(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シート積載部と対向して、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記ホルダを覆う閉鎖位置と、前記シート積載部から離間して、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記ホルダを開放する開放位置とに変位可能なカバー部材を備え、
前記対向壁部は、前記カバー部材に設けられている請求項1乃至6のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来のシート搬送装置では、第1ローラのシートに対する押圧力をモータの回転数により加減することとしているため、シートの積載枚数に拘らず、シートを搬送方向に確実に送り出せるようにするためには、複雑な制御を行う必要がある。また、ホルダ及び第1ローラの自重のみでは、そのような適切な押圧力を設定することが困難である。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、シートの積載枚数に拘らず、シートを確実に搬送でき、また簡単な構成により安定したシート搬送を実現できるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート搬送装置は、1枚以上のシートが積載されるシート積載部と、
前記シート積載部に積載された前記シートを搬送方向に送り出す第1ローラと、
前記搬送方向における前記第1ローラより下流側に位置し、搬送される前記シートの幅方向に延在する回転軸心周りに回転し、複数枚の前記シートを1枚ずつに分離する第2ローラと、
前記回転軸心周りに揺動可能に支持され、前記第1ローラを回転可能に支持するホルダと、
前記ホルダを挟んで前記シート積載部と対向する対向壁部と、
前記対向壁部と前記ホルダとの間に設けられ、前記第1ローラを前記シート積載部側に向けて押圧する押圧手段とを備え、
前記押圧手段は、前記ホルダに変位可能に支持され、前記対向壁部に当接可能な保持部と、前記保持部と前記ホルダとの間に位置し、双方を離間させるように付勢力を発揮し、前記ホルダの前記回転軸心周りの揺動に拘らず、前記保持部が前記対向壁部に当接する状態を維持する付勢バネとを有し、
前記保持部は、一端側が前記ホルダに揺動軸心周りに揺動可能に支持され、他端側が
、前記ホルダの前記回転軸心周りの揺動に応じて変位しつつ、前記付勢バネの付勢力により前記対向壁部に当接することを特徴とする。
【0008】
本発明のシート搬送装置では、第1ローラは、押圧手段により、シート積載部に積載されたシートに向かって押圧される。この際、ホルダが回転軸心周りに揺動することにより、第1ローラとシート積載部との距離が変化する。その結果、第1ローラは、シートの積載枚数に拘らず、最上のシートに当接する。
【0009】
そして、
保持部は、一端側がホルダに揺動軸心周りに揺動可能に支持され、他端側が対向壁部に当接する。そして、押圧手段の付勢バネは、保持部とホルダとを離間させるように付勢力を発揮する。また、付勢バネは、ホルダの回転軸心周りの揺動に拘らず、保持部が対向壁部に当接する状態を維持する。これにより、押圧手段は、ホルダの回転軸心周りの揺動に拘らず、第1ローラをシート積載部側に向けて押圧する。その結果、このシート搬送装置は、シートの積載枚数に拘らず、第1ローラとシートとの間に作用する摩擦力をシートの送り出しに十分な程度にまで確実に高くできる。
【0010】
また、このシート搬送装置において、付勢バネは、ホルダ及び第1ローラの自重と比較して強い付勢力を発揮できる。そして、このシート搬送装置は、付勢バネの付勢力を任意に設定することにより、第1ローラのシートに対する押圧力を容易に加減できる。このため、このシート搬送装置では、第1ローラのシートに対する押圧力をモータの回転数により加減する上記従来のシート搬送装置と比較して、複雑な制御を行う必要がない。
【0011】
したがって、本発明のシート搬送装置は、シートの積載枚数に拘らず、シートを確実に搬送できる。また、付勢バネを利用した簡単な構成により、安定したシート搬送を実現できる。
【0012】
本発明のシート搬送装置は、回転軸心を軸心として延在し、第2ローラを回転駆動する回転軸と、ホルダに設けられ、回転軸の回転駆動力を第1ローラに伝達する伝達部とを備えることが望ましい。この構成によれば、回転する回転軸に対してホルダを連れ回らせようとする力がホルダに作用し易くなる。これにより、第1ローラは、押圧手段によりシートに押圧されるだけでなく、回転軸に対してホルダを連れ回らせようとする力によっても、シートに押圧される。その結果、このシート搬送装置は、シートの積載枚数に拘らず、第1ローラとシートとの間に作用する摩擦力をシートの送り出しに十分な程度にまで一層確実に高くできるので、シート積載部からシートを一層確実に搬送できる。
【0013】
保持部は、一端側がホルダに揺動軸心周りに揺動可能に支持され、他端側が対向壁部に当接す
