特許第5800164号(P5800164)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5800164
(24)【登録日】2015年9月4日
(45)【発行日】2015年10月28日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20151008BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20151008BHJP
   F21S 2/00 20060101ALI20151008BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20151008BHJP
【FI】
   F21S8/02 410
   F21V29/74
   F21S2/00 340
   F21S2/00 375
   F21Y101:02
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-59851(P2014-59851)
(22)【出願日】2014年3月24日
(62)【分割の表示】特願2010-43238(P2010-43238)の分割
【原出願日】2010年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-112567(P2014-112567A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142664
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】小川 光三
(72)【発明者】
【氏名】樋口 一斎
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 重利
(72)【発明者】
【氏名】森山 厳與
【審査官】 石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−252451(JP,A)
【文献】 特開2008−311237(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21S 2/00
F21V 29/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に設けられた開口部、この開口部の内側に形成された凹部およびこの凹部の底面を有する熱伝導性部材で構成された器具本体と;
固体発光素子が実装された基板を有し、前記器具本体の底面に周状に配設された複数の発光モジュールと;
複数の発光モジュールのそれぞれに対向し、各発光モジュールから出射した光を反射制御する反射部を有し、前記器具本体の凹部内に配設された反射体と;
前記複数の反射体の全てを一体的に覆うように前記反射体の反射光が出射する方向に配設された透光性のカバー部材と;
内径寸法が前記反射および前記カバー部材の外寸法より大きな寸法に形成され、前記反射体および前記カバー部材の側方を包囲するように前記器具本体の前記凹部内に配設された金属製の枠部材と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記複数の発光モジュールは、器具本体の中央部に形成された挿通孔を囲むように配設されていることを特徴する請求項1記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の固体発光素子を光源とする照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フィラメント電球に代わって、寿命が長く、また消費電力の少ない固体発光素子である発光ダイオードを光源として採用した照明器具が商品化されている。例えば、特許文献1に示されるものは、発光ダイオードを光源としたダウンライトで、段落番号[0041][0042」に記載されているように、光源部が4個のLEDと反射体からなり、4個のLEDは直径が約60mmの円盤状の配線基板上に同心状に等間隔に配置して実装された、いわゆる、SMD(Surface Mount Device)タイプのダウンライトが示されている。
【0003】
また、特許文献2(特に、段落番号[0028])には、回路基板上に複数のLEDチップを、COB(Chip on Board)技術を使用してマトリックス状に実装した発光モジュールを用いたダウンライト等の照明器具が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−186776号公報
【特許文献2】特開2008−300207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、この種の照明器具において、近年ますます大光量の器具が要求されており、例えば、SMDタイプのもので大光量のダウンライトを構成することになると、発光ダイオードを多数実装する必要があり器具が大型化することから、天井等の所定の埋め込み穴寸法内に収まらない問題が生じる。
【0006】
