(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御動作の基準となる基準信号を生成する基準信号生成部を備え、この基準信号に基づいて主記憶部に情報を書き込み、或いは当該主記憶部から情報を読み出す主記憶部制御手段と、通信回線網との通信制御を司り、当該通信回線網からの情報の送受信速度と前記主記憶部制御手段の前記基準信号に基づく処理速度との緩衝用として一時的に情報が格納される緩衝用記憶部を備えた通信回線網制御手段とを具備する制御装置を対象として、電力を供給する電力供給状態又は前記電力の供給を遮断する電力遮断状態の何れかに遷移させる遷移手段と、
前記通信回線網から情報を送受信する送受信速度、及び前記緩衝用記憶部の記憶容量に基づいて得られる、前記緩衝用記憶部の記憶量が限界となるまでの第1の時間と、前記電力遮断状態において前記緩衝用記憶部に記憶された情報を前記主記憶部制御手段を介して前記主記憶部へ記憶可能となるまでの第2の時間と、に基づいて、前記制御装置を構成し、かつ独立して電力供給又は電力遮断が可能な複数のハードウェアのそれぞれに対して、前記遷移手段により、電力を供給する電力供給状態に遷移させるのか、又は電力の供給を遮断する電力遮断状態に遷移させるのかを判別する判別手段と、
を有する電力供給制御装置。
前記判別手段が、第1の時間が第2の時間よりも長い場合は、前記遷移手段による電力遮断指示の際、前記基準信号生成部への電力供給を遮断し、第1の時間が第2の時間よりも短い場合は、前記遷移手段による電力遮断指示の際、前記基準信号生成部への電力供給を継続する基準信号生成部制御手段をさらに有する請求項1記載の電力供給制御装置。
基準信号を生成する基準信号生成部を備えこの基準信号に基づいて主記憶部への情報の読み書きを制御する主記憶部制御手段、及び前記主記憶部制御手段と通信回線網とのそれぞれの間で情報の送受信を制御すると共に当該情報を一時的に格納する緩衝用記憶部を具備した通信回線制御手段を備え、
複数の処理部が接続され、かつ当該複数の処理部に対して、相互に連携しあって処理を実行させるように管理すると共に、
前記通信回線網から情報を送受信する送受信速度及び前記緩衝用記憶部の記憶容量から得た前記緩衝用記憶部の記憶量が限界となるまでの第1の時間と、電力遮断状態からの立ち上がり時に前記緩衝用記憶部に記憶された情報を前記主記憶部へ記憶可能となるまでの第2の時間との比較結果に基づいて、電力遮断指示の際、前記基準信号生成部への電力供給を維持するか遮断するかが定められた管理制御装置。
前記請求項1〜請求項4の何れか1項記載の電力供給制御装置を備え、原稿画像から画像を読み取る画像読取部、画像情報に基づいて記録用紙に画像を形成する画像形成部、予め相互に定められた通信手順の下で画像を送信先へ送信するファクシミリ通信制御手段、移動体の一部である使用者との情報の受付報知を行うユーザーインターフェイス部、前記使用者を識別するための使用者識別装置の少なくとも1つを含んでおり、前記使用者からの指示に基づいて、相互に連携しあって画像処理を実行する画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施の形態]
(ネットワーク)
図1に示される如く、本実施の形態に係る画像処理装置10は、インターネット等のネットワーク通信回線網12に接続されている。
図1では、2台の画像処理装置10が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。
【0026】
また、このネットワーク通信回線網12には、情報端末機器としての複数のホストコンピュータ(「PC」(パーソナルコンピュータ))14が接続されている。
図1では、2台のホストコンピュータ14が接続されているが、この数は限定されるものではなく、1台でもよいし、3台以上であってもよい。また、情報端末機器としては、ホストコンピュータ14に限定されるものではなく、さらには有線接続である必要もない。すなわち、無線によって情報を送受信する通信回線網であってもよい。
【0027】
図1に示される如く、画像処理装置10は、ホストコンピュータ14から当該画像処理装置10に対して遠隔で、例えば画像データを転送して画像形成(プリント)処理が指示される場合、或いは使用者(ユーザー)が画像処理装置10の前に立ち、各種操作によって、例えば、複写(コピー)、スキャン(画像読取)、ファクシミリ送受信等の処理が指示される場合がある。
【0028】
(画像処理装置)
