特許第5799714号(P5799714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799714
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】靭皮繊維の製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01B 1/16 20060101AFI20151008BHJP
【FI】
   D01B1/16
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-213357(P2011-213357)
(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公開番号】特開2013-72160(P2013-72160A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(72)【発明者】
【氏名】八木 夕季
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】井沢 有希
【審査官】 山本 杏子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−220505(JP,A)
【文献】 特開昭56−073190(JP,A)
【文献】 特開2009−179887(JP,A)
【文献】 特開昭56−073192(JP,A)
【文献】 実開昭60−156198(JP,U)
【文献】 実開昭50−030003(JP,U)
【文献】 特開平10−005608(JP,A)
【文献】 特開2005−002722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01B 1/14 − 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靭皮植物の靭皮から靭皮繊維を得る靭皮繊維の製造方法であって、
前記靭皮植物の靭皮を予備解繊する工程と、
前記予備解繊された前記靭皮をレッティング処理する工程と、を備え、
前記予備解繊する工程は、固定部と該固定部の表面に沿う方向に移動可能な可動部とを備える予備解繊手段を用い、
前記予備解繊手段は、その内周壁が前記固定部をなす円筒状のドラムと、該ドラム内で軸芯回りに回転可能であり且つその先端側が前記可動部をなす回転羽根と、を備え、
前記回転羽根は、前記ドラムの軸芯から遠心方向に延びる板部と、該板部の先端側から前記回転羽根の回転方向と反対側に延びて前記可動部をなす先端板部と、を備え、前記板部及び前記先端板部のそれぞれは、前記ドラムの軸芯方向に沿って延びており、
前記予備解繊する工程は、前記回転羽根の回転により前記ドラムの内周壁と前記回転羽根の前記先端板部との間で前記ドラム内に投入された前記靭皮を擦り解す工程であることを特徴とする靭皮繊維の製造方法。
【請求項2】
前記ドラムの内周壁と前記回転羽根の前記先端板部との最短間隔は5〜30mmである請求項1記載の靭皮繊維の製造方法。
【請求項3】
前記回転羽根の回転方向の先端側には曲面部が形成されており、前記曲面部の曲率半径は2〜10mmである請求項1又は2記載の靭皮繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靭皮繊維の製造方法に関し、さらに詳しくは、レッティング処理前の予備解繊能力を高めて、レッティング期間を大幅に短縮するとともに使用水量を大幅に低減することができる靭皮繊維の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、ケナフ等の靭皮植物から得られる天然繊維は、環境保全の観点でその更なる活用が期待されている。従来、天然繊維の製造方法として、採取した靭皮植物の靭皮を、例えば、池、湖、川等に浸漬し、水中に含まれる微生物により、繊維を結合するペクチン等の結合物質を分解させる、所謂レッティング処理により繊維を抽出する方法が知られている。ここで、上記レッティング処理においてレッティング期間を短縮するとともに使用水量を低減することを目的として、レッティング処理前に靭皮植物の靭皮をローラプレスにより予備解繊する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−220505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1の技術では、ローラプレスを利用して靭皮植物の靭皮を予備解繊しているので、靭皮植物の靭皮は主にローラで押し潰されるだけであり、予備解繊能力は比較的低いものであった。そのため、上記レッティング処理では、例えば、そのレッティング期間は2週間以上の長期間を要しており、その使用水量は繊維重量の100倍以上の水量を要したり大量の汚染水が発生している。
