特許第5799715号(P5799715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5799715画像遷移装置、画像遷移方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5799715
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】画像遷移装置、画像遷移方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 13/80 20110101AFI20151008BHJP
   H04N 5/93 20060101ALI20151008BHJP
   H04N 5/91 20060101ALI20151008BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20151008BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
   G06T13/80 A
   H04N5/93 Z
   H04N5/91 J
   G09G5/00 530D
   G09G5/36 520E
   G09G5/36 510C
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-213359(P2011-213359)
(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公開番号】特開2013-73504(P2013-73504A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】雨谷 一志
【審査官】 千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−237516(JP,A)
【文献】 特開2009−194681(JP,A)
【文献】 特開2009−015583(JP,A)
【文献】 特開2006−248450(JP,A)
【文献】 特開2004−126650(JP,A)
【文献】 特開2002−140731(JP,A)
【文献】 特開平10−049704(JP,A)
【文献】 特開平05−191902(JP,A)
【文献】 田中浩也, 外2名,”写真の変形パターンを用いた擬似3次元移動表現”,電子情報通信学会技術研究報告,日本,社団法人電子情報通信学会,2002年 5月 3日,第102巻, 第44号,p.25-30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00,13/00−13/80
G09G 5/00−5/42
H04N 5/91−5/95
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得手段と、
画像を表示する画像表示手段と、
前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記第1画像上に、第1の拡大率の前記第2画像前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させた後、前記第1の拡大率より大きい第2の拡大率の前記第2画像を前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させながら順次拡大してゆく画像を表示して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移手段と、
を備えることを特徴とする画像遷移装置。
【請求項2】
前記画像遷移手段は、前記第1画像の中に消失点がなく、前記第2画像の中に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記第1画像上に、前記第2画像が前記第2画像の1つの前記消失点の位置から順次拡大してゆく画像を重ねて表示して、前記第2画像が表示された状態に遷移させることを特徴とする請求項1に記載の画像遷移装置。
【請求項3】
前記画像遷移手段は、前記第1画像および前記第2画像の中にそれぞれ1つの前記消失点があると判定した場合、前記第2画像の1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大する切取領域に切り取られた前記第2画像の一部を表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像遷移装置。
【請求項4】
前記画像遷移手段は、前記第2画像を表示領域に合わせて縮小し、前記表示領域に全体を表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像遷移装置。
【請求項5】
前記画像遷移手段は、前記第2画像の表示領域に対応する部分を切り取って、前記表示領域に表示させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像遷移装置。
【請求項6】
前記画像遷移手段は、前記第2画像の拡大に合わせて、前記第1画像の外枠に対して垂直方向に前記第1画像を圧縮して表示することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像遷移装置。
【請求項7】
前記画像遷移手段は、前記第2画像の拡大に合わせて、前記第1画像の外枠に対して垂直方向に前記第1画像を移動させ、前記第1画像の外枠から出た部分を消去することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像遷移装置。
【請求項8】
前記画像遷移手段は、前記第2画像の表示領域が前記第2画像の形と常に相似となるように、前記第2画像が1つの前記消失点の位置から順次拡大してゆく画像を重ねて表示することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像遷移装置。
【請求項9】
前記画像遷移手段は、前記消失点から放射状に伸びる2以上の任意の直線を設定し、前記直線を移動させて、前記消失点からの距離と、前記直線と前記第2画像の外枠との交点までの距離との比が同一となる各前記直線上の点を外周に含む表示領域に、前記第2画像が1つの前記消失点の位置から順次拡大してゆく画像を重ねて表示することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の画像遷移装置。
【請求項10】
前記画像遷移手段は、前記直線の移動に合わせて、前記第1画像の外枠に対して平行方向に前記第1画像を変形することを特徴とする請求項9に記載の画像遷移装置。
【請求項11】
前記画像遷移手段は、前記画像表示手段に前記第2画像が表示された状態から、前記第1画像が表示された状態に逆の順序で遷移させることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の画像遷移装置。
【請求項12】
画像を表示する画像表示手段を備える画像遷移装置が実行する画像遷移方法であって、