図2には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。
【0029】
画像処理装置10は、記録用紙に画像を形成する画像形成部16と、原稿画像を読み取る画像読取部18と、ファクシミリ通信制御回路20を備えている。画像処理装置10は、メインコントローラ22を備えており、画像形成部16、画像読取部18、ファクシミリ通信制御回路20を制御して、画像読取部18で読み取った原稿画像の画像データを一時的に記憶したり、読み取った画像データを画像形成部16又はファクシミリ通信制御回路20へ送出したりする。
【0030】
メインコントローラ22にはインターネット等のネットワーク通信回線網12が接続され、ファクシミリ通信制御回路20には電話回線網24が接続されている。メインコントローラ22は、例えば、ネットワーク通信回線網12を介してホストコンピュータ14(
図1参照)と接続され、画像データを受信したり、ファクシミリ通信制御回路20を介して電話回線網24を用いてファクシミリ受信及びファクシミリ送信を実行する役目を有している。
【0031】
画像読取部18は、原稿を位置決めする原稿台と、原稿台に置かれた原稿の画像を走査して光を照射する走査駆動系と、走査駆動系の走査により反射又は透過する光を受光して電気信号に変換するCCD等の光電変換素子と、が設けられている。
【0032】
画像形成部16は、感光体を備え、感光体の周囲には、感光体を一様に帯電する帯電装置と、画像データに基づいて光ビームを走査する走査露光部と、前記走査露光部によって走査露光されることで形成された静電潜像を現像する画像現像部と、現像化された感光体上の画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写後の感光体の表面をクリーニングするクリーニング部と、が設けられている。また、記録用紙の搬送経路上には、転写後の記録用紙上の画像を定着する定着部を備えている。
【0033】
画像処理装置10には、入力電源線26の先端にコンセント28が取り付けられており、壁面Wまで配線された商用電源30の配線プレート32に、当該コンセント28を差し込むことで、画像処理装置10は、商用電源30から、電力の供給を受けるようになっている。
【0034】
(画像処理装置の制御系ハードウェア)
図3は、画像処理装置10の制御系であるメインコントローラ22のハードウェアの概略図である。
【0035】
メインコントローラ22は、通信用I/Fとして機能する素子(ICチップ等)であるPHY(physical layer)50を備えている。PHY50は、前述したネットワーク通信回線網12における画像処理装置10への引き込み線として適用されるケーブル(100BASE−Tや1000BASE−T等)52をメインコントローラ22に接続し、受信する論理信号を実際の電気的な信号に変換する役目を有している。
【0036】
なお、PHY50には、上記のようにネットワーク通信回線網12と、物理的なケーブル52を介して直接接続される場合の他、無線機器を介在する場合もあり得る。
【0037】
PHY50は、メインコントローラ22のCPU54に接続されている。CPU54は、CPUコア制御部56、ネット制御部58、メモリ制御部60を備えており、それぞれ、相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU54のメモリ制御部60には、メモリバス62Aを介してシステムメモリ64が接続され、CPUコア制御部56には、ROMバス62Bを介してROM66が接続されている。なお、CPUコア制御部56には、画像処理LSI68が接続されている。
【0039】
画像処理LSI68は、画像処理装置10に接続された処理部(デバイス)を制御する主体であり、前述した画像形成部16、画像読取部18、ファクシミリ通信制御回路20、UIタッチパネル34、並びにハードディスクドライブ(HDD)70が接続されている。UIタッチパネル34には、節電制御ボタン36が設けられている。節電制御ボタン36の操作信号は、前記ROMバス62Bに接続された省エネ制御部72に接続されている。省エネ制御部72は、常に電力の供給を受ける素子の1つである。
【0040】
なお、デバイスは上記に限らず、例えばICカードリーダが接続される場合がある。
【0041】
省エネ制御部72では、画像処理装置10が必要最小限の電力消費となるように、部分的にその機能を停止させる場合がある。例えば、メインコントローラ22の大部分を含め、電力の供給を停止させる場合がある。これらを総称して「スリープモード(節電モード)」という場合がある。
