(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
多量のパチンコ玉を貯留する大型貯留タンクと、該大型貯留タンクに対して並設される複数のパチンコ島台と、の間で交流樋を介して相互にパチンコ玉のやり取りを行う島交流式玉移送システムにおいて、
前記複数のパチンコ島台の各々は、
当該パチンコ島台に列設される複数の遊技機の裏面側から排出されて下部貯留タンクに導かれた使用済みのパチンコ玉を揚送する玉揚送装置と、
該玉揚送装置によって揚送されたパチンコ玉を貯留する上部タンクと、
該上部タンクのパチンコ玉を前記遊技機に誘導する補給樋と、
該補給樋に送り込まれることなく前記上部タンクから溢れたパチンコ玉を前記下部貯留タンクに還流するオーバーフロー通路と、を備え、
前記上部タンクは、
前記玉揚送装置の玉排出樋から排出されたパチンコ玉を当該上部タンクが設けられるパチンコ島台である自島の前記補給樋に供給する自島補給経路と、
該自島補給経路で溢れたパチンコ玉を他のパチンコ島台である他島に供給する他島補給経路と、
該他島補給経路で溢れたパチンコ玉を前記自島の前記オーバーフロー通路に送り込む自島還流経路と、
該自島還流経路で溢れたパチンコ玉を前記大型貯留タンクに向けて誘導する溢玉誘導経路と、を備え、
前記複数のパチンコ島台は、前記大型貯留タンクと隣接して配置された主パチンコ島台と、該主パチンコ島台以外の従パチンコ島台と、からなり、
前記主パチンコ島台は、前記自島還流経路を閉鎖することで、前記他島補給経路から溢れたパチンコ玉を、前記溢玉誘導経路に誘導した後に当該溢玉誘導経路に接続して設けられる前記交流樋としての第1交流樋を介して前記大型貯留タンクに返却し、
前記従パチンコ島台は、前記溢玉誘導経路のパチンコ玉を、当該溢玉誘導経路に接続されると共に前記主パチンコ島台の上部タンクを貫通して設けられる前記交流樋としての第2交流樋を介して前記大型貯留タンクに返却し、
前記第1及び第2の交流樋は、上下方向に並んで配置され、
前記大型貯留タンクは、前記第1及び第2の交流樋の各下流端が接続されて当該第1及び第2の交流樋を流下したパチンコ玉を受け入れる受入手段と、該受入手段によって受け入れたパチンコ玉を前記大型貯留タンク内部の貯留順序に従って当該大型貯留タンク内部の貯留空間に貯留させる順次貯留手段と、を備え、
前記受入手段と前記順次貯留手段とを、前記第1及び第2の交流樋に対して共通して使用することを特徴とする島交流式玉移送システム。
前記自島補給経路、前記他島補給経路、前記自島還流経路、及び前記溢玉誘導経路は、それぞれ前記上部タンク内部で区画形成され、前記自島還流経路と前記記溢玉誘導経路とは、隣接して配置されていることを特徴とする請求項1記載の島交流式玉移送システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。先ず、
図1を参照して、本実施形態における複数のパチンコ島台の関係について説明する。
図1(A)は、本実施形態における複数のパチンコ島台A1〜A4とそれに関連して設けられるベースタンクB及び交流樋1a〜1fとの関係を示す上面から見た全体概略図であり、
図1(B)は、複数のパチンコ島台A1〜A4とそれに関連して設けられるベースタンクB及び交流樋1a〜1fとの関係を示す側面から見た全体概略図である。
【0013】
先ず、
図1において、遊技場に設置される複数のパチンコ島台A1〜A4(遊技場によっては、それ以上又は以下のパチンコ島台が設置される)には、それぞれ内部に比較的少ないパチンコ玉を貯留する下部貯留タンク13(約2万個前後貯留できる)が内蔵され、その下部貯留タンク13に貯留されたパチンコ玉を玉揚送装置20(
図2及び
図8参照)で上部タンク31〜34に揚送し、それぞれのパチンコ島台A1〜A4に設置される遊技機としてのパチンコ機10や玉貸機19(共に
図2及び
図8参照)に玉を補給するようになっている。パチンコ機10で使用されたパチンコ玉は、アウト玉回収樋12(
図2及び
図8参照)に回収されて前記下部貯留タンク13に導かれ、再度玉揚送装置20によって揚送される。これによってパチンコ玉がパチンコ島台A1〜A4内を循環する。なお、この循環する機構を含めてパチンコ島台A1〜A4の詳細な構造については、後に詳述する。
【0014】
また、パチンコ島台A1〜A4のうちの所定のパチンコ島台A2,A4には、遊技者が獲得したパチンコ玉を返却するための玉返却装置5(
図1(A)中にはJCと記載)がその島端(必ずしも島端でなくてもよい、例えば、島中央)に設けられている。玉返却装置5によって返却されるパチンコ玉数が極めて多量になると当該パチンコ島台A2,A4に内蔵される下部貯留タンク13に貯留しきれなくなるため、玉揚送装置20で揚送されたパチンコ玉は、上部タンク32からは交流樋1bを介して、また、上部タンク34からは交流樋1f及び1dを介して、それぞれ大型貯留タンクとしてのベースタンクBに返却されるようになっている。パチンコ島台A1におけるパチンコ島台A2とは反対側の位置には、大型のベースタンクBが設けられている。ベースタンクBは、パチンコ島台A1〜A4で必要とされるパチンコ玉量を貯留し得るようになっており、例えば、1つのパチンコ島台に必要な玉量が50万個であるとすれば、4つのパチンコ島台A1〜A4に必要なパチンコ玉量は各々200万個である。そして、ベースタンクBは、パチンコ島台A1〜A4で必要なパチンコ玉200万個を貯留し得る容量を有するように構成されている。
【0015】
また、上記したパチンコ島台A1〜A4は、玉量が不足したとき又は玉量が充満したときにベースタンクBから不足した玉を受け入れたり、ベースタンクBに過剰の玉を送り出したりするようになっている。このため、パチンコ島台A1,A2間、パチンコ島台A2,A3間、及びパチンコ島台A3,A4間には、それぞれパチンコ玉のやり取りを行うための交流樋1a〜1fが交差状に差し渡されている。具体的に、パチンコ島台A1,A2間には、パチンコ島台A1の上部タンク31からパチンコ島台A2の上部タンク32に向けてパチンコ玉を送り込む交流樋1aと、パチンコ島台A2の上部タンク32からパチンコ島台A1の上部タンク31に向けてパチンコ玉を送り込む交流樋1bと、が設けられている。パチンコ島台A2,A3間には、パチンコ島台A2の上部タンク32からパチンコ島台A3の上部タンク33に向けてパチンコ玉を送り込む交流樋1cが設けられている。パチンコ島台A3,A4間には、パチンコ島台A3の上部タンク33からパチンコ島台A4の上部タンク34に向けてパチンコ玉を送り込む交流樋1eと、パチンコ島台A4の上部タンク34からパチンコ島台A3の上部タンク33に向けてパチンコ玉を送り込む交流樋1fと、が設けられている。
【0016】
なお、パチンコ島台A1,A2間に設けられる交流樋1bは、その下流端側がパチンコ島台A1の上部タンク31の内部を貫通してベースタンクBまで延設されており、パチンコ島台A2の上部タンク32から交流樋1bを流下するパチンコ玉は、パチンコ島台A1の上部タンク31を通ってベースタンクBに送り込まれるようになっている。
【0017】
また、ベースタンクBとパチンコ島台A3との間には、パチンコ島台A3の上部タンク33からベースタンクBに向けてパチンコ玉を送り込む交流樋1dが差し渡されている。この交流樋1dは、ベースタンクBとパチンコ島台A3との間に位置するパチンコ島台A1の上部タンク31及びパチンコ島台A2の上部タンク32の各内部を貫通しており、交流樋1dを流下するパチンコ玉は、ベースタンクBに送り込まれるようになっている。さらには、ベースタンクBとパチンコ島台A1との間には、パチンコ島台A1の上部タンク31からベースタンクBに向けてパチンコ玉を送り込む返却樋3が差し渡されると共に、ベースタンクBからパチンコ島台A1の下部貯留タンク13に向けてパチンコ玉を送り込む流入樋4が差し渡されている。
【0018】
以上、複数のパチンコ島台A1〜A4の関係についての概略を説明したが、上記のように複数のパチンコ島台を1つの島台ブロックとして交流樋1a〜1fでパチンコ玉の搬送を行う形式を島交流と呼んでいる。そこで、次に島交流形式の各パチンコ島台の詳細な構造について、