る。この構成によれば、保持部の他端側の変位ストロークを長くし易い。このため、ホルダの回転軸心周りの揺動に拘らず、保持部の他端側が対向壁部に当接する状態を付勢バネが確実に維持できる。その結果、このシート搬送装置は、シート積載部からシートを一層確実に搬送できる。
【0014】
揺動軸心は、第1ローラ側に位置していることが望ましい。この構成によれば、ホルダの回転軸心周りの揺動のために第1ローラと対向壁部との間に確保されるスペースを利用して、保持部や、保持部を揺動軸心周りに揺動可能に支持する軸受部又は軸部等を設けることができるので、装置を小型化し易い。特に、揺動軸心が回転軸心側に位置している場合と比較して、対向壁部とホルダとの間隔を小さくし易いので、装置を薄型化し易い。
【0015】
第1ローラの外径は、第2ローラの外径よりも小さいことが望ましい。この構成によれば、第1ローラの外径が第2ローラの外径よりも小さいことで、第1ローラと対向壁部との間により大きなスペースを確保できるので、保持部や、保持部を揺動軸心周りに揺動可能に支持する軸受部又は軸部等のレイアウトの自由度が向上する。また、第1ローラの外径が第2ローラの外径以上である場合と比較して、対向壁部とホルダとの間隔を小さくし易いので、装置を薄型化し易い。
【0016】
保持部には、対向壁部側に向けて突出する第1当接部が設けられていることが望ましい。また、対向壁部には、シート積載部側に向けて突出し、第1当接部と対向する第2当接面を有する第2当接部が設けられていることが望ましい。そして、第1当接部は、ホルダの回転軸心周りの揺動に応じて第2当接面と摺接する第1当接面を有することが望ましい。さらに、第1当接面及び第2当接面は、ホルダの回転軸心周りの揺動に応じて付勢バネ
が特定の
長さになる形状を有することが望ましい。
【0017】
この構成によれば、第1当接面がホルダの回転軸心周りの揺動に応じて第2当接面と摺接することにより、シートの積層枚数に応じて、付勢バネの長さを伸縮させたり、一定に維持したりすることができる。このため、このシート搬送装置は、シートの積層枚数に応じて、付勢バネの付勢力の強弱を変化させたり、付勢力を一定に維持したりすることができる。その結果、このシート搬送装置は、シートの積層枚数に応じて、第1ローラとシートとの間に作用する摩擦力を変化させたり、一定に維持したりすることができるので、シート積載部からシートを一層確実に搬送できる。
【0018】
第1当接面及び第2当接面は、ホルダの回転軸心周りの揺動に拘らず、付勢バネの長さを一定に保つ形状を有することが望ましい。この構成によれば、第1当接面がホルダの回転軸心周りの揺動に応じて第2当接面と摺接することにより、シートの積層枚数に拘らず、付勢バネの長さを一定に維持することができる。このため、このシート搬送装置は、シートの積層枚数に拘らず、付勢バネの付勢力を一定に維持することができる。その結果、このシート搬送装置は、シートの積層枚数に拘らず、第1ローラとシートとの間に作用する摩擦力を一定に維持することができるので、シート積載部からシートを一層確実に搬送できる。
【0019】
本発明のシート搬送装置は、シート積載部と対向して、第1ローラ、第2ローラ及びホルダを覆う閉鎖位置と、シート積載部から離間して、第1ローラ、第2ローラ及びホルダを開放する開放位置とに変位可能なカバー部材を備えることが望ましい。そして、対向壁部は、カバー部材に設けられていることが望ましい。この構成によれば、第1ローラ及び第2ローラ等の近傍でシート詰まりが発生した場合、カバー部材を開放位置に変位させることで詰まったシートを除去し易い。また、カバー部材に対向壁部を設けることで、カバー部材とは別に対向壁部を設ける場合と比較して、部品点数を削減できる。その結果、このシート搬送装置は、製造コストの低廉化を確実に実現でき、装置の薄型化にも効果的である。
【0020】
本発明のシート搬送装置は、閉鎖位置に変位したカバー部材における幅方向の一方側と他方側とに係合して、カバー部材を位置決めする一対の位置決め部を備えることが望ましい。そして、押圧手段は、幅方向における両位置決め部の間に位置していることが望ましい。この構成によれば、押圧手段により対向壁部が押圧されても、一対の位置決め部によりカバー部材が撓み難く、押圧手段の押圧力を確実に第1ローラに作用させることができる。特に、第1当接部の第1当接面が第2当接部の第2当接面と摺接する構成を備える場合、カバー部材が一対の位置決め部によって確実に位置決めされていることで、第1当接部と第2当接部との相対位置関係が常に安定したものとなる。その結果、このシート搬送装置は、第1当接面が第2当接面と摺接することを確実に実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
(実施例)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。
図1では、操作パネル5が設けられた側を装置の前側と規定し、操作パネル5に向かった場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0024】
<構成>
図1及び
