(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施例として刈取収穫機の例にて図面により説明すると、1は米麦・小豆・大豆・ひまわり等を刈り取り収穫するコンバインの機体フレーム、2は機体フレーム1の下部に設けた走行装置、3は機体フレーム1上に設けた脱穀装置、4は脱穀装置3の前方の一側に設けた操縦部、5は前記操縦部4の前方に設けた刈取装置、7は脱穀装置3の側方に設けたグレンタンク(穀粒貯留装置)である。
【0018】
グレンタンク7内には、グレンタンク7内の穀粒を排出する排出装置(図示省略)を設ける。排出装置の構成は任意であるが、実施例ではグレンタンク7内の穀粒を搬送風(エアー)により排出搬送するように構成している(
図1)。14は縦揚穀搬送部、15は縦揚穀搬送部14の上部に設けた横排出用搬送部であり、横排出用搬送部15は、縦揚穀搬送部14に対して上下回動自在および旋回自在に取付ける。
【0019】
また、グレンタンク7内に穀粒を排出する排出螺旋式の排出装置を設け、排出螺旋の終端に揚穀螺旋を内蔵した縦揚穀装置の下部を接続し、縦揚穀装置の上部に上下回動自在および旋回自在に排出用搬送螺旋を内蔵した排出用オーガーを接続する構成でもよい。
【0020】
グレンタンク7は、左右側壁20と前後壁21等により包囲される空間を有して構成され、側壁20および前後壁21の上方は天井部材22により閉塞されている。
前側壁21の上部には上方に至るに従い後傾斜となる上部傾斜面24に形成する。上部傾斜面24には前側透明点検蓋(透明部材)25を設ける。前側透明点検蓋25はその一部または全体を透明部材で形成し、前側透明点検蓋25からグレンタンク7内を視認できるように形成する。
【0021】
操縦部4の後面部の機体外側よりの部位には作業灯26を設け、作業灯26からの光が前側透明点検蓋25からグレンタンク7内に差し込むようにして、グレンタンク7内を明るくする構成とする。尚、作業灯26は前側透明点検蓋25に対して機体の外側方へ偏倚した位置に設けている。
【0022】
そのため、グレンタンク7内の穀粒の選別状態や穀粒量等を前側透明点検蓋25から容易に視認でき、操作性および作業性を向上させられる。
また、作業灯26が前側透明点検蓋25に対して機体の外側方へ偏倚した位置に設けられるため、作業者が操縦部4から前側透明点検蓋25をのぞく際にまぶしすぎることはない。そして、機体の外側方へ偏倚した作業灯26によって機体後方を照らすことができる。
【0023】
上部傾斜面24の上端には天井部材22の前側部分を接続して形成する。天井部材22は、その前端部分27が最も高く、後側に至るに低く傾斜させて形成し、天井部材22の前端部分(前端部)27は、前記作業灯26より低位置に配置する。
【0024】
そのため、天井部材22は、最も高い前端部分27が作業灯26より低く、しかも後下がりに傾斜しているので、天井部材22の存在が前記作業灯26による後方への照明の障害とならず、グレンタンク7の後側方向の視認性を良好にする。
【0025】
天井部材22の所定位置には上側透明点検蓋(点検蓋)28を設ける。上側透明点検蓋28はその一部または全体を透明部材で形成し、上側透明点検蓋28からグレンタンク7内を視認できるように形成する。
【0026】
そのため、グレンタンク7内の穀粒の選別状態や穀粒量等を上側透明点検蓋28から容易に視認でき、操作性および作業性を向上させられる。
また、グレンタンク7内には前側透明点検蓋25から作業灯26の光が差し込んでいるので、グレンタンク7内が明るくなって上側透明点検蓋28からのグレンタンク7内の視認性は一層、良好になり、前側透明点検蓋25と上側透明点検蓋28の併存により合理的な構成となる。
【0027】
また、上側透明点検蓋28は、脱穀装置3の揚穀装置30の吐出口(図示省略)の上方に位置させると、脱穀装置3の処理具合を視認でき、操作性および作業性を向上させられ、好適である。
【0028】
また、揚穀装置30の吐出口に穀粒が詰まったような場合に、上側透明点検蓋28を開いて、作業者が手を突っ込んで、この詰まりを取り除くことができる。
即ち、上側透明点検蓋28と脱穀装置3の揚穀装置30とが側面視で重なるように配置する。
【0029】
しかして、
図1の刈取装置5は一部省略しており、
図4の刈取装置5は、小豆・大豆の刈取脱穀作業に使用する構成であるが、
図5の刈取装置5は、茎部が長く背丈が高いひまわりの刈取収穫に使用しうるように構成したものである。
