(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。
第1の実施の形態に係る半導体装置10Aは、基板(配線基板)11、及び基板11の上に設けられた半導体素子(半導体チップ)12を有している。
【0009】
基板11は、半導体素子12との対向面に電極部(基板電極パッド)11aを備えている。基板電極パッド11aは、基板11内の、GND電位とされる内部配線11cや図示しない信号配線に、ビア11dを介して電気的に接続されている。
【0010】
半導体素子12は、基板11との対向面で、基板電極パッド11aに対応する位置に、電極部(チップ電極パッド)12aを備えている。半導体素子12は、そのチップ電極パッド12aが、対向する基板電極パッド11aにバンプ13を介して接続され、基板11に実装(フリップチップ実装)されている。
【0011】
基板11と半導体素子12の間、及び半導体素子12の外周部には、アンダーフィル樹脂14が設けられている。
半導体装置10Aは、基板11に実装された半導体素子12を被覆するように設けられた熱伝導材15を有している。この熱伝導材15には、熱伝導性及び導電性を有しており、更に、加工性の良い材料を用いることが好ましい。熱伝導材15には、例えば、はんだ材料が用いられる。
【0012】
半導体素子12の上面と熱伝導材15は、それらの間に設けられた接合層16aによって接合されている。接合層16aには、メタライズ層を用いることができる。メタライズ層としては、例えば、チタン(Ti)層と金(Au)層の積層構造(Ti/Au)を用いることができる。このほかメタライズ層としては、Ti層、ニッケル−バナジウム(Ni−V)層及びAu層の積層構造(Ti/Ni−V/Au)を用いることができる。これらの積層構造は、スパッタリング等の方法により形成することができる。また、熱伝導材15との接合が可能であれば、接合層16aとするメタライズ層には、ニッケル(Ni)系メッキ層を用いることもできる。
【0013】
熱伝導材15は、半導体素子12の上面から、半導体素子12の側面及びアンダーフィル樹脂14の側面(フィレット部)に沿って延在され、基板11上に設けられた電極部(接続パッド)11bに接続されている。
【0014】
ここで、
図2は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部平面模式図である。尚、
図2では、上記の熱伝導材15の図示を省略している。
上記のように半導体装置10Aでは、上面に接合層16aが設けられた半導体素子12が基板11に実装されており、基板11と半導体素子12の間、及び半導体素子12の外周部に、アンダーフィル樹脂14が設けられている。接続パッド11bは、半導体素子12が実装される領域を取り囲むように、基板11上に周設されている。上記の熱伝導材15は、このような接続パッド11bの内側の領域に実装された半導体素子12を被覆するように設けられると共に、当該接続パッド11bに接続される。
【0015】
熱伝導材15が接続される接続パッド11bは、
図1に示したように、基板11の内部に設けられた、GND電位とされる内部配線11cに、ビア11dを介して電気的に接続されている。このような接続パッド11bに接続された熱伝導材15は、半導体素子12からの電磁的ノイズの放射や、外部から半導体素子12への電磁的ノイズの入射を抑えるシールド材として機能するようになる。
【0016】
基板11の、半導体素子12の実装面側には、放熱体17が設けられている。
図3は放熱体17の凹部17a側から見た平面模式図である。
放熱体17は、
図1及び
図3に示すような凹部17aを備えている。放熱体17は、その凹部17aに半導体素子12及びそれを被覆する熱伝導材15が収容されるように、基板11の上に設けられる。放熱体17の凹部17aには、接合層16bが設けられる。放熱体17は、
図1に示したように、接合層16bで熱伝導材15と接合されると共に、接着剤18で基板11と接着される。
【0017】
放熱体17には、熱伝導性、放熱性の良い材料が用いられる。例えば、放熱体17には、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、アルミニウムシリコンカーバイド(AlSiC)、アルミニウムカーボン(AlC)、シリコンゴム等を用いることができる。
【0018】
放熱体17の凹部17aに設ける接合層16bには、メタライズ層を用いることができる。メタライズ層としては、例えば、Ni層とAu層の積層構造(Ni/Au)を用いることができる。Ni/Au積層構造は、メッキ法等で形成することができる。また、熱伝導材15との接合が可能であれば、接合層16bとするメタライズ層には、メッキ法等で形成されるスズ(Sn)層、銀(Ag)層、又はNi層を用いてもよい。更に、放熱体17の材質によっては、Cu層、Al層等を用いてもよい。
【0019】
基板11の、半導体素子12の実装面と反対側の面には、電極部(ボールパッド)11eが設けられている。ボールパッド11eは、ビア11dを介して、GND電位とされる内部配線11cや図示しない信号配線に電気的に接続されている。ボールパッド11eには、はんだボール19が搭載されるようになっている。半導体装置10Aは、このようなはんだボール19及びボールパッド11eを介して、マザーボードやインターポーザ等、他の基板(配線基板)に実装することが可能になっている。
【0020】
尚、基板11が備える基板電極パッド11a、接続パッド11b、内部配線11c、ビア11d、ボールパッド11e、及び図示しない信号配線等の導電部には、Cu、Al等の導電材料を用いることができる。
【0021】
上記のような構成を有する半導体装置10Aでは、半導体素子12で発生した熱を、熱伝導材15を介して放熱体17に効率的に伝熱することができる。これにより、半導体素子12の過熱を抑え、過熱による半導体素子12の誤動作や破損の発生を抑えることができる。
【0022】
