(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至6いずれか1項に記載の機能性粒子において、前記基材粒子が、シリカ、アルミナおよび窒化ケイ素からなる群から選択される一または二以上の成分を含み、前記硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である、機能性粒子。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
(第一の実施形態)
図1は、本実施形態における機能性粒子群の構成を示す断面図である。
図1に示した機能性粒子群130は、第一の粒子131および第二の粒子121を含む。なお、
図1および後述する
図2、
図3においては、説明のために各粒子を1つずつ示したが、本実施形態および以下の実施形態において、具体的には、機能性粒子群は、各粒子をいずれも複数含み、これらが混合された状態となっている。
【0018】
機能性粒子群130は、無機材料により構成された第一の基材粒子(無機粒子111)および無機粒子111を被覆する第一の層113を有する第一の粒子131と、無機材料により構成された第二の基材粒子(無機粒子111)および無機粒子111を被覆する第二の層123を有する第二の粒子121と、を含む。
【0019】
図1ならびに後述する
図2および
図3の例では、各粒子の基材粒子(無機粒子111)がいずれも同一材料により構成される場合を中心に説明する。このような構成とすることにより、粒子の粒度分布や比重の違いによる成分の偏在をより一層効果的に抑制することができる。
【0020】
第一の粒子131の第一の層113は、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一または二つの成分を含み、第二の粒子121の第二の層123は、他の成分を含む。具体的な構成として、以下の3つの態様が挙げられる。
(i)第一の層113は、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を含み、第二の層123は、硬化性樹脂(A)を含む構成、
(ii)第一の層113は、硬化性樹脂(A)および硬化促進剤(C)を含み、第二の層123は、硬化剤(B)を含む構成、および
(iii)第一の層113は、硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)を含み、第二の層123は、硬化促進剤(C)を含む構成。
中でも、上記(i)の構成により、保存中の硬化性樹脂(A)の硬化反応をさらに効果的に抑制することができ、好ましい。
【0021】
なお、第一の層113は、硬化性樹脂(A)およびその硬化剤(B)以外の成分(ただし、硬化促進剤(C)を除く。)を含んでいてもよい。また、第二の層123は、硬化促進剤(C)以外の成分を含んでいてもよい。
【0022】
図1の例では、第一の層113は無機粒子111に接し無機粒子111の表面全面を覆っている。また、第二の層123は、無機粒子111に接し無機粒子111の表面全面を覆っている。また、第一の層113および第二の層123は、好ましい態様として断面視において均一な厚みで設けられている。
【0023】
なお、
図1においては、無機粒子111と第一の層113との界面、および無機粒子111と第二の層123との界面が、いずれも平滑である例を示したが、これらの界面が凹凸を有していてもよい。
【0024】
第一の層113および第二の層123のうち、一方が硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)を含むとき、その層の厚さは、硬化反応を発現させるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば5nm以上、好ましくは50nm以上とし、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
【0025】
また、第一の層113および第二の層123のうち、一方が硬化性樹脂(A)を含み、硬化剤(B)を含まないとき、その層の厚さは、硬化剤(B)と反応を生じるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば5nm以上、好ましくは50nm以上とし、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
第一の層113および第二の層123のうち、一方が硬化剤(B)を含み、硬化性樹脂(A)を含まないとき、その層の厚さは、樹脂と反応を生じるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば5nm以上、好ましくは50nm以上とし、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
また、第一の層113および第二の層123のうち、一方が硬化促進剤(C)を含み、硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)を含まないとき、その層の厚さは、硬化反応を発現させるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば1nm以上、好ましくは5nm以上とし、必ずしも均一な層を形成している必要はないが、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
【0026】
また、機能性粒子群130において、第一の粒子131および第二の粒子121のいずれについても、投影図において短径/長径にて規定されるアスペクト比が0.78以上、好ましくは0.80以上である。こうすることにより、機能性粒子群130の搬送時や取扱時の互着を効果的に抑制することができる。すなわち、機能性粒子群130は高い粉体流動性を有しているため、たとえばハンドリング性および安定性に優れた充填剤として好ましく用いることができる。
【0027】
また、粒子の互着をさらに確実に抑制し、取扱性をさらに良好なものとする観点からは、第一の粒子131および第二の粒子121のいずれについても、(粒子の投影図と同面積の円の周辺長さ)/(粒子の投影図の周辺長さ)にて規定される真円度が、たとえば0.85以上、好ましくは0.90以上であってもよい。
【0028】
以下、機能性粒子群130およびこれに含まれる各粒子を構成する成分の具体例を示す。各成分として、一種類を用いてもよいし、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
はじめに、無機粒子111について説明する。
無機粒子111の材料として、たとえば、溶融破砕シリカ粉末、溶融球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、2次凝集シリカ粉末等のシリカ粉末;アルミナ、窒化ケイ素、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維が挙げられる。
【0030】
このうち、電子部品、半導体装置の封止剤として用いる際の実装信頼性の観点からは、無機粒子111をシリカ、アルミナおよび窒化ケイ素からなる群から選択される一または二以上の無機材料により構成された球状粒子とすることが好ましい。これらの無機材料の中でもシリカが特に好ましい。
また、機械的強度の観点からは、無機粒子111をガラス繊維等の無機繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等の有機繊維、植物由来繊維の繊維材料により構成された繊維状粒子とすることが好ましい。また、無機粒子は、ガラス不織布等の不織布を粒子状に加工して得られる粒子であってもよい。
【0031】
また、無機粒子111の粒子形状に特に制限はなく、たとえば破砕状、略球状、真球状等の球状、繊維状、針状等とすることができる。無機粒子111が球状粒子である場合の平均粒子径(d50)は、粒子同士の凝集を抑制する観点からは、たとえば1μm以上、好ましくは10μm以上とする。また、平滑性の観点からは、無機粒子111の平均粒子径をたとえば100μm以下、好ましくは50μm以下とする。
【0032】
なお、無機粒子111として、粒子の大きさが異なるものを組み合わせて用いることもできる。たとえば無機粒子111を電子部品の封止剤に用いる充填剤とする場合、粒子の大きさが異なるものを組み合わせることにより、流動性を高めることができるため、フィラーの高い割合で充填することが可能となり、半田耐熱性などのパッケージ信頼性をさらに向上することができる。その場合、前述の平均粒子径を持つ無機粒子に組み合わせる無機粒子としては、粒子同士の凝集を抑制する観点からは、平均粒子径をたとえば50nm以上、好ましくは200nm以上とする。流動性向上の観点からは、たとえば2.5μm以下、好ましくは1μm以下とする。
【0033】
次に、硬化性樹脂(A)、その硬化剤(B)および硬化促進剤(C)について説明する。
【0034】
まず、硬化性樹脂(A)として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0035】
フェノール樹脂としてはたとえば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、メチロール型レゾール樹脂、ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
エポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではない。
エポキシ樹脂として、たとえば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の2官能性または結晶性エポキシ樹脂;
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;
フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;
ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;
トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
機能性粒子群130を電子部品の封止剤に用いる充填剤とする場合、パッケージ信頼性を向上させる観点からは、たとえば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;
ビフェニル型エポキシ樹脂;
フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル(すなわちビフェニルアラルキル)型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;
トリフェノールメタン型エポキシ樹脂およびアルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;
ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;
トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂、アリールアルキレン型エポキシ樹脂が好適に用いられる。
【0038】
シアネートエステル樹脂としては、たとえば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類とを反応させたものや、これを加熱等の方法でプレポリマー化したもの等を用いることができる。具体的な形態としてはたとえば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等のビスフェノール型シアネート樹脂等を挙げることができる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
【0039】
硬化剤(B)は、樹脂の種類に応じて適宜選択される。
たとえば、エポキシ樹脂に対する硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して硬化させるものであればよく、当業者に公知のものが使用でき、たとえば、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドラジドなどを含むポリアミン化合物;
ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;
ノボラック型フェノール樹脂、フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル(すなわちビフェニルアラルキル)樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂などのポリフェノール化合物およびビスフェノールAなどのビスフェノール化合物;
ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;
イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;
カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類;
ベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6−トリジメチルアミノメチルフェノール(DMP−30)などの3級アミン化合物;
2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;およびBF3錯体などのルイス酸;
ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂などのフェノール樹脂;
メチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂;および
メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂などが挙げられる。
【0040】
これらの硬化剤の中でも特にフェノール系樹脂を用いることが好ましい。本実施形態で用いられるフェノール系樹脂は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、フェノールアラルキル樹脂(フェニレン骨格、ビフェニレン骨格等を有する)等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。
【0041】
また、第二の層123を構成する硬化促進剤(C)は、第一の層113を構成する硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)の反応を促進するものであればよく、樹脂および硬化剤の種類に応じて適宜選択される。たとえば、エポキシ樹脂に対する硬化触媒としては、エポキシ樹脂およびその硬化剤と反応して硬化促進させるものであればよい。半導体封止用エポキシ樹脂組成物に使用されているものをはじめ、一般的な硬化促進剤を利用することができる。
【0042】
硬化促進剤(C)の具体例としては、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等で例示される3級ホスフィン、4級ホスホニウム、3級ホスフィンと電子欠乏性化合物の付加物等のリン原子含有化合物;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等で例示される3級アミン化合物、環状、非環状のアミジン化合物等の窒素原子含有化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤(C)は、1種類を単独で用いても2種以上を併用しても差し支えない。これらのうち、リン原子含有化合物が好ましく、特に半導体封止用樹脂組成物の粘度を低くすることにより流動性を向上させることができること、さらに硬化立ち上がり速度という点を考慮するとテトラ置換ホスホニウム化合物が好ましく、また半導体封止用樹脂組成物の硬化物の熱時低弾性率という点を考慮するとホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物が好ましく、また潜伏的硬化性という点を考慮すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が好ましい。
【0043】
有機ホスフィンとしては、たとえばエチルホスフィン、フェニルホスフィン等の第1ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の第2ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
【0044】
テトラ置換ホスホニウム化合物としては、下記一般式(4)で表される化合物等が挙げられる。
【0046】
上記一般式(4)で表される化合物は、たとえば以下のようにして得られるがこれに限定されるものではない。まず、テトラ置換ホスホニウムハライドと芳香族有機酸と塩基を有機溶剤に混ぜ均一に混合し、その溶液系内に芳香族有機酸アニオンを発生させる。次いで水を加えると、上記一般式(4)で表される化合物を沈殿させることができる。上記一般式(4)で表される化合物において、リン原子に結合するR7、R8、R9及びR10がフェニル基であり、かつAHはヒドロキシル基を芳香環に有する化合物、すなわちフェノール類であり、かつAは該フェノール類のアニオンであるのが好ましい。
【0047】
ホスホベタイン化合物としては、下記一般式(5)で表される化合物等が挙げられる。
【0049】
上記一般式(5)で表される化合物は、たとえば以下のようにして得られる。まず、第三ホスフィンであるトリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩とを接触させ、トリ芳香族置換ホスフィンとジアゾニウム塩が有するジアゾニウム基とを置換させる工程を経て得られる。しかしこれに限定されるものではない。
【0050】
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物としては、下記一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。
【0052】
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるホスフィン化合物としては、トリフェニルホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の芳香環に無置換のもの又はアルキル基、アルコキシル基等の置換基が存在するものが好ましく、アルキル基、アルコキシル基としては1〜6の炭素数を有するものが挙げられる。入手しやすさの観点からはトリフェニルホスフィンが好ましい。
【0053】
またホスフィン化合物とキノン化合物との付加物に用いるキノン化合物としては、o−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、アントラキノン類が挙げられ、中でもp−ベンゾキノンが保存安定性の点から好ましい。
【0054】
ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物の製造方法としては、有機第三ホスフィンとベンゾキノン類の両者が溶解することができる溶媒中で接触、混合させることにより付加物を得ることができる。溶媒としてはアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類で付加物への溶解性が低いものがよい。しかしこれに限定されるものではない。
【0055】