【0030】
この場合、図示は省略するが、脱穀装置3は、ひまわりの花托部K(
図5)から種子を脱粒させうるように構成するが、本願の要旨ではないので、詳細は省略する。
刈取装置5は、左右側壁35と、オーガー36の下方に位置する底板37と、左右の左右側壁35と底板37とを連結するように設けた後板38有するオーガーフレーム39を設けている。
【0031】
オーガーフレーム39には搬送エレベーター40の先端を接続し、搬送エレベーター40の基部は前記脱穀装置3の脱穀室に接続する。搬送エレベーター40の基部は、脱穀装置3の固定部に横軸回動自在に取付け、刈取装置5がオーガーフレーム39ごと搬送エレベーター40の基部を回動支点として刈取上下シリンダにより上下させて刈り高さを調節する。
【0032】
オーガーフレーム39の左右側壁35の前部には圃場の小豆・大豆あるいはひまわりを分草する分草体43を設ける。左右の分草体43の間のオーガーフレーム39には、小豆・大豆あるいはひまわりの花托部Kを刈り取り搬送する刈取搬送装置(ロークロップ)44を左右に複数並設する。
【0033】
各刈取搬送装置44は、下側搬送装置45と上側搬送装置46により上下一対構造に構成し、小豆・大豆用刈取搬送装置44D(
図4)の下側搬送装置45と上側搬送装置46との上下間隔に比しひまわり用刈取搬送装置44H(
図5)の下側搬送装置45と上側搬送装置46の上下間隔を広く形成して構成する。
【0034】
そのため、ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46は、ひまわりの花托部Kの直ぐ下方に位置して花托部Kの刈取搬送を円滑・確実にし、また、植立しているひまわりの植立姿勢を乱すことなく、刈取ができる。
【0035】
小豆・大豆用刈取搬送装置44Dとひまわり用刈取搬送装置44Hとは交換自在に構成すると、ロークロップを有する刈取装置5を小豆・大豆とひまわりの刈取兼用構成となって、汎用性の高いコンバインにすることができ、好適である。
【0036】
この場合、
図5の実施例では、下側搬送装置45はオーガーフレーム39に取付けたまま上側搬送装置46のみを交換して、小豆・大豆用刈取搬送装置44Dとひまわり用刈取搬送装置44Hとを交換自在に構成している。
【0037】
また、
図4の実施例では、下側搬送装置45と上側搬送装置46の両方をオーガーフレーム39から着脱自在に構成し、刈取搬送装置44を小豆・大豆用刈取搬送装置44Dとひまわり用刈取搬送装置44Hとに交換する構成としている。
【0038】
小豆・大豆用刈取搬送装置44Dとひまわり用刈取搬送装置44Hの何れの下側搬送装置45は従動プーリー
(下側従動プーリー)50と駆動プーリー
(下側駆動プーリー)51との間に無端状のベルト
(下側ベルト)52を掛け回し、ベルト52には所定間隔をおいて下側搬送ラグ53を設ける。従動プーリー50はオーガーフレーム39の底板37の前端よりも前方に所定間隔を置いて設け、従動プーリー50とオーガーフレーム39の底板37の前部との間に縦軸回転の第一刈刃54を設ける。
【0039】
55は第一刈刃54を駆動するモータ、56は駆動プーリー51に回転伝達する駆動軸
(下側駆動軸)57を内蔵した縦伝動ケース56、58は駆動軸57に回転伝達する横伝動軸である。
小豆・大豆用刈取搬送装置44Dの上側搬送装置46は、下側駆動プーリー51の上方に同軸状に上側駆動プーリー62を取付け、上側駆動プーリー62と上側従動プーリー63との間に無端状の上側ベルト64を掛け回し、上側ベルト64には所定間隔をおいて上側搬送ラグ(上側搬送体)65を設けている。
【0040】
一方、ひまわり用刈取搬送装置44Hは、下側搬送装置45の駆動プーリー51に回転伝達する駆動軸57を内蔵した縦伝動ケース56の上部に、上側駆動軸60を内蔵した上側縦伝動ケース61を設け、上側駆動軸60にはひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46の上側駆動プーリー62を取付け、上側駆動プーリー62と上側従動プーリー63との間に無端状の上側ベルト64を掛け回し、上側ベルト64には所定間隔をおいて上側搬送ラグ(上側搬送体)65を設けて、ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46を構成している。
【0041】
