特許第5799697号(P5799697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799697
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】コンタクト部材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/24 20060101AFI20151008BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
   H01R13/24
   H01R43/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-199815(P2011-199815)
(22)【出願日】2011年9月13日
(65)【公開番号】特開2013-62144(P2013-62144A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(72)【発明者】
【氏名】成田 憲司
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−324029(JP,A)
【文献】 実公昭58−46543(JP,Y2)
【文献】 特開昭58−023182(JP,A)
【文献】 特開昭51−062377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/24
H01R 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材であって、
前記一対の側壁部の上壁部には、前記先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる挿入用スライド面が設けられていることを特徴とするコンタクト部材。
【請求項2】
前記一対の係止片には、前記先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成されている請求項1記載のコンタクト部材。
【請求項3】
実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材であって、
前記一対の係止片には、前記先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成されていることを特徴とするコンタクト部材。
【請求項4】
前記一対の側壁部の上壁部には、前記先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる挿入用スライド面が設けられている請求項3記載のコンタクト部材。
【請求項5】
前記帯状部の先端部が、前記一対の側壁部への圧入方向に沿って曲げられている請求項2から4のいずれかの項に記載のコンタクト部材。
【請求項6】
実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材の製造方法であって、
前記帯状部および前記側壁部とを板材から一体的に形成する工程と、
前記側壁部の上壁部を、前記側壁部同士が離れる方向へ広がるように曲げて傾斜させて挿入用スライド面を形成する工程と、
前記一対の側壁部を前記帯状部の基端部に対して立設すると共に、前記帯状部を折り返し曲げて前記ばね部を形成する工程と、
前記帯状部の先端部の側部から突設された係止片を前記一対の側壁部の間に圧入して、前記側壁部に設けられた穴に前記係止片を係止させる工程とを含み、
前記帯状部および前記側壁部に対するめっき処理を、前記側壁部を立設した後に行うことを特徴とするコンタクト部材の製造方法。
【請求項7】
実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材の製造方法であって、
前記帯状部および前記側壁部とを板材から一体的に形成する工程と、
前記一対の側壁部を前記帯状部の基端部に対して立設すると共に、前記帯状部を折り返し曲げて前記ばね部を形成する工程と、
前記帯状部の先端部の側部から突設され、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成された係止片を前記一対の側壁部の間に圧入して、前記側壁部に設けられた穴に前記係止片を係止させる工程とを含み、
前記帯状部および前記側壁部に対するめっき処理を、前記側壁部を立設した後に行うことを特徴とするコンタクト部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、この基端部と先端部との間で帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する係止片が先端部の側部に突設されたコンタクト部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンタクト部材として、例えば、プリント基板などの接続基体に実装され、筐体やシールド板、電池の負極などの被接触体に接触させて短絡・導通を図りグランド端子として機能するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1に記載の「電気接続用端子及びこれを用いたコネクタ」は、端子の一端側に幅方向に突出する突起を設けるとともに、他端側には突起の側方まで延びる側壁部を設け、側壁部には、突起を係合し、上下方向及び前後方向への突起の移動をそれぞれ変位量に規制する係合孔を形成したものである。