図2に示すように、画像読取装置1は、本体部2と開閉部3とを備える。本体部2は、扁平な略箱状体であり、その前側に操作パネル5が設けられている。
図3に示すように、本体部2の上面は、シート(原稿)を静止させた状態で読み取らせるための載置面2Aとされている。
図1及び
図2に示すように、開閉部3は、開閉軸心X3周りに揺動可能に本体部2に支持されている。開閉部3は、
図1に示す閉じた状態では、
図3に示すように載置面2Aを上方から覆っている。図示は省略するが、開閉部3は、その前側が上方に変位するように開閉軸心X3周りに揺動することにより、載置面2Aの上方を開放する。これにより、載置面2Aに読み取り対象となるシートを載置することができる。
【0025】
図3に示すように、本体部2内には、読取手段4が設けられている。読取手段4としては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが採用される。画像読取装置1は、載置面2Aに載置された原稿を読み取る場合、読取手段4を本体部2内における左端側から右端側に移動させながら、原稿の画像を読み取るようになっている。また、読取手段4は、
図3に示す本体部2内における左端側の位置である固定位置にある場合において、以下に説明するように、シート積載部80に積載される1枚以上のシート(原稿)9の画像を一枚ずつ搬送しながら読み取ることができる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、開閉部3は、ベース部材79と、アッパーシュート85と、カバー部材70と、供給トレイ81とを備える。
【0027】
図3に示すように、ベース部材79は、開閉部3を閉じた状態において、載置面2Aに上方から重なる略平板部材である。ベース部材79の左側部分は、後述する搬送経路P1の下流側の案内面を構成している。ベース部材79の右側部分は、搬送経路P1に沿って搬送されたシート9が排出され、積層されるシート排出部78を構成している。
【0028】
図4に示すように、ベース部材79の左側には、前後一対の立壁部79F、79Rが設けられている。両立壁部79F、79Rはそれぞれ、ベース部材79の前側と後ろ側とにおいて対向配置され、上方に向けて衝立状に延びている。
【0029】
図3及び
図4に示すように、アッパーシュート85は、開閉部3の略中央から左端側近くまで左右方向に延在し、前側及び後ろ側が両立壁部79F、79Rに組み付けられた略平板部材である。アッパーシュート85は、ベース部材79の左側部分に対して上方に離間している。アッパーシュート85は、後述する搬送経路P1の上流側の下側案内面を構成している。アッパーシュート85において、前後方向及び左右方向の略中央には、下方に向けて凹む凹部が形成されており、その凹部内に、平板形状の摩擦部材である分離パッド19が配設されている。
【0030】
図3に示すように、カバー部材70は、アッパーシュート85に対して上方に離間した状態で、開閉部3の略中央から左端まで左右方向に延在する略平板部材である。カバー部材70の左側は下方に垂れ下がるように屈曲し、その下端部が開閉軸心X70周りに揺動可能にベース部材79に支持されている。これにより、カバー部材70は、
図3に示す閉鎖位置と、
図4に示す開放位置とに変位可能とされている。
【0031】
図4に示すように、カバー部材70の内面には、左右方向に延びるリブ70Gが形成されている。リブ70Gは、前後方向に複数本並んでいる。
図3に示すように、カバー部材70が閉鎖位置にある場合、各リブ70Gは、アッパーシュート85に上方から対向し、後述する搬送経路P1の上流側の上側案内面を構成する。
【0032】
図4及び
図5に示すように、カバー部材70における開閉軸心X70から離れた自由端側の前後の角部には、前後一対の係合部70F、70Rが設けられている。両係合部70F、70Rは鍵爪形状とされており、カバー部材70が閉鎖位置に変位した場合に下方に向けて突出する。
【0033】
一方、両立壁部79F、79Rには、カバー部材70が閉鎖位置に変位した場合に両係合部70F、70Rと対向する位置に、前後一対の位置決め部791F、791Rが設けられている。両位置決め部791F、791Rは、両立壁部79F、79Rの内側面から斜め下方に延出する小片である。
【0034】
カバー部材70が開放位置から閉鎖位置に変位する場合、両係合部70F、70Rと両位置決め部791F、791Rとが弾性変形しながら摺接した後、
図5に示すように、両位置決め部791F、791Rの下端が両係合部70F、70Rに当て止まる状態となる。これにより、カバー部材70が閉鎖位置で位置決めされる。
【0035】
図3及び
図5に二点鎖線で示すように、供給トレイ81は、使用されていない状態では、閉鎖位置にあるカバー部材70に対して上方から重なる状態で、開閉部3の略中央から左端側近くまで左右方向に延在する略平板部材である。そして、
図4に示すように、供給トレイ81の右端部側は、開閉軸心X81周りに揺動可能に両立壁部79F、79Rに支持されている。
【0036】
図3及び