更に、ひまわり用刈取搬送装置44Hでは、上側従動プーリー63の下側後方の所定位置に第二刈刃66を設ける。第二刈刃66はフレーム66Aの上部に支持されたベアリング66Bによって回転自在に支持する(
図5)。
【0042】
67は第二刈刃66を駆動するモータである。
ひまわり用刈取搬送装置44Hは、所定長さを有する上側縦伝動ケース61により下側搬送装置45と上側搬送装置46との間に上下空間Hを形成し、ひまわりの茎をできるかぎり長く切断し、長い茎部を任意の方法で回収してアルコール製造等に利用できるようにする。
【0043】
また、ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46は、上側搬送ラグ65により搬送するので、第一刈刃54によりひまわりの茎が切断されると、前後に隣接された上側搬送ラグ65の間の隙間にひまわりの茎部分が落下し、ひまわりの花托部Kは自重で前後に隣接する上側搬送ラグ65の上面に落下して支持され、この状態で搬送される。そのため、第二刈刃66はひまわりの花托部Kの直ぐ下方の茎部を切断でき、脱穀装置3に搬送される茎部の量を減少させ、脱穀装置3の負荷を軽減することができる。
【0044】
したがって、第一刈刃54は下側搬送装置45の始端部下方に設け、第二刈刃66は第一刈刃54よりも終端側に配置する。
即ち、第二刈刃66は、上側搬送装置46の上側搬送ラグ65の終端側の下方に縦軸回転するように設け、ひまわりの花托部Kに可及的に接近した位置の茎部を切断する。
【0045】
換言すると、第二刈刃66は第一刈刃54よりも後側であって上方に設ける。
前記上側搬送装置46の後部には案内体70を設ける(
図7)。案内体70はオーガーフレーム39のオーガー36に花托部Kを案内するものであり、上側搬送装置46の上側搬送ラグ65の移動軌跡より下方に設ける。案内体70は板部材により形成し、案内体70の基部は上側搬送装置46の任意の固定部に取り付け、案内体70の先端はオーガー36の上方に臨ませる。案内体70は、その基部の部分を除いて後側に至るに従い後下がりに傾斜させ、案内体70の先端はオーガー36の軸心より前方に位置させる。
【0046】
即ち、案内体70の終端部は前記横伝動軸58を通る鉛直仮想線Sより後方且つオーガー36の軸心より前方に位置させる(
図7)。
そのため、上側搬送装置46により終端まで搬送された花托部Kを、案内体70により確実にオーガーフレーム39内に取込むことができ、ヘッドロスを低減させる。
【0047】
刈取装置5は、前記オーガーフレーム39の後板38の反操縦部4側を搬送エレベーター40の先端に取付ける。オーガーフレーム39内に軸装したオーガー36は、刈り取られたひまわりの花托部K(小豆・大豆・米麦の穀稈でも同様の効果を奏する)を集めるものであり、終始略同径の円筒状部材により構成する。
【0048】
オーガー36の外周面にはひまわりの花托部Kを掻き込むオーガーフィンガー74を設ける。オーガーフレーム39の後板38と前記搬送エレベーター40との接続部分に開口させた開口部分(図示省略)に臨むオーガー36の外周には、搬送エレベーター40にひまわりの花托部Kを送り込む作用を期待してオーガーフィンガー74をオーガー36の軸心方向に複数並設する。オーガーフィンガー74はオーガー36の円周方向に複数設け、各オーガーフィンガー74はオーガー36に対して出入り自在に設ける。各オーガーフィンガー74は下降回転するときはオーガー36内に格納され、上昇回転するときにオーガー36の外周から放射方向に突き出すように構成する。
【0049】
オーガーフレーム39の後板38と前記搬送エレベーター40との接続部分の左右両側には開口部にひまわりの花托部Kを集送するスパイラル翼75を設ける。
スパイラル翼75はオーガー36の外周に螺旋状に設ける。スパイラル翼75の外周の一部または全部には凹部76と凸部77とをスパイラル翼75の長さ方向に所定間隔をおいて複数設ける(
図8)。
【0050】
そのため、オーガーフィンガー74以外でも、スパイラル翼75の凹部76と凸部77により米麦・大豆・小豆の穀稈あるいはひまわりの花托部Kの取込を良好にでき、連続的な搬送が可能となる。
【0051】
しかして、操縦部4の側方からグレンタンク7の側方にかけて分草用案内体80を設ける(
図9)。分草用案内体80は軸部材により形成し、分草用案内体80の後部は取付部材81により機体フレーム1の任意位置に取付ける。
【0052】
分草用案内体80の前側は、前後一対の支持部材82により機体フレーム1の任意位置に取付ける。前後の支持部材82の間の分草用案内体80は補助ステップ83に形成する(