また、COB基板の場合には大光量化を達成することができるが、特許文献2に示すように、1枚のCOB基板を使用した場合には、発光ダイオードの発熱が一箇所に集中して放熱性が悪くなる。これを改善するためには放熱面積を多くする必要があり器具を小形に構成することができない。同時にダウンライトとしてのスポット的な配光を得るためには、反射体を深くする必要があり小形化が困難となる。このため、この種の発光ダイオード等の固体発光素子を用いた照明器具においては、小形で如何に大光量化を実現するかが重要な課題となっている。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光性能を得ることができる小形で大光量の照明器具を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の照明器具の発明は、一端側に設けられた開口部、この開口部の内側に形成された凹部およびこの凹部の底面を有する熱伝導性部材で構成された器具本体と;固体発光素子が実装された基板を有し、前記器具本体の底面に周状に配設された複数の発光モジュールと;複数の発光モジュールのそれぞれに対向し、各発光モジュールから出射した光を反射制御する反射部を有し、前記器具本体の凹部内に配設された反射体と;前記複数の反射体の全てを一体的に覆うように前記反射体の反射光が出射する方向に配設された透光性のカバー部材と;内径寸法が前記反射および前記カバー部材の外寸法より大きな寸法に形成され、前記反射体および前記カバー部材の側方を包囲するように前記器具本体の前記凹部内に配設された金属製の枠部材と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、器具本体に配設された複数の発光素子から出射光を反射制御する反射体と、複数の反射体を覆うように配設された透光性のカバー部材を有し、反射体およびカバー部材を包囲する枠部材を有することで、大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光性能を得ることができる小型で大光量の照明器具を構成することができる。
【0010】
本発明において、照明器具は、天井等の被設置体に対して所定の埋め込み穴寸法をもって設置されるダウンライトやスポットライト等に適用することが好適であるが、その他の住宅用や店舗、オフィスなど施設・業務用等の各種の小形の照明器具を構成してもよい。
【0011】
器具本体は、例えば、円筒状をなす本体の一端部側に発光部を配設したものが許容される。また、発光部から発生する熱を放熱するために、熱伝導性の良好な、アルミニウム、銅、鉄等の金属からなる熱伝導性部材で構成されることが好ましいが、セラミックスや高熱伝導性樹脂等の合成樹脂で構成されたものであってもよい。
【0012】
固体発光素子は、発光ダイオード、半導体レーザ、有機ELなどの固体発光素子で構成されることが許容される。固体発光素子を実装した1枚の発光モジュールは、例えば、正方形や長方形をなす基板に多数の固体発光素子をマトリックス状に配置したものが一般的であるが、千鳥状または放射状など、規則的に一定の順序をもって一部または全体が面状に配置され実装されたものであってもよい。
【0013】
発光モジュールは、器具本体に分散して配設されることから、発生する熱も分散され効果的に放熱させることができる。同時に、発光モジュールが分散されることから、分散された発光モジュール個々に反射部を設ける構成となることから、配光角を制御する反射体の深さを低くすることが可能となる。これら効果的な構成によって、器具の大型化を抑制することができる。
【0014】
反射体は、複数の発光モジュールにそれぞれ対向し、各発光モジュールから出射した光を制御する反射部を有するもので、この反射部は、例えば、1枚の発光モジュールに対向する光源側開口部、および光源からの光を出射する拡開した出射側開口部を有し、これらが一体となって反射体を構成してもよいし、個々に反射体として構成したものであってもよい。また、例えば、部屋の中心部を主として照明するために、周囲にわたり光度の変化が比較的少ない配光を得るための反射体が許容される。また、光源側開口部から出射側開口部に向けて傾斜させて反射面を形成し、発光モジュールから放射される光を反射させ、さらに回転対象となる配光を得るために、発光モジュールの発光領域を囲繞するように横断面が円形をなす「すり鉢状」の凹部で形成してもよい。また、例えば、横断面が矩形状をなす「すり鉢状」の凹部などの形状でもよい。また、反射面は連続した曲面で形成されていることが好ましいが、一部に平面状をなす面が形成されたものであってもよい。
【0015】
反射体の材質は、光の反射性能を考慮して、耐光性、耐熱性および電気絶縁性を有する白色の合成樹脂、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)や、アクリルやABS等の合成樹脂で一体に形成してもよい。また、その表面を白色に塗装しても、アルミニウムや銀等の金属を蒸着若しくはメッキなどを施して鏡面または半鏡面に加工したものであってもよい。さらに、アルミニウムや銅等の金属で構成し、上記の合成樹脂と同様に白色塗装や蒸着若しくはメッキ等を行ってもよい。さらに、各種の模様等を施したものであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、器具本体に配設された複数の発光素子から出射光を反射制御する反射体と、複数の反射体を覆うように配設された透光性のカバー部材を有し、反射体およびカバー部材を包囲する枠部材を有することで、大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光性能を得ることができる小型で大光量の照明器具を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る照明器具を示す図で、(a)は図2のa−a線の沿う断面図、(b)は(a)図の要部を拡大して示す断面図。
図2】同じく照明器具を枠部材、カバー部材および反射体を外した状態で示す上面図。
図3】同じく照明器具の底面図。
図4】同じく照明器具の発光モジュールを模式的に示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)図のb−b線に沿う断面図。