【0042】
前記節電制御ボタン36は、ユーザーが操作可能であり、画像処理装置10が通常の電力供給状態のときに操作されると、省エネ制御部72では、自身を含め、一部の素子やデバイスを除き電力供給を遮断するスリープモードへ移行させる。
【0043】
また、節電制御ボタン36は、画像処理装置10がスリープモードのときに操作されると、省エネ制御部36では、スリープモード中のデバイスを通常に電力が供給する。
【0044】
スリープモードは、例えば、画像処理が終了した時点でシステムタイマを起動させることでも移行可能である。すなわち、前記システムタイマが起動してから所定時間経過することで電力供給を停止させている。なお、所定時間が経過するまでに、何らかの操作(ハードキーの操作等)があれば、当然、スリープモードへのタイマカウントは中止され、次の画像処理終了時からシステムタイマが起動される。
【0045】
なお、スリープモードへの移行、スリープモードからの復帰の契機としては、上記節電制御ボタン36の操作や、システムタイマに限らず、人感センサ38を設置してもよい。人感センサ38としては、例えば、相対的に検出領域が異なる焦電型センサ38Aと、反射型センサ38Bを用いる場合がある。
【0046】
前記省エネ制御部72に、焦電型センサ38A、反射型センサ38Bを接続することで、使用者が節電制御ボタン36を操作する前に焦電型センサ38A、反射型センサ38Bで検知して早期にスリープモードから復帰させて、使用者が早く使えるようにした。なお、本実施の形態では、節電制御ボタン36を必須とし、人感センサ38と併用してもよいとしたが、人感センサ38のみで全ての監視を行うことも可能である。
【0047】
例えば、焦電型センサ38Aの検出領域(
図1及び
図2の領域F)は、反射型センサ38Bの検出領域(
図1の領域N参照)よりも広く設定されており、スリープモード中、焦電型センサ38Aには常時電力を供給しておき、焦電型センサ38Aによって移動体を検出した時点で、反射型センサ38Bに電力を供給し、反射型センサ38Bで使用者を検出したら、画像処理装置10の一部又は全部のデバイスを対象として、スリープモードから復帰させる。また、反射型センサ38Bに電力供給がなされてから予め定めた時間が経過しても、移動体の検出がない場合は、当該反射型センサ38Bへの電力供給を遮断する。
【0048】
CPUコア制御部56は、主たるCPUの機能を実行する役目を有し、予め定められたプログラムに従って、ネット制御部58、メモリ制御部60の動作を制御すると共に、画像処理LSIを制御して、画像処理装置10に接続されているデバイス(画像形成部16、画像読取部18、ファクシミリ通信制御回路20、並びにUIタッチパネル34、HDD70等)の動作を制御する。
【0049】
ネット制御部58は、受信時の通信速度差を緩衝するための受信時緩衝用記憶装置(RX_FIFO)74と、送信時の通信速度差を緩衝するための送信時緩衝用記憶装置(TX_FIFO)76とを備えている。なお、受信時緩衝用記憶装置74を受信時バッファ74、送信時緩衝用記憶装置76を送信時バッファ76という場合がある。
【0050】
ネット制御部58は、前記PHY50と接続されており、ネットワーク回線網12に接続されているホストコンピュータ14との間で、データ(画像データ等)を送受信する役目を有している。
【0051】
また、メモリ制御部60は、PLL回路部78を備えると共に、システムメモリ64に接続されている。このメモリ制御部60では、前記ネット制御部58において受信したデータを受け付けてシステムメモリ64に格納したり、システムメモリ64に格納されたデータをネット制御部58へ送り出している。なお、メモリ制御部60は、ネット制御部58のみならず、HDD70や、画像処理LSIとの間でデータの送受信を行う場合もある。
【0052】
ここで特に、メモリ制御部78によるシステムメモリ64とのデータの送受信と、前記ネット制御部58におけるネットワーク回線網12とのデータの送受信との間には、処理速度の差がある。
【0053】
そこで、ネット制御部58では、ホストコンピュータ14(ネットワーク回線網12)から受信するデータ(画像データ等)を、PHY50を介して受信時バッファ74に蓄積しながら、先入れ先出しの原則(FIFO)に基づき、メモリ制御部60へ送出する。また、メモリ制御部60から受けたデータ(画像データ等)は送信時バッファ76に蓄積しながら、先入れ先出しの原則(FIFO)に基づき、前記PHY50を介してホストコンピュータ14(ネットワーク回線網12)へ送信する。
