(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記トンネルバリアと前記第1接合磁性層との間の界面での前記トンネルバリアの結晶面と、前記トンネルバリアと前記第1接合磁性層との間の前記界面での前記第1接合磁性層の結晶面とは同一であることを特徴とする請求項4に記載の磁気メモリ素子。
前記第1垂直磁性層及び/又は前記第2垂直磁性層は交互に複数回積層された非磁性金属層及び強磁性金属層を含み、前記強磁性金属層は1つ〜数個の原子の厚さを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気メモリ素子。
前記第1接合磁性層及び/又は前記第2接合磁性層はコバルト、鉄、及びニッケルの中から選択された少なくとも1つ、及び非磁性元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の磁気メモリ素子。
前記トンネルバリアはマグネシウム、チタン、アルミニウム、マグネシウム−亜鉛及び/又はマグネシウム−ホウ素の酸化物、及びチタン及び/又はバナジウムの窒化物の中から選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は16に記載の磁気メモリ素子。
前記第2の磁性体上に、キャッピング層を更に含み、該キャッピング層はタンタル、アルミニウム、銅、金、銀、チタン、窒化タンタル、及び窒化チタンの中から選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は16に記載の磁気メモリ素子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の磁気メモリ素子を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、本発明の実施例は、多様な形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものと解釈してはならない。本発明の実施例は、本発明をより完全に説明するために提供するものである。図面で、層及び領域の厚さは、明細書の明確性のために、誇張したものであり得る。図面上で、同じ符号は同じ要素を示す。本明細書で使用する用語「及び/又は」は、これと関連して記載した項目のうち、1つ又はそれ以上の任意の組み合わせ又はあらゆる組み合わせを含み、“/”として縮約して記載することもある。
【0016】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例を記述するための目的として用いるものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書で、単数として使用する用語は、それについての単数であることを示す明白な背景に関する言及がない限り、複数も含むものである。また、本明細書で使用する「包含する」という用語は、言及した特徴、領域、段階、動作、要素、及び/又は成分の存在を特定するものではあるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、領域、段階、動作、要素、成分、及び/又はグループの存在又は付加を除外するものではない。
【0017】
ある層、領域又は基板のような要素が異なる要素(又はその変形物)の「上部」にあると記載した場合、ある要素は、他の要素の上部に直接存在しても、それらの間に第3の要素が介在しても良い。一方、ある要素が異なる要素(又はその変形物)の「真上」にあると記載した場合、又は他の要素の“真上に”延びると記載した場合、それらの要素間に介在する要素はない。また、ある要素が異なる要素(又はその変形物)に「連結」又は「結合」されていると記載した場合、ある要素は、他の要素に直接連結又は結合されるか、それらの間に第3の要素が介在しうる。一方、ある要素が異なる要素に「直接連結」又は「直接結合」されていると記載した場合、それらの要素間に介在する要素はない。
【0018】
多様な要素、成分、領域、層及び/又は断面を記述するために、用語第1、第2などを使用できるが、それらの要素、成分、領域、層及び/又は断面は、それらの用語に限定されるものと解釈してはならない。それらの用語は、1つの要素、成分、領域、層又は断面を他の要素、成分、領域、層又は断面と区別するために用いるだけである。従って、下記説明で使用する第1要素、成分、領域、層又は断面は、本発明の開示を外れず、第2要素、成分、領域、層又は断面とも称しうる。
【0019】
他の限定がない限り、本明細書で使用するあらゆる用語(技術的用語及び科学的用語)は、当業者に、通常よく知られたということを意味する。また、通常使われる辞書に定義されたような用語は、関連した技術分野を背景とする意味と同じ意味を有すると解釈せねばならず、別途の記載がない限り、理想的であるか、又は過度に解釈してはならない。
【0020】
図示した形態は、例えば、製造技術及び/又は許容誤差などにより変わり得る。従って、本発明の概念の実施形態は図により限定されず、製造許容誤差などにより惹起された構成要素の形態の変形を含むものと理解しなければならない。
【0021】
<第1実施形態及びそれらの変形例>
図1を参照して、本発明の第1実施形態による磁気メモリ素子を説明する。基板100上に下部電極110を配置する。基板100は半導体基盤の半導体基板であり得る。基板100は導電領域及び絶縁領域を含む。下部電極110は基板100の導電領域と電気的に連結される。下部電極110は基板100上及び/又は基板100内に配置される。例えば、下部電極110はライン形、島形及び平板形の中から選択されたいずれかの形態であり得る。
【0022】
下部電極110上に第1垂直磁性層123を配置する。一実施形態において、第1垂直磁性層123は交互に積層された非磁性層121と強磁性層122とを含む。強磁性層122は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含み、非磁性層121は、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、金(Au)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1垂直磁性層123は[Co/Pt]m、[Co/Pd]m、[Ni/Pt]m(mは各層の積層回数として、2以上の自然数)又はこれらの組み合わせを含む。一実施形態において、非磁性層121及び強磁性層122は各々2回〜20回積層される。第1垂直磁性層123は基板100及び第1垂直磁性層123の平面に垂直な方向に電流が流れる場合、電流と平行な方向の磁化方向を有するように構成される(configured)。このために、強磁性層122は1つ〜数個の原子層の厚さとして薄く形成される。
【0023】
第1垂直磁性層123上に第1非磁性層130を配置する。第1非磁性層130は相対的に薄い厚さを有する。例えば、第1非磁性層130は2Å〜20Å範囲内の厚さで形成される。第1非磁性層130はテクスチャー(texture)を有しない。例えば、第1非磁性層130は第1垂直磁性層123上に均一に形成され、薄い厚さによってテクスチャーを有しない。
【0024】
第1非磁性層130は非磁性遷移金属を含む非磁性金属元素の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1非磁性層130は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0025】
一実施形態において、第1非磁性層130は複数の層で形成される。例えば、第1非磁性層130は垂直磁性層123上に順に積層された第1下部金属化合物層133、第1非磁性金属層136、及び第1上部金属化合物層139を含む。
図1と異なり、第1非磁性層130は垂直磁性層123上に順に積層された金属化合物層/非磁性金属層及び/又は非磁性金属層/金属化合物層を含むことができる。第1非磁性層136は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。第1下部及び上部金属化合物層133、139は金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物、又はこれらの組み合わせであり得る。例えば、各々の金属化合物層は金属層の化合物であり得る。これと異なり、第1非磁性層130は単一又は複数の金属層のみを含むこともできる。第1下部及び上部金属化合物層133、139によって第1非磁性金属層136内の金属原子が隣接した他の層に拡散するのを防止、又は減少させることができる。
【0026】
第1非磁性層130上に第1接合磁性層141を配置する。第1接合磁性層141は軟磁性物質(soft magnetic material)を含む。また、第1接合磁性層141は低いダンピング定数(damping constant)及び高いスピン分極率(spin polarization ratio)を有する。例えば、第1接合磁性層141はコバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含む。第1接合磁性層141は例えば、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及び/又はニッケル(Ni)原子を含む。第1接合磁性層141はホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中から選択される少なくとも1つを更に含む。具体的に、第1接合磁性層141はCoFe又はNiFeを含み、ホウ素(B)を更に含む。これに加えて、第1接合磁性層141の飽和磁化量を低めるため、第1接合磁性層141はチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、タンタル(Ta)、及びシリコン(Si)の中から選択された少なくとも1つを更に含むことができる。
【0027】
第1接合磁性層141と第1垂直磁性層123との間の第1非磁性層130によってこれらを含む磁気メモリセルの垂直磁気異方性は向上する。例えば、第1非磁性層130によって第1接合磁性層141は第1垂直磁性層123と反強磁性的に、又は強磁性的に強く交換結合する。第1垂直磁性層123は高い垂直磁気異方性を有するので、第1垂直磁性層123と交換結合した第1接合磁性層141の垂直磁気異方性も向上する。本明細書において、垂直磁気異方性は基板100の平面に垂直な方向に磁化されようとする性質として定義する。本明細書で用いる“垂直の(Vertical)”は基板100の表面に対して垂直な方向として言及する。
【0028】
また、第1非磁性層130によって、第1接合磁性層141の結晶構造は第1垂直磁性層123の結晶構造と異なる結晶構造を有する。これによって、磁気トンネル接合の磁気抵抗比はより向上する。これに対しては後述の第1接合磁性層141の形成方法で詳細に説明する。
【0029】
第1接合磁性層141上にトンネルバリア145を配置する。トンネルバリア145はスピン拡散長さ(spin diffusion distance)より薄い厚さを有する。トンネルバリア145は非磁性物質を含む。一実施形態において、トンネルバリア145は絶縁物質膜であり得る。例えば、トンネルバリア145は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛(MgZn)及び/又はマグネシウム−ホウ素(MgB)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、トンネルバリア145は酸化マグネシウム(MgO)膜であり得る。これと異なり、トンネルバリア145は複数の層を含むことができる。例えば、トンネルバリア145はマグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛(MgZn)及び/又はマグネシウム−ホウ素(MgB)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、トンネルバリア145は酸化マグネシウム(MgO)膜であり得る。
【0030】