図2乃至
図16を参照して説明する。
図2は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の内部構造を示す正面図である。
図3は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31を示す非ベースタンクB側から見た斜視図である。
図4は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31を示すベースタンクB側から見た斜視図である。
図5は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31の内部構造を示す非ベースタンクB側から見た斜視図である。
図6は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31の内部構造を示すベースタンクB側から見た斜視図である。
図7は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31の内部構造を示す側面図である。
図8は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の内部構造を示す正面図である。
図9は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33を示す非ベースタンクB側から見た斜視図である。
図10は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33を示すベースタンクB側から見た斜視図である。
図11は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33の内部構造を示す非ベースタンクB側から見た斜視図である。
図12は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33の内部構造を示すベースタンクB側から見た斜視図である。
図13は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33の内部構造を示す側面図である。
図14は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33を示す上面図である。
図15は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33を構成する玉振分空間91及び樋設置空間92の上側部分を示す部分拡大斜視図である。
図16は、ベースタンクBに隣り合わないパチンコ島台A3の上部タンク33を構成する玉振分空間91及び樋設置空間92の下側部分を示す部分拡大斜視図である。
【0019】
先ず、ベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1及び該パチンコ島台A1に設けられる上部タンク31について、
図2乃至
図7を参照して説明する。なお、遊技場に設けられる複数のパチンコ島台は、ベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1と、隣接しないパチンコ島台A2〜A4との2種類に大別され、両者の構造はほぼ同じであるが、上部タンク31〜34及び下部貯留タンク13の構造において若干相違する点がある。
【0020】
図2において、主パチンコ島台としてのパチンコ島台A1は、前述したように内部に比較的少ないパチンコ玉を貯留する下部貯留タンク13が内蔵され、その下部貯留タンク13に貯留されたパチンコ玉をパチンコ島台A1のほぼ中央に立設される玉揚送装置20で上部タンク31に揚送し、パチンコ島台A1に設置されるパチンコ機10や玉貸機19に補給樋21を介して玉を補給するようになっている。パチンコ機10で使用されたパチンコ玉は、アウト玉箱11を介してアウト玉回収樋12に放出され、そのアウト玉回収樋12に回収されて下部貯留タンク13に導かれた後に再度玉揚送装置20によって揚送される。これによってパチンコ玉がパチンコ島台A1内を循環する。
【0021】
パチンコ島台A1に内蔵される下部貯留タンク13は、直方体状に形成され、その底面に玉揚送装置20の導入樋16に向かって下り傾斜する底板14を有し、その内側上部に底板14と反対方向に傾斜する上部誘導樋15が設けられている。この上部誘導樋15は、パチンコ島台A1においては、特に必要とされるものではなく、ベースタンクBと隣接しないパチンコ島台A2〜A4で必要とされるものである。また、下部貯留タンク13の上流側の上部には流入口18が開設されているが、この流入口18は、前述した流入樋4を通してベースタンクBから流入するパチンコ玉を受け入れるための開口であり、ベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1にのみ設けられる。
【0022】
また、下部貯留タンク13には、隣り合うベースタンクBから流入するパチンコ玉が少なくなって下部貯留タンク13内の玉量も少なくなったことを検出する図示しない玉量センサが設けられている。この玉量センサは、ベースタンクBのパチンコ玉貯留量が不足していることを検出するものである。さらに、下部貯留タンク13は、パチンコ島台A1のほぼ中央に立設される玉揚送装置20の一側部位(
図2において右側)に設置されているので、反対側に設置されたパチンコ機10からのアウト玉を回収するアウト玉回収樋12を流れるパチンコ玉を下部貯留タンク13に導くために該アウト玉回収樋12と下部貯留タンク13との間に連絡樋17が差し渡されている。この連絡樋17の末端は、導入樋16の接続位置のやや上部である。
【0023】
上記した下部貯留タンク13に貯留されていたパチンコ玉は、導入樋16により複数列に整列されて玉揚送装置20に送り込まれる。玉揚送装置20は、図示の実施形態の場合、モータ内蔵プーリによって旋回駆動される揚送ベルトと該揚送ベルトに対面して設けられ且つ揚送ベルトとの間にパチンコ玉を挟持しながら研摩する研摩布とを有し、導入樋16から導かれたパチンコ玉を揚送ベルトの摩擦力によって上部に研摩しながら揚送するものである。
【0024】
玉揚送装置20によって揚送されたパチンコ玉は、上部タンク31に排出される。上部タンク31は、受け入れたパチンコ玉を補給樋21、交流樋1a、又は返却樋3等に振り分ける機能を有している。以下、パチンコ島台A1に設けられる上部タンク31の構造について説明する。上部タンク31は、外壁板31a〜31dによって立方体形状に形成されている。非ベースタンクB側となる上部タンク31の一側面(外壁板31a)には、
図3に示すように、保守点検用の開閉扉40が設けられると共に、上部タンク31内のパチンコ玉をパチンコ島台A2の上部タンク32に補給するための交流樋1aが接続される玉補給口41と、パチンコ島台A2の上部タンク32から溢れたパチンコ玉を上部タンク31内に受け入れるための交流樋1bが接続される玉受入口42と、パチンコ島台A3の上部タンク33から溢れたパチンコ玉を上部タンク31内に受け入れるための交流樋1dが接続される玉受入口43と、が穿設されている。
【0025】
一方、ベースタンクB側となる上部タンク31の他側面(外壁板31c)には、
図4に示すように、上部タンク31から溢れたパチンコ玉をベースタンクBに返却するための返却樋3が接続される玉返却口44と、前記玉受入口42に差し込まれた交流樋1bの下流端側をベースタンクBに差し渡す玉返却口45と、前記玉受入口43に差し込まれた交流樋1dの下流端側をベースタンクBに差し渡す玉返却口46と、が穿設されている。
【0026】
また、上部タンク31の内部は、
図5乃至
図7に示すように、非ベースタンクB側から見た(
図5を正面から見た)左から右の順で、玉揚送装置20によって揚送されたパチンコ玉を振り分ける玉振分空間51と、返却樋3の上流部が設置されると共に交流樋1bの下流部及び交流樋1dの下流部を貫通させる樋設置空間52と、玉揚送装置20の上部が貫通設置される揚送装置設置空間53と、揚送装置設置空間53に設置される玉揚送装置20の玉排出樋20a(玉排出口20b)と反対側(
