(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数相の受電コイルは、前記受電コイル毎に、コンデンサ(55a、55b、55c、・・・55f)とともに、共振回路(56a、56b、56c、・・・56f)を構成することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
前記複数相の受電コイルは、相毎に、コンデンサ(55a、55b、55c)とともに、共振回路(56a、56b、56c)を構成することを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0012】
(第1実施形態)
図1、
図2に本発明に係るダクトファン1の第1実施形態を示す。
図1は
図2中A−A断面図であり、
図2は
図1中B−B断面図である。
【0013】
ダクトファン1は、
図1および
図2に示すように、ファン2、およびファン2を駆動するブラシレスモータ3から構成されている。
【0014】
ファン2は、円筒ダクト4内に配置されている。ファン2は、複数枚のブレード21、および筒部22を備える。複数枚のブレード21は、筒部22の軸線を中心とする円周方向に等間隔にて並べられている。複数枚のブレード21は、空気に対して回転エネルギを与える役割を果たす。本実施形態では、8枚のブレード21が用いられている。筒部22は、複数枚のブレード21のそれぞれを支持するように構成されている。
【0015】
ここで、筒部22の軸線方向一方側には、蓋部22aが設けられている。蓋部22aの貫通孔には、ブラシレスモータ3の回転軸31が嵌め込まれている。筒部22は、ブラシレスモータ3の回転軸31の回転力を複数枚のブレード21に伝える役割を果たす。
【0016】
筒部22は、その軸線方向が円筒ダクト4の軸線方向に対して一致するように配置されている。ブラシレスモータ3の回転軸31は、その軸線方向が円筒ダクト4の軸線方向に対して一致するように配置されている。
【0017】
ブラシレスモータ3は、三相型のモータを構成するものであって、回転部32を備える。回転部32は、回転軸31、および樹脂製の回転子33を備える。回転子33は、筒部材33Aおよび突起部(ティース)33a、33b、33c、33d、33e、33fから構成されている。
【0018】
筒部材33Aの中空部には、回転軸31が圧入されて筒部材33aと回転軸31との間が固定されている。筒部材33aは、その軸線方向が回転軸31の軸線方向に対して一致するように形成されている。
【0019】
突起部33a、33b、33c、33d、33e、33fは、それぞれ、筒部材33aから径方向外側に突出するように形成されている。突起部33a、33b、33c、33d、33e、33fは、それぞれ、回転軸31の軸線を中心とする円周方向において等間隔に並べられている。
【0020】
突起部33aの先端側には、U相受電コイル34aが巻かれている。突起部33bの先端側には、V相受電コイル34bが巻かれている。突起部33cの先端側には、W相受電コイル34cが巻かれている。突起部33dの先端側には、U相受電コイル34dが巻かれている。突起部33eの先端側には、V相受電コイル34eが巻かれている。突起部33fの先端側には、W相受電コイル34fが巻かれている。
【0021】
U相受電コイル34a、34dは、回転軸31を挟んで対向するように配置されている。V相受電コイル34b、34eは、回転軸31を挟んで対向するように配置されている。W相受電コイル34c、34fは、回転軸31を挟んで対向するように配置されている。
【0022】
U相受電コイル34a、V相受電コイル34b、W相受電コイル34c、U相受電コイル34d、V相受電コイル34e、W相受電コイル34fが回転軸31を中心とする円周方向に等間隔に並べられていることになる。
【0023】
ブラシレスモータ3は、
図2に示すように、固定部35を備える。固定部35は、円筒ダクト4内に配置されている。固定部35は、フロントハウジング36、リアハウジング37、および円筒状部材38を備える。
【0024】
円筒状部材38は、その軸線方向が回転軸31の軸線方向に対して一致するように形成されている。円筒状部材38は、その軸線方向他方側がステー5によって支えられている。本実施形態の円筒状部材38は、樹脂材料などの電気絶縁材料からなる。
【0025】
円筒状部材38の外面には、導体膜39a、39bが接着(或いは、蒸着)されている。導体膜39a、39bは、アルミニウム等の導電性材料によって矩形状に形成されているものである。
【0026】