図4に示すように、供給トレイ81を使用する際には、供給トレイ81を開閉軸心X81周りにカバー部材70から離間するように揺動させる。これにより、供給トレイ81の上側を向く面は、アッパーシュート85の上面と連続する平面を形成する。この供給トレイ81の上側を向く面からアッパーシュート85の上面における分離パッド19の近傍までの平面は、1枚以上のシート9が積載されるシート積載部80として機能する。また、この状態において、シート積載部80は、シート排出部78の上方に位置している。
【0037】
図3に示すように、開閉部3の内部には、シート9をシート積載部80から搬送経路P1に沿って搬送し、シート排出部78に排出する搬送手段7が設けられている。ここで、搬送経路P1は、シート積載部80に積載されるシート9をアッパーシュート85の上面に沿って左側に搬送した後、下向きにUターンするように搬送方向を変更し、さらに、右向きに搬送して、固定位置にある読取手段4の上方を通過させ、最後に、シート排出部78に排出する経路である。また、シート9をシート積載部80から搬送する搬送方向C1は、本実施例では、右から左に向かう方向である。さらに、搬送されるシート9の幅方向は、本実施例では、前後方向である。
【0038】
図3、
図4及び
図6に示すように、搬送手段7は、回転軸12Sと、第2ローラ12と、分離パッド19と、ホルダ30と、第1ローラ11と、伝達部40と、押圧手段50とを備える。さらに、搬送手段7は、
図3に示すように、第3ローラ13と、第4ローラ14と、従動ローラ13A、13B、14Aとを備える。第1〜第4ローラ11〜14及び従動ローラ13A、13B、14Aの間に位置しているアッパーシュート85やベース部材79の表面も、シート9の搬送をガイドしており、搬送手段7の一部として機能している。
【0039】
図3及び
図4に示すように、回転軸12Sは、前後方向に延びる回転軸心X12を軸心として延在する円柱軸体である。回転軸12Sの前後端は、両立壁部79F、79Rに回転可能に支持されている。回転軸12Sは、シート積載部80に積載されるシート9を搬送経路P1に沿って搬送する際、図示しない駆動部により、
図3の紙面に向かって時計周りに回転駆動される。
【0040】
図3及び
図6に示すように、第2ローラ12は、回転軸12Sにおける前後方向の中央に固定されている。これにより、第2ローラ12は、回転軸心X12周りに回転軸12Sと一体回転する。
【0041】
図3に示すように、第2ローラ12は、アッパーシュート85に設けられた分離パッド19に対して上方から対向している。分離パッド19は、アッパーシュート85との間に設けられた付勢手段19Fにより、第2ローラ12に向かって押圧されている。
【0042】
図3、
図4及び
図6に示すように、ホルダ30は、第2ローラ12を前後から挟んだ状態で、回転軸心X12周りに揺動可能に回転軸12Sに支持されている。ホルダ30は、回転軸12Sに対して搬送方向C1の上流側、すなわち、右側に向かって延びている。
【0043】
図3及び
図6に示すように、第1ローラ11は、第2ローラ12に対して右側に位置して、回転軸心X12と平行な回転軸心X11周りに回転可能にホルダ30に支持されている。言い換えれば、第2ローラ12は、第1ローラ11に対して搬送方向C1の下流側に位置している。
図6に示すように、第1ローラ11の外径D1は、第2ローラ12の外径D2よりも小さくされている。
【0044】
図3及び
図4に示すように、ホルダ30は、第1ローラ11及び第2ローラ12を上方から覆う上壁部31を有する。上壁部31には、第1ローラ11の上方に位置して下方に向けて凹む凹部32が形成されている。凹部32は、第1ローラ11の外径D1が第2ローラ12の外径D2よりも小さいことにより、第1ローラ11の上方に確保される空きスペースを利用している。
【0045】
図6に示すように、伝達部40は、ホルダ30に設けられており、3個のギヤ41、42、43を有する。ギヤ41は、第2ローラ12の後端側に一体回転可能に固定されている。ギヤ43は、第1ローラ11の後端側に一体回転可能に固定されている。ギヤ42は、ホルダ30に回転可能に支持され、ギヤ41とギヤ43とに噛み合っている。
【0046】
回転軸12Sが図示しない駆動部により回転駆動されると、伝達部40は、ギヤ41、42、43により、回転軸12Sの回転駆動力を第1ローラ11に伝達して、第1ローラ11及び第2ローラ12を同期回転させる。この際、回転軸12Sとホルダ30との間の摩擦抵抗や、ギヤ41、42、43が噛み合って回転する際の摩擦抵抗等により、回転する回転軸12Sに対してホルダ30を連れ回らせようとする力がホルダ30に作用するので、ホルダ30は、回転軸心X12周りに第2ローラ12の回転方向と同じ方向に揺動するように付勢される。その結果、ホルダ30に支持された第1ローラ11がシート積載部80側に向かって押圧される。なお、
図3に示す例では、第1ローラ11とアッパーシュート85(シート積載部80)との間に、支持部材18が設けられている。支持部材18は、第1ローラ11の回転時における異音の発生を防止するためのフィルムや、第1ローラ11の磨耗を抑制するための対向ローラを支持するものであり、アッパーシュート85に取り付けられている。