トンネルバリア145と第1接合磁性層141は類似の結晶構造を有する。例えば、第1接合磁性層141は体心立方(body−centerd cubic:BCC)構造を有する磁性物質又は非磁性元素を含む体心立方構造を有する磁性物質を含む。第1接合磁性層141が非磁性元素を含む場合、磁性物質は非晶質化する。トンネルバリア145及び第1接合磁性層141は各々NaCl型結晶構造及び体心立方構造を有し、トンネルバリア145の001結晶面と第1接合磁性層141の001結晶面が互いに接して界面をなす。これによって、トンネルバリア145と第1接合磁性層141とを含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比は向上する。
【0031】
トンネルバリア145上に第2接合磁性層149を配置する。第2接合磁性層149は軟磁性物質を含む。例えば、第2接合磁性層149はコバルト(Co)、鉄(Fe)、及び/又はニッケル(Ni)原子を含み、原子の含量は第2接合磁性層149の飽和磁化量が低くなるように決める。第2接合磁性層149は低いダンピング定数及び高いスピン分極率を有する。このために、第2接合磁性層149はホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中から選択される少なくとも1つを更に含む。例えば、第2接合磁性層149はCoFe及び/又はNiFeを含み、ホウ素を更に含む。これに加えて、第2接合磁性層149はチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及びタンタル(Ta)を含む非磁性元素の中から選択された少なくとも1つを更に含むことができる。選択された非磁性元素の第2接合磁性層149内の含量は1〜15at.%であり得る。第2接合磁性層149が磁気メモリセルの自由層として用いられる場合、第2接合磁性層149の飽和磁化量は第1接合磁性層141の飽和磁化量より低く調節する。
【0032】
第2接合磁性層149とトンネルバリア145は類似の結晶構造を有する。例えば、トンネルバリア145及び第2接合磁性層149は各々NaCl型結晶構造及び体心立方構造を有し、トンネルバリア145の001結晶面と第2接合磁性層149の001結晶面が互いに接して界面をなす。これによって、第2接合磁性層149とトンネルバリア145とを含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比が向上する。
【0033】
一実施形態において、第2接合磁性層149内に含まれた強磁性原子の含量は第1接合磁性層141内に含まれた強磁性原子の含量と異なる。例えば、第1及び第2接合磁性層141、149はコバルト(Co)、ニッケル(Ni)、及び鉄(Fe)の中から選択された少なくとも1つを含み、第2接合磁性層149内の鉄(Fe)の含量が第1接合磁性層141内の鉄(Fe)の含量より高いか、又は少なくとも同一であり得る。この場合、第2接合磁性層149は自由層として作用する。
【0034】
第2接合磁性層149上に第2非磁性層150を配置する。第2非磁性層150は相対的に薄い厚さで形成される。例えば、第2非磁性層150は2Å〜20Åの厚さで形成される。第2非磁性層150はテクスチャーを有しない。例えば、第2非磁性層150は第2接合磁性層149上に均一に形成され、薄い厚さによりテクスチャーを有しない。
【0035】
第2非磁性層150は非磁性遷移金属を含む非磁性金属元素の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2非磁性層150は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0036】
一実施形態において、第2非磁性層150は複数の層で形成される。例えば、第2非磁性層150は第2接合磁性層149上に順に積層された第2下部金属化合物層153、第2非磁性金属層156、及び第2上部金属化合物層159を含む。
図1と異なり、第2非磁性層150は第2接合磁性層149上に順に積層された金属化合物層/非磁性金属層、又は非磁性金属層/金属化合物層を含むことができる。第2非磁性金属層156は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。第2下部及び上部金属化合物層153、159は金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物又はこれらの組み合わせであり得る。例えば、第2下部及び上部金属化合物層153、159は第2非磁性金属層156の化合物であり得る。第2下部及び上部金属化合物層153、159により第2非磁性金属層156内の金属原子が隣接した他の層に拡散することを防止、又は減少させることができる。これと異なり、第2非磁性層150は単一又は複数の金属層のみを含むこともできる。
【0037】
第2非磁性層150上に第2垂直磁性層163を配置する。一実施形態において、第2垂直磁性層163は交互に積層された非磁性層161と強磁性層162とを含む。強磁性層162は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含み、非磁性層161は、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、金(Au)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第2垂直磁性層163は[Co/Pt]n、[Co/Pd]n、[Ni/Pt]n(nは層の積層回数として、2以上の自然数)又はこれらの組み合わせを含む。強磁性層162は1つ〜数個の原子の厚さとして薄く形成する。第2非磁性層150によって第2垂直磁性層163と第2接合磁性層149との間の交換結合は強化する。これによって、第2接合磁性層149の垂直磁気異方性が向上する。
【0038】
第2垂直磁性層163の非磁性層161と強磁性層162との積層回数mは、第1垂直磁性層123の非磁性層121と強磁性層122の積層回数nと異なることができる。例えば、第2垂直磁性層163の非磁性層161及び強磁性層162の積層回数は第1垂直磁性層123の非磁性層121及び強磁性層122の積層回数より少ないことがある。この場合、第1垂直磁性層123と隣接した第1接合磁性層141は磁気メモリセルの基準層(reference layer)として作用し、第2垂直磁性層163と隣接した第2接合磁性層149は磁気メモリセルの自由層(free layer)として作用する。これと異なり、第2垂直磁性層163の非磁性層161と強磁性層162の積層回数mは第1垂直磁性層123の非磁性層121と強磁性層122の積層回数nより大きいことがある。この場合、第2接合磁性層149が基準層として作用し、第1接合磁性層141が自由層として作用する。
【0039】
第1及び第2接合磁性層141、149は実行する機能により互いに異なる磁気的特性を有する。例えば、自由層として作用する接合磁性層が基準層として作用する接合磁性層より小さい飽和磁化量を有することができる。飽和磁化量は含まれる強磁性物質(Co、Ni、及び/又はFe)の割合及び/又は非磁性物質の割合によって調節することができる。
【0040】
第1接合磁性層141、トンネルバリア145、及び第2接合磁性層149は磁気メモリセルの磁気トンネル接合(Magnetic tunnel junction)を構成する。自由層と基準層の磁化方向が平行であるか、又は反平行であるかによる磁気トンネル接合の抵抗値の差を利用して磁気トンネル接合を含む磁気メモリセルにデータを貯蔵することができる。自由層の磁化方向は磁気メモリセルに供給される電流の方向により変わる。例えば、第1接合磁性層141から第2接合磁性層149へ電流が供給される場合の自由層の磁化方向は、第2接合磁性層149から第1接合磁性層141へ電流が供給される場合の磁化方向と互いに反平行であり得る。基準層及び自由層の磁化方向は基板100の平面に垂直であり得る。基準層は基板100の平面に垂直であり、固定された第1磁化方向を有する。自由層は基板100の平面に垂直な磁化方向を有し、自由層の磁化方向は電流が供給される方向によって第1磁化方向又は第1磁化方向に反平行な第2磁化方向であり得る。
【0041】
第2垂直磁性層163上にキャッピング層170を配置する。キャッピング層170は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、マグネシウム(Mg)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0042】
図2を参照して、本発明の第1実施形態の一変形例による磁気メモリ素子を説明する。説明の便宜のため、
図1で説明した構成要素と実質的に同一の構成要素に対する説明は省略する。
【0043】
基板100上に下部電極110を配置する。下部電極110上にシード層115及び第1垂直磁性層124を配置する。
【0044】
シード層115は稠密六方格子(HCP)を構成する金属原子を含む。シード層115は10Å〜100Åで形成される。シード層115はルテニウム(Ru)又はチタン(Ti)を含む。これと異なり、シード層115は面心立方格子(FCC)を構成する金属原子を含むこともできる。例えば、シード層115は白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、及び/又はアルミニウム(Al)を含むことができる。シード層115は単一の層又は互いに異なる結晶構造を有する複数の層を含むことができる。これと異なり、シード層115は第1垂直磁性層124を構成する物質が非晶質状態の場合、省略しても良い。
【0045】
第1垂直磁性層124の磁化方向は基板100の平面に実質的に垂直であり、変動可能である。このために、第1垂直磁性層124はL10結晶構造を有する物質、稠密六方格子を有する物質、及び非晶質RE−TM(Rare−Earth Transition Metal)合金の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1垂直磁性層124はFe
50Pt
50、Fe
50Pd
50、Co
50Pt
50、Co
50Pd
50、及びFe
50Ni
50を含むL10結晶構造を有する物質の中から選択された少なくとも1つであり得る。これと異なり、第1垂直磁性層124は稠密六方格子を有する10〜45at.%の白金(Pt)含量を有するコバルト−白金(CoPt)無秩序合金(disordered alloy)又はCo
3Pt秩序合金(ordered alloy)を含むことができる。これと異なり、第1垂直磁性層124は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つと希土類金属であるテルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)及びガドリニウム(Gd)の中から選択された少なくとも1つを含む非晶質RE−TM合金の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0046】
第1垂直磁性層124上に第1非磁性層130を配置する。第1非磁性層130は薄い厚さで形成される。例えば、第1非磁性層130は2Å〜20Åの厚さで形成される。第1非磁性層130はテクスチャーを有しない。例えば、第1非磁性層130は第1垂直磁性層124上に均一に形成され、薄い厚さによってテクスチャーを有しない。
【0047】
第1非磁性層130は非磁性遷移金属を含む非磁性金属元素の中から選択された少なくとも1つを含む。一実施形態において、第1非磁性層130は複数の層で形成される。例えば、第1非磁性層130は垂直磁性層124上に順に積層された第1下部金属化合物層133、第1非磁性金属層136、及び第1上部金属化合物層139を含む。
図2と異なり、第1非磁性層130は第1垂直磁性層124上に順に積層された金属化合物層/非磁性金属層又は非磁性金属層/金属化合物層を含むことができる。非磁性金属層は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。第1下部及び上部金属化合物層133、139は金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物又はこれらの組み合わせであり得る。例えば、金属化合物層は金属層の化合物であり得る。これと異なり、第1非磁性層130は単一又は複数の金属層のみを含むこともできる。