ここで、円筒状部材38の外表面を円周方向にて4等分した場合に、円周方向に並べられる4つの領域を、第1の領域X1、第2の領域X2、第3の領域X3、第4の領域X4とすると、導体膜39aは、第1の領域X1に配置され、導体膜39bは、第3の領域X3に配置されている。このため、導体膜39a、第2の領域X2、導体膜39b、第4の領域X4が円周方向に並べられている。導体膜39a、39bがそれぞれ導体を構成している。第2の領域X2が不導体を構成し、第4の領域X4が不導体を構成する。このことにより、導体(39a、39b)、および不導体(X2、X4)が円周方向に交互に並べられることになる。
【0027】
ステー5は、回転軸31の軸線方向に直交するように配置されている板部材である。ステー5には、通気孔5aが設けられている。
【0028】
フロントハウジング36は、円筒状部材38のうち軸線方向一方側の開口部を塞ぐように形成されている円板状部材である。フロントハウジング36には、軸線方向一方側に凹む凹部36aが設けられている。凹部36a内には、ベアリング50aが配置されている。ベアリング50aは、回転軸31の軸線を中心とするリング状に形成されている。このことにより、フロントハウジング36がベアリング50aを介して回転軸31を回転自在に支持することになる。
【0029】
フロントハウジング36、および円筒状部材38の間を固定するために、フロントハウジング36には、円筒状部材38の8個の穴部38a(
図3参照)にそれぞれ嵌め込まれる8個の突起部が設けられている。
【0030】
リアハウジング37は、円筒状部材38のうち軸線方向他方側の開口部を塞ぐように形成されている円板状部材である。リアハウジング37は、軸線方向他方側に凹む凹部37aが設けられている。凹部37a内には、ベアリング50bが配置されている。ベアリング38bは、回転軸31の軸線を中心とするリング状に形成されている。このことにより、リアハウジング37がベアリング50bを介して回転軸31を回転自在に支持することになる。
【0031】
リアハウジング37、および円筒状部材38の間を固定するために、フロントハウジング36には、円筒状部材38の8個の穴部38b(
図5中3個の穴部38bを示す)にそれぞれ嵌め込まれる8個の突起部が設けられている。
【0032】
図1のブラシレスモータ3は、U相送電コイル40a、V相送電コイル40b、W相送電コイル40cを備える。U相送電コイル40aは、円筒ダクト4の突起部41aに巻かれている。V相送電コイル40bは、円筒ダクト4の突起部41bに巻かれている。W相送電コイル40cは、円筒ダクト4の突起部41cに巻かれている。突起部41a、41b、41cは、それぞれ、円筒ダクト4から径方向外側に突出するように形成されている。突起部41a、41b、41cは、円筒ダクト4の軸線(回転軸31の軸線)を中心とする円周方向に並べられている。このことにより、U相送電コイル40a、V相送電コイル40b、W相送電コイル40cが円周方向に並べられていることになる。
【0033】
次に、本実施形態のブラシレスモータ3の電気回路構成について
図6を参照して説明する。
図6は、ブラシレスモータ3の電気回路構成を示す図である。
【0034】
U相送電コイル40aは、コンデンサ51aとともに、共振回路54aを構成する。V相送電コイル40bは、コンデンサ51bとともに、共振回路54bを構成する。W相送電コイル40cは、コンデンサ51cとともに、共振回路54cを構成する。
【0035】
高周波交流電源53a、53b、53cは、それぞれ異なる固有周波数にて発振して所定の固有周波数の高周波交流電圧をそれぞれ発生する。共振回路54a、54b、54cは、それぞれ相違する共振周波数を有する。
【0036】
U相受電コイル34aは、コンデンサ55aとともに、共振回路56aを構成する。U相受電コイル34dは、コンデンサ55dとともに、共振回路56dを構成する。
【0037】
ここで、共振回路56a、56dは、それぞれ同一の共振周波数を有しており、これらが共振することで発生する磁界共鳴周波数により、高効率で無線給電することができる。高周波交流電源53aの周波数は、共振回路56a(或いは、56d)と共振回路54aとの間で発生する磁界共鳴周波数に設定されている。
【0038】
なお、磁界共鳴は、特開2011−200052号公報に記載されているように、周知のものである。
【0039】
V相受電コイル34bは、コンデンサ55bとともに、共振回路56bを構成する。V相受電コイル34eは、コンデンサ55eとともに、共振回路56eを構成する。
【0040】
ここで、共振回路56b、56eは、それぞれ同一の共振周波数を有しており、これらが共振することで発生する磁界共鳴周波数により、高効率で無線給電することができる。高周波交流電源53bの周波数は、共振回路56b(或いは、56e)と共振回路54bとの間で発生する磁界共鳴周波数に設定されている。