図5】同じく照明器具を示し、(a)は枠部材およびカバー部材を外した状態で示す上面図、(b)は反射体の断面図。
図6】従来の照明器具における図5に相当する図で、(a)は枠部材およびカバー部材を外した状態で示す上面図、(b)は反射体の断面図。
図7】本発明の第1の実施形態に係る照明器具を天井に設置した状態を示す断面図。
図8】同じく第1の実施形態に係る照明器具の変形例を示し、(a)は第1の変形例の要部を示す断面図、(b)は第2の変形例の要部を示す断面図。
図9】本発明の第2の実施形態に係る照明器具の実験データを示し、(a)は実験条件を示す図、(b)は角度とBCD平均輝度の関係を示すグラフ、(c)は開口径と輝度の関係を示すグラフ。
図10】本発明の第3の実施形態に係る照明器具の実験データを示し、(a)はダウンライトの配光曲線、(b)は在室者が段差の異なる反射体を目視した場合の角度差を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る照明器具の実施形態につき図に従い説明する。
【実施例1】
【0019】
本実施例の照明器具10は、φ約150mmの埋め込み穴に設置されるダウンライト形の照明器具を構成したもので、図1に示すように、熱伝導性部材で構成される器具本体11、固体発光素子12を実装した発光モジュール13を器具本体に分散して配設した発光部14、複数の発光モジュールにそれぞれ対向し、光を出射方向に向けて反射すると共に、光の配光角を所定の角度に設定する複数の反射部15aを有する反射体15、反射体の前面に設けられた透光性のカバー部材16、反射体を囲むように設けられた枠部材17で構成する。
【0020】
器具本体11は、放熱性を高めるために熱伝導性の良好な金属、本実施例では、アルミダイカストで構成された横断面形状が略円形の円筒状をなし、一端部側に開口部11aを有し他端部側が閉塞された椀状のケース体となるように構成され、内部に形成される凹部11bに発光部14が収納され、外周面および底面に多数の放熱フィン11cが一体に形成される。本実施例において、器具本体11の開口径φ1、すなわち、開口部11aの直径寸法は、約135mmに形成した(図2参照)。
【0021】
固体発光素子12は、本実施例では発光ダイオードチップ(以下「LEDチップ」と称す)で構成し、LEDチップ12は、同一性能を有する複数個のLEDチップ、本実施例では高輝度、高出力の青色LEDチップで構成する。このLEDチップ12は、基板に実装されて発光モジュール13を構成する。
【0022】
本実施例では、1枚で全光束1000lmの光出力を有する発光モジュール13を6枚使用して、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmの光出力を達成するように構成する。そのため、上記の6枚の発光モジュール13は、図2に示すように、全て同一の構成からなり、基板13aと基板の一面側(表面側)にLEDチップ12を実装し、平面視が正方形となるように、複数のLEDチップ12上を覆うように黄色蛍光体が設けられて構成される。
【0023】
各発光モジュール13を構成する基板13aは、図4に模式的に示すように、本実施例では、良好な熱伝導性を有するアルミニウム製の薄い長方形の平板で構成する。基板13aの表面側には、一側縁側に余白s1を残して、略正方形をなす土手部を形成し浅い正方形の収容凹部13bを形成し、この収容凹部の底面、すなわち、基板13aの表面に、上述した複数のLEDチップ12(青色LEDチップ)を略マトリックス状に実装する。また、略マトリックス状に規則的に配置された各青色LEDチップ12間は、配線パターンとボンディングワイヤによって直列に接続される。
【0024】
上記に構成された第1基板13の収容凹部13bには、黄色蛍光体を分散・混合した封止部材13b1が塗布または充填されて発光モジュール13が構成される。そして、上述した青色LEDチップ12から放射される青色光を透過させると共に、青色光によって黄色蛍光体を励起して黄色光に変換し、透過した青色光と黄色光が混光して白色の光が発光モジュール13から放射される。本実施例における発光モジュール13における発光面は、土手部内側の封止部材13b1全体であり、発光面の面積は、約15mm角に形成した。
【0025】
上記に構成された発光モジュール13は、図2に示すように、ダウンライト器具として必要な光出力、すなわち、全光束6000lmを、器具本体11に分散して配設することにより達成している。発光部14を構成する発光モジュール13は、6枚が用意され、器具本体11の一端部側の開口部11aから凹部11b内に、それぞれ6枚が挿入され凹部の底面に熱的に結合するように固定される。すなわち、各発光モジュール13は、器具本体11の円形の開口部11aから光が均等に放射されるように、中央部にスペースSが形成されるように環状に略等間隔に、本実施例では、6枚の各発光モジュール13を、その長手方向の軸線y−yが、それぞれ60°の角度をもって放射状に略等間隔に分散して配設されるように構成する。
【0026】
さらに、各発光モジュール13は、器具本体11の凹部11bからなる狭い収納スペースを有効に活用して、器具本体11の大型化を防ぐために、基板13aの一部を重ねて配設する。すなわち、図1(b)に示すように、各発光モジュール13を固定する凹部11bの底面には、凹嵌部11dが形成されている。この凹嵌部11dは、隣り合う発光モジュール13における凹部11bの底面の一方に対応して一体に形成する。換言すれば、一つ置きに凹嵌部11dが120°の角度をもって放射状に略等間隔に、また凹嵌部11dの隣に段部11eが120°の角度をもって放射状に略等間隔に形成される。この凹嵌部11dは、発光モジュール13の長方形をなす基板13aが、そのまま嵌合する大きさ形状に形成され、また、段部11eの面積は、長方形をなす基板13aが載置される大きさに形成される。凹嵌部11dの底面および段部11eの表面は、基板13aを密着して固定するために、平坦な面に形成する。図中t1は、凹嵌部11dと段部11eの段差寸法であり、本実施例では、約5mmに設定した。すなわち、基板13a、13a´は段差を設けて配設されている。
