特許第5799552号(P5799552)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799552
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】プーリユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/20 20060101AFI20151008BHJP
   F16H 55/36 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
   F16D41/20 A
   F16H55/36 H
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-81419(P2011-81419)
(22)【出願日】2011年4月1日
(65)【公開番号】特開2012-215254(P2012-215254A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(72)【発明者】
【氏名】山谷 知也
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−267046(JP,A)
【文献】 特開2008−169895(JP,A)
【文献】 特開2008−232328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/20
F16H 55/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面にばね保持用第1凹部が形成された軸体と、
内周面にばね保持用第2凹部が形成され、前記軸体の周囲に軸受により回転可能に支持されたプーリと、
前記軸体と前記プーリの間の環状空間に配置され、一端部に径方向内側に曲げられて前記ばね保持用第1凹部にはまる第1フック部が形成され、他端部に径方向外側に曲げられて前記ばね保持用第2凹部にはまる第2フック部が形成されたコイルばねと、
前記コイルばねの前記一端部の外周と前記プーリの内周の間にはめられた第1フック部固定用ブシュと、
前記プーリに固定されて、前記コイルばねの前記他端部の内周にはまる第2フック部固定用筒状部材とを備えるプーリユニットであって、
前記第1フック部固定用ブシュが円弧状をなし、その一端部に、前記コイルばねの前記一端部の外周に重なり合い径方向内方に延在する突起部を備え、前記ばね保持用第1凹部と前記コイルばねの外周面とにより前記突起部が挟まれていることを特徴とするプーリユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば自動車のエンジンの回転をベルトを介してオルタネータなどの補機に伝達するために使用されるプーリユニットであって、軸体と、軸体の周囲に配置されたプーリとの間に回転変動を吸収してトルク伝達可能なねじりコイルばねが介在させられたプーリユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプーリユニットとして、従来、補機に連結される軸体と、軸体の周囲に軸受により回転可能に支持されたベルト用プーリとの間に、一方向ばねクラッチとねじりコイルばねが介在させられたものが知られていた(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
一方向ばねクラッチはプーリから軸体にトルクを伝達するもので、プーリの回転トルクがクラッチおよびコイルばねを介して軸体に伝達される。
【0004】
このような従来のプーリユニットでは、一方向ばねクラッチによる摩擦、摩耗が問題となり、一方向ばねクラッチをなくしてねじりコイルばねだけでトルクを伝達するようにしたものが提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−528906号公報
【特許文献2】特開2008−169895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に示されたプーリユニットでは、ねじりコイルばねの端部を軸体またはプーリに固定する必要がある。
【0007】
ねじりコイルばねの端部を軸体などに簡単に固定する手段として、端部を直角に折り曲げてフック部を形成し、これを軸体などに形成したみぞ状の凹部に引っかけることが考えられる。
【0008】
一方、オルタネータなど、慣性モーメントの大きな回転体に軸体が連結される場合、ばねの剛性を高くして、大きなトルクを伝達できるようにする必要がある。ところが、ねじりコイルばねの剛性を高めるためには、ばね材(ばねを構成する線材)の断面積を大きくする必要があり、そうすると、ばねの端部を直角に折り曲げることが困難で、したがって、端部の固定も難しくなる。
【0009】