【0047】
図3、
図4及び
図6に示すように、押圧手段50は、カバー部材70の一部である対向壁部71と、ホルダ30との間に設けられている。より詳しくは、対向壁部71は、閉鎖位置にあるカバー部材70において、ホルダ30の上方に位置して略水平に延在する壁部である。対向壁部71は、ホルダ30を挟んでシート積載部80と対向している。
【0048】
押圧手段50は、保持部60と付勢バネ51とを有する。
【0049】
保持部60は、ホルダ30の上部において、左右方向に延在する部材である。
図6に示すように、保持部60は、右端側に前後方向に突出する軸部
62を有する。軸部
62は、ホルダ30の凹部32に設けられた図示しない軸受部に揺動可能に支持されている。これにより、保持部60は、揺動軸心X60周りに揺動可能にホルダ30に支持され、保持部60の左端側が上下に変位して対向壁部71に当接可能となっている。揺動軸心X60は、第2ローラ12側ではなく、第1ローラ11側に位置している。
【0050】
付勢バネ51は、圧縮コイルバネである。付勢バネ51の下端部は凹部32の底部に係止され、付勢バネ51の上端部は、保持部60の左端側に下方から係止されている。これにより、付勢バネ51は、保持部60とホルダ30との間に位置して、双方を離間させるように付勢力を発揮する。
【0051】
保持部60の左端側には、対向壁部71側に向けて突出する第1当接部61が設けられている。第1当接部61の上端部は、上向きに膨らむ湾曲面とされている。また、第1当接部61における湾曲面の右側は、下向きに凹みながら下り傾斜する傾斜面とされている。この湾曲面と傾斜面とにより、第1当接部61の第1当接面61Aが構成されている。
【0052】
対向壁部71には、シート積載部80側(ホルダ30側)に向けて突出する第2当接部72が設けられている。第2当接部72の下端部は、下向きに膨らむ湾曲面とされている。また、第2当接部72における湾曲面の左側は、上向きに凹みながら
上り傾斜する傾斜面とされている。この湾曲面と傾斜面とにより、第2当接部72の第2当接面72Aが構成されている。
【0053】
図5に示すように、第1当接部61及び第2当接部72は、前後方向における両位置決め部791F、791Rの間に位置して、上下方向から対向している。
【0054】
シート積載部80に積載されるシート9の枚数が例えば、
図7(a)に示す1枚の場合、
図7(b)に示す25枚の場合、又は
図7(c)に示す50枚の場合、というように増減する場合、ホルダ30は、回転軸心X12周りに揺動することにより、第1ローラ11とシート積載部80との距離を変化させる。このため、第1ローラ11は、シート9の積載枚数に拘らず、最上のシート9に当接する。
【0055】
また、シート積載部80に積載されるシート9の枚数が例えば、
図7(a)〜(c)に示すように増減する場合、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に伴って、揺動軸心X60も回転軸心X12周りに揺動し、第1当接面61Aと第2当接面72Aとの相対位置関係も変化する。この際、付勢バネ51は、例えば
図7(a)〜(c)に示すように、保持部60とホルダ30とを離間させるように付勢力を発揮することにより、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、第1当接面61Aを第2当接面72Aに摺接させ、その摺接する状態を維持するようになっている。
【0056】
また、本実施形態の第1当接面61A及び第2当接面72Aは、例えば
図7(a)〜(c)に示すように、上述した形状を有して互いに摺接することにより、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、付勢バネ51の長さL1を一定に保つようになっている。本実施例では、付勢バネ51の自然長は、10.7mmであり、圧縮された長さL1は8.1mmで一定とされている。このような形状は、例えば、設計段階において、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動角度を小刻みに変位させ、その都度、第1当接面61A及び第2当接面72Aの少なくとも一方を膨らませたり凹ませたりすることにより設定できる。このように、付勢バネ51の長さを一定に保つことで、第1ローラ11からシート積載部80上のシート9にかかる押圧力が一定に保たれる。詳細については、後述する。
【0057】
図3及び
図4に示すように、第3ローラ13は、アッパーシュート85の左端縁側に位置する大径ローラである。第3ローラ13は、搬送経路P1の下向きにUターンする部分の内側で、第1ローラ11及び第2ローラ12と同期回転する。従動ローラ13A、13Bは、搬送経路P1の下向きにUターンする部分の外側から、第3ローラ13に向けて押圧されている。
【0058】
第4ローラ14は、ベース部材79におけるシート排出部78の左側に位置している。第4ローラ14は、搬送経路P1の最下流側で第1ローラ11、第2ローラ12及び第3ローラ13と同期回転する。従動ローラ14Aは、搬送経路P1の最下流側で上外側から、第4ローラ14に向けて押圧されている。