【0005】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、レッティング処理前の予備解繊能力を高めて、レッティング期間を大幅に短縮するとともに使用水量を大幅に低減することができる靭皮繊維の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、靭皮植物の靭皮から靭皮繊維を得る靭皮繊維の製造方法であって、前記靭皮植物の靭皮を予備解繊する工程と、前記予備解繊された前記靭皮をレッティング処理する工程と、を備え、前記予備解繊する工程は、固定部と該固定部の表面に沿う方向に移動可能な可動部とを備える予備解繊手段を用い、前記予備解繊手段は、その内周壁が前記固定部をなす円筒状のドラムと、該ドラム内で軸芯回りに回転可能であり且つその先端側が前記可動部をなす回転羽根と、を備え、前記回転羽根は、前記ドラムの軸芯から遠心方向に延びる板部と、該板部の先端側から前記回転羽根の回転方向と反対側に延びて前記可動部をなす先端板部と、を備え、前記板部及び前記先端板部のそれぞれは、前記ドラムの軸芯方向に沿って延びており、前記予備解繊する工程は、前記回転羽根の回転により前記ドラムの内周壁と前記回転羽根の前記先端板部との間で前記ドラム内に投入された前記靭皮を擦り解す工程であることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載において、前記ドラムの内周壁と前記回転羽根の前記先端板部との最短間隔は5〜30mmであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載において、前記回転羽根の回転方向の先端側には曲面部が形成されており、前記曲面部の曲率半径は2〜10mmであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の靭皮繊維の製造方法によると、靭皮植物の靭皮が予備解繊され、その予備解繊された靭皮がレッティング処理され、そのレッティング処理された靭皮から靭皮繊維が得られる。そして、予備解繊する工程では、固定部の表面方向に沿う可動部の移動により固定部と可動部との間で靭皮が擦り解され、靭皮に含まれるペクチン等の結合物質による繊維同士の結合が解除又は十分に弱められるとともに、繊維及び結合物質の露出面積が極めて大きくなる。その結果、レッティング処理前の予備解繊能力が高められて、レッティング期間を大幅に短縮するとともに使用水量を大幅に低減することができる。
また、前記予備解繊手段が、ドラムと、回転羽根と、を備え、前記予備解繊する工程は、前記回転羽根の回転により前記ドラムの内周壁と前記回転羽根の先端側との間で前記ドラム内に投入された前記靭皮を擦り解す工程であるので、ドラムの内周壁と回転羽根の先端側との間で靭皮が繰り返し擦り解されることとなり、予備解繊能力を更に高めることができる。
さらに、前記回転羽根の回転方向の先端側に曲面部が形成されている場合は、ドラムの内周壁と回転羽根の先端側との間に靭皮が入り込み易くより確実に擦り解されることとなり、予備解繊能力を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
図1】実施例に係る予備解繊装置を示す正面図である。
図2図1のII−II線断面拡大図である。
図3】上記予備解繊装置の作用を説明するための説明図であり、(a)は靭皮の予備解繊中の状態を示し、(b)は靭皮の予備解繊後の状態を示す。
図4】上記予備解繊装置の作用を説明するための説明図である。
図5参考例の予備解繊装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0010】
1.靭皮繊維の製造方法
本実施形態1.に係る靭皮繊維の製造方法は、靭皮植物の靭皮から靭皮繊維を得る靭皮繊維の製造方法であって、靭皮植物の靭皮(T)を予備解繊する工程と、予備解繊された靭皮をレッティング処理する工程と、を備え、上記予備解繊する工程は、固定部(5、17)と固定部の表面に沿う方向に移動可能な可動部(13、18)とを備える予備解繊手段(1、19)を用いて、可動部の移動により固定部と可動部との間で靭皮を擦り解す工程であることを特徴とする(例えば、図3及び図5等参照)。
【0011】
なお、上記「レッティング処理」とは、上記予備解繊された靭皮を液体中に浸して靭皮に含まれる靭皮繊維を結合するペクチン等の結合物質(「ガム成分」とも呼ばれる。)を分解する処理を意図する。また、上記「靭皮植物」としては、例えば、ケナフ、マニラ麻、サイザル麻、ジュート麻、綿花、雁皮、三椏、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹及び各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)等を挙げることができる。
【0012】
本実施形態1.に係る靭皮繊維の製造方法としては、例えば、上記予備解繊手段(1)は、その内周壁(2a)が上記固定部(5)をなす円筒状のドラム(2)と、ドラム内で軸芯回りに回転可能であり且つその先端側が上記可動部(13)をなす回転羽根(3)と、を備え、上記予備解繊する工程は、回転羽根の回転によりドラムの内周壁と回転羽根の先端側との間でドラム内に投入された靭皮を擦り解す工程である形態(例えば、図1図3等参照)を挙げることができる。
【0013】