更に、この半導体装置10Aでは、半導体素子12と放熱体17を熱的に接続する熱伝導材15によって半導体素子12を被覆すると共に、その熱伝導材15をGND電位とされる接続パッド11bに接続する。これにより、熱伝導材15をシールド材として用い、半導体素子12からの電磁的ノイズの放射や半導体素子12への電磁的ノイズの入射を効果的に抑制し、半導体素子12の誤動作の発生を抑えることができる。
【0023】
更に、このようにシールド材として機能させる熱伝導材15をGND電位にするために、基板11について設計上、構造上の大幅な変更は不要であり、放熱及び電磁シールドの機能を有する半導体装置10Aを、コストの増加を抑えて形成することができる。
【0024】
続いて、半導体装置10Aの形成方法(組み立て)について説明する。
図4は第1の実施の形態に係る基板準備工程の一例の説明図である。尚、
図4において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL1−L1断面模式図である。
【0025】
半導体装置10Aの形成にあたり、まず
図4に示すような基板11を準備する。基板11は、絶縁部11f内に設けられた、GND電位とされる内部配線11c、及び内部配線11cに接続されたビア11dを有している。
【0026】
基板11の一方の主面には、基板電極パッド11a及び接続パッド11bが設けられている。基板電極パッド11aは、半導体素子12が実装される領域に設けられる。接続パッド11bは、半導体素子12が実装される領域を囲むように設けられる。基板11の他方の主面には、はんだボール19が搭載可能なボールパッド11eが設けられている。
【0027】
尚、ここでは、基板11内部の信号配線についてはその図示を省略している。
このような基板11の上に、半導体素子12を実装する。
図5は第1の実施の形態に係る半導体素子実装工程の一例の説明図である。尚、
図5において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL2−L2断面模式図である。
【0028】
実装する半導体素子12として、チップ電極パッド12aにバンプ13が搭載され、バンプ13の搭載面側と反対の面側に接合層16aが設けられたものを準備する。
半導体素子12は、そのチップ電極パッド12aに搭載されたバンプ13と、基板電極パッド11aの位置合わせを行い、バンプ13を介してチップ電極パッド12aと基板電極パッド11aを接続することにより、基板11にフリップチップ実装される。このような半導体素子12の実装には、例えば、フリップチップボンダを用いることができる。
【0029】
半導体素子12の実装後は、アンダーフィル樹脂14の充填を行う。
図6は第1の実施の形態に係るアンダーフィル樹脂充填工程の一例の説明図である。尚、
図6において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL3−L3断面模式図である。
【0030】
基板11と、その基板11に実装された半導体素子12の間に、アンダーフィル樹脂14を供給、充填し、硬化させる。アンダーフィル樹脂14は、半導体素子12の外周部にも形成され得る。アンダーフィル樹脂14を設けることで、基板11と半導体素子12を強固に接続し、両者間の接続信頼性の向上が図られる。
【0031】
次いで、このようにして半導体素子12が実装された基板11の上に、半導体素子12の周りを封止する封止材となる熱伝導材15及び放熱体17を配置する。
図7は第1の実施の形態に係る封止材配置工程の一例の説明図である。
【0032】
半導体素子12を被覆するための熱伝導材15として、ここでは一例として、予め半導体素子12に対応した形状(半導体素子12の外形に対応した形状)の凹部15a、及び接続パッド11bに接続される接続部15bが設けられた熱伝導材15を用いる。尚、このような熱伝導材15の詳細については後述する。
【0033】
また、放熱体17としては、半導体素子12や熱伝導材15が収容可能な凹部17aが設けられたものを用い、その凹部17aの、熱伝導材15と接合される位置に、予め接合層16bを設けておく。
【0034】
このような熱伝導材15を半導体素子12の上に配置し、熱伝導材15の上に放熱体17を配置する。放熱体17と基板11の間には接着剤18を設けるようにする。このようにして熱伝導材15、接合層16bを設けた放熱体17、及び接着剤18を配置した後、それらによる封止を行う。
【0035】
図8は第1の実施の形態に係る封止工程の一例の説明図である。尚、
図8において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL4−L4断面模式図である。
【0036】
封止の際は、上記のように基板11に実装した半導体素子12との間に熱伝導材15を介在させて配置した放熱体17を、基板11側に押圧する。放熱体17の押圧を行うことにより、放熱体17を接着剤18で基板11に接着すると共に、熱伝導材15と接合層16a,16bを接続し、熱伝導材15(ここではその接続部15b)と接続パッド11bを接続する。
【0037】
このように放熱体17の押圧を行うことで、半導体素子12を熱伝導材15で被覆する。放熱体17の押圧時には、熱伝導材15を、接合層16a,16b及び接続パッド11bと密着させ、更に、半導体素子12及びアンダーフィル樹脂14の側面と密着させるために、加熱によって熱伝導材15を溶融或いは軟化させることが好ましい。尚、放熱体17の押圧と熱伝導材15の密着性についての詳細は後述する。
【0038】
このようにして封止を行った後は、はんだボール19の搭載を行う。
図9は第1の実施の形態に係るボール搭載工程の一例の説明図である。尚、
図9において、(A)は断面模式図、(B)はボール搭載面側から見た平面模式図であり、(A)は(B)のL5−L5断面模式図である。
【0039】
基板11の、半導体素子12の実装面と反対側の面に設けられた、ボールパッド11eに、はんだボール19が搭載される。これにより、BGA(Ball Grid Array)型の半導体装置10Aを得る。尚、このようなはんだボール19の搭載を行わず、LGA(Land Grid Array)型の半導体装置10A(
