【実施例】
【0095】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
【0096】
〔実施例1−1〕
アルゴン雰囲気下において、5,6−ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3−ジイミノイソインドリン(1a,1.56mmol,4,5−ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)フタロニトリル(参考文献:Makarov et al. Chem. Eur. J. 2006, 12, 1468)をアンモニアと反応させることで合成)、4,6−ジアミノレゾルシノール2塩酸塩(1b,1.56mmol,東京化成工業株式会社より購入)及びトリエチルアミン(0.30ml)の混合物を乾燥エタノール(18ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流(約80℃)した。反応液を室温に戻した後、エタノールに滴下し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物1cを茶色固体として得た。収率は79%であった。反応式は以下に示す。
【0097】
【化11】
【0098】
次いで、アルゴン雰囲気下において、化合物1c(0.32mmol)のクロロホルム溶液(60ml)に、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ,0.27mmol)を加え、室温で25分間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、化合物1dを緑色固体として得た。化合物1dの収率は70%であった。反応式は以下に示す。
【0099】
【化12】
【0100】
〔実施例1−2〕
化合物1d及び、比較として化合物1cについて、様々な特性を調べた。NMR、単結晶X線回折分析、吸収スペクトル、磁気円二色性(MCD)、蛍光スペクトル、MSスペクトル、フロンティア分子軌道、有機溶媒への溶解性、酸化還元等を調べた。
【0101】
1H−NMR、
13C−NMRは、JNM-ECA600(日本電子社製)又はJNM-AL300(日本電子社製)を用いて測定した。単結晶X線回折分析は、AFC-8(Rigaku社製)を用いて測定した。吸収スペクトルは、JASCO V-670(日本分光社製)を用いて測定した。MCDは、JASCO J-820(日本分光社製)を用いて測定した。蛍光スペクトルは、JASCO FP-6600(日本分光社製)を用いて測定した。MSスペクトルは、Ultraflex(Bruker Daltonics社製)を用いて測定した。HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)及びLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)は、Gaussian09(Gaussian社製)を用いて計算した。
【0102】
化合物1cのデータ;
300 MHz
1H-NMR (CDCl
3/TMS) δ(ppm): 7.81 (2H, brs), 7.06 (12H, m), 6.83 (4H, s), 4.98(4H, brs), 2.20 (24H, s).
UV/Vis (CHCl
3): λ
max = 406 nm
HRMS (ESI) m/z calcd for C
60H
51N
6O
8([M+H]
+): 983.3768, found 983.3751.
化合物1dのデータ;
600 MHz
1H-NMR (CDCl
3/TMS) δ(ppm): 11.61 (4H, s), 7.66 (4H, s), 7.29 (8H, brd), 7.26 (4H, brt), 6.61 (2H, s), 2.37 (24H, s), −0.49 (2H, s). 150 MHz
13C-NMR (CDCl
3/TMS) δ(ppm): 173.64, 156.45, 150.66, 149.84, 134.03, 131.15, 130.93, 129.75, 126.26, 108.93, 106.08, 103.61, 16.31
UV/Vis/NIR (CHCl
3): λ
max = 850, 653, 422 nm.
HRMS (ESI) m/z calcd for C
60H
49N
6O
8([M+H]
+): 981.3612, found 981.3612.
Anal. Calcd for C
60H
48N
6O
8: C, 73.46; H, 4.93; N, 8.57. Found: C. 72.92; H, 4.98; N, 8.03.
Fluorescence(CHCl
3): λ
max = 871 nm.
