発明に係る請求項2に記載の光走査装置は、各色別の像保持体に各色別に露光光を照射するための光学系が収容された樹脂製の筐体と、前記筐体内に収容された前記光学系に含まれるとともに同じ向きを向くように設けられ、光源から照射された光を各色別に反射する複数の反射鏡と、前記筐体内の熱源からの距離がそれぞれ異なる位置に形成され、複数の前記反射鏡をそれぞれ3つの保持点で保持する複数の保持部と、を有し、前記3つの保持点は、前記保持部において熱変位による変位量が同じとなる保持点が2つ以下の場合に、前記保持部における法線方向の変位量の差の絶対値が最小となる保持点を選択してなる保持点であり、複数の前記保持部のうち、少なくとも1つの前記保持部における前記3つの保持点の位置が、残りの前記保持部における前記3つの保持点の位置と異なることを特徴としている。
【0006】
また、請求項3に記載の光走査装置は、請求項1又は請求項2に記載の光走査装置であって、前記保持部は3個以上形成されており、前記熱源に最も近い位置に形成されている前記保持部における前記3つの保持点の位置が、残りの前記保持部における前記3つの保持点の位置と異なることを特徴としている
【0007】
また、請求項に記載の光走査装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の光走査装置であって、前記各保持部における前記各保持点は、前記反射鏡を前記保持部に接着剤によって接着する接着点であることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る請求項に記載の画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面に露光光を照射して該表面に潜像を形成する請求項1〜請求項の何れか1項に記載の光走査装置と、前記像保持体の表面に形成された潜像を現像剤で現像する現像手段と、前記現像手段で現像された現像剤像を前記像保持体の表面に向けて搬送される被転写材に転写する転写手段と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、各色別に反射する複数の反射鏡を保持する各保持部における3つの保持点の位置が全て同じ構成に比べて、各保持部の角度が熱により変化しても、各色の色ずれを抑制することができる。
【0010】
請求項に記載の発明によれば、熱源に最も近い位置に設けられている反射鏡を保持する保持部の角度が熱により変化しても、その反射鏡に対応する色の色ずれを抑制することができる。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、各保持点が、接着剤によって接着する接着点ではない構成に比べて、各色別に設けられた複数の反射鏡の角度を維持し易い。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜請求項の何れか1項に記載の光走査装置を有していない構成に比べて、各色の色ずれが抑制された画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図
図2】画像形成ユニットの構成を示す概略図
図3】露光ユニットの構成を示す概略図
図4】露光ユニットの構成を示す概略平面図
図5】第1平面ミラーを取り付けるための取付ベースを示す概略斜視図
図6】イエロー色用の第1平面ミラーを取り付ける取付ベースの保持点を示す概略斜視図
図7】イエロー色用の第1平面ミラーを取り付ける取付ベースの保持点を示す概略側面図
図8】ブラック色用の第1平面ミラーを取り付ける取付ベースの保持点を示す概略斜視図
図9】ブラック色用の第1平面ミラーを取り付ける取付ベースの保持点を示す概略側面図
図10】(A)イエロー色用の取付ベースにおいて3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図、(B)ブラック色用の取付ベースにおいて3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図
図11】(A)イエロー色用の取付ベースにおいて3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図、(B)ブラック色用の取付ベースにおいて3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図
図12】ブラック色用の取付ベースにおいて3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図
図13】(A)ブラック色用の取付ベースの3つの保持点を基に倒れ方向の角度変動量を合わせるようにしてイエロー色用の取付ベースの3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図、(B)ブラック色用の取付ベースの3つの保持点を基に回転方向の角度変動量を合わせるようにしてイエロー色用の取付ベースの3つの保持点を決める方法を示す概略斜視図