【0059】
<シート積載部上のシートの自動読取動作>
このような構成である画像読取装置1は、以下のようにして、シート積載部80に積載されたシート9の画像を順次読み取る。
【0060】
まず、
図7(a)〜(c)に示すように、ユーザが1枚以上のシート9をシート積載部80に積載して、シート9の先端縁を第1ローラ11の下方まで差し入れる。そうすると、第1ローラ11がシート9の先端縁により押し上げられるので、ホルダ30が回転軸心X12周りに上方に揺動する。
【0061】
例えば、
図7(a)に示すように、シート9の積層枚数が1枚である場合、保持部60の揺動軸心X60は最も下方に位置するので、保持部60全体としては、傾斜した姿勢で対向壁部71に対して最も下方に離間する。この際、付勢ばね51の付勢力により、第1当接面61Aの上側(頂部付近)と、第2当接面72Aの下側(頂部付近)とが当接するので、その反力として、ホルダ30に支持された第1ローラ11がシート積載部80側に向かって押圧される。この際の付勢バネ51の長さL1は、本実施例では、自然長10.7mmに対して、長さL1
は8.1mmまで圧縮されている。
【0062】
また、例えば、
図7(b)に示すように、シート9の積層枚数が25枚である場合、保持部60の揺動軸心X60はシート9の厚みにより、
図7(a)の場合よりも上方に変位し、保持部60全体としても、対向壁部71に対して接近する。この際、付勢ばね51の付勢力により、第1当接面61Aの頂部付近と、第2当接面72Aの中間部とが当接するので、その反力として、ホルダ30に支持された第1ローラ11がシート積載部80側に向かって押圧される。この際の付勢バネ51の長さL1は、上述した第1当接面61A及び第2当接面72Aの形状により、
図7(a)の場合に対して変化せず、一定の長さ8.1mmに維持される。
【0063】
また、例えば、
図7(c)に示すように、シート9の積層枚数が50枚である場合、保持部60の揺動軸心X60は
図7(b)の場合よりもさらに上方に変位し、保持部60全体としても、水平に近い姿勢で対向壁部71に対して最も接近する。この際、付勢ばね51の付勢力により、第1当接面61Aの上側(頂部付近)と、第2当接面72Aの上側(対向壁部71付近)とが当接するので、その反力として、ホルダ30に支持された第1ローラ11がシート積載部80側に向かって押圧される。この際の付勢バネ51の長さL1も、上述した第1当接面61A及び第2当接面72Aの形状により、
図7(a)の場合に対して変化せず、一定の長さ8.1mmに維持される。
【0064】
つまり、シート9の積載枚数によって第1当接面61Aの上側(頂部付近)と第2当接面72Aとの当接位置が徐々にずれていき、付勢バネ51の長さL1が一定に保たれる。より具体的には、付勢バネ51の長さL1が一定に保たれるように、第1当接面61Aの表面形状と、第2当接面72Aの表面形状が形成されている。なお、付勢バネ51の長さL1が一定である
ことは、本発明の「特定の
長さ」の一例である。
【0065】
こうして、押圧手段50は、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、すなわち、シート積載部80に積載されたシート9の積層枚数に拘らず、第1ローラ11をシート積載部80側に向けて押圧する。この際、付勢バネ51の付勢力を一定に維持することができるので、押圧手段50によるシート9側への押圧力が変化しない。
【0066】
このように構成された画像読取装置1では、ユーザが操作パネル5を操作することにより、画像読取装置1が自動読取動作を開始すると、図示しない駆動部が稼働して、回転軸12S及び第2ローラ12が回転する。そうすると、伝達部40により、回転軸12Sの回転駆動力が第1ローラ11に伝達されて、第1ローラ11が第2ローラ12と同期回転する。この際、回転軸12Sに対してホルダ30を連れ回らせようとする力によっても、ホルダ30に支持された第1ローラ11がシート積載部80側に向かって押圧される。その結果、第1ローラ11は、シート9の積載枚数に拘らず、押圧手段50の押圧力と、回転軸12Sに対してホルダ30を連れ回らせようとする力とにより、シート積載部80上のシート9に向かって確実に押圧されるので、第1ローラ11とシート積載部80上のシート9との間に作用する摩擦力をシート9の送り出しに十分な程度にまで確実に高くでき、シート9を搬送方向C1に確実に送り出すことができる。
【0067】
第1ローラ11には、押圧手段50により、一定の押圧力がシート9に向かってかかっており、このような第1ローラ11に送り出されたシート9は、第2ローラ12と分離部パッド19との間を通過する。この際、シート9が重送されていれば、第2ローラ12の搬送力と、分離部パッド19の摩擦力とにより、シート9が1枚ずつに分離される。
【0068】
また、第3ローラ13及び第4ローラ