上記一般式(6)で表される化合物において、リン原子に結合するR11、R12及びR13がフェニル基であり、かつR14、R15及びR16が水素原子である化合物、すなわち1,4−ベンゾキノンとトリフェニルホスフィンを付加させた化合物が半導体封止用樹脂組成物の硬化物熱時弾性率を低下させる点で好ましい。
【0056】
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物としては、下記一般式(7)で表される化合物等が挙げられる。
【化4】
【0057】
上記一般式(7)において、R17、R18、R19及びR20としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、ヒドロキシナフチル基、ベンジル基、メチル基、エチル基、n−ブチル基、n−オクチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられ、これらの中でも、フェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基等の置換基を有する芳香族基もしくは無置換の芳香族基がより好ましい。
【0058】
また、上記一般式(7)において、X2は、Y2及びY3と結合する有機基である。同様に、X3は、基Y4及びY5と結合する有機基である。Y2及びY3はプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y2及びY3が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。同様にY4及びY5はプロトン供与性置換基がプロトンを放出してなる基であり、同一分子内の基Y4及びY5が珪素原子と結合してキレート構造を形成するものである。基X2及びX3は互いに同一でも異なっていてもよく、基Y2、Y3、Y4、及びY5は互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0059】
このような上記一般式(7)中の−Y2−X2−Y3−、及び−Y4−X3−Y5−で表される基は、プロトン供与体が、プロトンを2個放出してなる基で構成されるものであり、プロトン供与体としては、例えば、カテコール、ピロガロール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,2'−ビフェノール、1,1'−ビ−2−ナフトール、サリチル酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、クロラニル酸、タンニン酸、2−ヒドロキシベンジルアルコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール及びグリセリン等が挙げられるが、これらの中でも、カテコール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンがより好ましい。
【0060】
また、上記一般式(7)中のZ1は、芳香環又は複素環を有する有機基又は脂肪族基を表し、これらの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基等の脂肪族基;フェニル基、ベンジル基、ナフチル基及びビフェニル基等の芳香族基;グリシジルオキシプロピル基、メルカプトプロピル基、アミノプロピル基及びビニル基等の反応性置換基を有する有機基などが挙げられるが、これらの中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフチル基及びビフェニル基が熱安定性の面からより好ましい。
【0061】
ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物の製造方法としては、メタノールを入れたフラスコに、フェニルトリメトキシシラン等のシラン化合物、2,3−ジヒドロキシナフタレン等のプロトン供与体を加えて溶かし、次に室温攪拌下ナトリウムメトキシド−メタノール溶液を滴下する。更にそこへ予め用意したテトラフェニルホスホニウムブロマイド等のテトラ置換ホスホニウムハライドをメタノールに溶かした溶液を室温攪拌下滴下すると結晶が析出する。析出した結晶を濾過、水洗、真空乾燥すると、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物が得られる。しかし、これに限定されるものではない。
【0062】
硬化促進剤(C)として、さらに具体的には、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられる。これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
【0063】
機能性粒子群130において、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のさらに具体的な組み合わせとして、たとえば以下のものが挙げられる。
硬化性樹脂(A):ビフェニル型エポキシ樹脂、硬化剤(B):フェノールノボラック樹脂、硬化促進剤(C):トリフェニルホスフィン。
また、機能性粒子群130において、第一および第二の基材粒子(無機粒子111)と硬化性樹脂(A)の組み合わせとしては、無機粒子111の材料がいずれもシリカであり、硬化性樹脂(A)がエポキシ樹脂である組み合わせが挙げられる。
【0064】
次に、機能性粒子群130の製造方法を説明する。
機能性粒子群130の製造方法は、
(ステップ11)硬化性樹脂(A)、硬化性樹脂の硬化剤(B)、および硬化促進剤(C)からなる群から選択される一以上の成分を含む固形原料を粉砕し、粉砕物を得る工程、および
(ステップ12)無機材料により構成された無機粒子111とステップ11で得られた粉砕物とを混合し、機械的に複合化することにより、無機粒子111の上部に成分(A)〜(C)から選択される一以上の成分を含む層を形成する工程
を含む。
ステップ12は、具体的には、無機粒子111の上部(たとえば、表面)に第一の層113を形成し、第一の粒子131を得る工程と、無機粒子111の上部(たとえば、表面)に第二の層123を形成し、第二の粒子121を得る工程とを含む。
また、本実施形態において、ステップ12により得られた第一の粒子131および第二の粒子121を所定の割合で配合し、機能性粒子群130を得る工程(ステップ13)をさらに含む。
【0065】
以下、ステップ11について説明する。
ステップ11においては、成分(A)〜(C)のうち、固形原料を、あらかじめ粉砕し、所定の形態の粉体とする。こうすることにより、ステップ12において無機粒子111上に第一の層113および第二の層123を各無機粒子上にそれぞれ均質に形成することができ、第一の層113および第二の層123の製造安定性を向上させることができる。
【0066】
原料の粉砕方法に特に制限はなく、ジェットミル等の公知の粉砕機を用いることができる。
また、粉砕物の形状は破砕状、略球状、真球状等形状は任意に選択して構わない。
【0067】
第一の層113および第二の層123において、各層をさらに安定的に形成する観点からは、ステップ11で得られる粉砕物の平均粒子径を、無機充填剤である無機粒子111の平均粒子径以下、好ましくは無機粒子111の平均粒子径の1/2以下とする。なお、粉砕物の平均粒子径の下限に特に制限はないが、たとえば無機粒子111の粒子径の1/100以上、好ましくは1/50以上とする。
【0068】
また、ステップ11で得られる粉砕物の平均粒子径は、第一または第二の層を効率よく形成する観点からは、0.01μm以上、好ましくは1μm以上とする。また、第一または第二の層を安定的に形成する観点からは、粉砕物の平均粒子径をたとえば50μm以下、好ましくは30μm以下とする。
【0069】
ここで、本明細書において、各粒子の平均粒子径は、具体的には、以下の方法により測定される平均粒子径d50(メジアン径)である。
メジアン径:フランホーファー回折理論およびミーの散乱理論による解析を利用したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−950V2)を用いて、湿式法にて測定を行い、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径をメジアン径とする。湿式法での測定では、純水50ml中に測定試料を少量(耳かき一杯程度)を加えた後、界面活性剤を添加し、超音波バス中で3分間処理し、試料が分散した溶液を用いる。
【0070】
次に、ステップ12について説明する。
機能性粒子群130を構成する第一の粒子131および第二の粒子121は、たとえば以下の方法により得られる。以下、第一の粒子131を例に説明するが、第二の粒子121についても第一の粒子131に準じて得ることができる。
【0071】
第一の粒子131を得る際には、無機粒子111と、第一の層113を構成する材料の原料となる粉体とを機械的粒子複合化装置における混合容器に投入し、容器内の攪拌翼等を回転させ、または撹拌翼等を固定し、または回転させながら混合容器を回転させる等の方法を用いることができる。上記の攪拌翼等を高速回転させることにより、個々の無機粒子111および粉体原料に圧縮力やせん断力および衝撃力を含む機械的作用を加えることで、無機粒子111表面に粉体が複合化され、第一の層113が形成される。
【0072】
なお、第一の層113を形成する際に、硬化性樹脂(A)、その硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一または二つの成分が第一の層113に含まれるように処理をおこなうが、第一の層113に使用する原料は、それぞれ、成分(A)〜(C)以外の複数の原料をも予め混合し、該混合物を使用して第一の層113を形成してもよい。
【0073】
攪拌翼等の回転速度は、さらに具体的には、周速1〜50m/s、期待する処理効果の観点からは、7m/s以上とし、好ましくは10m/s以上とする。また、処理時の発熱抑制および過粉砕防止の観点からは、攪拌翼等の回転速度をたとえば35m/s以下、好ましくは25m/s以下とする。