図14】本実施形態に係る取付構造によって取り付けられたイエロー色用及びブラック色用の第1平面ミラーの発熱時間に対する角度変動量を示すグラフ
図15】本実施形態に係る取付構造によって取り付けられた各色用の第1平面ミラーの発熱時間に対する各色の色ずれの変動量を示すグラフ
図16】従来の取付構造によって取り付けられたイエロー色用及びブラック色用の第1平面ミラーの発熱時間に対する角度変動量を示すグラフ
図17】従来の取付構造によって取り付けられた各色用の第1平面ミラーの発熱時間に対する各色の色ずれの変動量を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、以下において、記録媒体の一例としての記録シートPの搬送方向上流側を単に「上流側」、搬送方向下流側を単に「下流側」という場合がある。
【0015】
図1で示すように、画像形成装置10の装置本体10Aの上部には、複数枚の読取原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置12と、1枚の読取原稿Gが載せられるプラテンガラス16と、原稿搬送装置12によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス16に載せられた読取原稿Gを読み取る原稿読取装置14とが設けられている。原稿読取装置14には、原稿搬送装置12によって搬送された読取原稿G又はプラテンガラス16に載せられた読取原稿Gに光を照射する光照射部18が設けられている。
【0016】
また、原稿読取装置14には、光照射部18によって照射され、読取原稿Gから反射された反射光をプラテンガラス16と平行な方向に反射させるフルレートミラー20と、フルレートミラー20によって反射した反射光を下方へ反射させるハーフレートミラー22と、ハーフレートミラー22によって反射した反射光をプラテンガラス16と平行な方向に反射させて折り返すハーフレートミラー24と、ハーフレートミラー24によって折り返された反射光が入射される結像レンズ26と、により構成される光学系が設けられている。
【0017】
更に、原稿読取装置14には、結像レンズ26によって結像された反射光を電気信号に変換する光電変換素子28と、光電変換素子28によって変換された電気信号を画像処理する画像処理装置29とが設けられている。そして、光照射部18、フルレートミラー20、ハーフレートミラー22及びハーフレートミラー24は、プラテンガラス16に沿って移動可能となっている。
【0018】
プラテンガラス16に載せられた読取原稿Gを読み取る場合には、光照射部18、フルレートミラー20、ハーフレートミラー22及びハーフレートミラー24を移動させながら、光照射部18がプラテンガラス16に載せられた読取原稿Gに光を照射し、読取原稿Gから反射された反射光が光電変換素子28へ結像するようになっている。
【0019】
また、原稿搬送装置12によって搬送された読取原稿Gを読み取る場合には、光照射部18、フルレートミラー20、ハーフレートミラー22及びハーフレートミラー24が決められた位置に停止して、原稿搬送装置12によって搬送された読取原稿Gに光照射部18が光を照射し、読取原稿Gから反射された反射光が光電変換素子28へ結像するようになっている。
【0020】
一方、装置本体10Aの上下方向(矢印V方向)中央部には、互いに異なった色のトナー画像を形成するとともに、水平方向(矢印H方向)に対して傾斜した状態に並んで配置された複数個の現像手段の一例としての画像形成ユニット30が設けられている。
【0021】
更に、画像形成ユニット30の上側には、回転駆動される駆動ロール48、張力を付与する張力付与ロール54、従動回転する支持ロール50、第1のアイドラロール56、及び第2のアイドラロール58に巻き掛けられた無端状の被転写材の一例としての中間転写ベルト32が設けられている。そして、中間転写ベルト32が図中矢印A方向に循環移動することにより、各色の画像形成ユニット30で形成されたトナー画像が中間転写ベルト32に転写されるようになっている。
【0022】
図2で示すように、画像形成装置10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kが、中間転写ベルト32の移動方向下流側へ向けて、この順番で設けられている。画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは、画像形成ユニット30Yが最も高い位置、画像形成ユニット30Kが最も低い位置に設けられており、水平方向に対して斜めに傾斜した状態で一定の間隔を隔てて並べられている。
【0023】
また、画像形成ユニット30Y、30M、30C、30Kは、収容されるトナーを除いて、同様の構成とされている。なお、以下の説明では、各色を区別する場合には符号に各色に対応する英字(Y、M、C、K)を付加し、特に区別しない場合には各色に対応する英字を省略する。
【0024】
