特許第5800031号(P5800031)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許5800031エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5800031
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/32 20060101AFI20151008BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20151008BHJP
   B29B 11/16 20060101ALI20151008BHJP
   B29B 15/10 20060101ALI20151008BHJP
【FI】
   C08G59/32
   C08J5/24CFC
   B29B11/16
   B29B15/10
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2013-550695(P2013-550695)
(86)(22)【出願日】2013年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2013079609
(87)【国際公開番号】WO2014112180
(87)【国際公開日】20140724
【審査請求日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-4347(P2013-4347)
(32)【優先日】2013年1月15日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三角 潤
(72)【発明者】
【氏名】荒井 信之
(72)【発明者】
【氏名】大皷 寛
(72)【発明者】
【氏名】上野 静恵
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/118106(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/32
B29B 11/16
B29B 15/10
C08J 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
[A]:テトラグリシジルジアミノベンズアニリド
[B]:アミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ以上有する、40℃で液状のエポキシ樹脂
[C]:硬化剤
【請求項2】
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂総量100質量%に対して、[A]の配合量が40〜90質量%で、[B]の配合量が10〜60質量%である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
[C]硬化剤が芳香族アミン硬化剤である、請求項1または2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
[C]硬化剤がジアミノベンズアニリドである、請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
さらに下記[D]を含む、請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
[D]:エポキシ樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂
【請求項6】
180℃で2時間硬化したエポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率が4.5GPa以上であり、かつ、ゴム状態弾性率が23MPa以下である、請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
さらに熱可塑性樹脂粒子[E]を含む、請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸させてなるプリプレグ。
【請求項9】
炭素繊維が、4.0GPa〜7.5GPaの引張強度を有する、請求項に記載のプリプレグ。
【請求項10】
請求項またはに記載のプリプレグを硬化させて得られる炭素繊維強化複合材料。
【請求項11】
請求項1〜のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物、および炭素繊維を含んでなる炭素繊維強化複合材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂組成物、プリプレグ、および炭素繊維強化複合材料に関する。さらに詳しくは、優れた引張強度と圧縮強度を有する構造材料として好適な炭素繊維強化複合材料を与えるエポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ、炭素繊維強化複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、炭素繊維を強化繊維として用いた炭素繊維強化複合材料は、その高い比強度と比弾性率を利用して、航空機や自動車などの構造材料、テニスラケット、ゴルフシャフトおよび釣り竿などのスポーツ、および一般産業用途などに利用されてきた。
【0003】
その炭素繊推強化複合材料の製造方法には、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂が含浸されたシート状中間材料であるプリプレグを用い、それを硬化させる方法や、モールド中に配置した強化繊維に液状の樹脂を流し込んで中間体を得て、それを硬化させるレジン・トランスファー・モールディング法などが用いられている。これらの製造方法のうち、プリプレグを用いる方法では、通常、プリプレグを複数枚積層した後、加熱加圧することによって炭素繊維強化複合材料を得ている。このプリプレグに用いられるマトリックス樹脂としては、プロセス性などの生産性の面から、熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂が用いられることが多い。
【0004】
なかでも、航空機や自動車などの構造材用途では、近年、その使用例が増えるに従い、この炭素繊維強化複合材料に対する要求特性は厳しくなってきており、高い引張強度と圧縮強度が要求されてきている。一方、炭素繊維強化複合材料の引張強度と圧縮強度はトレードオフの関係になることが多く、引張強度と圧縮強度を高度に両立させることは非常に困難であった。
【0005】
炭素繊維強化複合材料の引張強度の向上には、強化繊維の高強度化や高繊維体積分率化(高Vf化)が有効である。これまでも、高強度の強化繊維を得る方法が提案されてきている(特許文献1参照)。一般に、強化繊維を高強度化するほど、繊維本来の強度を利用することが難しくなる傾向があるが、この提案では炭素繊維強化複合材料としたときに発現する強度への言及がない。また、同じ強度の強化繊維でも組み合わせるマトリックス樹脂やその成形条件により、その引張強度利用率が大きく変動していくことが知られている。特に硬化の温度条件が180℃以上になると、その硬化の際に炭素繊維強化複合材料に残留する熱応力歪から高強度が発現しにくいという問題があるため、このような高強度の炭素繊維を得ることができても炭素繊維強化複合材料としての強度を発現させるためには、さらに技術的な課題をクリアする必要がある。
【0006】