この発明の目的は、上記の問題を解決し、ばね材の断面積が比較的大きくても、ねじりコイルばねの両端部を簡単にかつ確実に軸体およびプーリに固定できるプーリプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるプーリユニットは、外周面にばね保持用第1凹部が形成された軸体と、内周面にばね保持用第2凹部が形成され、前記軸体の周囲に軸受により回転可能に支持されたプーリと、前記軸体と前記プーリの間の環状空間に配置され、一端部に径方向内側に曲げられて前記ばね保持用第1凹部にはまる第1フック部が形成され、他端部に径方向外側に曲げられて前記ばね保持用第2凹部にはまる第2フック部が形成されたコイルばねと、前記コイルばねの前記一端部の外周と前記プーリの内周の間にはめられた第1フック部固定用ブシュと、前記プーリに固定されて、前記コイルばねの前記他端部の内周にはまる第2フック部固定用筒状部材とを備えるプーリユニットであって、前記第1フック部固定用ブシュが円弧状をなし、その一端部に、前記コイルばねの前記一端部の外周に重なり合い径方向内方に延在する突起部を備え、前記ばね保持用第1凹部と前記コイルばねの外周面とにより前記突起部が挟まれていることを特徴とするものである。
【0011】
コイルばねの一端部の外周とプーリの内周の間にはめられた第1フック部固定用ブシュにより、ばね保持用第1凹部にはまった第1フック部の径方向外側への変形が阻止され、第1フック部が軸体に確実に固定される。コイルばねの他端部の内周にはまる第2フック部固定用筒状部材により、ばね保持用第2凹部にはまった第2フック部の径方向内側への変形が阻止され、第2フック部がプーリに確実に固定される。このため、ばね材の断面積が比較的大きくて、両フック部を直角に折り曲げられない場合でも、両フック部を軸体およびプーリに簡単にかつ確実に固定することができる。もちろん、両フック部が直角に折り曲げられている場合も、これを軸体およびプーリにより確実に固定することができる。
【0012】
第1フック部固定用ブシュは、無端円環状のものであってもよいし、円弧状(欠円状)のものであってもよい。
【0013】
無端円環状のブシュは、好ましくは、軸体およびプーリに対して回転しうるように配置される。この場合、ブシュは軸体とプーリに挟まれて回転するので、潤滑性とある程度の強度を有するもの、たとえば、リン青銅製のものや、あるいは鋼製のものに潤滑剤などの潤滑手段を付加したものが好ましい。
【0014】
コイルばねの伝達トルクを大きくするには、その外径をできるだけ大きくして、回転変動機能を損なわない範囲で、プーリの内径に近くすることが好ましい。無端円環状のブシュが収容されるプーリの内周の内径が一定である場合、コイルばねに外力が作用していない無負荷状態におけるコイルばねの外径が一様で、プーリの内径に近い値であると、ブシュの内側にあるコイルばねの部分はブシュの厚さ分だけ常に弾性変形させられていることになり、ブシュは軸体とプーリの間に強く挟み付けられる。これを避けるため、ブシュの内側にあるコイルばねの部分の外径を他の部分より小さくするのが好ましい。
【0015】
コイルばねを円弧状にすれば、ブシュの内側になるコイルばねの部分が短くなり、外径を小さくする部分が小さく、コイルばねの伝達トルクをできるだけ大きくすることができる。
【0016】
円弧状のブシュは、常にばねの第1フック部の外周に接する必要があり、このため、コイルばねと一体となって回転するのが好ましい。
【0017】
この発明のプーリユニットにおいて、たとえば、前記第1フック部固定用ブシュが円弧状をなし、その一端部に、前記コイルばねの前記一端部の外周に重なり合い径方向内方に延在する突起部を備え、前記ばね保持用第1凹部と前記コイルばねの外周面とにより前記突起部が挟まれている。
【0018】
このようにすれば、ブシュがコイルばねと一体となって回転し、ブシュの突起部によって第1フック部が第1凹部に確実に固定される。
【発明の効果】
【0019】
この発明の電動モータユニットによれば、上記のように、ばね材の断面積が比較的大きくても、ねじりコイルばねの両端部を簡単にかつ確実に軸体およびプーリに固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、この発明の第1実施形態を示すプーリユニットの縦断面図である。
図2図2は、図1のII−II線に沿う横断面図である。
図3図3は、図2のIII−III線に沿う横断面図である。
図4図4は、図1のプーリユニットの主要構成部材を示す分解斜視図である。
図5図5は、この発明の第2実施形態を示す図2相当の横断面図である。
図6図6は、図5のプーリユニットを構成する第1フック部固定用ブシュの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
【0022】
図1図4は、第1実施形態を示している。以下の説明において、プーリユニットの縦断面図である図1の左側を前、右側を後とする。
【0023】
プーリユニットは、内側回転体である軸体(1)、外側回転体(2)を構成するプーリ(3)およびプーリカバー(4)、2組の軸受(5)(6)および回転変動吸収用ねじりコイルばね(7)を備えている。
【0024】