図2で示すように、画像形成ユニット30には、図示しない駆動手段によって矢印D方向(図示の時計回り方向)に回転する被露光体及び像保持体の一例としての感光体34が設けられており、感光体34の表面(外周面)と対向して、感光体34の表面を帯電する帯電部材36が設けられている。
【0025】
また、画像形成ユニット30の下方には、複数個の画像形成ユニット30に沿うように傾斜配置された光走査装置の一例としての露光ユニット40が設けられている。露光ユニット40は、詳細は後述するが、帯電部材36によって帯電された感光体34の表面に、決められた色に対応したレーザー光を照射・露光して、静電潜像を形成するようになっている。
【0026】
感光体34の回転方向で帯電部材36よりも下流側には、感光体34の表面に形成された静電潜像を決められた色のトナーで現像して可視化させる現像器42が設けられている。また、感光体34の回転方向で現像器42よりも下流側であり、かつ中間転写ベルト32を挟んで感光体34の反対側には、感光体34の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト32に転写するための転写手段の一例としての一次転写部材46が設けられている。
【0027】
更に、感光体34の回転方向で一次転写部材46よりも下流側には、中間転写ベルト32に転写されずに感光体34の表面に残留した残留トナー等を清掃するクリーニング装置44が設けられている。なお、画像形成ユニット30は、感光体34と、帯電部材36と、現像器42と、クリーニング装置44とを含んで構成されている。また、画像形成ユニット30及び露光ユニット40に隣接する位置(図示の左端部)には、画像形成ユニット30等に電力を供給する電源部41が設けられている。
【0028】
一方、中間転写ベルト32の上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の現像器42に決められた色のトナーを供給するトナーカートリッジ38Y、38M、38C、38Kが設けられている。そして、ブラック(K)色のトナーを収容したトナーカートリッジ38Kは、使用頻度が高いため、他のカラーのトナーカートリッジと比較して大きくされている。
【0029】
また、中間転写ベルト32を挟んで駆動ロール48の反対側には、中間転写ベルト32の表面を清掃するクリーニング装置52が設けられている。クリーニング装置52は、装置本体10Aの前側(ユーザーが立つ正面側)に設けられたフロントカバー(図示省略)を開放することで、装置本体10Aに対して着脱自在とされている。
【0030】
更に、中間転写ベルト32を挟んで支持ロール50の反対側には、中間転写ベルト32上に一次転写されたトナー画像を記録シートPに二次転写するための二次転写部材60が設けられており、二次転写部材60と支持ロール50との間が記録シートPへトナー画像を転写する二次転写位置とされている。
【0031】
そして、二次転写部材60の上方(下流側)には、二次転写部材60によってトナー画像が転写された記録シートPにトナー画像を定着させる定着装置64が設けられている。なお、画像形成装置10内の右側には上下方向に搬送経路62が設けられており、記録シートPは、上方へ向けて搬送経路62に沿って搬送されるようになっている。
【0032】
また、図1で示すように、記録シートPの搬送方向で定着装置64よりも下流側(図示の上側)には、トナー画像が定着された記録シートPを下流側へ搬送する搬送ロール66が設けられている。そして、記録シートPの搬送方向で搬送ロール66よりも下流側には、揺動して記録シートPの搬送方向を切り替える切替ゲート68が設けられている。
【0033】
また、記録シートPの搬送方向で切替ゲート68よりも下流側には、一の方向に切り替えられた切替ゲート68によって案内される記録シートPを第1排出部69に排出させる第1排出ロール70が設けられている。更に、記録シートPの搬送方向で切替ゲート68よりも下流側には、他の方向に切り替えられた切替ゲート68によって案内されるとともに搬送ロール73により搬送される記録シートPを第2排出部72に排出させる第2排出ロール74と、記録シートPを第2排出ロール74とは逆側の第3排出部76に排出させる第3排出ロール78とが設けられている。
【0034】
装置本体10Aの下部であって、記録シートPの搬送方向で二次転写部材60よりも上流側(図示の下側)には、サイズの異なる記録シートPが収容される給紙部80、82、84、86が設けられている。各給紙部80、82、84、86には、収容された記録シートPを各給紙部80、82、84、86から搬送経路62に送り出す給紙ロール88が設けられており、給紙ロール88よりも下流側には、記録シートPを1枚ずつ搬送する搬送ロール90及び搬送ロール92が設けられている。
【0035】
また、記録シートPの搬送方向で搬送ロール92よりも下流側には、記録シートPを一旦停止させるとともに、決められたタイミングで二次転写位置へ送り出す位置合わせロール94が設けられている。そして、二次転写位置の側方(図示の右側)には、記録シートPの両面に画像を形成させるために記録シートPを反転させて搬送する両面用搬送ユニット98が設けられている。