【0054】
ところで、
図3では、メインコントローラ22を中心として、画像処理装置の制御系ハードウェアをブロック化して説明したが、このブロック化は、機能別であると共に、スリープモードにおいて、独立して電力の供給又は遮断が可能であるブロックとしている。
【0055】
すなわち、
図4の斜線で示したように、スリープモードにおいて、電力供給が遮断される対象となるのは、CPUコア56、メモリ制御部60のPLL回路部78、ROM66、画像処理LSI68、並びに各デバイス(画像形成部16、画像読取部18、並びにUIタッチパネル34、HDD70等)である。
【0056】
なお、PLL回路部78は、電力遮断の定義として、動作停止(発振停止)を含むものとする。すなわち、電力遮断の指示のとき、電力供給は継続されるが、電力消費しない状態である動作停止(発振停止)とする。この発振停止状態の方が、特に、tPLL=100usecの場合、電力遮断からの動作よりも起動時間が早くなる。
【0057】
ここで、上記した以外のブロック(
図4における斜線のないブロック)は、スリープモード中であっても、電力供給が継続される。例えば、ネット制御部58では、遠隔(ホストコンピュータ14)からのプリント指示等に迅速に対応する。また、省エネ制御部72では、前述した節電制御ボタン36の操作状態、並びに人感センサ38の移動体検出状態を監視する。
【0058】
ここで、ネット制御部58においてホストコンピュータ14から通信回線網12を介してデータを受信する場合、一旦、システムメモリ64に格納する必要がある。しかしながら、スリープモード中は、メモリ制御部60のPLL回路部78が電力の遮断状態であるため、このPLL回路部78が機能復帰するまでの時間はシステムメモリ64への格納ができない。
【0059】
また、システムメモリ64においても、セルフリフレッシュ機能がある。すなわち、システムメモリ64は、スリープモード中においては、PLL回路部78が機能復帰した後にメモリ制御部60から出力されるセルフリフレッシュ解除指示信号を受けることで、動作可能となる。なお、セルフリフレッシュ解除指示信号を受けてからの立ち上がり時間が必要であるが、システムメモリ64として適用される種類(DDR2やDDR3のSDRAM等)によって、当該立ち上がり時間は異なる。
【0060】
そこで、本実施の形態では、メインコントローラ22がスリープモード中にホストコノピュータ14からデータを受信することを想定し、既設のシステム構成から必然的に決まる、以下に示す条件情報1〜4に基づいて、スリープモード中、或いはスリープモードからの復帰におけるメインコントローラ22の制御体制を確立した。
【0061】
(条件情報1) 受信時バッファ74の記憶容量RX(KB)
(条件情報2) PHY50に接続されるケーブル52等によって決まる通信回線のリンクスピードLS(Mbit)
(条件情報3) PLL回路部78が、システムメモリ64へアクセスすることが必要となってから機能回復するまでの時間(立ち上がり時間)tPLL(μsec)
(条件情報4) システムメモリ64がセルフリフレッシュ機能の解除指示を受けてから機能回復するまでの時間(立ち上がり時間)tSR(μsec)
ここで、前記条件情報1及び条件情報2が決まると、受信時バッファ74が満容量となるまでの時間tFULL(μsec)が演算可能となる((1)式参照)。
【0062】
tFULL(μsec)={RX(KB)×8}/LS(Mbit)・・・(1)
また、システムメモリ64が機能を回復までに必要な時間tSM(μsec)は、前記条件情報3と条件情報4から得ることが可能となる((2)式参照)。
【0063】
tSM(μsec)=tPLL(μsec)+tSR(μsec)・・・(2)
特に、前記条件情報2は、他の情報条件1、情報条件3、情報条件4に比べて、画像処理装置10の設置場所の通信回線網12の環境や設備によって変動し得るものである。
【0064】
本実施の形態では、前記(1)式で演算される時間tFULLよりも、前記(2)式で演算される時間tSM(μsec)が短くなるようなスリープモードの体制を整備するようにした((3)式参照)。
【0065】
tFULL(μsec)>tSM(μsec)・・・(3)
ここで、第1の実施の形態では、省エネ性と利便性との両立の観点から、必要以上に、受信時バッファ74の記憶容量を増大しない。受信時バッファ74の記憶容量の増大は、物理的に構造が大きくなる(記憶セルが増える)原因にもなる。