【0041】
W相受電コイル34cは、コンデンサ55cとともに、共振回路56cを構成する。W相受電コイル34fは、コンデンサ55fとともに、共振回路56fを構成する。
【0042】
ここで、共振回路56c、56fは、それぞれ同一の共振周波数を有しており、これらが共振することで発生する磁界共鳴周波数により、高効率で無線給電することができる。高周波交流電源53cの周波数は、共振回路56c(或いは、56f)と共振回路54cとの間で発生する磁界共鳴周波数に設定されている。
【0043】
制御回路60は、スイッチ52a、52b、52cをオン/オフ制御する。スイッチ52aは、高周波交流電源53aとコンデンサ51aとの間を接続/開放する。スイッチ52bは、高周波交流電源53bとコンデンサ51bとの間を接続/開放する。スイッチ52cは、高周波交流電源53cとコンデンサ51cとの間を接続/開放する。
【0044】
次の本実施形態のブラシレスモータ3の作動について
図7、
図8を参照して説明する。
【0045】
図7は、第1状態(S1)、第2状態(S2)、第3状態(S3)におけるU相受電コイル34a、34d、V相受電コイル34b、34e、W相受電コイル34c、34fの作動状態を示す図表である。
図7中の“ON”は受電コイルが電力を受電している旨を示し、“OFF”は、受電コイルが電力の受電を停止している旨を示している。
【0046】
まず、第1状態(S1)では、制御回路60は、スイッチ52cをオンする。このため、高周波交流電源53cとコンデンサ51cとの間が接続される。したがって、共振回路54c、56cとの間では、高周波交流電源53cから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、W相送電コイル40cからW相受電コイル34cに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0047】
このとき、W相送電コイル40cとW相受電コイル34cとの間では、導体(39b)および不導体(X2)が配置されている。導体(39b)には、W相受電コイル34cの交流磁場によって誘起された渦電流が流れる。これに伴い、W相受電コイル34cと導体(39b)との間には、矢印bのように、径方向に傾斜する方向に電磁力が発生する(フレミング左手の法則)。この電磁力のうち円周方向の成分がW相受電コイル34cの回転力として機能する。
【0048】
共振回路54c、56fとの間では、高周波交流電源53cから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、W相送電コイル40cからW相受電コイル34fに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0049】
このとき、W相受電コイル34fには、前記送電による交流磁場が形成される。W相送電コイル40cとW相受電コイル34fとの間には、導体(39a)および不導体(X4)が配置されている。導体(39a)には、W交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、W相受電コイル34fと導体(39a)との間には、矢印bのように、径方向に傾斜する方向に電磁力が発生する(フレミング左手の法則)。この電磁力のうち円周方向の成分がW相受電コイル34cの回転力として機能する。
【0050】
なお、第1状態(S1)において、制御回路60は、スイッチ52aをオンする。このため、高周波交流電源53aとコンデンサ51aとの間が接続される。したがって、共振回路54a、56aとの間では、高周波交流電源53aから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、U相送電コイル40aからU相受電コイル34aに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0051】
このとき、U相送電コイル40aとU相受電コイル34aとの間では、導体(39a)が配置されている。導体(39a)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、U相受電コイル34aと導体(39a)との間には、電磁力として斥力が発生する(フレミング左手の法則)。
【0052】
一方、共振回路54a、56dとの間では、高周波交流電源53aから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、U相送電コイル40aからU相受電コイル34dに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0053】