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得ステップと、
前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中
に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記第1画像上に、第1の拡大率の前記第2画像前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させた後、前記第1の拡大率より大きい第2の拡大率の前記第2画像を前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させながら順次拡大してゆく画像を表示して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移ステップと、
を備えることを特徴とする画像遷移方法。
【請求項13】
コンピュータを、
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得手段、
画像を表示する画像表示手段、
前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中
に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記第1画像上に、第1の拡大率の前記第2画像前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させた後、前記第1の拡大率より大きい第2の拡大率の前記第2画像を前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させながら順次拡大してゆく画像を表示して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示した画面を遷移させる画像遷移装置、画像遷移方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
フォトフレームやPCなどの画像表示装置で画像を表示させる方法として、複数の画像を順次表示させるスライドショーなどがある。現在の画像から次の画像に入れ替える画像遷移方法には、スライド、ワイプ、ズーム、フェードと呼ばれる方法など、さまざまな方法がある。
【0003】
特許文献1には、鑑賞者に違和感を与えることなく、縮小画像又は画像の一部が間引かれた画像を表示画面内の一部領域に表示させることが可能な画像表示方法が開示されている。特許文献1では、入力映像信号によって表される各フレーム毎の画像を表示画面内の第1領域に表示させると共に、この第1領域内に表示される画像を表示画面枠に向けて放射状に広げた放射状画像パターンを表示画面内の第2領域に表示させる。
【0004】
特許文献2には、仮想空間内に任意の時間軸を設定し、各ウインドウを記録保存した時刻に応じて、対応する時間軸上にウインドウを表示する仮想空間ウインドウ表示システムが開示されている。特許文献2では、時間軸上に表示するウインドウを、使用者の視点からの距離に応じた透視図法に基づいて、奥行き方向の消失点に収束するように表示する。
【0005】
特許文献3には、2つの画像データが並んで表示されるよう合成する画像処理システムが開示されている。
【0006】
特許文献4には、表示の基準となる選択サムネイルの表示位置を決定し、選択サム
ネイルの表示位置から表示画面上に設定した消失点までの間に、選択サムネイルの表示位置からの距離が遠いほど縮小率が大きくなるように、非選択サムネイルの大きさ及び表示位置を算出して表示部に表示するサムネイル表示方法が開示されている。
【0007】
また、画像には、透視図法で表現される絵や奥行きのある建物の写真など、実空間での平行線が画像上で平行でない場合に交わる点である消失点を有する画像が存在する。
【0008】
特許文献5には、撮像画像から単一の直線しか検出されない場合であっても、計算量を増大させることなく、安定して消失点の位置を推定可能な消失点推定装置が開示されている。
【0009】
非特許文献1には、建築画像の消失点検出手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−162899号公報
【特許文献2】特開平10−320167号公報
【特許文献3】特開2008−193469号公報
【特許文献4】特開2007−272701号公報
【特許文献5】特開2011−22995号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】山中俊介、加藤直樹、藤澤克樹、“建築画像の消失点検出手法の開発とそれに基づく3次元建築モデルの再構成手法”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、スライド、ワイプ、ズーム、フェードなどの画像遷移方法は、表示させる画像がどのような画像であっても実現できる方法である。前述のような消失点を有する画像をこれらの手法で画像遷移させるのは面白みが少ない。
【0013】
特許文献1〜4に記載の画像表示方法は、画像を切り替える方法ではない。特許文献5に記載の技術は、画像を表示させるものではない。
【0014】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、消失点を有する画像を表示する場合、消失点に基づいて画像遷移させることができ、画像の特徴に合った面白みのある画像遷移を実現することができる画像遷移装置、画像遷移方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る画像遷移装置は、
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得手段と、
画像を表示する画像表示手段と、
前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中
に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記第1画像上に、第1の拡大率の前記第2画像前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させた後、前記第1の拡大率より大きい第2の拡大率の前記第2画像を前記第1画像の1つの前記消失点の位置に合成した画像を表示させながら順次拡大してゆく画像を表示して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、消失点を有する画像を表示する場合、消失点に基づいて画像遷移させることができ、画像の特徴に合った面白みのある画像遷移を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る画像遷移装置を示す図であり、(a)は画像遷移装置の例であるフォトフレームの外観を示す図であり、(b)は画像遷移装置の構成例を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る画像遷移装置における第1画像の中に少なくとも1つの消失点がある場合の画像表示の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】実施の形態1に係る消失点遷移Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図4】(a)および(b)は、消失点遷移Aのライン設定を説明する図である。