【0048】
第1非磁性層130上に第1接合磁性層141、トンネルバリア145、及び第2接合磁性層149を順に積層する。第1接合磁性層141、トンネルバリア145、及び第2接合磁性層149は磁気トンネル接合を構成する。第1接合磁性層141は第1非磁性層130によって第1垂直磁性層124と強く交換結合する。これによって、第1接合磁性層141の垂直磁気異方性は向上する。第1接合磁性層141及び第2接合磁性層149は軟磁性物質を含む。磁気メモリセルの動作中、第1接合磁性層141及び第2接合磁性層149の中のいずれか1つは基準層として機能し、他の1つは自由層として機能する。自由層として機能する接合磁性層は基準層として機能する接合層より低い飽和磁化量を有する。
【0049】
第2接合磁性層149上に第2非磁性層150を配置する。第2非磁性層150は薄い厚さで形成される。例えば、第2非磁性層150は2Å〜20Åの厚さで形成される。第2非磁性層150はテクスチャーを有しない。例えば、第2非磁性層150は第2接合磁性層149上に均一に形成され、薄い厚さによってテクスチャーを有しない。
【0050】
第2非磁性層150上に第2垂直磁性層163を配置する。第2垂直磁性層163は基板100の平面に垂直な磁化方向を有するように構成される。例えば、第2垂直磁性層163は交互に積層された非磁性層161及び強磁性層162を含み、強磁性層162は1つ〜数個の原子の厚さで形成される。これによって、強磁性層162の磁化方向は基板100の平面に垂直であり得る。第2垂直磁性層163は第2非磁性層150によって第2接合磁性層149と交換結合する。
【0051】
第2垂直磁性層163上にキャッピング層170を形成する。キャッピング層170は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、マグネシウム(Mg)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0052】
図3を参照して、本発明の第1実施形態の他の変形例による磁気メモリ素子を説明する。基板100及び下部電極110上にシード層115及び第1垂直磁性層124を順に積層する。シード層115は単一又は複数の金属膜を含む。第1垂直磁性層124は基板100の平面に垂直な磁化容易軸を有する物質を含む。第1垂直磁性層124はL10結晶構造を有する物質、稠密六方格子を有する物質、及び非晶質RE−TM合金の中から選択された少なくとも1つを含む。第1垂直磁性層124が非晶質RE−TM合金を含む場合、シード層115は省略可能である。
【0053】
第1垂直磁性層124上に第1非磁性層130を配置する。第1非磁性層130は薄い厚さで形成される。例えば、第1非磁性層130は2Å〜20Åの厚さで形成される。第1非磁性層130はテクスチャーを有しない。
【0054】
第1非磁性層130は非磁性遷移金属を含む非磁性金属元素の中から選択された少なくとも1つを含む。一実施形態において、第1非磁性層130は複数の層で形成される。例えば、第1非磁性層130は垂直磁性層124上に順に積層された第1下部金属化合物層133、第1非磁性金属層136、及び第1上部金属化合物層139を含む。
図3と異なり、第1非磁性層130は第1垂直磁性層124上に順に積層された金属化合物層/非磁性金属層、又は非磁性金属層/金属化合物層を含むことができる。これと異なり、第1非磁性層130は単一又は複数の金属層のみを含むこともできる。第1非磁性層130は第1垂直磁性層123及び第1接合磁性層141を交換結合させる。
【0055】
第1非磁性層130上に第1接合磁性層141、トンネルバリア145、及び第2接合磁性層149を順に積層する。第1接合磁性層141及び第2接合磁性層149は軟磁性物質を含む。磁気メモリセルの動作中、第1接合磁性層141及び第2接合磁性層149の中のいずれか1つは基準層として機能し、他の1つは自由層として機能する。自由層として機能する接合磁性層は基準層として機能する接合層より低い飽和磁化量を有する。
【0056】
第2接合磁性層149上に第2非磁性層150を配置する。第2非磁性層150は薄い厚さで形成される。例えば、第2非磁性層150は2Å〜20Åの厚さで形成される。第2非磁性層150はテクスチャーを有しない。
【0057】
第2非磁性層150上に第2垂直磁性層164を配置する。第2垂直磁性層164は磁気トンネル接合を構成する第1及び第2接合磁性層141、149の平面に垂直な磁化方向を有するように構成される(configured)。第2垂直磁性層164は第2非磁性層150によって第2接合磁性層149と交換結合する。例えば、第2垂直磁性層164は非晶質のRE−TM合金を含む。第2垂直磁性層164上にキャッピング層170を配置する。
【0058】
図4、
図5、
図6及び
図1を参照して本発明の第1実施形態による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。上述の
図1を参照して説明した部分は一部省略する。
【0059】
図4を参照すると、基板100上に下部電極110を形成する。下部電極110は基板100上に及び/又は基板100内に形成される。
【0060】
下部電極110上に非磁性層121と強磁性層122を交互に積層する。非磁性層121及び強磁性層122の積層回数は2〜20回であり得る。強磁性層122は1つ〜数個の原子の厚さで形成される。非磁性層121と強磁性層122は第1垂直磁性層123を構成する。
【0061】
図5を参照すると、第1垂直磁性層123上に第1下部金属化合物層133を形成する。第1下部金属化合物層133は第1垂直磁性層123上に薄く金属膜を形成した後、金属膜を酸化及び/又は窒化して形成される。金属膜は金属、例えば遷移金属の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0062】
第1下部金属化合物層133上に第1非磁性金属層136を形成する。第1非磁性金属層136は非磁性金属、例えば非磁性遷移金属の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、第1非磁性金属層136及び第1下部金属化合物層133は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。第1非磁性金属層136は第1下部金属化合物層133と同一の金属を含む。
【0063】
図6を参照すると、第1非磁性金属層136上に第1上部金属化合物層139を形成する。第1上部金属化合物層139は第1非磁性金属層136の上部面を酸化、又は窒化して形成される。酸化又は窒化のために第1上部金属化合物層139の上部面上に少量の酸化ガス及び/又は窒化ガスを提供する。これと異なり、第1上部金属化合物層139は、第1非磁性金属層136上に別途の金属層を形成した後、これを酸化及び/又は窒化して形成するか、又は別途の金属化合物層を形成することも可能である。
【0064】
第1上部金属化合物層139上に第1接合磁性層141、トンネルバリア145、及び第2接合磁性層149を順に形成する。第1接合磁性層141及び第2接合磁性層149は軟磁性物質を含む。一実施形態において、第1接合磁性層141と第2接合磁性層149は互いに異なる飽和磁化量を有する物質を含む。第1及び第2接合磁性層141、149は非晶質状態に形成される。一実施形態において、第1接合磁性層141の最上部が酸化される工程を追加的に実行する。
【0065】
トンネルバリア145は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛(MgZn)及び/又はマグネシウム−ホウ素(MgB)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。これと異なり、トンネルバリア145は複数の層を含むことができる。複数の層を金属膜、金属酸化膜、金属窒化膜、及び金属酸窒化膜の中から選択された少なくとも2つ以上の膜であり得る。トンネルバリア145は所定の結晶構造、例えば、NaCl型結晶構造を有する。
【0066】
トンネルバリア145上に第2接合磁性層149を形成する。第2接合磁性層149が磁気メモリセルの自由層として用いられる場合、第2接合磁性層149は第1接合磁性層141より低い飽和磁化量を有する。また、第2接合磁性層149の鉄(Fe)含量は第1接合磁性層141より大きいか、又は少なくとも同一であり得る。
【0067】
第2接合磁性層149の上部面は酸化及び/又は窒化される。これによって、第2接合磁性層149の最上部内に予備下部金属化合物層152を形成する。第2接合磁性層149の上部面は第1非磁性金属層136の上部面と同一の方法で酸化及び/又は窒化される。これと異なり、第2接合磁性層149の酸化及び/又は窒化工程は省略可能である。
【0068】
第2接合磁性層149及び予備下部金属化合物層152上に第2非磁性金属層156を形成する。第2非磁性金属層156は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、タンタル(Ta)、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、及びハフニウム(Hf)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0069】
再び
図1を参照すると、第2非磁性金属層156上に第2上部金属化合物層159を形成する。第2上部金属化合物層159は第2非磁性金属層156の上部面を酸化、又は窒化して形成される。酸化又は窒化のために第2上部金属化合物層159の上部面上には少量の酸化ガス及び/又は窒化ガスを提供する。これと異なり、第2上部金属化合物層159は第2非磁性金属層156上に別途の金属層を形成した後、これを酸化及び/又は窒化して形成するか、又は別途の金属化合物層を蒸着して形成することも可能である。
【0070】
第2上部金属化合物層159上に非磁性層161及び強磁性層162を交互に積層する。強磁性層162は1つ〜数個の原子の厚さで形成される。非磁性層161及び強磁性層162は第2垂直磁性層163を構成する。第2垂直磁性層163の非磁性層161及び強磁性層162の積層回数は第1垂直磁性層123の非磁性層121及び強磁性層122の積層回数と異なり得る。
【0071】
第2垂直磁性層163の形成以前及び/又は以後、アニーリング工程を実行する。アニーリング工程によって非晶質状態の第1及び第2接合磁性層141、149を、トンネルバリア145をシード層として結晶化する。アニーリング工程はマグネチックアニーリング工程又はその他のアニーリング工程であり得る。トンネルバリア145がシード層として作用することによって、トンネルバリア145及び第1及び第2接合磁性層141、149は類似の結晶構造を有する。また、第1及び第2接合磁性層141、149のトンネルバリア145の面と接する面はトンネルバリア145の面と同一の結晶面を有する。例えば、トンネルバリア145の上部面及び下部面がNaCl型結晶構造の001結晶面に該当する場合、第1及び第2接合層141、149のトンネルバリア145と接する面は体心立方構造の001結晶面であり得る。
【0072】
アニーリング時、第1及び第2非磁性層130、150は第1及び第2接合磁性層141、149がトンネルバリア145ではない他の層の結晶構造に沿って結晶化されることを防止する。例えば、第1及び第2非磁性層130、150が省略される場合、第1及び第2接合磁性層141、149の結晶化は第1及び第2垂直磁性層123、163に影響を受けることがある。この場合、第1及び第2接合磁性層141、149はトンネルバリア145と同一の結晶構造及び/又は結晶面を有することもできない。第1及び第2接合磁性層141、149がトンネルバリア145と異なる結晶構造及び/又は結晶面を有する場合、これらを含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比は顕著に減少する。しかし、本実施形態によって第1垂直磁性層123と第1接合磁性層141との間及び/又は第2垂直磁性層163と第2接合磁性層149との間に第1及び第2非磁性層130、150が介在する場合、第1及び第2垂直磁性層123、163は第1及び第2接合磁性層141、149の結晶化のシード層として作用しない。これによって、第1及び第2接合磁性層141、149の結晶構造をトンネルバリア145の結晶構造に配向できる。従って、これらを含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比は向上する。