図8)を得るようにしてもよい。
【0040】
ここで、熱伝導材15について更に説明する。
熱伝導材15には、はんだ材料を用いることができる。はんだ材料には、様々な材質、組成のものを用いることができる。例えば、インジウム(In)系、インジウム−銀(In−Ag)系、スズ−鉛(Sn−Pb)系、スズ−ビスマス(Sn−Bi)系、スズ−銀(Sn−Ag)系、スズ−アンチモン(Sn−Sb)系、スズ−亜鉛(Sn−Zn)系等のはんだ材料を用いることができる。
【0041】
半導体装置10Aの組み立て前には、例えば、上記のようなはんだ材料を用いた所定の寸法、形状の熱伝導材15を予め準備しておき、半導体装置10Aの組み立てを行うことができる。
【0042】
熱伝導材15の寸法、形状について述べる。
図10は熱伝導材の一例の説明図である。尚、
図10において、(A)は組み立て前の熱伝導材の断面模式図、(B)は組み立て後の半導体装置の断面模式図である。
【0043】
図10(A)に示すように、半導体装置10Aを組み立てる前の熱伝導材15には、所定の厚みTの板状体に、所定の平面サイズS及び高さHの凹部15aを設けたものを用いる。凹部15aの平面サイズS及び高さHは、
図10(B)に示すように基板11に実装される半導体素子12の外形サイズSa及び実装高さHaを基に、設定することができる。尚、ここでは実装高さHaを、基板電極パッド11a(又は接続パッド11b)から、半導体素子12上に設けた接合層16aの表面までの高さとしている。
【0044】
例えば、熱伝導材15の凹部15aの平面サイズSを半導体素子12の外形サイズSaに設定し、凹部15aの高さHを実装高さHaに設定する。一例として、半導体素子12の外形サイズSaが20.0mm×20.0mmで、実装高さHaが0.610mm(半導体素子12の厚み0.550mm,バンプ13の厚み0.060mm)になる場合を想定する。このような場合に、組み立て前の熱伝導材15として、厚みTが0.350mmで、凹部15aの平面サイズSが20.0mm×20.0mm、凹部15aの高さHが0.610mmのものを用いることができる。
【0045】
ところで、実際の実装高さHaには、組み立てる半導体装置10Aによってばらつきが生じる場合がある。そのため、予め所定の寸法、形状で準備した熱伝導材15の凹部15aの高さと、実際の実装高さHaとの間には、半導体装置10Aによってずれが生じる場合がある。
【0046】
このような高さのずれに対しては、放熱体17の押圧量(押し込み量)を調整することで、半導体素子12の上面と放熱体17の間に挟まれる部分の熱伝導材15の高さ(厚みTa)を調整する。それにより、組み立て前の凹部15aの高さと、実際の実装高さHaとの間の高さのずれを相殺する。
【0047】
放熱体17の基板11側への押し込みは、熱伝導材15にはんだ材料を用いることで、加熱により熱伝導材15を溶融或いは軟化させた状態で行うことができるほか、そのような加熱を行わずに熱伝導材15が固化した状態のままでも行うことが可能である。
【0048】
熱伝導材15には、半導体素子12から放熱体17への伝熱のし易さ、半導体素子12の形態に応じた加工のし易さ、接合層16a,16bや接続パッド11bへの接続のし易さ等の観点から、上記のようなはんだ材料が好適である。
【0049】
尚、上記のような高さのずれに対応できるよう、予め実装高さHaと放熱体17の押し込み量との関係を求めておき、実際の実装高さHaに基づき、放熱体17の押し込み量を調整するようにしてもよい。また、上記のような高さのずれに対応できるよう、放熱体17を基板11に接着する接着剤18の厚み、弾性等を調整しておいてもよい。
【0050】
ここでは熱伝導材15に、組み立て時に接続パッド11bと面接触し得る形状の接続部15bを設けたが、組み立て後に接続パッド11bに接続された熱伝導材15が得られれば、必ずしも組み立て前にこのような接続部15bを設けておくことを要しない。
【0051】
また、上記のように熱伝導材15に半導体素子12の外形サイズに応じた凹部15aを設けておくことにより、半導体装置10Aの組み立て時に熱伝導材15や放熱体17に位置ずれが発生するのを抑えることができる。
【0053】
半導体素子12の接合層16aの面側は、必ずしも平坦でなく、半導体素子12の基板11への実装後には、半導体素子12と基板11との熱膨張、熱収縮の程度の違いから、半導体素子12に反りが生じる場合がある。半導体素子12にこのような反りが生じている場合に、
図12及び
図13に示すような平板状(ペレット状)の熱伝導材150を用いた場合には、熱伝導材150や放熱体17に位置ずれが生じ得る。
【0054】
例えば、接合層16aを設けた半導体素子12と、接合層16bを設けた放熱体17の間に、平板状の熱伝導材150を配置し、放熱体17を基板11側に接着する。その際、
図12に示したように、反りが生じている半導体素子12の凸部を中心にして、その上に配置した熱伝導材150が回転し、熱伝導材150の位置ずれが発生してしまう場合がある。また、
図13に示したように、熱伝導材150と共に、その上に配置した放熱体17も回転してしまい、熱伝導材150及び放熱体17の位置ずれが発生してしまう場合もある。
【0055】
このような位置ずれが発生した状態で熱伝導材150が固定されてしまうと、半導体素子12の上面側に、熱伝導材150で被覆されない領域ができてしまい、
図11に示したような半導体装置100を得ることができなくなる。半導体素子12の上面側に熱伝導材150で被覆されない領域ができてしまうと、放熱体17までの熱抵抗が高くなり、半導体素子12で発生した熱を十分に放熱体17に伝熱し、放熱することができなくなる可能性がある。その結果、半導体素子12の過熱が起こり、半導体素子12の動作不良が発生し得る。また、半導体装置100の組み立ての歩留まりも低下する。
【0056】
