【文献】
桑原 宗光 他,防災無線システムにおけるIP通信の一検討,電子情報通信学会2004年通信ソサイエティ大会講演論文集,2004年9月8日,p.508
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)やSDH(Synchronous Digital Hierarchy)やSONET(Synchronous Optical NETwork)等のデジタルハイアラーキ(Digital hierarchy)技術により伝送される信号(以下、「デジタルハイアラーキ信号」という。)を、パケットネットワークを経由して伝送する技術がある。デジタルハイアラーキ信号は、パケットネットワークに入力される際にフレーム変換され、パケットネットワーク内を個々のフレームとして伝送される。そして、個々のフレームはパケットネットワークから出力される際に信号抽出によってデジタルハイアラーキ信号に変換される。
【0003】
また、従来のパケットネットワークでは、各中継装置においてエラーの検出が行われる。そして、フレームに単一の伝送エラーが検出された場合には、そのフレームが廃棄されている。これは、パケットネットワークがコンピュータ用に設計されているためであり、エラーを含むフレームを即座に廃棄することによって無駄な帯域を消費するのを防ぐことを目的としている。しかしながら、リアルタイム性が要求されるデータが伝送対象となる場合には、エラーを含んでいる状態であっても、再送せずにそのまま宛先まで伝送することが要求される場合がある。例えば、特許文献1にも示すように、ビットエラーが発生したとしてもそのまま伝送する技術が提案されている。
【0004】
図7は、パケットネットワークを経由してデジタルハイアラーキ信号を伝送する際に生じていた問題点の概略を表す概略図である。
図7では、デジタルハイアラーキ信号の具体例として、PDH信号を例示している。PDH信号はパケットネットワークに入力される際にフレーム変換され、複数のフレームが生成される。
図7の例では、パケットネットワーク内の転送において、複数のフレームのうちの一つに1ビット分のエラーが生じている。この場合、パケットネットワーク内でFCS(Frame Check Sequence)等の誤り検出が行われてエラーが検出されると、エラーが検出されたフレームは廃棄される。そのため、廃棄されたフレームに含まれていたPDH信号の全てが廃棄され、例えば数百ビット以上のバーストエラーが発生してしまう。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、伝送システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。伝送システム1は、パケットネットワークPNを含むシステムであって、デジタルハイアラーキ伝送装置10(10a、10b)、フレーム変換装置20、中継装置30(30a、30b)、信号変換装置40を備える。パケットネットワークPNは、複数の中継装置30によって構成されるネットワークであり、レイヤ2(L2)においてはフレーム単位でのデータ伝送が行われる。
【0015】
図2は、一般的なEthernet(登録商標)フレームの構成の概略を表す図である。パケットネットワークPN内で転送されるフレームは、
図2に示される構成を有する。すなわち、パケットネットワークPN内で転送されるフレームは、宛先MACアドレス51、送信元MACアドレス52、VLAN53、Ethernet(登録商標) Type54、IPヘッダ55、TCP/UDPヘッダ56、Payload57、Padding58、FCS59の各フィールドの値を持つ。ただし、VLAN53、IPヘッダ55、TCP/UDPヘッダ56、Padding58の各フィールドの値は必須ではない。
【0016】
次に、伝送システム1に含まれる各装置について説明する。
デジタルハイアラーキ伝送装置10は、PDH(Plesiochronous Digital Hierarchy)やSDH(Synchronous Digital Hierarchy)やSONET(Synchronous Optical NETwork)等のデジタルハイアラーキ(Digital hierarchy)技術によりデータの伝送を行う装置であり、デジタルハイアラーキ伝送網内に設置される。デジタルハイアラーキ伝送装置10とは、例えば携帯電話通信網におけるNode B(無線基地局:BTS)等の装置である。なお、以下の説明において、デジタルハイアラーキ伝送装置10によって伝送される信号を「デジタルハイアラーキ信号」という。
【0017】
デジタルハイアラーキ伝送装置10は、自装置に入力される伝送対象のデータ(以下、「伝送対象データ」という。)を、デジタルハイアラーキ信号に変換して他の装置へ伝送する。
図1の場合、デジタルハイアラーキ伝送装置10aは、他の情報処理装置から伝送対象データの入力を受け、デジタルハイアラーキ信号に変換し、パケットネットワークPNを経由してデジタルハイアラーキ伝送装置10bへ伝送する。デジタルハイアラーキ伝送装置10bは、パケットネットワークPNを介してデジタルハイアラーキ伝送装置10aからデジタルハイアラーキ信号を受信すると、受信された信号を伝送対象データに変換する。そして、デジタルハイアラーキ伝送装置10bは、伝送対象データの送信先となっている他の情報処理装置に対して伝送対象データを転送する。