【0036】
両面用搬送ユニット98には、搬送ロール73を逆回転させることで記録シートPが送り込まれる反転経路100が設けられている。更に、両面用搬送ユニット98には、反転経路100に沿って複数の搬送ロール102が設けられており、記録シートPは、これらの搬送ロール102によって表裏が反転された状態で、位置合わせロール94に再度搬送される構成となっている。
【0037】
また、両面用搬送ユニット98の隣(図示の右側)には、折り畳み式の手差給紙部106が設けられている。そして、装置本体10A内で手差給紙部106から記録シートPが給紙される部位には、記録シートPを搬送経路62へ向けて搬送する給紙ロール108及び搬送ロール110、112が設けられており、搬送ロール110、112で搬送された記録シートPは、位置合わせロール94に搬送されるようになっている。
【0038】
次に、画像形成装置10における画像形成工程について説明する。
【0039】
図1で示すように、画像形成装置10が作動すると、画像処理装置29又は外部から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像データが露光ユニット40に順次出力される。そして、露光ユニット40から画像データに応じて出射されたレーザー光Lは、帯電部材36により帯電された対応する感光体34の表面(外周面)を露光し、感光体34の表面には静電潜像が形成される。
【0040】
感光体34の表面に形成された静電潜像は、現像器42Y、42M、42C、42Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として現像される。そして、感光体34の表面に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト32上に一次転写部材46によって順次多重転写される。
【0041】
中間転写ベルト32上に多重転写された各色のトナー画像は、搬送されてきた記録シートP上に二次転写部材60によって二次転写される。そして、トナー画像が転写された記録シートPは、定着装置64に向けて搬送され、定着装置64では、記録シートP上の各色のトナー画像が加熱、加圧されることで、その記録シートPに定着される。
【0042】
こうして、トナー画像が定着された記録シートPは、第1排出部69、第2排出部72、第3排出部76の何れかに排出される。なお、画像が形成されていない非画像面に画像を形成する場合(両面印刷の場合)は、定着装置64で表面に画像定着を行った後、記録シートPを反転経路100に送り込んで裏面の画像形成及び定着を行う。
【0043】
次に、露光ユニット40について説明する。
【0044】
図2図3で示すように、露光ユニット40は、4本の感光体34Y、34M、34C、34Kにそれぞれ露光光の一例としてのレーザー光LY、LM、LC、LKを照射して、その感光体34上に静電潜像を形成するようになっている。
【0045】
詳細には、図4で示すように、露光ユニット40は、画像形成装置10の決められた位置に固定される樹脂製の筐体40Aを有しており、その筐体40Aには、イエロー色用のレーザー光LY、マゼンタ色用のレーザー光LM、シアン色用のレーザー光LC、ブラック色用のレーザー光LKを出射する光源124Y、124M、124C、124Kが設けられている。
【0046】
なお、前述したように、各色別に設けられた部材については、符号の末尾に各々の色を示す英字(Y/M/C/K)を付与して示すが、特に色を区別せずに説明する場合は、符号の末尾の英字を省略して説明する。また、光源124の光軸方向を矢印Z方向、矢印Z方向と直交する、筐体40A内の水平方向(図示の右方向)を矢印X方向、矢印Z方向及び矢印X方向と直交する、筐体40A内の鉛直方向(図示の手前方向)を矢印Y方向とする。
【0047】
露光ユニット40には、複数(本実施形態では6面)の反射面126Aを備え、熱源の一例としての駆動モーター130(図3参照)によって回転し、光源124から出射したレーザー光Lを反射させて感光体34(図3参照)上の主走査方向(感光体34の回転軸方向)にレーザー光Lを走査させるポリゴンミラー(回転多面鏡)126が設けられている。
【0048】
また、光源124からポリゴンミラー126に至るまでの光路には、各色の光源124に対応するように光源124から出射したレーザー光Lを平行光とするコリメータレンズ114が、鏡筒部材116に保持された状態で設けられている。そして、光源124と鏡筒部材116との間には、光源124から出射したレーザー光Lが透過するガラス板128が設けられている。
【0049】
各色のコリメータレンズ114に対してレーザー光Lの光路下流側(以下、「レーザー光Lの」を省略して、単に「光路下流側」と記載する)には、コリメータレンズ114を透過した平行光を、それぞれ入射した方向に対して直交する方向に向けて反射させる第1平面ミラー118Y、118M、118C、118Kが、矢印X方向に距離を空けて斜めに、かつ互いに平行に(同じ向きを向くように)設けられている。なお、各光源124も、矢印X方向に距離を空けて光軸が平行になるように設けられており、各レーザー光LY、LM、LC、LKは、互いに干渉しないようになっている。