14も、回転軸12S等と同期回転する。そして、第3ローラ13は、第2ローラ12により1枚ずつに分離されたシート9を下向きにUターンさせて、固定位置にある読取手段4の上方を通過させる。これにより、読取手段4は、シート9の画像を読み取る。そして、画像が読み取られたシート9は、第4ローラ14により、シート排出部78に排出される。このような動作は、シート積載部80上のシート9が無くなるまで繰り返される。
【0069】
<作用効果>
実施例の画像読取装置1では、押圧手段50の付勢バネ51は、保持部60とホルダ30とを離間させるように付勢力を発揮する。また、付勢バネ51は、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、保持部60の第1当接面61Aが対向壁部71の第2当接面72Aに当接する状態を維持する。これにより、押圧手段50は、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、ホルダ30に支持された第1ローラ11をシート積載部80側に向けて押圧する。また、第1ローラ11は、押圧手段50によりシート9に向かって押圧されるだけでなく、回転軸12Sに対してホルダ30を連れ回らせようとする力によっても、シート9に向かって押圧される。その結果、この画像読取装置1は、シート9の積載枚数に拘らず、第1ローラ11と最上のシート9との間に作用する摩擦力をシート9の送り出しに十分な程度にまで確実に高くできる。
【0070】
また、この画像読取装置1において、付勢バネ51は、ホルダ30及び第1ローラ11の自重のみによる構成と比較して強い付勢力を発揮できる。そして、このシート搬送装置1は、付勢バネ51の付勢力を任意に設定することにより、第1ローラ11のシート9に対する押圧力を容易に加減できる。このため、この画像読取装置1では、第1ローラのシートに対する押圧力をモータの回転数により加減する上記従来のシート搬送装置と比較して、複雑な制御を行う必要がない。
【0071】
したがって、実施例の画像読取装置1によれば、シート積載部80からシート9を確実に搬送でき、また、付勢バネ51を利用した簡単な構成により、安定したシート搬送を実現できる。
【0072】
また、この画像読取装置1によれば
、保持部60の右端側がホルダ30に揺動軸心X60周りに揺動可能に支持され
、保持部60の他端側が対向壁部71に当接する構成を備えることにより、保持部60の第1当接部61の変位ストロークを長くし易い。このため、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、保持部60の第1当接部61が対向壁部71の第2当接部72に当接する状態を付勢バネ51が確実に維持できる。その結果、この画像読取装置1は、シート積載部80からシート9を一層確実に搬送できる。
【0073】
さらに、この画像読取装置1によれば、揺動軸心X60が第1ローラ11側に位置する構成を備えることにより、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動のために第1ローラ11と対向壁部71との間に確保されるスペースを利用して、凹部32、保持部60、軸部
62及び軸部
62を支持する図示しない軸受部等を設けることができるので、装置を小型化し易い。特に、揺動軸心X60が回転軸心X12側に位置している場合と比較して、対向壁部71とホルダ30との間隔を小さくし易いので、装置を薄型化し易い。
【0074】
また、この画像読取装置1によれば、第1ローラ11の外径D1が第2ローラ12の外径D2よりも小さい構成を備えることにより、第1ローラ11と対向壁部71との間により大きなスペースを確保できるので、凹部32、保持部60、軸部
62及び軸部
62を支持する図示しない軸受部等のレイアウトの自由度が向上する。また、第1ローラ11の外径D1が第2ローラ12の外径D2以上である場合と比較して、対向壁部71とホルダ30との間隔を小さくし易いので、装置を薄型化し易い。
【0075】
さらに、この画像読取装置1によれば、第1当接面61A及び第2当接面72Aが上述した形状を有し、第1当接面61Aがホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に応じて第2当接面72Aと摺接することにより、シート9の積層枚数に拘らず、付勢バネ51の長さL1を一定に維持することができる。このため、この画像読取装置1は、シート9の積層枚数に拘らず、付勢バネ51の付勢力を一定に維持することができるので、押圧手段50のシート9に対する押圧力が変化しない。その結果、この画像読取装置1は、シート9の積層枚数に拘らず、第1ローラ11と最上のシート9との間に作用する摩擦力を一定に維持することができるので、シート積載部80からシート9を一層確実に搬送できる。
【0076】
また、この画像読取装置1によれば、第1ローラ11及び第2ローラ12等の近傍でシート9の詰まりが発生した場合、
図4に示すように、カバー部材70を開放位置に変位させることで、第1ローラ11、第2ローラ12及びホルダ30を開放することができる。このため、第1ローラ11及び第2ローラ12等の近傍で詰まったシート9を除去し易い。また、カバー部材70に対向壁部71を設けることで、カバー部材70とは別に対向壁部71を設ける場合と比較して、部品点数を削減できる。その結果、この画像読取装置1は、製造コストの低廉化を確実に実現できる。