【0018】
図1には、デジタルハイアラーキ伝送装置10として10a及び10bの2台のみが示されているが、伝送システム1はより多くのデジタルハイアラーキ伝送装置10を備えても良い。また、デジタルハイアラーキ伝送装置10同士が通信可能に設けられても良い。その場合、デジタルハイアラーキ伝送装置10同士はデジタルハイアラーキ信号の伝送を行い、パケットネットワークPNとの境界に位置するデジタルハイアラーキ伝送装置10がフレーム変換装置20又は信号変換装置40と通信を行う。また、
図1では、デジタルハイアラーキ伝送装置10のみがパケットネットワークPNに対して接続されているように示されているが、デジタルハイアラーキ信号とは異なる他の信号をパケットネットワークPNに入力する他の通信装置もパケットネットワークPNに接続される。そのため、パケットネットワークPN内では、デジタルハイアラーキ信号が変換されたフレーム以外のフレームも伝送される。
【0019】
フレーム変換装置20は、パケットネットワークPNとデジタルハイアラーキ伝送網との境界に設置され、デジタルハイアラーキ伝送装置10からデジタルハイアラーキ信号を受信する。そして、フレーム変換装置20は、受信されたデジタルハイアラーキ信号を、パケットネットワークPNに応じたフレームに変換し、パケットネットワークPN内の中継装置30(
図1の場合は中継装置30a)へ転送する。フレーム変換装置20は、例えばPWE3(Pseudo Wire Emulation Edge to Edge)に基づいて変換を行う。
【0020】
中継装置30は、パケットネットワークPN内に設けられる通信装置である。中継装置30は、自装置に入力されたフレームを、フレームヘッダに定義された宛先に応じて他の装置へ転送する。中継装置30は、例えばマイクロ波等を用いた無線通信装置であっても良いし、有線通信装置であっても良い。
【0021】
信号変換装置40は、パケットネットワークPNとデジタルハイアラーキ伝送網との境界に設置され、パケットネットワークPN内を転送されてきたフレームを、中継装置30から受信する。そして、信号変換装置40は、受信されたフレームを、デジタルハイアラーキ信号に変換し、デジタルハイアラーキ伝送網内のデジタルハイアラーキ伝送装置10(
図1の場合はデジタルハイアラーキ伝送装置10b)へ転送する。信号変換装置40は、例えばPWE3に基づいて変換を行う。
【0022】
次に、中継装置30の構成について詳細に説明する。なお、中継装置30の構成には、第1実施形態と第2実施形態とがあるため、以下それぞれの構成について説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図3は、第1実施形態における中継装置30の機能構成を表す概略ブロック図である。第1実施形態における中継装置30は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備える。第一実施形態における中継装置30は、中継プログラム(通信プログラム)を実行することによって、誤り検出部301、判定部302、廃棄部303、書換部304、L2SW処理部305を備える装置として機能する。なお、第1実施形態における中継装置30の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、中継装置30は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された中継プログラムを、コンピュータが読み取って実行することによって実現されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0024】
誤り検出部301は、自装置(中継装置30)宛に転送されてきたフレームを受信し、受信された各フレームからエラーを検出する。このとき、当然のことながら、エラーが存在しないフレームからはエラーが検出されない。このように、誤り検出部301は少なくとも受信部としての機能と誤り検出部としての機能とをもつ。パケットネットワークPN内を転送されるフレームには、誤り検出訂正符号(以下、「検出符号」ともいう。)が予め付与されている。誤り検出訂正符号は、例えばフレーム変換装置20によって付与される。誤り検出部301は、誤り検出訂正符号に基づいて各フレームからエラーを検出する。
【0025】
誤り検出訂正符号とは、フレーム中に生じたビット誤りを単に検出するための符号(例えば、パリティ符号、チェックサム、FCS(Frame Check Sequence))であっても良いし、誤りが検出された場合にその誤りを訂正するための符号(例えば、ハミング符号、BCH符号)であっても良い。誤り検出部301は、エラーが検出されたフレームに対してはエラーフラグを付与して判定部302へ転送する。一方、誤り検出部301は、エラーが検出されなかったフレームは、そのまま判定部302へ転送する。