【0050】
また、第1平面ミラー118よりも光路下流側には、副走査方向においてレーザー光Lを収束させるシリンダレンズ120が1個設けられている。更に、シリンダレンズ120とポリゴンミラー126との間には、シリンダレンズ120を透過したレーザー光Lをポリゴンミラー126に向けて反射させる第2平面ミラー122が設けられている。そして、第2平面ミラー122によってポリゴンミラー126に導かれたレーザー光LY、LM、LC、LKは、回転駆動するポリゴンミラー126に斜めに入射し、ポリゴンミラー126によって走査されるようになっている。
【0051】
図3で示すように、ポリゴンミラー126よりも光路下流側には、ポリゴンミラー126の反射面126Aで反射された4本のレーザー光Lが入射するとともに、感光体34上で主走査されるレーザー光Lの走査速度を等速にする第1fθレンズ132と第2fθレンズ134とが設けられている。そして、第2fθレンズ134よりも光路下流側には、4本のレーザー光LY、LM、LC、LKをそれぞれ入射した方向に対して直交する方向(図示の上方)に向けて反射する第3平面ミラー136が設けられている。
【0052】
第3平面ミラー136よりも光路下流側には、2本のレーザー光LY、LMをそれぞれ入射した方向に対して直交する方向に向けて反射する第4平面ミラー138と、第4平面ミラー138によってレーザー光LY、LMが反射した方向(図示の左方向)に対して反対の方向(図示の右方向)に向けて2本のレーザー光LC、LKを反射させる第5平面ミラー140とが設けられている。
【0053】
第4平面ミラー138の光路下流側には、レーザー光LMを折り返すように反射させる第6平面ミラー142と、第4平面ミラー138によって反射したレーザー光LYを感光体34Yに向けて反射させ、感光体34Y上にレーザー光LYを結像させるガラス製のシリンドリカルミラー148Yとが設けられている。また、第6平面ミラー142の光路下流側には、第6平面ミラー142によって反射されたレーザー光LMを感光体34Mに向けて反射させ、感光体34M上にレーザー光LMを結像させるガラス製のシリンドリカルミラー148Mが設けられている。
【0054】
一方、第5平面ミラー140の光路下流側には、レーザー光LCを折り返すように反射させる第7平面ミラー144と、第5平面ミラー140によって反射したレーザー光LKを感光体34Kに向けて反射させ、感光体34K上にレーザー光LKを結像させるガラス製のシリンドリカルミラー148Kとが設けられている。また、第7平面ミラー144の光路下流側には、第7平面ミラー144によって反射されたレーザー光LCを感光体34Cに向けて反射させ、感光体34C上にレーザー光LCを結像させるガラス製のシリンドリカルミラー148Cが設けられている。
【0055】
このように、コリメータレンズ114(図4参照)を透過したレーザー光Lを感光体34へ導いて感光体34の表面に静電潜像を形成させる光学系146(図3参照)は、第1平面ミラー118、シリンダレンズ120、第2平面ミラー122、ポリゴンミラー126、第1fθレンズ132、第2fθレンズ134、第3平面ミラー136、第4平面ミラー138、第5平面ミラー140、第6平面ミラー142、第7平面ミラー144、シリンドリカルミラー148によって構成されている。
【0056】
一方、光源124K(図4参照)から出射されたレーザー光LKの一部が、同期光LSとして用いられるようになっている。この同期光LSは、第5平面ミラー140によって反射後、ミラー150によって、画像領域外に配置された光検出センサ152に向けて反射される構成となっている。
【0057】
また、光検出センサ152とミラー150との間には、ミラー150によって反射した同期光LSを光検出センサ152に集光する集光レンズ154(図4参照)が設けられている。そして、光検出センサ152に集光された同期光LSの検出タイミングに基づいて、図示しない制御部が感光体34への画像書き込みタイミングを制御する構成となっている。
【0058】
次に、筐体40A内における第1平面ミラー118の取付構造160について説明する。
【0059】
本実施形態に係る取付構造160は、各第1平面ミラー118を取り付けるために樹脂製の筐体40Aに形成された保持部の一例としての各取付ベース162が、駆動モーター130等の熱源から発生する熱によって歪み、特にその駆動モーター130(熱源)に最も近いイエロー色用の第1平面ミラー118Yの角度が、所望とする角度からずれることによる色ずれを抑制又は防止するようにしたものである。
【0060】
すなわち、図16で示すように、従来の取付構造では、イエロー色用の第1平面ミラー118Yの角度は、駆動モーター130等の熱源の発熱時間が長くなると、他の第1平面ミラー118M、118C、118K(図16では代表してブラック色用の第1平面ミラー118Kのみを示している)の角度に比べて、所望とする角度(この場合は45.01度)から大きくずれる(この場合は45.025度になっている)。