図10)。
【0053】
そのため、従来、操縦部4の側方からグレンタンク7の側方にかけて分草用案内体分草用案内体80を設けた構成は公知であるが、単に分草作用しか奏しなかったが、本願では分草作用のみならず、補助ステップ83として使用できる。
【0054】
即ち、操縦部4の側部近傍の機体フレーム1の任意位置に前後一対の支持部材82を所定間隔を置いて設け、前後の支持部材82により支持される分草用案内体80の部分が補助ステップ83となる。
【0055】
分草用案内体80の前側は、前後一対の支持部材82により機体フレーム1の任意位置に取付ける。前後の支持部材82の間の分草用案内体80は補助ステップ83に形成する(
図10)。
【0056】
また、補助ステップ83を取り付けるための特別な部材を不要とし、部品点数を減少させて軽量化でき、取付を容易にして、製造コストを低減できる。
84は補助ステップ83の上方に位置する機体側に設けた第二ステップ、85は操縦部4の運転席ステップである。
【0057】
そのため、補助ステップ83と第二ステップ84と運転席ステップ85により乗降が容易になる。
86Aは分草用案内体80の補助ステップ83部分より前側部分の彎曲部である。
【0058】
この場合、前記前後一対の支持部材82は、補助ステップ83が使用位置と格納位置とに切り替わるように、位置切替自在に構成する(
図12)。
補助ステップ83および分草用案内体80を使用位置と格納位置とに切り替え自在にしているので、車両への積み降ろしを容易にでき、また、格納位置にすることで分草用案内体80の変形破損を防止する。
【0059】
支持部材82の位置切替構成は任意であるが、例えば、支持部材82の基部を機体フレーム1側に回動自在に取付け、支持部材82の回動を使用位置と格納位置の夫々で停止させるストッパ(図示省略)を設ければよい。
【0060】
また、刈取装置5のオーガーフレーム39の右側壁35に、刈取用ガイド86を設ける(
図13)。刈取用ガイド86の後部は側面視および平面視において分草用案内体80の前部と上下・左右方向で重なるように配置する。
【0061】
そのため、刈取装置5の刈取用ガイド86により分草した穀稈を引き続き分草用案内体80に受け渡して分草することができ、分草作用を有効に発揮させられる。
この場合、刈取用ガイド86の後部を分草用案内体80の前部に重ねているので、刈取装置5を上下させてかり高さ調節して、刈取用ガイド86と分草用案内体80とに高低差が生じても確実に分草穀稈の引き渡しを行うことができる。
【0062】
しかして、
図14は、グレンタンク7内の穀粒を排出する排出装置を、搬送風(エア)により排出するように構成したものであり、搬送風を発生させる送風機(ブロワー)87をグレンタンク7の前側傾斜下面88の下方に設置する。
【0063】
即ち、グレンタンク7の下面は、後下がりの前側傾斜下面88に形成し、前側傾斜下面88に前側プレート89の上部を上部取付部材90により取付け、前側プレート89に送風機(ブロワー)87を取付ける。
【0064】
したがって、送風機(ブロワー)87はグレンタンク7の縦の前側プレート89よりも後側に位置して、グレンタンク7と操縦部4との間の間隔を広げ、ベルトの着脱等のメンテナンス作業を容易にでき、作業性を向上させることができる。
【0065】
送風機(ブロワー)87を従来より後方に配置できるので、コンバインの前後の重量バランスを良好にして、走行安定性を向上させることができる。
また、前側プレート89はグレンタンク7の縦の後側プレート91と連結杆92により連結する。
【0066】
したがって、前側プレート89を前側傾斜下面88の下方に設けているので、前側プレート89と後側プレート91との距離が狭くなり、グレンタンク7の剛性を向上させる。
前記グレンタンク7は、機体フレーム1に対して後部の任意位置に設けた可動支点を中心に外側回動自在に取付け、外側オープン可能に構成する。
【0067】
このグレンタンク7の外側オープンをロックする固定手段(ロック装置)93を設ける。
固定手段93は、グレンタンク7を機体フレーム1と脱穀装置3との二カ所に固定するように構成し、固定手段93はグレンタンク7の二カ所の固定および固定解除を一つの操作レバー94により行えるように構成する。
【0068】