図5】(a)〜(c)は、消失点遷移Aの第2画像を表示する表示領域の拡大を説明する図である。
図6】(a)〜(d)は、消失点遷移Aの第1画像の縮小を説明する図である。
図7】(a)および(b)は、第2画像と表示領域とが相似形でない場合の縮小方法を説明する図である。
図8】実施の形態1に係る消失点遷移Bの動作の一例を示すフローチャートである。
図9】(a)および(b)は、消失点遷移Bのライン設定を説明する図である。
図10】(a)および(b)は、消失点遷移Bの第2画像を表示する表示領域の拡大を説明する図である。
図11】(a)〜(d)は、消失点遷移Bの第1画像の縮小を説明する図である。
図12】実施の形態2に係る画像遷移装置における第1画像および/または第2画像の中に少なくとも1つの消失点がある場合の画像表示の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】(a)および(b)は、第1画像および第2画像の中に少なくとも1つの消失点がある場合の消失点遷移を説明する図である。
図14】第1画像および第2画像の中に少なくとも1つの消失点がある場合の消失点遷移の動作の一例を示すフローチャートである。
図15】(a)および(b)は、第1画像と第2画像とが異なる図形である場合の例を説明する図である。
図16】本発明の実施の形態に係る画像遷移装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0019】
(実施の形態1)
実施の形態1の画像遷移装置1は、図1(a)に示すフォトフレームのほか、PCや携帯電話などの画像を表示可能な装置である。画像遷移装置1は、図1(b)に示すように、機能構成として画像取得部11、記憶部12、消失点取得部13、画像遷移部14および画像表示部15を備える。
【0020】
画像取得部11は、画像表示部15に表示させるための2以上の画像を取得する。この画像は、外部から受信してもよいし、ユーザが入力してもよいし、記録媒体から読み出してもよい。あるいは、記憶部12が画像をあらかじめ記憶しておいてもよい。
【0021】
記憶部12は、画像取得部11が取得した2以上の画像を記憶する。
【0022】
消失点取得部13は、記憶部12が記憶する2以上の画像を解析し、消失点を検出する。消失点の検出方法は、画像中の直線を検出し、その交点の位置から消失点を検出する方法など、既存の方法を用いる(非特許文献1参照)。以下、消失点を交点とする直線を消失線という。消失点取得部13は、各画像について、消失点があるか否かと、消失点がある場合には消失点の位置とを示す消失点情報を画像遷移部14に送る。なお、外部のサーバが画像の消失点を検出し、消失点取得部13は、サーバから消失点情報を受信してもよい。
【0023】
画像遷移部14は、消失点情報に基づいて、画像表示部15に現在表示している画像(以下、第1画像という)の中に少なくとも1つの消失点があるか否を判定する。画像遷移部14は、第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かによって画像遷移方法を決定し、画像表示部15に指示を送る。
【0024】
画像表示部15は、画像遷移部14からの指示にしたがって、記憶部12が記憶する2以上の画像を順次表示する。なお、記憶部12が記憶する画像は形や大きさが同一でなくてもよい。
【0025】
図2のフローチャートを用いて第1画像の中に少なくとも1つの消失点がある場合の画像表示の動作の一例を説明する。画像遷移装置1は、電源が投入された時、または、画像表示を指示するコマンドを外部から受け取ると、図2に示す画像表示1の処理を開始する。
【0026】
まず、画像遷移装置1の画像取得部11は、画像表示部15に表示させるための2以上の画像を取得する。(ステップS11)。記憶部12は、画像取得部11が取得した2以上の画像を記憶する。消失点取得部13は、記憶部12が記憶する2以上の画像をすべて解析し、消失点を検出する(ステップS12)。消失点取得部13は、消失点情報を画像遷移部14に送る。消失点取得部13は、消失点情報を記憶部12に一旦記憶してもよいし、画像表示部15が新たに画像を表示するごとに該画像の消失点を検出してもよい。
【0027】
画像表示部15は、記憶部12が記憶する2以上の画像のうち、1枚目の画像を表示する(ステップS13)。1枚目の画像は、ユーザが指定してもよいし、無作為に選択してもよい。あるいは、1枚目の画像は、白や黒など一色の画像としてもよい。また、1枚目の画像の表示は、たとえば、ユーザが画像遷移装置1にスライドショーの開始指示を入力したことをトリガとして実行してもよいし、画像取得部11が画像を取得したことをトリガとして実行してもよい。
【0028】
画像遷移部14は、消失点情報に基づいて、第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定する(ステップS14)。第1画像の中に消失点がある場合(ステップS14;YES)、消失点に基づく画面遷移方法(以下、消失点遷移という)を選択する(ステップS15)。画像遷移部14は、第1画像の中に消失点がない場合(ステップS14;NO)、その他の画像遷移方法を選択する(ステップS16)。その他の画像遷移方法とは、スライド、ワイプ、ズーム、フェードなど、表示する画像の特徴に依らない既存の画像遷移方法である。
【0029】
画像表示部15は、画像遷移部14が選択した画像遷移方法で、第1画像から次に表示する画像(以下、第2画像という)への画像遷移を開始する(ステップS17)。画像遷移部14は、画像遷移が完了したか否かを判定する(ステップS18)。画像遷移が完了していない場合(ステップS18;NO)、ステップS18を繰り返す。画像遷移が完了した場合(ステップS18;YES)、画像遷移部14は、次に表示すべき画像があるか否かを判定する(ステップS19)。次に表示すべき画像がある場合(ステップS19;YES)、ステップS14に戻り、ステップS14〜ステップS19を繰り返す。次に表示すべき画像がない場合(ステップS19;NO)、処理を終了する。
【0030】
続いて、図3のフローチャートと、図4図6を用いて消失点遷移の一例である消失点遷移Aを説明する。ここでは、第1画像および第2画像は同一の四角形で、第2画像を表示させる表示領域も四角形である例を用いる。消失点遷移Aは、第1画像の消失点から第2画像が表示された表示領域が徐々に拡大することで、第1画像から第2画像に遷移する画像遷移方法の1つである。
【0031】