【0077】
さらに、この画像読取装置1によれば、
図5に示すように、押圧手段50が前後方向における両位置決め部791F、791Rの間に位置している構成を備えることにより、第1当接部61に対向壁部71の第2当接部72が押圧されても、両位置決め部791F、791Rに対向壁部71が確実に保持されるので、カバー部材70が撓み難い。その結果、押圧手段50の押圧力を確実に第1ローラ11に作用させることができる。特に、カバー部材70が両位置決め部791F、791Rによって確実に位置決めされていることで、第1当接部61と第2当接部72との相対位置関係が常に安定したものとなる。その結果、この画像読取装置1は、第1当接面61Aが第2当接面72Aと摺接することを確実に実現できる。
【0078】
図8に、比較例の画像読取装置を示す。比較例の画像読取装置は、実施例の画像読取装置1から第2当接部72を取り除き、第1当接部61の形状を僅かに変更した第1当接部161を保持部60の左端側に設けただけである。ここで、圧縮コイルバネである付勢バネ51は、一般的に、伸縮ストロークを長く確保しつつ、伸縮ストロークの全範囲に亘って高い付勢力を発揮することが難しい。このため、比較例の画像読取装置では、押圧手段50は、例えば、以下のように作用することになる。
【0079】
図8(a)〜(c)に示すように、比較例の画像読取装置において、ユーザが1枚以上のシート9をシート積載部80に積載して、シート9の先端縁を第1ローラ11の下方まで差し入れる。そうすると、第1ローラ11がシート9の先端縁により押し上げられるので、ホルダ30が回転軸心X12周りに上方に揺動する。
【0080】
例えば、
図8(a)に示すように、シート9の積層枚数が1枚である場合、保持部60の揺動軸心X60は最も下方に位置する。この場合、付勢ばね51の長さL2は、自然長10.7mmまで延び切ってしまう。この場合、保持部60全体としては、最も傾斜した姿勢で対向壁部71に対して最も下方に離間する。第1当接部161も対向壁部71に対して下方に離間している。その結果、押圧手段50は、ホルダ30に支持された第1ローラ11をシート積載部80側に向かって押圧できない。
【0081】
一方、例えば、
図8(b)に示すように、シート9の積層枚数が25枚である場合、保持部60の揺動軸心X60は
図8(a)の場合よりも上方に変位し、保持部60全体としても、対向壁部71に対して接近する。この際、第1当接部161が対向壁部71に対して下方から僅かに接触するだけなので、付勢バネ51の長さL2が自然長とほとんど変わらない。この場合、付勢バネ51の付勢力はほとんど発揮されず、ホルダ30に支持された第1ローラ11が僅かにシート積載部80側に向かってほとんど押圧されない。
【0082】
また、例えば、
図8(c)に示すように、シート9の積層枚数が50枚である場合、保持部60の揺動軸心X60は
図8(b)の場合よりも上方に変位し、保持部60全体としても、水平に近い姿勢で対向壁部71に対して最も接近する。この際、第1当接部161が対向壁部71に対して下方から接触して、保持部60の左端側とホルダ30が接近するので、付勢バネ51の長さL2が大きく縮む。本比較例では、付勢バネ51の長さL2は8.1mmとなる。この場合、付勢バネ51の付勢力は大きくなるので、ホルダ30に支持された第1ローラ11がシート積載部80側に向かって大きな力で押圧される。
【0083】
すなわち、比較例の画像読取装置では、押圧手段50の押圧力は、シート9の積層枚数が9〜24枚まではゼロであり、25枚から50枚まで増えるに従い、ゼロから増加することになる。
【0084】
こうして、比較例の画像読取装置では、シート9の積層枚数によって、押圧手段50のシート9に対する押圧力が大きく変動し易い。その結果、比較例の画像読取装置では、シート積載部80からシート9を確実に搬送できないという不具合が発生するおそれがある。例えば、シート9に対する押圧力が低すぎる場合、シート積載部80からシート9が搬送されない、という不具合を生じる可能性がある。
【0085】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0086】
例えば、実施例では、対向壁部71がカバー部材70に設けられていたが、この構成に限定されない。例えば、対向壁部は、ハウジングの内壁面等で形成してもよい。また、シート積載部は、装置本体に対して着脱可能なシートカセット等であってもよい。
【0087】
実施例では、ホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に拘らず、付勢バネ51の長さL1を一定に維持しているが、この構成に限定されない。例えば、第1当接面61A又は第2当接面72Aの形状を変更し、第1当接面61Aがホルダ30の回転軸心X12周りの揺動に応じて第2当接面72Aと摺接することにより、シート9の積層枚数に応じて、付勢バネ51の長さL1を適宜伸縮させるようにしてもよい。