【0026】
判定部302は、誤り検出部301から転送されてきた各フレームについて、エラーフラグが付与されているか否か判定する。そして、エラーフラグが付与されているフレームについてはさらに特定フレームであるか否か判定する。特定フレームとは、伝送システム1において予めフレーム廃棄をせずに伝送されるように設定されたデータに関するフレームであり、本実施形態ではデジタルハイアラーキ信号から生成されたフレームである。また、伝送システム1において予めフレーム廃棄をせずに伝送されるように設定されたデータとは、例えばリアルタイム性が高いデータであり、より具体的には音声データや映像データなどである。
【0027】
判定部302は、各フレームの所定のフィールドの値が予め設定されている値(以下、「設定値」という。)を持つか否かに基づいて、特定フレームであるか否かの判定を行う。所定のフィールドとは、既存のプロトコルで予め定められているフィールドであり、例えば宛先MACアドレス51、VLAN53、Ethernet(登録商標) Type54等である。このような所定のフィールドにおいて、フレームの値と設定値とが一致する場合には、判定部302はそのフレームが特定フレームであると判定する。より具体的には、例えば判定部302は、VLAN53のフィールドの値を参照し、特定の値(番号)に属するトラフィックに関するフレームを特定フレームとして判定しても良い。
【0028】
判定部302は、エラーフラグが付与されており且つ特定フレームではないフレームを廃棄部303へ転送する。また、判定部302は、エラーフラグが付与されていないフレーム又は特定フレームを書換部304へ転送する。このとき、判定部302は、エラーフラグが付与された特定フレームに対して、検出符号書換フラグを付与する。なお、判定部302は、参照すべき所定のフィールドがどのフィールであるのかについて及びその所定のフィールドの設定値を予め記憶している。
【0029】
廃棄部303は、判定部302から転送されてきたフレームを廃棄する。すなわち、廃棄部303は、エラーフラグが付与されており且つ特定フレームではないフレームを廃棄する。
【0030】
書換部304は、判定部302から転送されてきたフレームのうち、検出符号書換フラグが付与されているフレームに対し、検出符号の書き換えを行う。具体的には、書換部304は、検出符号書換フラグが付与されているフレームについて、現状のビット列に基づいて、フレームに付与されている検出符号と同じ方式により検出符号を再計算する。そして、書換部304は、新たに算出された検出符号によって現状の検出符号を書き換える。そのため、書き換え後のフレームは、実際にはエラーを含んでいるとしても、そのビット列と検出符号とは対応しており、検出符号のみによればエラーが検出されない状態となる。なお、書換部304は、判定部302から転送されてきたフレームのうち、検出符号書換フラグが付与されていないフレームについては、そのままL2SW処理部305へ転送する。
【0031】
L2SW処理部305は、書換部304から転送されてきたフレームについてL2SW(レイヤー2スイッチ)としての処理を実行し、フレームをその宛先となる他の装置へ転送する。このように、L2SW処理部305は少なくとも転送部としての機能をもつ。
【0032】
図4は、第1実施形態における中継装置30の動作の流れを表すフローチャートである。まず、中継装置30の誤り検出部301は新たなフレームを受信するまで待機する(ステップS101−NO)。誤り検出部301は、フレームを受信すると(ステップS101−YES)、受信されたフレームについてエラーの検出を試みる(ステップS102)。エラーが検出された場合(ステップS102−YES)、誤り検出部301は、エラーが検出されたフレームに対してエラーフラグをセットし(ステップS103)、判定部302へ転送する。一方、エラーが検出されない場合(ステップS102−NO)、誤り検出部301は、エラーフラグをセットすることなくフレームをそのまま判定部302へ転送する。
【0033】
判定部302は、誤り検出部301から転送されてきたフレームについて、エラーフラグがセットされているか否か判定する(ステップS104)。エラーフラグがセットされている場合(ステップS104−YES)、判定部302はさらにそのフレームが特定フレームであるか否か判定する(ステップS105)。転送されてきたフレームが、エラーフラグがセットされた特定フレームである場合(ステップS105−YES)、判定部302は、そのフレームに対し検出符号書換フラグをセットし(ステップS106)、書換部304へ転送する。
【0034】
一方、転送されてきたフレームが、特定フレームではなく、且つ、エラーフラグがセットされている場合(ステップS105−NO)、判定部302は、そのフレームを廃棄部303へ転送する。この場合、廃棄部303は、判定部302から転送されてきたフレームを廃棄する(ステップS110)。
【0035】
また、ステップS104において、転送されてきたフレームが、エラーフラグがセットされていないフレームである場合(ステップS104−NO)、判定部302はそのフレームをそのまま書換部304へ転送する。