【0027】
そして、6枚の発光モジュール13の基板13aを、図2に示すように、3枚が凹嵌部11dに3枚が段部11eに固定される。この際、各基板13aは、その余白s1部分の角が重なるようにして配設される。凹嵌部11dに嵌めこまれた基板13aは、ピン11fによって位置決めされ、また段部11eに載置された基板13a´は、ピン11gによって位置決めされる。さらに、各基板13a、13a´は、器具の中心側において、基板13a、13a´の周縁に形成した切欠部が重なるように配置されており、ピン11hによって、この切欠部が係止され2枚の基板が同時に位置決めされている。なお、必要に応じて、耐熱性を有し熱伝導性および電気絶縁性の良好なシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等で構成された接着剤やシート等(図示せず)を介して、凹嵌部11dと段部11eの平坦な面に対して密着させてもよい。上記のように、基板13a、13a´の一部を重ねて配設することによって、器具本体11の凹部11bからなる狭い収納スペースを有効に活用することができ、器具本体11の大型化を防ぐことができる。
【0028】
上記により、6枚の基板13aが、中央部に凹部からなるスペースSが形成されるように、換言すれば、器具本体の中心には発光モジュール13を配置しないようにして、環状に略等間隔に配設され、さらに、基板13aの一部が重なるようにして配設されて発光部14が構成される。この発光部14は、上述したように、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmを、1枚当たり全光束1000lmの発光モジュール13を6枚用いて、器具本体11に環状に等間隔に配設することにより達成するものである。
【0029】
また、上記のように各発光モジュール13を凹嵌部11dと段部11eに密着して固定することによって、発光モジュール13から発生する熱を、アルミダイカスト製の器具本体11から多数の放熱フィン11cを介して外部に放熱させる。特に、各発光モジュール13を分散させて器具本体11に配設することにより、発光モジュール13から発生する熱が中央部に集中することなく、器具本体11に対して略均等に分散されることから効果的に放熱させることができる。因みに、特許文献2に示すように、1枚の大きな発光モジュールによって構成した場合には、器具本体の中央部分に熱が集中して効果的な放熱が行えない。
【0030】
そして、各発光モジュール13には、配線用のコネクタ13cが設けられ、各発光モジュール13のコネクタ13cは、それぞれが中央部のスペースSに向くように、器具本体11の中心側に位置して設けられる。また凹部からなるスペースSの底面には、器具本体11の中心から底面に向けて貫通する電線挿通孔11kが形成され、各発光モジュール13のコネクタ13cに接続されたリード線wが束ねられて、図3に示すように、この電線挿通孔11kから器具本体11の底面を介して外部に引き出される。図3中18は、電線挿通孔11kを塞ぐための天板で、引き出されたリード線wを電線挿通孔11kの端部との間zで挟み込んで固定することにより、器具本体11の中心部でリード線の張力留めを行う。また、引き出されたリード線は、別置きの電源ユニットEの出力端子に接続される。なお、6枚の発光モジュール13は、3枚ずつが直列に接続され、直列に接続されたものが、さらに並列に接続されるもので、リード線wは、この配線を簡単にできるようにハーネス化させて形成する。
【0031】
これにより、複数の発光モジュール13は、中央部にスペースSが形成されるように環状に略均等に分散して配設したので、周囲に略均等に光を放射させることができると共に、中央部のスペースSを利用して複数の発光モジュール13における電気接続を行うことができ、格別な配線スペースが不要となって器具の大型化、特に器具の高さ方向の大型化を抑制することができる。また、中央部のスペースSにおける電線挿通孔11kの周囲の凹部内に、リード線wの余分となった部分も収納することができる。また、リード線wと基板13aとの結線は、全てコネクタ13cで行うことができ配線が容易となって器具の組み立て性が向上する。さらに、これら結線は、基板13a、すなわち、発光モジュール13が配置されていないスペースS内で行うことができ、結線作業がし易いと共に、基板13aの放熱の妨げにならない。
【0032】
反射体15は、図5に示すように、発光部14における6枚の発光モジュール13にそれぞれ対向し、光を出射方向に向けて反射すると共に、光の配光角を所定の角度に設定するもので、個別の6個の反射部15aを一体に構成することによって構成される。個別の反射部15aは、LEDチップ12側に対向する光源側開口部15b、およびLEDチップ12からの光を出射する拡開した出射側開口部15cを形成し、光源側開口部15bから出射側開口部15cに向けて連続して傾斜する反射面15dを一体に形成する。反射面15dは、LEDチップ12から放射される光を反射させ、さらに周囲にわたり光度の変化が比較的少ない回転対象となる配光を得るために、LEDチップ12の発光領域を囲繞するように横断面が円形をなす「すり鉢状」の凹部をなすように構成される。上記に構成された個別の反射部15aは、6枚の発光モジュール13の、それぞれのLEDチップ12に対応して6個が設けられることにより反射体15が構成される。
【0033】