【0061】
このように、イエロー色用の第1平面ミラー118Yの角度が、他の第1平面ミラー118M、118C、118Kの角度(他の第1平面ミラー118M、118C、118Kも発熱直後は角度が変動するが、時間が経つにつれて安定した角度となる)と、45.025度−45.01度=0.015度ずれると、図17で示すように、イエロー(Y)の色ずれが目立つようになってしまう。
【0062】
そこで、本実施形態では、発熱前と発熱して予め決められた時間が経過した後(熱変位前後)の各色別の4つの取付ベース162の角度変動量(変位量)を3次元測定に基づくベクトル計算によって求め、それを基に各色別の4つの第1平面ミラー118の各取付ベース162に対する保持位置を決めるようにしている。
【0063】
詳細に説明すると、図5図9で示すように、筐体40Aの底面部40Bで、かつ駆動モーター130(熱源)からの距離がそれぞれ異なる位置(図4で示したように、各色別の4つの第1平面ミラー118が予め決められた間隔を隔てて光軸に対して斜めに、かつ平行に配設される位置)には、例えば矩形枠状とされた各色別の4つの取付ベース162が、その筐体40Aと一体に突設されている。
【0064】
そして、各色別の4つの第1平面ミラー118は、それぞれ底面部40B上に突設された2個一対の半球状突部161に下端面が支持された状態で、各取付ベース162の光源124及びポリゴンミラー126を向く表面163上の複数の保持候補点164のうち、3つの保持点164Aに接着剤166によって接着されることで保持されている。
【0065】
ここで、その3つの保持点(接着点)164Aの決め方について、図10図13を基に説明する。なお、本実施形態においては、マゼンタ、シアン、ブラック色用の第1平面ミラー118M、118C、118Kの角度変動量(変位量)は同等であるため、ここでは、ブラック色用の第1平面ミラー118Kを例に採って説明する。また、接着剤166としては、紫外線を照射することにより硬化される(熱の影響を受け難い)紫外線硬化型接着剤を使用することが望ましい。
【0066】
熱変位の前後で、イエロー色用の第1平面ミラー118Yの変位量と、ブラック色用の第1平面ミラー118Kの変位量とを同じにするため、本実施形態では、まず、駆動モーター130(熱源)から最も遠いブラック色用の取付ベース162Kの法線方向の変位量と、イエロー色用の取付ベース162Yの法線方向の変位量を測定する。すなわち、各取付ベース162Y、162Kの表面163上の各保持候補点164の法線方向の変位量を測定する。
【0067】
そして、図10で示すように、熱変位の前後で、法線方向の変位量が0(ゼロ)μmとなる点が、各取付ベース162Y、162Kにおいて3つ以上あるときには、その中で三角形の面積が最大となる3点をそれぞれの取付ベース162Y、162Kで選択する。この3点が、各第1平面ミラー118Y、118Kをそれぞれ取り付ける保持点164Aとなる。なお、このようにして3つの保持点164Aを決定する方法を第1決定方法とする。
【0068】
また、図11で示すように、熱変位の前後で、法線方向の変位量が同じ値(例えば10μm)になる点が、各取付ベース162Y、162Kにおいて3つ以上あるときには、その中で三角形の面積が最大となる3点をそれぞれの取付ベース162Y、162Kで選択する。この3点が、各第1平面ミラー118Y、118Kをそれぞれ取り付ける保持点164Aとなる。なお、このようにして3つの保持点164Aを決定する方法を第2決定方法とする。
【0069】
一方、熱変位の前後で、法線方向の変位量が0(ゼロ)又は同じ値になる点が、各取付ベース162Y、162Kにおいて2つ以下のときには、図12で示すように、まず、ブラック色用の取付ベース162Kにおいて、法線方向の変位量及びその変位量の差が共に絶対値で最小となる3点で、かつ三角形の面積が最大となる3点を選択する。そして、その選択したブラック色用の取付ベース162Kの3つの保持点164Aを基に、イエロー色用の取付ベース162Yの3つの保持点164Aを決める。
【0070】
すなわち、ブラック色用の取付ベース162Kにおいて、熱変位の前後で、法線方向の変位量に差が生じたときで、水平方向を回転軸とする前傾又は後傾の倒れ方向の変位量の差が、上下方向を回転軸とする回転方向の変位量の差よりも大きいときには、図13(A)で示すように、イエロー色用の取付ベース162Yの上半分の領域(A領域とB領域)と下半分の領域(C領域とD領域)から、それぞれ倒れ方向の変位量の差が小さくなる点で、かつ各点の変位量が各取付ベース162Y、162K間で互いに近い点を選び、3点目は回転方向の変位量の差と近い点を選ぶ。
【0071】
反対に、ブラック色用の取付ベース162Kにおいて、熱変位の前後で、法線方向の変位量の差が生じたときで、上下方向を回転軸とする回転方向の変位量の差が、水平方向を回転軸とする前傾又は後傾の倒れ方向の変位量の差よりも大きいときには、図13(B)で示すように、イエロー色用の取付ベース162Yの左半分の領域(A領域とC領域)と右半分の領域(B領域とD領域)から、それぞれ回転方向の変位量の差が小さくなる点で、かつ各点の変位量が各取付ベース162Y、162K間で互いに近い点を選び、3点目は倒れ方向の変位量の差と近い点を選ぶ。