【0074】
ここで、上記機械的粒子複合化装置とは、複数種の粉体等の原料に対して圧縮力やせん断力および衝撃力を含む機械的作用を加えることで、複数種の粉体等の原料同士が結合した粉体を得ることができる装置である。機械的作用を加える方式としては、一つあるいは複数の撹拌翼等を備えた回転体と撹拌翼等の先端部と近接した内周面を備えた混合容器を有し、撹拌翼等を回転させる方式や、撹拌翼等を固定し、または回転させながら混合容器を回転させる等の方式が挙げられる。撹拌翼等の形状については、機械的作用を加えることができれば特に制限はなく、楕円型や板状等が挙げられる。また、撹拌翼等は、回転方向に対して角度をもってもよい。また、混合容器はその内面に溝等の加工を施してもよい。
【0075】
機械的粒子複合化装置としては、たとえば、奈良機械製作所社製ハイブリダイゼーション、川崎重工業社製クリプトロン、ホソカワミクロン社製メカノフュージョンおよびノビルタ、徳寿工作所社製シータコンポーザ、岡田精工社製メカノミル、宇部興産社製CFミル等が挙げられるが、この限りではない。
【0076】
混合中の容器内の温度は、原料に応じて設定されるが、たとえば5℃以上50℃以下とし、有機物の溶融防止の観点からは、40℃以下、好ましくは25℃以下とする。ただし、容器を加温し、有機物を溶融させた状態で処理することも可能である。
また、混合時間は、原料に応じて設定されるが、たとえば30秒以上120分以下とし、期待する処理効果の観点からは1分以上、好ましくは3分以上とし、生産性の観点からは90分以下、好ましくは60分以下とする。
【0077】
また、第二の粒子121についても、上記方法を用いて得ることができる。
なお、得られた第一の粒子131および第二の粒子121の層構造の分析は、走査型電子顕微鏡、ラマン分光法等によりおこなうことができる。
【0078】
また、本実施形態において、ステップ12および13において、第一の粒子131および第二の粒子121を別々に作成した後これらを配合して機能性粒子群130を得ることにより、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を所定の割合で安定的に配合することができる。なおかつ、粒度の違いなどから起こる成分の配合のばらつきを低減することができる。
【0079】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態においては、あらかじめ粉砕した固形成分を原料として、無機粒子111上の第一および第二の層を形成し、機能性粒子群130を得る。このため、第一および第二の層を均質に形成することができる。
そして、機能性粒子群130は、第一の粒子131および第二の粒子121が、いずれも、上述したアスペクト比の条件を満たし、高い粉体流動性を有しているため、ハンドリング性に優れるとともに、粒子の互着等の保存中の形態変化やそれに伴う成分の変質が抑制され、保存安定性に優れた構成となっている。
【0080】
また、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち少なくとも一つが異なる粒子上に担持されるため、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を、無機粒子111上にそれぞれ所定の配合で安定的に保持することができる。また、第一の粒子131および第二の粒子121について、一つ一つの粒子配合組成を均質化することができる。なお、第一の粒子131と第二の粒子121の無機粒子111を同一材料とすることにより、混合操作中などに粒子の大小や比重の違いによって生じる各々の被覆粒子の偏析をより一層起こり難くすることができる。
【0081】
また、本実施形態においては、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を複数の粒子に分けて担持させる構成となっている。このため、複数の粒子を別々に製造して保管し、その後、処方に応じて混合するまでは、硬化促進剤(C)が硬化性樹脂(A)や硬化剤(B)と接することがなく、保存中の反応による組成変化を抑制することができる。
【0082】
このように、本実施形態によれば、無機粒子を各々の構成要素で被覆した、配合組成が均質化された被覆粒子を処方に応じて混合することで、原料の偏析が起こり難い機能性粒子群130を高い歩留まりで安定的に得ることができる。また、硬化性樹脂(A)と硬化剤(B)および硬化促進剤(C)とを別々の無機粒子111に被覆することにより、保存安定性に優れた機能性粒子群130を得ることができる。
【0083】
なお、第一の粒子131の第一の層113または第二の粒子121の第二の層123が、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち複数の成分を含む場合、これらは、同じ層に含まれていてもよいし、異なる層の中に配合されていてもよい。たとえば第一の粒子131が上記成分(A)〜(C)の二種類を含むとき、第一の粒子131が、断面視において無機粒子111、下層および上層がこの順に積層された構成を有し、下層および上層の一方の層が硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)から選ばれる一種を含み、他方の層が上層に含まれる成分以外の一種を含んでもよい。複数成分を別の層に分けて被覆することにより、保存中の成分同士の反応をさらに安定的に抑制することが可能となる。
以下の実施形態においては、第一の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0084】
(第二の実施形態)
図2は、本実施形態における機能性粒子群の構成を示す断面図である。
図2に示した機能性粒子群140の基本構成は、第一の実施形態と同様であるが、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)がそれぞれ異なる粒子上の層に配合されている点が異なる。
【0085】
図2に示した機能性粒子群140は、粒子133(第一の粒子)、第二の粒子121および粒子135(第三の粒子)を含む。このうち、第二の粒子121の構成は、第一の実施形態において、成分(A)〜(C)のうち一種を含む第二の層123を有するものとする。以下は、第二の層123が硬化促進剤(C)を含む構成を例に説明する。
【0086】
粒子133は、無機材料により構成された第一の基材粒子(無機粒子111)および無機粒子111を被覆する第一の層(樹脂層115)を有する。樹脂層115は、硬化性樹脂(A)を含む。硬化性樹脂(A)としては、たとえば第一の実施形態に記載のものを用いることができる。
【0087】
また、粒子135は、無機材料により構成された第三の基材粒子(無機粒子111)および無機粒子111を被覆する第三の層(硬化剤層117)を有する。硬化剤層117は、硬化性樹脂(A)に対する硬化剤(B)を含み、具体的には、第一の実施形態に記載の硬化剤を含む。
粒子133、第二の粒子121および粒子135中の基材粒子は、たとえば同一材料により構成され、さらに具体的にはシリカである。このとき、硬化性樹脂(A)としてさらに具体的にはエポキシ樹脂が用いられる。
【0088】
本実施形態においては、第一の実施形態で得られる作用効果に加えて、さらに以下の作用効果を得ることができる。
機能性粒子群140においては、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)が、それぞれ異なる粒子に担持されているため、より一層保存安定性に優れた構成となっている。
【0089】
この点、背景技術の項で前述した特許文献1においては、溶媒中に無機質充填剤、樹脂および硬化剤を共存させて表面処理を行っており、樹脂および硬化剤の混合物が粒子表面を被覆していた。このため、一つ一つの粒子について見ると、粒子間で被覆に含まれる成分の配合にばらつきが生じていた。また、樹脂および硬化剤で処理した無機質充填剤と残りの成分を均一に混合し、混練しているため保存中に樹脂と硬化剤、そして硬化促進剤とが反応して、組成物中の各成分の配合が所定の値から変動する懸念があった。
また、無機充填剤へ表面被覆されない樹脂または硬化剤を含む組成物とした場合、それらの粒度分布や比重の違いにより混合操作時に各成分の配合比が均一でなくなったり、組成物中の成分の偏在が起こりやすくなる懸念があった。
一方、本実施形態においては、粒子133、粒子135および粒子121にそれぞれ樹脂層115、硬化剤層117および硬化促進剤層を設けることにより、こうした課題を解決する点においてもさらに優れた構成となっている。
【0090】
(第三の実施形態)
以上の実施形態に記載の機能性粒子群において、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を除く他の成分が被覆された粒子をさらに含む構成とすることもできる。以下、第二の実施形態の構成を例に説明する。
【0091】
図3は、このような機能性粒子群の構成を示す断面図である。
図3に示した機能性粒子群150は、無機材料により構成された第四の基材粒子(たとえば、無機粒子111)および第四の基材粒子を被覆する第四の層119を有する第四の粒子137をさらに含む。
【0092】
第一〜第三の粒子に加えて、上記第四の粒子137を含む構成とすることにより、第一〜第三の粒子の間に第四の粒子137が介在する構成となり、第一〜第三の粒子の粒子同士の接触度合いを変えることができ、さらに第四の層119に含まれる成分を適宜選択することにより、硬化性樹脂(A)と硬化剤(B)との反応をさらに抑制または促進することができる。このため、硬化性樹脂(A)と硬化剤(B)とが反応することによる組成の変化をさらに確実に抑制し、より一層保存安定性に優れた構成とすることができる。
【0093】
第四の粒子137の第四の基材粒子の材料として、たとえば以上の実施形態において無機粒子111として用いられるものを用いることができる。
