【実施例】
【0030】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは無い。尚、実施例中、「部」は特定しない限り「質量部」を表す。また、耐湿熱性や耐水性等の評価は染料着色体の色度(L値、a値、b値)を分光光度計「(株)島津製作所製商品名UV−3150」により測定し評価した。
【0031】
実施例1
100mlビーカーに、下記式(100)のローダミン6G(東京化成工業製)1部、水20部を仕込み、常温で30分間攪拌した。これにDMF1部にトリストリフルオロメタンスルホニウムメチドのセシウム塩(セントラル硝子製)1部を溶解させた溶液を滴下し、3時間攪拌した。析出した染料をろ取、水洗、乾燥し、染料(表1−1の化合物No.1)0.8部を得た。極大吸収波長:531nm(シクロヘキサノン)
【0032】
【化3】
【0033】
実施例2
ローダミン染料を下記式(101)のローダミンB(東京化成工業製)に変更した以外は実施例1と同様にして、染料(表1−1の化合物No.3)0.7部を得た。極大吸収波長:560nm(シクロヘキサノン)
【0034】
【化4】
【0035】
実施例3
(工程3−1)
200mlフラスコに水75部、28%水酸化ナトリウム水溶液4.3部、上記式(101)のローダミンBを14.4部仕込み、常温で攪拌した。これに反応液のpHが7付近になるまで28%水酸化ナトリウム水溶液を加え、更に炭酸ナトリウム1.6部を加えて、反応液のpHを10.3に調整した。ここに硫酸ジメチル7.5部を加え、30℃で2時間攪拌した後、この反応液を1Lビーカーに移した。これに50℃の湯350部、98%硫酸1部を加え、反応液のpHを2.7〜3.0に調整し、反応液を60℃で2時間攪拌した。加熱を止め、これに水300部、塩化亜鉛4.2部を加え、塩化ナトリウム7.5部を少しずつ加え、そのまま1時間攪拌、更に塩化ナトリウム45部を追加し、30分攪拌した。析出した染料をろ取、乾燥することにより、下記式(102)の中間体16部を得た。極大吸収波長:561nm(シクロヘキサノン)
【0036】
【化5】
【0037】
(工程3−2)
実施例1におけるローダミン6Gを、中間体(102)に変更した以外は実施例1と同様にして、染料(表1−1の化合物No.7)1.4部を得た。極大吸収波長:561nm(シクロヘキサノン)
【0038】
実施例4
(工程4−1)
50mlフラスコに、上記式(101)のローダミンBを1.2部、(R)−(−)−2−アミノ−1−プロパノール(東京化成工業製)5部を仕込み、160℃で6時間攪拌した。これに常温で飽和食塩水150部を加えて、ジクロロメタンで抽出、5%塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣を必要最小量のジクロロメタンに溶解させ、過剰量のヘキサンを加えた後、0℃で一晩静置させた。析出した赤紫色結晶をろ取、乾燥することにより、下記式(103)の中間体0.6部を得た。
【0039】
【化6】
【0040】
(工程4−2)
500mlビーカーに、中間体(103)の0.4部、酢酸70部、水70部を仕込み、常温で10分攪拌した。これにDMF3部にトリストリフルオロメタンスルホニウムメチドのセシウム塩0.5部を溶解させた溶液を滴下し、2時間常温で攪拌した。この反応液に飽和重曹水300部を少しずつ加え、析出した染料をろ取した。得られたウェットケーキを一晩水洗、ろ取、乾燥することにより、染料(表1−2の化合物No.13)0.4部を得た。極大吸収波長:558nm(シクロヘキサノン)
【0041】
実施例5
300mlビーカーに、中間体(102)1.5部、水125部を仕込み、常温で30分攪拌した。これにDMF2部にビストリフルオロメタンスルホニルイミドのカリウム塩(森田化学工業製)0.9部を溶解させた溶液を滴下し、3時間攪拌した。析出した染料をろ取、水洗、乾燥し、染料(表1−2の化合物No.14)1.7部を得た。極大吸収波長:560nm(シクロヘキサノン)
【0042】
実施例6
(工程6−1)
実施例4の工程4−1における(R)−(−)−2−アミノ−1−プロパノールをベンジルアミンに変更した以外は、実施例4の工程4−1と同様にして、下記式(104)の中間体2部を得た。
【0043】
【化7】
【0044】
(工程6−2)
実施例4の工程4−2における中間体(103)を上記式(104)に変更した以外は、実施例4の工程4−2と同様にして、染料(表1−3の化合物No.15)1.3部を得た。極大吸収波長:559nm(シクロヘキサノン)
【0045】
実施例7
300mlビーカーに、非特許文献(Organic Letters、2003、Vol.5、3245−3248)に記載の方法で合成した下記式(105)の中間体6部、水170部を仕込み、常温で10分攪拌した。これにDMF5.5部にトリストリフルオロメタンスルホニウムメチドのセシウム塩5.5部を溶解させた溶液を滴下し、1時間室温で攪拌した。析出した染料をろ取、水洗、乾燥することにより、染料(表1−3の化合物No.16)7部を得た。極大吸収波長:585nm(シクロヘキサノン)
【0046】
【化8】
【0047】
実施例8
(工程8―1)
100mlフラスコに、N,N−ジエチル−3−アミノフェノール(東京化成工業製)5部、テトラクロロ無水フタル酸(東京化成工業製)10.6部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.6部、プロピオン酸18部を仕込み、遮光して12時間還流した。この反応溶液にトルエンを加え、80℃の0.1M塩酸で洗浄し、有機層を減圧下で濃縮した後、18%アンモニア水300部を加え、常温で一晩攪拌した。再び、反応溶液中の染料をトルエンで抽出し、水層が透明になるまで水で洗浄、更に80℃の0.1M塩酸で数回洗浄し、有機層を減圧下で濃縮することにより、下記式(106)の中間体1部を得た。