【0066】
本実施の形態では、前記(3)式の条件を満たすか否かを判別することで、スリープモードにおける省エネ性の犠牲を必要最小限に抑えることに特徴がある。
【0067】
具体的には、スリープモード中におけるPLL回路部78の電力を供給するか否かを設定可能とする。
【0068】
PLL回路部78はメインコントローラ22を構成する素子の中で、電力消費量が大きいため、省エネ性を高めるためには、スリープモード中は電力遮断状態とすることが好ましい(
図4参照)。しかしながら、PLL回路部78が、システムメモリ64へアクセスすることが必要となってから機能回復するまでの時間(立ち上がり時間)tPLLが、システムメモリ64が機能を回復までに必要な時間tSMに多大な影響を及ぼす。
【0069】
このため、受信時バッファ74が満容量となるまでの時間tFULLとの比較において、PLL回路部78へ電力を供給するか否かを判別する。当該判定の結果において、PLL回路部78へ電力を供給することとなった場合が
図5の状態である。
【0070】
以下、第1の実施の形態の作用を説明する。
【0071】
(画像処理装置10(デバイス)の電力供給制御のモード遷移)
画像処理装置10は、処理がなされていないと動作状態は、スリープモードとなるが、第1の実施の形態では、少なくとも省エネ制御部72には電力が供給されている。
【0072】
ここで、立ち上げ契機があると、動作状態はウォームアップモードへ遷移する。
【0073】
前記立ち上げトリガとは、主として、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。なお、操作者による節電制御ボタン36の操作も立ち上げトリガとしてもよい。
【0074】
ウォームアップモードは画像処理装置10を迅速に処理可能状態にもっていくため、各モードの内最大の電力消費量となるが、例えば、定着部におけるヒータとしてIHヒータを利用することによって、ハロゲンランプを用いたヒータよりもウォームアップモード時間は、比較的短い時間とされている。
【0075】
ウォームアップモードによる暖機運転が終了すると、画像処理装置10はスタンバイモードに遷移するようになっている。
【0076】
スタンバイモードは、文字通り「事に備えて準備が完了している」モードであり、画像処理装置10においては、画像処理の動作が即実行できる状態となっている。
【0077】
このため、キー入力としてジョブ実行操作があると、画像処理装置10の動作状態は、ランニングモードに遷移し、指示されたジョブに基づく画像処理が実行されるようになっている。
【0078】
画像処理が終了すると(連続した複数のジョブが待機している場合は、その連続したジョブの全てが終了したとき)、待機トリガによって画像処理装置10の動作状態はスタンバイモードへ遷移する。なお、画像処理後、システムタイマによる計時を開始し、予め定めた時間経過した後に待機トリガを出力し、スタンバイモードへ遷移するようにしてもよい。
【0079】
このスタンバイモード中にジョブ実行指示があれば、再度ランニングモードへ遷移し、立ち下げトリガの検出がある、或いは予め定めた時間が経過したとき、スリープモードへ遷移する。
【0080】
なお、立ち下げトリガとは、第2の人感センサ30による検出結果に基づく信号や情報等がある。なお、システムタイマを併用してもよい。
【0081】
また、画像処理装置10における実際の動作におけるモード状態の遷移が、全てこのタイミングチャートのとおり時系列で進行するものではない。例えば、ウォームアップモード後のスタンバイモードで処理が中止され、スリープモードへ移行する場合もある。
【0082】
(スリープモード移行時及び復帰時の制御)
画像処理装置10は、前述したように処理すべきジョブがない状態が、予め定められた時間経過すると、スリープモードに移行する。スリープモードでは、画像処理装置10のメインコントローラ22とファクシミリ通信制御部20以外のデバイス(画像形成部16、画像読取部18、並びにUIタッチパネル34、HDD70等)への電力供給を遮断する。
【0083】
メインコントローラ22は、スリープモードでは使用しないCPUコア56、ROM66は電力供給を遮断するが、ネット制御部58は、通信回線網12からデータを受信する体制を整えておく必要があるため、スリープモードでも電力が供給される。
【0084】