【0094】
また、第四の層119の構成成分に特に制限はないが、たとえば、金属水酸化物、カップリング剤、離型剤、イオントラップ剤、着色剤および難燃剤からなる群から選択される一種以上を含んでいてもよい。
【0095】
たとえば第四の層119が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物を主材とする構成とすれば、樹脂層115または硬化剤層117と第二の層123(硬化促進剤層)の接触を抑制でき、さらには、難燃性、防蝕性の向上などの効果が発現する。
【0096】
第四の層119は、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等の半導体封止樹脂組成物やその他の充填剤を使用する材料において公知のカップリング剤を主材とすることにより、第一の粒子131と第二の粒子121の間で効率的に作用し、硬化反応の促進や成形時低粘度化に寄与できる。また、優れた補強効果を奏することができる。
【0097】
また、第四の層119は、シリコーンオイル、低融点シリコーンゴム等のシリコーンゴム、低融点合成ゴム等の合成ゴムなどの低応力成分等を主材としていてもよい。これにより、粒子133、粒子135および第二の粒子121の間で効率的に作用し、粒子133、粒子135および第二の粒子121の間に浸透しやすくなるため、粒子133、粒子135および第二の粒子121の接触を抑制でき、また低応力材としての機能をより発現し易くなり、半導体装置の封止剤として用いるときの信頼性がさらに向上する。
また、第四の層119は、カーボンブラック等の顔料(着色剤)、ハイドロタルサイト等のイオントラップ剤などを主材としていてもよい。
また、第四の層119は、たとえば難燃剤により構成される。難燃剤として、上記金属水酸化物の他、リン系、シリコーン系、有機金属塩系の物質を用いてもよい。
【0098】
また、第四の層119は、ワックス状物質を主材としていてもよい。ワックス状物質として、具体的には、カルナバワックス等の天然ワックスおよびポリエチレンワックス等の合成ワックスが挙げられる。第四の層119がワックス状物質からなる構成とすることにより、上述の機能性粒子群中のワックス状物質が成型時に溶融し、粒子133、粒子135および第二の粒子121の間に浸透しやすくなるため、離型性の向上などの効果が発現する。また、上述の処理により、ワックス状物質が処理中に溶融し、第四の層119の表面全体を被覆しやすくなるため、第四の層119を無機粒子111の表面全体に一様に形成することがさらに容易となる。
【0099】
また、第四の層119は、シリカ、アルミナおよび窒化ケイ素からなる群から選択される一種以上の無機材料を含んでもよい。
また、第四の層119は、液状原料を含む成分を被覆することにより形成されてもよい。
【0100】
(第四の実施形態)
以上の実施形態に記載の機能性粒子群を構成する粒子において、基材粒子と第一〜第四の層との間に下地層が設けられていてもよい。第一の実施形態を例に挙げると、無機粒子111と第一の層113との間および無機粒子111と第二の層123との間に、前記無機粒子111に接して設けられた第五の層を有してもよい。
【0101】
第五の層の成分としては、たとえば第三の実施形態において第四の層119の成分として例示した材料を用いることができる。
たとえば、第一の粒子131および第二の粒子121を構成する無機粒子111の材料がいずれもシリカであり、第五の層が金属水酸化物、カップリング剤、離型剤、イオントラップ剤、着色剤および難燃剤からなる群から選択される一種以上を含んでいてもよい。
【0102】
また、基材粒子と第五の層の主材との組み合わせの具体例として、以下のものが挙げられる。
基材粒子:シリカ、第五の層:金属水酸化物またはカップリング剤、の組み合わせ、および
基材粒子:アルミナ、第五の層:シリコーン、の組み合わせ。
【0103】
(第五の実施形態)
以上の実施形態に記載の機能性粒子群は、いずれも、たとえば充填剤として好適に用いられる。また、本実施形態における充填剤は、上述した本発明における機能性粒子群からなる。
【0104】
充填剤の構成として、たとえば以下の例が挙げられる。
各粒子を構成する無機粒子111がいずれも球状シリカであり、
粒子133の樹脂層115がビフェニル型エポキシ樹脂であり、
粒子135の硬化剤層117がフェノールノボラック樹脂等のエポキシ樹脂に対する硬化剤であり、
第二の粒子121の第二の層123がトリフェニルホスフィン等の硬化促進剤である構成。この構成は、たとえば半導体封止材料等の電子部品用途に好適である。
各粒子を構成する無機粒子111がいずれもガラス繊維であり、
粒子133の樹脂層115がノボラック型フェノール樹脂等のフェノール樹脂であり、
粒子135の硬化剤層117がヘキサメチレンテトラミン等のフェノール樹脂に対する硬化剤であり、
第二の粒子121の第二の層123が水酸化カルシウム等の硬化促進剤である構成。この構成は、たとえば車載用成形材料として好適である。
各粒子を構成する無機粒子111が結晶シリカまたは水酸化アルミニウムであって、好ましくはいずれも同一材料であり、
粒子133の樹脂層115がビスフェノールA型エポキシ樹脂であり、
粒子135の硬化剤層117が3,3−4,4ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等のエポキシ樹脂に対する硬化剤であり、
第二の粒子121の第二の層123が2−フェニルイミダゾール等の硬化促進剤である構成。この構成は、たとえば電子部品用絶縁材料に好適である。
【0105】
また、充填剤である組成物中の無機粒子111の含有量は、特に限定されないが、組成物全体の40質量%以上96質量%以下が好ましく、50質量%以上92質量%以下がより好ましい。また半導体封止用樹脂組成物の場合には、70質量%以上96質量%以下が好ましく、85質量%以上92質量%以下がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、耐半田性の低下や流動性の低下をさらに効果的に抑制することができる。
【0106】
充填剤である組成物中の硬化性樹脂(A)の含有量は、特に限定されないが、組成物全体の2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上40質量%以下であることがより好ましいが、特に半導体封止用樹脂組成物の場合には、組成物全体の2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。これにより、耐半田性の低下や流動性の低下をさらに効果的に抑制することができる。
【0107】
充填剤である組成物中の硬化剤(B)の含有量は、特に限定されないが、組成物全体の2質量%以上50質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上40質量%以下であることがより好ましいが、特に半導体封止用樹脂組成物の場合には、樹脂組成物全体の2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上8質量%以下であることがより好ましい。これにより、耐半田性の低下や流動性の低下をさらに効果的に抑制することができる。
【0108】
また、充填剤である組成物中の硬化促進剤(C)の配合量は、充填剤である組成物全体中、たとえば0.1質量%以上とする。これにより、組成物の硬化性の低下をより一層効果的に抑制できる。また、硬化促進剤(C)の配合量は、全組成物中、たとえば1質量%以下とする。これにより、組成物の流動性の低下をさらに効果的に抑制できる。
【0109】
以上の実施形態においては、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)または硬化促進剤(C)が配合された第一および第二の層を、異なる粒子上に形成する例を挙げた。
以下の実施形態においては、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)または硬化促進剤(C)が配合された第一および第二の層を、同じ粒子上に形成して多層粒子とする例を挙げる。
【0110】
(第六の実施形態)
本実施形態における機能性粒子は、複数の層を有し、硬化性樹脂(A)、硬化性樹脂の硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を含む組成物である。
【0111】
図4(a)は、本実施形態の機能性粒子の構成を示す断面図である。
図4(a)に示した機能性粒子100は、無機材料により構成された基材粒子(無機粒子101)、無機粒子101を被覆する第一の層103および第一の層103を被覆する第二の層105を含む。
【0112】
図4(a)の例では、第一の層103は無機粒子101の表面に接し無機粒子101の表面全面を覆っている。また、第二の層105は、第一の層103に接し第一の層103の表面全面を覆っている。また、第一の層103および第二の層105は、好ましい態様として断面視において均一な厚みで設けられている。
【0113】
なお、
図4(a)では、無機粒子101と第一の層103との界面、および第一の層103と第二の層105との界面が、いずれも平滑である例を示したが、これらの界面が凹凸を有していてもよい。
【0114】
そして、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一または二つの成分が第一の層103に含まれるとともに、他の成分が第二の層105に含まれる。なお、第一の層103および第二の層105は、それぞれ、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)以外の成分を含んでいてもよい。
【0115】
具体的には、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一つが第一の層103に含まれ、他の二つが第二の層105に含まれている。