また、マトリックス樹脂の引張破断伸度と破壊靱性KICが特定の関係を満たせば高い引張強度利用率が得られることが示されている(特許文献2参照)。しかし、破壊靱性KICの向上のために、マトリックス樹脂に熱可塑性樹脂やゴム成分を多量に配合すると、粘度が上昇し、プリプレグ製造のプロセス性や取扱性を損ねることがある。
【0007】
また、炭素繊維強化複合材料を構造材料として用いる場合、圧縮強度も重要な特性である。圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料を与える樹脂組成物としては、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンとビスフェノールA型エポキシ樹脂やジグリシジルレゾルシノールなどの2官能エポキシ樹脂、および3,3’−ジアミノジフェニルスルホンからなるエポキシ樹脂組成物や(特許文献3参照)、多官能エポキシ樹脂とジグリシジルアニリン誘導体、および4,4’−ジアミノジフェニルスルホンからなるエポキシ樹脂組成物(特許文献4参照)、多官能エポキシ樹脂と特殊骨格を有するエポキシ樹脂、および3,3’−ジアミノジフェニルスルホンからなるエポキシ樹脂組成物(特許文献5参照)が開示されている。これらは圧縮強度の向上は実現できるものの、圧縮強度と引張強度を高いレベルで両立することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−241230号公報
【特許文献2】特開平9−235397号公報
【特許文献3】国際公開第1996/17006号
【特許文献4】特開2003−26768号公報
【特許文献5】特開2002−363253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、引張強度と圧縮強度に優れ、構造材料として好適な炭素繊維強化複合材料を与えるエポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ、炭素繊維強化複合材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために次のいずれかの構成を有するものである。すなわち、少なくとも次の構成要素[A]、[B]、[C]を含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。
[A]:テトラグリシジルジアミノベンズアニリド
【0012】
B]:アミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ以上有する、40℃で液状のエポキシ樹脂
[C]:硬化剤。
【0013】
また、本発明においては、前記のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物、および炭素繊維を含んでなる炭素繊維強化複合材料、前記のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸させてプリプレグとし、さらには、かかるプリプレグを硬化させて炭素繊維強化複合材料とすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、曲げ弾性率と靱性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる。このエポキシ樹脂組成物と炭素繊維を組み合わせることによりプリプレグを得ることができ、また、このプリプレグを硬化させることにより引張強度と圧縮強度に優れた炭素繊維強化複合材料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のエポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料について詳細に説明する。本発明者らは、炭素繊維強化複合材料の引張特性と圧縮特性の強度発現メカニズムを鋭意検討した結果、エポキシ樹脂組成物中にテトラグリシジルジアミノベンズアニリド[A]、アミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ以上有する、40℃で液状のエポキシ樹脂[B]および硬化剤[C]を含むことにより、トレードオフの関係にあった引張強度と圧縮強度とを高いレベルで両立するのに最適な構造が得られることを見出した。
【0018】
エポキシ樹脂[A]のなかでも、他のエポキシ樹脂への相溶性の点からは、テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリド、テトラグリシジル−3,4’−ジアミノベンズアニリド、テトラグリシジル−3,3’−ジアミノベンズアニリドが好ましい
【0019】
エポキシ樹脂[A]は、室温25℃において固形のものが多く、配合量が多すぎるとエポキシ樹脂組成物の粘度が大きくなり、プリプレグとしたときにタック性やドレープ性を損ねることがある。また、少なすぎると十分な強度向上効果が得られないことがある。したがって、エポキシ樹脂[A]の配合量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂総量に対して40〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜90質量%である。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂[B]は、エポキシ樹脂組成物の粘度およびプリプレグのタック性とドレープ性の調整のため必須の成分である。ここで、40℃で液状であるとは、JIS K7121(1987)に基づいて求められる融点またはガラス転移温度が40℃未満であって、40℃で流動性を示すものをさす。エポキシ樹脂[B]の配合量が少なすぎるとエポキシ樹脂組成物の粘度が大きくなり、プリプレグとしたときにタック性やドレープ性を損ねることがある。また、多すぎると十分な強度向上効果が得られないことがある。したがって、エポキシ樹脂[B]の配合量は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂総量に対して10〜60質量%であることが好ましい。
【0021】
エポキシ樹脂[B]としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、レゾルシノール型、ジアミノジフェニルメタン型、アミノフェノール型、メタキシレンジアミン型、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型、ジグリシジルアニリン型等が挙げられる。エポキシ樹脂[B]の市販品としては、以下に示すものが挙げられる。
【0022】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825(三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD―128(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
【0023】
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807(以上、三菱化学(株)製)、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)および“エポトート(登録商標)”YD―170(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
【0024】