この反射体15は、耐光性、耐熱性および電気絶縁性を有する白色の合成樹脂、本実施例では、PBT(ポリブチレンテレフタレート)により円盤状に一体に構成する。この円盤には、本実施例では6枚の発光モジュール13に対応した6個の個別の反射部15aが、同心円上に略等間隔になるように一体に形成される。反射体15は、その表面、および、個々の反射部15aにおける光源側開口部15b、反射面15d、出射側開口部15cにわたって、アルミニウムによる蒸着膜を施すことによって鏡面に加工される。
【0034】
上記に構成された反射体15は、器具本体11の凹部11b内に落とし込むことによって嵌めこまれる。この際、反射体15の個別の反射部15aが、環状に略等間隔に配設された6枚の発光モジュール13に、それぞれ対向し出射側開口部15cによって、正方形に実装されたLEDチップ12の発光面を囲み、各基板13a、13a´を抑えつけることで各発光モジュール13を固定する。反射体15の固定は反射体15の裏面側に一体に設けられた取付用のボスに対して、器具本体11の底面側から挿入されるネジによって固定される。なお、図5(b)に示すように、段部11eに固定された発光モジュール13´に対応する反射部15a´の高さ寸法h1は、凹嵌部11dに固定された発光モジュール13に対応する反射部15aの高さ寸法h2より、段差寸法t1だけ低くなるように形成されている(h2−h1=t1)。
【0035】
上記のように反射体15が6枚の発光モジュール13に対応して設けられることにより、光を出射方向に向けて反射すると共に、光の配光角を所定の角度に設定することができる。すなわち、図5(b)に示すように、LEDチップ12における配光角α1は、個別の反射部15aの光源側開口部15bから出射側開口部15cの高さh1によって設定される。本実施例の場合は、低い高さ寸法h1によって目的とするダウンライトとしての配光角を約60°(α1=約30°)の中角配光に設定することができる。因みに、従来のように、1枚の大きな発光モジュールによって配光角60°の中角配光を設定するためには、図6(b)に示すように、本実施例における高さ寸法h1より高い寸法h3が必要となり(h1<h3)、反射体が大きくなって、特に高さ寸法が大きくなって、器具本体の小形化を達成することができなくなる。このように、発光モジュール13を分割し分散して配設することにより、配光角を制御する反射体の深さを低くすることが可能となり、器具の大型化を抑制することができる。なお、従来例を示す図6には、本実施例と同一部分に同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0036】
上記に構成された反射体15には、図1(a)に示すように、透光性のカバー部材16が設けられる。カバー部材16は、反射体15の出射側開口部15cを覆うことによって、発光モジュール13の充電部、すなわち、LEDチップ12等を保護するためのもので、6個の出射側開口部15cを全て覆うように、また、グレアを防ぐためにフロストをかけた半透明の円板からなるアクリル樹脂で構成され、反射体15の外周面に対して、アクリル樹脂に一体に形成した支持脚16aを係止させることによって支持される。カバー部材は、透明な樹脂でも、透明または半透明のガラスで構成してもよい。
【0037】
17は、反射体15を囲むように設けられるリング状の枠部材で、熱伝導性の良好な金属、本実施例では鋼板に白色塗装を施したリング状の軽量な化粧枠として構成する。枠部材17の内径寸法は、円盤状をなす反射体15およびカバー部材16の外径寸法より若干大きな寸法に形成し、高さ寸法(深さ寸法)を反射体15に設けたカバー部材16までの高さ寸法より大きく形成して、反射体15およびカバー部材16が枠部材17の内周面によって囲まれ、反射体15の外周が白色の綺麗な化粧枠である枠部材17によって囲まれる。また、枠部材17は、その底部の開口に、内周方向に突出する支持片17aを一体に形成し、支持片17aを器具本体11の凹部11bの底面に載置してネジ17bで周囲4箇所程度を固着する。これにより、アルミダイカスト製の器具本体11と鋼板からなる枠部材17が熱的に連結され、発光モジュール13から発生する熱を枠部材17から放熱させる。なお、枠部材17は、アルミニウム板で構成しても、さらには、反射体15と同様に、耐光性、耐熱性および電気絶縁性を有する白色の合成樹脂、例えば、白色などのPBTにより構成してもよい。図3中20は、器具本体11の外周面に略等間隔に設けられたステンレス製の板バネからなる3本の取付具である。
【0038】
上記により、器具として必要な光出力を、分割した複数の発光モジュールを器具本体に分散して配設することにより、すなわち、1枚で全光束1000lmの光出力を有する発光モジュール13を6枚使用して、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmの光出力を達成した小形で大光量のダウンライト形の照明器具10が構成される。
【0039】
上記に構成されたダウンライト形の照明器具10は、図7に示すように、被設置面である天井Xに単体若しくは複数個を送り用ケーブルにより接続させて使用する。先ず、天井Xの所定の位置に円形の埋め込み穴30を形成する。埋め込み穴30の直径寸法は、本実施例では約150mmの円形の貫通孔を形成する。
【0040】
次に、予め商用電源に接続され、天井裏等に設置された別置きの電源ユニットEの出力端子に、器具本体11の底面から引き出されたリード線wを接続する。リード線wを接続した状態で、器具本体11の板バネからなる取付具20を手で内方に撓ませて器具本体11と共に埋め込み穴30に挿入し、枠部材17の突出した裏面側を天井面Xに当接させ位置を決める。
【0041】