上述の形態の場合、例えば、上記回転羽根(3)の回転方向の先端側には曲面部(14)が形成されていることができる(例えば、図3等参照)。この曲面部の曲率半径(R)としては、ドラムに投入される靭皮の大きさ、投入量等に応じて適宜選択できるが、例えば、2〜10mm(好ましくは3〜7mm)等を挙げることができる(例えば、図3(b)等参照)。これにより、靭皮を好適に擦り解すことができる。
【0014】
上述の形態の場合、例えば、上記ドラム(2)の内周壁(2a)と回転羽根(3)の先端側との最短間隔(S)としては、ドラムに投入される靭皮の大きさ、投入量等に応じて適宜選択できるが、例えば、5〜30mm(好ましくは10〜20mm)等を挙げることができる(例えば、図3(b)等参照)。これにより、靭皮を好適に擦り解すことができる。
【0015】
上述の形態の場合、例えば、上記回転羽根(3)は、ドラム(2)の軸芯から遠心方向に延びる板部(11)と、この板部の先端側から回転羽根の回転方向と反対側に延びて上記可動部(13)をなす先端板部(12)と、を備えることができる(例えば、図3等参照)。これにより、ドラムの内周壁の表面と回転羽根の先端板部の表面との間の比較的広い面域で靭皮が擦り解されることとなり、予備解繊能力を更に高めることができる。
【0016】
上述の形態の場合、例えば、上記ドラム(2)には、軸芯方向の一端側に靭皮(T)の投入口(6)が設けられ、軸芯方向の他端側に靭皮の排出口(7)が設けられ、内周壁(2a)に投入口から投入された靭皮を排出口に向かって搬送するためのガイド部(8)が設けられ、上記ドラムは、その軸芯が横方向(特に、水平方向)を向くように配設されていることができる(例えば、図1及び図2等参照)。これにより、投入口からドラム内に投入された靭皮は、ドラムの内周壁の底側と回転羽根の先端側との間で繰り返し擦り解されるとともに、ガイド部によりドラム内を排出口に向かって搬送される。よって、予備解繊能力とともに予備解繊された靭皮の排出性を更に高めることができる。
【実施例】
【0017】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。
【0018】
(1)予備解繊装置の構成
本実施例に係る予備解繊装置1(本発明に係る「予備解繊手段」として例示する。)は、図1及び図2に示すように、円筒状のドラム2と、このドラム2内で軸芯回りに回転可能である複数(図2中で4枚)の回転羽根3と、を備えている。
【0019】
上記ドラム2は、その軸芯が水平方向を向くように配設されている。このドラム2の内周壁2aの底側部分(例えば、ドラムの軸芯より下側部分)は固定部5を構成している。また、このドラム2には、軸芯方向の一端側に靭皮の投入口6が設けられ、軸芯方向の他端側に靭皮の排出口7が設けられ、内周壁2a内に投入口6から投入された靭皮Tを排出口7に向かって搬送するための湾曲板状の複数のガイド部8が設けられている。
【0020】
上記各回転羽根3は、駆動モータ(図示省略)により回転駆動される回転軸10から遠心方向に延びる板部11と、この板部11の先端側から回転羽根3の回転方向と反対側に延びる先端板部12と、を備えている。この先端板部12は、上記固定部5の表面に沿う方向に移動可能な可動部13を構成している。また、図3に示すように、各回転羽根3の板部11及び先端板部12の連絡部分における回転羽根3の回転方向の先端側には曲面部14が形成されている。この曲面部14の曲率半径Rは約5mmとされている。また、上記ドラム2の内周壁2aと回転羽根3の先端板部12との最短間隔Sは約10mmとされている。
【0021】
(2)予備解繊装置の作用
次に、上記構成の予備解繊装置1の作用について説明する。先ず、ドラム2内で回転羽根3を所定速度(例えば、1500rpm等)で回転させ、その状態でドラム2内に投入口6から所定量(例えば、100kg/h)で植物繊維の靭皮Tを投入する。すると、ドラム2内に投入された靭皮Tは、その繊維方向がドラム2の軸芯と略平行方向を向くようにドラム2の内周壁2aの底側と回転羽根3の先端板部12との間に入り込み、両者2a、12の表面の間で繰り返し擦り解される(図3及び図4参照)。このとき、靭皮Tに含まれるペクチン等の結合物質による繊維同士の結合は解除又は十分に弱められるとともに、繊維及び結合物質の露出面積が極めて大きくなる。そして、擦り解された靭皮Tは、ガイド部8によりドラム2内を排出口7に向かって搬送される(図1参照)。なお、ドラム2内の靭皮Tの一部は、回転羽根3の板部11の表面や先端板部12で回転方向に跳ね飛ばされる。
【0022】
(3)靭皮繊維の製造方法
次に、本実施例に係る靭皮繊維の製造方法について説明する。この靭皮繊維の製造方法は、ケナフ等の靭皮植物を靭皮Tと芯材とに分離する分離工程と、上記予備解繊装置1を用いて分離された靭皮Tを予備解繊する予備解繊工程と、予備解繊された靭皮Tをレッティング処理するレッティング工程と、レッティング処理された靭皮T(繊維)を洗浄する洗浄工程と、洗浄された靭皮T(繊維)を乾燥する乾燥工程と、を備えている。
【0023】
上記分離工程では、手作業により靭皮Tと芯材との間に道具を差し込み、靭皮T中の繊維の方向に沿って剥いていく。この分離工程で得られる靭皮Tは、繊維を多量に含む内皮及び内皮の外側を覆う外皮を備える。また、上記予備解繊工程では、分離された靭皮Tは、投入口6からドラム2内に投入されて、各回転羽根3の回転によりドラム2の内周壁2aと回転羽根3の先端板部12との間で擦り解される。