または、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか二つが第一の層103に含まれ、他の一つが第二の層105に含まれている。
【0116】
さらに具体的には、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)が同じ層に含まれ、硬化性樹脂(A)が別の層に含まれる構成とする。第一の層103および第二の層105のうち、一方が硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を含み、他方が硬化性樹脂(A)を含む構成とすることにより、機能性粒子100の保存安定性をさらに向上させることができる。たとえば、40℃で保存したときの経時劣化を効果的に抑制することも可能となる。
【0117】
また他の具体的な態様として、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)が同じ層に含まれ、硬化促進剤(C)が別の層に含まれる構成とする。第一の層103および第二の層105のうち、一方が硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)を含み、他方が硬化促進剤(C)を含む構成とすることにより、機能性粒子100の保存安定性をさらに向上させることができる。たとえば、40℃で保存したときの経時劣化を効果的に抑制することも可能となる。
【0118】
第一の層103および第二の層105のうち、硬化性樹脂(A)を含む層の厚さは、硬化反応を発現させるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば5nm以上、好ましくは50nm以上とし、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
【0119】
また、第一の層103および第二の層105のうち、硬化剤(B)を含む層の厚さは、硬化反応を発現させるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば5nm以上、好ましくは50nm以上とし、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
【0120】
また、第一の層103および第二の層105のうち、硬化促進剤(C)を含む層の厚さは、硬化反応を発現させるために必要な配合量であれば特に制限はないが、たとえば1nm以上、好ましくは5nm以上とし、必ずしも均一な層を形成している必要はないが、生産性をさらに向上させる観点からは、たとえば50μm以下、好ましくは5μm以下とする。
【0121】
機能性粒子100において、投影図において短径/長径にて規定されるアスペクト比が0.78以上、好ましくは0.80以上である。こうすることにより、機能性粒子100の搬送時や取扱時の互着を効果的に抑制することができる。すなわち、機能性粒子100は高い粉体流動性を有しているため、ハンドリング性に優れるとともに、粒子の互着等の保存中の形態変化やそれに伴う成分の変質が抑制され、保存安定性に優れた構成となっている。
【0122】
また、粒子の互着をさらに確実に抑制し、取扱性をさらに良好なものとする観点からは、機能性粒子100について、(粒子の投影図と同面積の円の周辺長さ)/(粒子の投影図の周辺長さ)にて規定される真円度が、たとえば0.85以上、好ましくは0.90以上であってもよい。
【0123】
本実施形態において、無機粒子101の材料として、第一の実施形態において無機粒子111の材料として例示したものを用いることができる。
また、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)の材料についても、第一の実施形態にて例示したものを用いることができる。
【0124】
たとえば、成分(A)〜(C)の具体的な組み合わせとして、以下のものが挙げられる。
無機粒子101:球状シリカ、第一の層103:エポキシ樹脂に対する硬化剤と硬化促進剤、第二の層105:エポキシ樹脂。
無機粒子101:結晶シリカおよび水酸化アルミニウム、第一の層103:エポキシ樹脂に対する硬化剤、第二の層105:エポキシ樹脂。
上記組み合わせとすることにより、保存安定性に優れた樹脂組成物、たとえば半導体封止用樹脂組成物として、さらに好適に用いることができる。
【0125】
次に、機能性粒子100の製造方法を説明する。本実施形態において、機能性粒子100は、第一の実施形態に記載の機能性粒子群130の製造方法に準じて製造することができる。
【0126】
具体的には、前述したステップ11において、各固形原料の粉砕物を得た後、ステップ12において、無機粒子101と、第一の層103を構成する材料の原料となる粉体とを機械的粒子複合化装置における混合容器に投入し、容器内の攪拌翼等を回転させ、または撹拌翼等を固定し、または回転させながら混合容器を回転させる等の方法により得られる。上記の攪拌翼等を高速回転させることにより、個々の無機粒子101および粉体原料に圧縮力やせん断力および衝撃力を含む機械的作用を加えることで、無機粒子101表面に粉体が複合化され、第一の層103が形成される。その後、第一の層103が形成された粒子と第二の層105の原料となる粉体とを用いて上述した処理を行うことにより、第一の層103上に第二の層105が形成される。
【0127】
なお、第一の層103または第二の層105を形成する際に、硬化性樹脂(A)、その硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一または二つの成分が第一の層103に含まれるとともに、他の成分が第二の層105に含まれるように処理をおこなうが、第一の層103および第二の層105に使用する原料は、硬化性樹脂(A)、その硬化剤(B)および硬化促進剤(C)以外の複数の原料をも予め混合し、該混合物を使用して第一または第二の層を形成してもよい。
【0128】
本実施形態においても、機能性粒子100が上述したアスペクト比の条件を満たし、高い粉体流動性を有しているため、第一の実施形態と同様の作用効果が得られる。
また、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一または二つの成分が第一の層103に含まれるとともに、残りの成分が第二の層105に含まれる。このため、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)の各成分を無機粒子101上に安定的に保持させることができる。そして、保存中に成分同士が反応して組成変化することを抑制し、保存安定性を向上させることができる。
【0129】
また、前述のように一つ一つの機能性粒子100の配合組成を均質化することができるため、粒子間で配合組成が均質化された機能性粒子100を半導体封止用樹脂組成物等の電子部品用樹脂組成物として用いることにより、電子部品の製造安定性を向上させることができる。
【0130】
以下の実施形態においては、第六の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0131】
(第七の実施形態)
図4(b)は、本実施形態における機能性粒子の構成を示す断面図である。
図4(b)に示した機能性粒子102の基本構成は、第六の実施形態に記載の機能性粒子100(
図4(a))と同様であるが、第二の層105が複数の層を有する点が異なる。
【0132】
具体的には、機能性粒子102において、第二の層105は、第一の層103の上部に接して設けられた下層105bおよび下層105bに接して設けられた上層105aを備える。
【0133】
第一の層103は、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、いずれか一つの成分を含む。また、第二の層105のうち、下層105bは、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のうち、第一の層103に含まれる成分以外の一方の成分を含み、上層105aは、第一の層103および下層105bのいずれにも含まれない成分を含む。たとえば硬化性樹脂(A)を含む第一の層103、硬化剤(B)を含む下層105bおよび硬化促進剤(C)を含む上層105aがこの順に設けられた構成とすることができる。
【0134】
本実施形態においては、硬化性樹脂(A)、硬化剤(B)および硬化促進剤(C)がそれぞれ別の層として、所定の順序で無機粒子101上に積層されていた機能性粒子102を含む。これにより、保存中の成分同士の反応や変質をより一層効果的に抑制することができる。
【0135】
また、第一の層103および第二の層105のうち一方が硬化剤(B)および硬化促進剤(C)を含み他方が硬化性樹脂(A)を含む構成、または、第一の層103および第二の層105のうち一方が硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)を含み他方が硬化促進剤(C)を含む構成とすることにより、機能性粒子102は保存安定性にさらに優れたものとなる。
【0136】
(第八の実施形態)
第六または第七の実施形態において、第一の層103と第二の層105との間にこれらを離隔する介在層が設けられていてもよい。以下、第六の実施形態の機能性粒子100を例に説明する。
【0137】
図5(a)に示した機能性粒子110の基本構成は、機能性粒子100(
図4(a))と同様であるが、介在層107をさらに有する点が異なる。介在層107により、第一の層103および第二の層105が離隔している。介在層107を設けることにより、第一の層103と第二の層105とが接触しないようにすることができるため、これらの層中に含まれる樹脂、硬化剤、硬化促進剤間の反応をさらに確実に抑制することができる。このため、樹脂と硬化剤、硬化促進剤間が反応することによる組成の変化をさらに確実に抑制し、より一層保存安定性に優れた構成とすることができる。