画像表示部15は、画像遷移部14から消失点遷移Aの処理の開始指示を受け取ると、図3に示す消失点遷移Aの処理を開始する。画像表示部15に図4(a)のような第1画像PIが表示されている。図4(b)に示すように、画像表示部15は、消失点取得部13が、この画像の消失点Vaを検出する際に検出した4本の消失線を、第2画像を表示する表示領域を拡大するガイドとなる直線(以下、ラインという)La1〜La4に設定する(ステップS21)。ラインLa1〜La4は、消失点Vaから第2画像の外枠まで伸びる直線である。ここでは、第1画像PIと第2画像NIの形状が同一の四角形であるので、外枠が一致する。
【0032】
後述するように、ラインは表示領域の形を規定する線である。したがって、表示領域の形が四角形の場合であって消失線が4本以上あった場合には、そのうちの4本をラインに設定する。すなわち、画像がN角形であった場合には、N本のラインを設定する。画像が楕円であった場合には、ラインは2本設定すればよい。なお、消失線にかぎらず、消失点から放射状に伸びる任意の直線をラインに設定してもよい。
【0033】
画像表示部15は、図5(a)に示すように、第1画像PI上に、頂点Pa1〜頂点Pa4がそれぞれラインLa1〜La4上にある表示領域Saを形成する。表示領域Saは、(消失点Vaから頂点Pa1までの距離a21/消失点VaからラインLa1と第2画像の辺との交点までの距離a11)=(消失点Vaから頂点Pa2までの距離a22/消失点VaからラインLa2と第2画像の辺との交点までの距離a12)=(消失点Vaから頂点Pa3までの距離a23/消失点VaからラインLa3と第2画像の辺との交点までの距離a13)=(消失点Vaから頂点Pa4までの距離a24/消失点VaからラインLa4と第2画像の辺との交点までの距離a14)となるように形成される。表示領域Saはこの等式E1を満たすように、頂点Pa1〜頂点Pa4がそれぞれラインLa1〜La4上を移動して拡大する。
【0034】
図5(a)は、拡大途中の表示領域Saの例である。画像表示部15は、まず、図5(b)に示すように、前述の等式E1を満たす最小の表示領域Saを形成する(ステップS22)。最小の表示領域Saは、表示機能による最小の表示領域Saでもよいし、任意に設定した最小の表示領域Saでもよい。
【0035】
次に、画像表示部15は、図5(c)に示すように、ラインLa1〜La4を徐々に第2画像の対角線になるように移動させる(ステップS23)。これに伴い、ラインLa1〜La4の交点は、消失点Vaから第2画像の中心Mに移動する。同時に、画像表示部15は、頂点Pa1〜頂点Pa4を、それぞれラインLa1〜La4上を移動させて表示領域Saを拡大し、表示領域Saに第2画像を表示する(ステップS24)。第2画像は、表示領域Saの形に合わせて縮小し、全体を表示してもよいし、第2画像上の表示領域Saの位置に対応する部分を切り取って表示してもよい。第2画像と表示領域Saとが相似形でない場合の縮小方法の詳細は後述する。
【0036】
さらに、画像表示部15は、図6に示すように、表示領域Saの拡大に合わせて第1画像PIを縮小する(ステップS25)。図6(a)のように、第1画像PIは、表示領域SaとラインLa1〜La4によって、画像F1〜画像F4に分けられる。表示領域Saが拡大されることによって、画像F1〜画像F4は第1画像PIの各辺に対して垂直方向に圧縮される。また、ラインLa1〜La4の移動によって、第1画像PIの辺に対して平行方向に変形される。画像F1を例に、圧縮・変形する様子を図6(b)〜(d)に示す。図6(b)〜(d)では、表示領域Saの拡大によって、第1画像PIの下辺に対して垂直方向に圧縮されており、La2およびLa3の移動によって、第1画像PIの下辺に対して平行方向に変形されている。
【0037】
第1画像PIの縮小方法はこれに限らず、たとえば、ラインLa1〜La4の移動によって第1画像PIの各辺に対して平行方向に変形し、表示領域Saの拡大によって第1画像PIの各辺に対して垂直方向に移動させ、第1画像PIの辺から出た部分を消去してもよい。この場合、第2画像が表示される表示領域Saの拡大によって、第1画像PIが押し出されるような表現になり、面白みのある画像遷移を実現できる。また、第1画像PIの圧縮や変形を行わず、表示領域Saの拡大によって、第1画像PIの表示領域Saの部分を消去していってもよい。
【0038】
画像表示部15は、第1画像PIがまだ表示されていると(ステップS26;NO)、ステップS23に戻り、ステップS23〜ステップS26を繰り返す。画像表示部15は、表示領域Saが第2画像の外枠と一致し、第2画像のみが表示されると(ステップS26;YES)、処理を終了する。
【0039】
ここで、第2画像と表示領域Saとが相似形でない場合の縮小方法を説明する。図7(a)に示すように、第2画像NIと表示領域Saが相似形でない場合、まず、第2画像NIに任意の基準点BP1から画像の辺に伸びる基準線BL1を設定する。図7(a)の例では、基準点を第2画像NIの中心とし、基準線を中心から第2象限にある頂点に伸びる直線とする。ここで、第2画像NIにおける基準線BL1から角度θの線上の点X1に対応させる表示領域Saにおける点X2を求める。
【0040】
表示領域Saに基準点BP1に対応する基準点BP2と、基準線BL1に対応する基準線BL2とを設定する。基準線BL2から角度θの線上の点であって、「基準点BP1から点X1までの距離d1/点X1から第2画像NIの辺までの距離d2=基準点BP2から点X2までの距離d3/点X2から表示領域Saの辺までの距離d4」の等式を満たすように点X2を決定する。このように、第2画像NI上の点を表示領域Sa上の点に対応させていき、第2画像NIを表示領域Saの形に合わせて縮小する。
【0041】
図7(b)のように、画像が楕円である場合にも、同様に、第2画像NIを表示領域Oaの形に合わせて縮小することができる。まず、第2画像NIに任意の基準点BP3から画像の円周に伸びる基準線BL3を設定する。図7(b)の例では、基準点を第2画像NIの中心とし、基準線を中心から第2象限の弧の中点に伸びる直線とする。ここで、第2画像NIにおける基準線BL3から角度θの線上の点X3に対応させる表示領域Oaにおける点X4を求める。
【0042】
表示領域Oaに基準点BP3に対応する基準点BP4と、基準線BL3に対応する基準線BL4とを設定する。基準線BL4から角度θの線上の点であって、「基準点BP3から点X3までの距離d5/点X3から第2画像NIの円周までの距離d6=基準点BP4から点X4までの距離d7/点X4から表示領域Oaの円周までの距離d8」の等式を満たすように点X4を決定する。このように、第2画像NI上の点を表示領域Oa上の点に対応させていき、第2画像NIを表示領域Oaの形に合わせて縮小する。
【0043】
なお、図7(a)のように、第2画像NIおよび表示領域Saが長方形である場合には、縦横比を変更することで、第2画像NIを表示領域Saの形に合わせて縮小してもよい。あるいは、画像の形にかかわらず、あらかじめ記憶部12に射影変換の変換行列を記憶しておき、これを用いて第2画像NIを射影してもよい。
【0044】
続いて、図8のフローチャートと、図9図11を用いて消失点遷移の一例である消失点遷移Bを説明する。ここでは、第1画像PIおよび第2画像NIは同一の四角形で、第2画像NIを表示させる表示領域も四角形である例を用いる。消失点遷移Bは、第1画像PIの消失点から第2画像NIが表示された表示領域が徐々に拡大することで、第1画像PIから第2画像NIに遷移する画像遷移方法の1つである。