図1の(a)に、化合物1c及び化合物1dの吸収スペクトルを示す。化合物1dは、クロロホルム中におけるλ
maxが850nmであり、近赤外光を吸収することがわかった。一方、化合物1cはλ
maxが406nmであり、近赤外光を吸収しなかった。
【0103】
図1の(b)に、化合物1c及び化合物1dのMCDスペクトルを示す。化合物1dは、852nm及び653nmに強いシグナルがみられ、低対称性のフタロシアニン誘導体の特徴を示した。一方、化合物1cでは、400nm付近にシグナルがみられたが、長波長領域では弱い吸収帯しかみられなかった。
【0104】
図2の(a)に、化合物1c及び化合物1dの単結晶X線回折分析による立体構造を示す。化合物1c及び化合物1dの立体構造を比較したところ、化合物1cでは、2,6−ジメチルフェノキシ基以外の大環部分が非平面サドル構造であるのに対し、化合物1dでは、2,6−ジメチルフェノキシ基以外の大環部分が平面構造であった。これは、化合物1dでは、ピロール部分のプロトンがメソの窒素原子に移動していることを示唆する。また、化合物1dでは、OH−N及びNH−Oの距離は、それぞれ2.57Å及び2.59Åであり、分子内水素結合の存在が示唆された。
【0105】
図2の(b)に、単結晶X線回折分析に基づく、化合物1c及び化合物1dの原子間の距離の一部を示す。化合物1cにおいては、レゾルシノール部分の炭素原子とメソ窒素原子との結合は単結合、ピロール部分の炭素原子とメソ窒素原子との結合は二重結合であり、非芳香族性のジカルバヘミポルフィラジンに類似する。一方、化合物1dにおいては、どちらの結合の距離も同等であり、通常のフタロシアニン類に類似する。したがって、化合物1dは、典型的なフタロシアニンのようなπ共役系を有することが示唆された。
【0106】
図3の(a)に、化合物1dの
1H−NMRスペクトルの一部を示す。当該スペクトルは、構造的対称性を示し、
図3の(b)に示す互変異性体構造をとることが予想された。
【0107】
図4に、B3LYP/6−31G(d,p)で計算した、化合物1c及び化合物1dの最適化構造のフロンティア分子軌道及びエネルギーレベルを示す。化合物1cのHOMO及びLUMOの節のパターンは、18π電子構造モデル(C
18H
18)における一対の縮退したLUMOの節のパターンと類似していた。また、化合物1dのLUMO及びLUMO+1軌道はそれぞれ、化合物1cのHOMO及びLUMOに由来するものであった。さらに、化合物1dのHOMOの節のパターンは、18π電子構造モデル(C
18H
18)における一対の縮退したHOMOの一つの節のパターンと類似していた。この結果は18π電子構造を持つフタロシアニン類とよく一致し、化合物1cは20π電子構造を有し、化合物1dは18π電子構造を有することが示された。
【0108】
また、蛍光スペクトルを測定したところ、化合物1dは、クロロホルム中で871nmの蛍光のピークを示した。一方、化合物1cは、蛍光を示さなかった。
【0109】
また、化合物1dは化合物1cの酸化体であるが、化合物1dはクロロホルム中においてNaBH
4又はヒドラジンによって、化合物1cへ簡単に還元することができ、化合物1cと化合物1dとの間の酸化還元反応は可逆であることがわかった。
【0110】
化合物1dは、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド等の種々の有機溶媒に可溶であった。
【0111】
〔実施例2−1〕
アルゴン雰囲気下において、5−tert−ブチル−1,3−ジイミノイソインドリン(2a,1.37mmol,Aldrich社より購入)、4,6−ジアミノレゾルシノール2塩酸塩(2b,1.37mmol)及びトリエチルアミン(0.20ml)の混合物を乾燥エタノール(2.5ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、エタノールに滴下し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物2cを茶色固体として得た。収率は85%であった。反応式は以下に示す。
【0112】
【化13】
【0113】
次いで、実施例1−1と同様に操作し(但し、溶媒としてクロロホルム:メタノール=7:3(v/v)の混合溶液を用いた)、化合物2cから化合物2dを緑色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0114】
【化14】
【0115】
〔実施例2−2〕
化合物2d及び、比較として化合物2cについて、吸収スペクトル、及びMSスペクトルを調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0116】
化合物2cのデータ;
UV/Vis (CHCl
3/CH
3OH, 7:3, v/v): λ
max = 411 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
36H
35N
6O
4([M+H]
+): 615.2720, found 615.
化合物2dのデータ;
UV/Vis/NIR (CHCl
3/CH
3OH, 7:3, v/v): λ
max = 852, 650 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
36H
33N
6O
4([M+H]
+): 612.2563, found 613.