これに対し、上記の半導体装置10Aでは、凹部15aを有する熱伝導材15を用い、その凹部15aの寸法、形状を、半導体素子12の外形サイズ、実装後の実装高さに基づいて設定しておく。それにより、組み立て時に、凹部15aの内側の各辺(又は内面)が、半導体素子12の外周の各辺(又は側面)と対向し、熱伝導材15の回転が抑えられるようになる。その結果、熱伝導材15を精度良く半導体素子12の上面側に配置することが可能になると共に、アンダーフィル樹脂14の側面も含め、半導体素子12の上面側及び側面を、熱伝導材15で被覆することが可能になる。
【0057】
また、上記の半導体装置10Aでは、
図7及び
図8に示したように、凹部15aを有する熱伝導材15を、半導体素子12の上に被せるようにして配置し、放熱体17を、例えば加熱を行いながら、基板11側に押圧する。その際には、熱伝導材15と半導体素子12に設けた接合層16aとの接続、熱伝導材15と放熱体17に設けた接合層16bとの接続、及び熱伝導材15とGND電位とされる接続パッド11bとの接続を、一括で行うことができる。そのため、放熱及び電磁シールドの機能を有する半導体装置10Aを、効率的に組み立てることが可能になる。
【0058】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図14は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図14において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL8−L8断面模式図である。
【0059】
第2の実施の形態に係る半導体装置10Bは、小型の基板11を用いると共に、平板状で小型の放熱体17を用いている点で、上記第1の実施の形態に係る半導体装置10Aと相違する。
【0060】
半導体装置10Bでは、放熱体17に、上記第1の実施の形態で述べたような、半導体素子12の周りを覆い且つ基板11に接着させるための構造、即ち凹部17aを設けることが不要になる。このような平板状で小型の放熱体17を用いるため、基板11には、放熱体17を接着するための領域が不要になり、更に、基板11と放熱体17を接着するための接着剤18も不要になる。
【0061】
図14に示したような放熱体17及び基板11を用いることで、半導体素子12と放熱体17を熱的に接続する熱伝導材15をシールド材として用いる、小型の半導体装置10Bを実現することが可能になる。
【0062】
このような半導体装置10Bは、上記第1の実施の形態で述べたのと同様にして形成することが可能である。
即ち、まず、小型の基板11に、接合層16aを設けた半導体素子12を、バンプ13を介してフリップチップ実装した後、基板11と半導体素子12の間にアンダーフィル樹脂14を充填する。そして、半導体素子12及び接合層16aの上に熱伝導材15を配置し、その熱伝導材15の上に、接合層16bを設けた平板状の放熱体17を配置して、放熱体17を基板11側に、例えば加熱を行いながら押圧する。このとき、熱伝導材15と、接合層16a,16b及び接続パッド11bとの接続を、一括で行う。これにより、半導体装置10Bを、効率的に形成することが可能になる。
【0063】
尚、
図14には、ボールパッド11eにはんだボール19を搭載したBGA型の半導体装置10Bを例示したが、はんだボール19を搭載せずに、LGA型の半導体装置10Bを得ることもできる。
【0064】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図15は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。尚、
図15において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL9−L9断面模式図である。
【0065】
第3の実施の形態に係る半導体装置10Cは、開口部15cを設けた熱伝導材15を用いている点で、上記第2の実施の形態に係る半導体装置10Bと相違する。熱伝導材15の開口部15cは、後述のように、アンダーフィル樹脂14の充填に用いることができる。
【0066】
このような開口部15cを有する熱伝導材15を用いた半導体装置10Cの形成方法について説明する。
図16は第3の実施の形態に係る基板準備工程の一例の説明図である。尚、
図16において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL10−L10断面模式図である。
【0067】
まず、
図16に示すような基板11を準備する。ここでは、放熱体17を接着する領域を設けていない、小型の基板11を準備する。基板11には、基板電極パッド11a、接続パッド11b、内部配線11c、ビア11d、ボールパッド11e、及び図示しない信号配線等の導電部、並びに絶縁部11fが含まれる。内部配線11cは、GND電位とされる。基板電極パッド11aは、半導体素子12が実装される領域に設けられ、接続パッド11bは、半導体素子12が実装される領域を囲むように設けられる。
【0068】
図17は第3の実施の形態に係る半導体素子実装工程の一例の説明図である。尚、
図17において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL11−L11断面模式図である。
【0069】
上記のような基板11の上に、チップ電極パッド12aにバンプ13が搭載され且つバンプ13の搭載面側と反対の面側に接合層16aが設けられた半導体素子12を、基板電極パッド11aが設けられた実装領域にフリップチップ実装する。
【0070】
図18は第3の実施の形態に係る封止材配置工程の一例の説明図である。
半導体素子12の実装後、半導体素子12に設けた接合層16aの上に、凹部15a、接続部15b、及び凹部15aに連通する開口部15cを設けた熱伝導材15を配置し、その熱伝導材15の上に、接合層16bを設けた平板状の放熱体17を配置する。
【0071】
図19は第3の実施の形態に係る封止工程の一例の説明図である。尚、