【0048】
【化9】
【0049】
(工程8−2)
1Lビーカーに中間体(106)0.6部、水200部、メタノール360部を仕込み、40℃で30分攪拌した。加熱を止め、これにDMF2.1部にトリストリフルオロメタンスルホニウムメチドのセシウム塩0.6部を溶解させた溶液を滴下し、4時間室温で攪拌した。染料が析出してくるまでメタノールを減圧下で蒸発させた後、析出した染料をろ取、水洗、乾燥することにより染料(表1−3の化合物No.17)0.4部を得た。極大吸収波長:587nm(シクロヘキサノン)
【0050】
実施例9
(工程9−1)
50mlフラスコに、中間体(106)0.7部、2−アミノ−1−プロパノール5部を仕込み、160℃で4時間攪拌した。これに常温で飽和食塩水150部を加えて、ジクロロメタンで抽出、5%塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、有機層を減圧下で濃縮した。得られた残渣を必要最小量のジクロロメタンに溶解させ、過剰量のヘキサンを加えた後、0℃で一晩静置させた。析出した赤紫色結晶をろ取、乾燥することにより、下記式(107)の中間体0.6部を得た。
【0051】
【化10】
【0052】
(工程9−2)
実施例4の工程4−2における中間体(103)を中間体(107)に変更した以外は、実施例4の工程4−2と同様にして、染料(表1−3の化合物No.18)0.3部を得た。極大吸収波長:569nm(シクロヘキサノン)
【0053】
実施例10
(工程10−1)
四つ口フラスコにDMF30部、ベンジルブロミド(東京化成工業製)6.8部、炭酸カリウム3.0部、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(サンアプロ製)4.3部、上記式(101)のローダミンB9.6部を仕込み、90℃で6時間攪拌した。反応液を濾過後、濾液に水を加え500部に調整した。この液に、塩化亜鉛5部、さらに塩化ナトリウム10部を少しずつ加え、そのまま1時間攪拌した。析出した染料をろ取、することにより、下記式(108)の中間体8部を得た。
【0054】
【化11】
【0055】
(工程10−2)
実施例1におけるローダミンBを、中間体(108)に変更した以外は実施例1と同様にして、染料(表1−3の化合物No.19)1.4部を得た。極大吸収波長:562nm(シクロヘキサノン)
【0056】
実施例11
油性染料組成物及び染料着色体の作成
前記の実施例1〜3で得られた化合物No.1、3及び7の0.5部をテトラフルオロプロパノール10部にそれぞれ溶解し、油性染料組成物を作成した。得られた油性染料組成物をポリカーボネート基盤にスピンコートし、80℃で30分乾燥し、染料着色体を調製した。
【0057】
以下の各表中における比較例1は上記式(100)のローダミンBを、比較例2は上記式(101)のローダミン6Gを使用し、同様に調製した染料着色体の評価結果である。
【0058】
耐湿熱性試験
上記の方法で得られた染料着色体を、85℃、85%RHの条件の恒温恒湿機中40時間放置した。試験前後の染料着色体を分光光度計でL値、a値、b値を、標準光としてC光源、2度視野角で測色し、下記式より色差を求めた。尚、色差が小さいほど、色相の変化が少ないため優れている事を示す。
色差=[(試験前L値−試験後L値)
2+(試験前a値−試験後a値)
2+(試験前b値−試験後b値)
2]
1/2
耐湿熱性試験における測色の測定値および色差を以下の表2〜表7に示す。
【0059】
化合物No.1の測色結果を以下の表2に示す。
表2
L値 a値 b値
試験前 87.49 25.80 −13.48
試験後 88.43 23.62 −12.22
試験前後差 −0.94 2.18 −1.26
【0060】
化合物No.3の測色結果を以下の表3に示す。
表3
L値 a値 b値
試験前 64.57 50.00 −57.90
試験後 65.18 50.64 −56.12
試験前後差 −0.94 −0.64 −1.78
【0061】
化合物No.7の測色結果を以下の表4に示す。
表4
L値 a値 b値
試験前 81.6 22.73 −28.93
試験後 82.02 22.13 −28.33
試験前後差 −0.42 −0.6 −0.6
【0062】
比較例1の測色結果を以下の表5に示す。
表5
L値 a値 b値
試験前 78.43 34.98 −26.84
試験後 98.35 1.36 −1.07
試験前後差 −19.92 33.62 −25.77
【0063】
比較例2の測色結果を以下の表6に示す。
表6
L値 a値 b値
試験前 89.06 12.29 −14.54
試験後 95.70 5.55 −4.06
試験前後差 −6.64 6.74 −10.48
【0064】
上記の表2〜表6の化合物No.1、3、7及び表5と表6の比較例1、2の色差を求めた結果を以下の表7に示す。
表7
色 差
化合物No.1 2.69
化合物No.3 1.99
化合物No.7 4.8
比較例1 46.81
比較例2 14.12
【0065】
上記の結果から明らかなように、比較例の染料着色体の試験前後における色差が10以上と高い値を示すのに対し、本発明の染料着色体の色差は5以下の低い値を示し、耐湿熱性にきわめて優れていることがわかる。
以上のように本発明のローダミン染料及び、その染料着色体は耐湿熱性に優れ、高い堅牢性を有するものであり、本発明のローダミン染料はカラーフィルター用インキやインクジェット用インキ等、アプリケーションの幅が広がるなどの産業的な価値が高い事が明らかとなった。