レゾルシノール型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)”EX−201(ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられる。
【0025】
ジアミノジフェニルメタン型のエポキシ樹脂の市販品としては、ELM434(住友化学(株)製)、“アラルダイト(登録商標)”MY720、“アラルダイト(登録商標)”MY721、“アラルダイト(登録商標)”MY9512、“アラルダイト(登録商標)”MY9663(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、および“エポトート(登録商標)”YH―434(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。
【0026】
メタキシレンジアミン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−X(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン型のエポキシ樹脂の市販品としては、TETRAD−C(三菱ガス化学(株)製)が挙げられる。
【0027】
アミノフェノール型エポキシ樹脂の市販品としては、ELM120やELM100(以上、住友化学(株)製)、“jER(登録商標)”630(三菱化学(株)製)、および“アラルダイト(登録商標)”MY0510、“アラルダイト(登録商標)”MY0600(以上、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)などが挙げられる。ジグリシジルアニリン型エポキシ樹脂の市販品としては、GAN、GOT(以上、日本化薬(株)製)、TORAY EPOXY PG−01(ジグリシジル−p−フェノキシアニリン、東レ・ファインケミカル(株)製)などが挙げられる。
【0028】
本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤[C]は、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物である。硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、芳香族アミン硬化剤、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。
【0029】
なかでも、芳香族アミン硬化剤を用いることにより、耐熱性の良好なエポキシ樹脂硬化物が得られる。特に、芳香族アミン硬化剤の中でも、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体やジアミノベンズアニリドの各種異性体は、耐熱性と引張強度や圧縮強度等の力学特性に優れたエポキシ樹脂硬化物を得るために適している硬化剤である。特にジアミノベンズアニリドの各種異性体は、得られる炭素繊維強化複合材料の引張強度と圧縮強度とを高度に両立する点で、好ましく用いられる。
【0030】
また、ジシアンジアミドと尿素化合物、例えば、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレアとの組合せ、あるいはイミダゾール類を硬化剤として用いることにより、比較的低温で硬化しながら高い耐熱耐水性が得られる。酸無水物を用いてエポキシ樹脂を硬化することは、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化物を与える。その他、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、マイクロカプセル化したものを用いることにより、プリプレグの保存安定性、特にタック性やドレープ性が室温放置しても変化しにくい。
【0031】
硬化剤の添加量の最適値は、エポキシ樹脂と硬化剤の種類により異なる。例えば、芳香族アミン硬化剤では、エポキシ樹脂のエポキシ基量に対する芳香族アミン硬化剤の活性水素量の比を0.7〜1.3付近とすることにより、耐熱性および引張強度や圧縮強度等の力学特性に優れたエポキシ樹脂硬化物が得られ、好ましい態様である。これらの硬化剤は、単独で使用しても複数を併用してもよい。
【0032】
芳香族アミン硬化剤の市販品としては、4,4’−DABAN、3,4’−DABAN(以上、日本純良薬品(株)製)、セイカキュアS(和歌山精化工業(株)製)、MDA−220(三井化学(株)製)、“jERキュア(登録商標)”W(三菱化学(株)製)、および3,3’−DAS(三井化学(株)製)、Lonzacure(登録商標)M−DEA、“Lonzacure(登録商標)”M−DIPA、“Lonzacure(登録商標)”M−MIPAおよび“Lonzacure(登録商標)”DETDA 80(以上、Lonza(株)製)などが挙げられる。
【0033】
また、これらエポキシ樹脂と硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効な場合がある。
【0034】
ここで、炭素繊維強化複合材料の力学特性とエポキシ樹脂硬化物の力学特性の相関について、炭素繊維強化複合材料の0°圧縮強度はエポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率と正の相関関係にある。また、炭素繊維強化複合材料の0°引張強度は、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率と正の相関関係、エポキシ樹脂硬化物のゴム状態弾性率と負の相関関係にある。一般に、エポキシ樹脂硬化物の架橋密度の増加により曲げ弾性率を向上させた場合は、ゴム状態弾性率が上昇し、トレードオフの関係にあるため、優れた0°引張強度の発現には、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率とゴム状態弾性率のバランスが重要であり、架橋密度の増加を抑えつつ、曲げ弾性率を向上させることが好ましい。
【0035】
以上の点から、優れた炭素繊維強化複合材料の引張強度と圧縮強度の発現には、本発明で得られるエポキシ樹脂組成物を180℃で2時間硬化したエポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率は4.5GPa以上であることが好ましく、4.7GPa以上であることがより好ましく、さらに好ましくは4.9GPa以上である。
【0036】
また、ゴム状態弾性率はエポキシ樹脂硬化物の架橋密度と正の相関関係にあり、靱性はエポキシ樹脂硬化物の架橋密度と負の相関関係があるため、ゴム状態弾性率と靱性には負の相関関係が成り立つ。優れた0°引張強度の発現には、樹脂の靱性向上が有効であり、ゴム状態弾性率が23MPa以下である場合、架橋密度が十分低く、靱性に優れたエポキシ樹脂硬化物が得られる。優れた炭素繊維強化複合材料の0°引張強度の発現には、180℃で2時間硬化したエポキシ樹脂硬化物のゴム状態弾性率は23MPa以下であることが好ましく、より好ましくは20MPa以下であり、さらに好ましくは15MPa以下であり、特に好ましくは12MPa以下である。
【0037】
本発明においては、[A]、[B]の他のエポキシ樹脂や、エポキシ樹脂と熱硬化性樹脂の共重合体等を含んでも良い。エポキシ樹脂と共重合させて用いられる上記の熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂組成物や化合物は、単独で用いてもよいし適宜配合して用いてもよい。
【0038】