化合物2dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=852nm)を吸収した。一方、還元体である化合物1cは、近赤外光を吸収しなかった。
【0117】
〔実施例3−1〕
アルゴン雰囲気下において、5,6−ビス(ドデシルオキシ)−1,3−ジイミノイソインドリン(3a,0.10mmol,参考文献:Sauer et al. Mol. Cryst. Liq. Cryst. 1998, 162B, 97 の方法に従い合成)、4,6−ジアミノレゾルシノール2塩酸塩(3b,0.10mmol)及びトリエチルアミン(0.05ml)の混合物を乾燥エタノール(2.5ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、エタノールに滴下し、不溶物を濾取した。不溶物をクロロホルムで洗い、化合物3cを茶色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0118】
【化15】
【0119】
次いで、実施例1−1と同様に操作し(但し、溶媒としてテトラヒドロフランを用いた)、化合物3cから化合物3dを緑色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0120】
【化16】
【0121】
〔実施例3−2〕
化合物3d及び、比較として化合物3cについて、吸収スペクトル、及びMSスペクトルを調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0122】
化合物3cのデータ;
UV/Vis (THF): λ
max = 493, 397 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
76H
115N
6O
8([M+H]
+): 1239.8776, found 1240.3.
化合物3dのデータ;
UV/Vis/NIR (THF): λ
max = 846, 650, 417, 345 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
76H
113N
6O
8([M+H]
+): 1237.8620, found1238.2.
化合物3dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=846nm)を吸収した。一方、還元体である化合物3cは、近赤外光を吸収しなかった。
【0123】
〔実施例4−1〕
アルゴン雰囲気下において、5−tert−ブチル−1,3−ジイミノイソインドリン(4a,0.51mmol)、2,4−ジアミノフェノール2塩酸塩(4b,0.51mmol,和光純薬工業社より購入)及びトリエチルアミン(0.10ml)の混合物を乾燥エタノール(3.0ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液をエバポレートした後、クロロホルムに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物4cをオレンジ色固体として得た。収率は76%であった。反応式は以下に示す。
【0124】
【化17】
【0125】
次いで、アルゴン雰囲気下において、化合物4c(0.08mmol)のクロロホルム溶液(10ml)に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(0.08mmol)を加え、室温で25分間撹拌した。反応終了後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製を行い、化合物4dを緑茶色固体として得た。化合物4dの収率は70%であった。反応式は以下に示す。
【0126】
【化18】
【0127】
〔実施例4−2〕
化合物4d及び、比較として化合物4cについて、NMR、吸収スペクトル、及びMSスペクトルを調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0128】
化合物4cのデータ;
300 MHz
1H-NMR (CDCl
3/TMS) δ (ppm): 7.93-7.63 (10H, m), 6.70 (2H, brs), 1.40 (18H, s).
UV/Vis (CHCl
3): λ
max= 369 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
36H
35N
6O
2([M+H]
+): 583.2821, found 583.4.
化合物4dのデータ;
300 MHz
1H-NMR (CDCl
3/TMS) δ (ppm): 10.77 (2H, m), 8.28-7.55 (8H, m), 6.66-6.50 (2H, m), 1.65 (18H, s), −1.62- −1.69 (2H, m).
UV/Vis/NIR (CHCl
3): λ
max= 911, 649, 600, 484, 421 nm.
MS (MALDI) m/z calcd for C
36H
33N
6O
2([M+H]
+): 581.2665, found 581.4.
化合物4dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=911nm)を吸収した。一方、還元体である化合物4cは、近赤外光を吸収しなかった。
【0129】
〔実施例5−1〕
アルゴン雰囲気下において、5,6−ビス(ヘキシルオキシ)−1,3−ジイミノイソインドリン(5a,0.34mmol,参考文献:Sauer et al. Mol. Cryst. Liq. Cryst. 1998, 162B, 97 の方法に従い合成)、2,4−ジアミノフェノール2塩酸塩(5b,0.34mmol)及びトリエチルアミン(0,10ml)の混合物を乾燥エタノール(1.3ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液をエバポレートした後、エタノールで洗い、化合物5cをオレンジ色固体として得た。収率は63%であった。反応式は以下に示す。
【0130】
【化19】
【0131】
次いで、実施例2−1と同様に操作し、化合物5cから化合物5dを緑色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0132】
【化20】
【0133】
〔実施例5−2〕
化合物5d及び、比較として化合物5cについて、NMR、吸収スペクトル、及びMSスペクトルを調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0134】
化合物5cのデータ;
300 MHz
1H-NMR (CHCl
3/CH
3OH, 7:3, v/v) δ (ppm):7.87-6.65 (10H, m), 4.10 (8H, brs), 1.78 (8H, brs), 1.46 (8H, brs), 1.33 (16H, brs), 0.88 (12H, brs)
UV/Vis (CHCl
3): λ
max=350 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
52H
67N
6O
6([M+H]
+): 871.5122, found 871.6.
化合物5dのデータ;
UV/Vis/NIR (CHCl
3/CH
3OH, 7:3, v/v): λ
max =925, 646 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
52H
64N
6O
6([M]
+): 868.4887, found 868.6.