【0045】
画像表示部15は、画像遷移部14から消失点遷移Bの処理の開始指示を受け取ると、図8に示す消失点遷移Bの処理を開始する。画像表示部15に図9(a)のような画像が表示されている。図9(b)に示すように、画像表示部15は、第1画像PIの消失点Vaから第2画像NIの4つの頂点までの直線を、ラインLa1〜La4に設定する(ステップS31)。ここでは、第1画像PIと第2画像NIが同一の四角形であるので4つの頂点が一致する。
【0046】
画像表示部15は、まず、図10(a)に示すように、頂点Pa1〜頂点Pa4がそれぞれラインLa1〜La4上にあり、第1画像PIと相似形の最小の表示領域Saを表示する(ステップS32)。最小の表示領域Saは、表示機能による最小の表示領域Saでもよいし、任意に設定した最小の表示領域Saでもよい。
【0047】
次に、画像表示部15は、図10(b)に示すように、頂点Pa1〜頂点Pa4を、それぞれラインLa1〜La4上を移動させて表示領域Saを拡大し、表示領域Saに第2画像NIを表示する(ステップS33)。消失点遷移Bでは、第2画像NIと表示領域Saとが必ず相似形になるので、第2画像NIを表示領域Saの大きさに縮小して、全体を表示してもよいし、第2画像NI上の表示領域Saの位置に対応する部分を切り取って表示してもよい。また、表示領域Saは、第2画像NIと相似形であるので、前述の等式E1を満たす。
【0048】
さらに、画像表示部15は、図11に示すように、表示領域Saの拡大に合わせて第1画像PIを縮小する(ステップS34)。図11(a)のように、第1画像PIは、表示領域SaとラインLa1〜La4によって、画像F5〜画像F8に分けられる。表示領域Saが拡大されることによって、画像F5〜画像F8は第1画像PIの各辺に対して垂直方向に圧縮される。ラインLa1〜La4が移動しないので、第1画像PIの各辺に対して平行方向には変化しない。画像F5を例に、変形する様子を図11(b)〜(d)に示す。図11(b)〜(d)では、表示領域Saの拡大によって、第1画像PIの下辺に対して垂直方向に圧縮されており、第1画像PIの下辺に対して平行方向には変化しない。消失点遷移Aの場合と同様に、第1画像PIの縮小方法はこれに限らない。
【0049】
画像表示部15は、第1画像PIがまだ表示されていると(ステップS35;NO)、ステップS33に戻り、ステップS33〜ステップS35を繰り返す。画像表示部15は、表示領域Saが第2画像NIの外枠と一致し、第2画像NIのみが表示されると(ステップS35;YES)、処理を終了する。
【0050】
なお、消失点遷移Aおよび消失点遷移Bでは、画像表示部15に第1画像PIが表示された状態から、第2画像NIが表示された状態に遷移させているが、画像表示部15に第2画像NIが表示された状態から、第1画像PIが表示された状態に逆の順序で遷移させることも可能である。すなわち、第2画像NIを表示した表示領域Saを消失点Vaに向かって徐々に縮小し、表示領域Saの縮小にともない第1画像PIを外枠から徐々に拡大することで、第2画像NIが表示された状態から第1画像PIが表示された状態に遷移させる。この場合、表示領域Saが縮小されて最終的に最小の表示領域Saになると消去する。
【0051】
以上説明したように、実施の形態1の画像遷移装置1によれば、消失点を有する画像を表示する場合、消失点に基づいて画像遷移させることができ、画像の特徴に合った面白みのある画像遷移を実現することができる。また、消失点遷移Aによれば、第1画像PIの消失線をラインに設定することで、より画像の特徴に合った面白みのある画像遷移を実現することができる。消失点遷移Bによれば、第1画像PIの消失点Vaから第2画像NIの4つの頂点までの直線をラインに設定することで、ラインの移動や表示領域Saと第2画像NIが相似形でない場合の計算が不要となり、消失点遷移Aよりも少ない計算量で、画像の特徴に合った面白みのある画像遷移を実現することができる。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態2の画像遷移装置1は、実施の形態1と同様に、図1に示す画像取得部11、記憶部12、消失点取得部13、画像遷移部14および画像表示部15を備える。実施の形態2では、画像遷移部14は、第1画像PIおよび/または第2画像NIの中に少なくとも1つの消失点があるか否かに基づいて画像遷移方法を選択する。
【0053】
図12のフローチャートを用いて第1画像PIおよび/または第2画像NIの中に少なくとも1つの消失点がある場合の画像表示の動作の一例を説明する。画像遷移装置1は、電源が投入された時、または、画像表示を指示するコマンドを外部から受け取ると、図12に示す画像表示2の処理を開始する。
【0054】
まず、画像遷移装置1の画像取得部11は、画像表示部15に表示させるための2以上の画像を取得する。(ステップS41)。記憶部12は、画像取得部11が取得した2以上の画像を記憶する。消失点取得部13は、記憶部12が記憶する2以上の画像をすべて解析し、消失点を検出する(ステップS42)。消失点取得部13は、消失点情報を画像遷移部14に送る。
【0055】
画像表示部15は、記憶部12が記憶する2以上の画像のうち、1枚目の画像を表示する(ステップS43)。1枚目の画像は、ユーザが指定してもよいし、無作為に選択してもよい。あるいは、1枚目の画像は、白や黒など一色の画像としてもよい。1枚目の画像を表示するトリガは、実施の形態1と同様である。
【0056】
画像遷移部14は、消失点情報に基づいて、第1画像PIの中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定する(ステップS44)。第1画像PIに消失点がある場合(ステップS44;YES)、画像遷移部14は、消失点情報に基づいて、第2画像NIの中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定する(ステップS45)。第1画像PIに消失点があって第2画像NIには消失点がない場合(ステップS44;YES、ステップS45;NO)、画像遷移部14は、消失点遷移1を選択する(ステップS46)。第1画像PIに消失点があって第2画像NIにも消失点がある場合(ステップS44;YES、ステップS45;YES)、画像遷移部14は、消失点遷移2を選択する(ステップS47)。
【0057】
一方、第1画像PIに消失点がない場合(ステップS44;NO)、画像遷移部14は、消失点情報に基づいて、第2画像NIに少なくとも1つの消失点があるか否かを判定する(ステップS48)。第1画像PIに消失点がなく第2画像NIには消失点がある場合(ステップS44;NO、ステップS48;YES)、画像遷移部14は、消失点遷移3を選択する(ステップS49)。第1画像PIに消失点がなく第2画像NIにも消失点がない場合(ステップS44;NO、ステップS48;NO)、画像遷移部14は、その他の画像遷移方法を選択する(ステップS50)。
【0058】