【0036】
書換部304は、判定部302から転送されてきたフレームについて、検出符号書換フラグがセットされているか否か判定する(ステップS107)。検出符号書換フラグがセットされている場合(ステップS107−YES)、書換部304は、現状のビット列に基づいて検出符号を新たに計算し、算出された値で元の検出符号を書き換える(ステップS108)。そして、書換部304は、書き換え後のフレームをL2SW処理部305へ転送する。一方、ステップS107において、フレームに検出符号書換フラグがセットされてない場合(ステップS107−NO)、書換部304は、転送されてきたフレームをそのままL2SW処理部305へ転送する。
【0037】
L2SW処理部305は、書換部304から転送されてきたフレームに対し、L2SW処理を行うことによって、次段となる他の装置へフレームを転送する(ステップS109)。以上で、第1実施形態における中継装置30の転送処理が終了する。
【0038】
このように構成された第1実施形態の中継装置30を備える伝送システム1によれば、デジタルハイアラーキ信号が変換されたフレーム(特定フレーム)については、パケットネットワークPN内でエラーが生じたとしても途中で廃棄されることなく転送される。そのため、エラーが生じていない部分のビットまでもが廃棄されることを防止し、デジタルハイアラーキ信号においてバーストエラーが発生することを回避することが可能となる。
【0039】
また、エラーが生じた特定フレームについては、エラーが生じた状態のビット列で新たに検出符号が付与されるため、その後の中継装置30においてエラーが検出されなくなる。エラーが発生していないフレームについては特定フレームであるか否かの判定を行わないように中継装置30が構成されていれば、検出符号が書き換えられた後の中継装置30ではエラーが検出されないため、特定フレームであるか否かの判定を行うことなく転送することが可能となる。そのため、中継装置30における転送処理の高速化を図ることが可能となる。
また、既存のプロトコルで定められているフィールドの値に基づいて特定フレームの判定が行われるため、フレームに対して特殊なフラグを付与することなく特定フレームを判定しバーストエラーの発生を抑止することが可能となる。
【0040】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態における中継装置30の機能構成を表す概略ブロック図である。第2実施形態における中継装置30は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備える。第2実施形態における中継装置30は、中継プログラム(通信プログラム)を実行することによって、誤り検出部311、判定部312、廃棄部313、書換部314、L2SW処理部315を備える装置として機能する。なお、第2実施形態における中継装置30の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。また、第2実施形態における中継装置30は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された中継プログラムを、コンピュータが読み取って実行することによって実現されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0041】
判定部312は、自装置(中継装置30)宛に転送されてきたフレームを受信し、受信されたフレームが特定フレームであるか否か判定する。特定フレームであるか否かの判定処理は、第1実施形態における判定部302と同様である。判定部312は、特定フレームではないフレームを誤り検出部311へ転送する。また、判定部312は、特定フレームを書換部314へ転送する。
【0042】
誤り検出部311は、判定部312から転送されてきた各フレームからエラーを検出する。誤り検出部311がエラーを検出する処理は、第1実施形態における誤り検出部301と同様である。誤り検出部311は、エラーが検出されたフレームを廃棄部313へ転送する。一方、誤り検出部311は、エラーが検出されなかったフレームをL2SW処理部315へ転送する。
廃棄部313は、誤り検出部311から転送されてきたフレームを廃棄する。すなわち、廃棄部313は、特定フレームではなく且つエラーが検出されたフレームを廃棄する。
【0043】
書換部314は、判定部312から転送されてきた特定フレームに対し、検出符号の書き換えを行う。具体的には、書換部314は、特定フレームについて、エラーを含んでいるか否かに拘わらず、現状のビット列に基づいて、フレームに付与されている検出符号と同じ方式により検出符号を再計算し、新たに算出された検出符号によって現状の検出符号を書き換える。そのため、書き換え後のフレームは、実際にはエラーを含んでいるとしても、そのビット列と検出符号とは対応しており、検出符号のみによればエラーが検出されない状態となる。
【0044】