[A]、[B]以外のエポキシ樹脂として用いられるエポキシ樹脂としては、室温で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂、室温で固形のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型、イソシアヌレート型、ヒダントイン型等が挙げられる。
【0039】
また、室温で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂に比較し架橋密度の低い構造を与えるため耐熱性は低くなるが、より靭性の高い構造が得られる。ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、低吸水率かつ高耐熱性の硬化樹脂を与える。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。ウレタン変性エポキシ樹脂およびイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与える。
【0040】
室温で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1004、“jER(登録商標)”1007(以上、三菱化学(株)製)などが挙げられる。ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”4005P、 “jER(登録商標)”4007P(以上、三菱化学(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF―2001(新日鉄住金化学(株)製)などが挙げられる。イソシアヌレート型のエポキシ樹脂市販品としては、TEPIC−P(日産化学社製)が挙げられる。トリスヒドロキシフェニルメタン型のエポキシ樹脂市販品としては、Tactix742(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。テトラフェニロールエタン型のエポキシ樹脂市販品としては、“jER(登録商標)”1031S(三菱化学(株)製)が挙げられる。ビフェニル型エポキシ樹脂の市販品としては、NC−3000(日本化薬(株)製)などが挙げられる。ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”HP7200(DIC(株)製)などが挙げられる。ウレタン変性エポキシ樹脂の市販品としては、AER4152(旭化成エポキシ(株)製)などが挙げられる。フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、DEN431やDEN438(以上、ダウケミカル社製)および“jER(登録商標)”152(三菱化学(株)製)などが挙げられる。オルソクレゾールノボラック型のエポキシ樹脂市販品としては、EOCN−1020(日本化薬社製)や“エピクロン(登録商標)”N−660(DIC(株)製)などが挙げられる。ヒダントイン型のエポキシ樹脂市販品としては、AY238(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)が挙げられる。
【0041】
本発明においては、エポキシ樹脂に溶解可能な熱可塑性樹脂[D]を含むことも好適な態様である。ここで説明される「エポキシ樹脂に溶解可能」とは、熱可塑性樹脂[D]を、[A]、[B]から成るエポキシ樹脂組成物に混合したものを加熱、または加熱撹拌することによって、均一相をなす温度領域が存在することを指す。ここで、「均一相をなす」とは、少なくとも目視で分離のない状態が得られることを指す。ある温度領域で均一相をなすのであれば、その温度領域以外、例えば室温で分離が起こっても構わない。また[A]、[B]から成るエポキシ樹脂組成物に熱可塑性樹脂[D]が溶解可能であることは、次の方法でも評価することができる。すなわち、熱可塑性樹脂[D]の粉末を[A]、[B]から成るエポキシ樹脂組成物に混合し、熱可塑性樹脂[D]の融点より低い温度で数時間、例えば2時間等温保持したときの粘度の変化を評価したときに実質的に粘度の変化が見られる場合、熱可塑性樹脂[D]が[A]、[B]から成るエポキシ樹脂組成物に溶解可能であると判断してよい。このように熱可塑性樹脂[D]が[A]、[B]から成るエポキシ樹脂組成物に溶解可能な性質を有していれば、樹脂を硬化させる過程で熱可塑性樹脂[D]が相分離を起こしても構わないが、硬化させて得られるエポキシ樹脂硬化物および炭素繊維強化複合材料の耐溶剤性を高める観点からは、硬化過程で相分離をしないことがより好ましい。また、得られる炭素繊維強化複合材料の力学特性、耐溶剤性等を向上させる観点から、熱可塑性樹脂[D]をあらかじめ[A]、[B]から成るエポキシ樹脂組成物に溶解させて混合することがより好ましい。溶解させて混合することで、エポキシ樹脂組成物中に均一に分散しやすくなる。
【0042】
このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合からなる群から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、この熱可塑性樹脂は、部分的に架橋構造を有していても差し支えなく、結晶性を有していても非晶性であってもよい。特に、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、上記のエポキシ樹脂組成物に含まれるいずれかのエポキシ樹脂に混合または溶解していることが好適である。
【0043】
なかでも、良好な耐熱性を得るためには、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)が少なくとも150℃以上であり、170℃以上であることが好ましい。配合する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、150℃未満であると、成形体として用いた時に熱による変形を起こしやすくなる場合がある。さらに、この熱可塑性樹脂の末端官能基としては、水酸基、カルボキシル基、チオール基、酸無水物などのものがカチオン重合性化合物と反応することができ、好ましく用いられる。具体的には、ポリエーテルスルホンの市販品である“スミカエクセル(登録商標)”PES3600P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P、“スミカエクセル(登録商標)”PES5200P、“スミカエクセル(登録商標)”PES7600P(以上、住友化学工業(株)製)、“VIRANTAGE(登録商標)” VW−10700RFP(ソルベイ・アドバンストポリマーズ(株)製)などを使用することができ、また、特表2004-506789号公報に記載されるようなポリエーテルスルホンとポリエーテルエーテルスルホンの共重合体オリゴマー、さらにポリエーテルイミドの市販品である“ウルテム(登録商標)”1000、“ウルテム(登録商標)”1010、“ウルテム(登録商標)”1040(以上、ソルベイ・アドバンストポリマーズ(株)製)などが挙げられる。オリゴマーとは10個から100個程度の有限個のモノマーが結合した比較的分子量が低い重合体を指す。
【0044】
エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂との混合物は、それらを単独で用いた場合より良好な結果を与えることが多い。エポキシ樹脂の脆さを熱可塑性樹脂の強靱性でカバーし、かつ熱可塑性樹脂の成形困難性をエポキシ樹脂でカバーし、バランスのとれたベース樹脂となる。エポキシ樹脂と熱可塑性樹脂と使用割合(質量部)はバランスの点で、好ましくは配合したエポキシ樹脂の合計100質量部に対して熱可塑性樹脂の配合量が1〜40質量部の範囲であり、より好ましくは3〜30質量部の範囲である。