【0073】
第2垂直磁性層163上にキャッピング層170を形成する。キャッピング層170は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、マグネシウム(Mg)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0074】
第1垂直磁性層123、第1非磁性層130、第1接合磁性層141、トンネルバリア145、第2接合磁性層149、第2非磁性層150、第2垂直磁性層163、及びキャッピング層170をパターニングする。パターニングはフォトリソグラフィ及び/又は電子ビームパターニングを含む多様なパターニング工程の中から選択された少なくとも1つによって実行する。パターニングは全ての膜が形成された後に実行するか、又は一部の膜を形成した後に実行することもできる。一部の膜のみに対してパターニングを実行した場合、残りの膜を形成した後、追加的にパターニングを実行する。
【0075】
図2を参照して、本発明の第1実施形態の一変形例による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。上述の
図1を参照して説明した構成要素の形成方法に対する説明は省略する。
【0076】
基板100上にシード層115を形成する。シード層115は単一又は複数の金属膜を含む。シード層115は所定の結晶構造を有する金属膜を含む。例えば、シード層115は体心立方格子(BCC)、面心立方格子(FCC)、及び稠密六方格子(HCP)の中から選択された1つ以上の結晶構造を有する。
【0077】
シード層115上に第1垂直磁性層124を形成する。第1垂直磁性層124はシード層115をシードとして用いて蒸着される。シード層115をシードとして蒸着される第1垂直磁性層124は稠密六方格子又はL10結晶構造を有する。第1垂直磁性層124を非晶質のRE−TM合金で形成する場合、シード層115は省略可能である。
【0078】
図3を参照して、本発明の第1実施形態の他の変形例による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。上述の
図1及び
図2を参照して説明した構成要素の形成方法の説明は省略する。
【0079】
第2非磁性層150上に第2垂直磁性層164を形成する。第2垂直磁性層164は例えば、非晶質RE−TM合金を含む。
図3と異なり、第2垂直磁性層164は複数の強磁性層を含むことができる。強磁性層の間には非磁性金属層を介在することもできる。第2垂直磁性層164は垂直磁化方向を有する強磁性物質層の範囲内で多様な形態に変形可能である。
【0080】
<第2実施形態>
図7を参照して、本発明の第2実施形態による磁気メモリ素子を説明する。基板200上に下部電極210を配置する。基板200は半導体基盤の半導体基板であり得る。基板200は導電領域及び絶縁領域を含む。下部電極210を基板200の導電領域と電気的に連結する。下部電極210は基板200上及び/又は基板200内に配置される。下部電極210はライン形、島形、及び平板形で構成されるグループの中から選択されたいずれかを有する。
【0081】
下部電極210上に固定層226(pinning layer)を配置する。固定層226は反強磁性物質を含む。例えば、固定層226は、PtMn、IrMn、FeMn、NiMn、MnO、MnS、MnTe、MnF
2、FeF
2、FeCl
2、FeO、CoCl
2、CoO、NiCl
2、NiO、及びCrの中から選択された少なくとも1つを含む。固定層226は隣接した磁性層の磁化方向を一方向に固定させる。
【0082】
固定層226上に下部基準層227を提供する。下部基準層227は強磁性物質を含む。例えば、下部基準層227は、CoFeB、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CoFe、NiFe、MnAs、MnBi、MnSb、CrO
2、MnOFe
2O
3、FeOFe
2O
3、NiOFe
2O
3、CuOFe
2O
3、EuO、及びY
3Fe
5O
12の中から選択された少なくとも1つを含む。下部基準層227の磁化方向は固定層226によって一方向に固定される。一方向は基板200の平面に平行な方向の中から選択できる。他の例として、下部基準層227はL10結晶構造を有する物質、稠密六方格子を有する物質、及び非晶質RE−TM合金の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。この場合、下部基準層227の磁化方向は基板200の平面に垂直であり得る。
【0083】
下部基準層227上に基準交換結合層228を配置する。基準交換結合層228はルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、及びロジウム(Rh)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0084】
基準交換結合層228上に上部基準層241を形成する。上部基準層241は鉄(Fe)を含むことができる。上部基準層241はコバルト(Co)及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。上部基準層241は、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中で少なくとも1つを更に含むことができる。上部基準層241は基準交換結合層228によって下部基準層227と交換結合する。
【0085】
上部基準層241上にトンネルバリア245を形成する。トンネルバリア245は非磁性物質を含む。トンネルバリア245は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛(MgZn)及び/又はマグネシウム−ホウ素(MgB)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、トンネルバリア245は酸化マグネシウム(MgO)膜であり得る。これと異なり、トンネルバリア245は金属膜及び金属化合物膜を含む複数の層を含むことができる。
【0086】
トンネルバリア245及び上部基準層241は類似の結晶構造を有する。例えば、トンネルバリア245及び上部基準層241は各々NaCl型結晶構造及び体心立方構造を有する。トンネルバリア245と上部基準層241との間の界面は同一の結晶面で構成される。例えば、トンネルバリア245の001結晶面は上部基準層241の001結晶面で構成される。
【0087】
トンネルバリア245上に下部自由層249を配置する。下部自由層249は鉄(Fe)を含むことができる。下部自由層249は、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。下部自由層249は、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中で少なくとも1つを更に含むことができる。
【0088】
下部自由層249内の鉄(Fe)の含量は上部基準層241内の鉄(Fe)の含量より高いことがある。下部自由層249の高い鉄(Fe)の含量によって上部基準層241及び下部自由層249を含む磁気メモリセルの信頼性は向上する。磁気トンネル接合を構成する基準層と自由層において、基準層の鉄の含量が高い場合、このような磁気トンネル接合を含む磁気メモリセルは非正常的なスイッチング挙動を示すことがある。一例として、相対的に低い含量の鉄を含む自由層の磁化方向は基準層の磁化方向と平行な方向に維持することができない。これによって、磁気メモリセルを平行状態(自由層の磁化方向と基準層の磁化方向が平行な状態)にスイッチングする場合、自由層の磁化方向が非正常的に反転される。このような非正常的なスイッチング現象によって自由層を含む磁気メモリセルの信頼性は低下する。しかし、本実施形態によると、下部自由層249は上部基準層241に比較して高い鉄含量を有する。これによって、磁気メモリセルの平行状態へのスイッチング動作で下部自由層249の磁化方向は上部基準層241の磁化方向と平行な状態で安定的に維持される。即ち、下部自由層249の磁化方向が非正常的に反転されない。従って、下部自由層249を含む磁気メモリセルの信頼性が向上する。
【0089】
下部自由層249上に自由交換結合層265を配置する。自由交換結合層265は、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、及びロジウム(Rh)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0090】
自由交換結合層265上に上部自由層266を配置する。上部自由層266は強磁性物質を含む。例えば、上部自由層266は、CoFeB、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CoFe、NiFe、MnAs、MnBi、MnSb、CrO
2、MnOFe
2O
3、FeOFe
2O
3、NiOFe
2O
3、CuOFe
2O
3、EuO、及びY
3Fe
5O
12の中から選択された少なくとも1つを含む。磁気メモリセルの動作中、上部自由層266の磁化方向は基板200の平面に平行な第1方向又は第2方向に変わる。他の例として、上部自由層266は非晶質RE−TM合金の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。この場合、磁気メモリセルの動作中、上部自由層266の磁化方向は基板200の平面に垂直な第1方向又は第2方向に変わる。上部自由層266は自由交換結合層265によって下部自由層249と交換結合する。
【0091】
上部自由層266上にキャッピング層270を配置する。キャッピング層270は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0092】
図示した場合と異なり、下部及び上部自由層249、266と下部及び上部基準層227、241の位置は変更可能である。例えば、下部及び上部自由層249、266をトンネルバリア245下に配置し、下部及び上部基準層227、241はトンネルバリア245上に配置できる。この場合、下部電極210とトンネルバリア245との間に上部自由層266、自由交換結合層265、及び下部自由層249を順に積層し、トンネルバリア245とキャッピング層270との間に上部基準層241、基準交換結合層228、及び下部基準層227を順に積層する。
【0093】
図8を参照して、本発明の第2実施形態の変形例による磁気メモリ素子を説明する。
図7を参照して説明した構成要素に対する説明は省略する。
【0094】
下部電極210上に垂直下部基準層223を配置する。垂直下部基準層223は交互に積層された非磁性層221と強磁性層222とを含む。強磁性層222は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含み、非磁性層121はクロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、金(Au)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、垂直下部基準層223は[Co/Pt]m、[Co/Pd]m、又は[Ni/Pt]m(mは層の積層回数として、2以上の自然数)を含む。一実施形態において、非磁性層221及び強磁性層222は各々2〜20回積層される。垂直下部基準層223は基板200及び垂直下部基準層223の平面に垂直な方向に電流が流れる場合、電流と平行な方向の磁化方向を有するように構成される(configured)。このために、強磁性層222は1つ〜数個の原子層の厚さで薄く形成される。
【0095】