ここで、メモリ制御部60は、基本的には、スリープモードでは電力供給が行われる。しかし、前述した条件情報1〜4に基づく、(3)式の状態に応じて、最も電力を消費するPLL回路部78をスリープモードで電力供給状態とするか、遮断するかを判別している。
【0085】
(第1の実施の形態「PLL回路部70の電力供給可否判定」の実施例)
第1の実施の形態では、スリープモードに移行する際、条件情報1である受信時バッファ74の記憶容量RXと、条件情報2であるPHY50のレジスタから通信回線網12(ケーブル52を含む)のリンクスピードLSとに基づいて、メモリ制御部60のPLL回路部78への電力を供給するか否かを判別する。
【0086】
この判別の結果、(3)式が成立した場合は、
図4に示される如く、スリープモードに移行する際、PLL回路部78への電力も遮断する。一方、(3)式が成立しなかった場合は、
図5に示される如く、スリープモードに移行する際、PLL回路部78への電力を維持する。
【0087】
図4に示される如く、受信時バッファ74の記憶容量RXが2KB、リンクスピードLSが100Base−T(100Mbit/s)の場合、(1)式の解tFULL(μsec)は、以下の結果となる。
【0088】
tFULL(μsec)={2K×8}/100=163.84μsec
一方、条件情報3である時間tPLLが100μsecであり、条件情報4である時間tSRが1.5μsecであった場合、(2)式の解tSMは、以下の結果となる。
【0089】
tSM(μsec)=100+1.5=101.5μsec
ここで、(3)式の判定をすると、
図6のタイミングチャートに示される如く、tFULL>tSMが成立することになり、スリープモード時にPLL回路部78の電力を遮断しても、当該スリープモード中の通信回線網12からのデータ受信があった場合、確実にシステムメモリ64へのデータ格納が可能となる。
【0090】
図5に示される如く、受信時バッファ74の記憶容量RXが2KB、リンクスピードLSが1000Base−T(1000Mbit/s)の場合、(1)式の解tFULL(μsec)は、以下の結果となる。
【0091】
tFULL(μsec)={2K×8}/1000=16.384μsec
一方、条件情報3である時間tPLLが100μsecであり、条件情報4である時間tSRが1.5μsecであった場合、(2)式の解tSMは、以下の結果となる。
【0092】
tSM(μsec)=100+1.5=101.5μsec
ここで、(3)式の判定をすると、
図6のタイミングチャートに示される如く、tFULL<tSMとなり、(3)式は不成立となる。
【0093】
そこで、スリープモード時にPLL回路部78の電力を遮断せず、常時電力供給状態としておく。
【0094】
第1の実施の形態によれば、メインコントローラ22は、クロック信号を生成するPLL回路部78を備えこのクロック信号に基づいてシステムメモリ64への情報の読み書きを制御するメモリ制御部60、及び前記メモリ制御部60と通信回線網12とのそれぞれの間で情報の送受信を制御すると共に当該情報を一時的に格納する受信時バッファ74を具備するネット制御部58を備えている。スリープモードのとき、通信回線網12から情報を受信する場合がある。
【0095】
そこで、受信時バッファ74の記憶量が限界となるまでの時間tFULLと、受信時バッファ74に記憶された情報をシステムメモリ64へ記憶可能となるまでの時間tSMと、に基づいて、スリープモードにおいて、PLL回路部78への電力供給を維持するか遮断するかを定めておくことで、受信が停滞するといった不具合が解消される。
【0096】
[第2の実施の形態]
以下、
図7〜
図9を用いて、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0097】
(「2個の受信時バッファ74A、74Bへのデータ受信制御」)
PLL回路部78はメインコントローラ22を構成する素子の中で、電力消費量が大きいため、省エネ性を高めるためには、スリープモード中は電力遮断状態とすることが好ましい(
図8、
図9参照)。しかしながら、PLL回路部78が、システムメモリ64へアクセスすることが必要となってから機能回復するまでの時間(立ち上がり時間)tPLLが、システムメモリ64が機能を回復までに必要な時間tSMに多大な影響を及ぼす。
【0098】