位置が決まった状態で取付具20から手を離す。これにより板バネが自らの弾性により元の状態に復帰して埋め込み穴30の内面に圧接し、その圧接力により器具本体11が天井Xに固定される。埋め込み穴30の切り口は化粧枠となる枠部材17によって綺麗に覆われる。この際、器具本体11は、上述したように大型化が抑制され、大光量・高出力でありながら小形に構成されているので、例えば、天井裏に突出した梁、断熱材、空調用やケーブル用のダクト等に器具本体20の上面が当たって設置できなくなるようなことがない。
【0042】
上記に設置されたダウンライト形の照明器具10を点灯すると、各発光モジュール13から出射された光が反射体15の回転放物面からなる個別の反射面15dで反射すると共に、配光角が制御され周囲にわたり光度の変化が比較的少ない配光特性をもって、部屋の中心部が比較的明るく、周囲にわたって徐々に暗くなるダウンライトとしての配光特性をもった照明を行うことができる。
【0043】
この際、1枚で全光束1000lmの光出力を有する発光モジュール13を6枚使用して、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmの光出力で照明を行う。同時に、6枚の発光モジュール13は、中央部にスペースSが形成されるように環状に略均等に分散して配設したので、周囲に均等に光を放射させる。また、個別の反射部15aの反射光を反射体15で遮光するので、所望の配光角を得ることができると同時に眩しさを低減させることもできる。
【0044】
また、各発光モジュール13のLEDチップ12から発生する熱は、基板13aが密着して固定された器具本体11における凹部11bの底面に直接伝達され、さらに表面積の大きな本体側壁にも伝達されて多数の放熱フィン11cを介し外部に放熱される。この放熱作用は、6枚の発光モジュール13を環状に略均等に分散させて器具本体11に配設したので、LEDチップ12から発生する熱が器具本体11の底面中央部に集中することなく、器具本体11に対して略均等に分散され効果的に放熱される。また、同時に、器具本体11の凹部11bの底面に固定され鋼板製の枠部材17からも放熱される。これら放熱作用により、各LEDチップ12から発生する熱を十分効果的に放熱させることができる。
【0045】
以上、本実施例においては、1枚で全光束1000lmの光出力を有する発光モジュール13を6枚使用して、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmの光出力を達成するように構成した。
【0046】
この分割した複数の発光モジュール13を器具本体11に分散して配設する構成をとることによって、周囲に略均等に光を放射させると共に、発光モジュール13で発生する熱を分散して器具側へ放熱させることができる。また、発光モジュール13から発生する熱が中央部に集中することなく、器具本体11に対して略均等に分散されることから効果的に放熱させることができる。発光モジュール13を分割し分散して配設することにより、配光角を制御する反射体15の深さを低くすることが可能となり、器具の大型化を抑制することができる。基板13aの一部を重ねて配設することによって、器具の大型化を防ぐことができる。複数の発光モジュール13は、中央部にスペースSが形成されるように環状に略均等に分散して配設したので、中央部のスペースSを利用して電気接続を行うことができ、格別な配線スペースが不要となって器具の大型化を抑制することができる。これら特有の作用効果により、器具を大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光性能を得ることによって、発光モジュールを用いることを可能とした小形で大光量の照明器具を提供することができた。
【0047】
また、本実施例によれば、中央部のスペースSにおける電線挿通孔11kの周囲に、リード線wの余分となった部分も収納することができ、リード線wと基板13aとの結線は、全てコネクタ13cで行うことができ配線が容易となり器具の組み立て性が向上する。結線は、発光モジュール13が配置されていないスペースS内で行うことができ、結線作業がし易いと共に、基板13aの放熱の妨げにならない等、発光モジュールを器具本体に分散して配設することによる種々多様な、さらなる作用効果を奏することができる。
【0048】
以上、本実施例において、鋼板製の枠部材17を器具本体11の凹部11bの底面に固定し、各発光モジュール13のLEDチップ12から発生する熱を放熱させるように構成したが、図8(a)に示すように、発光モジュールの基板13aを器具本体の凹部11bの底面に密着させ、その上に枠部材17を載置し、その上にさらに、反射体15の鍔部15eを載置し、これらを鍔部15eの上面からネジ11jで器具本体の凹部11bに対して締め付けて固定するように構成してもよい。
【0049】
この構成によれば、反射体15と器具本体の凹部11bとの間に、発光モジュールの基板13aおよび枠部材17を挟み込むことができ、さらに、発光モジュール13の熱を、近い位置で枠部材17に伝達することができ効果的な放熱を行うことができる。また、全ての部品を挟み込んで固定するために、密着性も向上し、さらに、ヒートショック性、組み立て性も向上する。
【0050】
また、図8(b)に示すように、枠部材17を器具本体11の裏面側に密着させ、発光モジュールの基板13aを器具本体の凹部11bの底面に密着させ、その上に反射体15の鍔部15eを載置し、これらを鍔部15eの上面からネジ11jで器具本体の裏面に設けられた枠部材17に対して締め付けて固定するように構成してもよい。なお、この場合、器具本体11の凹部11bは、高さを低く(深さを浅く)形成する。
【0051】