下部自由層249上に垂直上部自由層263を配置する。垂直上部自由層263は交互に積層された非磁性層261と強磁性層262とを含む。強磁性層262は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含み、非磁性層261は、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、金(Au)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、垂直上部自由層263は[Co/Pt]n、[Co/Pd]n、及び/又は[Ni/Pt]n(nは層の積層回数として、2以上の自然数)を含む。一実施形態において、非磁性層261及び強磁性層262は各々2〜20回積層される。垂直上部自由層263内の非磁性層261と強磁性層262の積層回数nは垂直下部基準層223内の非磁性層221と強磁性層222の積層回数mより小さいことがある。
【0096】
再び
図7を参照して、本発明の第2実施形態による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。基板200上に下部電極210が形成される。下部電極210は基板200上及び/又は基板200内に形成される。
【0097】
下部電極210上に固定層226を形成する。固定層226は反強磁性物質を含む。一実施形態において、固定層226を取り替えてシード層を形成することができる。シード層は所定の結晶構造を有する金属又は金属合金を含む。
【0098】
固定層226上に下部基準層227を形成する。下部基準層227は強磁性物質を含む。例えば、下部基準層227は、CoFeB、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CoFe、NiFe、MnAs、MnBi、MnSb、CrO
2、MnOFe
2O
3、FeOFe
2O
3、NiOFe
2O
3、CuOFe
2O
3、EuO、及びY
3Fe
5O
12の中から選択された少なくとも1つを含む。他の例として、下部基準層227はL10結晶構造を有する物質、稠密六方格子を有する物質、及びRE−TM合金の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0099】
下部基準層227上に基準交換結合層228を形成する。基準交換結合層228は、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、及びロジウム(Rh)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0100】
基準交換結合層228上に上部基準層241、トンネルバリア245、及び下部自由層249を形成する。上部基準層241及び下部自由層249は非晶質状態に形成され、トンネルバリア245はNaCl型の結晶状態に形成される。上部基準層241及び下部自由層249の結晶構造は以後のアニーリング工程によってトンネルバリア245の結晶構造に沿って配向される。
【0101】
下部自由層249上に自由交換結合層265を形成する。自由交換結合層265は、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、クロム(Cr)、及びロジウム(Rh)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0102】
自由交換結合層265上に上部自由層266を形成する。上部自由層266は強磁性物質を含む。上部自由層266上にキャッピング層270を形成する。
【0103】
下部電極210上に積層された層をパターニングする。パターニングはフォトリソグラフィ及び電子ビームを含む多様なパターニング工程の中から選択された少なくとも1つによって実行する。パターニングは全ての膜が形成された後に実行するか、又は一部の膜を形成した後に実行することもできる。一部の膜のみに対してパターニングを実行した場合、残りの膜を形成した後、追加的にパターニングを実行することができる。
【0104】
図8を参照して、本発明の第2実施形態の変形例による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。上述の
図7で説明した構成要素の形成方法に関する説明は省略する。
【0105】
下部電極210上に非磁性層221及び強磁性層222を交互に積層する。強磁性層222は1つ〜数個の原子の厚さで蒸着される。下部電極210上に形成された非磁性層221及び強磁性層222は垂直下部基準層223を構成する。
【0106】
下部自由層249上に非磁性層261及び強磁性層262を交互に積層する。強磁性層262は1つ〜数個の原子の厚さで形成される。下部自由層249上に形成された非磁性層221及び強磁性層222は垂直上部自由層263を構成する。
【0107】
垂直下部基準層223の非磁性層221及び強磁性層222の積層回数は垂直上部自由層262の非磁性層261及び強磁性層262の積層回数より多いことがある。
【0108】
<第3実施形態>
図9を参照して、本発明の第3実施形態による磁気メモリ素子を説明する。基板310上に下部電極320を配置する。基板310は半導体元素基盤の基板及び金属化合物基盤の基板を含む多様な基板の中から選択されたいずれかであり得る。基板310は導電領域及び絶縁領域を含む。下部電極320は基板310上に配置される。これと異なり、基板310内に含むこともできる。下部電極320は電極又は電極コンタクトであり得る。下部電極320は基板310内の導電領域と電気的に連結される。例えば、下部電極320は基板100内に含まれたトランジスタ及びダイオードを含むスイッチング素子の中の少なくとも1つと電気的に連結される。
【0109】
基板310上にシード層(seed layer)330を配置する。シード層330は稠密六方格子(Hexagonal Closed−Packing、HCP)を構成する金属原子を含む。稠密六方格子は
図11に示すように、3つのa軸と、a軸と共に六角形の平面を構成する3つのb軸、そして六角形の平面に実質的に垂直なc軸を含む格子であり得る。a軸及びb軸によって構成される六角形の平面は基板310の平面に実質的に平行であり、c軸は基板310の平面に実質的に垂直であり得る。即ち、シード層330を構成する結晶構造の<0001>結晶面は基板310の平面に平行であり得る。シード層330は薄い厚さで形成される。例えば、シード層330は10Å〜100Åで形成される。シード層330はルテニウム(Ru)又はチタン(Ti)を含む。これと異なり、シード層330は面心立方格子(Face Centered Cubic、FCC)を構成する金属原子を含むこともできる。例えば、シード層330は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、及び/又はアルミニウム(Al)を含む。
【0110】
シード層330上に自由磁性体340を配置する。自由磁性体340はシード層330と接する垂直自由磁性層342と垂直自由磁性層342上の接合自由磁性層348を含む。図示した場合と異なり、垂直自由磁性層342と接合自由磁性層348は複数の層を含むこともできる。
【0111】
垂直自由磁性層342は強磁性物質を含む。垂直自由磁性層342に含まれる原子は稠密六方格子を構成する。垂直自由磁性層342の稠密六方格子は
図11に示すように、a軸、b軸、及びc軸で構成される。垂直自由磁性層342を構成する稠密六方格子のc軸は基板310の平面に実質的に垂直であり得る。言い換えれば、垂直自由磁性層342を構成する稠密六方格子の<0001>面は基板310の平面に平行であり得る。垂直自由磁性層342の磁化容易軸はc軸であり得る。これによって、垂直自由磁性層342の磁化方向は基板310に対して垂直であり得る。即ち、垂直自由磁性層342は基板310の平面に垂直な方向の磁気異方性を有する。
【0112】
垂直自由磁性層342の強磁性の特徴と格子構造は垂直自由磁性層342を構成する原子の種類及び/又は原子の含量に起因する。
【0113】
一実施形態において、垂直自由磁性層342は10〜45at.%の白金原子の含量を有するコバルト−白金(CoPt)無秩序合金(disordered alloy)を含む。垂直自由磁性層342内の白金原子の含量は、例えば、20〜30at.%であり得る。垂直自由磁性層342は非磁性物質を更に含む。例えば、垂直自由磁性層342は、ホウ素(B)、クロム(Cr)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを更に含む。
【0114】
他の実施形態において、垂直自由磁性層342は秩序合金であるCo
3Ptを含むことができる。垂直自由磁性層342は非磁性物質を更に含むことができる。例えば、垂直自由磁性層342は、ホウ素(B)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを更に含むことができる。
【0115】
また他の実施形態において、垂直自由磁性層342は複層で形成することができる。この場合、垂直自由磁性層342はシード層330上に順に積層された稠密六方格子を有する第1自由強磁性層と第1自由強磁性層上の第2自由強磁性層とを含む。第1自由強磁性層は上述の垂直自由磁性層342の実施形態の中から選択された1つであり、第2自由強磁性層は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つと希土類金属の中から選択された少なくとも1つとを含む合金であり得る。例えば、希土類金属はトオビュム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、及びガドリニウム(Gd)の中から選択された少なくとも1つであり得る。これと異なり、第2自由強磁性層はFe
50Pt
50、Fe
50Pd
50、Co
50Pt
50、Co
50Pd
50、及びFe
50Ni
50を含むL1
0の結晶構造を有する強磁性物質の中から選択された少なくとも1つであり得る。
【0116】
垂直自由磁性層342の結晶構造、即ち、垂直自由磁性層342の稠密六方格子構造によって垂直自由磁性層342は高い垂直磁気異方性を有する。本明細書において、垂直磁気異方性は基板310の平面に対して垂直な方向の磁気異方性を意味する。高い垂直磁気異方性によって垂直自由磁性層342を含む磁気メモリ素子の信頼性が向上し、磁気メモリ素子の駆動電力が減少する。具体的に、垂直自由磁性層342を通過する電子の中、より多い電子のスピン方向は垂直自由磁性層342によって基板310の平面に垂直な方向に整列する。これによって、垂直自由磁性層342を通過する電子の中、より多い電子は磁気メモリ素子の書き込み動作に実質的に用いることができる。従って、磁気メモリ素子の信頼性が向上し、少ないスイッチング電流でも磁気メモリ素子を作動させることができる。
【0117】
垂直自由磁性層342上に下部交換結合調節層344を配置する。下部交換結合調節層344は交換結合定数が大きい磁性物質又は表面磁気異方性を増加させることができる非磁性物質を含む。例えば、下部交換結合調節層344は交換結合定数が大きい鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中の少なくとも1つを含む。この場合、下部交換結合調節層344は白金(Pt)を更に含むことができる。下部交換結合調節層344の厚さは2Å〜20Åであり得る。下部交換結合調節層344は垂直自由磁性層342と後述の接合自由磁性層348との間の交換結合を強化させる。垂直自由磁性層342は基板310の平面に対して垂直な方向に高い磁気異方性を有するので、垂直自由磁性層342と下部交換結合調節層344によって交換結合される接合自由磁性層348も基板310の平面に対して垂直な方向に高い磁気異方性を有する。
【0118】
他の例として、下部交換結合調節層344は遷移金属を含む金属元素の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。下部交換結合調節層344は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)を含む非磁性金属の中から選択された少なくとも1つを含む。これによって、下部交換結合調節層344は隣接した磁性層の表面の垂直磁気異方性を増加させることができる。
【0119】