図2に示す玉揚送装置20の左側)に列設されるパチンコ機10にパチンコ玉を送り込む玉送り空間54と、に区画されている。なお、揚送装置設置空間53に設置される玉揚送装置20の玉排出樋20aは、揚送装置設置空間53と玉振分空間51とを連通するように樋設置空間52の上側領域内を貫通して配置される。
【0027】
玉振分空間51には、玉排出樋20aの下流端側の下方位置に玉振分板61が水平傾斜状に固定して設けられている。この玉振分板61は、樋設置空間52側から玉振分空間51側に向けて若干下り傾斜して配置されており、その下流端下方には、玉振分板61上を流下したパチンコ玉を玉揚送装置20の玉排出口20b側(
図2に示す玉揚送装置20の右側)に列設されるパチンコ機10に送り込むための自島補給経路としての玉送り通路62が形成されている。玉送り通路62の下流端となる外壁板31bの下端部分には、当該玉送り通路62を流下したパチンコ玉を玉排出口20b側(
図2に示す玉揚送装置20の右側)の補給樋21に導出する導出口63が穿設されている。
【0028】
玉振分板61の一側端部(ベースタンクB側の端部)と上部タンク31の外壁板31cの内面との間には、玉振分板61上で振り分けられたパチンコ玉を玉送り空間54側へ誘導する誘導通路を構成する第一及び第二の誘導板64,65が設けられている。誘導通路の下流端となる第二の誘導板65の端部は、玉振分空間51と玉送り空間54とを連通するように樋設置空間52及び揚送装置設置空間53を貫通して配置される接続樋66の上流端に接続されている。一方、玉振分板61の他側端部(非ベースタンクB側の端部)は、上部タンク31の外壁板31aの内面と当接して配置されており、その一部分には、玉振分板61上のパチンコ玉を下方に落下させる落下口67が穿設されている。落下口67の下方には、外壁板31aの玉補給口41に接続された交流樋1aの上流端(他島補給経路)が配置されており、落下口67から落下したパチンコ玉は、交流樋1aに送り込まれるようになっている。
【0029】
また、玉振分空間51内に若干突出して配置される玉排出樋20aの真下位置には、玉振分板61上で溢れたパチンコ玉を樋設置空間52に設置された返却樋3の上流部に誘導する溢玉誘導経路としての返却通路69が形成されている。なお、玉振分板61、第一の誘導板64、及び第二の誘導板65と、返却通路69との間には、仕切板70が設けられている。これにより、玉振分板61上で仕切板70の上端を越えて溢れたパチンコ玉のみが返却通路69に誘導されるようになっている。また、返却通路69の下流端には、樋設置空間52と連通することで当該返却通路62を流下したパチンコ玉を返却樋3の上流部に排出する排出口71が設けられている。
【0030】
玉送り空間54には、玉振分空間51(第二の誘導板65の端部)との間で差し渡された接続樋66の下流端と連通して、当該接続樋66を流下したパチンコ玉を玉揚送装置20の玉排出口20bと反対側(
図2に示す玉揚送装置20の左側)に列設されるパチンコ機10に送り込むための自島補給経路としての玉送り通路72が形成されている。玉送り通路72の下流端となる外壁板31dの下端部分には、当該玉送り通路72を流下したパチンコ玉を玉排出口20bと反対側(
図2に示す玉揚送装置20の左側)の補給樋21に導出する導出口73が穿設されている。
【0031】
しかして、上記した上部タンク31の構成において、玉揚送装置20の玉排出樋20aから排出されたパチンコ玉は、玉振分空間51の上部に水平傾斜状に固定される玉振分板61上に落下する。そして、当該玉振分板61の振り分けによって玉振分板61上を流下するパチンコ玉は、玉送り通路62を通って導出口63から補給樋21に導出されて、玉排出口20b側のパチンコ機10に補給される。また、玉振分板61の振り分けによって玉振分板61上から誘導通路(第一及び第二の誘導板64,65)側に送り込まれたパチンコ玉、言い換えれば、玉排出口20b側の補給樋21が満杯となって誘導通路側に送り込まれたパチンコ玉は、接続樋66を通って玉送り空間54の玉送り通路72に流れた後に導出口73から補給樋21に導出されて、玉排出口20bと反対側のパチンコ機10に補給される。また、玉振分板61の振り分けによって玉振分板61に穿設された落下口67から下方に落下したパチンコ玉は、交流樋1aの上流端に送り込まれてパチンコ島台A2の上部タンク32に補給される。また、玉振分板61上で仕切板71の上端を越えて溢れたパチンコ玉は、返却通路69を通って排出口71から返却樋3に送り込まれて、ベースタンクBに返却される。
【0032】
上記したように、玉揚送装置20によって研摩揚送されたパチンコ玉は、先ず、優先的に自島の補給樋21に補給されるように振り分けられる。なお、上部タンク31の構造上、上記したように一方の補給樋21が満杯となった後に他方の補給樋21に補給する構造となっているが、玉揚送装置20によって揚送される単位時間当りの揚送量が一方の補給樋21を介して消費される平均的な玉量よりも断然多いので、常時両方の補給樋21にパチンコ玉が補給されている状態となっている。
【0033】
以上、パチンコ島台A1の構成について説明したが、このパチンコ島台A1に設けられる上部タンク31は、自島における各パチンコ機10へのパチンコ玉を最優先に誘導し、その誘導が必要なくなったときに交流樋1aを介してパチンコ島台A2へ誘導し、さらにその誘導が必要なくなったときに返却樋3を介してベースタンクBに誘導するように構成されている。これにより、自島へのパチンコ玉の補給及びパチンコ島台A2へのパチンコ玉の供給をスムーズに行うことができる。
【0034】
次に、ベースタンクBと隣接しないパチンコ島台及び該パチンコ島台に設けられる上部タンクについて、パチンコ島台A3及び該パチンコ島台A3の上部タンク33の例示で、
図8乃至
図16を参照して説明する。なお、ベースタンクBと隣接しないパチンコ島台は、
図8に示すように基本的な構成においてパチンコ島台A1となんら変わるところはなく、異なる点は、上部タンクの構造、自島に内蔵される下部貯留タンク13の構造(前述したようにベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1の下部貯留タンク13にのみ流入樋4が接続される流入口18が設けられる点)、及び上部タンクからオーバーフローしたパチンコ玉及び交流樋から供給されたパチンコ玉を下部貯留タンク13へ誘導するための構造、等である。以下、これらの相違点を中心にしてパチンコ島台A3及び該パチンコ島台A3の上部タンク33について説明する。
【0035】
図8において、従パチンコ島台としてのパチンコ島台A3は、前述したパチンコ島台A1と同様に、下部貯留タンク13が内蔵され、その下部貯留タンク13に貯留されたパチンコ玉をほぼ中央に立設される玉揚送装置20で上部タンク33に揚送し、パチンコ島台A3に設置されるパチンコ機10や玉貸機19に補給樋21を介して玉を補給するようになっている。パチンコ機10で使用されたパチンコ玉は、アウト玉箱11を介してアウト玉回収樋12に放出され、そのアウト玉回収樋12に回収されて下部貯留タンク13に導かれた後に再度玉揚送装置20によって揚送される。これによってパチンコ玉がパチンコ島台A3内を循環する。また、ベースタンクBと隣接しないパチンコ島台A3には、ベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1とは異なり、オーバーフロー通路22が設けられている。
【0036】
オーバーフロー通路22は、玉揚送装置20が設置される空間の一側内部に直線状に固定されるものであり、図示の実施形態の場合、所定の肉厚(例えば、1〜2cm)を有するベニア板等の木材で角筒状(金属板で角筒状に形成してもよい)に形成し、内部に落下するパチンコ玉の勢いを弱めるために交互に多数の交流板23が突設されている。この交流板23の上面及びオーバーフロー通路22の内周面には、それぞれパチンコ玉の落下によって発生する騒音を抑制するためにゴム板又は合成樹脂板が貼付されている。オーバーフロー通路22の下流端には、下部貯留タンク13内に設けられた前述の上部誘導樋15と連通する誘導路24が接続されており、オーバーフロー通路22内を落下したパチンコ玉は、誘導路24を通って下部貯留タンク13内に送り込まれるようになっている。一方、オーバーフロー通路22の上流端は、上部タンク33に設けられる後述のオーバーフロー樋120と連通して配置される。