この構成によれば、反射体15と器具本体の凹部11bとの間に、発光モジュールの基板13aおよび枠部材17を挟み込むことができ、さらに、発光モジュール13の熱を、近い位置で枠部材17に伝達することができ効果的な放熱を行うことができる。また、全ての部品を挟み込んで固定するために、密着性も向上し、さらに、ヒートショック性、組み立て性も向上する。
【0052】
上記の図8(a)(b)に示す構成は、この種の器具が、今後さらに高出力化することで、LEDチップはさらに高密度で配置され、より効果的な放熱が必要となるが、これらの枠部材に対して効果的に熱を伝達し、効果的な放熱作用ができる構成は、特に有効である。また、電源ユニットEは、別置きで構成したが、器具本体11に設けるように構成し、電源部一体形の器具を構成してもよい。なお、変形例を示す、図8には、図1図7と同一部分に同一符号を付し詳細な説明は省略した。
【実施例2】
【0053】
本実施例は、埋め込み穴30の直径が約150mmで、器具の全光束4000lm以上、中角配光で、かつ複数の回転対称な光学系、すなわち、反射体15を有した実施例1の小形で大光量のダウンライト形の照明器具において、グレアを抑制しつつ、所定の中角配光を得ることができるための光学系の開口面積を如何に設定すればよいかを求めた。本実施例においては、以下に説明する実験により、光学系の開口面積の合計が、4000mm2〜6000mm2となるように設定した。具体的には、反射体15における個別の反射部15aにおける出射側開口部15cの開口径を29.5mm〜36mmとし、これを6ピース設けることで構成した。
【0054】
上記構成により、器具の全光束4000lm以上の小形で大光量のダウンライト形の照明器具において、眩しさを抑制しつつ、所定の中角配光を得ることができる。すなわち、800lmの発光モジュール×6pで4800lm、器具の全光束4400lmのダウンライト形の器具において、反射体で配光角60°を実現するためには、鏡面に近い反射特性が必要となる。図9(b)に示すデータによると、水平視の場合のBCD輝度は鉛直角55°で約20000cd/m2が最小である。遮光角30°のバッフルによって、60°以上の光は遮断されるが、鉛直角55°の角度は、バッフルの遮光範囲外で遮光することができない。なお、図9(a)は、実験条件を示す図、図9(b)に示すデータは、角度αとBCD平均輝度に関係を示すグラフである(背景輝度は50[cd/m2])。
【0055】
このため、本実施例では、器具の全光束4000lm、配光角60°のダウンライト形の器具で、反射体15における個別の反射部15aの開口径を変化させた場合の出射角度55°における輝度値を求めた。その結果、図9(c)のグラフに示すように、鉛直角55°で輝度20000cd/m2にするためには、反射部15aの開口径は、約29.5mm以上なければならない。φ29.5mm×6pでのトータル面積は、4000mm2である。
【0056】
一方、埋め込み穴径約150mmの複合反射体(6pの個別の反射部15aを設けた反射体15)の直径は、取付具などに必要なスペースを考えるとφ120mm程度であり、この中に納まる最大反射体径(個別の反射部15aの開口径)は36mm、6pでのトータル面積は6000mm2である。
【0057】
以上の結果から、光学系の開口面積の合計がグレアを抑制しつつ、所定の中角配光を得ることができるための光学系の開口面積を設定することができた。これは、特に、実施例1のように、1枚で全光束1000lmの光出力を有する発光モジュール13を6枚使用して、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmの光出力を達成するように構成した小形で大光量のダウンライト形の照明器具において、グレアの発生を抑制するために特に有効である。特に、従来のこの種のダウンライト形の照明器具は、埋め込み穴径150mmで、2000lm程度までであったが、器具を高出力化して全光束を4000lm以上とすると、グレア、眩しさを感じることが課題となり、これらグレア、眩しさ抑制するために、上記の構成は極めて有効である。
【実施例3】
【0058】
本実施例は、実施例1における反射体15の一部(一方)を、光軸x−x方向に沿って変位させることにより、所定の中角配光を得ながらグレア、眩しさ感を抑制するものである。具体的には、図1(b)に示すように、器具本体11における凹部11bの凹嵌部11dに固着された基板13aに設けられる反射体15を、光軸x−x方向に沿って、他の反射体、すなわち、段部11eに固着された反射体15´よりも、その出射側開口部15cの開口端部が低くなるように(光の放射方向と逆方向に)変位させて構成した(段差t1)。
【0059】
すなわち、図10(a)に、この種の中角配光60°を有するダウンライト形の照明器具における配光の例を示すように、30°〜50°付近は傾きが大きい。また、図10(b)に示すように、天井高さが2.4mの場合、出射角50°付近の在室者から見て、高さの異なる反射体15、15´の角度には、約0.5°の差が生じる(角度α―β≒0.5°)。図10(a)の配光例において、出射角50°付近での0.5°の差は、輝度にすると10〜15%になる。つまり、例えば、6個の反射体の内、半分の3個の反射体15を光軸x−x方向に段差t1分変位した場合、光軸方向の輝度は5〜7%低下する。
【0060】
これにより、出射角50°付近は、実施例2における図9(b)に示すように、BCD輝度が最も低いが、バッフルなどで遮光できない範囲であるが、上記のように、半分の反射体15を光軸x−x方向に変位させることによって輝度を低減でき、所定の中角配光を得ながらグレア、眩しさ感を抑制することができた。また、バッフルで拡散させてφ150m、すなわち、埋め込み穴径全体が光るようにすると中角配光ができなかったが、上記構成によれば、所定の中角配光を確実に得ながらグレア、眩しさ感を抑制することができる。