一実施形態において、下部交換結合調節層344は下部交換結合調節層344の表面の酸化膜を更に含む。酸化膜は下部交換結合調節層344の表面を構成する物質の酸化物であり得る。
【0120】
下部交換結合調節層344上に接合自由磁性層348を配置する。接合自由磁性層348は下部交換結合調節層344及び/又は垂直自由磁性層342によって高い垂直異方性を有する。例えば、接合自由磁性層348は高い垂直異方性を有する垂直自由磁性層342と下部交換結合調節層344によって強く交換結合されることによって、高い垂直異方性を有する。他の例として、非磁性金属を含む下部交換結合調節層344によって接合自由磁性層348の表面の垂直磁気異方性を増加することができる。
【0121】
接合自由磁性層348は軟磁性物質(soft magnetic material)を含む。また、接合自由磁性層348は低いダンピング定数(damping constant)及び高いスピン分極率(spin polarization ratio)を有する。例えば、接合自由磁性層348は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)原子を含む。接合自由磁性層348は、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中で少なくとも1つを更に含むことができる。具体的に、接合自由磁性層348はCoFe及び/又はNiFeを含み、ホウ素を更に含むことができる。これに加えて、接合自由磁性層348の飽和磁化量を更に低めるため、接合自由磁性層348はチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、タンタル(Ta)、及びシリコン(Si)の中から選択された少なくとも1つを更に含むことができる。飽和磁化量の減少によって、接合自由磁性層348を含む磁気メモリセルのスイッチング電流が減少する。
【0122】
図示した場合と異なり、接合自由磁性層348は複数の磁性層を含むことができる。例えば、接合自由磁性層348は下部交換結合磁性層344上に順に積層された第1自由強磁性層、自由非磁性層、及び第2自由強磁性層、即ちSAF層(Synthetic Anti−Ferromagnet layer)を含むことができる。接合自由磁性層348は磁化方向が変更可能な多様な磁性層の形態を含むことができる。
【0123】
自由磁性体340を構成する複数の層の中の少なくとも一層の磁化方向は変動可能である。例えば、接合自由磁性層348は変動可能な磁化方向を有する。接合自由磁性層348の磁化方向は接合自由磁性層348の外部から提供される電気及び/又は磁気的な要因によって基板310に垂直な第1方向又は第1方向に反平行な第2方向に変わる。
【0124】
自由磁性体340上にトンネルバリア350を配置する。トンネルバリア350はスピン拡散長さ(spin diffusion distance)より薄い厚さを有する。トンネルバリア350は非磁性物質を含む。一実施形態において、トンネルバリア350は絶縁物質膜であり得る。例えば、トンネルバリア350は、マグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)、酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)、及び/又はマグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)を含む。
【0125】
トンネルバリア350上に基準磁性体360を形成する。基準磁性体360はトンネルバリア350上に順に積層された接合基準磁性層361、上部交換結合調節層362、及び垂直基準磁性層363を含む。垂直基準磁性層363上に複数の上部基準非磁性層364及び基準強磁性層365を交互に積層する。
【0126】
接合基準磁性層361は軟磁性物質を含む。例えば、接合基準磁性層361は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及び/又はニッケル(Ni)原子を含み、原子の含量は接合基準磁性層361の飽和磁化量が低くなるように決められる。接合基準磁性層361は低いダンピング定数及び高いスピン分極率を有する。このために、接合基準磁性層361は、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中で少なくとも1つを更に含む。例えば、接合基準磁性層361はCoFe及び/又はNiFeを含み、ホウ素を更に含む。これに加えて、接合基準磁性層361は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及びタンタル(Ta)を含む非磁性元素の中から選択された少なくとも1つを更に含むことができる。選択された非磁性元素の接合基準磁性層361内の含量は1〜15at.%であり得る。
【0127】
接合自由磁性層348、トンネルバリア350、及び接合基準磁性層361は磁気トンネル接合(Magnetic tunnel junction)を構成する。本実施形態による磁気メモリセルは磁気トンネル接合を構成する2つの磁性体、即ち、接合自由磁性層348及び接合基準磁性層361の磁化方向が平行であるか、又は反平行であるかによる抵抗値の差を利用してデータを貯蔵することができる。具体的に、磁気トンネル接合を通過する電子の方向によって、接合自由磁性層348の磁化方向は変わる。
【0128】
例えば、接合自由磁性層348から接合基準磁性層361方向に電子が移動する場合、接合基準磁性層361と同一の磁化方向の第1方向のスピンを有する電子は接合基準磁性層361を通過(transmission)し、接合基準磁性層361の磁化方向と反対方向の第2方向のスピンを有する電子は接合基準磁性層361を通過することができず、反射(reflection)されて接合自由磁性層348に再び伝達される。第2方向のスピンを有する電子によって接合自由磁性層348の磁化方向は第2方向になる。これによって、接合基準磁性層361と接合自由磁性層348は互いに反対の反平行な磁化方向を有する。互いに反平行な磁化方向を有する磁性体によって構成される磁気トンネル接合は相対的に高い抵抗を有する。本実施形態において、第1方向と第2方向は基板310の平面に実質的に垂直な方向であり得る。
【0129】
他の例として、接合基準磁性層361から接合自由磁性層348に電子が移動する場合、接合基準磁性層361を通過する第1方向のスピンを有する電子が接合自由磁性層348に到逹する。接合自由磁性層348に到逹した第1方向のスピンを有する電子によって接合自由磁性層348の磁化方向は第1方向に変わる。これによって、接合基準磁性層361及び接合自由磁性層348は第1方向の磁化方向を有する。互いに平行な磁化方向を有する磁性体によって構成される磁気トンネル接合は相対的に低い抵抗を有する。
【0130】
このように、磁気トンネル接合を流れる電子の方向に沿って磁気トンネル接合の抵抗値が変わる。抵抗値の差を利用して磁気メモリセルにデータを貯蔵することができる。
【0131】
接合基準磁性層361上に上部交換結合調節層362を配置する。上部交換結合調節層362は交換結合定数が大きい物質、例えば強磁性金属を含むか、又は隣接した磁性体の配向性を調節することができる物質、例えば非磁性金属を含む。例えば、上部交換結合調節層362は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含む。他の例として、上部交換結合調節層362は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。一実施形態において、上部交換結合調節層362は上部交換結合調節層362表面上の酸化膜を更に含む。酸化膜は上部交換結合調節層362の一部が酸化されて形成された膜であり得る。上部交換結合調節層362の機能及び構成は下部交換結合調節層344と実質的に同一であり得る。
【0132】
上部交換結合調節層362上に垂直基準磁性層363を配置する。垂直基準磁性層363は強磁性物質を含む。垂直基準磁性層363を構成する原子は基板310の平面に実質的に垂直な方向の磁化容易軸を有する結晶構造を構成する。例えば、垂直基準磁性層363は稠密六方格子を有するコバルト(Co)及び/又は白金(Pt)の秩序合金又は無秩序合金を含み、稠密六方格子のc軸が基板310の平面に垂直であり得る。これによって、垂直基準磁性層363の垂直異方性は大きく向上する。垂直基準磁性層363は、ホウ素(B)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを更に含む。
【0133】
上部交換結合調節層363上に上部基準磁性層を配置する。上部基準磁性層は交互に繰り返して積層された上部基準非磁性層364と基準強磁性層365とを含む。上部基準非磁性層364は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含み、基準強磁性層365は、クロム(Cr)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、金(Au)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、上部基準磁性層は[Co/Pb]n、[Co/Pt]n、又は[Ni/Pt]n(nは2以上の自然数)を含む。上部基準非磁性層364及び基準強磁性層365の積層回数は2回〜11回であり得る。基準強磁性層365は非常に薄い厚さで形成される。例えば、基準強磁性層365は原子層の厚さで形成される。これによって、基準強磁性層365の磁化方向は基板310の平面に垂直であり得る。
【0134】
上部基準磁性層は他の形態でも配置できる。例えば、上部基準磁性層は垂直基準磁性層363上に順に積層された第1基準強磁性層、基準非磁性層、及び第2基準強磁性層、即ち、SAF層(Synthetic Anti−Ferromagnet layer)を含むことができる。
【0135】
上部基準磁性層上にキャッピング層370を配置する。キャッピング層370は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0136】
図9及び
図10を参照して、本発明の第3実施形態による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。上述の
図9を参照して説明した内容は省略する。
【0137】
図10を参照すると、基板310上に下部電極320を形成する。下部電極320は金属又は金属化合物を含む。
【0138】
下部電極320上にシード層330を形成する。シード層330は稠密六方格子又は面心立方格子を有する金属を含む。例えば、シード層330は、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)の中から選択された少なくとも1つを含む。シード層330は比較的薄い厚さで形成される。例えば、シード層330は2Å〜20Åの厚さで形成される。
【0139】
シード層330上に垂直自由磁性層342を形成する。垂直自由磁性層342の結晶構造はシード層330の結晶構造に沿って配向される。例えば、垂直自由磁性層342はシード層330の結晶構造と同一の稠密六方格子で形成される。垂直自由磁性層342はコバルト(Co)及び/又は白金(Pt)を含む。垂直自由磁性層342はコバルト(Co)及び白金(Pt)の秩序合金又は無秩序合金を含む。
【0140】
シード層330をシードとして成長される垂直自由磁性層342は比較的低温の工程を通じて形成することができる。例えば、シード層330をシードとして形成される垂直自由磁性層342は常温で蒸着できる。
【0141】
磁性体の磁化方向が基板に垂直な磁気メモリ素子の場合、垂直異方性が大きい結晶構造の磁性体、例えばL1
0秩序合金で構成された強磁性体が用いられる。L1
0秩序合金の強磁性体を形成するために面心立方格子を有するクロム(Cr)シード層と体心立方格子を有する白金(Pt)シード層とを含む複層のシード層を要求する。複層のシード層は単一シード層に比較して厚く形成される。従って、シード層を含む素子の大きさが増加する。また、シード層のパターニング工程中、シード層のエッチング副産物によって他の磁性層及び/又は絶縁層が汚染されることがある。特に、シード層のエッチング副産物によって後述のトンネルバリアが汚染される場合、トンネルバリアにショーティング現象が発生してメモリの機能が低下する。これに加えて、L1