【0037】
パチンコ島台A3に設けられる上部タンク33は、受け入れたパチンコ玉を補給樋21、又は交流樋1d,1e等に振り分ける機能を有している。以下、パチンコ島台A3に設けられる上部タンク33の構造について説明する。上部タンク33は、外壁板33a〜33dによって立方体形状に形成されている。非ベースタンクB側となる上部タンク33の一側面(外壁板33a)には、
図9に示すように、保守点検用の開閉扉80が設けられると共に、上部タンク33内のパチンコ玉をパチンコ島台A4の上部タンク34に補給するための交流樋1eが接続される玉補給口81と、パチンコ島台A4の上部タンク34から溢れたパチンコ玉を上部タンク33内に受け入れるための交流樋1fが接続される玉受入口82と、が穿設されている。一方、ベースタンクB側となる上部タンク33の他側面(外壁板33c)には、
図10に示すように、上部タンク33から溢れたパチンコ玉をベースタンクBに返却するための交流樋1dが接続される玉返却口83と、パチンコ島台A2の上部タンク32から溢れたパチンコ玉を上部タンク33内に受け入れるための交流樋1cが接続される玉受入口84と、が穿設されている。
【0038】
また、上部タンク33の内部は、
図11乃至
図14に示すように、上部タンク31の内部と同様、非ベースタンクB側から見た(
図11を正面から見た)左から右の順で、玉揚送装置20によって揚送されたパチンコ玉を振り分ける玉振分空間91と、交流樋1dの上流部及び交流樋1fの下流部が設置される樋設置空間92と、玉揚送装置20の上部が貫通設置される揚送装置設置空間93と、揚送装置設置空間91に設置される玉揚送装置20の玉排出口20bと反対側(
図8に示す玉揚送装置20の左側)に列設されるパチンコ機10にパチンコ玉を送り込む玉送り空間94と、に区画されている。なお、揚送装置設置空間93に設置される玉揚送装置20の玉排出樋20aは、揚送装置設置空間93と玉振分空間91とを連通するように樋設置空間92の上側領域内を貫通して配置される。
【0039】
玉振分空間91には、
図15にも示すように、玉排出樋20aの下流端側の下方位置に玉振分板101が水平傾斜状に固定して設けられている。この玉振分板101は、樋設置空間92側から玉振分空間91側に向けて若干下り傾斜して配置されており、その下流端下方には、玉振分板101上を流下したパチンコ玉を玉揚送装置20の玉排出口20b側(
図8に示す玉揚送装置20の右側)に列設されるパチンコ機10に送り込むための自島補給経路としての玉送り通路102が形成されている。玉送り通路102の下流端となる外壁板33bの下端部分には、当該玉送り通路102を流下したパチンコ玉を玉排出口20b側(
図8に示す玉揚送装置20の右側)の補給樋21に導出する導出口103が穿設されている。
【0040】
玉振分板101の一側端部(ベースタンクB側の端部)と上部タンク33の外壁板33cの内面との間には、玉振分板101上で振り分けられたパチンコ玉を玉送り空間94側へ誘導する誘導通路を構成する第一及び第二の誘導板104,105が設けられている。誘導通路の下流端となる第二の誘導板105の端部は、玉振分空間91と玉送り空間94とを連通するように樋設置空間92及び揚送装置設置空間93を貫通して配置される接続樋106の上流端に接続されている。一方、玉振分板101の他側端部(非ベースタンクB側の端部)は、上部タンク33の外壁板33aの内面と当接して配置されており、その一部分には、玉振分板101上のパチンコ玉を下方に落下させる落下口107が穿設されている。落下口107の下方には、外壁板33aの玉補給口81に接続された交流樋1eの上流端が配置されており、落下口107から落下したパチンコ玉は、交流樋1eに送り込まれるようになっている。
【0041】
また、玉振分空間91内に若干突出して配置される玉排出樋20aの真下位置には、玉振分板101上で溢れたパチンコ玉を前記オーバーフロー通路22に誘導するためのオーバーフロー樋120(合流誘導樋)に送り込む自島還流経路としての玉送り通路109が形成されている。オーバーフロー樋120は、外壁板33cの内面と当接して配置されると共に、玉振分空間91から樋設置空間92を貫通して揚送装置設置空間93側へ下り傾斜して配置されており、当該オーバーフロー樋120の下流端は、揚送装置設置空間93の下端位置に配されてオーバーフロー通路22と連通して設けられている。なお、玉振分板101、第一の誘導板104、及び第二の誘導板105と、玉送り通路109との間には、仕切板110が設けられている。これにより、玉振分板101上で仕切板110の上端を越えて溢れたパチンコ玉のみが玉送り通路109に誘導されるようになっている。また、玉送り通路109の下流端は、オーバーフロー樋120の中流側部分に連通して設けられている。
【0042】
また、玉振分空間91と樋設置空間92とを区画する区画板111における玉送り通路109の上流側部分には、玉振分空間91と樋設置空間92とを連通する連通口112が穿設されている。連通口112は、オーバーフロー通路22(オーバーフロー樋120)でパチンコ玉が満杯となって玉送り通路109内でパチンコ玉が積層されるような場合、玉送り通路109内のパチンコ玉を樋設置空間92側へ送り込むための開口であり、連通口112を通って樋設置空間92に送り込まれたパチンコ玉、言い換えれば、玉振分空間91から樋設置空間92側へ溢れ出たパチンコ玉は、樋設置空間92内に設置された交流樋1dの上流部に排出されるようになっている。
【0043】
さらに、上部タンク33の玉振分空間91には、前述した上部タンク31の玉振分空間61とは異なり、交流樋1eの上流端が配置された位置の下方に、外壁板33cの玉受入口84に接続された交流樋1cから排出されたパチンコ玉を受けてこれをオーバーフロー樋120の上流側へ転動する玉転動板113が設けられている。また、樋設置空間92には、外壁板33aの玉受入口82に接続された交流樋1fから排出されたパチンコ玉を受けてこれをオーバーフロー樋120の下流側へ転動する玉転動板114が設けられている。これにより、
図16にも示すように、交流樋1c(パチンコ島台A2)から上部タンク33内に送り込まれたパチンコ玉は、玉転動板113を介してオーバーフロー樋120の上流側部分に流れ込み、前述した玉振分板101上で仕切板110の上端を越えて溢れたパチンコ玉は、玉送り通路109を介してオーバーフロー樋120の中流側部分に流れ込み、交流樋1f(パチンコ島台A4)から上部タンク33内に送り込まれたパチンコ玉は、玉転動板114を介してオーバーフロー樋120の下流側部分に流れ込み、これらのパチンコ玉がオーバーフロー樋120上で合流されてオーバーフロー通路22に送り込まれるようになっている。
【0044】
玉送り空間94には、玉振分空間91(第二の誘導板105の端部)との間で差し渡された接続樋106の下流端と連通して、当該接続樋106を流下したパチンコ玉を玉揚送装置20の玉排出口20bと反対側(
図8に示す玉揚送装置20の左側)に列設されるパチンコ機10に送り込むための自島補給経路としての玉送り通路115が形成されている。玉送り通路115の下流端となる外壁板33dの下端部分には、当該玉送り通路115を流下したパチンコ玉を玉排出口20bと反対側(
図8に示す玉揚送装置20の左側)の補給樋21に導出する導出口116が穿設されている。
【0045】