このとき、U相送電コイル40aとU相受電コイル34aとの間には、交流磁場が形成される。U相送電コイル40aとU相受電コイル34dとの間には、導体(39b)が配置されている。導体(39b)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、U相受電コイル34aと導体(39b)との間には、電磁力として斥力が発生する(フレミング左手の法則)。
【0054】
このようにW相受電コイル34c、34fに作用する電磁力によって回転部32が円周方向一方側(A矢印方向)に回転する。
【0055】
次に、第2状態(S2)では、制御回路60は、スイッチ52aをオンする。このため、高周波交流電源53aとコンデンサ51aとの間が接続される。したがって、共振回路54a、56aとの間では、高周波交流電源53aから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、U相送電コイル40aからU相受電コイル34aに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0056】
このとき、U相受電コイル34aに対向する位置に、導体(39a)および不導体(X4)が配置されている。導体(39a)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、U相受電コイル34aと導体(39a)との間には、矢印bのように、径方向に傾斜する方向に電磁力が発生する(フレミング左手の法則)。この電磁力のうち円周方向の成分がU相受電コイル34aの回転力として機能する。
【0057】
一方、共振回路54a、56dとの間では、高周波交流電源53aから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、U相送電コイル40aからU相受電コイル34dに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0058】
このとき、U相受電コイル34dには前記送電による、交流磁場が形成される。U相受電コイル34dに対向する位置には、導体(39b)および不導体(X2)が配置されている。導体(39b)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、U相受電コイル34aと導体(39b)との間には、矢印bのように、径方向に傾斜する方向に電磁力が発生する。この電磁力のうち円周方向の成分がU相受電コイル34dの回転力として機能する。
【0059】
なお、第2状態(S2)では、制御回路60は、スイッチ52bをオンする。このため、高周波交流電源53bとコンデンサ51bとの間が接続される。したがって、共振回路54b、56bとの間では、高周波交流電源53bから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、V相送電コイル40bからV相受電コイル34bに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0060】
このとき、V相受電コイル34bに対向する位置に、導体(39b)が配置されている。導体(39b)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、V相受電コイル34bと導体(39b)との間には、電磁力として斥力が発生する。
【0061】
共振回路54b、56eとの間では、高周波交流電源53bから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、V相送電コイル40bからV相受電コイル34eに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0062】
このとき、V相受電コイル34eには前記送電による交流磁場が形成される。V相送電コイル40bとV相受電コイル34eとの間には、導体(39b)が配置されている。導体(39b)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、V相受電コイル34eと導体(39b)との間には、電磁力として斥力が発生する。
【0063】
このようにU相受電コイル34a、34dに作用する電磁力によって回転部32が円周方向一方側(A矢印方向)に回転する。
【0064】