軸体(1)は、中空状をなし、比較的長くて外径の小さい前側の小径部(1a)と、比較的短くて外径の大きい後側の大径部(1b)とに分けられる。詳細な図示は省略したが、軸体(1)の内周にねじなどの回り止め手段が設けられ、この部分において、オルタネータの軸などと連結される。
【0025】
プーリ(3)は、円筒状をなす。プーリ(3)の内周後端部に、比較的厚肉の内向きフランジ部(3a)が一体に形成され、フランジ部(3a)より前側の部分の内径は一定になっている。プーリ(3)の外周の前部を除く部分は、前部より外径が大きく、複数のベルト用環状みぞが形成されたベルト受け部(3b)となっている。
【0026】
プーリカバー(4)は、穴あき円板状の前壁部(4a)の外周縁および内周縁にそれぞれ後側にのびた外側円筒部(4b)および内側円筒部(4c)が一体に形成された、二重円筒状のものである。プーリ(3)の前部外周にプーリカバー(4)の外側円筒部(4b)が密にはめられ、適宜な手段で固定されている。
【0027】
前側の軸受(5)は、保持器付き針状ころ軸受であり、軸体(1)の小径部(1a)の外周とプーリカバー(4)の内側円筒部(4c)の内周との間に設けられている。後側の軸受(6)は、保持器付き玉軸受であり、軸体(1)の大径部(1b)の外周とプーリ(3)のフランジ部(3a)の内周との間に設けられている。この例では、大径部(1b)が軸受(6)の内輪、フランジ部(3a)が同外輪となっている。軸受(5)より前側の軸体(1)の小径部(1a)とプーリカバー(4)の内側円筒部(4c)との間に、オイルシール(8)が設けられている。軸受(6)より後側の軸体(1)の大径部(1b)とプーリ(3)との間に、シール部材(9)が設けられている。これら前後の軸受(5)(6)により、プーリ(3)が軸体(1)に対して相互に回転しうるように支持されている。
【0028】
プーリカバー(4)の内側円筒部(4c)の外径は、軸体(1)の大径部(1b)の外径とほぼ等しい。また、内側円筒部(4c)の後側の比較的長い部分の内径および外径は、前端よりの部分のそれに比べて少し小さくなっている。
【0029】
ばね(7)は、軸体(1)の大径部(1b)の外周およびプーリカバー(4)の内側円筒部(4c)の外周と、フランジ部(3a)より前側のプーリ(3)の内周との間に配置されている。ばね(7)は、左巻きのコイルばねである。ばね(7)を構成するばね材の横断面形状は、前後幅および径方向厚さの比較的大きい方形である。後に詳しく説明するように、ばね(7)の後端部(一端部)が軸体(1)に、ばね(7)の前端部(他端部)がプーリ(3)にそれぞれ固定されている。
【0030】
プーリ(3)は、これにかけられた図示しないベルトにより、前から見て時計方向に回転させられる。プーリ(3)の回転は、コイルばね(7)を介して軸体(1)に伝達され、軸体(1)も同方向に回転する。回転中、コイルばね(7)により、回転変動が吸収され、軸受(5)(6)により、軸体(1)とプーリ(3)の相互に回転が許容される。図2および図3に、軸体(1)およびプーリ(3)の回転方向を矢印Rで示している。
【0031】
ばね(7)の後端部に、径方向内側に曲げられた第1フック部(7a)が形成されている。第1フック部(7a)の先端面(7a1)は平坦面、内向きの面(内向面)(7a2)および外向きの面(外向面)(7a3)は略円弧状の曲面となっている。ばね(7)の前端部に、径方向外側に曲げられた第2フック部(7b)が形成されている。第2フック部(7b)の先端面(7b1)は平坦面、内向きの面(内向面)(7b2)および外向きの面(外向面)(7b3)は略円弧状の曲面となっている。
【0032】
軸体(1)の大径部(1b)の外周に、ばね(7)の第1フック部(7a)がはまるばね保持用第1凹部(10)が形成されている。第1凹部(10)の底壁(10a)および回転方向前側の端壁(前端壁)(10b)は平坦面、回転方向後側の端壁(後端壁)(10c)はばね(7)の第1フック部(7a)の内向面(7a2)と同様の曲面となっている。第1フック部(7a)が第1凹部(10)にはめられた状態で、内向面(7a2)が第1凹部(10)の後端壁(10c)に密接し、第1凹部(10)の底壁(10a)と第1フック部(7a)の先端面(7a1)の間、および第1凹部(10)の前端壁(10b)と第1フック部(7a)の外向面(7a3)の間に、それぞれ、横断面略三角形状の隙間ができている。プーリ(3)のフランジ部(3a)の前端面とばね(7)の後端との間に、ワッシャ(11)と第1フック部固定用ブシュ(12)が後から順にはめられている。ブシュ(12)は、円環状の後壁部(12a)の外周縁に前側にのびた円筒部(12b)が一体に形成されたものである。後壁部(12a)は、ワッシャ(11)とばね(7)との間に挟まれている。円筒部(12b)は、プーリ(3)の内周とばね(7)の外周との間に挟まれ、これにより、第1フック部(7a)が第1凹部(10)内に固定されている。ブシュ(12)は、たとえば、リン青銅製である。
【0033】