画像表示部15は、画像遷移部14が選択した画像遷移方法で、第1画像PIから第2画像NIへの画像遷移を開始する(ステップS51)。画像遷移部14は、画像遷移が完了したか否かを判定する(ステップS52)。画像遷移が完了していない場合(ステップS52;NO)、ステップS52を繰り返す。画像遷移が完了した場合(ステップS52;YES)、画像遷移部14は、次に表示すべき画像があるか否かを判定する(ステップS53)。次に表示すべき画像がある場合(ステップS53;YES)、ステップS44に戻り、ステップS44〜ステップS53を繰り返す。次に表示すべき画像がない場合(ステップS53;NO)、処理を終了する。
【0059】
続いて、図13と、図14のフローチャートを用いて、第1画像PIと第2画像NIの両方に1つの消失点がある場合の消失点遷移の一例である消失点遷移2を説明する。ここでは、第1画像PIおよび第2画像NIは同一の四角形で、第2画像NIを表示させる表示領域も四角形である例を用いる。消失点遷移2は、第1画像PIの消失点から第2画像NIを表示する表示領域を徐々に拡大し、第2画像NIの消失点を含む一部を表示領域に表示する画像遷移方法の1つである。
【0060】
画像表示部15は、画像遷移部14から消失点遷移2の処理の開始指示を受け取ると、図14に示す消失点遷移2の処理を開始する。図13(a)に示すように、画像表示部15は、第1画像PIにおいて、第1画像PIの消失点Vaから第2画像NIの4つの頂点までの直線を、ラインLa1〜La4に設定し(ステップS61)、頂点Pa1〜頂点Pa4がそれぞれラインLa1〜La4上にある表示領域Saを形成する。
【0061】
表示領域Saは、(消失点Vaから頂点Pa1までの距離a21/消失点VaからラインLa1と第2画像NIの辺との交点までの距離a11)=(消失点Vaから頂点Pa2までの距離a22/消失点VaからラインLa2と第2画像NIの辺との交点までの距離a12)=(消失点Vaから頂点Pa3までの距離a23/消失点VaからラインLa3と第2画像NIの辺との交点までの距離a13)=(消失点Vaから頂点Pa4までの距離a24/消失点VaからラインLa4と第2画像NIの辺との交点までの距離a14)となるように形成される。この比をR1とする。表示領域Saはこの等式E1を満たすように、頂点Pa1〜頂点Pa4がそれぞれラインLa1〜La4上を移動して拡大する。
【0062】
図13(a)は、拡大途中の表示領域Saの例である。画像表示部15は、まず、前述の等式E1を満たす最小の表示領域Saを形成する(ステップS62)。最小の表示領域Saは、表示機能による最小の表示領域Saでもよいし、任意に設定した最小の表示領域Saでもよい。
【0063】
一方、図13(b)に示すように、画像表示部15は、第2画像NIにおいて、第2画像NIの消失点Vbから第2画像NIの4つの頂点までの直線を、ラインLb1〜Lb4に設定し(ステップS63)、頂点Pb1〜頂点Pb4がそれぞれラインLb1〜Lb4上にある切取領域Sbを形成する。
【0064】
切取領域Sbは、(消失点Vbから頂点Pb1までの距離b21/消失点VbからラインLb1と第2画像NIの辺との交点までの距離b11)=(消失点Vbから頂点Pb2までの距離b22/消失点VbからラインLb2と第2画像NIの辺との交点までの距離b12)=(消失点Vbから頂点Pb3までの距離b23/消失点VbからラインLb3と第2画像NIの辺との交点までの距離b13)=(消失点Vbから頂点Pb4までの距離b24/消失点VbからラインLb4と第2画像NIの辺との交点までの距離b14)となるように形成される。この比をR2とする。切取領域Sbはこの等式E2を満たすように、頂点Pb1〜頂点Pb4がそれぞれラインLb1〜Lb4上を移動して拡大する。
【0065】
図13(b)は、拡大途中の切取領域Sbの例である。画像表示部15は、まず、前述の等式E2を満たす最小の切取領域Sbを形成する(ステップS64)。最小の切取領域Sbは、表示機能による最小の切取領域Sbでもよいし、任意に設定した最小の切取領域Sbでもよい。最小の表示領域Saと最小の切取領域Sbの大きさは同一とする。
【0066】
次に、画像表示部15は、R1=R2となるように、ラインLa1〜La4上の表示領域Saの頂点Pa1〜頂点Pa4と、ラインLb1〜Lb4上の切取領域Sbの頂点Pb1〜頂点Pb4を移動させて、表示領域Saおよび切取領域Sbを拡大し、第1画像PIの表示領域Saに第2画像NIの切取領域Sbで切り取られた画像を表示する(ステップS65)。さらに、画像表示部15は、表示領域Saの拡大に合わせて第1画像PIを縮小する(ステップS66)。
【0067】
画像表示部15は、第1画像PIがまだ表示されていると(ステップS67;NO)、ステップS65に戻り、ステップS65〜ステップS67を繰り返す。画像表示部15は、表示領域Saが第2画像NIの外枠と一致し、第2画像NIのみが表示されると(ステップS67;YES)、処理を終了する。
【0068】
第1画像PIに消失点があって第2画像NIには消失点がない場合の消失点遷移である消失点遷移1には、実施の形態1で説明した消失点遷移Aまたは消失点遷移Bを採用する。また、第1画像PIに消失点がなく第2画像NIには1つの消失点がある場合の消失点遷移である消失点遷移3は、消失点遷移Aまたは消失点遷移Bと同一の処理を第1画像PIの消失点ではなく第2画像NIの消失点に基づいて実行する。
【0069】
なお、消失点遷移2においても消失点遷移Aおよび消失点遷移Bの場合と同様に、画像表示部15に第2画像NIが表示された状態から、第1画像PIが表示された状態に逆の順序で遷移させることも可能である。すなわち、第2画像NIを表示した表示領域Saを消失点Vaに向かって徐々に縮小し、これに伴い切取領域Sbも消失点Vbに向かって徐々に縮小して、表示領域Saに切取領域Sbで切り取った第2画像NIを表示させる。表示領域Saの縮小にともない第1画像PIを外枠から徐々に拡大することで、第2画像NIが表示された状態から第1画像PIが表示された状態に遷移させる。この場合、表示領域Saが縮小されて最終的に最小の表示領域Saになると消去する。
【0070】
以上説明したように、実施の形態2の画像遷移装置1によれば、第1画像PIおよび第2画像NIの両方の消失点に基づいて画像遷移させることができ、より画像の特徴に合った面白みのある画像遷移を実現することができる。
【0071】
上記の実施の形態では、第1画像PIと第2画像NIとは同一の四角形であって、第2画像NIを表示する表示領域Saも四角形の例を説明した。しかし、これに限らず、第1画像PIと第2画像NIは、異なる図形であってもよい。
【0072】
図15を用いて第1画像PIと第2画像NIとが異なる図形である場合の例を説明する。ここでは、第1画像PIは四角形で第2画像NIは楕円形で、第2画像NIを表示させる表示領域が第2画像NIと掃除の楕円形である例を用いる。ここでは、第1画像PIにのみ1つの消失点があることとする。
【0073】
画像表示部15は、まず、第1画像PIの消失点Vaから第2画像NIの外枠までの任意の2本の直線を、ラインLa1およびLa2に設定する。ここでは、第1画像PIと第2画像NIとは、中心を一致させて重ねているが、第2画像NIは、消失点Vaを含む位置であればよい。
【0074】