【0072】
より具体的に説明すると、図12で示したように、まず、ブラック色用の取付ベース162Kにおいて、3点の法線方向の変位量の差が絶対値で最小となり、かつ変位量(平行移動量)が最小となる点が3点以上存在していたら、その中で三角形の面積が最大となる3点(保持点164A)を選ぶ。ここでは、A領域における1.9μmの点、C領域における2μmの点、D領域における1.5μmの点を選ぶ。
【0073】
すると、それぞれ1.9μm−1.5μm=0.4μm、2μm−1.5μm=0.5μm、2μm−1.9μm=0.1μmとなる。ここで、各保持点164A同士の差が大きい方が、第1平面ミラー118の変動へ支配的な影響をもたらすため、このブラック色用の取付ベース162Kには、倒れ方向に0.4μmの変位量があり、回転方向に0.5μmの変位量があることになる。
【0074】
この結果を基に、イエロー色用の取付ベース162Yにおける3つの保持点164Aを決める。本実施形態に係る取付構造160では、イエロー色用の第1平面ミラー118Yの角度変動量(変位量)を、ブラック(マゼンタ、シアン)色用の第1平面ミラー118K(118M、118C)の角度変動量(変位量)と同じにすることを目的としているが、図12で示したように、倒れ方向にも回転方向にも角度が変動している場合には、全ての方向で変位量を合わせるのは難しい。
【0075】
そのため、この場合には、画像欠陥への影響を考慮して、角度変動量がより大きい方向の成分を優先して合わせるようにする。すなわち、この場合は、回転方向の角度変動量が、倒れ方向の角度変動量よりも大きいので、回転方向の角度変動量を優先して合わせる。つまり、図13(B)で示したように、イエロー色用の取付ベース162Yにおいて、まず、左半分の領域(A領域とC領域)から1点を選び、右半分の領域(C領域とD領域)から1点を選ぶ。
【0076】
このとき、選ばれる2点は、イエロー色用の取付ベース162Yの回転方向の角度変動量が、ブラック色用の取付ベース162Kの回転方向の角度変動量と同じ0.5μmになる点か、又は0.5μmに最も近くなる点とされる。次に、イエロー色用の取付ベース162Yの倒れ方向の角度変動量が、ブラック色用の取付ベース162Kの倒れ方向の角度変動量と同じ0.4μmになる点か、又は0.4μmに最も近くなる点を選ぶ。但し、このとき、回転方向の角度変動量が0.5μmを超えないような点を選ぶ。
【0077】
こうして選ばれた3点が、イエロー色用の取付ベース162Yにおける3つの保持点164Aとなる。なお、このようにしてイエロー色用の取付ベース162Yにおける3つの保持点164Aを決定する方法を第3決定方法とする。
【0078】
以上の第1決定方法、第2決定方法、又は第3決定方法により、各取付ベース162Y、162M、162C、162Kにおける3つの保持点164Aが決定される。つまり、例えばブラック(マゼンタ、シアン)色用の取付ベース162K(162M、162C)の保持点164Aは、図8図9で示すような位置の保持点164Aとなり、イエロー色用の取付ベース162Yにおける保持点164Aは、図6図7で示すような位置の保持点164Aとなる。
【0079】
このように、イエロー色用の取付ベース162Yと、ブラック(マゼンタ、シアン)色用の取付ベース162K(162M、162C)とでは、各保持点164Aの位置が異なる。そして、このような決定方法により選ばれた各保持点164Aに、接着剤166によって各第1平面ミラー118Y、118M、118C、118Kが接着されることにより、駆動モーター130の回転駆動時(発熱時)において、イエロー色用の第1平面ミラー118Yの角度が、他の第1平面ミラー118M、118C、118Kの角度と、ほぼ同じ(色ずれが目立たない許容範囲内の)角度に調整される。
【0080】
すなわち、図14で示すように(図14では代表してブラック色用の第1平面ミラー118Kのみを示している)、駆動モーター130等の熱源の発熱時間が長くなった(他の第1平面ミラー118M、118C、118Kの角度が安定した)ときに、イエロー色用の第1平面ミラー118Yの角度が、他の第1平面ミラー118M、118C、118Kの角度と、ほぼ同じ(近い)角度に調整される。これにより、図15で示すように、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対するイエロー(Y)の色ずれが抑制又は防止される構成である。
【0081】
以上のような構成の取付構造160において、次にその作用について説明する。
【0082】
まず、駆動モーター130を回転駆動させる前(熱変位前)のイエロー色用の取付ベース162Yと、少なくとも(熱源から最も遠い)ブラック色用の取付ベース162Kの各表面163における各保持候補点164の変位量を、3次元測定に基づくベクトル計算によって求める。