そこで、PLL回路部78の省エネ性を重視して、スリープモード中は、PLL回路部78への電力供給を必ず遮断すると共に、記憶容量の異なる複数の受信時バッファ74A、74Bを複数設置して、主としてPHY50に接続されるケーブル52等によって決まる通信回線のリンクスピードLSに基づいて、何れかの受信時バッファ74A又は74Bを選択する、或いは併用する。
【0099】
(第2の実施の形態の実施例)
第2の実施の形態では、スリープモードへ移行する際、メモリ制御部60のPLL回路部78は必ず、電力供給を遮断する、或いは発振を停止することに特徴がある。
【0100】
図7に示される如く、ネット制御部58に、2個の受信時バッファ74A、74Bを備える。
【0101】
受信時バッファ74Aは、記憶容量RXが2KBである。受信時バッファ74Bは、記憶容量RXが16KBである。これらは、独立して、電力の供給又は遮断が可能である。
【0102】
スリープモードに移行する際、条件情報1である受信時バッファ74Aの記憶容量RX(A)、条件情報2であるPHY50のレジスタから通信回線網12(ケーブル52を含む)のリンクスピードLSとに基づいて、(3)式の条件を満たすか否かを判別する。
【0103】
この判別の結果、(3)式が成立した場合は、
図8に示される如く、スリープモードに移行する際、受信時バッファ74Bへの電力供給を遮断しても、スリープモード中に通信回線網12からのデータの受信に影響を及ぼすことはない。また、(3)式が成立しない場合は、
図9に示される如く、スリープモードに移行する際、受信時バッファ74Bへの電力供給を維持する。このとき、受信時バッファ74Aへの電力供給を遮断する。なお、受信時バッファ74Aへの電力供給は継続してもよい。
【0104】
図8に示される如く、受信時バッファ74Aの記憶容量RX(A)が2KB、リンクスピードLSが100Base−T(100Mbit/s)の場合、(1)式の解tFULL(μsec)は、以下の結果となる。
【0105】
tFULL(μsec)={2K×8}/100=163.84μsec
一方、条件情報3である時間tPLLが100μsecであり、条件情報4である時間tSRが1.5μsecであった場合、(2)式の解tSMは、以下の結果となる。
【0106】
tSM(μsec)=100+1.5=101.5μsec
ここで、(3)式の判定をすると、
図6のタイミングチャートに示される如く、tFULL>tSMが成立することになり、受信時バッファ74Bは不要であるため、スリープモードの移行の際、この受信時バッファ74Bへの電力は遮断する。この場合、スリープモード中に通信回線網12からのデータ受信があった場合、PLL回路部78へ電力供給が遮断されていても、確実にシステムメモリ64へのデータ格納が可能となる。
【0107】
図9に示される如く、受信時バッファ74Aの記憶容量RX(A)が2KB、リンクスピードLSが1000Base−T(1000Mbit/s)の場合、(1)式の解tFULL(μsec)は、以下の結果となる。
【0108】
tFULL(μsec)={2K×8}/1000=16.384μsec
一方、条件情報3である時間tPLLが100μsecであり、条件情報4である時間tSRが1.5μsecであった場合、(2)式の解tSMは、以下の結果となる。
【0109】
tSM(μsec)=100+1.5=101.5μsec
ここで、(3)式の判定をすると、
図6のタイミングチャートに示される如く、tFULL<tSMとなり、(3)式は不成立となる。
【0110】
そこで、受信時バッファ74Bの記憶容量RX(B)を用いて、再度、時間tFULLを演算する。
【0111】
tFULL(μsec)={16K×8}/1000=131.10μsec
ここで、(3)式の判定をすると、tFULL>tSMが成立することになり、スリープモードの移行の際、この受信時バッファ74Bへ電力を供給する。このため、スリープモード中に通信回線網12からのデータ受信があった場合、PLL回路部78へ電力供給が遮断されていても、確実にシステムメモリ64へのデータ格納が可能となる。なお、受信時バッファ74Aへの電力供給を遮断してもよい。
[第3の実施の形態]
以下、
図10〜
図12を用いて、第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同一構成部分については、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0112】
(第3の実施の形態「送信時バッファ76受信用として利用する」)