【0045】
本発明においては、本発明のエポキシ樹脂組成物に熱可塑性樹脂粒子[E]を配合することも好適である。熱可塑性樹脂粒子[E]を配合することにより、炭素繊維強化複合材料としたときに、マトリックス樹脂の靱性が向上し耐衝撃性が向上する。
【0046】
熱可塑性樹脂粒子[E]としては、先に例示した各種の熱可塑性樹脂と同様のものであって、エポキシ樹脂組成物に混合して用い得る熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、ポリアミドは最も好ましく、ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66、ナイロン6/12共重合体や特開平01−104624号公報の実施例1記載のエポキシ化合物にてセミIPN(高分子相互侵入網目構造)化されたナイロン(セミIPNナイロン)は、特に良好なエポキシ樹脂との接着強度を与える。この熱可塑性樹脂粒子[E]の形状としては、球状粒子でも非球状粒子でも、また多孔質粒子でもよいが、球状の方が樹脂の流動特性を低下させないため粘弾性に優れ、また応力集中の起点がなく、高い耐衝撃性を与えるという点で好ましい態様である。ポリアミド粒子の市販品としては、SP−500、SP−10、TR−1、TR−2、842P−48、842P−80(以上、東レ(株)製)、“トレパール(登録商標)”TN(東レ(株)製)、“オルガソール(登録商標)”1002D、2001UD、2001EXD、2002D、3202D、3501D,3502D、(以上、アルケマ(株)製)等を使用することができる。
【0047】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、カップリング剤や、熱硬化性樹脂粒子、あるいはシリカゲル、カーボンブラック、クレー、カーボンナノチューブ、カーボン粒子、金属粉体といった無機フィラー等を配合することができる。
【0048】
本発明で用いられる炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性、引張強度および圧縮強度との両立の点から、炭素繊維の引張弾性率は、少なくとも200GPaが好ましく、より好ましくは200〜600GPaの範囲であり、さらに好ましくは250〜450GPaの範囲である。また、炭素繊維の強度の観点からは、高い剛性、高い引張強度および高い圧縮強度等の力学特性を有する複合材料が得られることから、引張強度が4.0GPa以上の炭素繊維が好ましく用いられ、より好ましくは4.0〜7.5GPaの範囲であり、さらに好ましくは5.0〜7.0GPaの範囲である。また、引張伸度も重要な要素であり、引張伸度が1.5%以上の高伸度である炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも200GPa以上であり、引張強度が少なくとも4.0GPa以上であり 、引張伸度が少なくとも1.5%以上であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
【0049】
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T810G−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)などが挙げられる。
【0050】
炭素繊維の形態や配列については、一方向に引き揃えた長繊維や織物等から適宜選択できるが、軽量で耐久性がより高い水準にある炭素繊維強化複合材料を得るためには、炭素繊維が、一方向に引き揃えた長繊維(繊維束)や織物等連続繊維の形態であることが好ましい。
【0051】
本発明において用いられる炭素繊維束は、一つの繊維束中のフィラメント数が2500〜50000本の範囲であることが好ましい。フィラメント数が2500本を下回ると繊維配列が蛇行しやすく強度低下の原因となりやすい。また、フィラメント数が50000本を上回るとプリプレグ作製時あるいは成形時に樹脂含浸が難しいことがある。フィラメント数は、より好ましくは2800〜36000本の範囲である。
【0052】
本発明によるプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸したものである。そのプリプレグの炭素繊維質量分率は好ましくは40〜90質量%であり、より好ましくは50〜80質量%である。炭素繊維質量分率が低すぎると、得られる複合材料の重量が過大となり、比強度および比弾性率に優れる炭素繊維強化複合材料の利点が損なわれることがあり、また、炭素繊維質量分率が高すぎると、樹脂組成物の含浸不良が生じ、得られる炭素繊維強化複合材料がボイドの多いものとなり易く、その引張強度や圧縮強度等の力学特性が大きく低下することがある。
【0053】
本発明のプリプレグは、熱可塑性樹脂粒子[E]に富む層、すなわち、その断面を観察したときに、熱可塑性樹脂粒子[E]が局在して存在している状態が明瞭に確認しうる層(以下、粒子層と略記することがある。)が、プリプレグの表面付近部分に形成されている構造であることが好ましい。
【0054】
このような構造をとることにより、プリプレグを積層してエポキシ樹脂を硬化させて炭素繊維強化複合材料とした場合は、プリプレグ層、即ち複合材料層の間で樹脂層が形成され易く、それにより、複合材料層相互の接着性や密着性が高められ、得られる炭素繊維強化複合材料に高度の耐衝撃性が発現されるようになる。
【0055】
このような観点から、前記の粒子層は、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から、表面を起点として厚さ方向に好ましくは20%の深さ、より好ましくは10%の深さの範囲内に存在していることが好ましい。また、粒子層は、片面のみに存在させても良いが、プリプレグに表裏ができるため、注意が必要となる。プリプレグの積層を間違えて、粒子のある層間とない層間が存在すると、衝撃に対して弱い複合材料となる。表裏の区別をなくし、積層を容易にするため、粒子層はプリプレグの表裏両面に存在する方がよい。
【0056】
さらに、粒子層内に存在する熱可塑性樹脂粒子[E]の存在割合は、プリプレグ中、熱可塑性樹脂粒子[E]の全量100質量%に対して好ましくは90〜100質量%であり、より好ましくは95〜100質量%である。
【0057】
熱可塑性樹脂粒子[E]の存在率は、例えば、下記の方法で評価することができる。すなわち、プリプレグを2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板の間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に硬化温度まで温度を上昇させてゲル化、硬化させて板状のプリプレグ硬化物を作製する。このプリプレグ硬化物の両面に、プリプレグ硬化物の表面から、厚さの20%深さ位置にプリプレグの表面と平行な線を2本引く。次に、プリプレグの表面と上記線との間に存在する熱可塑性樹脂粒子[E]の合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する熱可塑性樹脂粒子[E]の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から20%の深さの範囲に存在する熱可塑性樹脂粒子[E]の存在率を計算する。ここで、熱可塑性樹脂粒子[E]の合計面積は、断面写真から熱可塑性樹脂粒子[E]部分を刳り抜き、その質量から換算して求める。樹脂中に分散する熱可塑性樹脂粒子[E]の写真撮影後の判別が困難な場合は、熱可塑性樹脂粒子[E]を染色する手段も採用できる。