プーリ(3)の前端部内周に、ばね(7)の第2フック部(7b)がはまるばね保持用第2凹部(13)が形成されている。この例では、第2凹部(13)は、プーリ(3)の外周まで達している。第2凹部(13)の回転方向前側の端壁(前端壁)(13a)は第2フック部(7b)の外向面(7b3)と同様の曲面、回転方向後側の端壁(後端壁)(13b)は平坦面となっている。第2フック部(7b)が第2凹部(13)にはめられた状態で、第2フック部(7b)の内向面(7b2)が第2凹部(13)の後端壁(13b)の径方向内側の部分に密接している。ばね(7)の前端部は、プーリ(3)の前部内周とプーリカバー(4)の内側円筒部(4c)前端側の径の大きい部分の内周との間に挟まれ、これにより、第2フック部(7b)が第2凹部(13)内に固定される。この例では、プーリカバー(4)の内側円筒部(4c)が第2フック部固定用円筒部材を構成している。
【0034】
ブシュ(12)の円筒部(12b)の前後幅は、ばね(7)を構成するばね材の前後幅以下であればよいが、この例では、ばね材の前後幅より小さい。ブシュ(12)の円筒部(12b)の内側にあるばね材の外径はプーリ(3)の内径より円筒部(12b)の厚さ分だけ小さく、これより前側のばね材の外径はそれより大きい。このようにすることにより、ばね(7)の外径をできるだけ大きくして、剛性および伝達トルクを大きくすることができる。ばね材は螺旋状をなすので、ばね材の後端部のうち、ブシュ円筒部(12b)の内側にある部分はばね材の1周分より小さい。ばね(7)の形状・寸法が一定であれば、ブシュ円筒部(12b)の前後幅を小さくすると、ブシュ円筒部(12b)の内側にあるばね材の部分が小さくなるが、ブシュ円筒部(12b)の強度は低下するので、これらを考慮してブシュ円筒部(12b)の寸法が決められる。
【0035】
ブシュ(12)は、潤滑性とある程度の強度がある材料であればよく、リン青銅以外の材料を使用したもの、たとえば、鋼製のブシュに潤滑剤などの潤滑手段を付加したものなどであってもよい。
【0036】
図5および図6は、第2実施形態を示している。
【0037】
第2実施形態のプーリユニットの構成は、ブシュ(15)の部分を除いて、第1実施形態ものと同じであり、同じ部分には同一の符号を付している。
【0038】
ブシュ(15)は、円弧状をなす。ブシュ(15)は、円弧状の後壁部(15a)外周縁に円筒部(15b)が一体に形成され、さらに一端部、この例では回転方向前端部に、径方向内側に突出した突起部(15c)が一体に形成されたものである。突起部(15c)の先端面(15c1)は平坦面、径方向内向きの面(内向面)(15c2)はコイルばね(7)の第1フック部(7a)の外向面(7a3)と同様の曲面となっている。ブシュ(15)は、たとえば、合成樹脂製である。
【0039】
突起部(15c)が、軸体(1)の第1凹部(10)にはめられたコイルばね(7)の第1フック部(7a)の外向面(7a3)とプーリ(3)の内周面の間に挟まり、突起部(15c)の内向面(15c2)が第1フック部(7a)の外向面(7a3)に沿わされて重なり合うとともに、先端面(15c1)が第1凹部(10)の前端壁(10b)に密着して、突起部(15c)の先端が第1凹部(10)の前端壁(10b)と第1フック部(7a)先端面(7a1)の間の隙間にはまった状態で、第1凹部(10)に固定され、これにより、第1フック部(7a)が第1凹部(10)に固定される。
【0040】
このように、ブシュ(15)の突起部(15c)が、ばね(7)の第1フック部(7a)の外向面(7a3)とプーリ(3)の内周面の間に挟まれて、軸体(1)の第1凹部(10)に固定されていることにより、プーリ(3)と軸体(1)が相互に回転しても、ブシュ(15)は軸体(1)およびばね(7)と一体に回転し、常に、ばね(7)の第1フック部(7a)を第1凹部(10)に固定していることになる。
【0041】
ブシュの円弧の大きさは、好ましくは、90度以上、180度以下である。
【0042】
この場合、ブシュ(15)が円弧状であるから、ブシュ円筒部(15b)の内側にあるばね線材の部分が小さくなる。このため、ブシュ円筒部(15b)の前後幅を大きくしても、ばね線材の外径が大きい部分を多くして、ばね(7)の剛性および伝達トルクを大きくすることができる。また、ばね線材がブシュ(15)によって全周で拘束されることがなく、ブシュ円筒部(15b)の前後幅を大きくできることから、ブシュ(15)に作用する面圧を小さくすることができ、ブシュ(15)を合成樹脂で構成することができる。
【0043】
プーリユニットの全体構成および各部の構成は、上記実施形態のものに限らず、適宜変更可能である。
【0044】
たとえば、上記実施形態では、プーリ(3)は1つの部品からなるものであるが、2つ以上の部品からなるものでもよい。他の構成要素についても、同様である。
【符号の説明】
【0045】
(1) 軸体
(3) プーリ
(4) プーリカバー
(4c) 内側円筒部
(5)(6) 軸受
(7) ねじりコイルばね
(7a) 第1フック部
(7b) 第2フック部
(12) 第1フック部固定用ブシュ
(10) ばね保持用第1凹部
(13) ばね保持用第2凹部
(15) 第1フック部固定用ブシュ
(15c) 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6