0秩序合金は400℃以上の高温蒸着工程及び/又は600℃以上の高温のアニーリング工程によって形成される。
【0142】
これと異なり、本実施形態によって稠密六方格子の垂直自由磁性層342を形成する場合、シード層330は単一層で形成される。これによって、シード層330の厚さを複層のシード層に比較して薄くできる。また、垂直自由磁性層342の結晶構造はシード層330に対する依存性が大きい。これによって、本実施形態による垂直自由磁性層342は低い工程温度でもシード層330の結晶構造に沿って配向することができる。即ち、高温の蒸着工程又は高温のアニーリング工程が必須ではない。
【0143】
垂直自由磁性層342上に下部交換結合調節層344を形成する。下部交換結合調節層344は交換結合定数が大きい強磁性金属、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)を含む金属の中から選択された少なくとも1つを含む。これと異なり、下部交換結合調節層344は隣接した磁性体の表面磁気異方性を増加させるか、又は下部交換結合調節層344上に形成される磁性体の結晶配向性を調節することができる非磁性物質を含むことができる。例えば、下部交換結合調節層344は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)の中の少なくとも1つを含む。一実施形態において、下部交換結合調節層344の表面は酸化される。酸化のための工程は下部交換結合調節層344の形成以前、垂直自由磁性層342が形成された結果物がローディングされたチャンバ内に極少量の酸素を注入するか、又は下部交換結合調節層344を原子層の厚さに成膜した後、チャンバ内に極少量の酸素を注入して酸化膜を形成した後、残りの下部交換結合調節層344を成膜する。
【0144】
下部交換結合調節層344上に接合自由磁性層348を形成する。接合自由磁性層348の垂直異方性は垂直自由磁性層342及び/又は下部交換結合調節層344によって向上する。具体的に、下部交換結合調節層344の結晶構造によって接合自由磁性層348が垂直自由磁性層342の結晶構造に沿って結晶化することを防止、又は減少させる。例えば、下部交換結合調節層344が省略される場合、非晶質状態で形成された接合自由磁性層348が熱工程によって垂直自由磁性層342の結晶構造に沿って結晶化することがある。この場合、接合自由磁性層348の結晶構造は垂直自由磁性層342の結晶構造、即ち体心立方構造の001結晶面ではなく、011結晶面によって配向されて接合自由磁性層348を含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比が減少する。しかし、本実施形態によると、下部交換結合調節層344によって垂直自由磁性層342と接合自由磁性層348が離隔されるので、接合自由磁性層348の結晶構造が垂直自由磁性層342の結晶構造に沿って配向されない。これによって、磁気トンネル接合の磁気抵抗比が向上する。
【0145】
再び
図9を参照すると、接合自由磁性層348上にトンネルバリア350を形成する。トンネルバリア350は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛(MgZn)及び/又はマグネシウム−ホウ素(MgB)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。例えば、トンネルバリア350は酸化マグネシウム(MgO)膜であり得る。これと異なり、トンネルバリア350は複数の層を含むことができる。例えば、トンネルバリア350はマグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)、酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)、及び/又はマグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)を含むことができる。トンネルバリア350は接合自由磁性層348上に金属酸化物又は金属窒化物を蒸着するか、又は接合自由磁性層348上に金属膜を形成した後、金属膜を酸化させることによって形成する。一実施形態において、トンネルバリア350は所定の結晶構造を有する。例えば、トンネルバリア350はNaCl結晶構造(面心立方格子構造)を有する。
【0146】
トンネルバリア350上に接合基準磁性層361を形成する。接合基準磁性層361は相対的に低い飽和磁化量を有する。接合基準磁性層361は軟磁性物質を含む。接合基準磁性層361は非磁性物質を更に含む。接合基準磁性層361は接合自由磁性層348と同一の磁気的性質を有する。これと異なり、接合基準磁性層361は接合自由磁性層348と異なる磁気的性質を有することができる。例えば、接合基準磁性層361の厚さ及び接合基準磁性層361の飽和磁化量の積は、接合自由磁性層348の厚さ及び接合自由磁性層348の飽和磁化量の積より大きいことがある。
【0147】
接合基準磁性層361の結晶構造はトンネルバリア350に沿って配向される。例えば、トンネルバリア350の001結晶面が基板310の平面に平行なNaCl面心立方格子構造を有する酸化マグネシウム(MgO)で形成される場合、接合基準磁性層361はトンネルバリア350の結晶構造に沿って配向される。これによって、接合基準磁性層361の垂直磁気異方性は向上する。接合基準磁性層361の結晶化は熱工程によって実行することができる。
【0148】
接合基準磁性層361上に上部交換結合調節層362を形成する。一実施形態において、上部交換結合調節層362は交換結合定数が大きい磁性物質を含む。これによって、垂直基準磁性層363と磁気の接合基準磁性層361との間の交換結合が増加し、接合基準磁性層361の垂直磁気異方性が増加する。また、上部交換結合調節層362がシード層として作用し、後述の垂直基準磁性層363の磁化容易軸は基板310の平面に垂直に配向される。一実施形態において、上部交換結合調節層362の表面は酸化される。酸化のための工程は上部交換結合調節層362の形成前、上部接合基準磁性層361が形成された結果物がローディングされたチャンバ内に極少量の酸素を注入するか、又は上部交換結合調節層362を原子層の厚さに成膜した後、チャンバ内に極少量の酸素を注入して酸化膜を形成した後、残りの交換結合調節層362を成膜する。
【0149】
上部交換結合調節層362上に垂直基準磁性層363を形成する。垂直基準磁性層363は非晶質状態の強磁性膜であり得る。例えば、垂直基準磁性層363はコバルト(Co)及び/又は白金(Pt)合金の非晶質状態であり得る。垂直基準磁性層363は、ホウ素(B)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0150】
垂直基準磁性層363上に上部基準磁性層を形成する。上部基準磁性層は上部基準非磁性層364と基準強磁性層365とを交互に複数回積層して形成される。基準強磁性層365は非常に薄い厚さで形成される。例えば、基準強磁性層365は原子層の厚さで形成される。
【0151】
上部基準磁性層は他の形態でも形成することができる。例えば、上部基準磁性層は垂直基準磁性層363上に順に積層された第1基準強磁性層、基準非磁性層、及び第2基準強磁性層、即ち、SAF層(Systhetic Anti−Ferromagnet layer)を含むことができる。
【0152】
上部基準非磁性層364と接合基準磁性層361との間に垂直基準磁性層363及び/又は上部交換結合調節層362が介在することによって接合基準磁性層361を含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比が向上する。具体的に、接合基準磁性層361上に上部基準非磁性層364を直接形成する場合、以後の熱工程の間に上部基準非磁性層364を構成する金属と基準磁性層361を構成する物質が反応して磁気特性を有しない膜を形成することがある。磁気特性を有しない膜によって磁気トンネル接合の磁気抵抗比が顕著に減少する。
【0153】
一実施形態において、接合基準磁性層361は垂直磁化特性のために所定の臨界厚さ以下に薄く形成することがある。この場合、接合基準磁性層361が上部基準非磁性層364との反応によって消耗して磁気抵抗比が減少する。一方、本実施形態によると、接合基準磁性層361と上部基準非磁性層364との間に垂直基準磁性層363及び/又は上部交換結合調節層362が形成されるので、磁気特性を有しない膜を形成しない。これによって、接合基準磁性層361も不必要に消耗しない。従って、接合基準磁性層361を含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比は向上する。
【0154】
上部基準磁性層上にキャッピング層370を形成する。キャッピング層370は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0155】
基板310上に積層された層をパターニングする。パターニングは下部電極310からキャッピング層370までの全ての層が積層された後に実行するか、又は一部の層に対するパターニングを他の層の積層に先行して実行する。パターニングはイオンビーム工程及び/又はフォトリソグラピ工程を利用して実行する。パターニングは異方性エッチング工程を実行する場合を含む。
【0156】
<第4実施形態>
図12を参照して、本発明の第4実施形態による磁気メモリ素子を説明する。基板410上に下部電極420を配置する。基板410は導電領域及び絶縁領域を含む。下部電極420は基板410内の導電領域と電気的に連結される。
【0157】
下部電極420上にシード層430を配置する。シード層430は稠密六方格子を構成する金属原子を含む。稠密六方格子のc軸は基板410の平面に実質的に垂直であり得る。
【0158】
シード層430上に基準磁性体440を配置する。基準磁性体440はシード層430上に順に積層された垂直基準磁性層442、下部交換結合調節層444、及び/又は接合基準磁性層448を含む。
【0159】
垂直基準磁性層442は強磁性物質を含む。垂直基準磁性層442は基板410に垂直な方向の磁化容易軸を有する。例えば、垂直基準磁性層442は稠密六方格子(HCP)を有する。垂直基準磁性層442の稠密六方格子(HCP)は
図11に示すように、a軸、b軸、及びc軸で構成される。垂直基準磁性層442を構成する稠密六方格子のc軸はシード層430を構成するc軸に実質的に平行であり得る。従って、垂直基準磁性層442を構成する稠密六方格子のc軸は基板410の平面に実質的に垂直であり得る。垂直基準磁性層442の磁化容易軸はc軸であり得る。これによって、垂直基準磁性層442の磁化方向は基板410に対して垂直であり得る。
【0160】
一実施形態において、垂直基準磁性層442は10〜45at.%の白金原子の含量を有するコバルト−白金(CoPt)無秩序合金を含む。垂直基準磁性層442内の白金原子の含量は、例えば、20〜30at.%であり得る。垂直基準磁性層442は非磁性物質を更に含む。例えば、垂直基準磁性層442はホウ素(B)、クロム(Cr)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを更に含む。
【0161】
他の実施形態において、垂直基準磁性層442は秩序合金であるCo
3Ptを含むことができる。垂直基準磁性層442は非磁性物質を更に含むことができる。例えば、垂直基準磁性層442は、ホウ素(B)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、及び銅(Cu)の中から選択された少なくとも1つを更に含む。
【0162】
また他の実施形態において、垂直基準磁性層442は複数の層を含むことができる。この場合、垂直基準磁性層442はシード層430上に順に積層された稠密六方格子を有する第1基準強磁性層と第1基準強磁性層上の第2基準強磁性層を含む。第1基準強磁性層は上述の垂直基準磁性層442の多様な実施形態の中から選択された1つであり、第2基準強磁性層は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つと希土類金属の中から選択された少なくとも1つを含む合金であり得る。例えば、希土類金属はトオビュム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、及びガドリニウム(Gd)の中から選択された少なくとも1つであり得る。これと異なり、第2基準強磁性層は、Fe