【0058】
本発明のプリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を、メチルエチルケトンやメタノール等の溶媒に溶解して低粘度化し、炭素繊維に含浸させるウェット法と、エポキシ樹脂組成物を加熱により低粘度化し、炭素繊維に含浸させるホットメルト法等によって好適に製造することができる。
【0059】
ウェット法は、炭素繊維をエポキシ樹脂組成物の溶液に浸漬した後、引き上げ、オーブン等を用いて溶媒を蒸発せしめ、プリプレグを得る方法である。
【0060】
ホットメルト法は、加熱により低粘度化したエポキシ樹脂組成物を直接炭素繊維に含浸させる方法、またはエポキシ樹脂組成物を離型紙等の上にコーティングした樹脂フィルムを作製しておき、次に炭素繊維の両側または片側からその樹脂フィルムを重ね、加熱加圧することによりエポキシ樹脂組成物を転写含浸せしめ、プリプレグを得る方法である。このホットメルト法では、プリプレグ中に残留する溶媒が実質的に皆無となるため好ましい態様である。
【0061】
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、このような方法により製造された複数のプリプレグを積層後、得られた積層体に熱および圧力を付与しながらエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させる方法等により製造することができる。
【0062】
熱および圧力を付与する方法としては、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法および内圧成形法等が使用される。特にスポーツ用品の成形には、ラッピングテープ法と内圧成形法が好ましく用いられる。
【0063】
ラッピングテープ法は、マンドレル等の芯金にプリプレグを捲回して、炭素繊維強化複合材料製の管状体を成形する方法であり、ゴルフシャフトや釣り竿等の棒状体を作製する際に好適な方法である。より具体的には、マンドレルにプリプレグを捲回し、プリプレグの固定および圧力付与のため、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムからなるラッピングテープを捲回し、オーブン中でエポキシ樹脂組成物を加熱硬化させた後、芯金を抜き去って管状体を得る方法である。
【0064】
また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂製のチューブ等の内圧付与体にプリプレグを捲回したプリフォームを金型中にセットし、次いでその内圧付与体に高圧の気体を導入して圧力を付与すると同時に金型を加熱せしめ、管状体を成形する方法である。この内圧成形法は、ゴルフシャフト、バット、およびテニスやバトミントン等のラケットのような複雑な形状物を成形する際に、特に好ましく用いられる。
【0065】
本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを所定の形態で積層し、加圧・加熱してエポキシ樹脂を硬化させる方法を一例として製造することができる。
【0066】
本発明の炭素繊維強化複合材料は、前記したエポキシ樹脂組成物を用いて、プリプレグを経由しない方法によっても製造することができる。
【0067】
このような方法としては、例えば、本発明のエポキシ樹脂組成物を直接炭素繊維に含浸させた後加熱硬化する方法、即ち、ハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法およびレジン・トランスファー・モールディング法等が用いられる。これら方法では、エポキシ樹脂からなる1つ以上の主剤と、1つ以上の硬化剤とを使用直前に混合してエポキシ樹脂組成物を調製する方法が好ましく採用される。
【0068】
本発明の炭素繊維強化複合材料は、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途、さらにはゴルフシャフトやテニスラケットなどスポーツ用途に好ましく用いられる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例によって、本発明のエポキシ樹脂組成物と、それを用いたプリプレグおよび炭素繊維強化複合材料についてより具体的に説明する。実施例で用いた炭素繊維、樹脂原料およびエポキシ樹脂硬化物、プリプレグ、炭素繊維強化複合材料の作製方法、エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率、ゴム状態弾性率の評価方法、炭素繊維強化複合材料の0°引張強度、0°圧縮強度の評価方法を次に示す。実施例のプリプレグの作製環境と評価は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。
【0070】
<炭素繊維>
・“トレカ(登録商標)”T800G−24K−31E(フィラメント数24,000本、引張強度5.9GPa、引張弾性率294GPa、引張伸度2.0%の炭素繊維、東レ(株)製)。
【0071】
<エポキシ樹脂[A]>
・下記方法で合成したテトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリド
室温下、撹拌機、温度計および冷却機を備えた2Lの4つ口フラスコに4,4’−ジアミノベンズアニリド136.4g(0.60mol)、エピクロロヒドリン666.1g(7.20mol)および水27.2g(1.5mol)を仕込み窒素パージしながら70℃で2時間反応させた。その後80℃へ昇温し、さらに24時間反応させた。反応終了後、30℃に冷却し、硫酸水素テトラブチルアンモニウム6.1g(0.02mol)を添加し、48%水酸化ナトリウム水溶液300.0g(3.60mol)を30±5℃の温度を保持するように調整しながら、30分かけて滴下し、同温度で2時間反応させた。反応液に水341g(18.9mol)およびテトラヒドロフラン341g(4.73mol)を加え、5分撹拌し、分液(油層は上層)した。得られた油層に水341g(18.9mol)を加え、再度、洗浄および分液(油層は下層)した。油層を濾過した後、減圧条件下で濃縮し、テトラヒドロフランおよびエピクロロヒドリンを除去した。得られた有機物にトルエン150g(1.63mol)を加え、再度、減圧条件化で濃縮し、トルエンを除去することで目的とするテトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドを含む褐色粘性固体を290g得た。
・下記方法で合成したテトラグリシジル−3,4’−ジアミノベンズアニリド
合成したエポキシ樹脂の前駆体となる化合物を3,4’−ジアミノベンズアニリドに変更したこと以外は、上記のテトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドと同様の反応条件と手順によりグリシジル化反応を行い、目的物のテトラグリシジル−3,4’−ジアミノベンズアニリドを得た。
【0072】
<エポキシ樹脂[B]>
・“jER(登録商標)”825(三菱化学(株)製)
・“EPICLON(登録商標)”830(ビスフェノールF型エポキシ樹脂、DIC(株)製)。
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0600(トリグリシジル−m−アミノフェノール、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)