しかして、上記した上部タンク33の構成において、玉揚送装置20の玉排出樋20aから排出されたパチンコ玉は、玉振分空間91の上部に水平傾斜状に固定される玉振分板101上に落下する。そして、当該玉振分板101の振り分けによって玉振分板101上を流下するパチンコ玉は、玉送り通路102を通って導出口103から補給樋21に導出されて、玉排出口20b側のパチンコ機10に補給される。また、玉振分板101の振り分けによって玉振分板101上から誘導通路(第一及び第二の誘導板104,105)側に送り込まれたパチンコ玉、言い換えれば、玉排出口20b側の補給樋21が満杯となって誘導通路側に送り込まれたパチンコ玉は、接続樋106を通って玉送り空間94の玉送り通路115に流れた後に導出口116から補給樋21に導出されて、玉排出口20bと反対側のパチンコ機10に補給される。また、玉振分板101の振り分けによって玉振分板101に穿設された落下口107から下方に落下したパチンコ玉は、交流樋1eに送り込まれてパチンコ島台A4の上部タンク34に補給される。
【0046】
また、パチンコ島台A2から交流樋1cを通って上部タンク33内に送り込まれたパチンコ玉は、玉転動板113を介してオーバーフロー樋120の上流側部分に誘導される。玉振分板101上で仕切板110の上端を越えて溢れたパチンコ玉は、玉送り通路109を通ってオーバーフロー樋120の中流側部分に誘導される。パチンコ島台A4から交流樋1fを通って上部タンク33内に送り込まれたパチンコ玉は、玉転動板114を介してオーバーフロー樋120の下流側部分に誘導される。そして、これらのパチンコ玉は、オーバーフロー樋120上で合流されてオーバーフロー通路22に送り込まれる。さらに、オーバーフロー通路22(オーバーフロー樋120)でパチンコ玉が満杯となって玉振分空間91(玉送り通路109)側から樋設置空間92側へ溢れたパチンコ玉は、樋設置空間92内に設置された交流樋1dの上流部に送り込まれて、ベースタンクBに返却される。
【0047】
上記したように、玉揚送装置20によって研摩揚送されたパチンコ玉は、先ず、優先的に自島の補給樋21に補給されるように振り分けられる。なお、上部タンク33の構造上、上記したように一方の補給樋21が満杯となった後に他方の補給樋21に補給する構造となっているが、玉揚送装置20によって揚送される単位時間当りの揚送量が一方の補給樋21を介して消費される平均的な玉量よりも断然多いので、常時両方の補給樋21にパチンコ玉が補給されている状態となっている。
【0048】
ところで、以上説明したベースタンクBと隣接しないパチンコ島台A3の上部タンク33では、玉揚送装置20の玉排出樋20aから最も離れた位置に、パチンコ玉を自島の補給樋21に供給する自島補給経路となる玉送り通路102,115を配置し、次に離れた位置に、パチンコ玉を他島に供給する他島補給経路となる交流樋1eの上流端と、他島の他島補給経路から供給されるパチンコ玉を受け入れる第1受給経路となる玉転動板113とを配置し、次に離れた位置に、他島補給経路で溢れたパチンコ玉を自島のオーバーフロー通路22に送り込む自島還流経路となる玉送り通路109を配置し、玉揚送装置20の玉排出樋20aから最も近位置に、自島還流経路で溢れたパチンコ玉をベースタンクBに向けて誘導する溢玉誘導経路となる交流樋1dの上流端と、他島の溢玉誘導経路から誘導されるパチンコ玉を受け入れる第2受給経路となる玉転動板114とを配置している。これにより、基本的な構造としては、玉揚送装置20の玉排出樋20aから離れている方向に向けて下り傾斜させた玉誘導板(玉振分板101等)を設ければよいだけなので、玉揚送装置20から排出されたパチンコ玉を上部タンク33内で誘導するための排出玉誘導構造を簡素化することができる。
【0049】
また、自島補給経路(玉送り通路102,115)がパチンコ玉の充満状態となり、且つ他島補給経路(交流樋1e)がパチンコ玉のほぼ充満状態となる正常状態において、玉揚送装置20から排出されるパチンコ玉は、上部タンク33の内部を構成する部材(以下、これを内部構成部材ともいう)に衝突することなく、玉振分板101上に積層されたパチンコ玉と衝突して、そのまま自島還流経路(玉送り通路109)に送り込まれるようになっている。このため、玉揚送装置20から排出されるパチンコ玉の衝撃によって、上部タンク33の内部構成部材が破損するような不具合を回避することができる。
【0050】
また、溢れたパチンコ玉をその他の空間に送り込むことから高さ空間を広くとる必要がない自島補給経路(玉送り通路102,115)を、玉揚送装置20の玉排出樋20aから最も離れた位置、即ち、玉誘導板(玉振分板101等)の下流端となって高さ寸法を広くとれない位置に配置したので、上部タンク33全体をコンパクトにすることができる。
【0051】
また、上記したような自島補給経路(玉送り通路102,115)、他島補給経路(交流樋1e)及び第1受給経路(玉転動板113)、自島還流経路(玉送り通路109)、溢玉誘導経路(交流樋1d)及び第2受給経路(玉転動板114)の順となる配置構成によれば、複数のパチンコ島台A1〜A4と大型貯留タンクとなるベースタンクBとから構成される島交流グループにおいて、各パチンコ島台A1〜A4及びベースタンクB間に架設される玉移送経路(交流樋1a〜1f、返却樋3)を、上面視(
図1(A)に示す視線)で一直線状に配置することができるので、各パチンコ島台A1〜A4及びベースタンクB間でのパチンコ玉の移送を迅速に行うことができる。
【0052】
また、上部タンク33の構成においては、第1受給経路(玉転動板113)及び第2受給経路(玉転動板114)から受け取ったパチンコ玉と、自島還流経路(玉送り通路109)から受け取ったパチンコ玉と、をそれぞれ上部タンク33内のオーバーフロー樋120で合流させて、これをオーバーフロー通路22を介して下部貯留タンク13に送り込むようになっている。このため、上部タンク33と下部貯留タンク13との間、言い換えれば、パチンコ島台A3においてパチンコ機10を設置する高さ空間内には、パチンコ玉の合流部を設けることなく、上部タンク33から溢れたパチンコ玉を下部貯留タンク13に誘導するオーバーフロー通路22を設けるだけでよいので、その分、スペースを有効に活用することができる。なお、パチンコ機10を設置する高さ空間は、当該パチンコ機10は元よりパチンコ機10に関わる配線・紙幣搬送装置等、様々な装置、設備品を配置する空間となり、従来ではスペースの確保が困難であった。
【0053】
また、上記したような自島補給経路(玉送り通路102,115)、他島補給経路(交流樋1e)及び第1受給経路(玉転動板113)、自島還流経路(玉送り通路109)、溢玉誘導経路(交流樋1d)及び第2受給経路(玉転動板114)の順となる配置構成において、オーバーフロー樋120でパチンコ玉を合流させる構造として、オーバーフロー樋120の下流側から上流側の順、言い換えれば、合流の優先順位は、各種経路の配置順通りに、第2受給経路(玉転動板114)、自島還流経路(玉送り通路109)、第1受給経路(玉転動板113)の順としている。このため、3種類のパチンコ玉を上部タンク33内(オーバーフロー樋120)で合流させる際に、特別な玉誘導経路を設ける必要がなく、シンプルな構造で且つ確実にパチンコ玉を合流させることができる。
【0054】
なお、前述したようにベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1の上部タンク31は、自島補給経路、他島補給経路、及び溢玉誘導経路を備える一方で、自島還流経路、第1受給経路、及び第2受給経路を備えていない。即ち、パチンコ島台A1は、ベースタンクBと隣接して当該ベースタンクBから直接パチンコ玉の供給を受ける島台であるため、他島(パチンコ島台A2〜A4)の他島補給経路から供給されるパチンコ玉を受け入れる第1受給経路を設ける必要がない。また、他島の溢玉誘導経路がパチンコ島台A1まで届くのであれば、他島の溢玉誘導経路からのパチンコ玉を直接ベースタンクBまで誘導することができるので、他島の溢玉誘導経路から誘導されるパチンコ玉を受け入れる第2受給経路をパチンコ島台A1に設ける必要がない。
【0055】