画像表示部15は、それぞれラインLa1およびLa2上にある点Pa1および点Pa2を外周に含み、(消失点Vaから点Pa1までの距離/消失点VaからラインLa1と第2画像NIの外枠との交点までの距離)=(消失点Vaから頂Pa2までの距離/消失点VaからラインLa2と第2画像NIの外枠との交点までの距離)の等式E3を満たす最小の表示領域Oaを表示する。ここでは、表示領域Oaは、第2画像NIと相似形であることとする。最小の表示領域Oaは、表示機能による最小の表示領域Oaでもよいし、任意に設定した最小の表示領域Oaでもよい。
【0075】
次に、画像表示部15は、図15(b)に示すように、点Pa1および点Pa2を、前述の等式E3を満たすように、それぞれラインLa1およびLa2上を移動させて表示領域Oaを拡大し、表示領域Oaに第2画像NIを表示させる。最終的に表示領域Oaを第2画像NIの外枠に一致させる。
【0076】
なお、表示領域Oaは、第2画像NIと相似形でなく、たとえば消失点Vaを中心とする円であった場合は、ラインLa1およびLa2を長径の半分および短径の半分になるように移動させて、最終的に表示領域Oaを第2画像NIの外枠に一致させる。
【0077】
さらに、画像表示部15は、表示領域Oaの拡大に合わせて第1画像PIを縮小する。第1画像PIは、表示領域Oaと消失点Vaから第1画像PIの各頂点までの直線によって、分割される。表示領域Oaが拡大されることによって、分割された画像は、第1画像PIの辺に対して垂直方向に圧縮される。消失点Vaから第1画像PIの各頂点までの直線が移動しないので、第1画像PIの辺に対して平行方向には変化しない。また、他の消失点遷移の場合と同様に、第1画像PIの縮小方法はこれに限らない。
【0078】
最終的に表示領域Oaが第2画像NIと同じ大きさになった場合、図15(b)に社視線で示すように、第1画像PIの一部の表示が残っている状態となる。画像表示部15は、表示領域Oaが第2画像NIと同じ大きさになった時点で、斜線部分の第1画像PIを消去して、第2画像NIのみが表示されている状態にする。
【0079】
なお、他の消失点遷移の場合と同様に、画像表示部15に第2画像NIが表示された状態から、第1画像PIが表示された状態に逆の順序で遷移させることも可能である。また、表示領域と第2画像NIとは、同種の図形でなくてもよい。この場合、表示領域を消失点を中心に最小の表示領域を形成し、中心を第2画像NIの中心まで移動させながら拡大して、最終的に第2画像NIと一致するように変形させる。
【0080】
上記の実施の形態で説明した表示領域の拡大方法および現在表示されている画像の縮小方法は、画像ごとに組み合わせてもよい。たとえば、表示している画像αの消失点に向かって画像αを縮小し、黒一色の画像を表示する。続いて、黒一色の画像が表示されている状態で、画像βの消失点から表示領域を拡大して、画像βを表示する。この場合、画像αが消失点に吸収され、画像βが消失点から発散されるような視覚を見る者に与えることが可能となる。
【0081】
また、上記の実施の形態では、消失点が1つの場合を説明したが、消失点が複数ある場合、1つの消失点を選択してもよい。この場合、画像の中心に最も近い消失点を選択してもよいし、画像の中心に最も遠い消失点を選択してもよいし、任意の消失点を選択してもよい。
【0082】
また、消失点遷移として、既存の画像遷移方法のうち、放射状に第2画像NIを表示するエフェクトを有する画像遷移方法を採用し、消失点を中心として、放射するように画像遷移させてもよい。
【0083】
上記機能を実現するため、画像遷移装置1は、図16に示すように、ハードウェア構成の一例として、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35および受信部36を備える。主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35および受信部36はいずれも内部バス30を介して制御部31に接続されている。
【0084】
制御部31はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39に従って、各処理を実行する。制御部31は、消失点取得部13、画像遷移部14および画像表示部15の各処理を実行する。
【0085】
主記憶部32はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部33に記憶されている制御プログラム39をロードし、制御部31の作業領域として用いられる。
【0086】
外部記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、画像遷移装置1の処理を制御部31に行わせるためのプログラムをあらかじめ記憶し、また、制御部31の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部31に供給し、制御部31から供給されたデータを記憶する。記憶部12は、外部記憶部33に構成される。
【0087】
操作部34はキーボードおよびマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボードおよびポインティングデバイス等を内部バス30に接続するインタフェース装置から構成されている。ユーザが画像を入力する場合や、表示指示を入力する場合などは、操作部34を介して、指示が制御部31に供給される。
【0088】
表示部35は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成され、制御部31の指示により、外部記憶部33が記憶する画像を表示する。表示部35は、画像表示部15の一部として機能する。
【0089】
受信部36は、通信ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースから構成されている。画像取得部11は、受信部36を介して通信ネットワークに接続し、外部から画像を受信する。また、消失点情報を外部から取得する場合も受信部36を介して受信する。
【0090】
図1に示す画像取得部11、記憶部12、消失点取得部13、画像遷移部14および画像表示部15の処理は、制御プログラム39が、制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、表示部35および受信部36などを資源として用いて処理することによって実行する。
【0091】
その他、前記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
【0092】
制御部31、主記憶部32、外部記憶部33、操作部34、内部バス30などから構成される画像遷移処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する画像遷移装置1を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバが有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータがダウンロード等することで画像遷移装置1を構成してもよい。