PLL回路部78はメインコントローラ22を構成する素子の中で、電力消費量が大きいため、省エネ性を高めるためには、スリープモード中は電力遮断状態とすることが好ましい(
図11、
図12参照)。しかしながら、PLL回路部78が、システムメモリ64へアクセスすることが必要となってから機能回復するまでの時間(立ち上がり時間)tPLLが、システムメモリ64が機能を回復までに必要な時間tSMに多大な影響を及ぼす。
【0113】
そこで、PLL回路部78の省エネ性を重視して、スリープモード中は、PLL回路部78への電力供給を必ず遮断する、或いは発振を停止すると共に、送信時バッファ76を一時的に2個目の受信時緩衝用記憶装置として利用して、単一の受信時バッファ74による時間tFULLよりも長くする。
【0114】
(第3の実施の形態の実施例)
第3の実施の形態では、スリープモードへ移行する際、メモリ制御部60のPLL回路部78は必ず、電力供給を遮断する、或いは発振を停止することに特徴がある。
【0115】
図10に示される如く、ネット制御部58に設けられた受信時バッファ74と送信時バッファ76のそれぞれの上流側及び下流側に切替回路部80、82を設け、必要に応じて、送信時バッファ76を受信時緩衝用記憶装置として利用可能とする配線構造とする。
【0116】
受信時バッファ74は、記憶容量RXが2KBである。送信時バッファ76は、記憶容量TXが16KBである。これらは、独立して、電力の供給又は遮断が可能である。
【0117】
スリープモードに移行する際、条件情報1である受信時バッファ74の記憶容量RX、条件情報2であるPHY50のレジスタから通信回線網12(ケーブル52を含む)のリンクスピードLSとに基づいて、(3)式の条件を満たすか否かを判別する。
【0118】
この判別の結果、(3)式が成立した場合は、
図11に示される如く、スリープモードに移行する際、送信時バッファ76への電力供給を遮断しても、スリープモード中に通信回線網12からのデータの受信に影響を及ぼすことはない。また、(3)式が成立しない場合は、
図12に示される如く、スリープモードに移行する際、送信時バッファ76への電力供給を維持する。
【0119】
図11に示される如く、受信時バッファ74の記憶容量RXが2KB、リンクスピードLSが100Base−T(100Mbit/s)の場合、(1)式の解tFULL(μsec)は、以下の結果となる。
【0120】
tFULL(μsec)={2K×8}/100=163.84μsec
一方、条件情報3である時間tPLLが100μsecであり、条件情報4である時間tSRが1.5μsecであった場合、(2)式の解tSMは、以下の結果となる。
【0121】
tSM(μsec)=100+1.5=101.5μsec
ここで、(3)式の判定をすると、
図6のタイミングチャートに示される如く、tFULL>tSMが成立することになり、送信時バッファ76は不要であるため、スリープモードの移行の際、この送信時バッファ76への電力は遮断する。この場合、スリープモード中に通信回線網12からのデータ受信があった場合、PLL回路部78へ電力供給が遮断されていても、確実にシステムメモリ64へのデータ格納が可能となる。
【0122】
図12に示される如く、受信時バッファ74の記憶容量RX(A)が2KB、リンクスピードLSが1000Base−T(1000Mbit/s)の場合、(1)式の解tFULL(μsec)は、以下の結果となる。
【0123】
tFULL(μsec)={2K×8}/1000=16.384μsec
一方、条件情報3である時間tPLLが100μsecであり、条件情報4である時間tSRが1.5μsecであった場合、(2)式の解tSMは、以下の結果となる。
【0124】
tSM(μsec)=100+1.5=101.5μsec
ここで、(3)式の判定をすると、
図6のタイミングチャートに示される如く、tFULL<tSMとなり、(3)式は不成立となる。
【0125】
そこで、送信時バッファ76の記憶容量TXを用いて(記憶容量RXとして利用して)、再度、時間tFULLを演算する。
【0126】
tFULL(μsec)={16K×8}/1000=131.10μsec
ここで、(3)式の判定をすると、tFULL>tSMが成立することになり、スリープモードの移行の際、この送信時バッファ76へ電力を供給する。このため、スリープモード中に通信回線網12からのデータ受信があった場合、PLL回路部78へ電力供給が遮断されていても、確実にシステムメモリ64へのデータ格納が可能となる。なお、受信時バッファ74への電力供給を遮断してもよい。