【0003】
また、特許文献2に記載の「アースターミナル」は、底面がプリント回路基板に取付けられる取付部を形成するベース部と、ベース部の対向する両辺から夫々上方へ延設され、中間部には係止孔が穿設されるストッパ受け部と、ベース部の他の一辺からベース部上面と対向する側に延設され、湾曲部から弾性変形可能な接触部と、接触部の対向する両辺からベース部側に夫々延設され、先端部はストッパ受け部の係止孔と係止される係止部を形成し、係止孔との係止によりベース部側への移動が規制されるストッパとから成るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−324029号公報
【特許文献2】特許3851526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、従来のコンタクト部材の製造方法について、図7に基づいて説明する。まず、弾性変形可能な導電性の金属板を略T字状に型抜きした後にめっき処理する(図7(A)参照)。次に、帯状部110の基端部111と先端部112との間で、帯状部110を折り返してばね部113を形成する(図7(B)参照)。そして、側壁部120(ストッパ受け部)を立設したときの穴121(係合孔・係止孔)の位置までばね部113を押圧して係止片114(突起・係止部)を押し下げた状態で、一対の側壁部120をプレス加工により折り曲げて立設させ、穴121に係止片114を係止させる(図7(C)参照)。
【0006】
しかし、このように製造される従来のコンタクト部材では、めっき処理した後に、側壁部をプレス加工により折り曲げ立設させているので、帯状部の基端部と側壁部との折り曲げ部分に過大な応力がかかることでめっき層にクラックが入ったり、剥離したりすることがある。
【0007】
めっき層にクラックが入ったり剥離したりすると、露出した部分から錆が発生するなどして腐食の原因となり、信頼性の低いものとなってしまう。
【0008】
そこで本発明は、めっき層にクラックや剥離が発生することを防止することで、高い信頼性を確保することが可能なコンタクト部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のコンタクト部材は、実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材であって、前記一対の側壁部の上壁部には、前記先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる挿入用スライド面が設けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明のコンタクト部材によれば、帯状部の先端部を一対の側壁部の間に押し込み、係止片を側壁部に摺動させながら側壁部の穴に係止させる際に、一対の側壁部の上壁部には、一対の側壁部の間隔を押し広げる挿入用スライド面が設けられているので、スムーズに係止片を穴まで移動させることができる。従って、めっき処理する前に側壁部を立設していても、係止片を穴に係止させることができるので、めっき処理された帯状部の基端部と側壁部との折り曲げ部分にストレスがかかることがない。従って、帯状部の基端部と側壁部との折り曲げ部分でめっき層が剥がれることを防止することができる。
【0011】
また、本発明のコンタクト部材は、実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材であって、前記一対の係止片には、前記先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明のコンタクト部材によれば、帯状部の先端部を一対の側壁部の間に押し込み、係止片を側壁部に摺動させながら側壁部の穴に係止させる際に、一対の係止片には、一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成されているので、スムーズに係止片を穴まで移動させることができる。従って、めっき処理する前に側壁部を立設していても、係止片を穴に係止させることができるので、めっき処理された帯状部の基端部と側壁部との折り曲げ部分にストレスがかかることがない。従って、帯状部の基端部と側壁部との折り曲げ部分でめっき層が剥がれることを防止することができる。
【0013】
前記帯状部の先端部は、前記一対の側壁部への圧入方向に沿って曲げられているのが望ましい。先端部が圧入方向に沿って曲げられていると、先端部が前記一対の側壁部に圧入される際に、先細部が、圧入方向における先細部の前部から後部にかけて一対の側壁部の間に少しずつ挿入され、押し広げるので、先端部を無理なく圧入して側壁部の穴に係止片を係止することができる。
【0014】
本発明のコンタクト部材の製造方法は、実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材の製造方法であって、