【0093】
また、画像遷移装置1の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0094】
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、通信ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。
【0095】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0096】
(付記1)
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得手段と、
前記第1画像の中の消失点の位置を示す消失点情報を取得する消失点取得手段と、
画像を表示する画像表示手段と、
前記消失点情報に基づいて、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記画像表示手段に前記第1画像が表示された状態から、前記第2画像を表示する表示領域を前記第1画像の1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移手段と、
を備えることを特徴とする画像遷移装置。
【0097】
(付記2)
前記消失点取得手段は、さらに前記第2画像の中の消失点の位置を示す消失点情報を取得し、
前記画像遷移手段は、前記第1画像の中に消失点がなく、前記第2画像の中に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記画像表示手段に前記第1画像が表示された状態から、前記第2画像を表示する表示領域を前記第2画像の1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大して、前記第2画像が表示された状態に遷移させることを特徴とする付記1に記載の画像遷移装置。
【0098】
(付記3)
前記消失点取得手段は、さらに前記第2画像の中の消失点の位置を示す消失点情報を取得し、
前記画像遷移手段は、前記第1画像および前記第2画像の中にそれぞれ1つの前記消失点があると判定した場合、前記第2画像の1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大する切取領域に切り取られた前記第2画像の一部を前記表示領域に表示することを特徴とする付記1または2に記載の画像遷移装置。
【0099】
(付記4)
前記画像遷移手段は、前記第2画像を前記表示領域に合わせて縮小し、前記表示領域に全体を表示させることを特徴とする付記1または2に記載の画像遷移装置。
【0100】
(付記5)
前記画像遷移手段は、前記第2画像の前記表示領域に対応する部分を切り取って、前記表示領域に表示させることを特徴とする付記1または2に記載の画像遷移装置。
【0101】
(付記6)
前記画像遷移手段は、前記表示領域の拡大に合わせて、前記第1画像の外枠に対して垂直方向に前記第1画像を圧縮して表示することを特徴とする付記1ないし5のいずれかに記載の画像遷移装置。
【0102】
(付記7)
前記画像遷移手段は、前記表示領域の拡大に合わせて、前記第1画像の外枠に対して垂直方向に前記第1画像を移動させ、前記第1画像の外枠から出た部分を消去することを特徴とする付記1ないし5のいずれかに記載の画像遷移装置。
【0103】
(付記8)
前記画像遷移手段は、前記表示領域が前記第2画像の形と常に相似となるように、前記表示領域を1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大することを特徴とする付記1ないし7のいずれかに記載の画像遷移装置。
【0104】
(付記9)
前記画像遷移手段は、前記消失点から放射状に伸びる2以上の任意の直線を設定し、前記直線を移動させて、前記消失点からの距離と、前記直線と前記第2画像の外枠との交点までの距離との比が同一となる各前記直線上の点を外周に含む前記表示領域を、1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大することを特徴とする付記1ないし7のいずれかに記載の画像遷移装置。
【0105】
(付記10)
前記画像遷移手段は、前記直線の移動に合わせて、前記第1画像の外枠に対して平行方向に前記第1画像を変形することを特徴とする付記9に記載の画像遷移装置。
【0106】
(付記11)
前記画像遷移手段は、前記画像表示手段に前記第2画像が表示された状態から、前記第1画像が表示された状態に逆の順序で遷移させることを特徴とする付記1ないし10のいずれかに記載の画像遷移装置。
【0107】
(付記12)
画像を表示する画像表示手段を備える画像遷移装置が実行する画像遷移方法であって、
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得ステップと、
前記第1画像の中の消失点の位置を示す消失点情報を取得する消失点取得ステップと、
前記消失点情報に基づいて、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記画像表示手段に前記第1画像が表示された状態から、前記第2画像を表示する表示領域を前記第1画像の1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移ステップと、
を備えることを特徴とする画像遷移方法。
【0108】
(付記13)
コンピュータを、
第1画像及び第2画像を含む2以上の画像を取得する画像取得手段、
前記第1画像の中の消失点の位置を示す消失点情報を取得する消失点取得手段、
画像を表示する画像表示手段、
前記消失点情報に基づいて、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があるか否かを判定し、前記第1画像の中に少なくとも1つの消失点があると判定した場合、前記画像表示手段に前記第1画像が表示された状態から、前記第2画像を表示する表示領域を前記第1画像の1つの前記消失点の位置から前記第2画像の外枠まで順次拡大して、前記第2画像が表示された状態に遷移させる画像遷移手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0109】
1・・・画像遷移装置、11・・・画像取得部、12・・・記憶部、13・・・消失点取得部、14・・・画像遷移部、15・・・画像表示部、31・・・制御部、32・・・主記憶部、33・・・外部記憶部、34・・・操作部、35・・・表示部、36・・・受信部、a11〜a14・・・距離、a21〜a24・・・距離、b11〜b14・・・距離、b21〜b24・・・距離、d1〜d8・・・距離、BP1〜BP4・・・基準点、BL1〜BL4・・・基準線、F1〜F12・・・画像、La1およびLa2・・・ライン、Lb1〜Lb4・・・ライン、M・・・中心、NI・・・第2画像、Pa1〜Pa4・・・頂点、Pb1〜Pb4・・・頂点、PI・・・第1画像、Va・・・消失点、Vb・・・消失点、X1〜X4・・・点
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