・“アラルダイト(登録商標)”MY0510(トリグリシジル−p−アミノフェノール、ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製)、
・TORAY EPOXY PG−01(ジグリシジル−p−フェノキシアニリン、東レ・ファインケミカル(株)製)
<硬化剤[C]>
・4,4’−DABAN(4,4’−ジアミノベンズアニリド、日本純良薬品(株)製)
・3,4’−DABAN(3,4’−ジアミノベンズアニリド、日本純良薬品(株)製)
・セイカキュアS(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、和歌山精化工業(株)製)
・3,3’−DAS(3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、三井化学ファイン(株)製)。
【0073】
<熱可塑性樹脂[D]>
・“VIRANTAGE(登録商標)” VW−10700RFP(ポリエーテルスルホン、ソルベイ・アドバンストポリマーズ (株)製)。
【0074】
<熱可塑性樹脂粒子[E]>
・下記の製造方法で得られたセミIPNナイロン粒子A
透明ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”−TR55、エムスケミ・ジャパン(株)製)90質量部、エポキシ樹脂(商品名“jER(登録商標)”828(三菱化学(株)製))7.5質量部および硬化剤(商品名“トーマイド(登録商標)”#296、富士化成工業(株)社製)2.5質量部を、クロロホルム300質量部とメタノール100質量部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、良く撹拌して3000質量部のn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、平均粒子径13.0μmの真球状のセミIPNナイロン粒子Aを得た。
【0075】
(1)エポキシ樹脂組成物の調製方法
混練装置で、表1〜5に記載の組成と割合のエポキシ樹脂および熱可塑性樹脂を160℃で2時間混練し、熱可塑性樹脂が溶解したことを目視で確認した後、70℃に冷まして硬化剤を配合して混練し、エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0076】
(2)エポキシ樹脂組成物の硬化物(エポキシ樹脂硬化物)作製
上記(1)の方法で得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ2mmの板状キャビティーを備えた型内に注入し、次の条件でオーブン中にて加熱硬化して樹脂硬化板を得た。
(1)30℃から180℃までを速度1.5℃/minで昇温する。
(2)180℃で2時間保持する。
(3)180℃から30℃まで、速度2.5℃/minで降温する。
【0077】
(3)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定
上記(2)の方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ60mm、幅10mmの試験片を切り出し、材料万能試験機(インストロン・ジャパン(株)製、“インストロン”(登録商標)5565型P8564)を用い、試験速度2.5mm/分、支点間距離32mmで3点曲げ試験を行い、JIS K7171−1994に従い曲げ弾性率を求めた。測定温度は25℃とした。
【0078】
(4)エポキシ樹脂硬化物のゴム状態弾性率測定
上記(2)の方法で得た厚さ2mmの樹脂硬化板から、長さ55mm、幅12.7mmの試験片を切り出し、JIS K7244−7(2007)に従い、動的粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社製、ARES−2KFRTN1−FCO−STD)を使用して、ねじり振動周波数1.0Hz、発生トルク3.0×10−4〜2.0×10−2N・m、昇温速度5.0℃/minの条件下で、−40〜300℃の温度範囲で動的ねじり測定(DMA測定)を行い、−30〜290℃の温度範囲における貯蔵弾性率を求める。得られた温度−貯蔵弾性率曲線において低温側のベースラインと、貯蔵弾性率が急激に変化する部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度とし、ガラス転移温度を50℃上回る温度での貯蔵弾性率をゴム状態弾性率とした。
【0079】
(5)プリプレグの作製
上記(1)の方法で得られたエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて樹脂目付50g/mで離型紙上にコーティングし、樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムを、一方向に引き揃えた炭素繊維(目付200g/m)の両側に重ね合せてヒートロールを用い、温度100℃、1気圧で加熱加圧しながらエポキシ樹脂組成物を炭素繊維に含浸させプリプレグを得た。
【0080】
(6)炭素繊維強化複合材料の0°の定義
JIS K7017(1999)に記載されているとおり、一方向炭素繊維強化複合材料の繊維方向を軸方向とし、軸方向を0°軸と定義したときの軸直交方向を90°と定義する。
【0081】
(7)炭素繊維強化複合材料の0°引張強度測定
一方向プリプレグを所定の大きさにカットし、一方向に6枚積層した後、真空バッグを行い、オートクレーブを用いて、温度180℃、圧力6kg/cm、2時間で硬化させ、一方向強化材(炭素繊維強化複合材料)を得た。この一方向強化材をASTM D3039−00に準拠してタブを接着した後、0°方向を試験片の長さ方向として、長さ254mm、幅12.7mmの矩形試験片を切り出した。得られた0°方向引張試験片を23℃環境下においてASTM D3039−00に準拠し、材料万能試験機(インストロン・ジャパン(株)製、“インストロン”(登録商標)5565型P8564)を用いて、試験速度1.27mm/minで引張試験を実施した。
【0082】
(8)炭素繊維強化複合材料の0°圧縮強度測定
一方向プリプレグを所定の大きさにカットし、一方向に6枚積層した後、真空バッグを行い、オートクレーブを用いて、温度180℃、圧力6kg/cm、2時間で硬化させ、一方向強化材(炭素繊維強化複合材料)を得た。この一方向強化材をSACMA−SRM 1R−94に準拠してタブを接着した後、0°方向を試験片の長さ方向として、長さ80.0mm、幅15.0mmの矩形試験片を切り出した。得られた0°方向圧縮試験片を23℃環境下においてSACMA−SRM 1R−94に準拠し、材料万能試験機(インストロン・ジャパン(株)製、“インストロン”(登録商標)5565型P8564)を用いて、試験速度1.0mm/minで圧縮試験を実施した。
【0083】
(実施例1)
混練装置で、70質量部のテトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドと30質量部のjER825および3質量部の“VIRANTAGE(登録商標)” VW−10700RFPを160℃で2時間混練し、“VIRANTAGE(登録商標)” VW−10700RFPが溶解したことを目視で確認した後、70℃に冷まして4,4’−DABANを34質量部配合して混練し、エポキシ樹脂組成物を得た。表1に組成と割合を示す(表1中、数字は質量部を表す。)
得られたエポキシ樹脂組成物から、上記の(2)エポキシ樹脂組成物の硬化物作製に記載の方法でエポキシ樹脂硬化物を得た。得られたエポキシ樹脂硬化物を用い、上記の(3)エポキシ樹脂硬化物の曲げ弾性率測定、(4)エポキシ樹脂硬化物のゴム状態弾性率測定に記載の方法で、曲げ弾性率およびゴム状態弾性率を測定した。