前記帯状部および前記側壁部とを板材から一体的に形成する工程と、前記側壁部の上壁部を、前記側壁部同士が離れる方向へ広がるように曲げて傾斜させて挿入用スライド面を形成する工程と、前記一対の側壁部を前記帯状部の基端部に対して立設すると共に、前記帯状部を折り返し曲げて前記ばね部を形成する工程と、前記帯状部の先端部の側部から突設された係止片を前記一対の側壁部の間に圧入して、前記側壁部に設けられた穴に前記係止片を係止させる工程とを含み、前記帯状部および前記側壁部に対するめっき処理を、前記側壁部を立設した後に行うことを特徴とする。
また、本発明のコンタクト部材の製造方法は、実装基板に実装される帯状部の基端部の側部から一対の側壁部が立設され、前記基端部と先端部との間で前記帯状部が折り返されて被接続体と接触するためのばね部が形成され、前記側壁部に設けられたそれぞれの穴に係止する一対の係止片が前記先端部の側部に突設されたコンタクト部材の製造方法であって、前記帯状部および前記側壁部とを板材から一体的に形成する工程と、前記一対の側壁部を前記帯状部の基端部に対して立設すると共に、前記帯状部を折り返し曲げて前記ばね部を形成する工程と、前記帯状部の先端部の側部から突設され、前記一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成された係止片を前記一対の側壁部の間に圧入して、前記側壁部に設けられた穴に前記係止片を係止させる工程とを含み、前記帯状部および前記側壁部に対するめっき処理を、前記側壁部を立設した後に行うことを特徴とする。
【0015】
本発明のコンタクト部材の製造方法によれば、めっき処理する前に側壁部を立設しておけば、めっき処理された帯状部の基端部と側壁部との折り曲げ部分にストレスがかかることがないので、めっき層が剥がれることを防止することができる。
このとき、帯状部の先端部を一対の側壁部の間に押し込み、係止片を側壁部に摺動させながら側壁部の穴に係止させる際に、一対の側壁部の上壁部に、一対の側壁部の間隔を押し広げる挿入用スライド面が設けられているので、スムーズに係止片を穴まで移動させることができる。
また、一対の係止片に、一対の側壁部の間隔を押し広げる先細部が形成されているので、スムーズに係止片を穴まで移動させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、一対の側壁部を立設した後に、帯状部の係止片を側壁部の穴に係止することで、帯状部と側壁部との折り曲げ部分のめっき層へのクラックや剥離の発生を防止することができる。従って、本発明は、高い信頼性を確保することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係るコンタクト部材を示す斜視図である。
図2図1に示すコンタクト部材の使用状態を示す図である。
図3図1に示すコンタクト部材の製造方法の各工程の一例を示すフローチャートである。
図4図3に示すコンタクト部材の製造方法を説明するための図である。
図5】(A)および(B)は、圧入部が側壁部の間に圧入される状態を説明するための図である。
図6】圧入部が側壁部の間に圧入される状態を説明するための図である。
図7】従来のコンタクト部材の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係るコンタクト部材について図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、コンタクト部材が実装される実装基板側を下、実装基板の実装面側から上方を上として説明する。
【0019】
図1に示すコンタクト部材10は、プリント基板などの接続基体に実装され、筐体やシールド板などの被接触体に接触させて短絡・導通を図りグランド端子として機能するものである。例えば、図2に示すようにコンタクト部材10を、実装基板Bに実装して筐体Cの内側面に接触させることで実装基板Bのグランドをフレームグランドに導通させることができる。
【0020】
図1に示すようにコンタクト部材10は、帯状部20と一対の側壁部30とが一体的に形成されている。帯状部20は、基端部がコンタクト部材10の底部21となり、実装基板Bに、例えばハンダ付けにより実装される。底部21には、側壁部30を立設するときの応力を緩和するくびれ部21aが設けられている。
【0021】
また、帯状部20には、底部21と帯状部20の先端部となる圧入部22との間で帯状部20が折り返されて被接続体と接触するためのばね部23が形成されている。本実施の形態のばね部23には、底部21から実装基板Bに沿って所定位置まで伸ばした後に、略U字状に折り返されて第1の折曲部23aが形成され、次に、側壁部30側へ伸ばしてから上方へ折り曲げられて第2の折曲部23bが形成され、更に、底部21へ向かって折り返されて第3の折曲部23cが形成される。
【0022】
帯状部20の先端部である圧入部22には、側部から突出させた一対の係止片24が設けられている。係止片24には、圧入方向の先端が円弧状をなす先細部24aが形成されている。圧入部22は、圧入方向に沿うように、ばね部23からわずかに曲げた第4の折曲部23dが形成されている。
【0023】
側壁部30は、帯状部20の底部21の両方の側部に一体的に設けられ、この底部21の両方の側部から平行となるように立設されている。側壁部30は外形が略矩形状に形成されている。この側壁部30の略中央には、矩形状の穴31が設けられており、圧入部22の先端に形成された係止部24を穴31の外方側より視認することができる。また、側壁部30の上壁部には、側壁部30同士が離れる方向へ広がる挿入用スライド面32が傾斜面として設けられており、筐体Cによりばね部23が押し込まれても筐体Cが挿入用スライド面32の先端に当接することで、ばね部23の過大変位を防止する構造となっている。