次の第3状態(S3)では、制御回路60は、スイッチ52bをオンする。このため、高周波交流電源53bとコンデンサ51bとの間が接続される。したがって、共振回路54b、56bとの間では、高周波交流電源53bから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、V相送電コイル40bからV相受電コイル34bに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0065】
このとき、V相受電コイル34bに対向する位置には、導体(39a)および不導体(X4)が配置されている。導体(39a)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、V相受電コイル34bと導体(39a)との間には、矢印bのように、径方向に傾斜する方向に電磁力が発生する(フレミング左手の法則)。この電磁力のうち円周方向の成分がV相受電コイル34bの回転力として機能する。
【0066】
一方、共振回路54b、56eとの間では、高周波交流電源53bから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、V相送電コイル40bからV相受電コイル34eに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0067】
このとき、V相送電コイル40bとV相受電コイル34eとの間には、交流磁場が形成される。V相送電コイル40bとV相受電コイル34eとの間には、導体(39b)および不導体(X2)が配置されている。導体(39b)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、V相受電コイル34eと導体(39b)との間には、矢印bのように、径方向に傾斜する方向に電磁力が発生する。この電磁力のうち円周方向の成分がV相受電コイル34eの回転力として機能する。
【0068】
なお、第2状態(S2)では、制御回路60は、スイッチ52cをオンする。このため、高周波交流電源53cとコンデンサ51cとの間が接続される。したがって、共振回路54c、56cとの間では、高周波交流電源53cから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、W相送電コイル40cからW相受電コイル34cに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0069】
このとき、W相送電コイル40cとW相受電コイル34cとの間では、導体(39a)が配置されている。導体(39a)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、W相受電コイル34cと導体(39a)との間には、電磁力として斥力が発生する。
【0070】
共振回路54c、56fとの間では、高周波交流電源53cから出力される高周波交流電力によって磁界共鳴は生じる。これにより、W相送電コイル40cからW相受電コイル34fに高周波交流電力が磁界共鳴型の電磁誘導によって送電される。
【0071】
このとき、W相送電コイル40cとW相受電コイル34fとの間には、交流磁場が形成される。W相送電コイル40cとW相受電コイル34fとの間には、導体(39b)が配置されている。導体(39b)には、交流磁場によって渦電流が流れる。これに伴い、W相受電コイル34fと導体(39b)との間には、電磁力として斥力が発生する。
【0072】
このようにV相受電コイル34b、34eに作用する電磁力によって回転部32が円周方向一方側(A矢印方向)に回転する。
【0073】
その後、第1状態(S1)→第2状態(S2)→第3状態(S3)→第1状態(S1)・・・の順に状態が変遷して制御回路60がスイッチ52a、52b、52cを順次、オン/オフする。このため、導体(39a、39b)に対して回転力を発生させる受電コイルが受電W相コイル34c、34f→受電U相コイル34a、34d→受電V相コイル34b、34e→受電W相コイル34c、34f→受電U相コイル34a、34d・・・の順に変遷する。すなわち、導体(39a、39b)に対して回転力を発生させる受電コイルを円周方向の一方側(A矢印の反対方向)に移動することになる。これにより、受電コイルと導体との間に回転力が電磁力として発生して、回転部32が円周方向一方側(A矢印方向)に回転することになる。これに伴い、回転軸31が回転する。この回転軸31に伴って8枚のブレード21が回転する。このため、円筒ダクト4内に空気流れが
生じる。
【0074】