L2SW処理部315は、第1実施形態におけるL2SW処理部305と同様の構成である。
図6は、第2実施形態における中継装置30の動作の流れを表すフローチャートである。まず、中継装置30の判定部312は新たなフレームを受信するまで待機する(ステップS201−NO)。判定部312は、フレームを受信すると(ステップS201−YES)、受信されたフレームが特定フレームであるか否か判定する(ステップS202)。特定フレームである場合(ステップS202−YES)、判定部312は、特定フレームを書換部314へ転送する。
【0045】
書換部314は、判定部312から転送されてきた特定フレームの現状のビット列に基づいて検出符号を新たに計算し、算出された値で元の検出符号を書き換える(ステップS203)。そして、書換部314は、書き換え後の特定フレームをL2SW処理部315へ転送する。
【0046】
一方、ステップS202においてフレームが特定フレームではない場合(ステップS202−NO)、判定部312は、フレームを誤り検出部311へ転送する。誤り検出部311は、判定部312から転送されてきたフレームについてエラーの検出を試みる(ステップS205)。エラーが検出された場合(ステップS205−YES)、誤り検出部311は、エラーが検出されたフレームを廃棄部313へ転送する。この場合、廃棄部313は、誤り検出部311から転送されてきたフレームを廃棄する(ステップS206)。一方、エラーが検出されない場合(ステップS205−NO)、誤り検出部311は、フレームをL2SW処理部315へ転送する。
【0047】
L2SW処理部315は、誤り検出部311又は書換部314から転送されてきたフレームに対し、L2SW処理を行うことによって、次段となる他の装置へフレームを転送する(ステップS204)。以上で、第2実施形態における中継装置30の転送処理が終了する。
【0048】
このように構成された第2実施形態の中継装置30を備える伝送システム1によれば、デジタルハイアラーキ信号が変換されたフレーム(特定フレーム)については、パケットネットワークPN内でエラーが生じたとしても途中で廃棄されることなく転送される。そのため、エラーが生じていない部分のビットまでもが廃棄されることを防止し、デジタルハイアラーキ信号においてバーストエラーが発生することを回避することが可能となる。
【0049】
また、第2実施形態の中継装置30では、誤り検出部311による誤り検出処理の前段で判定部312による特定フレームの判定が行われる。そして、特定フレームについては誤り検出部311によるエラーの検出が実行されることなく、全ての特定フレームが検出符号の書換処理の対象となる。そのため、特定フレームに対するエラー検出処理を省略することによって、中継装置30における転送処理の高速化を図ることが可能となる。また、誤り検出部311、廃棄部313、及びL2SW処理部315の構成は、従来からの一般的な中継装置に用いられている構成をそのまま転用することが可能である。
【0050】
<変形例>
第1実施形態及び第2実施形態のいずれにおいても、フレーム変換装置20は、中継装置30と一体の装置として構成されても良い。また、信号変換装置40も同様に、中継装置30と一体の装置として構成されても良い。また、フレーム変換装置20及び信号変換装置40についても同様に、中継装置30と一体の装置として構成されても良い。
【0051】
また、第1実施形態における廃棄部303の機能は、判定部302に具備されても良い。また、第2実施形態における廃棄部313の機能は、誤り検出部311に具備されても良い。この場合、判定部302及び誤り検出部311がフレームの廃棄を実行する。
【0052】
また、第1実施形態における中継装置30は、誤り検出部301、判定部302、廃棄部303、書換部304を備える判定装置31と、L2SW処理部305と、に分けてそれぞれ別の装置として構成されても良い。同様に、第2実施形態における中継装置30は、誤り検出部311、判定部312、廃棄部313、書換部314を備える判定装置32と、L2SW処理部315と、に分けてそれぞれ別の装置として構成されても良い。
【0053】
また、パケットネットワークPNにおいて伝送されるフレームの構成は、
図2に示したものに限定される必要はなく、誤り検出訂正符号が付加されるフレームであればどのようなフレームであっても良い。また、パケットネットワークPNにおいて伝送されるデータの単位(PDU:Protocol Data Unit)は、レイヤ2のフレームに限定される必要はなく、上記のように誤り検出訂正符号が付加されるPDUであればパケットやセルなどどのようなPDUが伝送されても良い。その場合、フレーム変換装置20、中継装置30のL2SW処理部、信号変換装置40は、それぞれ伝送されるPDUに応じて適宜設計される。
【0054】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0055】
本願は、2009年12月18日に、日本に出願された特願2009−287805号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。