一方、ベースタンクBと隣接しないパチンコ島台のうち、パチンコ島台A3以外となるパチンコ島台A2,A4には、それぞれ遊技者が獲得したパチンコ玉を下部貯留タンク13に向けて返却するための玉返却装置5が設置されている。即ち、パチンコ島台A2,A4は、玉返却装置5が設置された返却パチンコ島台をなし、パチンコ島台A3は、玉返却装置5が設置されない非返却パチンコ島台をなしている。そして、図示しないが、パチンコ島台A2の上部タンク32は、自島補給経路、他島補給経路、自島還流経路、溢玉誘導経路、及び第1受給経路を備える一方で、第2受給経路を備えていない。即ち、パチンコ島台A2は、返却パチンコ島台であり、玉返却装置5から多量のパチンコ玉が返却されて島台内のパチンコ玉が過剰に増加する可能性が高い。このため、第2受給経路を設けてしまうと、第2受給経路から受け入れたパチンコ玉が溢玉誘導経路に流れ込むことになり、結果として、溢玉誘導経路が玉返却装置5からの返却によって増加したパチンコ玉に対応できなくなってしまうためである。
【0056】
また、図示しないが、パチンコ島台A4の上部タンク34は、自島補給経路、自島還流経路、溢玉誘導経路、及び第1受給経路を備える一方で、他島補給経路及び第2受給経路を備えていない。即ち、パチンコ島台A4は、島台ブロックの一番端に位置する島台であるため、パチンコ玉を他島に供給する他島補給経路と、他島の溢玉誘導経路から誘導されるパチンコ玉を受け入れる第2受給経路とを設ける必要がない。
【0057】
ところで、ベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1に設けられる上部タンク31の構成としては、前述したように第1交流樋としての返却樋3の上流部が設置されると共に、第2交流樋としての交流樋1b及び交流樋1dの各下流部を貫通させる樋設置空間52を設けており、返却樋3及び交流樋1b,1dは、その下流端がベースタンクBに接続されるようになっている。以下、このようなパチンコ島台A1の上部タンク31とベースタンクBとの間に設けられる返却樋3及び交流樋1b,1dと、該返却樋3及び交流樋1b,1dの下流端が接続されるベースタンクBについて、
図17及び
図18を参照して説明する。
図17は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31とベースタンクBとが返却樋3及び交流樋1b,1dを介して接続された状態を示す斜視図である。
図18は、ベースタンクBに隣り合って設けられるパチンコ島台A1の上部タンク31とベースタンクBとを接続する返却樋3及び交流樋1b,1dの接続部分を示す部分拡大斜視図である。
【0058】
図17に示すように、パチンコ島台A1の上部タンク31とベースタンクBとの間には、返却樋3及び交流樋1b,1dがそれぞれ上下方向に並んだ状態で架設されている。一方、ベースタンクBは、合板(金属板でもよい)によって上面が開放した直方体状に形成され、その内部をパチンコ玉が貯留される貯留順位が決められた優先タンク部131と非優先タンク部132とに区画されており、該優先タンク部131及び非優先タンク部132の上部に位置し且つベースタンクBに返却されるパチンコ玉を分散させる分散機構133を備えている。
【0059】
分散機構133は、ベースタンクBのほぼ中央上部に配置固定される受入手段としての返却用分岐箱134と、該返却用分岐箱134から優先タンク部131側に向かって下り傾斜する順次貯留手段としての返却玉優先分散樋135と、返却用分岐箱134から非優先タンク部132側に向かって下り傾斜する順次貯留手段としての返却玉非優先分散樋136と、を備えている。なお、返却玉優先分散樋135の上流端の両側方には、ガイド板137が設けられている。このガイド板137は、優先タンク部131にパチンコ玉を確実に誘導すると共に優先タンク部131の下流端までパチンコ玉が流下し易くする機能を奏するものである。また、ガイド板137が設けられている部分からは、パチンコ玉が落下することがないため、ガイド板137の下方、即ち、非優先タンク部132の隣接部であって優先タンク部131の下流側付近に、返却玉優先分散樋135から直接落下するパチンコ玉を堆積させない機能も有する。
【0060】
返却用分岐箱134は、
図18に示すように、合板(金属板でもよい)で上面が開放した直方体状に形成されており、その優先タンク部131側の面の下方には、優先口138が形成されると共に、非優先タンク部132側の面であって優先口138よりもやや上方には、非優先口139が形成されている。この優先口138は、返却玉優先分散樋135の上流端に連通するものであり、非優先口139は、返却玉非優先分散樋136の上流端に連通するものである。また、返却用分岐箱134の底面は、非優先口139から優先口138に向かって下り傾斜する誘導底面140となっており、その誘導底面140の上流端であって非優先口139の下部に誘導底面140に落下したパチンコ玉が非優先口139に誘導され難いように堰止部材141が固着されている。また、この誘導底面140の側方には、傾斜誘導部材142,143が設けられている。さらに、返却用分岐箱134の傾斜誘導部材142が設けられる面の上方には、返却樋3の下流端が接続される接続口144と、交流樋1bの下流端及び交流樋1dの下流端がまとめて接続される接続口145と、が上下方向に並んで穿設されている。なお、返却樋3の下流端、交流樋1bの下流端、及び交流樋1dの下流端がまとめて接続される接続口を設けて、返却樋3の下面を交流樋1bの上面に当接した状態で接続するようにしてもよい。このようにすることで、常時、パチンコ玉を返却している返却樋3の重量を複数の樋で支えることができるため、返却樋3の底面が重さで撓んでしまいパチンコ玉の玉流れに支障を来たすといった不具合を解消することができる。
【0061】
しかして、パチンコ島台A1の上部タンク31でオーバーフローして返却樋3を流下したパチンコ玉は、接続口144からベースタンクBの返却用分岐箱134内に排出される。また、パチンコ島台A2の上部タンク32から上部タンク31内を通って交流樋1bを流下したパチンコ玉、及びパチンコ島台A3の上部タンク33から上部タンク31内を通って交流樋1dを流下したパチンコ玉は、それぞれ接続口145からベースタンクBの返却用分岐箱134内に排出される。
【0062】
そして、返却樋3及び交流樋1b,1dから返却用分岐箱134内に排出されたパチンコ玉は、返却用分岐箱134内の誘導底面140上に落下し、優先口138から返却玉優先分散樋135上を流下して優先タンク部131内に送り込まれる。その後、優先タンク部131内にパチンコ玉が送り込まれるに従い、優先タンク部131の上流側からパチンコ玉が貯留され、優先タンク部131内にパチンコ玉が送り込まれ続けることで返却玉優先分散樋135上にパチンコ玉が滞留すると、返却用分岐箱134内に排出されたパチンコ玉は、非優先口139から返却玉非優先分散樋136上を流下して優先タンク部131内に送り込まれる。
【0063】
なお、上記した実施形態では、ベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1に設けられる上部タンク31の構成として、自島還流経路を閉鎖して溢玉誘導経路としての返却通路69を形成し、該返却通路69と返却樋3の設置空間(樋設置空間52)とを上部タンク31内で隣接して設けているが、この構成に限定するものではなく、閉鎖した自島還流経路と返却樋とを隣接しないように上部タンク内に設ける構成としてもよい。以下、このような構成を変形例として
図19乃至
図21を参照して説明する。
図19(A)は変形例における上部タンク150内でのパチンコ玉の流れを示す上面図であり、
図19(B)は変形例における上部タンク150内でのパチンコ玉の流れを示す縦断面図である。
図20(A)は変形例における上部タンク150内でのパチンコ玉の流れを示す上面図であり、
図20(B)は変形例における上部タンク150内でのパチンコ玉の流れを示す縦断面図である。
図21(A)は変形例における上部タンク150内でのパチンコ玉の流れを示す上面図であり、
図21(B)は変形例における上部タンク150内でのパチンコ玉の流れを示す縦断面図である。また、以下の説明では、前述の実施形態と同様の機能を有する構成については、便宜的に同一の符号を付記すると共にその詳細な説明を省略する。