以上説明した本実施形態によれば、回転軸31を中心とする円周方向に並べられる3相受電コイル(34a、34b、・・・34f)と、3相受電コイルに対して回転軸31の径方向外側に配置されて、円周方向に並べられる3相送電コイル(40a、40b、40c)と、2つの導体(39a、39b)と2つの不導体(X2、X4)とを備え、3相受電コイルと3相送電コイルとの間にて導体と不導体とが円周方向に交互に並べられている円筒状部材38と、受電コイルに対して送電コイルから相毎に円筒状部材38を通して高周波交流電力を磁界共鳴型の電磁誘導によって送電させる制御回路60と、を備える。制御回路60が送電コイル(40a、40b、40c)から受電コイル(34a、34b、34c・・・・34f)に相毎に高周波交流電力を送電させる際に、受電コイルに対向する位置に不導体(X2、X4)と導体(39a、39b)とが配置されたときに、この配置された導体と受電コイルとの間には、高周波交流電力に基づいて回転力が発生する。制御回路60は、導体に対して回転力を発生させる受電コイルを円周方向の一方側(A矢印の反対方向)に移動させるように、受電コイルに対して送電コイルから高周波交流電力を相毎に送電させる。これにより、回転部32が円周方向の他方側に回転させることになる。
【0075】
したがって、送電コイル40a、40b、40cから受電コイルコイル34a、39b、・・・34fに磁界共鳴型の電磁誘導によって高周波交流電力を送電させる際に、導体と対向受電コイルとの間に生じる回転力を利用することにより、回転軸31を回転させることができる。したがって、モータ内部にAC−DCコンバータ回路等を配置することなく、ブラシレスモータを構成することができる。このため、小型で、かつ簡易な構造のブラシレスモータを提供することができる。
【0076】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、U相受電コイル34a、34d、V相受電コイル34b、34e、W相受電コイル34c、34fを回転軸31に支持され、かつ導体(39a、39b)、および不導体(X2、X4)を回転軸31から独立するように構成した例について説明したが、本実施形態では、U相受電コイル34a、34d、V相受電コイル34b、34e、W相受電コイル34c、34fを回転軸31から独立し、かつ導体、および不導体が回転軸31により支持されるように構成した例について説明する。
【0077】
図9に本実施形態のダクトファン1の断面構造を示す図である。
図9において、
図2と同一の符号は同一のものを示し、その説明を簡素化する。
【0078】
本実施形態では、導体(39a、39b)、および不導体(X2、X4)が、円筒状部材38ではなく、ファン2の筒部22に形成されている。ファン2の筒部22は樹脂材料からなるものである。円筒状部材38が突起部(ティース)33a、33b、33c、33d、33e、33fに対して径方向内側に設けられている。フロントハウジング36、リアハウジング37、円筒状部材38、およびステー5が一体化されている。
【0079】
このように構成される本実施形態では、V相受電コイル34b、34e、W相受電コイル34c、34fが回転軸31から独立し、かつ導体(39a、39b)、および不導体(X2、X4)を回転軸31により支持されるように構成されている。このため、上記第1実施形態と同様に、送電コイルが、受電コイルに対して磁界共鳴型の電磁誘導によって相毎に高周波交流電力を送電することにより、受電コイルと導体との間で回転力が発生する。これにより、回転軸31、ファン2の筒部22、および複数枚のブレード21が回転して、円筒ダクト4内に空気流が発生する。これにより、モータ内部にAC−DCコンバータ回路等を配置することなく、ブラシレスモータ1を構成することができる。このため、小型で、かつ簡易な構造のブラシレスモータ1を提供することができる。
【0080】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、1つの回転部33に対して送電コイル40a、40b、40cを設ける例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、2つの回転部33に対して、共通の送電コイル40a、40b、40cを設ける例について説明する。
【0081】
図10に本実施形態のダクトファン1の断面構造を示す図である。
図10において、
図2と同一の符号は同一のものを示し、その説明を簡素化する。
【0082】
本実施形態では、2つの回転部33のそれぞれに対応して固定部35が設けられている。このことにより、回転部33および固定部35からなる2組のモータ部1aが共通の送電コイル40a、40b、40cから送電される高周波交流電力によって駆動されることになる。
【0083】
(第4実施形態)