【0138】
介在層107の構成材料に特に制限はないが、たとえば、第三の実施形態において第四の層119の材料として例示したものを用いることができ、さらに具体的には、金属水酸化物、カップリング剤、離型剤、イオントラップ剤、着色剤および難燃剤からなる群から選択される一種以上を含む。
【0139】
介在層107が水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物を主材とする構成とすれば、第一の層103と第二の層105の接触を抑制でき、さらには、難燃性、防蝕性の向上などの効果が発現する。
【0140】
介在層107がエポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等の半導体封止樹脂組成物やその他の充填剤を使用する材料において公知のカップリング剤を主材とする構成とすれば、第一の層103と第二の層105の間で効率的に作用し、成形時低粘度化に寄与できる。また、優れた補強効果を奏することができる。
【0141】
また、介在層107は、シリコーンオイル、低融点シリコーンゴム等のシリコーンゴム、低融点合成ゴム等の合成ゴムなどの低応力成分を主材としていてもよい。これにより、第一の層103と第二の層105の間で効率的に作用し、第一の層103と第二の層105の間に浸透しやすくなるため、第一の層103と第二の層105との接触を抑制でき、また低応力材としての機能をより発現し易くなり、半導体装置の封止剤として用いるときの信頼性がさらに向上する。
また、介在層107は、カーボンブラック等の顔料(着色剤)、ハイドロタルサイト等のイオントラップ剤などを主材としていてもよい。
また、介在層107は、たとえば難燃剤により構成される。難燃剤として、上記金属水酸化物の他、リン系、シリコーン系、有機金属塩系の物質を用いてもよい。
【0142】
また、介在層107がワックス状物質を主材としていてもよく、ワックス状物質として、具体的には、カルナバワックス等の天然ワックスおよびポリエチレンワックス等の合成ワックスが挙げられる。介在層107がワックス状物質からなる構成とすることにより、ワックス状物質が成形時に溶融し、第一の層103の表面全体を被覆しやすくなるため、離型性の向上などの効果が発現する。
【0143】
また、介在層107は、たとえば、シリカ、アルミナおよび窒化ケイ素からなる群から選択される一または二以上の無機材料を含んでもよい。さらには上記材料以外にも、介在層に隣接している成分に対し、実質的に不活性な成分を備えていても差し支えない。これにより、たとえば半導体装置としたときの線膨張率を低下させることができるため、半導体装置の封止剤として用いるときの信頼性がさらに向上する。
【0144】
(第九の実施形態)
第六〜第八の実施形態において、無機粒子101と第一の層103との間に、さらに第三の層を設けてもよい。以下、第八の実施形態の機能性粒子110を例に説明する。
【0145】
図5(b)は、第三の層109を有する粒子の構成を示す断面図である。
図5(b)に示した機能性粒子120の基本構成は、
図5(a)に示した機能性粒子110と同様であるが、さらに無機粒子101に接して第三の層109が設けられている。
【0146】
第三の層109の材料に特に制限はなく、たとえば第三の実施形態において第四の層119の材料として例示したものを用いることができ、さらに具体的には、金属水酸化物、カップリング剤、離型剤、イオントラップ剤、着色剤および難燃剤からなる群から選択される一種以上を含む。
【0147】
また、第三の層109がたとえば無機粒子101と異なる無機材料を主材としてもよい。無機粒子101と異なる無機材料として、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト等の金属水酸化物;
タルク;およびクレーが挙げられる。
【0148】
また、第三の層109は、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤等のカップリング剤を主材とすることにより、優れた補強効果を奏することができる。
また、第三の層109は、たとえば難燃剤により構成される。難燃剤として、上記金属水酸化物の他、リン系、シリコーン系、有機金属塩系の物質を用いてもよい。
さらに、第三の層109は第八の実施形態にて例示した介在層107と同様の構成材料とすることができる。
【0149】
また、無機粒子101と第三の層109の主材との組み合わせの具体例として、以下のものが挙げられる。
無機粒子101:シリカ、第三の層109:金属水酸化物の組み合わせ、および
無機粒子101:アルミナ、第三の層109:シリコーンの組み合わせ。
【0150】
(第十の実施形態)
第六〜第九の実施形態に記載の機能性粒子は、いずれも、たとえば充填剤として好適に用いられる。また、本実施形態における充填剤は、上述した本発明における機能性粒子からなる。
【0151】
充填剤中の無機粒子101、成分(A)〜(C)の配合は、たとえば第五の実施形態に記載の割合とすることができる。
また、充填剤中のエポキシ樹脂(A)、その硬化剤(B)および硬化促進剤(C)のさらに具体的な構成として、たとえば以下が挙げられる。
無機粒子101:87質量部、第一の層103:ビフェニル型エポキシ樹脂6.1質量部、フェノールノボラック樹脂4.0質量部、第二の層105:トリフェニルホスフィン0.15質量部。
【0152】
(第十一の実施形態)
本実施形態は、以上の実施形態に記載の機能性粒子からなる充填剤を含む樹脂組成物に関する。
この樹脂組成物は、たとえば、以上の実施形態に記載の機能性粒子と必要に応じて使用される半導体封止用樹脂組成物において公知の成分等を含む組成物であり、組成物中に以上の実施形態に記載の機能性粒子が分散したものである。
【0153】
なお、組成物中に含まれる機能性粒子群において、第一の層113、樹脂層115、硬化剤層117、第二の層123、第四の層119または第五の層の一部が組成変化していたり、消失していてもよい。
また、組成物中に含まれる多層粒子において、第一の層103、第二の層105、介在層107または第三の層109の一部が組成変化していたり、消失していてもよい。
【0154】
樹脂組成物中には、以上の実施形態に記載の機能性粒子からなる充填剤以外に、用途に応じて種々の成分を配合することができる。具体的には、組成物中に硬化性樹脂、本発明における機能性粒子群以外の充填剤、カップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸およびその金属塩類もしくはパラフィン等の離型材、酸化ビスマス等の水和物等の無機イオン交換体、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、ハイドロタルサイト、酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛等の難燃剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
【0155】
組成物の形状は、組成物を成形する際の成形方法に応じて選択することができる。
たとえば本実施形態の樹脂組成物は、圧縮成形用の顆粒であってもよい。以上の実施形態に記載の機能性粒子による顆粒とすることにより、粒子同士の凝集が抑制されるため粉体流動性が向上するとともに付着しにくくなるため、搬送路での付着を生じることがなく搬送に支障をきたすおそれが低くなり、成形金型への本実施形態の樹脂組成物搬送時の滞留などのトラブルを確実に抑制することができる。また、成形時の充填性を向上することができる。よって、圧縮成形により成形体を得る際の歩留まりを向上することができる。
また、本実施形態の樹脂組成物は、トランスファー成形用のタブレットであってもよい。
【0156】
なお、顆粒状の樹脂組成物において、搬送時や計量時等の取扱容易性、および樹脂組成物の保存安定性を向上させる観点からは、JIS標準篩を用いて篩分により測定した粒度分布における、当該樹脂組成物全体に対する1μm未満の微粉の割合をたとえば5質量%以下、好ましくは3質量%以下とする。
【0157】
また、顆粒状の樹脂組成物中の微粉の割合を低減させる観点からは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積頻度が10%となる粒子径d10を、たとえば3μm以上、好ましくは5μm以上とする。なお、d10の上限に特に制限はなく、成形金型のゲートサイズ等を考慮した基材粒子の平均粒子径等に応じて設定することができるが、たとえば10μm以下とする。
【0158】
次に、本実施形態の樹脂組成物の製造方法を説明する。
本実施形態の樹脂組成物は、以上の実施形態に記載の機能性粒子からなる充填剤および必要に応じその他の添加剤を、ミキサーを用いて常温混合して得ることができる。また、本発明の効果を低下させない範囲でロール、ニーダー等の押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕してもよい。
【0159】
得られた樹脂組成物を成形することにより、成形体が得られる。成形体を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形する。
【0160】
なお、成形時に、被覆層(具体的には、第一の層113(樹脂層115)、硬化剤層117、第二の層123、第四の層119または第五の層)の全部または一部が組成または形態変化してもよい。たとえば、成形により第一の層113または樹脂層115および硬化剤層117に含まれていた硬化性樹脂(A)および硬化剤(B)が硬化して、硬化物中に充填剤由来の無機粒子111が残存していてもよい。
また、成形時に、第一の層103および第二の層105の全部または一部が組成または形態変化してもよい。たとえば、成形により第一の層103および第二の層105に含まれていた樹脂および硬化剤が硬化して、硬化物中に充填剤由来の無機粒子101が残存していてもよい。