【0064】
変形例の上部タンク150は、
図19(A),(B)に示すように、ベースタンクB側から見た(
図19(B)を正面から見た)右から左の順で、返却樋3の上流部が設置されると共に交流樋1bの下流部及び交流樋1dの下流部を貫通させる樋設置空間151と、玉揚送装置20によって揚送されたパチンコ玉を振り分ける玉振分空間152と、玉揚送装置20の上部が貫通設置される揚送装置設置空間153と、揚送装置設置空間153に設置される玉揚送装置20の玉排出樋20a(玉排出口20b)と反対側に列設されるパチンコ機10にパチンコ玉を送り込む玉送り空間154と、に区画されている。なお、揚送装置設置空間153に設置される玉揚送装置20の玉排出樋20aは、揚送装置設置空間153と玉振分空間152とを連通して設置されて、玉排出口20bが玉振分空間152内に配置されている。
【0065】
玉振分空間152には、玉排出口20bの下方位置に玉振分板155が固定して設けられている。玉振分板155の一側端部(ベースタンクB側の端部)には、玉振分板155上で振り分けられたパチンコ玉を玉揚送装置20の玉排出口20b側に列設されるパチンコ機10に送り込むための玉送り通路156が形成されている。なお、玉送り通路156の下流端には、当該玉送り通路156を流下したパチンコ玉を玉排出口20b側の補給樋21に導出する導出口(図示しない)が設けられている。一方、玉振分板155の他側端部(非ベースタンクB側の端部)には、玉振分板155上で振り分けられたパチンコ玉を玉送り空間154側へ誘導する誘導通路157が形成されている。誘導通路157は、玉振分空間152と玉送り空間154とを連通するように揚送装置設置空間153を貫通して設けられている。
【0066】
また、玉送り通路156の上端位置における揚送装置設置空間153側の端部には、揚送装置設置空間153側に下り傾斜した誘導板158が設けられており、該誘導板158における下流端の下方には、交流樋1aの上流端が配置されている。これにより、玉送り通路156から溢れたパチンコ玉は、誘導板158を通って交流樋1aに送り込まれるようになっている。また、玉振分板155と交流樋1aの上流端が設置された空間との間には、玉受入口159が形成されており、該玉受入口159の下流側には、交流樋1aから溢れたパチンコ玉を樋設置空間151に設置された返却樋3の上流端に送り込む返却通路160が連通して設けられている。
【0067】
玉送り空間154には、玉振分空間152との間で差し渡された誘導通路157の下流端と連通して、当該誘導通路157を流下したパチンコ玉を玉揚送装置20の玉排出口20bと反対側に列設されるパチンコ機10に送り込むための玉送り通路161が形成されている。玉送り通路161の下流端には、当該玉送り通路161を流下したパチンコ玉を玉排出口20bと反対側の補給樋21に導出する図示しない導出口が設けられている。
【0068】
しかして、上記した上部タンク150の構成において、玉揚送装置20の玉排出樋20aから排出されたパチンコ玉は、玉振分空間152の上部に固定される玉振分板155上(
図19乃至
図21中に示すP点)に落下する。そして、当該玉振分板155の振り分けによって自島補給経路としての玉送り通路156に送り込まれたパチンコ玉は、玉送り通路156を流下して補給樋21に導出されることで、玉排出口20b側のパチンコ機10に補給される。また、玉振分板155の振り分けによって誘導通路157から自島補給経路としての玉送り通路161に送り込まれたパチンコ玉は、玉送り通路161を流下して補給樋21に導出されることで、玉排出口20bと反対側のパチンコ機10に補給される。また、
図20(A),(B)に示すように、補給樋21へのパチンコ玉の補給が満杯となって(同図中には、パチンコ玉の満杯部分を斜線領域で示す)、玉送り通路156からパチンコ玉が溢れるような場合、その玉送り通路156から溢れたパチンコ玉は、誘導板158を通って他島補給経路としての交流樋1aの上流端に送り込まれる。さらに、
図21(A),(B)に示すように、交流樋1aでパチンコ玉が満杯となって(同図中には、パチンコ玉の満杯部分を斜線領域で示す)、交流樋1aの上流端からパチンコ玉が溢れるような場合、その交流樋1aの上流端から溢れたパチンコ玉は、玉受入口159から溢玉誘導経路としての返却通路160を流下して返却樋3の上流端に送り込まれ、該返却樋3を通ってベースタンクBに返却される。
【0069】
また、以上説明した変形例における上部タンク150の構成によれば、交流樋1aの上流端から溢れたパチンコ玉を受け入れる玉受入口159の下流側に溢玉誘導経路としての返却通路160を設けているが、玉受入口159の鉛直下方には、返却通路160の通路底面を構成する底壁板162が設けられている。そして、この底壁板162は、上部タンク150をベースタンクBと隣接しないパチンコ島台A2〜A4に採用した場合には、上部タンク150内から取り外されることで、その下流側の領域を自島還流経路としてのオーバーフロー通路とするようになっている。逆に言えば、上部タンク150をベースタンクBと隣接するパチンコ島台A1に採用することで、底壁板162を上部タンク150内に取り付けて自島還流経路を閉鎖している。これにより、変形例では、閉鎖した自島還流経路(底壁板162が取り付けられた空間)と返却樋3とを隣接しないように上部タンク150内に設ける構成となっている。
【0070】
以上のように、本実施形態の構成によれば、玉揚送装置20の玉排出樋20aから排出されて上部タンク33内に貯留されたパチンコ玉は、最初に自島補給経路を介して自島の補給樋21に供給される。そして、自島補給経路でパチンコ玉が溢れると、その溢れたパチンコ玉が他島補給経路を介して他島に供給される。更に、他島補給経路でパチンコ玉が溢れると、その溢れたパチンコ玉が自島還流経路を介して自島のオーバーフロー通路22に送り込まれる。そして、自島還流経路でパチンコ玉が溢れると、その溢れたパチンコ玉が溢玉誘導経路を介してベースタンクBに向けて誘導される。また、このような上部タンクの基本構成に対して、自島還流経路を閉鎖して他島補給経路から溢れたパチンコ玉を溢玉誘導経路に誘導するようにすることで、これをベースタンクBと隣接して配置された主パチンコ島台A1の上部タンク31として用い、基本構成通りのものを主パチンコ島台A1以外の従パチンコ島台A2〜A4の上部タンク32〜34として用いる。このため、若干の変更を加えるだけで上部タンクを主パチンコ島台A1と従パチンコ島台A2〜A4とで共通使用することができる。
【0071】
なお、主パチンコ島台A1に設けられる上部タンク31の外壁板31cには、3つの開口(玉返却口44〜46)を上下方向に並んで穿設している。このため、このような上下方向に並設された3つの開口を必要としない従パチンコ島台A2〜A4の上部タンク32〜34に3つの開口が穿設された外壁板31cを共通使用した場合には、不要となる開口が生じることになるが、その3つの開口は、上部タンク32〜34に対する交流樋の取付高さ位置調整用として有効に活用することができる。
【0072】
また、上部タンクの構成において、従パチンコ島台A2,A3からベースタンクBにパチンコ玉を返却するための交流樋1b,1dを、主パチンコ島台A1の上部タンク31を貫通して設けると共に、当該交流樋1b,1dと主パチンコ島台A1からベースタンクBにパチンコ玉を返却する返却樋3と、を相互間で上下方向に並んで配置する。一方、ベースタンクBには、各樋3,1b,1dの各下流端が接続されて当該各樋3,1b,1dを流下したパチンコ玉を受け入れる返却用分岐箱134と、該返却用分岐箱134によって受け入れたパチンコ玉をベースタンクB内部の貯留順序に従って適切にベースタンクB内部の貯留空間に貯留させる各分散樋135,136と、を設ける。これにより、主パチンコ島台A1からのパチンコ玉と従パチンコ島台A2,A3からのパチンコ玉とを個別の各樋3,1b,1dで個々にベースタンクBに返却することができるので、パチンコ玉の返却を迅速に行うことができる。然も、ベースタンクBに設けられる返却用分岐箱134と各分散樋135,136とを、各樋樋3,1b,1dに対して共通使用することができる。即ち、返却用分岐箱134と各分散樋135,136とを各樋3,1b,1d毎に個別に設ける必要がないので、ベースタンクBを構成する部品点数を削減することができると共に、ベースタンクBの組み立て作業性を容易化することができる。