操作レバー94は左右方向のアーム95の外端側に取付ける。アーム95の中間部は軸96により前側プレート89に回動自在に取付ける。アーム95の内端側にはロッド97の基部を取付ける。ロッド97の先端には脱穀側係合フック98を取付ける。脱穀側係合フック98は軸99によりステー100に回動自在に取付ける。
【0069】
操作レバー94によりアーム95を
図16において反時計回転に回動させると、アーム95がロッド97を牽引して脱穀側係合フック98の係合を解除する。
前記アーム95の軸96より外端側には取付部材101を取付け、取付部材101にはフレーム側係合部材102の上部を取付ける。フレーム側係合部材102の上下中間部にはガイド103に上下自在に挿通する。ガイド103は前側プレート89に取付ける。
【0070】
フレーム側係合部材102は、ガイド103により上下するように案内され、操作レバー94によりアーム95を
図16において反時計回転に回動させると、フレーム側係合部材102が上動して機体フレーム1(係合部)との係合を解除する。
【0071】
したがって、固定手段93は、下部の機体フレーム1に係合するフレーム側係合部材102と脱穀装置3側に係合する脱穀側係合フック(係合フック)98を有して構成し、操作レバー94を
図16において反時計回転に回動させると、フレーム側係合部材102と脱穀側係合フック98の両方の係合を解除できる。
【0072】
アーム95と、ロッド97および取付部材101との取付部分は、ロッド97および取付部材101の移動を円滑にするために遊びを有して取り付けている。
(実施例の作用)
エンジンを始動し、走行装置2により機体を走行させると、刈取装置5により圃場の穀稈を刈り取り、脱穀装置3へ供給されて脱穀され、脱穀された穀粒はグレンタンク7に貯留される。
【0073】
グレンタンク7は、左右側壁20と前後壁21により包囲した空間を有して構成され、側壁20および前後壁21の上方は天井部材22により閉塞され、前後壁21の上部には上方に至るに従い後傾斜となる上部傾斜面24に形成し、上部傾斜面24には前側透明点検蓋25を設けているので、前側透明点検蓋25からグレンタンク7内を視認できる。
【0074】
この場合、操縦部4の後面部の所定位置には、前側透明点検蓋25からグレンタンク7内に光が差し込むように作業灯26を設けているので、作業灯26からの照明によりグレンタンク7内を明るくでき、グレンタンク7内の穀粒の選別状態や穀粒量等を前側透明点検蓋25から容易に視認でき、操作性および作業性を向上させられる。
【0075】
グレンタンク7は、上部傾斜面24の上端に天井部材22の前側部分を接続し、天井部材22は上部傾斜面24との接続部分を最も高く、後側を低く傾斜させて形成しているので、天井部材22の存在が前記作業灯26による後方への照明の障害とならず、グレンタンク7の後側方向の視認性を良好にする。
【0076】
天井部材22の所定位置には上側透明点検蓋28を設けているので、上側透明点検蓋28からグレンタンク7内の穀粒の選別状態や穀粒量等を上側透明点検蓋28から容易に視認でき、操作性および作業性を向上させられる。
【0077】
しかして、
図5の刈取装置5は、オーガーフレーム39に、下側搬送装置45と上側搬送装置46により上下一対構造に構成した刈取搬送装置44を左右に複数並設し、各刈取搬送装置44は、小豆・大豆用刈取搬送装置44Dの下側搬送装置45と上側搬送装置46の上下間隔に比し上下間隔を広く形成したひまわり用刈取搬送装置44Hの下側搬送装置45と上側搬送装置46に交換自在に構成しているので、小豆・大豆の刈取作業の他、茎部が長く背丈が高いひまわりの刈取収穫作業を行え、作業の汎用性を向上させることができる。
【0078】
即ち、小豆・大豆用刈取搬送装置44Dの下側搬送装置45と上側搬送装置46の上下間隔に比しひまわり用刈取搬送装置44Hの下側搬送装置45と上側搬送装置46の上下間隔を広く形成しているので、ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46は、ひまわりの花托部Kの直ぐ下方に位置して花托部Kの刈取搬送を円滑・確実にし、また、植立しているひまわりの植立姿勢を乱すことなく、刈取ができる。
【0079】
この場合、
図5の実施例では、下側搬送装置45はオーガーフレーム39に取付けたまま上側搬送装置46のみを交換して下側搬送装置45と上側搬送装置46の上下間隔を広げる構成としているので、小豆・大豆用刈取搬送装置44Dとひまわり用刈取搬送装置44Hとの交換作業を容易にでき、刈取作業全般を容易にすることができる。
【0080】