【0083】
次に、駆動モーター130を回転駆動し、予め決められた時間が経過した後(熱変位後)のイエロー色用の取付ベース162Yと、少なくともブラック色用の取付ベース162Kの各表面163における各保持候補点164の変位量を、3次元測定に基づくベクトル計算によって求める。
【0084】
なお、上記したように、マゼンタ色用の取付ベース162Mとシアン色用の取付ベース162Cの各保持候補点164は、ブラック色用の取付ベース162Kの各保持候補点164と同じになるため、ブラック色用の取付ベース162Kの各保持候補点164のみを測定すれば足りる。
【0085】
こうして、熱変位前後の各取付ベース162Y、162Kにおける各保持候補点164の変位量を測定したら、その数値から、ブラック色用の第1平面ミラー118Kを接着剤166によって取り付けるための3つの保持点164Aと、イエロー色用の第1平面ミラー118Yを接着剤166によって取り付けるための3つの保持点164Aを、各取付ベース162K、162Yにおいて決定する。
【0086】
すなわち、上記した第1決定方法、第2決定方法、第3決定方法の順に選択された各方法のうちの何れかによって、ブラック(マゼンタ、シアン)色用の取付ベース162K(162M、162C)における各保持点164Aと、イエロー色用の取付ベース162Yにおける各保持点164Aをそれぞれ決定する。
【0087】
こうして、各取付ベース162Y、162M、162C、162Kにおける各保持点164Aが決定されたら、各第1平面ミラー118Y、118M、118C、118Kを図示しない治具によって、各取付ベース162Y、162M、162C、162Kの各表面163側に配置し、接着剤166によって、各第1平面ミラー118Y、118M、118C、118Kを各保持点164Aに取り付ける。つまり、イエロー色用の第1平面ミラー118Yは、他の第1平面ミラー118M、118C、118Kとは異なる保持点164Aで取り付けられる。
【0088】
さて、以上のようにして組み立てられた露光ユニット40を備えた画像形成装置10を稼働させ、画像形成を開始すると、即ち露光ユニット40における駆動モーター130を回転駆動させると、その駆動モーター130から発生する熱によって、樹脂製の筐体40Aと一体に突設された各取付ベース162Y、162M、162C、162Kが歪む。特に、その駆動モーター130に最も近いイエロー色用の取付ベース162Yが、他の取付ベース162M、162C、162Kとは異なる角度で歪む。
【0089】
しかしながら、上記したように、イエロー色用の取付ベース162Yが、他の取付ベース162M、162C、162Kとは異なる角度で歪むことを考慮して、イエロー色用の第1平面ミラー118Yを、その取付ベース162Yに取り付けているため、駆動モーター130から発生される熱で、イエロー色用の取付ベース162Yが歪むことにより、イエロー色用の第1平面ミラー118Yが、所望とする許容範囲内の角度に配置される。
【0090】
つまり、駆動モーター130から発生される熱で、その熱源に最も近いイエロー色用の取付ベース162Yが歪んでも、イエロー色用の第1平面ミラー118Yが、所望とする許容範囲内の角度からずれることがない。したがって、本実施形態に係る画像形成装置10によって形成された画像において、各色の色ずれは抑制又は防止される。
【0091】
以上、本実施形態に係る光走査装置(露光ユニット40)及び画像形成装置10について図面を基に説明したが、本実施形態に係る画像形成装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。
【0092】
例えば、駆動モーター130等の熱源からの発熱量によっては、イエロー色用の取付ベース162Yだけではなく、マゼンタ色用の取付ベース162M等においても、上記した第1決定方法、第2決定方法、第3決定方法の順に選択される各方法のうちの何れかによって、3つの保持点164Aを決定するようにしてもよい。
【0093】
また、各取付ベース162Y、162Kにおいて、3つの保持点164Aの位置をそれぞれで変えて、各第1平面ミラー118Y、118Kの角度を調整するだけではなく、各保持点164Aにおいて、接着剤166の厚さ(量)を変えることによって、各第1平面ミラー118Y、118Kの角度を調整するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
10 画像形成装置
30 画像形成ユニット(現像手段の一例)
32 中間転写ベルト(被転写材の一例)
34 感光体(像保持体の一例)
40 露光ユニット(光走査装置の一例)
40A 筐体
46 一次転写部材(転写手段の一例)
118 第1平面ミラー(反射鏡の一例)
124 光源
130 駆動モーター(熱源の一例)
146 光学系
160 取付構造
162 取付ベース(保持部の一例)
164 保持候補点
164A 保持点
166 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17