【0073】
また、自島補給経路、他島補給経路、自島還流経路、及び溢玉誘導経路を、それぞれ上部タンク内部で区画形成すると共に、自島還流経路と溢玉誘導経路とを相互間で隣接して配置する。これにより、主パチンコ島台A1の上部タンク31において、自島還流経路を閉鎖して他島補給経路から溢れたパチンコ玉を溢玉誘導経路に誘導する構成を簡単に作り出すことができるので、上部タンクを主パチンコ島台A1と従パチンコ島台A2〜A4とで共通使用する構成において、上部タンクに行う変更作業が容易になる。
【0074】
また、主パチンコ島台A1からベースタンクBにパチンコ玉を返却する返却樋3を、従パチンコ島台A2,A3からベースタンクBにパチンコ玉を返却する交流樋1b,1dの上方に配置する。このとき、主パチンコ島台A1の上部タンク31では、他島補給経路から溢れたパチンコ玉をそのまま溢玉誘導経路に誘導して返却樋3からベースタンクBに返却するので、返却樋3には常にパチンコ玉が流下した状態となり、パチンコ玉を含んだ返却樋3の重量は重い。また、返却樋3の長さ寸法は、主パチンコ島台A1の上部タンク31からベースタンクBまでの距離と同一となって短い。一方、従パチンコ島台A2,A3の上部タンク32,33では、他島補給経路から溢れたパチンコ玉を自島還流経路に誘導し、その後、自島還流経路でパチンコ玉が溢れると、その溢れたパチンコ玉を溢玉誘導経路に誘導して交流樋1b,1dからベースタンクBに返却する。このため、交流樋1b,1dには時折パチンコ玉が流下する程度の状態となり、パチンコ玉を含んだ交流樋1b,1dの重量は軽い。また、交流樋1b,1dの長さ寸法は、従パチンコ島台A2,A3の上部タンク32,33からベースタンクBまでの距離、即ち、最低でも従パチンコ島台A2,A3とベースタンクBとの間に介在される主パチンコ島台A1の配置スペースを横断する長さが必要となって長い。従って、長さ寸法の短い返却樋3では流下時の加速が付き難いことからパチンコ玉の流下速度が遅く、長さ寸法の長い交流樋1b,1dでは流下時の加速が付き易いことからパチンコ玉の流下速度が速くなり、結果として、流下速度の速い交流樋1b,1dを流下速度の遅い返却樋3の下側に配置することになる。これにより、上側(返却樋3)から常時返却用分岐箱134内に排出されるパチンコ玉を、下側(交流樋1b,1d)から勢いよく返却用分岐箱134内に排出されるパチンコ玉に上方から衝突させて排出の勢いを弱めることができるので、下側から排出されるパチンコ玉が返却用分岐箱134の内壁部分に勢いよく衝突することを防ぐことができ、返却用分岐箱134のパチンコ玉による破損を回避することができる。
【0075】
また、上部タンク33の構成において、ベースタンクBに向けてパチンコ玉を誘導する溢玉誘導経路は、上部タンク33内で玉揚送装置20の玉排出樋20aの設置箇所に最も近い位置に配置されている。このため、上部タンク33内の傾斜面上でパチンコ玉を転動する玉転動構造において、最も上流側となる位置に溢玉誘導経路を配置することができ、溢玉誘導経路の玉受け入れ部分(上流端部分)を高い位置に配置することができるので、結果として、溢玉誘導経路の玉排出部分となる下流端部分も高い位置に配置できる。従って、溢玉誘導経路の玉排出部分(玉返却口83)とベースタンクBとの間に交流樋1dを掛け渡す構成において、パチンコ島台A3(上部タンク33)とベースタンクBとの間の設置距離がある程度遠くなるような場合でも、交流樋1dでスムーズにパチンコ玉を流下させるのに必要な傾斜角度を維持することができるので、パチンコ島台A3(上部タンク33)とベースタンクBとの間の設置距離を限定する必要がなくなる。その結果、パチンコ島台A3(上部タンク33)とベースタンクBとの間に他のパチンコ島台(本実施形態では、パチンコ島台A1とパチンコ島台A2)が介在して、パチンコ島台A3(上部タンク33)とベースタンクBとの間の設置距離が遠くなるような場合でも、他のパチンコ島台A1,A2の上部タンク31,32に対して交流樋1dを貫通させて、溢玉誘導経路からのパチンコ玉を直接ベースタンクBに送り込む構成にできるので、円滑に島交流を行うことができる。
【0076】
また、上記したようにベースタンクBに向けてパチンコ玉を誘導する溢玉誘導経路を、玉揚送装置20の玉排出樋20aの設置箇所に最も近い位置に配置することで、溢玉誘導経路の玉排出部分となる下流端部分を高い位置に配置する構成としては、ベースタンクBへのパチンコ玉の返却位置を高くできることから、ベースタンクB側の受入手段の設置位置を高くすることができ、結果として、ベースタンクB内での玉貯留量の増加が可能になる。
【0077】
また、他島の他島補給経路から供給されるパチンコ玉を受け入れる第1受給経路と、他島の溢玉誘導経路から誘導されるパチンコ玉を受け入れる第2受給経路と、自島還流経路、第1受給経路、及び第2受給経路を流下するパチンコ玉を合流させてオーバーフロー通路22に誘導するオーバーフロー樋120と、を上部タンク33に設けると共に、第2受給経路をオーバーフロー通路22に最も近い位置に配置して、第2受給経路からのパチンコ玉をオーバーフロー樋120の最も下流側で合流させる。これにより、上部タンク33内で第2受給経路の経路長さを最短で形成することができるので、パチンコ島台A3内で過剰となったパチンコ玉をベースタンクBへと誘導する経路に無駄がなくなり、ひいては、島交流の円滑性をより一層高めることができる。
【0078】
また、溢玉誘導経路と第2受給経路とを上下方向に積層して上部タンク33内に設けることで、自島における上部タンク33の溢玉誘導経路とベースタンクBとの間で掛け渡される交流樋1dと、他島における上部タンク34の溢玉誘導経路と自島における上部タンク33の第2受給経路との間で掛け渡される交流樋1fと、をそれぞれパチンコ島台A3の上面視で一直線状に配置することができる。このため、パチンコ島台A3内で過剰となったパチンコ玉をベースタンクBへと誘導する経路に無駄がなくなり、ひいては、島交流の円滑性をより一層高めることができる。
【0079】
また、玉返却装置5が設置されないパチンコ島台A3の上部タンク33に、自島補給経路、他島補給経路、自島還流経路、及び溢玉誘導経路に加えて、さらに、第1受給経路及び第2受給経路を設ける。これにより、玉返却装置5が設置されたパチンコ島台A2又はパチンコ島台A4において玉返却装置5から多量のパチンコ玉が返却されて島台内のパチンコ玉が過剰に増加した場合、パチンコ島台A3は、パチンコ島台A2又はパチンコ島台A4の過剰なパチンコ玉を第1受給経路又は第2受給経路を介して受け取ることができるので、パチンコ島台A2の上部タンク32又はパチンコ島台A4の上部タンク34内でパチンコ玉が満杯となってパンクするような不具合を回避することができる。
【0080】
なお、上記した実施形態では、本発明に係るパチンコ島台に対して、玉揚送装置を横置き(玉揚送装置の玉排出方向がパチンコ島台の長手方向と平行になるよう)に配置した横置き方式の構成を例示しているが、これに限らず、玉揚送装置を縦置き(玉揚送装置の玉排出方向がパチンコ島台の長手方向と直交するよう)に配置した縦置き方式の構成であってもよい。また、実施形態中では、パチンコ島台のほぼ中央位置に玉揚送装置を設置しているが、この構成に限定するものではなく、パチンコ島台の長手方向における一端側に玉揚送装置を設置した構成としてもよい。また、実施形態中では、オーバーフロー通路を玉揚送装置の近傍位置となるパチンコ島台のほぼ中央位置に配置し、これに伴って、合流誘導樋をパチンコ島台の中央に下り傾斜して配置しているが、この構成に限定するものではない。例えば、オーバーフロー通路をパチンコ島台の長手方向における一端側に設置するような場合には、これに伴って、合流誘導樋をパチンコ島台の一端側に下り傾斜して配置するようにしもよい。