50Pt
50、Fe
50Pd
50、Co
50Pt
50、Co
50Pd
50、及びFe
50Ni
50を含むL1
0の結晶構造を有する強磁性物質の中から選択された少なくとも1つであり得る。
【0163】
垂直基準磁性層442の稠密六方構造によって、垂直基準磁性層442は高い垂直異方性を有する。これによって、垂直基準磁性層442を含む磁気メモリ素子の抵抗散布及びスイッチング電流特性を改善することができる。
【0164】
垂直基準磁性層442上に下部交換結合調節層444を配置する。下部交換結合調節層444は交換結合定数が大きい磁性物質又は表面磁気異方性を増加させることができる非磁性物質を含む。例えば、下部交換結合調節層444は交換結合定数が大きい鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中の少なくとも1つを含む。この場合、下部交換結合調節層444は白金(Pt)を更に含む。下部交換結合調節層444の厚さは2Å〜20Åであり得る。下部交換結合調節層444は垂直基準磁性層442と後述の接合基準磁性層448との間の交換結合を強化させる。上述のように、垂直基準磁性層442は高い垂直異方性を有するので、垂直基準磁性層442と下部交換結合調節層444によって交換結合される接合基準磁性層448も高い垂直異方性を有する。
【0165】
他の例として、下部交換結合調節層444は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)を含む非磁性金属の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。非磁性金属は隣接した磁性層の結晶構造の配向性を調節する。一実施形態において、下部交換結合調節層444は下部交換結合調節層444の表面上の酸化膜を更に含む。酸化膜は下部交換結合調節層444の表面が酸化された膜であり得る。下部交換結合調節層444によって隣接した磁性層の表面磁気異方性が増加する。
【0166】
接合基準磁性層448上にトンネルバリア450を形成する。トンネルバリア450は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛Mg−Zn及び/又はマグネシウム−ホウ素(Mg−B)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。トンネルバリア450は複数の層を含むことができる。例えば、トンネルバリア450は、マグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)、酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)、及び/又はマグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)を含むことができる。
【0167】
トンネルバリア450上に自由磁性体460を配置する。自由磁性体460はトンネルバリア450と接する接合自由磁性層461、接合自由磁性層461上の上部交換結合調節層463、及び上部交換結合調節層463上の上部自由磁性層466を含む。
【0168】
接合自由磁性層461は軟磁性物質を含む。接合自由磁性層461は低い飽和磁化量を有する。また、接合自由磁性層461は低いダンピング定数及び高いスピン分極率を有する。接合自由磁性層461は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含む。接合自由磁性層461は、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、炭素(C)、及び窒素(N)を含む非磁性物質の中の少なくとも1つを更に含む。
【0169】
例えば、接合自由磁性層461はCoFe及び/又はNiFeを含み、ホウ素を更に含む。これに加えて、接合自由磁性層461はチタン(Ti)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、マグネシウム(Mg)、及びタンタル(Ta)を含む非磁性元素の中から選択された少なくとも1つを更に含む。選択された非磁性元素の接合自由磁性層461内の含量は1〜15at.%であり得る。
【0170】
接合自由磁性層461上に上部交換結合調節層463を配置する。上部交換結合調節層463は交換結合定数が大きい物質、例えば強磁性金属を含むか、又は隣接した磁性体の配向性及び垂直異方性を増加させることができる物質、例えば非磁性金属を含む。例えば、上部交換結合調節層463は鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)の中から選択された少なくとも1つを含む。他の例として、上部交換結合調節層463は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)の中から選択された少なくとも1つを含むことができる。一実施形態において、上部交換結合調節層463は上部交換結合調節層463と接する酸化膜を更に含む。酸化膜は上部交換結合調節層264の一部の酸化物であり得る。
【0171】
上部自由磁性層466は単一磁性層又は複数の磁性層を含むことができる。例えば、上部自由磁性層466は上部交換結合調節層463上に順に積層された第1自由強磁性層、自由非磁性層及び第2自由強磁性層、即ちSAF層(Synthetic Anti−Ferromagnet layer)を含むことができる。上部自由磁性層466は磁化方向が変更可能な多様な磁性層の形態を含むことができる。
【0172】
上部自由磁性層466上にキャッピング層470を配置する。キャッピング層は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0173】
図12を参照して、本発明の第4実施形態による磁気メモリ素子の形成方法を説明する。上述の構成要素に対する説明は省略する。
【0174】
再び
図12を参照すると、基板410上に下部電極420及びシード層430を形成する。シード層430は稠密六方格子又は面心立方格子を有する金属を含む。例えば、シード層430は、ルテニウム(Ru)、チタン(Ti)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、及びアルミニウム(Al)の中から選択された少なくとも1つを含む。シード層430は比較的薄い厚さで形成される。例えば、シード層430は10Å〜100Åの厚さで形成される。
【0175】
シード層430上に垂直基準磁性層442を形成する。垂直基準磁性層442はシード層430に対する依存度が大きい物質を含む。例えば、垂直基準磁性層442の結晶構造はシード層430の結晶構造に沿って配向される。例えば、垂直基準磁性層442はシード層430のc軸に沿って成長する。これによって、シード層430をシードとして成長する垂直基準磁性層442は比較的低温工程を通じて形成することができる。
【0176】
例えば、垂直基準磁性層442はコバルト(Co)及び/又は白金(Pt)を含む。垂直基準磁性層442はコバルト(Co)及び白金(Pt)の含量によって秩序合金又は無秩序合金を含む。例えば、シード層330をシードとして形成される垂直基準磁性層442は常温で蒸着することができる。
【0177】
垂直磁性層442上に下部交換結合調節層444を形成する。下部交換結合調節層444は交換結合定数が大きい強磁性金属、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、及びニッケル(Ni)を含む金属の中から選択された少なくとも1つを含む。これと異なり、下部交換結合調節層444は隣接した磁性体の表面磁気異方性を増加させることができる。例えば、下部交換結合調節層444は非磁性物質、例えば非磁性金属元素又は遷移金属を含むことができる。下部交換結合調節層444は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)の中の少なくとも1つを含むことができる。
【0178】
一実施形態において、下部交換結合調節層444の表面は酸化される。酸化のための工程は下部交換結合調節層444の形成前に垂直磁性層442が形成された結果物がローディングされたチャンバ内に極少量の酸素を注入するか、又は下部交換結合調節層444を原子層の厚さに成膜した後、チャンバ内に極少量の酸素を注入して酸化膜を形成した後、残りの下部交換結合調節層444を成膜する。
【0179】
下部交換結合調節層344上に接合基準磁性層448を形成する。接合基準磁性層448の垂直異方性は垂直基準磁性層442及び/又は下部交換結合調節層344によって向上する。
【0180】
接合基準磁性層448上にトンネルバリア450を形成する。トンネルバリア450は、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、マグネシウム−亜鉛(MgZn)及び/又はマグネシウム−ホウ素(MgB)の酸化物、及びチタン(Ti)及び/又はバナジウム(V)の窒化物の中から選択された少なくとも1つを含む。これと異なり、トンネルバリア450は複数の層を含むことができる。例えば、トンネルバリア450は、マグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)、酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)、及び/又はマグネシウム(Mg)/酸化マグネシウム(MgO)/マグネシウム(Mg)を含むことができる。一実施形態において、トンネルバリア450はNaCl構造(体心立方格子構造)を有する。例えば、トンネルバリア450は酸化マグネシウム(MgO)を含む。
【0181】
トンネルバリア450上に接合自由磁性層461を形成する。接合自由磁性層461は相対的に低い飽和磁化量を有する。接合自由磁性層461は軟磁性物質を含む。接合自由磁性層461は非磁性物質を更に含む。接合自由磁性層461は非晶質状態に形成する。
【0182】
接合自由磁性層461上に上部交換結合調節層463を形成する。一実施形態において、接合自由磁性層461は交換結合定数が大きい磁性物質を含む。これによって、接合自由磁性層461と後述の上部基準磁性層466との間の交換結合が増加し、接合自由磁性層461の垂直異方性が増加する。具体的に、接合自由磁性層461上に上部交換結合調節層463を形成する場合、接合自由磁性層461の結晶構造は後述の上部自由磁性層466の結晶構造に沿って結晶化せず、トンネルバリア450の結晶構造に沿って配向される。接合自由磁性層461がトンネルバリア450の結晶構造に沿って配向されることによって、接合自由磁性層461を含む磁気トンネル接合の磁気抵抗比が向上する。一実施形態において、上部交換結合調節層463は上部接合自由磁性層461との界面を酸化する。酸化のための工程は上部接合自由磁性層461の形成後、上部接合自由磁性層461が形成された基板410がローディングされたチャンバ内に極少量の酸素を注入するか、又は交換結合調節層463を原子層に成膜した後、チャンバ内に極少量の酸素を注入して酸化物を形成した後、残りの交換結合調節層463を成膜することによって実行する。
【0183】
上部交換結合調節層463上に上部自由磁性層466を形成する。上部自由磁性層466は強磁性物質を含む単一層又は単一層を含む複数層を含むことができる。一実施形態において、上部自由磁性層466は強磁性層−反強磁性層−強磁性層構造を含む。
【0184】
上部自由磁性層466上にキャッピング層470を形成する。キャッピング層470は、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)、及び窒化チタン(TiN)の中から選択された少なくとも1つを含む。
【0185】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。