図19において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL12−L12断面模式図である。
【0072】
熱伝導材15及び放熱体17の配置後は、例えば加熱を行いながら、放熱体17を基板11側に押圧し、熱伝導材15と接合層16a,16bを接続すると共に、熱伝導材15と接続パッド11bを接続する。このとき、熱伝導材15の開口部15cは、半導体素子12と基板11の間の空間と連通するようになる。
【0073】
このように熱伝導材15を接合層16a,16b及び接続パッド11bに接続した後、アンダーフィル樹脂14の充填を行う。
図20は第3の実施の形態に係るアンダーフィル樹脂充填工程の一例の説明図である。尚、
図20において、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図であり、(A)は(B)のL13−L13断面模式図である。
【0074】
アンダーフィル樹脂14の充填は、ディスペンス方式で行うことができる。例えば、所定のニードル50を用いて、熱伝導材15の開口部15cから、半導体素子12と基板11の間の空間にアンダーフィル樹脂14を供給し、充填する。このようなアンダーフィル樹脂14の充填の際、既に半導体素子12を被覆し且つ接続パッド11bに接続されている熱伝導材15は、アンダーフィル樹脂14が半導体素子12の実装領域外へ濡れ広がるのを抑えるダムの役割を果たす。
【0075】
尚、熱伝導材15の開口部15cは、用いるニードル50の先端が挿入でき、開口部15cを設けた熱伝導材15で半導体素子12に対する電磁シールド効果を得ることができれば、その大きさ、形状は特に限定されない。
【0076】
以上のような方法により、LGA型の半導体装置10Cを得ることができる。また、アンダーフィル樹脂14の充填後、ボールパッド11eにはんだボール19を搭載し、BGA型の半導体装置10Cを得ることもできる。
【0077】
半導体装置10Cの形成にあたり、上記のような方法を用いると、熱伝導材15によってアンダーフィル樹脂14が半導体素子12の実装領域外へ濡れ広がるのを抑えることができる。
【0078】
例えば、熱伝導材15の接合層16a,16b及び接続パッド11bとの接続を行う前に、基板11とそれに実装された半導体素子12の間の空間にアンダーフィル樹脂14を充填しておく場合には、次の
図21に示すようなことが起こり得る。
【0079】
図21は半導体装置形成工程の別例の説明図であって、(A)はアンダーフィル樹脂充填工程の別例の説明図、(B)は封止材配置工程の別例の説明図である。
基板11とそれに実装された半導体素子12の間の空間にアンダーフィル樹脂14を充填する際には、アンダーフィル樹脂14が半導体素子12の実装領域外へ濡れ広がってしまう場合がある。このようなアンダーフィル樹脂14の濡れ広がりは、アンダーフィル樹脂14の粘度、供給量、基板11との濡れ性等によって生じ得る。アンダーフィル樹脂14が濡れ広がる結果、
図21(A)に示したように、アンダーフィル樹脂14で接続パッド11bが覆われてしまったり、アンダーフィル樹脂14が基板11の側面等にまで流出してしまったりすることが起こり得る。
【0080】
このような状態から、
図21(B)に示すように、熱伝導材15及び放熱体17の配置を行うと、熱伝導材15と接続パッド11bを接続できない場合がある。接続できなかった場合には、熱伝導材15による電磁シールド効果が得られなくなってしまう。また、基板11の側面等にまでアンダーフィル樹脂14が流出してしまった場合には、完成体(半導体装置)の外形異常、外観異常等の不具合を招く可能性がある。
【0081】
これに対し、上記の半導体装置10Cでは、開口部15cを設けた熱伝導材15を接続パッド11b等に接続した後、その熱伝導材15の開口部15cから、半導体素子12と基板11の間の空間にアンダーフィル樹脂14を充填する。このような方法を用いると、アンダーフィル樹脂14の、半導体素子12の実装領域外への流出が抑制可能になるため、
図21で述べたような熱伝導材15と接続パッド11bとの接続不良の発生を回避することが可能になる。更に、アンダーフィル樹脂14の、基板11の側面等への流出が抑制可能になるため、半導体装置10Cの外形異常、外観異常等の不具合の発生を回避することが可能になる。
【0082】
次に、第4の実施の形態について説明する。
図22は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。
図22には、放熱体17に熱伝導材15を成形する成形型(凹部)17bを設けておき、半導体装置10Dの組み立て時に、平板状の熱伝導材15を成形しながら接続パッド11b等に接続する方法、及びそれによって得られる半導体装置10Dを示す。
【0083】
半導体装置10Dの組み立てでは、まず、基板11に、接合層16aを設けた半導体素子12をフリップチップ実装する。次いで、その基板11の上方に、平板状の熱伝導材15、熱伝導材15の成形型17bを設けた放熱体17、及び接着剤18を、それぞれ所定の位置に配置する。そして、例えば加熱を行いながら、放熱体17を基板11側に押圧する。
【0084】
この放熱体17の押圧に伴い、半導体素子12と放熱体17の間に配置された熱伝導材15が、半導体素子12に支持されながら、放熱体17の成形型17bに沿って変形し、半導体素子12(接合層16a)及びアンダーフィル樹脂14の表面を被覆する。また、その際、熱伝導材15は、接合層16a,16b及び接続パッド11bと接続され、放熱体17は、接着剤18を介して基板11に接着される。
【0085】
これにより、LGA型の半導体装置10Dが得られる。この後、上記のようなはんだボール19を搭載してBGA型の半導体装置10Dを得るようにしてもよい。
このような方法を用いることにより、半導体装置10Dの組み立て前に熱伝導材15を半導体素子12の外形サイズやその実装高さに基づいた形状で準備しておくことが不要になり、熱伝導材15のコスト(加工コスト)を抑えることが可能になる。
【0086】