【0061】
これは、特に、実施例1のように、発光モジュール13を複数使用して、ダウンライト器具として必要な全光束の光出力を達成するように構成した小形で大光量のダウンライト形の照明器具において、グレアの発生を抑制するために特に有効である。特に、従来のこの種のダウンライト形の照明器具は、埋め込み穴径150mmで、2000lm程度までであったが、器具を高出力化して全光束を4000lm以上とすると、グレア、眩しさを感じることが課題となり、これらグレア、眩しさ抑制するために、上記の構成は極めて有効である。なお、実施例1では、同一円周上に発光モジュール13を配設したものであったが、本実施例では、異なる円周上に発光モジュール13を配設した場合について説明した。
【実施例4】
【0062】
本実施例は、埋め込み穴30の直径が約150mmで、器具の全光束20000lm以上の小形で大光量のダウンライト形の照明器具において、大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光を得て、目的とする全光束を得ることが可能な発光部14における発光面積を如何に設定すればよいかを求めた。
【0063】
本実施例においては、以下に示すように、器具本体11の開口面積に対する発光モジュールの発光面のトータル面積の割合が、4.25%〜15%となるように設定した。面積をこれ以上広げると、放熱のための面積もさらに必要となり、器具本体、特に、器具高さが大きくなりすぎ小型化ができず、また、適切な配光角を得ることが困難となる。また、これ以上小さい面積にすると目的とする全光束を得ることが困難となる。このためこれら要素を考慮した場合、好ましくは、4.5%〜15%の範囲がよい。上記により、器具の全光束2000lm以上の小形で大光量のダウンライト形の照明器具において、大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光を得て、目的とする全光束を得ることが可能となる。
【0064】
上述した器具本体の開口面積に対する発光部の面積の割合は、次のようにして求めた。すなわち、φ150mmの埋め込み穴30用の器具の開口径φ1(図2参照)は、約104mm程度で、面積は約8491mm2である。
【0065】
また、従来の全光束約2000lm程度のLEDダウンライトにおける光源は、φ約4.2mmのSMDタイプのLEDチップを、例えば、26p用いており、この場合、そのトータル面積、すなわち、発光部の面積は、約360mm2で、器具の開口の面積に対する割合は、約4.24%である。
【0066】
また、実施例1におけるダウンライト形の照明器具10は、全光束約6000lm〜約9000lmまで達成することが可能であり、1枚の発光モジュール13は、発光面が約15mm角で6p用いており、そのトータル面積、すなわち、発光面の面積は、約1350mm2で、器具の開口径φ1を108mmとすると器具開口の面積は、9156mm2となり、器具の開口面積に対する発光面のトータル面積の割合は、約15%である。
【0067】
なお、埋め込み穴径を基準に考えると、φ150mmの埋め込み穴用の器具の場合には、光が出射される側の器具開口端は、φ135mm程度となるため、この場合には、器具開口端の面積に対する発光モジュール13の発光面のトータル面積の割合の最適範囲は、2.5%〜9.5%となる。
【0068】
以上の結果から、大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光を得て、目的とする全光束を得ることが可能な発光部14における発光面積を求めることができた。これは、特に、実施例1のように、1枚で全光束1000lmの光出力を有する発光モジュール13を6枚使用して、ダウンライト器具として必要な全光束6000lmの光出力を達成するように構成し、LEDチップの熱を1箇所の集中することなく分散させて放熱する構成において、器具が大型化することなく、必要な放熱性と所定の配光を得て、目的とする全光束を得るために、分散させる個々の発光モジュールの発光面積およびトータルの発光面積を設定する場合に特に有効である。特に、従来のこの種のダウンライト形の照明器具は、埋め込み穴径150mmで、2000lm程度までであったが、器具を高出力化して全光束を4000lm以上とすると、LEDチップの温度がますます上昇し、放熱のために器具の大型化が必要となると共に、所望の配光制御が難しくなる。放熱および配光制御のための器具の大型化を抑制するために、上記の構成は極めて有効である。
【0069】
なお、実施例2、3を示す、図8図10には、実施例1の図1図7と同一部分に同一符号を付し詳細な説明は省略した。また、実施例2、3、4における他の構成、作用、作用効果、変形例等は、特に規定した事項を除き、実施例1と同様である。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の各実施例に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。例えば、上記実施例は、全てダウンライトについて説明したが、器具の形状は長方形、正方形状であってもよいし、天井等へ埋め込むタイプではなく、直付け器具に適用してもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 照明器具、11 器具本体、12 固体発光素子、13 発光モジュール、13c コネクタ、14 発光部、15 反射体、16 カバー部材、17 枠部材、S スペース



図1
図2
図3
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