【0024】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るコンタクト部材10の製造方法について、図3から図6に基づいて説明する。
ステップS10にて、大判の弾性変形可能な導電性の金属板から略T字状に打ち抜き加工することで、コンタクト部材10を展開した状態の帯状部20および穴31が設けられた側壁部30を形成する(図4(A)参照)。
次に、ステップS20にて側壁部30の上壁部を曲げて傾斜させ、挿入用スライド面32を形成する(図4(B)参照)。次に、ステップS30にて、側壁部30を起立させ底部21から立設する(図4(C)参照)。
【0025】
次に、ステップS40にて、帯状部20のばね部23を、第1の折曲部23a、第2の折曲部23b、第3の折曲部23cを折り曲げることで形成すると共に、圧入部22とばね部23との間を曲げて第4の折曲部23dを形成する(図4(D)参照)。これらの折り曲げはプレス加工により行うことができる。
次に、ステップS50にて、帯状部20を折り曲げてばね部23を形成した後のコンタクト部材10にめっき処理を施す。最後に、ステップS60にて、ばね部23の第3の折曲部23cを押圧して圧入部22を一対の側壁部30へ圧入する(図4(E)参照)。
【0026】
このとき、図5(A)に示すように、ばね部23を押圧して圧入部22が側壁部30の挿入用スライド面32に至ると、一対の挿入用スライド面32は外側に広がる傾斜面に形成されているので、容易に圧入部22を側壁部30の間に位置させることができ、抵抗なく圧入部22を圧入し始めることができる。また、図6に示すように、圧入部22が圧入方向に沿って第4の折曲部23dにより曲げられているので、圧入部22が一対の側壁部30に圧入される際に、先細部24aが、圧入方向における先細部24aの前部から後部にかけて少しずつ一対の側壁部30の間に押し込まれ、先細部24aの円弧面により側壁部30を押し広げるので、圧入部22を無理なく一対の側壁部30の間に圧入し始めることができる。
【0027】
一対の側壁部30の間に圧入部22が挿入できれば、図5(B)に示すように、更にばね部23の第3の折曲部23cを押圧することで、更に側壁部30同士の間隔は広がることで圧入部22を奥側に押し込むことは容易である。そして、係止片24が側壁部30の壁部を通過して穴31に至り、一対の側壁部30が元の間隔に復帰することで、係止片24の後端を穴31に係止させることができる。これにより、コンタクト部材10のばね部23にプリロード(予圧)をかけることとなり、外力によるばね部23の変形を防止するだけでなく、ばね部23と筐体Cとの確実な接触を維持することが可能となる。
【0028】
このように、コンタクト部材10を製造する際に、側壁部30を立設していても容易に圧入部22を圧入して、係止片24を穴31に係止することができるので、側壁部30を立設してからめっき処理を行うことができる。そのため、帯状部20の基端部である底部21と側壁部30との折り曲げ部分に過大な応力がかかることがないので、折り曲げ部分のめっき層にクラックが入ったり、剥離したりすることを防止することができる。よって、コンタクト部材10への腐食の発生を防止することができるので、高い信頼性を確保することができる。
【0029】
本実施の形態では、ステップS50によるめっき工程を、ステップS40による折り曲げ工程の後に行っているが、底部21と側壁部30との折り曲げ部分のめっき層へのダメージを防止するという点では、ステップS30による側壁部立設工程の後であればよい。しかし、めっき処理した後に折り曲げ工程を行うと、プレス加工の際にばね部23または/および圧入部22にダメージを与えるおそれがあるため、めっき処理は帯状部20および側壁部30の全ての折り曲げが完了した後が望ましい。
【0030】
なお、本実施の形態では、側壁部30に挿入用スライド面32が設けられ、係止片24に先細部24aが設けられているが、先細部24aまたは挿入用スライド面32のいずれか一方でもよい。
また、本実施の形態では、側壁部30の挿入用スライド面32は外側に広がる断面が直線状の傾斜面であるが、円弧状の傾斜面であってもよい。
更にまた、本実施の形態では、ステップS20によるスライド面形成工程、ステップS30による側壁部立設工程、ステップS40による折り曲げ工程の順に行っているが、これらの工程は入れ替わってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、プリント基板のグランドや筐体、電池の負極に接触させてグランド端子として機能させるコンタクト部材に好適である。
【符号の説明】
【0032】
10 コンタクト部材
20 帯状部
21 底部
21a くびれ部
22 圧入部
23 ばね部
23a 第1の折曲部
23b 第2の折曲部
23c 第3の折曲部
23d 第4の折曲部
24 係止片
24a 先細部
30 側壁部
31 穴
32 挿入用スライド面
B 実装基板
C 筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7