また、このような方法を用いて形成される半導体装置10Dでは、放熱体17が半導体素子12の側方にも配置されるようになるため、半導体素子12で発生した熱を、上方のほか側方にも効果的に伝熱させ、放熱効果を高めることが可能になる。
【0087】
基板11には、半導体素子12のほか、抵抗やコンデンサ等の受動部品をはじめとする他の電子部品が実装されていてもよい。そのような電子部品が基板11に実装される場合にも、上記のような成形型17bを備える放熱体17を用いた方法を適用することは可能である。
【0088】
図23は第4の実施の形態に係る半導体装置の第1変形例を示す図である。
図23には、半導体素子12及び電子部品20が実装された基板11、平板状の熱伝導材15、並びに成形型17bを設けた放熱体17を用いて、熱伝導材15の成形及び接続を行う方法、及びそれによって得られる半導体装置10D1を示す。
【0089】
半導体装置10D1の組み立ては、上記半導体装置10Dについて述べたのと同様の手順で行うことができる。
尚、放熱体17の押圧時に、その下面と電子部品20との接触を回避するように、接着剤18の厚みを調整してもよい。また、放熱体17と電子部品20との接触を回避するように、放熱体17の下面の形状を変更することも可能である。
【0090】
図24は第4の実施の形態に係る半導体装置の第2変形例を示す図である。
この
図24に示す半導体装置10D2のように、放熱体17の、電子部品20との対向位置に、更に凹部17cを設けておき、放熱体17を押圧して基板11に接着したときに、放熱体17と電子部品20との間に一定の空間が確保されるようにしてもよい。これにより、放熱体17と電子部品20との接触を回避することが可能になる。また、このような凹部17cを設けることで、半導体素子12と共に基板11に実装することのできる電子部品20の形態(実装高さ、種類等)の自由度を高めることが可能になる。
【0091】
ところで、上記のように基板11に半導体素子12と共に電子部品20が実装される場合において、成形型17bを設けていない放熱体17と、平板状の熱伝導材15を用いると、次の
図25に示すようなことが起こり得る。
【0092】
図25は半導体装置形成工程の別例の説明図であって、(A)は断面模式図、(B)は平面模式図である。
ここでは、凹部17aを設けた放熱体17と、半導体素子12及び電子部品20が実装された基板11の間に、平板状の熱伝導材15を配置し、放熱体17を基板11側に押圧する場合を想定する。この場合、加熱を行いながら放熱体17を押圧すると、
図25に示したように、押圧によって放熱体17と半導体素子12の間から押し出された熱伝導材15が、半導体素子12の周辺に実装されている電子部品20の方まで広がってしまうことが起こり得る。
【0093】
このような熱伝導材15の広がりが起こり、熱伝導材15が電子部品20に接触すると、電子部品20が正常に動作しなくなる等の不具合が生じる可能性がある。例えば、電子部品20としてチップコンデンサを用いている場合において、上記のように広がった熱伝導材15が接触することで、チップコンデンサが短絡してしまう、といったことが起こり得る。
【0094】
尚、電子部品20の短絡等の不具合を回避するために、
図26に示すような構造を採用することも考えられる。
図26は別形態の半導体装置の説明図である。
【0095】
例えば、
図26(A)に示す構造は、電子部品20を放熱体17の外側に配置するものである。また、
図26(B)に示す構造は、放熱体17の内部に実装される電子部品20を樹脂30でコーティングするものである。
【0096】
しかし、
図26(A)のような構造では、半導体素子12と電子部品20の間の距離が長くなるため、基板11内部の配線のインダクタンスや抵抗が大きくなり、スイッチングノイズが増加してしまう可能性がある。また、
図26(B)のような構造では、樹脂30を設ける工程が増え、樹脂30を設けることによるコストの増加を招く可能性がある。
【0097】
一方、上記のような成形型17bを設けた放熱体17を用いると、半導体素子12の周辺に電子部品20が実装されているような場合にも、熱伝導材15が電子部品20の方へ広がってしまうのを抑えることができる。それにより、熱伝導材15と電子部品20の接触、接触によって生じる不具合を回避することが可能になる。
【0098】
尚、上記のような電子部品20は、上記第1の実施の形態で述べた半導体装置10Aの基板11に実装されていてもよい。半導体装置10Aにおいても、予め所定の寸法、形状とした熱伝導材15を用いるため、熱伝導材15と電子部品20の接触、接触によって生じる不具合を回避することが可能である。
【0099】
次に、第5の実施の形態について説明する。
図27は第5の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。
上記第1,第2の実施の形態においては、基板11とそれに実装された半導体素子12の間にアンダーフィル樹脂14を充填するようにしたが、このようなアンダーフィル樹脂14は、必ずしも設けることを要しない。
図27(A),(B)に示す半導体装置10A1,10B1のように、アンダーフィル樹脂14を設けずに、半導体素子12を熱伝導材15で被覆し、熱伝導材15を介して半導体素子12と放熱体17を熱的に接続してもよい。
【0100】
図27(A),(B)に示す半導体装置10A1,10B1では、いずれも半導体素子12が熱伝導材15で被覆され、その熱伝導材15は、接続パッド11b及び接合層16aに接続されている。即ち、半導体素子12と基板11の間のバンプ13を介した接続が、熱伝導材15によって補強されている。
【0101】
そのため、例えば、半導体素子12の実装後に行われる加熱、冷却の際、半導体素子12と基板11の間の熱膨張、熱収縮の程度の違いから歪みが生じたとしても、両者の接続を熱伝導材15で補強し、一定の接続信頼性を確保することができる。半導体装置10A1,10B1に対して外部から衝撃が加わったような場合も同様に、熱伝導材15によって一定の接続信頼性を確保することができる。