【0024】
上記レッティング工程では、予備解繊された靭皮Tは、自然界に存在する池等の水中に沈めて約4日間程度常温で放置される。これにより、靭皮Tに含まれる靭皮繊維を結合するペクチン等の結合物質が分解される。また、上記洗浄工程では、レッティング処理された靭皮Tの両端部を固定した状態で、それ以外の部分に向けて靭皮Tに対して水溶液が吹き付けられる。さらに、上記乾燥工程では、洗浄された靭皮Tを3日間屋外で自然乾燥させる。
【0025】
(4)実施例の効果
以上より、本実施例の靭皮繊維の製造方法によると、靭皮植物の靭皮Tが予備解繊され、その予備解繊された靭皮Tがレッティング処理され、そのレッティング処理された靭皮Tから靭皮繊維が得られる。そして、予備解繊する工程では、固定部5の表面方向に沿う可動部13の移動により固定部5と可動部13との間で靭皮Tが擦り解され、靭皮に含まれるペクチン等の結合物質による繊維同士の結合が解除又は十分に弱められるとともに、繊維及び結合物質の露出面積が極めて大きくなる。その結果、レッティング前の予備解繊能力が高められて、レッティング期間を大幅に短縮するとともに使用水量を大幅に低減することができる。この使用水量の低減により、環境面での悪影響(例えば、汚泥、臭気等)の発生が抑制される。
【0026】
具体的には、本実施例のドラム2及び回転羽根3を利用した予備解繊では、レッティング期間として4日間を要し、使用水量として繊維重量の10倍程度の水量を要すれば、不要成分が十分に除去された高品質の靭皮繊維が得られた。これに対して、従来のローラプレスを利用した予備解繊では、レッティング期間として2週間以上の長期間を要し、使用水量として繊維重量の100倍以上の水量を要していた。
【0027】
また、本実施例では、予備解繊装置1が、ドラム2と、回転羽根3と、を備え、予備解繊する工程は、回転羽根3の回転によりドラム2の内周壁2aと回転羽根3の先端側との間でドラム2内に投入された靭皮Tを擦り解す工程であるので、ドラム2の内周壁2aと回転羽根3の先端側との間で靭皮Tが繰り返し擦り解されることとなり、予備解繊能力を更に高めることができる。
【0028】
さらに、本実施例では、回転羽根3の回転方向の先端側に曲面部14が形成されているので、ドラム2の内周壁2aと回転羽根3の先端側との間に靭皮Tが入り込み易くより確実に擦り解されることとなり、予備解繊能力を更に高めることができる。
【0029】
また、本実施例では、回転羽根3は、ドラム2の軸芯から遠心方向に延びる板部11と、この板部11の先端側から回転羽根3の回転方向と反対側に延びて可動部13をなす先端板部12と、を備えるので、ドラム2の内周壁2aの表面と回転羽根3の先端板部12の表面との間の比較的広い面域で靭皮Tが擦り解されることとなり、予備解繊能力を更に高めることができる。
【0030】
さらに、本実施例では、ドラム2には、軸芯方向の一端側に靭皮Tの投入口6が設けられ、軸芯方向の他端側に靭皮Tの排出口7が設けられ、内周壁2aに投入口6から投入された靭皮Tを排出口7に向かって搬送するためのガイド部8が設けられ、ドラム2は、その軸芯が横方向を向くように配設されているので、投入口6からドラム2内に投入された靭皮Tは、ドラム2の内周壁2aの底側と回転羽根3の先端側との間で繰り返し擦り解されるとともに、ガイド部8によりドラム2内を排出口7に向かって搬送される。よって、予備解繊能力とともに予備解繊された靭皮の排出性を更に高めることができる。
【0031】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例では、ドラム2の内周壁2aである固定部5と、回転羽根3の先端側である可動部13と、を備える予備解繊装置1を例示した。参考例として、例えば、図5に示すように、固定部17と、この固定部17の表面方向に往復動可能であり且つ固定部17の表面に対して近接・離反可能である可動部18と、を備える予備解繊装置19を挙げることができる。この場合、例えば、固定部17に対して可動部18を図5中に矢印で示す方向に繰り返し移動させれば、固定部17と可動部18との間で靭皮Tは擦り解される。
【0032】
また、上記実施例では、レッティング処理として、自然界に存在する池等の水溶液に靭皮を浸す処理を例示したが、これに限定されず、例えば、人工的に設けた浴槽に適当な薬剤を投与してなる薬液に靭皮を浸したり、アルカリ性物質と過酸化水素あるいは過酸化水素発生剤とを添加した混合水溶液に靭皮を浸したりしてもよい。
【0033】
さらに、上記実施例では、その軸芯が水平方向を向くドラム2を例示したが、これに限定されず、例えば、その軸芯が水平に対して傾斜する横方向を向くドラムとしてもよい。
【0034】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0035】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
靭皮植物の靭皮(外皮)から靭皮繊維を得る技術として広く利用される。
【符号の説明】
【0037】
1,19;予備解繊装置、2;ドラム、3;回転羽根、5,17;固定部、13,18;可動部、14;曲面部。
図1
図2
図3
図4
図5