化合物5dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=925nm)を吸収した。一方、還元体である化合物5cは、近赤外光を吸収しなかった。
【0135】
〔実施例6−1〕
アルゴン雰囲気下において、5,6−ビス(2,6−ジメチルフェノキシ)−1,3−ジイミノイソインドリン(6a,0.26mmol)、2,4−ジアミノフェノール2塩酸塩(6b,0.26mmol)及びトリエチルアミン(0.10ml)の混合物を乾燥エタノール(2.5ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液をエバポレートした後、クロロホルムに溶かし、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行い、化合物6cをオレンジ色固体として得た。収率は13%であった。反応式は以下に示す。
【0136】
【化21】
【0137】
次いで、実施例1−1と同様に操作し、化合物6cから化合物6dを緑色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0138】
【化22】
【0139】
〔実施例6−2〕
化合物6d及び、比較として化合物6cについて、吸収スペクトル、及びMSスペクトルを調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0140】
化合物6cのデータ;
UV/Vis (CHCl
3): λ
max= 381, 326 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
60H
51N
6O
6([M+H]
+): 951.3870, found 951.5.
化合物6dのデータ;
UV/Vis/NIR (CHCl
3): λ
max=917, 650, 491, 426, 351 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
60H
49N
6O
6([M+H]
+): 949.3714, found 949.5.
化合物6dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=917nm)を吸収した。一方、還元体である化合物6cは、近赤外光を吸収しなかった。
【0141】
〔実施例7−1〕
アルゴン雰囲気下において、1,3−ジイミノイソインドリン(7a,1.38mmol,和光純薬工業社より購入)、2,4−ジアミノフェノール2塩酸塩(7b,1.38mmol)、トリエチルアミン(0.2ml)の混合物を乾燥エタノール(2.5ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、エタノールに滴下し、不溶物を濾取し、化合物7cを茶色固体として得た。収率は77%であった。反応式は以下に示す。
【0142】
【化23】
【0143】
次いで、実施例1−1と同様に操作し(但し、溶媒としてジメチルホルムアミドを用いた)、化合物7cから化合物7dを黒色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0144】
【化24】
【0145】
〔実施例7−2〕
化合物7d及び、比較として化合物7cについて、吸収スペクトル、及びMSスペクトルを調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0146】
化合物7cのデータ;
UV/Vis (DMF): λ
max =377 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
28H
19N
6O
2([M+H]
+): 471.1569, found 471.3
化合物7dのデータ;
UV/Vis/NIR (DMF): λ
max =841 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
28H
17N
6O
2([M+H]
+):469.1413, found 469.2
化合物7dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=841nm)を吸収した。一方、還元体である化合物7cは、近赤外光を吸収しなかった。
【0147】
〔実施例8−1〕
アルゴン雰囲気下において、1,3−ジイミノベンゾ[f]イソインドリン(8a,0.26mmol,東京化成工業社より購入)、4,6−ジアミノレゾルシノール2塩酸塩(8b,0.26mmol)、トリエチルアミン(0.1ml)の混合物を乾燥エタノール(1.5ml)に加え、24時間撹拌しながら加熱還流した。反応液を室温に戻した後、エタノールに滴下し、不溶物を濾取し、化合物8cを茶色固体として得た。収率は90%であった。反応式は以下に示す。
【0148】
【化25】
【0149】
次いで、実施例2−1と同様に操作し、化合物8cから化合物8dを黒色固体として得た。反応式は以下に示す。
【0150】
【化26】
【0151】
〔実施例8−2〕
化合物8d及び、比較として化合物8cについて、様々な特性を調べた。吸収スペクトル、MSスペクトル等を調べた。測定に利用した装置等は、実施例1−2と同様である。
【0152】
化合物8cのデータ;
UV/Vis (CHCl
3/CH
3OH, 7:3, v/v): λ
max =413 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
36H
23N
6O
4([M+H]
+): 603.1781, found 603.2
化合物8dのデータ;
UV/Vis/NIR (CHCl
3/CH
3OH, 7:3, v/v): λ
max =874 nm
MS (MALDI) m/z calcd for C
36H
21N
6O
4([M+H]
+):601.1624, found 601.3
化合物8dも実施例1と同様に、近赤外光(λ
max=874nm)を吸収した。一方、還元体である化合物8cは、近赤外光を吸収しなかった。