【0102】
半導体装置10A1,10B1では、アンダーフィル樹脂14の材料コスト、アンダーフィル樹脂14を設けるための工程を削減することができる。
尚、ここでは上記第1,第2の実施の形態で述べた半導体装置10A,10Bのアンダーフィル樹脂14を省略した構造を有する半導体装置10A1,10B1を例示した。このほか、上記第4の実施の形態で述べた半導体装置10D,10D1,10D2においても同様に、アンダーフィル樹脂14を省略した構造を採用することが可能である。
【0103】
次に、第6の実施の形態について説明する。
図28は第6の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す図である。
上記第4の実施の形態においては、成形型17bを設けた放熱体17を用い、平板状の熱伝導材15を成形しながら、熱伝導材15の接合層16a,16b及び接続パッド11bとの接続、熱伝導材15による半導体素子12の被覆を行う場合を例示した。このほか、平板状の熱伝導材15に替えて、
図28に示すようなペースト状の熱伝導材15を用いることもできる。
【0104】
その場合は、基板11に実装された半導体素子12の接合層16a上に、ペースト状の熱伝導材15を配置し、成形型17b及び接合層16bを設けた放熱体17並びに接着剤18をそれぞれ所定の位置に配置する。そして、放熱体17を基板11側に押圧することで、半導体素子12(接合層16a)及びアンダーフィル樹脂14の表面を、成形型17bに沿って変形する熱伝導材15で被覆する。熱伝導材15は、接合層16a,16b及び接続パッド11bと接続され、放熱体17は、接着剤18で基板11に接着される。
【0105】
これにより、LGA型の半導体装置10Dが得られる。この後、上記のようなはんだボール19を搭載してBGA型の半導体装置10Dを得るようにしてもよい。
このような方法を用いることにより、上記第4の実施の形態で述べたのと同様の効果が得られる。更に、ペースト状の熱伝導材15を用いることにより、平板状(ペレット状)の熱伝導材15,150を用いる場合に比べて、材料コスト、加工コストを低減することが可能になる。
【0106】
尚、このようなペースト状の熱伝導材15を用いる場合にも、基板11には上記第4の実施の形態で述べたような電子部品20が実装されていてもよく、放熱体17には電子部品20との対向位置に凹部17cが設けられたものを用いてもよい。
【0107】
次に、熱伝導材15と半導体素子12及びアンダーフィル樹脂14との密着性について、
図29〜
図31を参照して更に説明する。
図29に示すように、半導体素子12の背面(バンプ13が搭載される側の反対側の面)には、凹凸12bが存在し得る。このような凹凸12bは、例えば、半導体素子12の形成時に行われる、その半導体基板のバックグラインドによって形成される。凹凸12bが形成されている面上に接合層16aを形成するとしても、半導体素子12の背面側に凹凸16aaが残り得る。また、半導体素子12の側端部のアンダーフィル樹脂14には、フィレット部14aが形成され、アンダーフィル樹脂14の供給量によって、高いフィレット部14aa、或いは低いフィレット部14abが形成され得る。
【0108】
このような凹凸16aaが存在し得る半導体素子12上の接合層16a、及びフィレット部14aの形状にばらつきが存在し得るアンダーフィル樹脂14を被覆するように、熱伝導材15が設けられる。半導体素子12から放熱体17への伝熱効率の観点からは、熱伝導材15を接合層16aの表面、半導体素子12の側面、及びアンダーフィル樹脂14の表面に密着させ、それらとの間にできるだけ空隙を発生させないようにすることが好ましい。
【0109】
この点に関し、上記第1〜第6の実施の形態ではいずれも、組み立ての際、接合層16aを設けた半導体素子12との間に熱伝導材15を介在させて放熱体17を配置し、この放熱体17を半導体素子12が実装されている基板11側に押圧する。それにより、接合層16aが設けられた半導体素子12と熱伝導材15との間の空隙の発生、アンダーフィル樹脂14と熱伝導材15との間の空隙の発生を抑えることが可能になっている。
【0110】
一例として
図30には、成形型17bを設けた放熱体17で熱伝導材15を成形しながら接続パッド11b等に接続を行う場合を示している。
この場合において、放熱体17の押圧途中では、
図30(A)に示したように、接合層16aの凹凸16aaと熱伝導材15との間、半導体素子12の側面と熱伝導材15との間、アンダーフィル樹脂14と熱伝導材15との間に、空隙40が生じ得る。しかし、放熱体17を更に押圧することで、
図30(B)に示したように、熱伝導材15が、接合層16aの凹凸16aaの表面、半導体素子12の側面、アンダーフィル樹脂14のフィレット部14aの表面に追従して変形するようになる。それにより、熱伝導材15を、接合層16a、半導体素子12、アンダーフィル樹脂14の各表面に密着させることができる。
【0111】
尚、このような熱伝導材15の密着が行えるように、用いる熱伝導材15の厚みを調整しておいたり、密着させるのに要する放熱体17の押圧量(荷重)を求めておいたりしてもよい。
【0112】
加熱により熱伝導材15を溶融させる場合や、ペースト状の熱伝導材15を用いる場合には、流動性を有する熱伝導材15を、接合層16a、半導体素子12、アンダーフィル樹脂14の各表面に追従させ、密着させることが可能である。
【0113】
但し、その際、
図31(A)に示すように、熱伝導材15と、接合層16a、半導体素子12、アンダーフィル樹脂14の各表面との間に、空隙41(ボイド)が生じてしまうことも起こり得る。しかし、そのような場合でも、加圧オーブン等を使用し、加熱を行いながら加圧を行うことで空隙41を押し潰し、その後、熱伝導材15を冷却し固化させることで、
図31(B)に示すように、空隙41を消滅又は縮小化させることができる。或いは、加熱を行って熱伝導材15を軟化又は溶融させ、その状態で真空引きを行い、その後、熱伝導材15を冷却し固化させることで、