上記第1実施形態では、受電コイル毎に共振回路を設ける例について説明したが、これに代えて、本実施形態では、相毎に共振回路を設ける例について説明する。
【0084】
図11に本実施形態のダクトファン1の電気的構成を示す図である。
図11において、
図6と同一の符号は同一のものを示し、その説明を簡素化する。
【0085】
U相受電コイル34a、34dは、コンデンサ55aとともに共振回路56aを構成する。共振回路56aと共振回路54aとは互いに近い共振周波数を有するように設定されている。高周波交流電源53aは、共振回路56aと共振回路54aとの間で磁界共鳴が生じるように設定されている。このため、スイッチ52aのオンによって、U相送電コイル40aからU相受電コイル34a、34dに高周波交流電力を磁界共鳴型の電磁誘導によって送電することができる。
【0086】
V相受電コイル34b、34eは、コンデンサ55bとともに共振回路56bを構成する。共振回路56bと共振回路54bとは互いに近い共振周波数を有するように設定されている。高周波交流電源53bは、共振回路56bと共振回路54bとの間で磁界共鳴が生じるように設定されている。このため、スイッチ52bのオンによって、V相送電コイル40bからV相受電コイル34bに高周波交流電力を磁界共鳴型の電磁誘導によって送電することができる。
【0087】
W相受電コイル34c、34fは、コンデンサ55cとともに共振回路56cを構成する。共振回路56cと共振回路54cとは互いに近い共振周波数を有するように設定されている。高周波交流電源53cは、共振回路56cと共振回路54cとの間で磁界共鳴が生じるように設定されている。このため、スイッチ52cのオンによって、W相送電コイル40cからW相受電コイル34c、34fに高周波交流電力を磁界共鳴型の電磁誘導によって送電することができる。
【0088】
以上説明した本実施形態では、スイッチ52a、52、52cをオンすることにより、送電コイルから受電コイルに磁界共鳴型の電磁誘導によって高周波交流電力を相毎に送電することができる。したがって、上記第1実施形態と同様に、制御回路60は、導体に対して回転力を発生させる受電コイルを円周方向の一方側に移動させるように、受電コイルに対して送電コイルから高周波交流電力を相毎に送電させることにより、回転部32を円周方向の他方側に回転させることができる。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
(他の実施形態)
上記第1〜第4の実施形態では、3相送電コイル(40a、40b、40c)および3相受電コイル(34a、34b、34c、34d、34e、34f)からブラシレスモータ1を構成した例について説明したが、これに限らず、相数が複数ならば、相数が3に限らず、2相送電コイルおよび2相受電コイルからブラシレスモータ1を構成してもよい。或いは、相数をN(>3)としたときに、N相送電コイルおよびN相受電コイルからブラシレスモータ1を構成してもよい。
【0090】
上記第1〜第4の実施形態では、受電コイル(34a、34b、34c、34d、34e、34f)を送電コイル(40a、40b、40c)に対して回転軸31の径方向内側に配置した例について説明したが、これに代えて、受電コイル(34a、34b、34c、34d、34e、34f)を送電コイル(40a、40b、40c)に対して回転軸31の径方向外側に配置してもよい。
【0091】
上記第1〜第4の実施形態では、円筒状部材38の外表面において、2つの導体(39a、39b)と2つの不導体(X2、X4)とを設けた例について説明したが、これに限らず、相数をNとしたときに、導体および不導体のそれぞれの個数は、(N−1)個以上であるならば、どのような個数でもよい。
【0092】
例えば、N>2のとき、N相送電コイルおよびN相受電コイル(34a、34b、34c、34d、34e、34f)から構成されるブラシレスモータ1では、円筒状部材38の外表面において、複数の導体(39a、39b)と複数の不導体(X2、X4)とを備え、導体と不導体とが交互に円周方向に並べられていることになる。
【0093】
上記第1〜第4の実施形態では、導体に対して回転力を発生する受電コイルをA方向と反対側に移動させるように、送電コイルから受電コイルに磁界共鳴型の電磁誘導によって高周波交流電力を相毎に送電するために、
図7の表にしたがって、スイッチ52a、52b、52cをオン/オフする例について説明したが、これに限らず、導体と受電コイルとの間で回転力を発生させるように送電コイルから受電コイルに磁界共鳴型の電磁誘導によって高周波交流電力を相毎に送電するのであれば、どのようなスイッチングパターンでスイッチ52a、52b、52cを制御してもよい。