小豆・大豆用刈取搬送装置44Dとひまわり用刈取搬送装置44Hの何れの下側搬送装置45も、従動プーリー50と駆動プーリー51との間に無端状のベルト52を掛け回し、ベルト52には所定間隔をおいて下側搬送ラグ53を設け、従動プーリー50とオーガーフレーム39の底板37の前部との間に縦軸回転の第一刈刃54を設けているので、小豆・大豆の穀稈は圃場上面近傍で刈取切断されるが、未刈ひまわりの茎部を刈り取るときには、刈取装置5をオーガーフレーム39ごと刈取上下シリンダ(図示省略)により上昇させ、左右の刈取搬送装置44の下側搬送ラグ53間に進入
した移動中のひまわりの茎部は、その上下中間部が第一刈刃54により切断される。
【0081】
下側搬送装置45の縦伝動ケース56の上部には上側駆動軸60を内蔵した上側縦伝動ケース61を設け、上側駆動軸60にはひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46の上側駆動プーリー62を取付け、上側駆動プーリー62と上側従動プーリー63との間に無端状の上側ベルト64を掛け回し、上側ベルト64には所定間隔をおいて上側搬送ラグ65を設けて、ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46を構成しているので、上側縦伝動ケース61を所定長さに形成することで、ひまわり用刈取搬送装置44Hの下側搬送装置45と上側搬送装置46の上下間隔を広げた構成を簡単に実現する。
【0082】
上側搬送装置46の上側従動プーリー63の下側後方の所定位置には第二刈刃66を設けているので、ひまわり用刈取搬送装置44Hは、所定長さを有する上側縦伝動ケース61により下側搬送装置45と上側搬送装置46との間に上下空間Hを形成し(
図3)、ひまわりの茎の上下中間部分を第一刈刃54によりできるかぎり長く切断し、長い茎部を任意の方法で回収してアルコール製造等に利用する。
【0083】
また、ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46は、花托部Kおよび花托部Kの下方の茎部を上側搬送ラグ65により搬送するので、第一刈刃54によりひまわりの茎の上下中間部分が切断されると、前後の上側搬送ラグ65の間の花托部Kおよび花托部Kの下方の茎部は支えを失って自重で落下し、ひまわりの花托部Kの下面が前後の上側搬送ラグ65の上面に支持されて落下が停止して、この状態で後側へ搬送される。
【0084】
そのため、第二刈刃66は上側搬送ラグ65の移動軌跡の直ぐ下方に配置し、第一刈刃54は下側搬送装置45の始端部下方に設け、第二刈刃66は第一刈刃54よりも終端側に配置することにより、ひまわりの花托部Kの直ぐ下方の茎部を切断でき、脱穀装置3に搬送される茎部の量を減少させ、脱穀装置3の負荷を軽減することができる。
【0085】
ひまわり用刈取搬送装置44Hの上側搬送装置46の後部には案内体70を設けているので、上側搬送装置46の終端側まで搬送された花托部Kは案内体70によりオーガーフレーム39のオーガー36上に誘導・案内され、花托部Kを確実にオーガーフレーム39内に取込むことができ、ヘッドロスを低減させる。
【0086】
案内体70は板部材により形成し、上側搬送装置46の上側搬送ラグ65の移動軌跡より下方に設けているので、上側搬送装置46の上側搬送ラグ65により下面が支持されて搬送された花托部Kは必ず案内体70の上面に落下し、オーガーフレーム39のオーガー36上に誘導・案内することができる。
【0087】
案内体70は、その基部の部分を除いて後側に至るに従い後下がりに傾斜させ、案内体70の先端(終端)はオーガー36の軸心より前方に位置させているので、花托部Kはオーガー36上に誘導され、オーガー36はオーガーフレーム39と搬送エレベーター40との接続部分にひまわりの花托部Kを集める。
【0088】
即ち、案内体70は前記横伝動軸58を通る鉛直仮想線Sより後方で且つオーガー36の軸心より前方に位置させているので、上側搬送装置46により終端まで搬送された花托部Kを、案内体70により確実にオーガーフレーム39内に取込むことができ、ヘッドロスを低減させる。
【0089】
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しているが、これらは夫々種々組合せ可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。