【0161】
得られた樹脂組成物は、たとえば電子部品用樹脂組成物、車載用樹脂組成物、粉体塗料として好適に用いられる。
【0162】
このうち、本実施形態における電子部品用樹脂組成物を成形することにより、電子部品が得られる。たとえば、本実施形態における電子部品用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止することにより、半導体装置が得られる。
【0163】
図6は、本実施形態における電子部品用樹脂組成物を用いた半導体装置の構成を示す断面図である。
図6に示した半導体装置においては、ダイパッド2上に、ダイボンド材硬化物6を介して半導体素子1が固定されている。半導体素子1の電極パッドとリードフレーム4との間は金線3によって接続されている。半導体素子1は、封止材硬化物5によって封止されている。
封止材硬化物5は、上述した本実施形態の電子部品用樹脂組成物を硬化させたものである。
【0164】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0165】
本発明は、以下の態様も含む。
[1]無機材料により構成された基材粒子を樹脂で被覆した第一の被覆粒子及び前記基材粒子を前記樹脂の硬化剤で被覆した第二の被覆粒子を含んでなることを特徴とする機能性粒子群。
[2]前記無機材料がシリカである[1]に記載の機能性粒子群。
[3]機能性粒子群が、前記基材粒子を樹脂、樹脂の硬化剤以外の第三の成分で被覆した第三の被覆粒子を含んでなる[1]または[2]に記載の機能性粒子群。
[4]前記第三の成分が前記樹脂の硬化触媒を含むものである[3]に記載の機能性粒子群。
[5]前記第三の成分が、難燃剤を含むものである[1]〜[4]いずれか1項に記載の機能性粒子群。
[6]前記第三の成分が、シリカ、アルミナおよびカーボンブラックからなる群から選択される1種以上の無機材料を含むものである[1]〜[5]いずれか1項に記載の機能性粒子群。
[7]前記第三の成分が、ワックス状物質を含むものである[1]〜[6]いずれか1項に記載の機能性粒子群。
[8]前記第三の成分が、液状原料を含むものである[1]〜[7]いずれか1項に記載の機能性粒子群。
[9][1]乃至[7]いずれか1項に記載の機能性粒子群からなる、充填剤。
[10][9]に記載の充填剤を含む、電子部品用樹脂組成物。
[11][10]に記載の電子部品用樹脂組成物を成形させてなる、電子部品。
[12][10]に記載の電子部品用樹脂組成物を用いて半導体素子を封止してなる、半導体装置。
【実施例】
【0166】
(実施例1)
本実施例では、基材粒子上に複数の層を有する機能性粒子を製造した。各層の成分の配合(質量比)を表1に示す。機械的粒子複合化装置として、徳寿工作所社製シータコンポーザを用いた。また、被覆層の固形原料は、いずれも、予めジェットミルで粉砕した。ジェットミルとして、セイシン企業社製シングルトラックジェットミルを用いた。粉砕条件は高圧ガス圧力0.6MPaとした。
【0167】
【表1】
【0168】
無機充填剤である溶融球状シリカ(平均粒子径29μmおよび0.1μm、表1中「球状シリカ」)を表1に記載の配合でブレンドし、無機充填剤を得た。得られた無機充填剤88質量部およびカップリング剤0.3質量部を機械的粒子複合化装置に投入し、攪拌翼の周速10m/sで15分間攪拌することにより、被覆処理をおこなった。
【0169】
次に、得られた被覆粒子とエポキシ樹脂6.3質量部を上記機械的粒子複合化装置に投入して攪拌翼の周速10m/sで15分間攪拌し、被覆処理をおこなった。
【0170】
そして、得られた被覆粒子とフェノール樹脂質量4.3質量部を上記装置に投入して攪拌翼の周速10m/sで15分間攪拌し、被覆処理をおこなった。
【0171】
さらに、得られた被覆粒子と硬化促進剤、イオントラップ剤、着色剤および離型剤とを表1に記載の配合にて投入し、攪拌翼の周速10m/sで15分間攪拌することにより被覆処理した。
【0172】
以上の手順により、無機粒子101(
図4(b)、
図5(b))上にカップリング剤層(第三の層109)、エポキシ樹脂層(第一の層103)、フェノール樹脂層(硬化剤層:第二の層105の下層105b)がこの順に形成され、さらにその上に硬化促進剤、イオントラップ剤、着色剤および離型剤を含む被覆層(第二の層105の上層105a)が形成された機能性粒子からなる樹脂組成物を得た。
【0173】
(比較例1)
表1に記載の原料をミキサー(容器回転V型ブレンダー)にて常温混合した。混合条件は、30rpmで10分間とした。得られた混合物を80〜100℃の加熱ロールで5分間溶融混練し、冷却後粉砕することにより、本例の樹脂組成物を得た。
【0174】
(実施例2)
本実施例では、被覆層の構成材料が異なる8種類の被覆粒子を含む機能性粒子群を製造した。機械的粒子複合化装置として、徳寿工作所社製シータコンポーザを用いた。また、ミキサーとしては容器回転V型ブレンダーを用いた。
なお、被覆層となる固形原料は、予めジェットミルで粉砕して用いた。ジェットミルとして、セイシン企業社製シングルトラックジェットミルを用いた。粉砕条件は高圧ガス圧力0.6MPaとした。
表2に、各粒子における原料の配合(質量比)を示す。
【0175】
【表2】
【0176】
無機充填剤である溶融球状シリカ(表2および表4中、「球状シリカ」。)88質量部とエポキシ樹脂12質量部とを機械的粒子複合化装置に投入して被覆処理をおこない、被覆粒子1を得た。
また、無機充填剤88質量部とフェノール樹脂12質量部とを機械的粒子複合化装置に投入して被覆処理をおこない、被覆粒子2を得た。
被覆粒子3〜8についても、それぞれ、原料を表2に記載の配合で機械的粒子複合化装置に投入して被覆処理することにより製造した。
攪拌処理条件は、いずれの粒子についても、攪拌翼の周速10m/sで60分間攪拌処理とした。
【0177】
得られた被覆粒子1〜8を表3に記載の質量比で配合してミキサーで混合し、本実施例の機能性粒子群からなる樹脂組成物を得た。
【0178】
【表3】
【0179】
また、表2の配合で得られた各粒子を表3の配合で混合して得られた機能性粒子群において、各原料の配合比は表4に示すようになっている。
【表4】
【0180】
(実施例3)
本実施例では、実施例2に準じて被覆層の材料が異なる7種類の被覆粒子を含む機能性粒子群からなる樹脂組成物を製造した。各粒子における原料の配合比は、表2に示した通りである。
【0181】
無機充填剤である溶融球状シリカ88質量部、エポキシ樹脂7.3質量部およびフェノール樹脂4.7質量部を機械的粒子複合化装置に投入して被覆処理をおこない、被覆粒子9を得た。攪拌処理条件は、攪拌翼の周速10m/sで60分間攪拌処理とした。得られた被覆粒子9の被覆層は、エポキシ樹脂とその硬化剤の混合物により構成されている。
得られた被覆粒子9、および実施例1で得られた被覆粒子3〜8を表3に記載の質量比で配合してミキサーで混合し、本例の機能性粒子群を得た。
また、表2の配合で得られた各粒子を表3の配合で混合して得られた本例の機能性粒子群において、各原料の配合比は表4に示した通りである。
【0182】
(評価)
実施例1〜3で得られた機能性粒子(群)からなる樹脂組成物および比較例1で得られた樹脂組成物について、ゲルタイム(秒)、スパイラルフロー(cm)、タブレット成形性、灰分均一性(%)、40℃/7日後 保存性(スパイラルフロー残存率)(%)および充填剤のアスペクト比の測定結果を表1および表4に示した。なお、これらの項目は、それぞれ、以下の方法で測定した。
【0183】
ゲルタイム:175℃としたホットプレート上に各例で得られた樹脂組成物からなる試料を置き、試料が溶融後、へらで練りながら硬化するまでの時間を測定した。この時間が短いほど、硬化速度が速いことを示す。
スパイラルフロー:低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、KTS−15)を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒の条件で樹脂組成物を注入し、流動長を測定した。単位をcmとした。
タブレット成形性:各例で得られた樹脂組成物からなる試料をタブレットに打錠成型した。下記に示す不具合を生じた場合を×、不具合を生じずに、良好にタブレットが得られたものを○、とした。
タブレット成型工程で、金型内面に樹脂が付着して、タブレットの外観に欠損が生じた場合。
灰分均一性:各例で得られた樹脂組成物からなる試料をミキサー(容器回転V型ブレンダー)にて常温混合した。混合条件は、30rpmで10分間とした。得られた混合物の5箇所からサンプリングし、700℃で焼成した後の残渣の質量比を測定した。単位を%とした。得られた測定結果の最大値から最小値を引いた値を算出した。この数値が小さいほど、成分均一性が良いことを示す。
40℃/7日後 保存性(スパイラルフロー残存率):40℃に温度調節した乾燥機中に各例で得られた樹脂組成物からなる試料を7日間保存した後、スパイラルフローを測定し、保存前後のスパイラルフロー測定結果から残存率(保存後の測定値/保存前の測定値)を求めた。この数値が大きいほど、スパイラルフローの低下が少なく、保存性が良いことを示す。
アスペクト比(短径/長径):得られた樹脂組成物からなる試料の投影像から測定される短径を長径で除した値を算出した。この値が1に近いほど粉体流動性に優れることを示す。なお、比較例1の組成物については、ロール混練後の試料を粉砕して充填剤粒子を取り出し、上記方法で測定した。
【0184】
なお、実施例1〜3において得られた機能性粒子において、1μm未満の微粉の割合は、いずれも1質量%以下であった。
また、各実施例において、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される累積頻度が10%となる粒子径d10については、実施例1は9.0μm、実施例2は9.1μm、実施例3は8.9μmであった。