図31(B)に示すように、空隙41を消滅又は縮小化させることもできる。
【0114】
このように、基板11上の半導体素子12との間に、熱伝導材15を介在させ、必要に応じて加熱を行って、放熱体17を基板11側に押圧することで、熱伝導材15と、接合層16a、半導体素子12、アンダーフィル樹脂14との密着性を高めることができる。これにより、半導体素子12で発生した熱を、熱伝導材15を介して、効率的に放熱体17へと伝熱することが可能になり、過熱による半導体素子12の誤動作や破損を効果的に抑えることが可能になる。
【0115】
尚、
図30及び
図31には、成形型17bを設けた放熱体17を用いた場合を例に、熱伝導材15の密着性について説明した。このほか、凹部17aを設けた放熱体17や平板状の放熱体17を用いた場合であっても、熱伝導材15の一定の密着性を得ることが可能になっている。例えば、熱伝導材15に設ける凹部15aのサイズや形状を適切に設定し、それを、凹部17aを設けた放熱体17や平板状の放熱体17で押圧する。それにより、熱伝導材15と、接合層16a、半導体素子12、アンダーフィル樹脂14との間の一定の密着性を確保することができる。
【0116】
以上説明したように、第1〜第6の実施の形態では、半導体素子と放熱体を、熱伝導材を介して熱的に接続すると共に、その熱伝導材で半導体素子を被覆し、且つ、熱伝導材を基板のGND電位とされる電極部に接続する。これにより、半導体素子で発生した熱を、熱伝導材を介して効率的に放熱体へと伝熱することができると共に、その熱伝導材によって半導体素子の周囲を電磁シールドすることができる。また、このように半導体素子を被覆し、且つ、基板の所定の電極部に接続される熱伝導材を、部品数や工数の増加を抑えて、放熱体の基板側への押圧によって、得ることができる。放熱及び電磁シールドの機能を有する半導体装置を、コストの増加を抑えて実現することができる。
【0117】
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 基板と、
前記基板に配設された電極部と、
前記基板の上方に配設された半導体素子と、
前記半導体素子を被覆し且つ前記電極部に接続された、はんだ材料からなる熱伝導材と、
前記熱伝導材の上方に配設された放熱体と、
を含むことを特徴とする半導体装置。
【0118】
(付記2) 前記熱伝導材は、前記半導体素子の上面及び側面に沿って配設されることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記電極部は、前記基板のグランド電位とされる電極部であることを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
【0119】
(付記4) 前記電極部は、前記半導体素子を囲むように周設されることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
(付記5) 前記基板と前記半導体素子の間に配設された樹脂層を含むことを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
【0120】
(付記6) 前記基板と前記半導体素子の間に配設された樹脂層を含み、
前記熱伝導材は、前記樹脂層に通じる開口部を有することを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
【0121】
(付記7) 前記放熱体は、前記半導体素子及び前記熱伝導材を収容する凹部を有し、
前記熱伝導材は、前記凹部の内面に沿って配設されることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
【0122】
(付記8) 前記半導体素子の上面と前記熱伝導材の間に配設された第1接合層と、
前記熱伝導材の上面と放熱体の間に配設された第2接合層と、
を含むことを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置。
【0123】
(付記9) 電極部が配設された基板の上方に半導体素子を配設する工程と、
前記半導体素子の上方に、はんだ材料からなる熱伝導材を介して、放熱体を配設する工程と、
前記放熱体を押圧し、前記半導体素子を前記熱伝導材で被覆すると共に、前記熱伝導材を前記電極部に接続する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0124】
(付記10) 前記放熱体を配設する工程においては、前記半導体素子の上方に、前記半導体素子を被覆する前記熱伝導材を介して、前記放熱体を配設することを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【0125】
(付記11) 前記熱伝導材は、前記電極部に接触することを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 前記放熱体を配設する工程においては、前記半導体素子の上方に、開口部を有する前記熱伝導材を介して、前記放熱体を配設し、
前記放熱体を押圧する工程後に、前記開口部から樹脂を供給する工程を更に含む、
ことを特徴とする付記9乃至11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0126】
(付記13) 前記放熱体を配設する工程においては、前記半導体素子側に凹部を有する前記放熱体を配設し、
前記放熱体を押圧する工程においては、前記凹部によって前記熱伝導材を成形し、前記半導体素子を前記熱伝導材で被覆すると共に、前記熱伝導材を前記電極部に接続する、
ことを特徴とする付記9乃至11のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0127】
(付記14) 前記放熱体を押圧する工程は、前記熱伝導材を加熱する工程を含むことを特徴とする付記9乃至13のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。