【0084】
また、得られたエポキシ樹脂組成物から、上記の(5)プリプレグの作製に記載の方法でプリプレグを得た。得られたプリプレグを用い上記の(7)炭素繊維強化複合材料の0°引張強度測定、(8)炭素繊維強化複合材料の0°圧縮強度測定に記載の方法で、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。
【0085】
(実施例2〜6、比較例1〜8)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表1、4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表1、4に示す。実施例1〜6では成分[A]として、テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドを用いることで、低いゴム状態弾性率と高い曲げ弾性率を示した。さらに、0°引張強度、0°圧縮強度とも高い値を示した。テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドに代えて、MY721、MY0600、MY0510を用いた比較例1〜8では、実施例1〜6対比曲げ弾性率が低く、0°引張強度、0°圧縮強度とも低い値であった。
【0086】
(比較例9)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表4に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物を作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率を測定した。上記(4)の方法でプリプレグを作製した際、エポキシ樹脂組成物の粘度が高すぎたため炭素繊維へのエポキシ樹脂組成物の含浸性が悪く、上記(7)、(8)の方法で炭素繊維強化複合材料を作製する際、プリプレグのカットができず、炭素繊維強化複合材料が得られなかった。
【0087】
(実施例7〜10)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表1に示す。 実施例7〜10は低いゴム状態弾性率と高い曲げ弾性率を示した。テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドの配合量が70質量部から40質量部に減ったことで、実施例1〜6対比、若干の曲げ弾性率の低下が見られたが、優れた0°引張強度、0°圧縮強度を示した。
【0088】
(実施例11〜15、比較例10〜14)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表2、5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表2、5に示す。実施例11〜15では、低いゴム状態弾性率と高い曲げ弾性率を示し、0°引張強度、0°圧縮強度とも高い値を示した。テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドの割合増加に伴い、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率とも上昇する傾向を示し、0°圧縮強度が向上する傾向が見られた。テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドに代えて、MY721を用いた比較例10〜14では、実施例11〜15対比曲げ弾性率が低く、0°引張強度、0°圧縮強度とも低い値であった。
【0089】
(実施例16、17)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表2に示す。実施例16、17では、低いゴム状態弾性率と高い曲げ弾性率を示し、0°引張強度、0°圧縮強度とも高い値を示した。テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドをテトラグリシジル−3,4’−ジアミノベンズアニリドに変えたことで、実施例1、6対比、ゴム状態弾性率が大きく変化することなく曲げ弾性率が向上し、0°引張強度、0°圧縮強度が向上した。
【0090】
(実施例18〜24、比較例15〜17)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表3、5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表3、5に示す。実施例18〜24では、低いゴム状態弾性率と高い曲げ弾性率を示し、0°引張強度、0°圧縮強度とも高い値を示した。硬化剤を4,4’−DABANから3,4’−DABANに変えた実施例18、19、22では、実施例1、16、6対比、ゴム状態弾性率が大きく変化することなく曲げ弾性率が向上し、0°圧縮強度が向上した。硬化剤を4,4’−DABANからセイカキュアSに変えた実施例20、23では、実施例1、6対比、曲げ弾性率が低下し、0°圧縮強度が低下した。テトラグリシジル−4,4’−ジアミノベンズアニリドに代えて、MY721を用いた比較例15〜17では、実施例18、20、21対比曲げ弾性率が低く、0°引張強度、0°圧縮強度とも低い値であった。
【0091】
(実施例25、26)
エポキシ樹脂と硬化剤の種類および配合量を、表3に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表3に示す。実施例25、26では、低いゴム状態弾性率と高い曲げ弾性率を示し、0°引張強度、0°圧縮強度とも高い値を示した。実施例25から26で、“VIRANTAGE(登録商標)” VW−10700RFPの配合量が増加することで0°引張強度が向上した。
【0092】
(実施例27)
炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性を向上させる目的で熱可塑性樹脂粒子を表3に示すように追加したこと以外は、実施例1と同様の方法でエポキシ樹脂硬化物およびプリプレグを作製し、曲げ弾性率、ゴム状態弾性率、0°引張強度、0°圧縮強度を測定した。結果を表3に示す。実施例27は、実施例1と同等な曲げ弾性率、0°引張強度、および、0°圧縮強度を示した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】
【0097】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明のエポキシ樹脂組成物により得られる炭素繊維強化複合材料は高い引張強度と圧縮強度を有するため特に構造材料に好適に用いられる。例えば、航空宇宙用途では主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造材用途、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途等に好適に用いられる。また一般産業用途では、自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、および補修補強材料等の土木・建築材料用途等に好適に用いられる。さらにスポーツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミントンおよびスカッシュ等のラケット用途、ホッケー等のスティック用途、およびスキーポール用途等に好適に用いられる。